洗浄ハンドル装置
【課題】施工のばらつきを良好に吸収し得て、従来のように外側壁部の挿通孔と駆動軸との面倒な位置合せ作業を不要化でき、洗浄ハンドルに加えられた操作力を確実に作用レバー側の従動軸に伝達し得て、排水弁の開弁動作を良好になし得る洗浄ハンドル装置を提供する。
【解決手段】外側壁部16の外面に設けた洗浄ハンドル32の回動操作により内側タンク24内の作用レバー34を回動させて排水弁を開弁動作させる洗浄ハンドル装置28において、外側壁部16に回動可能に取り付けられる、洗浄ハンドル32側の駆動軸78と、内側タンク24に回動可能に取り付けられる、作用レバー34側の従動軸74とを分離して設ける。そして駆動軸78には放射状に延びる4本の当接部100-1〜100-4を、作用レバー34側の従動軸74には対応する4つの被当接部76-1〜76-4を設け、洗浄ハンドル32の回動時にそれらの当接作用で作用レバー34を回動させるようになす。
【解決手段】外側壁部16の外面に設けた洗浄ハンドル32の回動操作により内側タンク24内の作用レバー34を回動させて排水弁を開弁動作させる洗浄ハンドル装置28において、外側壁部16に回動可能に取り付けられる、洗浄ハンドル32側の駆動軸78と、内側タンク24に回動可能に取り付けられる、作用レバー34側の従動軸74とを分離して設ける。そして駆動軸78には放射状に延びる4本の当接部100-1〜100-4を、作用レバー34側の従動軸74には対応する4つの被当接部76-1〜76-4を設け、洗浄ハンドル32の回動時にそれらの当接作用で作用レバー34を回動させるようになす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗浄ハンドルの回動操作によってタンク内に貯えた便器の洗浄水を排出させ、便器洗浄を行わせる洗浄ハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タンク内に貯えた便器の洗浄水を、洗浄ハンドルの回動操作により排出し、便器洗浄を行わせる洗浄ハンドル装置の一種として、便器の洗浄水を貯えた内側タンクを包むように設けた外側タンクの壁部(外側壁部)の外面に洗浄ハンドルを回動可能に設ける一方、内側タンク内部を延びるように作用レバーを設けて、その作用レバーに排水弁を連繋し、洗浄ハンドルの回動操作により作用レバーを回動させて排水弁を開弁動作させ、洗浄水を便器に向けて排出させるようになした洗浄ハンドル装置が公知である。
【0003】
また同種の洗浄ハンドル装置として、キャビネットの内部に内側タンクを収容し、内側タンクの外側に位置するキャビネットの前板(外側壁部)の前面(外面)に洗浄ハンドルを設け、キャビネットの外側でハンドル操作するようになしたものも知られている。
【0004】
この種の洗浄ハンドル装置では、従来、洗浄ハンドルに加えられた操作力を作用レバーに伝えるための駆動軸を内側タンクに回動可能に取り付けた上で、これを内側タンク外に延出させて外側壁部に設けた貫通の挿通孔に通し、そして外側壁部の外面において洗浄ハンドルを駆動軸に一体回転状態に固定し連結するようにしていた。
例えば下記特許文献1に、この種の洗浄ハンドル装置の一例が開示されている。
【0005】
ところが内側タンクの壁部と外側壁部との間には、通常かなりの間隔があるために、外側壁部の挿通孔の位置と内側タンクから延び出した駆動軸の位置との位置合せを正確に行うことが難しく、特に施工誤差等により駆動軸が内側タンクから斜めに延びていたりすると、挿通孔の位置が駆動軸の位置からずれてしまったりする。
【0006】
そこで例えば後者の洗浄ハンドル装置、即ちキャビネットの内部に内側タンクを収容した形態のものにおいて、キャビネットの前板(外側壁部)に大きな開口を設けて、そこに上記挿通孔を備えた調整金具を取り付け、調整金具の取付位置を調節(変更)することで、挿通孔の位置を駆動軸の位置に位置合せすることが行われていた。
【0007】
ところが、施工時においてその位置合せが十分に行われないことがあり、この場合、挿通孔を挿通した状態の駆動軸が挿通孔の内面に接触したり引掛ったりしてしまい、そのような状態の下では使用者が洗浄ハンドルを回動操作するときには接触等による抵抗に打ち勝ってこれを回動操作することができたとしても、その後使用者が洗浄ハンドルから手を離したときに洗浄ハンドルが元の位置まで戻らず、排水弁が閉弁し切らないでタンク内の洗浄水が出っ放しになってしまうといった不具合が生ずる。
【0008】
尚本発明に対する先行技術として、下記特許文献2には外側タンクに回動可能に取り付けられる洗浄ハンドル側のハンドル軸(駆動軸)と、内側タンクに回動可能に取り付けられる作用レバー側の作動軸(従動軸)とを分離してハンドル軸に屈曲形状の当接部を、作動軸に同じく屈曲形状をなす被当接部を設け、洗浄ハンドルの回動操作によりそれら当接部と被当接部との当接作用で作用レバーを回動させるようになした点が開示されているが、このものは当接部と被当接部とがそれぞれ何れも単一である点で本発明とは異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4055124号公報
【特許文献2】実開平7−20371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上のような事情を背景とし、施工のばらつきがあった場合においても施工のばらつきを良好に吸収し得て、従来のように外側壁部の挿通孔と駆動軸との面倒な位置合せ作業を不要化でき、なおかつ洗浄ハンドルの円滑な回動運動を確保し得て、回動操作した洗浄ハンドルが元に戻らないことによる止水不良の問題を解決でき、また洗浄ハンドルに加えられた操作力を確実に作用レバー側の従動軸に伝達し得て、作用レバーの回動による排水弁の開弁動作を良好になし得る洗浄ハンドル装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
而して請求項1のものは、(イ)便器の洗浄水を内部に貯えた内側タンクに対して外側に位置する外側壁部の外面に回動操作可能に設けられた洗浄ハンドルと、(ロ)該内側タンクの内部を延びて排水弁に連繋された作用レバーと、を有し、前記洗浄ハンドルの回動操作により該作用レバーを回動させて該排水弁を開弁動作させ、洗浄水を排出させる洗浄ハンドル装置において、前記外側壁部に回動可能に取り付けられる、前記洗浄ハンドル側の駆動軸と、前記内側タンクに回動可能に取り付けられる、前記作用レバー側の従動軸とを分離して設け、該洗浄ハンドル側の駆動軸には軸線周りに該駆動軸と一体回動する当接部を、前記作用レバー側の従動軸には軸線周りに該従動軸と一体回動する、前記当接部を前記洗浄ハンドルの回動方向に当接させる被当接部をそれぞれ設けて、前記洗浄ハンドルの回動時にそれら当接部と被当接部との当接作用で前記駆動軸及び従動軸を介し前記作用レバーを回動させるようになし、且つ前記当接部と被当接部との少なくとも一方を、対応する前記駆動軸又は従動軸の軸線周りの複数個所に設けてあることを特徴とする。
【0012】
請求項2のものは、請求項1において、前記当接部と被当接部とのそれぞれが、対応する前記駆動軸又は従動軸の軸線周りの複数個所に設けてあることを特徴とする。
【0013】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記当接部と被当接部との一方が、対応する前記駆動軸又は前記従動軸の一方から軸線と交差する向きに延出した棒状部であり、他方が該棒状部に対して交差する向きに対応する該駆動軸又は従動軸の他方から突き出した突出部であることを特徴とする。
【0014】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記洗浄ハンドル側の駆動軸,前記作用レバー側の従動軸の設置状態において、前記当接部と被当接部との間の隙間を全体的に若しくは部分的に埋める隙間埋め部材が設けてあることを特徴とする。
【0015】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記洗浄ハンドルは一方向に回動操作することで大洗浄を、他方向に回動操作することで小洗浄を行うものであることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0016】
以上のように本発明は、外側壁部に回動可能に取り付けられる、洗浄ハンドル側の駆動軸と、内側タンクに回動可能に取り付けられる、作用レバー側の従動軸とを分離して設けるとともに、洗浄ハンドル側の駆動軸には軸線周りに駆動軸と一体回動する当接部を、作用レバー側の従動軸には軸線周りに従動軸と一体回動する被当接部をそれぞれ設け、洗浄ハンドルの回動時にそれら当接部と被当接部との当接作用で駆動軸及び従動軸を介し作用レバーを回動させるようになし、且つ当接部と被当接部との少なくとも一方を、対応する駆動軸又は従動軸の軸線周りの複数個所に設けたものである。
【0017】
本発明によれば、従来のように内側タンクから延び出した駆動軸を外側壁部の挿通孔に通す必要がないため、挿通孔と駆動軸との面倒な位置合せ作業を不要化でき、施工を簡単化することができる。
【0018】
一方で本発明では、施工誤差により洗浄ハンドル側の駆動軸と作用レバー側の従動軸の軸位置がずれていた場合であっても、洗浄ハンドルを回動操作すると、その回動の途中で駆動軸の当接部を従動軸の被当接部に当接させて従動軸を軸線周りに回動させることができ、施工誤差を吸収して洗浄ハンドルに加えられた操作力を確実に作用レバーに伝達し得、内側タンク内の洗浄水の排出即ち便器洗浄を確実に行わせることができる。
【0019】
また従来のように駆動軸が挿通孔の内面に接触したり引掛ったりして抵抗を生じ、その抵抗により回動操作した洗浄ハンドルが元の位置に戻らない戻り不良の問題を解決でき、確実に洗浄ハンドルを元の位置へと戻すことができる。
これにより、開弁動作した排水弁を確実に閉弁動作させることができ、止水不良による水の出っ放しの問題を解消することができる。
【0020】
本発明は、上記当接部と被当接部との少なくとも一方を、対応する駆動軸又は従動軸の軸線周りの複数個所に設けてあることを特徴としている。
例えば当接部を複数とし、そしてこれを180°隔たった2個所に設けておけば(被当接部を1個所として)、洗浄ハンドルを回動操作したとき、少なくとも180°以内の回動で当接部を被当接部に当接させることができ、引続く洗浄ハンドルの回動操作に基づいて従動軸を回動させ、便器洗浄を行わせることができる。
この点は当接部を1個所とし、被当接部を2個所とした場合においても同様である。
【0021】
更に当接部と被当接部との少なくとも一方を3個所以上の複数に設けておけば、洗浄ハンドルを回動操作したときにより少ない回動角度のもとで当接部を被当接部に当接させ得、即ち回動方向において当接部と被当接部との間の隙間、つまり遊びをより少なくし得て、便器洗浄動作の応答性を高めることができる。
【0022】
また請求項5に従って、洗浄ハンドルを一方向に回動操作することで大流量で洗浄水を排出する大洗浄を、他方向に回動操作することで小流量で洗浄水を排出する小洗浄を行うものとなしておいた場合、大洗浄,小洗浄の何れの回動操作の際にも上記効果を得ることができる。
ここで複数個所に設けられる当接部,被当接部については軸線周りに即ち回動方向に等間隔で設けておくことができる。
【0023】
本発明では、上記当接部と被当接部とのそれぞれを、対応する駆動軸又は従動軸の軸線周りの複数個所に設けておくことができる(請求項2)。
このようにすれば、洗浄ハンドルの回動操作に対する従動軸の回動、特に施工誤差を生じていたときの従動軸の応答性即ち便器洗浄動作の応答性をより一層高めることができる。
【0024】
また請求項2においても、洗浄ハンドルを一方の回動操作で大洗浄を、他方の回動操作で小洗浄を行うようになしておいた場合、大洗浄時,小洗浄時の何れにおいても洗浄ハンドルの回動操作に対する便器洗浄動作の応答性を高めることができる。
この請求項2において、当接部及び被当接部の何れをも軸線周りに等間隔に設けておくことができる。
【0025】
本発明では、当接部と被当接部との一方を、対応する駆動軸又は従動軸の一方からその軸線と交差する向きに延出した棒状部となし、他方をその棒状部に対して交差する向きに駆動軸又は従動軸の他方から突き出した突出部となしておくことができる。
【0026】
ここで突出部もまた棒状に形成しておくことができる。
また突出部は、作用レバー側の従動軸又は洗浄ハンドル側の駆動軸から軸直角方向に離れた部位で軸方向に突き出した形状となしておくこともできるし、或いは軸から且つ軸線と交差する向きに延出した形状で設けておくこともできる。
【0027】
この請求項3においては、請求項2に従って当接部と被当接部とのそれぞれを軸線周りの複数個所に設ける場合において、それら当接部と被当接部とのそれぞれを、軸線周りに90°ごと隔たった4個所に設けておくことが望ましい。
【0028】
本発明ではまた、洗浄ハンドル側の駆動軸,作用レバー側の従動軸の設置状態において、当接部と被当接部との間の隙間を全体的に若しくは部分的に埋める隙間埋め部材を設けておくことができる(請求項4)。
このようにすれば、洗浄ハンドルの回動方向の遊びを無くし又は少なくし得て、洗浄ハンドルの回動操作に対する便器洗浄動作の応答性をより一層高めることができる。
【0029】
また本発明では、請求項1〜4の何れにおいても洗浄ハンドルを、一方向に回動操作することで大洗浄を、他方向に回動操作することで小洗浄を行うものとなしておくことができる(請求項5)。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の適用対象の一例を洗浄ハンドル装置とともに示した図である。
【図2】同実施形態の洗浄ハンドル装置の要部を各部品に分解して示す斜視図である。
【図3】同実施形態の洗浄ハンドル装置の要部断面図である。
【図4】同実施形態の洗浄ハンドル装置の正面図である。
【図5】図3のV-V断面図である。
【図6】同実施形態の洗浄ハンドル装置の作用説明図である。
【図7】同実施形態の洗浄ハンドル装置の図6とは異なる作用説明図である。
【図8】同実施形態の洗浄ハンドル装置の利点の説明図である。
【図9】本発明の他の実施形態の洗浄ハンドル装置を示した図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態の洗浄ハンドル装置の要部を示した図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態の洗浄ハンドル装置の要部を示した図である。
【図12】本発明の更に他の実施形態の洗浄ハンドル装置の要部を示した図である。
【図13】本発明の利点説明のための比較例図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10はトイレ室の後壁に接して設置されたキャビネットで、このキャビネット10の前面に接するようにして便器12が設置されている。
14はキャビネット10における一対の側板で、16は前板(外側壁部)、18は天板で、この天板18に手洗鉢20が取り付けられ、更に手洗鉢20に、鉢部に向けて手洗水を吐水する吐水管22が起立状態で設けられている。
【0032】
キャビネット10の内部には、内側タンク(ここでは樹脂製)24が収容されており、また前板16の前面(外面)には化粧プレート26が取り付けられていて、その化粧プレート26の前面(外面)に、本実施形態の洗浄ハンドル装置28における、レバー部30を備えた洗浄ハンドル32が回動操作可能に設けられている。
【0033】
この実施形態では、洗浄ハンドル32を反時計方向に回動操作すると大洗浄が行われ、また時計方向に回動操作すると小洗浄が行われる。
ここで大洗浄時には内側タンク24内部に貯えられた便器の洗浄水が大流量で排出され、また小洗浄時には内側タンク24内の洗浄水が小流量で排出される。
尚、洗浄ハンドル32は大洗浄時,小洗浄時何れもストッパによってその回動端が規制される。
【0034】
図2〜図4に、洗浄ハンドル装置28の構成が具体的に示してある。
図4において、34は内側タンク24内部を図1中左右方向に延びる作用レバーで、レバー軸36と、その先端で直角且つ下向きにL字状に屈曲したレバー部としてのアーム38を備えている。
そしてそのアーム38の先端部が、可撓性を有する連繋部材としての鎖40を介して、内側タンク24の底部に配置されたフロート弁,フラッパ弁等から成る排水弁と連繋されている。
作用レバー34は、アーム38が下向きをなす図4の状態からレバー軸36の軸線周りに回動することで、鎖40を介して排水弁を上向きに引張り、これを開弁動作させる。
【0035】
図3に示しているように、レバー軸36は基端部に小径の回転軸部42を備えており、この回転軸部42が、筒状の軸受部材44を介して内側タンク24内部に配設されたギヤボックス46により回転可能に支持されている。
【0036】
回転軸部42は、軸受部材44から図中右側に突出しており、その突出部にかさ歯車48が一体回転状態に固定されている。
尚50はねじりコイルばねから成る復帰ばねで、この復帰ばね50は、作用レバー34が図4に示す中立位置から回動したとき弾性力を作用レバー34に作用させて、作用レバー34を図4に示す中立位置に復帰させる作用をなす。
【0037】
ギヤボックス46は、図3中右側に突出した固定部52を有しており、その固定部52が、内側タンク24の図中右側の壁部に形成された切欠部54から突出している。
そしてその突出した固定部52が、固定部材56にて内側タンク24に固定されている。
【0038】
ギヤボックス46はまた、図3中下側(キャビネット10の前板16側)に突出した別の固定部58を有している。
固定部58は全体として筒状をなしていて内側に嵌合孔60を有し、また外面には嵌込溝62を有していて、その嵌込溝62において内側タンク24の切欠部64に嵌め込まれ固定されている。
ここで切欠部64は内側タンク24の上端から下向きに延びる形態で設けられており、嵌込溝62は、その上端から切欠部64に下向きに嵌め込まれている。
【0039】
尚、上記の切欠部54もまた内側タンク24の上端から下向きに延びる形態で設けられており、突出形状の固定部52は、その切欠部54に対しその上端から下向きに挿入され、その挿入下端で固定部材56にて固定されている。
【0040】
66は、上記のかさ歯車48に対し軸線を直交させる状態で噛み合わされたかさ歯車で、このかさ歯車66は嵌合軸部68を一体に備えており、その嵌合軸部68を上記の嵌合孔60に軸受部材70を介し回転可能に嵌合させる状態に、ギヤボックス46に取り付けられ保持されている。
このかさ歯車66は、全体として筒状をなしていて、その中心部に角形状(ここでは4角形状)の嵌合孔72を有している。
【0041】
74は、洗浄ハンドル32の回動によってこれに従動し回動せしめられる従動軸で、断面形状が嵌合孔72に対応した角形状(4角形状)をなしており、かかる従動軸74が、かさ歯車66の上記の嵌合孔72に嵌合せしめられ、かさ歯車66と一体回転する状態に、かさ歯車66を介しギヤボックス46に組み付けられている。
【0042】
この従動軸74の図3中下端(図2中左端)には、平面4角形状の平板部75が一体に構成されている。
そしてその平板部75の4隅に、軸方向(厳密には従動軸74の軸線と平行方向)に突出する棒状の突出部からなる被当接部76-1,76-2,76-3,76-4が平板部75に一体に構成されている。
即ちこれら4個所の被当接部76-1〜76-4が、従動軸74の軸線周りに90°ごとの等間隔で4個所に設けられている。
ここで4個所の被当接部76-1〜76-4は、従動軸66の軸線からその直角方向の等距離位置に配置されている。
【0043】
図3において、78は洗浄ハンドル32と一体回転する、洗浄ハンドル32側の駆動軸で、この駆動軸78が、キャビネット10における前板16を内外に貫通する状態で、軸受部材80を介し前板16に回動可能に取り付けられ、保持されている。
【0044】
ここで駆動軸78は、軸受部材80の嵌合孔82に回転可能に嵌合されており、また軸受部材80は、図2にも示しているように大径のフランジ状の固定部84と、これよりも小径をなす嵌入部86とを有しており、その嵌入部86を前板16の貫通の開口部88に嵌入させた状態で、固定部84が図示を省略する締結具にて前板16に固定されている。
【0045】
駆動軸78は、軸受部材80から図3中下側に突出させられており、その突出部が、洗浄ハンドル32に対する嵌込部90とされている。
この嵌込部90は、断面形状が角形状(ここでは4角形状)とされており、この嵌込部90が、洗浄ハンドル32に設けられた対応する角形状(4角形状)の嵌込孔92に嵌め込まれ、以て駆動軸78が洗浄ハンドル32と一体回動するようになしてある。
尚、軸受部材80は化粧プレート26の開口部102(図2参照)を挿通して化粧プレート26の前面側に突出しており、そしてその化粧プレート26の前面側において、洗浄ハンドル32が駆動軸78に連結されている。
【0046】
洗浄ハンドル32は樹脂製のもので弾性爪94が一体に成形されており、この弾性爪94が、駆動軸78の部分球状をなす係合部96に対して弾性的に係合することで、洗浄ハンドル32が駆動軸78から抜け防止されている。
尚98は、駆動軸78と洗浄ハンドル32との連結部及び弾性爪94,係合部96等を隠蔽する化粧キャップで、洗浄ハンドル32の前面側から洗浄ハンドル32に嵌め込まれ、組み付けられている。
【0047】
駆動軸78には、図3中上端(図2中右端)に、合計4本の棒状部から成る当接部100-1,100-2,100-3,100-4が駆動軸78から放射状に延びる形態で、駆動軸78に一体に構成されている。
これら棒状部から成る当接部100-1〜100-4は、駆動軸78の軸線周りに90°ごと隔たった等間隔で4本設けられており(4個所に設けられており)、それら当接部100-1〜100-4が全体として十字状をなすように配置されている。
これら4本の当接部100-1〜100-4は、駆動軸78及び従動軸74の組付時に同じく4個所の被当接部76-1〜76-4の間に位置せしめられる。
【0048】
詳しくは、例えば図6に示すように当接部100-1が回転方向において被当接部76-1と76-2との間の位置に、また当接部100-2が同じく回転方向において被当接部76-2と76-3との間の位置に、また当接部100-3が被当接部76-3と76-4との間の位置に、更に当接部100-4が被当接部76-4と76-1との間の位置にそれぞれ位置せしめられる。
【0049】
尚、駆動軸78には図2に示しているように円板状の回動部104が一体回動状態に設けられており、そしてその回動部104の面上に、図中左右一対の係合部106が左右方向に突き出す状態で設けられている。
【0050】
一方上記の軸受部材80には、図5に示しているように凹部108が設けられていて、凹部108の内部に、引張りコイルスプリングから成る復帰ばね110が収容されている。そしてこの復帰ばね110の両端に、一対の係合部材112が取り付けられている。
【0051】
これら係合部材112は、軸方向に突出した係合部114を備えており、それら係合部114が駆動軸78側の上記の係合部106に対し上向きに係合するようになしてある。
尚図5において、116は係合部材112の図中上向き方向の回動端を規定するストッパである。
【0052】
ここで復帰ばね110は、図1に示す洗浄ハンドル32を反時計方向に回動操作して大洗浄を行い、或いは時計方向に回動操作して小洗浄を行ったとき、洗浄ハンドル32から手を離したときに、洗浄ハンドル32を弾性力で自動的にもとの中立位置に復帰させる働きをなす。
【0053】
詳しくは、洗浄ハンドル32を図1において反時計方向に回動操作すると、図5(A)中左側の係合部114と駆動軸78側の図2中左側の係合部106との係合作用で、復帰ばね110が引き伸ばされ弾性力を蓄える。
従って洗浄ハンドル32に加えていた操作力を除くと、その復帰ばね110に蓄えられた弾性力によって、洗浄ハンドル32がもとの位置へと復帰せしめられる。
【0054】
逆に洗浄ハンドル32を時計方向に回動操作したときには、図5中右側の係合部114と、図2中右側の係合部106との係合作用で、係合部材112の回動を伴って復帰ばね110が引き伸ばされ弾性力を蓄える。
そして洗浄ハンドル32に加えていた操作力を除くと、蓄えられた弾性力によって洗浄ハンドル32が元の中立位置へと自動的に戻される。
尚一対の係合部材112の図5中上向きの回動運動は、ストッパ116への当接によって規制される。
【0055】
本実施形態では、洗浄ハンドル装置28の組付けに際して、具体的には洗浄ハンドル32側の駆動軸78即ちキャビンネット10における前板16側の駆動軸78、及び作用レバー34側の従動軸74即ち内側タンク24側の従動軸74をそれぞれ組み付けるにあたって、それら駆動軸78,従動軸74の位置(軸直角方向位置、更には軸方向位置)を正確に位置合せする必要はなく、それぞれを単独に前板16,内側タンク24に取り付けるだけでよく、これにより駆動軸78と従動軸74とを連繋して回動運動させることができる。
【0056】
図6及び図7はその際の作用を表している。
図6は、駆動軸78及び従動軸74が軸直角方向に誤差無く取り付けられたときの状態を表しており、このとき駆動軸78側の4個所の当接部100-1〜100-4は、従動軸74側の4個所の被当接部76-1〜76-4の間の丁度中央に位置した状態となる。
【0057】
詳しくは、例えば当接部100-1が両隣の被当接部76-1と76-2との間の丁度中央に位置し、また当接部100-2が同じく両隣の被当接部76-2と76-3との間の丁度中央に位置し、更に当接部100-3が両隣の被当接部76-3と76-4との丁度中央に位置し、更に当接部100-4が両隣の被当接部76-4と76-1との間の丁度中央に位置した状態となる。
【0058】
従って、この状態で洗浄ハンドル32を図1において反時計方向に回動操作したとき即ち大洗浄操作したとき、4つの当接部100-1,100-2,100-3,100-4が、図6(B)に示しているようにそれぞれ同時に被当接部76-1,76-2,76-3,76-4に当接し、引続く洗浄ハンドル32の回動操作とともに駆動軸78から従動軸74に回動運動が伝達されて、従動軸74が洗浄ハンドル32と一体的に同じ方向に回動運動する。
【0059】
そしてその回動運動が、図3のかさ歯車66,48の噛合いに基づいて作用レバー34に伝えられ、ここにおいて作用レバー34が、図4に示す中立位置から回動運動して内側タンク24底部の排水弁を引張り、これを開弁動作させる。
これにより、内側タンク24内に貯えられていた洗浄水が便器に向けて勢い良く排出され、便器の大洗浄動作が行われる。
【0060】
一方、洗浄ハンドル32を図1において時計方向に回動操作即ち小洗浄操作したときには、図6(C)に示しているように当接部100-1が被当接部76-2に,当接部100-2が被当接部76-3に、当接部100-3が被当接部76-4に、当接部100-4が被当接部76-1に対してそれぞれ同時に当接し、その後の引続く洗浄ハンドル32の回動操作によって、作用レバー34が上記とは逆方向に回動運動し、排水弁を引張って開弁させ、小洗浄動作を行わせる。
【0061】
一方、図7は施工誤差等によって駆動軸78と従動軸74とがそれぞれ軸線が不一致の状態で取り付けられた状態、即ち従動軸74の軸線に対して、駆動軸78の軸線が相対的に偏った位置に取り付けられた状態を表している。
【0062】
この場合、例えば当接部100-1が両隣の被当接部76-1,76-2のうちの一方の被当接部76-1側に偏って位置し、また当接部100-2が両隣の被当接部76-2,76-3のうちの一方の被当接部76-2側に偏って位置し、更に当接部100-3が両隣の被当接部76-3,76-4のうちの一方の被当接部76-4の側に偏って位置し、更に当接部100-4が両隣の被当接部76-4,76-1のうちの一方の被当接部76-1側に偏って位置した状態となる。
【0063】
従ってこの状態で洗浄ハンドル32を図1において反時計方向に回動操作すると、図7(B)に示しているように当接部100-1,100-3,100-4が対応する被当接部76-1,76-3,76-4に当接する前に、当接部100-2がいちはやく被当接部76-2に当接し、その後の引続く洗浄ハンドル32の回動操作に伴って、駆動軸78から従動軸74へと回動運動を伝達し、更に従動軸74から作用レバー34へと回動運動を伝達せしめる。
【0064】
一方洗浄ハンドル32を図1において時計方向に回動操作すると、図7(C)に示しているように当接部100-3がいちはやく被当接部76-4に当接し、その後の引続く洗浄ハンドル32の回動操作に伴って、駆動軸78から従動軸74へと回動運動を伝達する。
以上のように、本実施形態では従動軸74と駆動軸78とが施工誤差無く正確に取り付けられている場合よりは、むしろそれらの位置に施工誤差があった方が、洗浄ハンドル32の回動操作に対する便器洗浄動作の応答性がより高まる特長を有している。
【0065】
以上は駆動軸78と従動軸74との位置誤差の一例を示したものであるが、駆動軸78と従動軸74とが施工時の位置誤差によって他の相対位置に位置した場合には、上記当接部100-1或いは当接部100-3以外の他の当接部が大洗浄時,小洗浄時においていちはやく対応する他の被当接部に当接し、上記と同様にして駆動軸78から従動軸74へと回動運動を伝達する。
【0066】
本実施形態によれば、従来のように駆動軸78を挿通させる前板16側の挿通孔を駆動軸78に対して位置合せする作業を行うことなく、駆動軸78の取付けを行うことができる利点を有する。
【0067】
従来にあっては、図13の比較例図に示しているように、前板16に4角形状の貫通の大きな開口部200を設けて、その開口部200において、調整金具204の一方の金具204Aを前板16の前側に、他方の金具204Bを前板16の裏側に配置して、それらをねじ206にて締結し、一対の金具204A,204Bにて前板16を前後から挟持する状態に調整金具204を取り付けるとともに、調整金具204を開口部200において上下方向に位置移動させ、或いは金具204Aを長穴208において相対的に左右方向に位置移動させることで、金具204Aに設けた駆動軸212挿通のための挿通孔210の位置を、駆動軸212の位置に合せて調整するといったことを行っているが、本実施形態によればこのような調整金具204を用いた挿通孔210の位置調整を行うことを不要化できる。
【0068】
また本実施形態によれば、挿通孔210の位置調整のために前板16にこのような大きな4角形状の開口部200を設けておくといったことは必要でなくなるため、開口部200を隠蔽するための化粧プレート26を敢えて用いなくても、図9に示しているように洗浄ハンドル32を駆動軸78に連結させる状態に、前板16の前面に取り付けるといったことも可能となる(図3の軸受部材86の前板16からの突出量を小さくする等して)。
【0069】
本実施形態では、駆動軸78と従動軸74とのそれぞれに当接部100-1〜100-4,被当接部76-1〜76-4を回動方向に等間隔で4個所に設けていることから、施工誤差等の吸収可能な範囲を広く確保できる利点を有する。
図8はその理由を具体的に表している。
【0070】
例えば図8(B)に示しているように駆動軸78から放射状に延びる当接部100-1,100-2,100-3を3本即ち3個所に設け、また対応する被当接部76-1,76-2,76-3を回動方向に3個所に設けた場合、駆動軸78の位置が図8(B)(II)において左右方向に移動すると、これとともに例えば当接部100-1と被当接部76-2との上下方向の間隔も自動的に狭まってしまい、施工誤差の吸収可能な範囲が狭くなってしまう。
【0071】
しかるに図8(A)に示しているように当接部100-1,100-2,100-3,100-4及び対応する被当接部76-1,76-2,76-3,76-4をそれぞれ4個所に設けておいた場合、駆動軸78が図8(A)(II)において左右方向に位置移動しても、各当接部と被当接部との上下方向の間隔は一定に維持され、施工誤差の吸収可能な範囲を広く確保することが可能である。
また施工誤差の吸収可能な範囲を同じとする場合には、従動軸74と駆動軸78との連係部分の形状を小型化でき、ひいては洗浄ハンドル装置28をより小型化することができる。
【0072】
図10は本発明の他の実施形態を示している。
この例は、駆動軸78及び従動軸74の設置状態の下で、当接部100に隙間埋め部材118を取り付けるようになした例である。
具体的には、ここでは当接部100-2と100-4とに隙間埋め部材118を取り付け、そのことによって当接部100-2と被当接部76-2との間の隙間、更に当接部100-4と被当接部76-1との間の隙間を部分的に埋めるようになしている。
【0073】
このようになした場合、洗浄ハンドル32を大洗浄側,小洗浄側に回動操作したときに、当接部100-2から被当接部76-2への回動運動の伝達、或いは洗浄ハンドル32を小洗浄側に回動操作したときの当接部100-4から被当接部76-1への回動運動の伝達を速やかに行うことができ、洗浄ハンドル32の回動操作に対する便器洗浄動作の応答性を上記の実施形態に比べて高くすることが可能である。
【0074】
尚ここでは当接部100-2と100-4とのそれぞれに隙間埋め部材118を取り付けているが、当接部100-1〜100-4の全てに、かかる隙間埋め部材118を取り付けるようになしても良いし、或いは隙間埋め部材118を被当接部76-1〜76-4の何れか又は全てに取り付けるようになすこと、更には図10(A)では隙間埋め部材118が当接部と被当接部との間の隙間を部分的に埋めるものとなしてあるが、その隙間を全体的に埋めるような形態で隙間埋め部材118を取り付けるといったことも可能である。
【0075】
本発明においては、駆動軸78側の当接部,従動軸74側の被当接部を上例以外の他の様々な形態で設けることが可能である。
図11,図12はその具体的な一例を示している。
図11(A)の例は、従動軸74に上記のような平板部75を設けるのに代えて、従動軸74から90°間隔で4本のアーム120を放射状に延び出させ、そしてそれぞれの先端に被当接部76-1〜76-4を屈曲形状で且つ軸方向に延びる形態に設けた例である。
【0076】
また図11(B)の例は、駆動軸78の先端に大径の円板状の板状部122を設けて、その板状部122の回動方向の4個所に穴部124-1〜124-4を設け、穴部124-1〜124-4のそれぞれに、対応する被当接部76-1〜76-4を挿入させ、それら穴部124-1〜124-4の回動方向の一方の端部を、洗浄ハンドル32の大洗浄時の当接部124-1A〜124-4Aとなし、また他方の端部を小洗浄時における当接部124-1B〜124-4Bとなした例である。
尚、穴部124-1〜124-4については予想される誤差を見込んで適宜にその寸法や形状を定めておくことができる。
【0077】
更に図12の例は、駆動軸78から棒状をなす当接部100-1〜100-4を、軸直角方向外方に進むにつれて従動軸74側に接近するように斜めに延び出させる一方、従動軸74側からも同じく棒状部を駆動軸78側に斜めに延び出させて、それらを被当接部76-1,76-2,76-3,76-4となし、それら当接部100-1〜100-4と被当接部76-1〜76-4とを回動方向に当接させるようになした例である。
その他本発明では当接部,被当接部を上例以外の他の様々な形態で構成することが可能である。
【0078】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれらはあくまで一例示である。
例えば上例では従動軸74を作用レバー34のレバー軸36と独立して設けているが、作用レバー34の配置の向き如何によっては、かかる作用レバー34のレバー軸36に従動軸74を一体に構成しておくこといったことも可能であるし、また上例では作用レバー34がレバー軸36の軸線周りに回動運動するようになしてあるが、場合によって作用レバー34をレバー軸36の軸線と直交する軸の軸線周りに上下回動可能とし、その回動に基づいて排水弁を引き上げて開弁動作させるように構成しておくといったことも可能である。
【0079】
更に本発明では、場合によって駆動軸78,従動軸74の一方については当接部又は被当接部を1個所だけに設けておくといったことも可能であるし、更に図2に示す駆動軸78側の棒状の当接部を従動軸74側に被当接部として設け、また従動軸74側の突出形状の被当接部を駆動軸78側の当接部として設けておくといったことも可能である。
その他本発明は、内側タンクとこれを包み込む外側タンクとの2重タンク構造をなすタンクの洗浄ハンドル装置に対して適用することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0080】
12 便器
16 前板(外側壁部)
24 内側タンク
28 洗浄ハンドル装置
32 洗浄ハンドル
34 作用レバー
74 従動軸
76,76-1,76-2,76-3,76-4 被当接部
78 駆動軸
100,100-1,100-2,100-3,100−4,124-1A,124-2A,124-3A,124-4A,124-1B,124-2B,124-3B,124-4B 当接部
118 隙間埋め部材
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗浄ハンドルの回動操作によってタンク内に貯えた便器の洗浄水を排出させ、便器洗浄を行わせる洗浄ハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タンク内に貯えた便器の洗浄水を、洗浄ハンドルの回動操作により排出し、便器洗浄を行わせる洗浄ハンドル装置の一種として、便器の洗浄水を貯えた内側タンクを包むように設けた外側タンクの壁部(外側壁部)の外面に洗浄ハンドルを回動可能に設ける一方、内側タンク内部を延びるように作用レバーを設けて、その作用レバーに排水弁を連繋し、洗浄ハンドルの回動操作により作用レバーを回動させて排水弁を開弁動作させ、洗浄水を便器に向けて排出させるようになした洗浄ハンドル装置が公知である。
【0003】
また同種の洗浄ハンドル装置として、キャビネットの内部に内側タンクを収容し、内側タンクの外側に位置するキャビネットの前板(外側壁部)の前面(外面)に洗浄ハンドルを設け、キャビネットの外側でハンドル操作するようになしたものも知られている。
【0004】
この種の洗浄ハンドル装置では、従来、洗浄ハンドルに加えられた操作力を作用レバーに伝えるための駆動軸を内側タンクに回動可能に取り付けた上で、これを内側タンク外に延出させて外側壁部に設けた貫通の挿通孔に通し、そして外側壁部の外面において洗浄ハンドルを駆動軸に一体回転状態に固定し連結するようにしていた。
例えば下記特許文献1に、この種の洗浄ハンドル装置の一例が開示されている。
【0005】
ところが内側タンクの壁部と外側壁部との間には、通常かなりの間隔があるために、外側壁部の挿通孔の位置と内側タンクから延び出した駆動軸の位置との位置合せを正確に行うことが難しく、特に施工誤差等により駆動軸が内側タンクから斜めに延びていたりすると、挿通孔の位置が駆動軸の位置からずれてしまったりする。
【0006】
そこで例えば後者の洗浄ハンドル装置、即ちキャビネットの内部に内側タンクを収容した形態のものにおいて、キャビネットの前板(外側壁部)に大きな開口を設けて、そこに上記挿通孔を備えた調整金具を取り付け、調整金具の取付位置を調節(変更)することで、挿通孔の位置を駆動軸の位置に位置合せすることが行われていた。
【0007】
ところが、施工時においてその位置合せが十分に行われないことがあり、この場合、挿通孔を挿通した状態の駆動軸が挿通孔の内面に接触したり引掛ったりしてしまい、そのような状態の下では使用者が洗浄ハンドルを回動操作するときには接触等による抵抗に打ち勝ってこれを回動操作することができたとしても、その後使用者が洗浄ハンドルから手を離したときに洗浄ハンドルが元の位置まで戻らず、排水弁が閉弁し切らないでタンク内の洗浄水が出っ放しになってしまうといった不具合が生ずる。
【0008】
尚本発明に対する先行技術として、下記特許文献2には外側タンクに回動可能に取り付けられる洗浄ハンドル側のハンドル軸(駆動軸)と、内側タンクに回動可能に取り付けられる作用レバー側の作動軸(従動軸)とを分離してハンドル軸に屈曲形状の当接部を、作動軸に同じく屈曲形状をなす被当接部を設け、洗浄ハンドルの回動操作によりそれら当接部と被当接部との当接作用で作用レバーを回動させるようになした点が開示されているが、このものは当接部と被当接部とがそれぞれ何れも単一である点で本発明とは異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4055124号公報
【特許文献2】実開平7−20371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上のような事情を背景とし、施工のばらつきがあった場合においても施工のばらつきを良好に吸収し得て、従来のように外側壁部の挿通孔と駆動軸との面倒な位置合せ作業を不要化でき、なおかつ洗浄ハンドルの円滑な回動運動を確保し得て、回動操作した洗浄ハンドルが元に戻らないことによる止水不良の問題を解決でき、また洗浄ハンドルに加えられた操作力を確実に作用レバー側の従動軸に伝達し得て、作用レバーの回動による排水弁の開弁動作を良好になし得る洗浄ハンドル装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
而して請求項1のものは、(イ)便器の洗浄水を内部に貯えた内側タンクに対して外側に位置する外側壁部の外面に回動操作可能に設けられた洗浄ハンドルと、(ロ)該内側タンクの内部を延びて排水弁に連繋された作用レバーと、を有し、前記洗浄ハンドルの回動操作により該作用レバーを回動させて該排水弁を開弁動作させ、洗浄水を排出させる洗浄ハンドル装置において、前記外側壁部に回動可能に取り付けられる、前記洗浄ハンドル側の駆動軸と、前記内側タンクに回動可能に取り付けられる、前記作用レバー側の従動軸とを分離して設け、該洗浄ハンドル側の駆動軸には軸線周りに該駆動軸と一体回動する当接部を、前記作用レバー側の従動軸には軸線周りに該従動軸と一体回動する、前記当接部を前記洗浄ハンドルの回動方向に当接させる被当接部をそれぞれ設けて、前記洗浄ハンドルの回動時にそれら当接部と被当接部との当接作用で前記駆動軸及び従動軸を介し前記作用レバーを回動させるようになし、且つ前記当接部と被当接部との少なくとも一方を、対応する前記駆動軸又は従動軸の軸線周りの複数個所に設けてあることを特徴とする。
【0012】
請求項2のものは、請求項1において、前記当接部と被当接部とのそれぞれが、対応する前記駆動軸又は従動軸の軸線周りの複数個所に設けてあることを特徴とする。
【0013】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記当接部と被当接部との一方が、対応する前記駆動軸又は前記従動軸の一方から軸線と交差する向きに延出した棒状部であり、他方が該棒状部に対して交差する向きに対応する該駆動軸又は従動軸の他方から突き出した突出部であることを特徴とする。
【0014】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記洗浄ハンドル側の駆動軸,前記作用レバー側の従動軸の設置状態において、前記当接部と被当接部との間の隙間を全体的に若しくは部分的に埋める隙間埋め部材が設けてあることを特徴とする。
【0015】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記洗浄ハンドルは一方向に回動操作することで大洗浄を、他方向に回動操作することで小洗浄を行うものであることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0016】
以上のように本発明は、外側壁部に回動可能に取り付けられる、洗浄ハンドル側の駆動軸と、内側タンクに回動可能に取り付けられる、作用レバー側の従動軸とを分離して設けるとともに、洗浄ハンドル側の駆動軸には軸線周りに駆動軸と一体回動する当接部を、作用レバー側の従動軸には軸線周りに従動軸と一体回動する被当接部をそれぞれ設け、洗浄ハンドルの回動時にそれら当接部と被当接部との当接作用で駆動軸及び従動軸を介し作用レバーを回動させるようになし、且つ当接部と被当接部との少なくとも一方を、対応する駆動軸又は従動軸の軸線周りの複数個所に設けたものである。
【0017】
本発明によれば、従来のように内側タンクから延び出した駆動軸を外側壁部の挿通孔に通す必要がないため、挿通孔と駆動軸との面倒な位置合せ作業を不要化でき、施工を簡単化することができる。
【0018】
一方で本発明では、施工誤差により洗浄ハンドル側の駆動軸と作用レバー側の従動軸の軸位置がずれていた場合であっても、洗浄ハンドルを回動操作すると、その回動の途中で駆動軸の当接部を従動軸の被当接部に当接させて従動軸を軸線周りに回動させることができ、施工誤差を吸収して洗浄ハンドルに加えられた操作力を確実に作用レバーに伝達し得、内側タンク内の洗浄水の排出即ち便器洗浄を確実に行わせることができる。
【0019】
また従来のように駆動軸が挿通孔の内面に接触したり引掛ったりして抵抗を生じ、その抵抗により回動操作した洗浄ハンドルが元の位置に戻らない戻り不良の問題を解決でき、確実に洗浄ハンドルを元の位置へと戻すことができる。
これにより、開弁動作した排水弁を確実に閉弁動作させることができ、止水不良による水の出っ放しの問題を解消することができる。
【0020】
本発明は、上記当接部と被当接部との少なくとも一方を、対応する駆動軸又は従動軸の軸線周りの複数個所に設けてあることを特徴としている。
例えば当接部を複数とし、そしてこれを180°隔たった2個所に設けておけば(被当接部を1個所として)、洗浄ハンドルを回動操作したとき、少なくとも180°以内の回動で当接部を被当接部に当接させることができ、引続く洗浄ハンドルの回動操作に基づいて従動軸を回動させ、便器洗浄を行わせることができる。
この点は当接部を1個所とし、被当接部を2個所とした場合においても同様である。
【0021】
更に当接部と被当接部との少なくとも一方を3個所以上の複数に設けておけば、洗浄ハンドルを回動操作したときにより少ない回動角度のもとで当接部を被当接部に当接させ得、即ち回動方向において当接部と被当接部との間の隙間、つまり遊びをより少なくし得て、便器洗浄動作の応答性を高めることができる。
【0022】
また請求項5に従って、洗浄ハンドルを一方向に回動操作することで大流量で洗浄水を排出する大洗浄を、他方向に回動操作することで小流量で洗浄水を排出する小洗浄を行うものとなしておいた場合、大洗浄,小洗浄の何れの回動操作の際にも上記効果を得ることができる。
ここで複数個所に設けられる当接部,被当接部については軸線周りに即ち回動方向に等間隔で設けておくことができる。
【0023】
本発明では、上記当接部と被当接部とのそれぞれを、対応する駆動軸又は従動軸の軸線周りの複数個所に設けておくことができる(請求項2)。
このようにすれば、洗浄ハンドルの回動操作に対する従動軸の回動、特に施工誤差を生じていたときの従動軸の応答性即ち便器洗浄動作の応答性をより一層高めることができる。
【0024】
また請求項2においても、洗浄ハンドルを一方の回動操作で大洗浄を、他方の回動操作で小洗浄を行うようになしておいた場合、大洗浄時,小洗浄時の何れにおいても洗浄ハンドルの回動操作に対する便器洗浄動作の応答性を高めることができる。
この請求項2において、当接部及び被当接部の何れをも軸線周りに等間隔に設けておくことができる。
【0025】
本発明では、当接部と被当接部との一方を、対応する駆動軸又は従動軸の一方からその軸線と交差する向きに延出した棒状部となし、他方をその棒状部に対して交差する向きに駆動軸又は従動軸の他方から突き出した突出部となしておくことができる。
【0026】
ここで突出部もまた棒状に形成しておくことができる。
また突出部は、作用レバー側の従動軸又は洗浄ハンドル側の駆動軸から軸直角方向に離れた部位で軸方向に突き出した形状となしておくこともできるし、或いは軸から且つ軸線と交差する向きに延出した形状で設けておくこともできる。
【0027】
この請求項3においては、請求項2に従って当接部と被当接部とのそれぞれを軸線周りの複数個所に設ける場合において、それら当接部と被当接部とのそれぞれを、軸線周りに90°ごと隔たった4個所に設けておくことが望ましい。
【0028】
本発明ではまた、洗浄ハンドル側の駆動軸,作用レバー側の従動軸の設置状態において、当接部と被当接部との間の隙間を全体的に若しくは部分的に埋める隙間埋め部材を設けておくことができる(請求項4)。
このようにすれば、洗浄ハンドルの回動方向の遊びを無くし又は少なくし得て、洗浄ハンドルの回動操作に対する便器洗浄動作の応答性をより一層高めることができる。
【0029】
また本発明では、請求項1〜4の何れにおいても洗浄ハンドルを、一方向に回動操作することで大洗浄を、他方向に回動操作することで小洗浄を行うものとなしておくことができる(請求項5)。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の適用対象の一例を洗浄ハンドル装置とともに示した図である。
【図2】同実施形態の洗浄ハンドル装置の要部を各部品に分解して示す斜視図である。
【図3】同実施形態の洗浄ハンドル装置の要部断面図である。
【図4】同実施形態の洗浄ハンドル装置の正面図である。
【図5】図3のV-V断面図である。
【図6】同実施形態の洗浄ハンドル装置の作用説明図である。
【図7】同実施形態の洗浄ハンドル装置の図6とは異なる作用説明図である。
【図8】同実施形態の洗浄ハンドル装置の利点の説明図である。
【図9】本発明の他の実施形態の洗浄ハンドル装置を示した図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態の洗浄ハンドル装置の要部を示した図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態の洗浄ハンドル装置の要部を示した図である。
【図12】本発明の更に他の実施形態の洗浄ハンドル装置の要部を示した図である。
【図13】本発明の利点説明のための比較例図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10はトイレ室の後壁に接して設置されたキャビネットで、このキャビネット10の前面に接するようにして便器12が設置されている。
14はキャビネット10における一対の側板で、16は前板(外側壁部)、18は天板で、この天板18に手洗鉢20が取り付けられ、更に手洗鉢20に、鉢部に向けて手洗水を吐水する吐水管22が起立状態で設けられている。
【0032】
キャビネット10の内部には、内側タンク(ここでは樹脂製)24が収容されており、また前板16の前面(外面)には化粧プレート26が取り付けられていて、その化粧プレート26の前面(外面)に、本実施形態の洗浄ハンドル装置28における、レバー部30を備えた洗浄ハンドル32が回動操作可能に設けられている。
【0033】
この実施形態では、洗浄ハンドル32を反時計方向に回動操作すると大洗浄が行われ、また時計方向に回動操作すると小洗浄が行われる。
ここで大洗浄時には内側タンク24内部に貯えられた便器の洗浄水が大流量で排出され、また小洗浄時には内側タンク24内の洗浄水が小流量で排出される。
尚、洗浄ハンドル32は大洗浄時,小洗浄時何れもストッパによってその回動端が規制される。
【0034】
図2〜図4に、洗浄ハンドル装置28の構成が具体的に示してある。
図4において、34は内側タンク24内部を図1中左右方向に延びる作用レバーで、レバー軸36と、その先端で直角且つ下向きにL字状に屈曲したレバー部としてのアーム38を備えている。
そしてそのアーム38の先端部が、可撓性を有する連繋部材としての鎖40を介して、内側タンク24の底部に配置されたフロート弁,フラッパ弁等から成る排水弁と連繋されている。
作用レバー34は、アーム38が下向きをなす図4の状態からレバー軸36の軸線周りに回動することで、鎖40を介して排水弁を上向きに引張り、これを開弁動作させる。
【0035】
図3に示しているように、レバー軸36は基端部に小径の回転軸部42を備えており、この回転軸部42が、筒状の軸受部材44を介して内側タンク24内部に配設されたギヤボックス46により回転可能に支持されている。
【0036】
回転軸部42は、軸受部材44から図中右側に突出しており、その突出部にかさ歯車48が一体回転状態に固定されている。
尚50はねじりコイルばねから成る復帰ばねで、この復帰ばね50は、作用レバー34が図4に示す中立位置から回動したとき弾性力を作用レバー34に作用させて、作用レバー34を図4に示す中立位置に復帰させる作用をなす。
【0037】
ギヤボックス46は、図3中右側に突出した固定部52を有しており、その固定部52が、内側タンク24の図中右側の壁部に形成された切欠部54から突出している。
そしてその突出した固定部52が、固定部材56にて内側タンク24に固定されている。
【0038】
ギヤボックス46はまた、図3中下側(キャビネット10の前板16側)に突出した別の固定部58を有している。
固定部58は全体として筒状をなしていて内側に嵌合孔60を有し、また外面には嵌込溝62を有していて、その嵌込溝62において内側タンク24の切欠部64に嵌め込まれ固定されている。
ここで切欠部64は内側タンク24の上端から下向きに延びる形態で設けられており、嵌込溝62は、その上端から切欠部64に下向きに嵌め込まれている。
【0039】
尚、上記の切欠部54もまた内側タンク24の上端から下向きに延びる形態で設けられており、突出形状の固定部52は、その切欠部54に対しその上端から下向きに挿入され、その挿入下端で固定部材56にて固定されている。
【0040】
66は、上記のかさ歯車48に対し軸線を直交させる状態で噛み合わされたかさ歯車で、このかさ歯車66は嵌合軸部68を一体に備えており、その嵌合軸部68を上記の嵌合孔60に軸受部材70を介し回転可能に嵌合させる状態に、ギヤボックス46に取り付けられ保持されている。
このかさ歯車66は、全体として筒状をなしていて、その中心部に角形状(ここでは4角形状)の嵌合孔72を有している。
【0041】
74は、洗浄ハンドル32の回動によってこれに従動し回動せしめられる従動軸で、断面形状が嵌合孔72に対応した角形状(4角形状)をなしており、かかる従動軸74が、かさ歯車66の上記の嵌合孔72に嵌合せしめられ、かさ歯車66と一体回転する状態に、かさ歯車66を介しギヤボックス46に組み付けられている。
【0042】
この従動軸74の図3中下端(図2中左端)には、平面4角形状の平板部75が一体に構成されている。
そしてその平板部75の4隅に、軸方向(厳密には従動軸74の軸線と平行方向)に突出する棒状の突出部からなる被当接部76-1,76-2,76-3,76-4が平板部75に一体に構成されている。
即ちこれら4個所の被当接部76-1〜76-4が、従動軸74の軸線周りに90°ごとの等間隔で4個所に設けられている。
ここで4個所の被当接部76-1〜76-4は、従動軸66の軸線からその直角方向の等距離位置に配置されている。
【0043】
図3において、78は洗浄ハンドル32と一体回転する、洗浄ハンドル32側の駆動軸で、この駆動軸78が、キャビネット10における前板16を内外に貫通する状態で、軸受部材80を介し前板16に回動可能に取り付けられ、保持されている。
【0044】
ここで駆動軸78は、軸受部材80の嵌合孔82に回転可能に嵌合されており、また軸受部材80は、図2にも示しているように大径のフランジ状の固定部84と、これよりも小径をなす嵌入部86とを有しており、その嵌入部86を前板16の貫通の開口部88に嵌入させた状態で、固定部84が図示を省略する締結具にて前板16に固定されている。
【0045】
駆動軸78は、軸受部材80から図3中下側に突出させられており、その突出部が、洗浄ハンドル32に対する嵌込部90とされている。
この嵌込部90は、断面形状が角形状(ここでは4角形状)とされており、この嵌込部90が、洗浄ハンドル32に設けられた対応する角形状(4角形状)の嵌込孔92に嵌め込まれ、以て駆動軸78が洗浄ハンドル32と一体回動するようになしてある。
尚、軸受部材80は化粧プレート26の開口部102(図2参照)を挿通して化粧プレート26の前面側に突出しており、そしてその化粧プレート26の前面側において、洗浄ハンドル32が駆動軸78に連結されている。
【0046】
洗浄ハンドル32は樹脂製のもので弾性爪94が一体に成形されており、この弾性爪94が、駆動軸78の部分球状をなす係合部96に対して弾性的に係合することで、洗浄ハンドル32が駆動軸78から抜け防止されている。
尚98は、駆動軸78と洗浄ハンドル32との連結部及び弾性爪94,係合部96等を隠蔽する化粧キャップで、洗浄ハンドル32の前面側から洗浄ハンドル32に嵌め込まれ、組み付けられている。
【0047】
駆動軸78には、図3中上端(図2中右端)に、合計4本の棒状部から成る当接部100-1,100-2,100-3,100-4が駆動軸78から放射状に延びる形態で、駆動軸78に一体に構成されている。
これら棒状部から成る当接部100-1〜100-4は、駆動軸78の軸線周りに90°ごと隔たった等間隔で4本設けられており(4個所に設けられており)、それら当接部100-1〜100-4が全体として十字状をなすように配置されている。
これら4本の当接部100-1〜100-4は、駆動軸78及び従動軸74の組付時に同じく4個所の被当接部76-1〜76-4の間に位置せしめられる。
【0048】
詳しくは、例えば図6に示すように当接部100-1が回転方向において被当接部76-1と76-2との間の位置に、また当接部100-2が同じく回転方向において被当接部76-2と76-3との間の位置に、また当接部100-3が被当接部76-3と76-4との間の位置に、更に当接部100-4が被当接部76-4と76-1との間の位置にそれぞれ位置せしめられる。
【0049】
尚、駆動軸78には図2に示しているように円板状の回動部104が一体回動状態に設けられており、そしてその回動部104の面上に、図中左右一対の係合部106が左右方向に突き出す状態で設けられている。
【0050】
一方上記の軸受部材80には、図5に示しているように凹部108が設けられていて、凹部108の内部に、引張りコイルスプリングから成る復帰ばね110が収容されている。そしてこの復帰ばね110の両端に、一対の係合部材112が取り付けられている。
【0051】
これら係合部材112は、軸方向に突出した係合部114を備えており、それら係合部114が駆動軸78側の上記の係合部106に対し上向きに係合するようになしてある。
尚図5において、116は係合部材112の図中上向き方向の回動端を規定するストッパである。
【0052】
ここで復帰ばね110は、図1に示す洗浄ハンドル32を反時計方向に回動操作して大洗浄を行い、或いは時計方向に回動操作して小洗浄を行ったとき、洗浄ハンドル32から手を離したときに、洗浄ハンドル32を弾性力で自動的にもとの中立位置に復帰させる働きをなす。
【0053】
詳しくは、洗浄ハンドル32を図1において反時計方向に回動操作すると、図5(A)中左側の係合部114と駆動軸78側の図2中左側の係合部106との係合作用で、復帰ばね110が引き伸ばされ弾性力を蓄える。
従って洗浄ハンドル32に加えていた操作力を除くと、その復帰ばね110に蓄えられた弾性力によって、洗浄ハンドル32がもとの位置へと復帰せしめられる。
【0054】
逆に洗浄ハンドル32を時計方向に回動操作したときには、図5中右側の係合部114と、図2中右側の係合部106との係合作用で、係合部材112の回動を伴って復帰ばね110が引き伸ばされ弾性力を蓄える。
そして洗浄ハンドル32に加えていた操作力を除くと、蓄えられた弾性力によって洗浄ハンドル32が元の中立位置へと自動的に戻される。
尚一対の係合部材112の図5中上向きの回動運動は、ストッパ116への当接によって規制される。
【0055】
本実施形態では、洗浄ハンドル装置28の組付けに際して、具体的には洗浄ハンドル32側の駆動軸78即ちキャビンネット10における前板16側の駆動軸78、及び作用レバー34側の従動軸74即ち内側タンク24側の従動軸74をそれぞれ組み付けるにあたって、それら駆動軸78,従動軸74の位置(軸直角方向位置、更には軸方向位置)を正確に位置合せする必要はなく、それぞれを単独に前板16,内側タンク24に取り付けるだけでよく、これにより駆動軸78と従動軸74とを連繋して回動運動させることができる。
【0056】
図6及び図7はその際の作用を表している。
図6は、駆動軸78及び従動軸74が軸直角方向に誤差無く取り付けられたときの状態を表しており、このとき駆動軸78側の4個所の当接部100-1〜100-4は、従動軸74側の4個所の被当接部76-1〜76-4の間の丁度中央に位置した状態となる。
【0057】
詳しくは、例えば当接部100-1が両隣の被当接部76-1と76-2との間の丁度中央に位置し、また当接部100-2が同じく両隣の被当接部76-2と76-3との間の丁度中央に位置し、更に当接部100-3が両隣の被当接部76-3と76-4との丁度中央に位置し、更に当接部100-4が両隣の被当接部76-4と76-1との間の丁度中央に位置した状態となる。
【0058】
従って、この状態で洗浄ハンドル32を図1において反時計方向に回動操作したとき即ち大洗浄操作したとき、4つの当接部100-1,100-2,100-3,100-4が、図6(B)に示しているようにそれぞれ同時に被当接部76-1,76-2,76-3,76-4に当接し、引続く洗浄ハンドル32の回動操作とともに駆動軸78から従動軸74に回動運動が伝達されて、従動軸74が洗浄ハンドル32と一体的に同じ方向に回動運動する。
【0059】
そしてその回動運動が、図3のかさ歯車66,48の噛合いに基づいて作用レバー34に伝えられ、ここにおいて作用レバー34が、図4に示す中立位置から回動運動して内側タンク24底部の排水弁を引張り、これを開弁動作させる。
これにより、内側タンク24内に貯えられていた洗浄水が便器に向けて勢い良く排出され、便器の大洗浄動作が行われる。
【0060】
一方、洗浄ハンドル32を図1において時計方向に回動操作即ち小洗浄操作したときには、図6(C)に示しているように当接部100-1が被当接部76-2に,当接部100-2が被当接部76-3に、当接部100-3が被当接部76-4に、当接部100-4が被当接部76-1に対してそれぞれ同時に当接し、その後の引続く洗浄ハンドル32の回動操作によって、作用レバー34が上記とは逆方向に回動運動し、排水弁を引張って開弁させ、小洗浄動作を行わせる。
【0061】
一方、図7は施工誤差等によって駆動軸78と従動軸74とがそれぞれ軸線が不一致の状態で取り付けられた状態、即ち従動軸74の軸線に対して、駆動軸78の軸線が相対的に偏った位置に取り付けられた状態を表している。
【0062】
この場合、例えば当接部100-1が両隣の被当接部76-1,76-2のうちの一方の被当接部76-1側に偏って位置し、また当接部100-2が両隣の被当接部76-2,76-3のうちの一方の被当接部76-2側に偏って位置し、更に当接部100-3が両隣の被当接部76-3,76-4のうちの一方の被当接部76-4の側に偏って位置し、更に当接部100-4が両隣の被当接部76-4,76-1のうちの一方の被当接部76-1側に偏って位置した状態となる。
【0063】
従ってこの状態で洗浄ハンドル32を図1において反時計方向に回動操作すると、図7(B)に示しているように当接部100-1,100-3,100-4が対応する被当接部76-1,76-3,76-4に当接する前に、当接部100-2がいちはやく被当接部76-2に当接し、その後の引続く洗浄ハンドル32の回動操作に伴って、駆動軸78から従動軸74へと回動運動を伝達し、更に従動軸74から作用レバー34へと回動運動を伝達せしめる。
【0064】
一方洗浄ハンドル32を図1において時計方向に回動操作すると、図7(C)に示しているように当接部100-3がいちはやく被当接部76-4に当接し、その後の引続く洗浄ハンドル32の回動操作に伴って、駆動軸78から従動軸74へと回動運動を伝達する。
以上のように、本実施形態では従動軸74と駆動軸78とが施工誤差無く正確に取り付けられている場合よりは、むしろそれらの位置に施工誤差があった方が、洗浄ハンドル32の回動操作に対する便器洗浄動作の応答性がより高まる特長を有している。
【0065】
以上は駆動軸78と従動軸74との位置誤差の一例を示したものであるが、駆動軸78と従動軸74とが施工時の位置誤差によって他の相対位置に位置した場合には、上記当接部100-1或いは当接部100-3以外の他の当接部が大洗浄時,小洗浄時においていちはやく対応する他の被当接部に当接し、上記と同様にして駆動軸78から従動軸74へと回動運動を伝達する。
【0066】
本実施形態によれば、従来のように駆動軸78を挿通させる前板16側の挿通孔を駆動軸78に対して位置合せする作業を行うことなく、駆動軸78の取付けを行うことができる利点を有する。
【0067】
従来にあっては、図13の比較例図に示しているように、前板16に4角形状の貫通の大きな開口部200を設けて、その開口部200において、調整金具204の一方の金具204Aを前板16の前側に、他方の金具204Bを前板16の裏側に配置して、それらをねじ206にて締結し、一対の金具204A,204Bにて前板16を前後から挟持する状態に調整金具204を取り付けるとともに、調整金具204を開口部200において上下方向に位置移動させ、或いは金具204Aを長穴208において相対的に左右方向に位置移動させることで、金具204Aに設けた駆動軸212挿通のための挿通孔210の位置を、駆動軸212の位置に合せて調整するといったことを行っているが、本実施形態によればこのような調整金具204を用いた挿通孔210の位置調整を行うことを不要化できる。
【0068】
また本実施形態によれば、挿通孔210の位置調整のために前板16にこのような大きな4角形状の開口部200を設けておくといったことは必要でなくなるため、開口部200を隠蔽するための化粧プレート26を敢えて用いなくても、図9に示しているように洗浄ハンドル32を駆動軸78に連結させる状態に、前板16の前面に取り付けるといったことも可能となる(図3の軸受部材86の前板16からの突出量を小さくする等して)。
【0069】
本実施形態では、駆動軸78と従動軸74とのそれぞれに当接部100-1〜100-4,被当接部76-1〜76-4を回動方向に等間隔で4個所に設けていることから、施工誤差等の吸収可能な範囲を広く確保できる利点を有する。
図8はその理由を具体的に表している。
【0070】
例えば図8(B)に示しているように駆動軸78から放射状に延びる当接部100-1,100-2,100-3を3本即ち3個所に設け、また対応する被当接部76-1,76-2,76-3を回動方向に3個所に設けた場合、駆動軸78の位置が図8(B)(II)において左右方向に移動すると、これとともに例えば当接部100-1と被当接部76-2との上下方向の間隔も自動的に狭まってしまい、施工誤差の吸収可能な範囲が狭くなってしまう。
【0071】
しかるに図8(A)に示しているように当接部100-1,100-2,100-3,100-4及び対応する被当接部76-1,76-2,76-3,76-4をそれぞれ4個所に設けておいた場合、駆動軸78が図8(A)(II)において左右方向に位置移動しても、各当接部と被当接部との上下方向の間隔は一定に維持され、施工誤差の吸収可能な範囲を広く確保することが可能である。
また施工誤差の吸収可能な範囲を同じとする場合には、従動軸74と駆動軸78との連係部分の形状を小型化でき、ひいては洗浄ハンドル装置28をより小型化することができる。
【0072】
図10は本発明の他の実施形態を示している。
この例は、駆動軸78及び従動軸74の設置状態の下で、当接部100に隙間埋め部材118を取り付けるようになした例である。
具体的には、ここでは当接部100-2と100-4とに隙間埋め部材118を取り付け、そのことによって当接部100-2と被当接部76-2との間の隙間、更に当接部100-4と被当接部76-1との間の隙間を部分的に埋めるようになしている。
【0073】
このようになした場合、洗浄ハンドル32を大洗浄側,小洗浄側に回動操作したときに、当接部100-2から被当接部76-2への回動運動の伝達、或いは洗浄ハンドル32を小洗浄側に回動操作したときの当接部100-4から被当接部76-1への回動運動の伝達を速やかに行うことができ、洗浄ハンドル32の回動操作に対する便器洗浄動作の応答性を上記の実施形態に比べて高くすることが可能である。
【0074】
尚ここでは当接部100-2と100-4とのそれぞれに隙間埋め部材118を取り付けているが、当接部100-1〜100-4の全てに、かかる隙間埋め部材118を取り付けるようになしても良いし、或いは隙間埋め部材118を被当接部76-1〜76-4の何れか又は全てに取り付けるようになすこと、更には図10(A)では隙間埋め部材118が当接部と被当接部との間の隙間を部分的に埋めるものとなしてあるが、その隙間を全体的に埋めるような形態で隙間埋め部材118を取り付けるといったことも可能である。
【0075】
本発明においては、駆動軸78側の当接部,従動軸74側の被当接部を上例以外の他の様々な形態で設けることが可能である。
図11,図12はその具体的な一例を示している。
図11(A)の例は、従動軸74に上記のような平板部75を設けるのに代えて、従動軸74から90°間隔で4本のアーム120を放射状に延び出させ、そしてそれぞれの先端に被当接部76-1〜76-4を屈曲形状で且つ軸方向に延びる形態に設けた例である。
【0076】
また図11(B)の例は、駆動軸78の先端に大径の円板状の板状部122を設けて、その板状部122の回動方向の4個所に穴部124-1〜124-4を設け、穴部124-1〜124-4のそれぞれに、対応する被当接部76-1〜76-4を挿入させ、それら穴部124-1〜124-4の回動方向の一方の端部を、洗浄ハンドル32の大洗浄時の当接部124-1A〜124-4Aとなし、また他方の端部を小洗浄時における当接部124-1B〜124-4Bとなした例である。
尚、穴部124-1〜124-4については予想される誤差を見込んで適宜にその寸法や形状を定めておくことができる。
【0077】
更に図12の例は、駆動軸78から棒状をなす当接部100-1〜100-4を、軸直角方向外方に進むにつれて従動軸74側に接近するように斜めに延び出させる一方、従動軸74側からも同じく棒状部を駆動軸78側に斜めに延び出させて、それらを被当接部76-1,76-2,76-3,76-4となし、それら当接部100-1〜100-4と被当接部76-1〜76-4とを回動方向に当接させるようになした例である。
その他本発明では当接部,被当接部を上例以外の他の様々な形態で構成することが可能である。
【0078】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれらはあくまで一例示である。
例えば上例では従動軸74を作用レバー34のレバー軸36と独立して設けているが、作用レバー34の配置の向き如何によっては、かかる作用レバー34のレバー軸36に従動軸74を一体に構成しておくこといったことも可能であるし、また上例では作用レバー34がレバー軸36の軸線周りに回動運動するようになしてあるが、場合によって作用レバー34をレバー軸36の軸線と直交する軸の軸線周りに上下回動可能とし、その回動に基づいて排水弁を引き上げて開弁動作させるように構成しておくといったことも可能である。
【0079】
更に本発明では、場合によって駆動軸78,従動軸74の一方については当接部又は被当接部を1個所だけに設けておくといったことも可能であるし、更に図2に示す駆動軸78側の棒状の当接部を従動軸74側に被当接部として設け、また従動軸74側の突出形状の被当接部を駆動軸78側の当接部として設けておくといったことも可能である。
その他本発明は、内側タンクとこれを包み込む外側タンクとの2重タンク構造をなすタンクの洗浄ハンドル装置に対して適用することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0080】
12 便器
16 前板(外側壁部)
24 内側タンク
28 洗浄ハンドル装置
32 洗浄ハンドル
34 作用レバー
74 従動軸
76,76-1,76-2,76-3,76-4 被当接部
78 駆動軸
100,100-1,100-2,100-3,100−4,124-1A,124-2A,124-3A,124-4A,124-1B,124-2B,124-3B,124-4B 当接部
118 隙間埋め部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)便器の洗浄水を内部に貯えた内側タンクに対して外側に位置する外側壁部の外面に回動操作可能に設けられた洗浄ハンドルと、(ロ)該内側タンクの内部を延びて排水弁に連繋された作用レバーと、を有し、前記洗浄ハンドルの回動操作により該作用レバーを回動させて該排水弁を開弁動作させ、洗浄水を排出させる洗浄ハンドル装置において、
前記外側壁部に回動可能に取り付けられる、前記洗浄ハンドル側の駆動軸と、前記内側タンクに回動可能に取り付けられる、前記作用レバー側の従動軸とを分離して設け、
該洗浄ハンドル側の駆動軸には軸線周りに該駆動軸と一体回動する当接部を、前記作用レバー側の従動軸には軸線周りに該従動軸と一体回動する、前記当接部を前記洗浄ハンドルの回動方向に当接させる被当接部をそれぞれ設けて、前記洗浄ハンドルの回動時にそれら当接部と被当接部との当接作用で前記駆動軸及び従動軸を介し前記作用レバーを回動させるようになし、
且つ前記当接部と被当接部との少なくとも一方を、対応する前記駆動軸又は従動軸の軸線周りの複数個所に設けてあることを特徴とする洗浄ハンドル装置。
【請求項2】
請求項1において、前記当接部と被当接部とのそれぞれが、対応する前記駆動軸又は従動軸の軸線周りの複数個所に設けてあることを特徴とする洗浄ハンドル装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記当接部と被当接部との一方が、対応する前記駆動軸又は前記従動軸の一方から軸線と交差する向きに延出した棒状部であり、他方が該棒状部に対して交差する向きに対応する該駆動軸又は従動軸の他方から突き出した突出部であることを特徴とする洗浄ハンドル装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記洗浄ハンドル側の駆動軸,前記作用レバー側の従動軸の設置状態において、前記当接部と被当接部との間の隙間を全体的に若しくは部分的に埋める隙間埋め部材が設けてあることを特徴とする洗浄ハンドル装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記洗浄ハンドルは一方向に回動操作することで大洗浄を、他方向に回動操作することで小洗浄を行うものであることを特徴とする洗浄ハンドル装置。
【請求項1】
(イ)便器の洗浄水を内部に貯えた内側タンクに対して外側に位置する外側壁部の外面に回動操作可能に設けられた洗浄ハンドルと、(ロ)該内側タンクの内部を延びて排水弁に連繋された作用レバーと、を有し、前記洗浄ハンドルの回動操作により該作用レバーを回動させて該排水弁を開弁動作させ、洗浄水を排出させる洗浄ハンドル装置において、
前記外側壁部に回動可能に取り付けられる、前記洗浄ハンドル側の駆動軸と、前記内側タンクに回動可能に取り付けられる、前記作用レバー側の従動軸とを分離して設け、
該洗浄ハンドル側の駆動軸には軸線周りに該駆動軸と一体回動する当接部を、前記作用レバー側の従動軸には軸線周りに該従動軸と一体回動する、前記当接部を前記洗浄ハンドルの回動方向に当接させる被当接部をそれぞれ設けて、前記洗浄ハンドルの回動時にそれら当接部と被当接部との当接作用で前記駆動軸及び従動軸を介し前記作用レバーを回動させるようになし、
且つ前記当接部と被当接部との少なくとも一方を、対応する前記駆動軸又は従動軸の軸線周りの複数個所に設けてあることを特徴とする洗浄ハンドル装置。
【請求項2】
請求項1において、前記当接部と被当接部とのそれぞれが、対応する前記駆動軸又は従動軸の軸線周りの複数個所に設けてあることを特徴とする洗浄ハンドル装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記当接部と被当接部との一方が、対応する前記駆動軸又は前記従動軸の一方から軸線と交差する向きに延出した棒状部であり、他方が該棒状部に対して交差する向きに対応する該駆動軸又は従動軸の他方から突き出した突出部であることを特徴とする洗浄ハンドル装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記洗浄ハンドル側の駆動軸,前記作用レバー側の従動軸の設置状態において、前記当接部と被当接部との間の隙間を全体的に若しくは部分的に埋める隙間埋め部材が設けてあることを特徴とする洗浄ハンドル装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記洗浄ハンドルは一方向に回動操作することで大洗浄を、他方向に回動操作することで小洗浄を行うものであることを特徴とする洗浄ハンドル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−270537(P2010−270537A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124579(P2009−124579)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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