説明

洗浄ノズル

【課題】 洗浄ノズルに目詰まりを生じたとき、目詰まりによる送水圧の上昇を利用して自動的に異物を排除して目詰まりの原因を解消することのできる洗浄ノズルを提供することにある。
【解決手段】 外筒11の内部を導水路12とシリンダー室13とに連通状態で区分し、導水路12側を送水管aに接続し、異物排除時に取出口となる噴出口11dをシリンダー13室の先端側13aの側周面の一部に形成し、該噴出口11dの開口面積を可変するピストン14をシリンダー室13内に装着し、ピストン先端面14aに噴射溝14bを形成し、ピストン先端面に作用する通常時の水圧以上で且つ異常時の上昇水圧以下で常時付勢するバネ16を配置し、バネ16を支持する固定盤17を取り付け、ピストン14を噴出口11dの最小開口面積の位置で係止するストッパー面11cを導水路12とシリンダー室13との境界の内周側に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被写体例えばネット式除塵機に取り付けられて使用され、ネットで捕捉した塵芥を圧力水を噴射して所定の箇所に落下させて排除する際に使用される洗浄ノズルに係り、特に、洗浄ノズルに目詰まりを生じたとき、目詰まりによる送水圧の上昇を利用して自動的に異物を排除して目詰まりの原因を解消できる洗浄ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、河川などの水路には流着する塵芥を排除するために例えばネット式除塵機などが設置されている。そして、ネット式除塵機においては、ネットで捕捉した塵芥を圧力洗浄水を噴射して所定の箇所に落下させて排除するために、例えば洗浄ノズルが取り付けられて使用されている。このネット式除塵機に取り付けられて使用される洗浄ノズルでは、その圧力洗浄水は水中ポンプ等でネット式除塵機が設置された河川水を吸水し加圧送水したものを使用している。
しかし、吸水する河川水には浮遊塵芥を含んでおり、一応フィルターで吸水中に含まれる浮遊塵芥を排除しているが、微小浮遊塵芥などは完全に排除できず、河川などから吸水して洗浄ノズルに加圧送水される圧力洗浄水はフィルターで排除されなかったこの微小浮遊塵芥を同時に吸い込むため、洗浄ノズルに目詰まりを生じ易いという問題があった。
そこで、本願の特許出願人は、洗浄ノズルに目詰まりを生じたときには、洗浄ノズルのスライド環を手動により引っ張って移動させることで簡単に異物を排除して目詰まりの原因を解消できる洗浄ノズルを創案し、平成13年3月5日に特許出願(特開2002−253993)している。
【特許文献1】特開2002−253993
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記の特開2002−253993は、洗浄ノズルに目詰まりを生じたとき簡単に異物を排除できる利点を有するが、洗浄ノズルのスライド環を手動により引っ張って移動させることが必要であり、手動によらずに自動的に目詰まりを解消できる洗浄ノズルが要望されていた。
【0004】
この発明は、上記のような課題に鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、洗浄ノズルに目詰まりを生じたとき、目詰まりによる送水圧の上昇を利用して自動的に異物を排除して目詰まりの原因を解消することのできる洗浄ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、外筒の中空筒状内部を導水路と該導水路より直径が大なるシリンダー室とに連通状態で区分し、導水路の流入口側となる外筒一端側を圧力洗浄水が圧送される送水管に接続し、外筒の中空筒状内部の異物排除時に取出口となる圧力洗浄水の噴出口を導水路の流出口側との境界側となるシリンダー室の先端側の側周面の一部に形成し、該噴出口の開口面積を可変するピストンをシリンダー室内に摺動自在に装着し、導水路側に臨むピストン先端面にその中央部位から所定の周縁に向けて上記噴出口より小さく且つ噴射時に噴射口となる噴射溝を形成すると共に、ピストン先端面に形成される噴射溝が上記噴出口の内周側に配置されるようにピストンをシリンダー室内に装着し、上記噴出口の開口面積を最小にすべくピストンをシリンダー室の先端側に向けてピストン先端面に作用する通常時の水圧以上で且つ異常時の上昇水圧以下で常時付勢するバネをピストンの後部側のシリンダー室内に配置し、シリンダー室の後端側となる外筒他端側にピストンを付勢するバネを支持する固定盤を取り付け、付勢されるピストンを噴出口の最小開口面積の位置で係止するストッパー面を導水路とシリンダー室との境界の内周側に形成した手段よりなるものである。
【0006】
また、請求項2の発明は、外筒の中空筒状内部を導水路と該導水路より直径が大なるシリンダー室とに連通状態で区分し、導水路の流入口側となる外筒一端側を圧力洗浄水が圧送される送水管に接続し、外筒の中空筒状内部の異物排除時に取出口となる圧力洗浄水の噴出口を導水路とシリンダー室との境界側となる導水路の流出口側及びシリンダー室の先端側の側周面の一部に連接状態で形成し、該噴出口の開口面積を可変するピストンをシリンダー室内に摺動自在に装着し、上記噴出口の開口面積を最小にすべくピストンをシリンダー室の先端側に向けてピストン先端面に作用する通常時の水圧以上で且つ異常時の上昇水圧以下で常時付勢するバネをピストンの後部側のシリンダー室内に配置し、シリンダー室の後端側となる外筒他端側にピストンを付勢するバネを支持する固定盤を取り付け、付勢されるピストンを噴出口の最小開口面積の位置で係止するストッパー面を導水路とシリンダー室との境界の内周側に形成した手段よりなるものである。
【0007】
また、請求項1、請求項2の好ましい態様として、固定盤に環状孔を形成し、ピストンの後部に連結されたピストンロッドの先端側を固定盤の環状孔を貫通させて外筒他端側より外部に突出させ、突出させたピストンロッドの先端に噴出口の開口面積を広げるべく強制的にピストンを後退させる手動用の把手を取り付けるのがよい。
【0008】
また、請求項4の発明は、外筒の中空筒状内部を導水路とシリンダー室とに連通状態で区分し、導水路の流入口側となる外筒一端側を圧力洗浄水が圧送される送水管に接続し、外筒の中空筒状内部の異物排除時に取出口となる圧力洗浄水の噴出口を導水路とシリンダー室との境界側となるシリンダー室の先端側の側周面の一部に形成し、該噴出口の開口面積を可変するピストンをシリンダー室内に摺動自在に装着し、上記噴出口の開口面積を最小にすべくピストンを導水路との境界側となるシリンダー室の先端側に向けてピストン先端面に作用する通常時の水圧以上で且つ異常時の上昇水圧以下で常時付勢するバネをピストンの後部側のシリンダー室内に配置し、シリンダー室の後端側となる外筒他端側にピストンを付勢するバネを支持する環状の固定盤を取り付け、ピストンの後部に連結されたピストンロッドの先端側を固定盤の環状孔を貫通させて外筒他端側より外部に突出させ、固定盤に当接してピストンロッドを介してピストンを噴出口の開口面積を所望の最小面積の位置で調節自在に係止する開口幅調整環状盤を突出するピストンロッドの先端側の側周面に調節自在に螺合した手段よりなるものである。
【0009】
また、請求項4の好ましい態様として、突出するピストンロッドの先端に噴出口の開口面積を広げるべく強制的にピストンを後退させる手動用の把手を取り付けるのがよい。
【発明の効果】
【0010】
以上の記載より明らかなように、請求項1の発明に係る洗浄ノズルによれば、外筒の中空筒状内部を導水路と該導水路より直径が大なるシリンダー室とに連通状態で区分し、導水路の流入口側となる外筒一端側を圧力洗浄水が圧送される送水管に接続し、外筒の中空筒状内部の異物排除時に取出口となる圧力洗浄水の噴出口を導水路の流出口側との境界側となるシリンダー室の先端側の側周面の一部に形成し、該噴出口の開口面積を可変するピストンをシリンダー室内に摺動自在に装着し、導水路側に臨むピストン先端面にその中央部位から所定の周縁に向けて上記噴出口より小さく且つ噴射時に噴射口となる噴射溝を形成すると共に、ピストン先端面に形成される噴射溝が上記噴出口の内周側に配置されるようにピストンをシリンダー室内に装着し、上記噴出口の開口面積を最小にすべくピストンをシリンダー室の先端側に向けてピストン先端面に作用する通常時の水圧以上で且つ異常時の上昇水圧以下で常時付勢するバネをピストンの後部側のシリンダー室内に配置し、シリンダー室の後端側となる外筒他端側にピストンを付勢するバネを支持する固定盤を取り付け、付勢されるピストンを噴出口の最小開口面積の位置で係止するストッパー面を導水路とシリンダー室との境界の内周側に形成したことにより、洗浄ノズルに目詰まりを生じたときには、シリンダー室内のピストン先端面に作用する水圧が上昇し、そして、ピストン先端面に作用する上昇水圧力がピストンを常時付勢しているバネの押し付け力より大きくなって、バネの押し付け力に勝ってピストンを押し出してシリンダー室内を後端側に向けて移動させて、噴出口の開口面積を大きくして、洗浄ノズルに詰まっていた異物を、送水管から通じて圧送される圧力洗浄水の水圧によって、噴出口の外側に自動的に押し出して排出することができる。このように、洗浄ノズルが目詰まりを生じることによって上昇する水圧を利用して自動的に異物を排除でき、目詰まりの原因を自動的に解消することができる。
【0011】
また、請求項2の発明に係る洗浄ノズルによれば、外筒の中空筒状内部を導水路と該導水路より直径が大なるシリンダー室とに連通状態で区分し、導水路の流入口側となる外筒一端側を圧力洗浄水が圧送される送水管に接続し、外筒の中空筒状内部の異物排除時に取出口となる圧力洗浄水の噴出口を導水路とシリンダー室との境界側となる導水路の流出口側及びシリンダー室の先端側の側周面の一部に連接状態で形成し、該噴出口の開口面積を可変するピストンをシリンダー室内に摺動自在に装着し、上記噴出口の開口面積を最小にすべくピストンをシリンダー室の先端側に向けてピストン先端面に作用する通常時の水圧以上で且つ異常時の上昇水圧以下で常時付勢するバネをピストンの後部側のシリンダー室内に配置し、シリンダー室の後端側となる外筒他端側にピストンを付勢するバネを支持する固定盤を取り付け、付勢されるピストンを噴出口の最小開口面積の位置で係止するストッパー面を導水路とシリンダー室との境界の内周側に形成したことにより、洗浄ノズルに目詰まりを生じたときには、シリンダー室内のピストン先端面に作用する水圧が上昇し、そして、ピストン先端面に作用する上昇水圧力がピストンを常時付勢しているバネの押し付け力より大きくなって、バネの押し付け力に勝ってピストンを押し出してシリンダー室内を後端側に向けて移動させて、噴出口の開口面積を大きくして、洗浄ノズルに詰まっていた異物を、送水管から通じて圧送される圧力洗浄水の水圧によって、噴出口の外側に自動的に押し出して排出することができる。このように、洗浄ノズルが目詰まりを生じることによって上昇する水圧を利用して自動的に異物を排除でき、目詰まりの原因を自動的に解消することができる。しかも、請求項1のようにピストン先端面には噴射溝が形成されていないので、その分、ピストン先端面の構造が簡単になる。
【0012】
また、請求項3のように、固定盤に環状孔を形成し、ピストンの後部に連結されたピストンロッドの先端側を固定盤の環状孔を貫通させて外筒他端側より外部に突出させ、突出させたピストンロッドの先端に噴出口の開口面積を広げるべく強制的にピストンを後退させる手動用の把手を取り付けた場合には、洗浄ノズルに目詰まりを生じたときには、把手を手で掴んで引っ張りバネの付勢力に打ち勝ってピストンロッドを通じて外筒のシリンダー室内のピストンをシリンダー室の後端側に向けて強制的に移動させることによって、噴出口の開口面積を最小にすべく噴射口の内周側を塞いでいたピストンを一時的にその箇所から移動させて噴出口の開口面積を最大にでき、開口面積が最大となった噴出口から簡単に異物を排除でき、目詰まりの原因を解消することができる。
【0013】
また、請求項4の発明に係る洗浄ノズルによれば、外筒の中空筒状内部を導水路とシリンダー室とに連通状態で区分し、導水路の流入口側となる外筒一端側を圧力洗浄水が圧送される送水管に接続し、外筒の中空筒状内部の異物排除時に取出口となる圧力洗浄水の噴出口を導水路とシリンダー室との境界側となるシリンダー室の先端側の側周面の一部に形成し、該噴出口の開口面積を可変するピストンをシリンダー室内に摺動自在に装着し、上記噴出口の開口面積を最小にすべくピストンを導水路との境界側となるシリンダー室の先端側に向けてピストン先端面に作用する通常時の水圧以上で且つ異常時の上昇水圧以下で常時付勢するバネをピストンの後部側のシリンダー室内に配置し、シリンダー室の後端側となる外筒他端側にピストンを付勢するバネを支持する環状の固定盤を取り付け、ピストンの後部に連結されたピストンロッドの先端側を固定盤の環状孔を貫通させて外筒他端側より外部に突出させ、固定盤に当接してピストンロッドを介してピストンを噴出口の開口面積を所望の最小面積の位置で調節自在に係止する開口幅調整環状盤を突出するピストンロッドの先端側の側周面に調節自在に螺合したことにより、洗浄ノズルに目詰まりを生じたときには、シリンダー室内のピストン先端面に作用する水圧が上昇し、そして、ピストン先端面に作用する上昇水圧力がピストンを常時付勢しているバネの押し付け力より大きくなって、バネの押し付け力に勝ってピストンを押し出してシリンダー室内を後端側に向けて移動させて、噴出口の開口面積を大きくして、洗浄ノズルに詰まっていた異物を、送水管から通じて圧送される圧力洗浄水の水圧によって、噴出口の外側に自動的に押し出して排出することができる。このように、洗浄ノズルが目詰まりを生じることによって上昇する水圧を利用して自動的に異物を排除でき、目詰まりの原因を自動的に解消することができる。しかも、請求項1のようにピストン先端面には噴射溝が形成されていないので、その分、ピストン先端面の構造が簡単になる。そのうえ、開口幅調整環状盤を調節してピストン先端面の位置を調整できるので、通常の噴射時の噴射口の大きさを簡単に所望の大きさに調整することができる。
【0014】
また、請求項5のように、突出するピストンロッドの先端に噴出口の開口面積を広げるべく強制的にピストンを後退させる手動用の把手を取り付けた場合には、洗浄ノズルに目詰まりを生じたときには、把手を手で掴んで引っ張りバネの付勢力に打ち勝ってピストンロッドを通じて外筒のシリンダー室内のピストンをシリンダー室の後端側に向けて強制的に移動させることによって、噴出口の開口面積を最小にすべく噴射口の内周側を塞いでいたピストンを一時的にその箇所から移動させて噴出口の開口面積を最大にでき、開口面積が最大となった噴出口から簡単に異物を排除でき、目詰まりの原因を解消することができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に記載の発明を実施するための最良の形態に基づいて、この発明をより具体的に説明する。
【0016】
〔最良の形態−1〕
ここで、図1(A)は噴射時の洗浄ノズルの側断面図、図1(B)は図1(A)のB−B矢視図、図1(C)は図1(A)のC−C矢視図、図2は異物排除時の洗浄ノズルの側断面図、図3(A)は外筒の側断面図、図3(B)はピストン及びピストンロッドの側断面図、図3(C)はピストン先端面の正面図、図3(D)はバネの側断面図、図3(E)は固定盤の側断面図、図3(F)は把手の側面図である。
【0017】
図1〜図3において、洗浄ノズル1は、図示しない例えばネット式除塵機に取り付けられて使用され、ネットで捕捉した塵芥を圧力洗浄水を噴射して所定の箇所に落下させて排除するために使用されるもので、外筒11、外筒11の内部のシリンダー室13内に摺動自在に装着されたピストン14、ピストン14をシリンダー室13の先端側13aに向けて付勢するバネ16、外筒11の他端側11bに取り付けられた固定盤17などから主に構成されている。
【0018】
外筒11はその中空筒状内部が導水路12と該導水路12より直径が大なるシリンダー室13とに連通状態で区分されている。導水路12側の端部となる外筒11の一端側11aとシリンダー室13側の端部となる他端側11bは、それぞれ開口されている。外筒11はその外形が円筒形の形状に形成されている。
【0019】
導水路12は洗浄ノズル1から噴射される直前の洗浄水が圧送される通路で、内部断面は例えば円形の形状からなる。導水路12はその一端側が流入口側12a、他端側が流出口側12bとなっている。導水路12の流入口側12aは外筒11の一端側11aになっていて、流入口側12aとなる外筒11の一端側11aは圧力洗浄水が圧送される送水管aの側周面に開口接続されている。
【0020】
送水管aを通じて送水された圧力洗浄水は外筒11の一端側11aとなる導水路12の流入口側12aから導水路12内に圧送され、ピストン先端面14aの噴射溝14bからシリンダー室13の側周面のピストン14の付勢によって最小面積になっている噴出口11dを経て一部のストッパー面11cと噴射溝14bとによって形成される噴射口15から噴射される構造になっている。
【0021】
シリンダー室13は、前記の導水路12よりその直径が大きい例えば円形断面の形状から形成されており、導水路12の流出口側12bとの境界側となるシリンダー室13の先端側13aはその内径が段差状に大きくなっている。境界側となる導水路12の流出口側12bとシリンダー室13の先端側13aとは連通状態になっている。
【0022】
この段差状に大きくなったシリンダー室13の先端側13aの環状内周側にはシリンダー室13の内周面に対して直交する段差環状面になるストッパー面11cが形成されている。つまりストッパー面11cはシリンダー室13の切断面に平行に形成されている。ストッパー面11cは導水路12の流出口側12bの端部の円周縁に沿って円環状に形成されていて、その面は環状平坦面に形成されている。ストッパー面11cは先端側に向けて付勢されるピストン14のピストン先端面14aの周縁側が当接されてピストン14を係止する機能を果たす。
【0023】
このストッパー面11cは、ピストン14を係止すると共にピストン先端面14aの一部に形成された噴射溝14bと協動して噴射口15を形成する。例えば噴射口15が四辺からなる方形状の場合、噴射溝14bが噴射口15の三辺を形成し、残りの一辺をストッパー面11cの一部が形成する。
【0024】
導水路12の流出口側12bとの境界側に接するシリンダー室13の先端側13aの側周面の一部には噴出口11dが形成されている。噴出口11dは噴射口15から噴射される直前の圧力洗浄水が通過する開口孔で、この噴出口11dを通過した圧力洗浄水はこれより狭い噴射口15から外部に勢いよく噴射される。
【0025】
また、この噴出口11dは、外筒11の内部に異物が詰まった場合に、その異物を排除するための取出口としても使用される。このため、噴出口11dは外筒11の内部に詰まった異物が簡単に取り出せる程度の大きさの開口孔に形成されている。噴出口11dはその幅が噴射溝14bの最大幅より幅広でしかもその長さが例えば10mmである。
【0026】
ピストン14は、噴射口15から圧力洗浄水を噴射するために前記噴出口11dを噴射時の最小開口面積にし、又洗浄ノズル1の目詰まり時に外筒11の導水路12内に詰まった異物を除去するために噴出口11dを異物排除時の最大開口面積とに可変するものである。
【0027】
ピストン14は円柱状の形状を有し、ピストン14の円形の外径はシリンダー室13の内径と略同一で、シリンダー室13内に摺動自在に装着されている。ピストン14はその先端にピストン先端面14aが形成され、ピストン先端面14aには噴射溝14bが形成され、ピストン14の後部には後方に延びるピストンロッド14cが連結されている。後方に延びるピストンロッド14cの先端側はシリンダー室13の後端側となる外筒11の他端側11bの固定盤17を貫通して外部に突出している。シリンダー室13内で摺動するピストンロッド14cの中間部分の側周面の一部にはその長さ方向にガイド溝14dが形成されている。
【0028】
ピストン14の先端となるピストン先端面14aは平坦面に形成され、その一部には噴射溝14bが形成されている。噴射溝14bはピストン先端面14aの中央部位から所定の周縁に向けて形成されている。すなわちシリンダー室13内に摺動自在に装着されたピストン14のピストン先端面14aに形成された噴射溝14bが噴出口11dの内側に位置するように装着される。噴射溝14bはピストン14の摺動時、噴出口11dの長さ方向に沿って前後方向移動する。
【0029】
ピストン14は噴出口11dの長さ方向の開口面積を可変にするようにシリンダー室13内に摺動自在に装着される。即ち、異物排除時にはピストン14はシリンダー室13内の先端側13aから後方側に向けて移動されて噴出口11dの開口面積を最大にし、噴射時にはピストン14は後記のバネ16によってシリンダー室13の先端側13a側に移動し、そのピストン先端面14aの周縁側が環状平坦面の前記ストッパー面11cに当接して噴出口11dの開口面積を最小の噴射溝14bと同一のサイズの噴射口15にする。
【0030】
噴射溝14bはピストン先端面14aの中央から図面では下側の外周縁側に向けて形成され、例えば中央部分の上側は円弧状に形成されその両側の溝幅は下側の外周縁側に向けて例えば30度の角度で両側に拡開している。
【0031】
また、噴射溝14bの溝深さは例えば3mmであり、この溝深さが噴射時の噴出口11dの最小開口面積となる。即ち、噴射時には噴射溝14bが形成されたピストン先端面14aはその周縁側が環状平坦面の前記ストッパー面11cに当接して、外筒11の導水路12内を圧送された圧力洗浄水は噴出口11dを経てこれより狭い溝深さの噴射溝14bの噴射口15から勢いよく噴射されるのである。
【0032】
バネ16はピストン14をシリンダー室13の先端側13aに向けて常時付勢して、噴出口11dの開口断面を最小にする機能を果たすもので、例えばコイルバネが使用されている。バネ16は、ピストン14の後部側のシリンダー室13のピストンロッド14cの外周の環状空間部分に螺旋状に挿入されている。
【0033】
バネ16はピストン14をシリンダー室13の先端側13aに向けて常時付勢するが、本願発明は導水路12内に異物が詰まって導水路12内の送水圧が上昇した場合にはその上昇圧によってピストン14をバネ16のバネ圧力にうち勝ってバネ16側に移動させるものである。
【0034】
このため、バネ16は、通常の噴射時にはピストン先端面14aに作用する水圧に勝ってピストン14のピストン先端面14aをストッパー面11cに押し付けるだけのバネ強さ(バネ係数)が要求される。その一方で、バネ16は、導水路12内に異物が目詰まりして送水圧が上昇した場合にはピストン先端面14aに作用する上昇水圧に負けてピストン14のピストン先端面14aをストッパー面11cに押し付けていたピストン14が後退できるバネ強さ(バネ係数)が要求される。
【0035】
ピストン先端面14aに作用する通常時の水圧をP1、ピストン先端面14aに作用する異常時の上昇水圧をP2、バネ16のバネ強さ(バネ係数)をKとすると、バネ16はそのバネ強さ(バネ係数)は、P1<K<P2の範囲にある。つまり、使用されるバネ16のバネ強さ(バネ係数)は、ピストン14のピストン先端面14aに作用する通常時の水圧以上の強さがあってしかも異常時の上昇水圧以下の強さであることが要求される。
【0036】
送水管aの側周面に接続される外筒11の一端側11aの円筒形外周には螺旋状にネジ山が刻設された雄ネジ11eになっていて、この雄ネジ11eの先端側は送水管aの側周面に一部螺入されて接続されている。外筒11の一端側11aの外周が雄ネジ11eになっているために、送水管aの側周面に簡単に螺入接続することができる。
【0037】
また、ピストンロッド14c及びバネ16が挿入される側のシリンダー室13の側周面には空気出入孔11fが形成されている。空気出入孔11fは、ピストン14が前後に摺動しながら移動する場合に、ピストン14の後部側のシリンダー室13内が密封されて内部の空気が摺動の抵抗にならないように、外部の大気と連通させるための孔である。
【0038】
シリンダー室13の後端側となる外筒11の他端側11bの開口部分には、バネ16の後端を支持する固定盤17が取り付けられている。固定盤17は前半側が他端側11bの開口部内に挿入された状態で取り付けられている。固定盤17の前半側はシリンダー室13の内径と略同一径の円形断面に形成され、後半側は外筒11の外径と略同一の円形断面に形成されている。
【0039】
固定盤17の中央には円形の環状孔17aが形成されている。環状孔17aの直径はシリンダー室13内に配置されているコイル状のバネ16の直径より小さい孔で、コイル状のバネ16がこの環状孔17aから外部に抜け出ることがないようになっている。この環状孔17aにはピストンロッド14cが貫通して先端側が固定盤17の外側に突出している。
【0040】
固定盤17はシリンダー室13の後端側となる外筒11の他端側11bの開口部分に挿入されたその前半側の側周面には、外筒11の他端側11bの側周面を貫通した取付螺子17bの先端側が螺入しており、この取付螺子17bによって固定盤17は外筒11の他端側11bつまりシリンダー室13の後端側に固定的に取り付けられていて、固定盤17はピストン14を付勢するコイル状のバネ16の後端を支持する構造になっている。固定盤17を固定する取付螺子17bの片方はその先端側がピストンロッド14cの側周面に形成された前記のガイド溝14d内に係合されている。片方の取付螺子17bの先端がガイド溝14d内に係合されることによりピストン14は前後方向への摺動範囲が規制される。
【0041】
固定盤17の環状孔17aから突出するピストンロッド14cの先端には手動用の把手18が取り付けられている。把手18は、手動で噴出口11dの開口面積を広げるためにピストンロッド14cを介してピストン14を強制的に後退させる場合に手で掴まれる部分で、例えば円形リングが使用されている。例えば円形リングからなる把手18は、ピストンロッド14cの先端に形成された連結孔に前半部分が螺入して連結された連結具18aの後部の取付孔に遊貫状に通した状態で取り付けられている。
【0042】
次に、上記発明の実施の形態の構成に基づく作用について以下説明する。
洗浄ノズル1は、図示しない例えばネット式除塵機に取り付けられて使用され、ネットで捕捉した塵芥を圧力洗浄水を噴射して所定の箇所に落下させて排除するために使用される。洗浄ノズル1に供給される圧力洗浄水はネット式除塵機が設置されている河川から水中ポンプ等を使用して吸水される。
【0043】
洗浄ノズル1に吸水される際に、フィルターなどによって吸水中に含まれる粗い異物は排除されるが、吸水中に含まれる微小な異物はフィルターなどによっては排除されずに、吸水と共に送水管aを圧送されて洗浄ノズル1を構成する外筒11内部の導水路12内を流水してその噴出口11dを詰まらせることがある。
【0044】
ところで、シリンダー室13の先端側13aの側周面の一部に形成されている噴出口11dは、通常はバネ16に付勢されているピストン14によってその内周側の大部分が覆われて最小開口面積になり、噴射溝14bと同一サイズの噴射口15となっており、外筒11内の異物を排除することができない。
【0045】
しかし、噴出口11dに流水中の異物が目詰まりすると、噴出口11dの開口面積が異物によってさらに小さくなるため、ピストン先端面14aの噴射溝14bに作用する水圧が上昇する。そして、ピストン先端面14aに作用する上昇水圧力がピストン14を常時付勢しているバネ16の押し付け力より大きくなると、バネ16の押し付け力に勝ってピストン14を押し出してシリンダー室13内を後端側に向けて移動させる。
【0046】
ピストン14がシリンダー室13内を後退し始めると、噴出口11dの開口面積も徐々に大きくなる。噴出口11dの狭い隙間に詰まっていた異物は、噴出口11dの開口面積が大きくなることにより、送水管aから通じて圧送される圧力洗浄水の水圧によって、噴出口11dの外側に押し出されて排出される。
【0047】
噴出口11dに詰まっていた異物が排出されると、外筒11内の上昇していた水圧が低下し始める。そして、ピストン14を付勢するバネ16の付勢力がピストン先端面14aを押圧する低下し始めた水圧よりも相対的に高くなると、バネ16の付勢力がピストン先端面14aを押圧する通常の水圧に勝ってピストン14をシリンダー室13の先端側13aに向けて押し付けて移動させる。シリンダー室13の先端側13aに向けて移動したピストン14は、ピストン先端面14aの周縁側が先端側13aの内周側に形成されたストッパー面11cに当たることにより係止される。
【0048】
ピストン14がストッパー面11cによって係止されると、噴出口11dの内周側の大部分は再びピストン14の側周面の一部によって覆われて、その開口面積は最小となる。ストッパー面11cに当接したピストン先端面14aに形成された噴射溝14bはストッパー面11cと共に最小の開口面積となる噴射口15を形成し、最小開口面積となった噴射口15から勢いよく噴射された圧力洗浄水は、ネットに捕捉された塵芥を落下させて洗い流す。
【0049】
再び目詰まりが生じた場合には上記の動作を繰り返して、洗浄ノズル1の目詰まりは上昇水圧を利用して自動的に排除されて解消されることになる。
【0050】
洗浄ノズル1の目詰まりは上記の自動的な排除以外に、手動による操作によって任意に排除することも可能である。
【0051】
洗浄ノズル1の導水路12内に流入した異物によって洗浄ノズル1が詰まった場合には、外筒11の他端側11bから外部に突出したピストンロッド14cの先端に取り付けられた把手18を掴んで引っ張ってピストンロッド14cの先端側を外筒11の他端側11bから外部側に引き出して移動させる。
【0052】
このとき、ピストンロッド14cが後部に連結されたピストン14はバネ16によって常時、シリンダー室13の先端側13aに向けて付勢されているので、バネ16の付勢力に打ち勝ってピストン14が連結されたピストンロッド14cを外筒11の他端側11bの外側に向けて強制的に引っ張る。
【0053】
ピストンロッド14cが外筒11の他端側11bに向けて引っ張られて移動すると、ピストンロッド14cの連結されたピストン14も一体となって連動して外筒11の他端側11bつまりシリンダー室13の後端側に向けて移動する。
【0054】
ピストン14がシリンダー室13の他端側に向けて移動すると、噴出口11dの開口面積も徐々に大きくなる。噴出口11dの狭い隙間に詰まっていた異物は、噴出口11dの開口面積が大きくなることにより、送水管aから通じて圧送される圧力洗浄水の水圧によって、噴出口11dの外側に押し出されて排出される。
【0055】
外筒11の内部に詰まっている異物が排出されると、バネ16の付勢力に打ち勝って強制的に外筒11の他端側11bの固定盤17の外部側に引っ張り出していたピストンロッド14cの先端の把手18を掴んでいた手を離すと、ピストン14及びピストンロッド14cはバネ16の付勢力によってシリンダー室13の先端側13aに向けて移動する。そして、ピストン14のピストン先端面14aの周縁側がシリンダー室13の先端側13aの環状内周側に形成されたストッパー面11cに当接することによって、ピストン14は係止される。
【0056】
ピストン14がストッパー面11cによって係止されると、噴出口11dの内周側の大部分は再びピストン14の側周面によって覆われて、その開口面積は最小となる。ストッパー面11cに当接したピストン先端面14aに形成された噴射溝14bはストッパー面11cと共に最小の開口面積となる噴射口15を形成し、最小開口面積となった噴射口15から勢いよく噴射された圧力洗浄水は、ネットに捕捉された塵芥を落下させて洗い流す。

【0057】
〔最良の形態−2〕
ここで、図4(A)は噴射時の洗浄ノズルの側断面図、図4(B)は図4(A)のB−B矢視図、図4(C)は図4(A)のC−C矢視図、図5は異物排除時の洗浄ノズルの側断面図、図6(A)は外筒の側断面図、図6(B)はピストン及びピストンロッドの側断面図、図6(C)はバネの側断面図、図6(D)は固定盤の側断面図、図6(E)は把手の側面図である。
【0058】
図4〜図6において、洗浄ノズル2は、図示しない例えばネット式除塵機に取り付けられて使用され、ネットで捕捉した塵芥を圧力洗浄水を噴射して所定の箇所に落下させて排除するために使用されるもので、外筒21、外筒21の内部のシリンダー室23内に摺動自在に装着されたピストン24、ピストン24をシリンダー室23の先端側23aに向けて付勢するバネ26、外筒21の他端側21bに取り付けられた固定盤27などから主に構成されている。
【0059】
外筒21はその中空筒状内部が導水路22と該導水路22より直径が大なるシリンダー室23とに連通状態で区分されている。導水路22側の端部となる外筒21の一端側21aとシリンダー室23側の端部となる他端側21bは、それぞれ開口されている。外筒21はその外形が円筒形の形状に形成されている。
【0060】
導水路22は洗浄ノズル2から噴射される直前の洗浄水が圧送される通路で、内部断面は例えば円形の形状からなる。導水路22はその一端側が流入口側22a、他端側が流出口側22bとなっている。導水路22の流入口側22aは外筒21の一端側21aになっていて、流入口側22aとなる外筒21の一端側21aは圧力洗浄水が圧送される送水管aの側周面に開口接続されている。
【0061】
送水管aを通じて送水された圧力洗浄水は外筒21の一端側21aとなる導水路22の流入口側22aから導水路22内に圧送され、ピストン先端面24aからシリンダー室23の側周面のピストン24の付勢によって最小面積になっている噴出口21dを経て一部の噴出口21dと一部のピストン先端面24aとによって形成される噴射口25から噴射される構造になっている。
【0062】
シリンダー室23は、前記の導水路22よりその直径が大きい例えば円形断面の形状から形成されており、導水路22の流出口側22bとの境界側となるシリンダー室23の先端側23aはその内径が段差状に大きくなっている。境界側となる導水路22の流出口側22bとシリンダー室23の先端側23aとは連通状態になっている。
【0063】
この段差状に大きくなったシリンダー室23の先端側23aの環状内周側には一部を除いてシリンダー室23の内周面に対して直交する段差部分環状面になるストッパー面21cが形成されている。つまりストッパー面21cはシリンダー室23の切断面に平行に形成されている。またストッパー面21cは、その下部側に噴出口21dの一部が形成されていて、完全な環状になっていなくて、つまり噴出口21dが形成された部分が開口された一部開口型の不完全な部分環状面に形成されている。ストッパー面21cは導水路22の流出口側22bの端部の円周縁に沿って部分円環状に形成されていて、その面は環状平坦面に形成されている。ストッパー面21cは先端側に向けて付勢されるピストン24のピストン先端面24aの周縁側が当接されてピストン24を係止する機能を果たす。
【0064】
導水路22の流出口側22bとシリンダー室23の先端側23aとの側周面の一部には噴出口21dが形成されている。噴出口21dは導水路22の流出口側22bの一部とシリンダー室23の先端側23aの一部との間に連接状態で形成されている。そして、後記するように、導水路22の流出口側22bの側周面の一部に形成された噴出口21dの部分が通常噴射時の噴射口25となる。噴出口21dは噴射口25から噴射される直前の圧力洗浄水が通過する開口孔で、この噴出口21dを通過した圧力洗浄水はこれより狭い噴射口25から外部に勢いよく噴射される。
【0065】
また、この噴出口21dは、外筒21の内部に異物が詰まった場合に、その異物を排除するための取出口としても使用される。このため、噴出口21dは外筒21の内部に詰まった異物が簡単に取り出せる程度の大きさの開口孔に形成されている。噴出口21dはその長さが例えば全長で10mmあり、このうち、導水路22側の長さは3mmであり、シリンダー室23側の長さは7mmである。つまり、噴出口21dは導水路22側の長さが短く、シリンダー室23側の長さが長くなっており、長さの短い導水路22側に形成された部分が通常時の噴射口25となる。
【0066】
ピストン24は、噴射口25から圧力洗浄水を噴射するために前記噴出口21dを噴射時の最小開口面積にし、又洗浄ノズル2の目詰まり時に外筒21の導水路22内に詰まった異物を除去するために噴出口21dを異物排除時の最大開口面積とに可変するものである。
【0067】
ピストン24は円柱状の形状を有し、ピストン24の円形の外径はシリンダー室23の内径と略同一で、シリンダー室23内に摺動自在に装着されている。ピストン24はその先端に平坦面からなるピストン先端面24aが形成され、ピストン24の後部には後方に延びるピストンロッド24bが連結されている。後方に延びるピストンロッド24bの先端側はシリンダー室23の後端側となる外筒21の他端側21bの固定盤27を貫通して外部に突出している。
【0068】
ピストン24は噴出口21dの長さ方向の開口面積を可変にするようにシリンダー室23内に摺動自在に装着される。即ち、異物排除時にはピストン24はシリンダー室23内の先端側23aから後方側に向けて移動されて噴出口21dの開口面積を最大にし、噴射時にはピストン24は後記のバネ26によってシリンダー室23の先端側23a側に移動し、そのピストン先端面24aの周縁側が環状平坦面の前記ストッパー面21cに当接して噴出口21dの開口面積を最小サイズの噴射口25にする。
【0069】
バネ26はピストン24をシリンダー室23の先端側23aに向けて常時付勢して、噴出口21dの開口断面を最小にする機能を果たすもので、例えばコイルバネが使用されている。バネ26は、ピストン24の後部側のシリンダー室23のピストンロッド24bの外周の環状空間部分に螺旋状に挿入されている。
【0070】
バネ26はピストン24をシリンダー室23の先端側23aに向けて常時付勢するが、本願発明は導水路22内に異物が詰まって導水路22内の送水圧が上昇した場合にはその上昇圧によってピストン24をバネ26のバネ圧力にうち勝ってバネ26側に移動させるものである。
【0071】
このため、バネ26は、通常の噴射時にはピストン先端面24aに作用する水圧に勝ってピストン24のピストン先端面24aをストッパー面21cに押し付けるだけのバネ強さ(バネ係数)が要求される。その一方で、バネ26は、導水路22内に異物が目詰まりして送水圧が上昇した場合にはピストン先端面24aに作用する上昇水圧に負けてピストン24のピストン先端面24aをストッパー面21cに押し付けていたピストン24が後退できるバネ強さ(バネ係数)が要求される。
【0072】
ピストン先端面24aに作用する通常時の水圧をP1、ピストン先端面24aに作用する異常時の上昇水圧をP2、バネ26のバネ強さ(バネ係数)をKとすると、バネ26はそのバネ強さ(バネ係数)は、P1<K<P2の範囲にある。つまり、使用されるバネ26のバネ強さ(バネ係数)は、ピストン24のピストン先端面24aに作用する通常時の水圧以上の強さがあってしかも異常時の上昇水圧以下の強さであることが要求される。
【0073】
送水管aの側周面に接続される外筒21の一端側21aの円筒形外周には螺旋状にネジ山が刻設された雄ネジ21eになっていて、この雄ネジ21eの先端側は送水管aの側周面に一部螺入されて接続されている。外筒21の一端側21aの外周が雄ネジ21eになっているために、送水管aの側周面に簡単に螺入接続することができる。
【0074】
また、ピストンロッド24b及びバネ26が挿入される側のシリンダー室23の側周面には空気出入孔21fが形成されている。空気出入孔21fは、ピストン24が前後に摺動しながら移動する場合に、ピストン24の後部側のシリンダー室23内が密封されて内部の空気が摺動の抵抗にならないように、外部の大気と連通させるための孔である。
【0075】
シリンダー室23の後端側となる外筒21の他端側21bの開口部分には、バネ26の後端を支持する固定盤27が取り付けられている。固定盤27は前半側が他端側21bの開口部内に挿入された状態で取り付けられている。固定盤27の前半側はシリンダー室23の内径と略同一径の円形断面に形成され、後半側は外筒21の外径と略同一の円形断面に形成されている。
【0076】
固定盤27の中央には円形の環状孔27aが形成されている。環状孔27aの直径はシリンダー室23内に配置されているコイル状のバネ26の直径より小さい孔で、コイル状のバネ26がこの環状孔27aから外部に抜け出ることがないようになっている。この環状孔27aにはピストンロッド24bが貫通して先端側が固定盤27の外側に突出している。
【0077】
固定盤27はシリンダー室23の後端側となる外筒21の他端側21bの開口部分に挿入されたその前半側の側周面には、外筒21の他端側21bの側周面を貫通した取付螺子27bの先端側が螺入しており、この取付螺子27bによって固定盤27は外筒21の他端側21bつまりシリンダー室23の後端側に固定的に取り付けられていて、固定盤27はピストン24を付勢するコイル状のバネ26の後端を支持する構造になっている。
【0078】
固定盤27の環状孔27aから突出するピストンロッド24bの先端には手動用の把手28が取り付けられている。把手28は、手動で噴出口21dの開口面積を広げるためにピストンロッド24bを介してピストン24を強制的に後退させる場合に手で掴まれる部分で、例えば円形リングが使用されている。例えば円形リングからなる把手28は、ピストンロッド24bの先端に形成された連結孔に前半部分が螺入して連結された連結具28aの後部の取付孔に遊貫状に通した状態で取り付けられている。
【0079】
次に、上記発明の実施の形態の構成に基づく作用について以下説明する。
洗浄ノズル2は、図示しない例えばネット式除塵機に取り付けられて使用され、ネットで捕捉した塵芥を圧力洗浄水を噴射して所定の箇所に落下させて排除するために使用される。洗浄ノズル2に供給される圧力洗浄水はネット式除塵機が設置されている河川から水中ポンプ等を使用して吸水される。
【0080】
洗浄ノズル2に吸水される際に、フィルターなどによって吸水中に含まれる粗い異物は排除されるが、吸水中に含まれる微小な異物はフィルターなどによっては排除されずに、吸水と共に送水管aを圧送されて洗浄ノズル2を構成する外筒21内部の導水路22内を流水してその噴出口21dを詰まらせることがある。
【0081】
ところで、シリンダー室23の先端側23aの側周面の一部に形成されている噴出口21dは、通常はバネ26に付勢されているピストン24によってその内周側の大部分が覆われて最小開口面積になり、同一サイズの噴射口25となっており、外筒21内の異物を排除することができない。
【0082】
しかし、噴出口21dに流水中の異物が目詰まりすると、噴出口21dの開口面積が異物によってさらに小さくなるため、ピストン先端面24aに作用する水圧が上昇する。そして、ピストン先端面24aに作用する上昇水圧力がピストン24を常時付勢しているバネ26の押し付け力より大きくなると、バネ26の押し付け力に勝ってピストン24を押し出してシリンダー室23内を後端側に向けて移動させる。
【0083】
ピストン24がシリンダー室23内を後退し始めると、噴出口21dの開口面積も徐々に大きくなる。噴出口21dの狭い隙間に詰まっていた異物は、噴出口21dの開口面積が大きくなることにより、送水管aから通じて圧送される圧力洗浄水の水圧によって、噴出口21dの外側に押し出されて排出される。
【0084】
噴出口21dに詰まっていた異物が排出されると、外筒21内の上昇していた水圧が低下し始める。そして、ピストン24を付勢するバネ26の付勢力がピストン先端面24aを押圧する低下し始めた水圧よりも相対的に高くなると、バネ26の付勢力がピストン先端面24aを押圧する通常の水圧に勝ってピストン24をシリンダー室23の先端側23aに向けて押し付けて移動させる。シリンダー室23の先端側23aに向けて移動したピストン24は、ピストン先端面24aの周縁側が先端側23aの内周側に形成されたストッパー面21cに当たることにより係止される。
【0085】
ピストン24がストッパー面21cによって係止されると、噴出口21dの内周側の大部分は再びピストン24の側周面の一部によって覆われて、その開口面積は最小となる。ピストン先端面24aは導水路22の流出口側22bに形成された噴出口21dと共に最小の開口面積となる噴射口25を形成し、最小開口面積となった噴射口25から勢いよく噴射された圧力洗浄水は、ネットに捕捉された塵芥を落下させて洗い流す。
【0086】
再び目詰まりが生じた場合には上記の動作を繰り返して、洗浄ノズル2の目詰まりは上昇水圧を利用して自動的に排除されて解消されることになる。
【0087】
洗浄ノズル2の目詰まりは上記の自動的な排除以外に、手動による操作によって任意に排除することも可能である。
【0088】
洗浄ノズル2の導水路22内に流入した異物によって洗浄ノズル2が詰まった場合には、外筒21の他端側21bから外部に突出したピストンロッド24bの先端に取り付けられた把手28を掴んで引っ張ってピストンロッド24bの先端側を外筒21の他端側21bから外部側に引き出して移動させる。
【0089】
このとき、ピストンロッド24bが後部に連結されたピストン24はバネ26によって常時、シリンダー室23の先端側23aに向けて付勢されているので、バネ26の付勢力に打ち勝ってピストン24が連結されたピストンロッド24bを外筒21の他端側21bの外側に向けて強制的に引っ張る。
【0090】
ピストンロッド24bが外筒21の他端側21bに向けて引っ張られて移動すると、ピストンロッド24bの連結されたピストン24も一体となって連動して外筒21の他端側21bつまりシリンダー室23の後端側に向けて移動する。
【0091】
ピストン24がシリンダー室23の他端側に向けて移動すると、噴出口21dの開口面積も徐々に大きくなる。噴出口21dの狭い隙間に詰まっていた異物は、噴出口21dの開口面積が大きくなることにより、送水管aから通じて圧送される圧力洗浄水の水圧によって、噴出口21dの外側に押し出されて排出される。
【0092】
外筒21の内部に詰まっている異物が排出されると、バネ26の付勢力に打ち勝って強制的に外筒21の他端側21bの固定盤27の外部側に引っ張り出していたピストンロッド24bの先端の把手28を掴んでいた手を離すと、ピストン24及びピストンロッド24bはバネ26の付勢力によってシリンダー室23の先端側23aに向けて移動する。そして、ピストン24のピストン先端面24aの周縁側がシリンダー室23の先端側23aの環状内周側に形成されたストッパー面21cに当接することによって、ピストン24は係止される。
【0093】
ピストン24がストッパー面21cによって係止されると、噴出口21dの内周側の大部分は再びピストン24の側周面によって覆われて、その開口面積は最小となる。ピストン先端面24aは導水路22の流出口側22bに形成された噴出口21dと共に最小の開口面積となる噴射口25を形成し、最小開口面積となった噴射口25から勢いよく噴射された圧力洗浄水は、ネットに捕捉された塵芥を落下させて洗い流す。

【0094】
〔最良の形態−3〕
ここで、図7(A)は噴射時の洗浄ノズルの側断面図、図7(B)は図7(A)のB−B矢視図、図7(C)は図7(A)のC−C矢視図、図8は異物排除時の洗浄ノズルの側断面図、図9(A)は外筒の側断面図、図9(B)はピストン及びピストンロッドの側断面図、図9(C)はバネの側断面図、図9(D)は固定盤の側断面図、図9(E)は開口幅調整環状盤の側断面図、図3(9)は把手の側面図である。
【0095】
図7〜図9において、洗浄ノズル3は、図示しない例えばネット式除塵機に取り付けられて使用され、ネットで捕捉した塵芥を圧力洗浄水を噴射して所定の箇所に落下させて排除するために使用されるもので、外筒31、外筒31の内部のシリンダー室33内に摺動自在に装着されたピストン34、ピストン34をシリンダー室33の先端側33aに向けて付勢するバネ36、外筒31の他端側31bに取り付けられた固定盤37、ピストンロッド34bの突出する先端側に螺合された開口幅調整環状盤39などから主に構成されている。
【0096】
外筒31はその中空筒状内部が導水路32と該導水路32より直径が大なるシリンダー室33とに連通状態で区分されている。導水路32側の端部となる外筒31の一端側31aとシリンダー室33側の端部となる他端側31bは、それぞれ開口されている。外筒31はその外形が円筒形の形状に形成されている。
【0097】
導水路32は洗浄ノズル3から噴射される直前の洗浄水が圧送される通路で、内部断面は例えば円形の形状からなる。導水路32はその一端側が流入口側32a、他端側が流出口側32bとなっている。導水路32の流入口側32aは外筒31の一端側31aになっていて、流入口側32aとなる外筒31の一端側31aは圧力洗浄水が圧送される送水管aの側周面に開口接続されている。
【0098】
送水管aを通じて送水された圧力洗浄水は外筒31の一端側31aとなる導水路32の流入口側32aから導水路32内に圧送され、ピストン先端面34aからシリンダー室33の側周面のピストン34の付勢によって最小面積になっている噴出口31dを経て、前面が一部の段差環状面31cで形成され、後面が一部のピストン先端面34aで形成され、左右幅が一部の噴出口31dの左右幅で形成される噴射口35から噴射される構造になっている。
【0099】
シリンダー室33は、前記の導水路32よりその直径が大きい例えば円形断面の形状から形成されており、導水路32の流出口側32bとの境界側となるシリンダー室33の先端側33aはその内径が段差状に大きくなっている。境界側となる導水路32の流出口側32bとシリンダー室33の先端側33aとは連通状態になっている。
【0100】
この段差状に大きくなったシリンダー室33の先端側33aの環状内周側にはシリンダー室33の内周面に対して直交する段差環状面31cが形成されている。つまり段差環状面31cはシリンダー室33の切断面に平行に形成されている。段差環状面31cは導水路32の流出口側32bの端部の円周縁に沿って円環状に形成されていて、その面は環状平坦面に形成されている。
【0101】
この段差環状面31cは、ピストン先端面34aの一部及び噴出口31dの一部の左右幅と協動して噴射口35を形成する。例えば噴射口35が四辺からなる方形状の場合、段差環状面31cの一部が前面を形成し、ピストン先端面34aの一部が後面を形成し、左右幅を噴出口31dの一部が形成する。
【0102】
導水路32の流出口側32bとの境界側に接するシリンダー室33の先端側33aの側周面の一部には噴出口31dが形成されている。噴出口31dは噴射口35から噴射される直前の圧力洗浄水が通過する開口孔で、この噴出口31dを通過した圧力洗浄水はこれより狭い噴射口35から外部に勢いよく噴射される。
【0103】
また、この噴出口31dは、外筒31の内部に異物が詰まった場合に、その異物を排除するための取出口としても使用される。このため、噴出口31dは外筒31の内部に詰まった異物が簡単に取り出せる程度の大きさの開口孔に形成されている。噴出口31dはその長さが例えば10mmである。
【0104】
ピストン34は、噴射口35から圧力洗浄水を噴射するために前記噴出口31dを噴射時の最小開口面積にし、又洗浄ノズル3の目詰まり時に外筒31の導水路32内に詰まった異物を除去するために噴出口31dを異物排除時の最大開口面積とに可変するものである。
【0105】
ピストン34は円柱状の形状を有し、ピストン34の円形の外径はシリンダー室33の内径と略同一で、シリンダー室33内に摺動自在に装着されている。ピストン34はその先端に平坦面からなるピストン先端面34aが形成され、ピストン34の後部には後方に延びるピストンロッド34bが連結されている。
【0106】
後方に延びるピストンロッド34bの先端側はシリンダー室33の後端側となる外筒31の他端側31bの固定盤37を貫通して外部に突出している。固定盤37を貫通して外部に突出したピストンロッド34bの先端側の円形側周面には開口幅調整環状盤39が調節自在に螺合されるために螺子状のネジ山が刻設された雄ネジ34cになっている。
【0107】
ピストン34は噴出口31dの長さ方向の開口面積を可変にするようにシリンダー室33内に摺動自在に装着される。即ち、異物排除時にはピストン34はシリンダー室33内の先端側33aから後方側に向けて移動されて噴出口31dの開口面積を最大にし、噴射時にはピストン34は後記のバネ36によってシリンダー室33の先端側33a側に移動し、開口幅調整環状盤39の前面が固定盤37の後面に当接して噴出口31dの開口面積を最小サイズの噴射口35にする。
【0108】
バネ36はピストン34をシリンダー室33の先端側33aに向けて常時付勢して、噴出口31dの開口断面を最小にする機能を果たすもので、例えばコイルバネが使用されている。バネ36は、ピストン34の後部側のシリンダー室33のピストンロッド34bの外周の環状空間部分に螺旋状に挿入されている。
【0109】
バネ36はピストン34をシリンダー室33の先端側33aに向けて常時付勢するが、本願発明は導水路32内に異物が詰まって導水路32内の送水圧が上昇した場合にはその上昇圧によってピストン34をバネ36のバネ圧力にうち勝ってバネ36側に移動させるものである。
【0110】
このため、バネ36は、通常の噴射時にはピストン先端面34aに作用する水圧に勝ってピストン34の後部に連結されたピストンロッド34bの先端側の雄ネジ34cに螺合された開口幅調整環状盤39の前面を固定盤37の後面に押し付けるだけのバネ強さ(バネ係数)が要求される。その一方で、バネ36は、導水路32内に異物が目詰まりして送水圧が上昇した場合にはピストン先端面34aに作用する上昇水圧に負けてピストン34に連結されたピストンロッド34bの先端側に螺合されていた開口幅調整環状盤39の前面を固定盤37の後面に押し付けていたピストン34が後退できるバネ強さ(バネ係数)が要求される。
【0111】
ピストン先端面34aに作用する通常時の水圧をP1、ピストン先端面34aに作用する異常時の上昇水圧をP2、バネ36のバネ強さ(バネ係数)をKとすると、バネ36はそのバネ強さ(バネ係数)は、P1<K<P2の範囲にある。つまり、使用されるバネ36のバネ強さ(バネ係数)は、ピストン34のピストン先端面34aに作用する通常時の水圧以上の強さがあってしかも異常時の上昇水圧以下の強さであることが要求される。
【0112】
送水管aの側周面に接続される外筒31の一端側31aの円筒形外周には螺旋状にネジ山が刻設された雄ネジ31eになっていて、この雄ネジ31eの先端側は送水管aの側周面に一部螺入されて接続されている。外筒31の一端側31aの外周が雄ネジ31eになっているために、送水管aの側周面に簡単に螺入接続することができる。
【0113】
また、ピストンロッド34b及びバネ36が挿入される側のシリンダー室33の側周面には空気出入孔31fが形成されている。空気出入孔31fは、ピストン34が前後に摺動しながら移動する場合に、ピストン34の後部側のシリンダー室33内が密封されて内部の空気が摺動の抵抗にならないように、外部の大気と連通させるための孔である。
【0114】
シリンダー室33の後端側となる外筒31の他端側31bの開口部分には、バネ36の後端を支持する固定盤37が取り付けられている。固定盤37は前半側が他端側31bの開口部内に挿入された状態で取り付けられている。固定盤37の前半側はシリンダー室33の内径と略同一径の円形断面に形成され、後半側は外筒31の外径と略同一の円形断面に形成されている。
【0115】
固定盤37の中央には円形の環状孔37aが形成されている。環状孔37aの直径はシリンダー室33内に配置されているコイル状のバネ36の直径より小さい孔で、コイル状のバネ36がこの環状孔37aから外部に抜け出ることがないようになっている。この環状孔37aにはピストンロッド34bが貫通して先端側が固定盤37の外側に突出している。
【0116】
固定盤37はシリンダー室33の後端側となる外筒31の他端側31bの開口部分に挿入されたその前半側の側周面には、外筒31の他端側31bの側周面を貫通した取付螺子37bの先端側が螺入しており、この取付螺子37bによって固定盤37は外筒31の他端側31bつまりシリンダー室33の後端側に固定的に取り付けられていて、固定盤37はピストン34を付勢するコイル状のバネ36の後端を支持する構造になっている。
【0117】
固定盤37の環状孔37aから突出するピストンロッド34bの先端には手動用の把手38が取り付けられている。把手38は、手動で噴出口31dの開口面積を広げるためにピストンロッド34bを介してピストン34を強制的に後退させる場合に手で掴まれる部分で、例えば円形リングが使用されている。例えば円形リングからなる把手38は、ピストンロッド34bの先端に形成された連結孔に前半部分が螺入して連結された連結具38aの後部の取付孔に遊貫状に通した状態で取り付けられている。
【0118】
開口幅調整環状盤39は、段差環状面31cに対してピストン先端面34aの隙間の調節して、噴出口31dの開口面積を所望の最小面積の位置で、バネ16で付勢されるピストン34をピストンロッド34b及び固定盤37を介して係止する機能を果たす。
【0119】
即ち、固定盤37の環状孔37aを貫通するピストンロッド34bの先端側の雄ネジ34cに螺合された開口幅調整環状盤39の前面が固定盤37の後面に当接することで、バネ16によってシリンダー室33の先端側33aに向けて常時付勢されているピストン34は、段差環状面31cに対してピストン先端面34aが所望の隙間をあけて係止される。
【0120】
開口幅調整環状盤39は、その中央に円形の雌ネジ39aが形成されている。雌ネジ39aの内周面にはピストンロッド34bの先端側の雄ネジ34cと螺合する雌ネジ山が刻設されている。開口幅調整環状盤39はピストンロッド34bの先端側の雄ネジ34cと雌雄係合しながらピストンロッド34bの前後方向に調節自在となっている。開口幅調整環状盤39には例えばナットが使用される。
【0121】
ピストンロッド34bの先端側の雄ネジ34cに螺合された開口幅調整環状盤39をピストン34に近づく方向に移動させると、ピストン先端面34aは段差環状面31cから離れる方向に移動して噴出口31dの最小開口面積を大きくする方向に調節されることになる。
【0122】
反対に、ピストンロッド34bの先端側の雄ネジ34cに螺合された開口幅調整環状盤39をピストン34から離れる方向に移動させると、ピストン先端面34aは段差環状面31cに近づく方向に移動して噴出口31dの最小開口面積を小さくする方向に調節されることになる。
【0123】
次に、上記発明の実施の形態の構成に基づく作用について以下説明する。
洗浄ノズル3は、図示しない例えばネット式除塵機に取り付けられて使用され、ネットで捕捉した塵芥を圧力洗浄水を噴射して所定の箇所に落下させて排除するために使用される。洗浄ノズル3に供給される圧力洗浄水はネット式除塵機が設置されている河川から水中ポンプ等を使用して吸水される。
【0124】
洗浄ノズル3に吸水される際に、フィルターなどによって吸水中に含まれる粗い異物は排除されるが、吸水中に含まれる微小な異物はフィルターなどによっては排除されずに、吸水と共に送水管aを圧送されて洗浄ノズル3を構成する外筒31内部の導水路32内を流水してその噴出口31dを詰まらせることがある。
【0125】
ところで、シリンダー室33の先端側33aの側周面の一部に形成されている噴出口31dは、通常はバネ36に付勢されているピストン34によってその内周側の大部分が覆われて最小開口面積になり、同一サイズの噴射口35となっており、外筒31内の異物を排除することができない。
【0126】
しかし、噴出口31dに流水中の異物が目詰まりすると、噴出口31dの開口面積が異物によってさらに小さくなるため、ピストン先端面34aに作用する水圧が上昇する。そして、ピストン先端面34aに作用する上昇水圧力がピストン34を常時付勢しているバネ36の押し付け力より大きくなると、バネ36の押し付け力に勝ってピストン34を押し出してシリンダー室33内を後端側に向けて移動させる。
【0127】
ピストン34がシリンダー室33内を後退し始めると、噴出口31dの開口面積も徐々に大きくなる。噴出口31dの狭い隙間に詰まっていた異物は、噴出口31dの開口面積が大きくなることにより、送水管aから通じて圧送される圧力洗浄水の水圧によって、噴出口31dの外側に押し出されて排出される。
【0128】
噴出口31dに詰まっていた異物が排出されると、外筒31内の上昇していた水圧が低下し始める。そして、ピストン34を付勢するバネ36の付勢力がピストン先端面34aを押圧する低下し始めた水圧よりも相対的に高くなると、バネ36の付勢力がピストン先端面34aを押圧する通常の水圧に勝ってピストン34をシリンダー室33の先端側33aに向けて押し付けて移動させる。シリンダー室33の先端側33aに向けて移動したピストン34は、ピストンロッド34bの先端側の雄ネジ34cに螺合された開口幅調整環状盤39の前面が外筒31の他端側31bに取り付けられた固定盤37の後面に当たることにより係止される。
【0129】
ピストン34が開口幅調整環状盤39によって係止されると、噴出口31dの内周側の大部分は再びピストン34の側周面の一部によって覆われて、その開口面積は最小となる。ピストン先端面34aは段差環状面31cと共に最小の開口面積となる噴射口35を形成し、最小開口面積となった噴射口35から勢いよく噴射された圧力洗浄水は、ネットに捕捉された塵芥を落下させて洗い流す。
【0130】
再び目詰まりが生じた場合には上記の動作を繰り返して、洗浄ノズル3の目詰まりは上昇水圧を利用して自動的に排除されて解消されることになる。
【0131】
洗浄ノズル3の目詰まりは上記の自動的な排除以外に、手動による操作によって任意に排除することも可能である。
【0132】
洗浄ノズル3の導水路32内に流入した異物によって洗浄ノズル3が詰まった場合には、外筒31の他端側31bから外部に突出したピストンロッド34bの先端に取り付けられた把手38を掴んで引っ張ってピストンロッド34bの先端側を外筒31の他端側31bから外部側に引き出して移動させる。
【0133】
このとき、ピストンロッド34bが後部に連結されたピストン34はバネ36によって常時、シリンダー室33の先端側33aに向けて付勢されているので、バネ36の付勢力に打ち勝ってピストン34が連結されたピストンロッド34bを外筒31の他端側31bの外側に向けて強制的に引っ張る。
【0134】
ピストンロッド34bが外筒31の他端側31bに向けて引っ張られて移動すると、ピストンロッド34bの連結されたピストン34も一体となって連動して外筒31の他端側31bつまりシリンダー室33の後端側に向けて移動する。
【0135】
ピストン34がシリンダー室33の他端側に向けて移動すると、噴出口31dの開口面積も徐々に大きくなる。噴出口31dの狭い隙間に詰まっていた異物は、噴出口31dの開口面積が大きくなることにより、送水管aから通じて圧送される圧力洗浄水の水圧によって、噴出口31dの外側に押し出されて排出される。
【0136】
外筒31の内部に詰まっている異物が排出されると、バネ36の付勢力に打ち勝って強制的に外筒31の他端側31bの固定盤37の外部側に引っ張り出していたピストンロッド34bの先端の把手38を掴んでいた手を離すと、ピストン34及びピストンロッド34bはバネ36の付勢力によってシリンダー室33の先端側33aに向けて移動する。そして、シリンダー室33の先端側33aに向けて移動したピストン34は、ピストンロッド34bの先端側の雄ネジ34cに螺合された開口幅調整環状盤39の前面が外筒31の他端側31bに取り付けられた固定盤37の後面に当たることにより係止される。
【0137】
ピストン34が開口幅調整環状盤39によって係止されると、噴出口31dの内周側の大部分は再びピストン34の側周面の一部によって覆われて、その開口面積は最小となる。ピストン先端面34aは段差環状面31cと共に最小の開口面積となる噴射口35を形成し、最小開口面積となった噴射口35から勢いよく噴射された圧力洗浄水は、ネットに捕捉された塵芥を落下させて洗い流す。

【0138】
なお、この発明は上記発明を実施するための最良の形態に限定されるものではなく、この発明の精神を逸脱しない範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】(A)はこの発明を実施するための最良の形態−1を示す噴射時の洗浄ノズルの側断面図である。(B)は図1(A)のB−B矢視図である。(C)は図1(A)のC−C矢視図である。
【図2】この発明を実施するための最良の形態−1を示す異物排除時の洗浄ノズルの側断面図である。
【図3】(A)はこの発明を実施するための最良の形態−1を示す外筒の側断面図である。(B)はこの発明を実施するための最良の形態−1を示すピストン及びピストンロッドの側断面図である。(C)はこの発明を実施するための最良の形態−1を示すピストン先端面の正面図である。(D)はこの発明を実施するための最良の形態−1を示すバネの側断面図である。(E)はこの発明を実施するための最良の形態−1を示す固定盤の側断面図である。(F)はこの発明を実施するための最良の形態−1を示す把手の側面図である。
【図4】(A)はこの発明を実施するための最良の形態−2を示す噴射時の洗浄ノズルの側断面図である。(B)は図4(A)のB−B矢視図である。(C)は図4(A)のC−C矢視図である。
【図5】この発明を実施するための最良の形態−2を示す異物排除時の洗浄ノズルの側断面図である。
【図6】(A)はこの発明を実施するための最良の形態−2を示す外筒の側断面図である。(B)はこの発明を実施するための最良の形態−2を示すピストン及びピストンロッドの側断面図である。(C)はこの発明を実施するための最良の形態−2を示すバネの側断面図である。(D)はこの発明を実施するための最良の形態−2を示す固定盤の側断面図である。(E)はこの発明を実施するための最良の形態−2を示す把手の側面図である。
【図7】(A)はこの発明を実施するための最良の形態−3を示す噴射時の洗浄ノズルの側断面図である。(B)は図7(A)のB−B矢視図である。(C)は図7(A)のC−C矢視図である。
【図8】この発明を実施するための最良の形態−3を示す異物排除時の洗浄ノズルの側断面図である。
【図9】(A)はこの発明を実施するための最良の形態−3を示す外筒の側断面図である。(B)はこの発明を実施するための最良の形態−3を示すピストン及びピストンロッドの側断面図である。(C)はこの発明を実施するための最良の形態−3を示すバネの側断面図である。(D)はこの発明を実施するための最良の形態−3を示す固定盤の側断面図である。(E)はこの発明を実施するための最良の形態−3を示す開口幅調整環状盤の側断面図である。(F)はこの発明を実施するための最良の形態−3を示す把手の側面図である。
【符号の説明】
【0140】
1 洗浄ノズル
11 外筒
11a 一端側
11b 他端側
11c ストッパー面
11d 噴出口
11e 雄ネジ
11f 空気出入孔
12 導水路
12a 流入口側
12b 流出口側
13 シリンダー室
13a 先端側
14 ピストン
14a ピストン先端面
14b 噴射溝
14c ピストンロッド
14d ガイド溝
15 噴射口
16 バネ
17 固定盤
17a 環状孔
17b 取付螺子
18 把手
18a 連結具
2 洗浄ノズル
21 外筒
21a 一端側
21b 他端側
21c ストッパー面
21d 噴出口
21e 雄ネジ
21f 空気出入孔
22 導水路
22a 流入口側
22b 流出口側
23 シリンダー室
23a 先端側
24 ピストン
24a ピストン先端面
24b ピストンロッド
25 噴射口
26 バネ
27 固定盤
27a 環状孔
27b 取付螺子
28 把手
28a 連結具
3 洗浄ノズル
31 外筒
31a 一端側
31b 他端側
31c 段差環状面
31d 噴出口
31e 雄ネジ
31f 空気出入孔
32 導水路
32a 流入口側
32b 流出口側
33 シリンダー室
33a 先端側
34 ピストン
34a ピストン先端面
34b ピストンロッド
34c 雄ネジ
35 噴射口
36 バネ
37 固定盤
37a 環状孔
37b 取付螺子
38 把手
38a 連結具
39 開口幅調整環状盤
39a 雌ネジ
a 送水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒の中空筒状内部を導水路と該導水路より直径が大なるシリンダー室とに連通状態で区分し、導水路の流入口側となる外筒一端側を圧力洗浄水が圧送される送水管に接続し、外筒の中空筒状内部の異物排除時に取出口となる圧力洗浄水の噴出口を導水路の流出口側との境界側となるシリンダー室の先端側の側周面の一部に形成し、該噴出口の開口面積を可変するピストンをシリンダー室内に摺動自在に装着し、導水路側に臨むピストン先端面にその中央部位から所定の周縁に向けて上記噴出口より小さく且つ噴射時に噴射口となる噴射溝を形成すると共に、ピストン先端面に形成される噴射溝が上記噴出口の内周側に配置されるようにピストンをシリンダー室内に装着し、上記噴出口の開口面積を最小にすべくピストンをシリンダー室の先端側に向けてピストン先端面に作用する通常時の水圧以上で且つ異常時の上昇水圧以下で常時付勢するバネをピストンの後部側のシリンダー室内に配置し、シリンダー室の後端側となる外筒他端側にピストンを付勢するバネを支持する固定盤を取り付け、付勢されるピストンを噴出口の最小開口面積の位置で係止するストッパー面を導水路とシリンダー室との境界の内周側に形成したことを特徴とする洗浄ノズル。
【請求項2】
外筒の中空筒状内部を導水路と該導水路より直径が大なるシリンダー室とに連通状態で区分し、導水路の流入口側となる外筒一端側を圧力洗浄水が圧送される送水管に接続し、外筒の中空筒状内部の異物排除時に取出口となる圧力洗浄水の噴出口を導水路とシリンダー室との境界側となる導水路の流出口側及びシリンダー室の先端側の側周面の一部に連接状態で形成し、該噴出口の開口面積を可変するピストンをシリンダー室内に摺動自在に装着し、上記噴出口の開口面積を最小にすべくピストンをシリンダー室の先端側に向けてピストン先端面に作用する通常時の水圧以上で且つ異常時の上昇水圧以下で常時付勢するバネをピストンの後部側のシリンダー室内に配置し、シリンダー室の後端側となる外筒他端側にピストンを付勢するバネを支持する固定盤を取り付け、付勢されるピストンを噴出口の最小開口面積の位置で係止するストッパー面を導水路とシリンダー室との境界の内周側に形成したことを特徴とする洗浄ノズル。
【請求項3】
固定盤に環状孔を形成し、ピストンの後部に連結されたピストンロッドの先端側を固定盤の環状孔を貫通させて外筒他端側より外部に突出させ、突出させたピストンロッドの先端に噴出口の開口面積を広げるべく強制的にピストンを後退させる手動用の把手を取り付けた請求項1又は2記載の洗浄ノズル。
【請求項4】
外筒の中空筒状内部を導水路とシリンダー室とに連通状態で区分し、導水路の流入口側となる外筒一端側を圧力洗浄水が圧送される送水管に接続し、外筒の中空筒状内部の異物排除時に取出口となる圧力洗浄水の噴出口を導水路とシリンダー室との境界側となるシリンダー室の先端側の側周面の一部に形成し、該噴出口の開口面積を可変するピストンをシリンダー室内に摺動自在に装着し、上記噴出口の開口面積を最小にすべくピストンを導水路との境界側となるシリンダー室の先端側に向けてピストン先端面に作用する通常時の水圧以上で且つ異常時の上昇水圧以下で常時付勢するバネをピストンの後部側のシリンダー室内に配置し、シリンダー室の後端側となる外筒他端側にピストンを付勢するバネを支持する環状の固定盤を取り付け、ピストンの後部に連結されたピストンロッドの先端側を固定盤の環状孔を貫通させて外筒他端側より外部に突出させ、固定盤に当接してピストンロッドを介してピストンを噴出口の開口面積を所望の最小面積の位置で調節自在に係止する開口幅調整環状盤を突出するピストンロッドの先端側の側周面に調節自在に螺合したことを特徴とする洗浄ノズル。
【請求項5】
突出するピストンロッドの先端に噴出口の開口面積を広げるべく強制的にピストンを後退させる手動用の把手を取り付けた請求項4記載の洗浄ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−223945(P2006−223945A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−38202(P2005−38202)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000196473)西田鉄工株式会社 (9)
【Fターム(参考)】