説明

洗浄パッド

【課題】業務用の洗浄パッドにおいて、容易に床面の汚れを除去可能な洗浄パッドを提供する。
【解決手段】洗浄パッド10は、一方面と、他方面とを有するクッション部12と、クッション部12の一方面側に設けられた洗浄部11と、クッション部12の他方面側に設けられた外部部材取付け部13とを含む。洗浄部11はクッション部12の一方面側においてクッション部12の一方面に直交する方向に突出する複数の突出した突出毛を含み、突出毛の密度は150〜200本/cm2であり、突出長さは1.5〜2.5mmであり、クッション部12の密度は20〜40kg/m3である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は洗浄パッドに関し、特に、凹部や平滑部を有する床面を容易に洗浄できる洗浄パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の家庭用の洗浄パッドがたとえば、特開2010−99134号公報(特許文献1)に開示されている。同公報によれば、洗浄具は、カットパイル3a群からなる洗浄用の柔軟な立毛層部3が地組織部4の表裏面の一方面に備えられている洗浄用布帛5であって、厚み方向の圧縮力で厚み寸法が0.3mm減少したときの圧縮応力(mgf/cm2(ただし、1mgf/cm2=1×10-6kgf/cm2))を立毛層部3の単繊維密度(本/cm2)で除して算出される初期圧縮応力指数(mgf/本)が0.1〜15.0である。一般家庭レベルの汚れに対する洗浄性能は十分に有しながらも、被洗浄物に細かな傷が付くことを抑止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−99134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の家庭用の洗浄パッドは上記のように構成されていた。家庭用であるため、手で持ったときに洗浄が容易なように洗浄具の厚み方向の圧縮力等が定められていた。
【0005】
しかしながら、このような特性であると、業務用の棒部材の先端に設けられたホルダを介して取付けて使用される洗浄パッドには適さないという問題があった。
【0006】
この発明は、棒部材の先端に設けられたホルダを介して取付けて使用されるような、業務用の洗浄パッドにおいて、容易に床面の汚れを除去可能な洗浄パッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る洗浄パッドは、一方面と、他方面とを有するクッション部と、クッション部の一方面側に設けられた洗浄部と、クッション部の他方面側に設けられた外部部材取付け部とを含む。洗浄部はクッション部の一方面側においてクッション部の一方面に直交する方向に突出する複数の突出した突出毛を含み、突出毛の密度は150〜200本/cm2であり、突出長さは1.5〜2.5mmであり、クッション部の密度は20〜40kg/m3である。
【0008】
好ましくは、クッション部の硬さは200〜300Nである。
【0009】
さらに好ましくは、クッション部の厚さは20mm〜30mmである。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る洗浄パッドの洗浄部はクッション部の一方面側においてクッション部の一方面に直交する方向に突出する複数の突出した突出毛を含み、突出毛の密度は150〜200本/cm2であり、突出長さは1.5〜2.5mmであり、クッション部の密度は20〜40kg/m3であるため、突出毛が床の汚れ面に容易に入り込み、床面の汚れを少ない洗剤の量で洗浄可能である。
【0011】
その結果、容易に床面の汚れを除去可能な業務用の洗浄パッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施の形態に係る洗浄パッドの斜視図である。
【図2】図1に示した洗浄パッドの洗浄部の拡大図である。
【図3】洗浄パッドを清掃用ホルダに取付ける状態を示す図である。
【図4】洗浄パッドで凹凸を有する床面を洗浄する状態を示す図である。
【図5】洗浄パッドで凹部を洗浄する状態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の第1実施の形態を、図面を参照して説明する。図1はこの発明の1実施の形態に係る洗浄パッドの斜視図である。図1を参照して、この実施の形態に係る洗浄パッド10は全体が平板状であり、洗浄剤を含ませて被洗浄部を洗浄するための洗浄部11と、洗浄部11を支持するクッション性を有するスポンジ状のクッション部材12と、クッション部材12の洗浄部11とは反対側に設けられ、人が作業時に把持する把持部を有する棒状部材等を取り付けるための外部部材取付部13とを含む。
【0014】
洗浄パッド10の厚さ方向の寸法は、洗浄部11が厚さt1=1.5〜2.5mmであり、クッション部材12が厚さt2=20〜30mmであり、取付部13が厚さt3=1.5〜2.5mmである。
【0015】
図2は図1に示した洗浄部11の表面の拡大図である。図2を参照して、洗浄部11はクッション部12の一方面において、クッション部12の有する平面に直交する方向に複数の毛状部材11aが密集しながら、ほぼ同一寸法で突出している。この複数の毛状部材11aの突出方向は、クッション部材12の有する平面に直交する方向に限らず、多少(0°〜10°程度)傾斜していてもよい。この部分が床面の洗浄ブラシとして作用する。
【0016】
図3は、図1に示した洗浄パッド10を、業務用の棒部材の先端に設けられたホルダを介して取付ける状態(図3(A))と、取付けた洗浄パッドを用いて床面を洗浄する状態を示す図である。図3を参照して、洗浄パッド10は、棒部材20の先端に設けられた矩形の平板状のホルダ21に取付けられる。このようにして取付けられた洗浄パッド10は目の不自由な人のガイドとなる凹凸が設けられた床面やエンボス床面30上の汚れ等を容易に除去可能である。
【0017】
図4はこの洗浄状態を説明するための床面の拡大図である。図4を参照して、床面30には凹部31が設けられている。凹部31は、傾斜部31aと、凹部底面31cと、傾斜部31aと凹部底面31cとの交わる隅部31bとを含む。洗浄パッド10の洗浄部11の毛状突起部は、隅部21bに十分当接する寸法であるため、隅部21bに当接して図中矢印方向に移動することにより、隅部21bに固着した異物を除去可能であるとともに、凹部底面21cだけでなく、隅部や傾斜部21aの汚れも除去可能である。なお、ここでは、少量の洗浄剤を用いて洗浄するものとする。
【0018】
すなわち、この実施の形態に係る洗浄パッド10の洗浄部11は、被洗浄部の内部に当接可能な毛状部材(突起部)11aを有し、かつ、毛状部材11aは、隅部に当接した後に、異物等を排除可能な腰を有している。
【0019】
次に洗浄パッド10を構成する各部材について説明する。まず、洗浄部11について説明する。洗浄部11はブラシ状の毛状部材であり、ポリエステルで構成されている。この実施の形態においては、この毛状部材の腰は、毛状部材を構成するポリエステルの径寸法や密度で規定される。ここでは、毛状部材を構成するポリエステルは、特許文献1と同様に、280デシテックス/48フィラメントであってもよく、その密度は150〜200本/cm2である。クッション部12はスポンジ状でありポリウレタンフォームで構成されている。取付部13はナイロンで構成されている。それぞれの部材の詳細を表1に示す。
【0020】
なお、洗浄部とクッション部とはポリウレタンポリマーの接着剤で接着されている。この接着は、クッション部の表面を熱で溶かして洗浄部を熱溶着してもよい。
【0021】
【表1】

【0022】
次に、この洗浄パッド10を他の同様の洗浄用具と比較して説明する。
【0023】
ここでは、凹凸のあるエンボス床や平滑な床に汚れを付着させ、この発明の一実施例である洗浄パッド10と、比較例として、従来のデッキブラシと、従来の本願と同様の構成を有する洗浄パッドと、真鍮ブラシとで洗浄した場合の汚れ落ちの程度を比較する。なお、それぞれの具体的寸法は表2に示すとおりである。また、このテストに用いた資材を表3に示す。
【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】
次に、テスト方法について説明する。図5に示すように、床材40にクレヨンで2cm×2cmの四角形を描き、塗りつぶして汚れ部分41を形成し、写真をとる。
【0027】
テストサンプル42と床面40を水で濡らす。
【0028】
テストサンプル42の上に重り43を載せて、クレヨン形成した汚れ部分41の上を図中矢印で示すように3回往復させる。
【0029】
往復後の4角形に2cm×2cm分くりぬいた紙をかぶせて、外形の違いを確認して、写真撮影した。
【0030】
上記の内容を、実施例として1種、比較例として3種の計4種について、床材2種、計8条件で同様のテストを実施した。なお、実施例の洗浄部の厚さは、その中央部、及び4隅近傍について10個分を測定したとき、その厚みの最小値から最大値は、1.8mm〜2.2mmであり、その平均値は1.98mmであった。
【0031】
汚れの落ち具合に応じて10段階で評価した。ここで、10段階評価は、汚れが全く除去できていない状態を1とし、完全除去できた状態を10とし、半分くらい除去できた状態を5として表す。その結果を表4に示す。
【0032】
【表4】

【0033】
表4から明らかなように、実施例である洗浄パッドは他の洗浄器具に対して十分な洗浄効果を発揮する。
【0034】
なお、上記実施の形態においては、洗浄部の厚さが約2mmの場合について説明したが、平均厚さが約1.8〜2.5mmであれば床用洗浄部として適している。
【0035】
さらに、この実施の形態に係る洗浄パッドを用いて床面を洗浄するときは、洗浄部の毛状部材の材質および密度と、クッション部材の硬さおよび厚さ関係している。したがって、手動で床面を洗浄するときは、洗浄部の毛状部材の厚さおよび密度と、クッション部材の硬さおよび厚さは、それぞれ、洗浄部の厚さt1=1.5〜2.5mmであり、密度は150〜200本/cm2であり、クッション部材の硬さが230±30Nであり、厚さt2=20〜25mmである。
【0036】
一方、電動のポリッシャーを用いて洗浄するときは、それぞれ、t1=1.5〜2.5mmであり、密度は200〜250本/cm2であり、クッション部材の硬さが230±30Nであり、厚さt2=25mm±5mmである。
【0037】
また、上記した条件を満たせば、特許文献1に記載されているような、厚み方向の圧縮力で厚み寸法が0.3mm減少したときの圧縮応力(mgf/cm2(ただし、1mgf/cm2=1×10-6kgf/cm2))を立毛層部3の単繊維密度(本/cm2)で除して算出される初期圧縮応力指数(mgf/本)が0.1〜15.0である、カットパイルも利用可能である。
【0038】
図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態に限定されるものではない。本発明と同一の範囲内において、または均等の範囲内において、図示した実施形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
この発明に係る洗浄パッドは床面の汚れを少ない洗剤の量で洗浄可能であるため、業務用の洗浄パッドとして有利に利用される。
【符号の説明】
【0040】
10 洗浄パッド、11 洗浄部、12 クッション部材、13 外部部材取付部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方面と、他方面とを有するクッション部と、
前記クッション部の前記一方面側に設けられた洗浄部と
前記クッション部の前記他方面側に設けられた外部部材取付け部とを含み、
前記洗浄部は前記クッション部の前記一方面側において前記クッション部の前記一方面に直交する方向に突出する複数の突出した突出毛を含み、
前記突出毛の密度は150〜200本/cm2であり、
突出毛の突出長さは1.5〜2.5mmであり、
前記クッション部の密度は20〜40kg/m3である、洗浄パッド。
【請求項2】
前記クッション部の硬さは200〜300Nである、請求項1に記載の洗浄パッド。
【請求項3】
前記クッション部の厚さは20mm〜30mmである、請求項1または2に記載の洗浄パッド。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−147874(P2012−147874A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7573(P2011−7573)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(593045260)セイワ株式会社 (12)
【Fターム(参考)】