説明

洗浄具

【課題】把持部に対する手のずれ動きを抑制した状態で把持部に押し引き操作力を的確に加えるとともに、容器の汚れに応じて内面洗浄部と外面洗浄部との挾持力を確実、簡単に調節操作する。
【解決手段】容器1の内周面1aを洗浄する内面洗浄部2を支持する第1支持体3と、容器1の外周面1bを洗浄する外面洗浄部4を支持する第2支持体5と、両洗浄部2,4を相対近接操作可能な状態で前記両支持体3,5の基部を接合する把持部6とを備えた洗浄具であって、第1支持体3に連続する把持部6の第1把持部位6Aには、把持部6を把持した手の第2指〜第4指のいずれかに対する指掛け部8を設けるとともに、第2支持体に連続する把持部6の第2把持部位6Bには、把持部6を把持した手の第1指に対する指当て部10が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールジョッキやコップ等の容器の内周面と外周面とを同時に洗浄可能な洗浄具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の洗浄具としては、従来から種々の構造のものが開発されているが、その中で代表的な一つは、容器の内周面を洗浄する内面洗浄部を支持する第1支持体と、容器の外周面を洗浄する外面洗浄部を支持する第2支持体と、両洗浄部を相対近接操作可能な状態で前記両支持体の基部を接合する把持部とが備えられているとともに、前記把持部が、内面洗浄部の第1支持体と外面洗浄部の第2支持体とにわたって一体形成され、且つ、弾性復元力に抗して両洗浄部を近接側に操作可能なU字状又はそれに近い形状の弾性把持杆から構成されている洗浄具を挙げることができる(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
また、他の代表的なものとしては、容器の内周面を洗浄する内面洗浄部の第1支持体の中間部位に、容器の外周面を洗浄する外面洗浄部の第2支持体が取付けられ、前記第1支持体の基部に設けた把持部の先端部には、当該把持部を把持した手の指で掛止可能な指掛け部が設けられた洗浄具を挙げることができる(例えば、特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭54−004359号公報
【特許文献2】特開2003−093319号公報
【特許文献3】実開昭62−130558号公報
【特許文献4】特開2010−178844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の前者の洗浄具では、前記弾性把持杆を把持することで内面洗浄部と外面洗浄部とを相対近接移動させて、容器の内周面及び外周面を挾持状態で洗浄することができるものの、弾性把持杆を手のひら全体で把持した状態では、内面洗浄部及び外面洗浄部を第1支持体及び第2支持体の長手方向に素早く動かし難いため、洗浄作業能率が低下する問題がある。
【0006】
また、後者の洗浄具では、把持部を把持すると同時に、その把持された側の手指を把持部の先端部に設けられている指掛け部に掛止させることができるから、把持部に操作力を加え易く、しかも、把持部に対する手のずれ動きを抑制することができる。反面、内面洗浄部の第1支持体の中間部位に外面洗浄部の第2支持体が取付けられているため、前記内面洗浄部と外面洗浄部との挾持力を容器の汚れに応じて調節操作することができない問題がある。
【0007】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、把持部に対する手のずれ動きを抑制した状態で把持部に押し引き操作力を的確に加えることができ、しかも、容器の汚れに応じて内面洗浄部と外面洗浄部との挾持力を確実、簡単に調節操作することのできる洗浄具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による第1の特徴構成は、容器の内周面を洗浄する内面洗浄部を支持する第1支持体と、容器の外周面を洗浄する外面洗浄部を支持する第2支持体と、前記両洗浄部を相対近接操作可能な状態で前記両支持体の基部を接合する把持部とを備えた洗浄具であって、
前記第1支持体に連続する把持部の第1把持部位には、把持部を把持した手の第2指〜第4指のいずれかに対する指掛け部を設けるとともに、前記第2支持体に連続する把持部の第2把持部位には、把持部を把持した手の第1指に対する指当て部が設けられている点にある。
【0009】
上記構成によれば、内面洗浄部の第1支持体の基部と外面洗浄部の第2支持体の基部とを接合する把持部を把持したとき、把持した手の第2指〜第4指のいずれかは、把持部の第1把持部位に設けた指掛け部に掛け止められ、把持した手の第1指は、把持部の第2把持部位に設けられた指当て部に当て付けられる。
【0010】
この把持状況では、把持部に対する手のずれ動きが無く、内面洗浄部及び外面洗浄部を第1支持体及び第2支持体の長手方向に素早く動かすための操作力を的確に付与することができるとともに、両洗浄部の挾持力を調節するための近接操作力も確実、容易に付与することができる。
【0011】
したがって、把持部に対する手のずれ動きを抑制した状態で把持部に押し引き操作力を的確に加えることができ、しかも、容器の汚れに応じて内面洗浄部と外面洗浄部との挾持力を確実、簡単に調節操作することができる。
【0012】
本発明による第2の特徴構成は、前記把持部の少なくとも端部側の把持部分が第2支持体の存在側とは反対側に屈曲形成されている点にある。
【0013】
上記構成によれば、把持部の第1把持部位に設けた指掛け部に、把持部を把持した手の第2指〜第4指のいずれかを掛け止め、且つ、把持部の第2把持部位に設けられた指当て部に、把持部を把持した手の第1指を指当て部に当て付けている把持状態において、把持部の端部側把持部分の屈曲外側面が把持動作によって盛り上がる手の母指球及び小指球で安定的に受止められる。
【0014】
それ故に、把持姿勢が安定し、且つ、操作力を確実に伝えることができるので、洗浄具の操作性を高めることができる。
【0015】
本発明による第3の特徴構成は、前記把持部が、把持可能な状態で中間部が折り返し形成され、且つ、横断面形状が両洗浄部の相対近接方向に対して直行する横方向に細長い杆状把持体から構成されている点にある。
【0016】
上記構成によれば、把持部を構成する杆状把持体が、両洗浄部の相対近接方向で撓み変形し易く、且つ、両洗浄部の洗浄面方向での撓み変形はし難くなるから、把持部の第1把持部位に設けた指掛け部に、把持部を把持した手の第2指〜第4指のいずれかを掛け止め、且つ、把持部の第2把持部位に設けられた指当て部に、把持部を把持した手の第1指を当て付けている状況において、両洗浄部の洗浄面方向でのずれ動きを抑制した状態で指当て部に対して相対近接側への操作力を容易に付加することができる。
【0017】
本発明による第4の特徴構成は、前記外面洗浄部の第2支持体が、前記把持部の第2把持部位に対して回転又は異なる向き姿勢に付け替え可能に構成されている点にある。
【0018】
上記構成によれば、容器の外周面と接触する外面洗浄部の洗浄面の洗浄性能が低下してきたとき、把持部の第2把持部位に対して外面洗浄部の第2支持体を回転又は異なる向き姿勢に付け替えることにより、外面洗浄部の他の部位の洗浄面を使用して効率良く洗浄することができる。
【0019】
本発明による第5の特徴構成は、前記外面洗浄部が、前記第2支持体に対して回転又は異なる向き姿勢に付け替え可能に構成されている点にある。
【0020】
上記構成によれば、容器の外周面と接触する外面洗浄部の洗浄面の洗浄性能が低下してきたとき、第2支持体に対して外面洗浄部を回転又は異なる向き姿勢に付け替えることにより、外面洗浄部の他の部位の洗浄面を使用して効率良く洗浄することができる。
【0021】
本発明による第6の特徴構成は、前記把持部の第1把持部位に指の滑り止め部が形成されている点にある。
【0022】
上記構成によれば、把持部の第1把持部位に設けた指掛け部に、把持部を把持した手の第2指〜第4指のいずれかを掛け止め、且つ、把持部の第2把持部位に設けられた指当て部に、把持部を把持した手の第1指を当て付けている把持状態において、把持部の第1把持部位に形成された滑り止め部に指が当接するから、把持姿勢の安定化によって洗浄具の操作性を高めることができる。
【0023】
本発明による第7の特徴構成は、前記第1支持体には、前記内面洗浄部を構成する複数枚の積層されたスポンジ体を圧縮状態で挾持する一対の挾持体と、スポンジ体を貫通した状態で両挾持体を設定挾持間隔に連結する連結手段とが備えられているとともに、前記一方の挾持体が外面洗浄部の洗浄面に対面する状態で前記第1支持体が把持部に接合されている点にある。
【0024】
上記構成によれば、積層された複数枚のスポンジ体を一対の挾持体で挾持することにより、複数のスポンジ体の非挾持側の側辺部分が円周方向に拡散するから、容器の内周面を効率良く洗浄することができるとともに、前記一方の挾持体が外面洗浄部の洗浄面に対面する状態で第1支持体が把持部に接合されているから、一方の挾持体に接するスポンジ体の凹状面内に外面洗浄部の洗浄面を入り込み配置することが可能となる。
【0025】
それ故に、このスポンジ体の凹状面と外面洗浄部の洗浄面との対向面間に容器の周壁を差し入れるだけで、スポンジ体の凹状面と外面洗浄部の洗浄面とを容器の内外周面に挾持状態で圧接させることができ、洗浄性能を向上することができる。
【0026】
本発明による第8の特徴構成は、前記第2支持体には、可撓性のある外面洗浄部の中間部分を圧縮状態で挿通保持する保持枠が備えられ、この保持枠には、挿通保持された外面洗浄部の中間部分に食い込み可能な抜止め突起が形成されている点にある。
【0027】
上記構成によれば、前記第2支持体に外面洗浄部を装着する場合、この外面洗浄部を圧縮して第2支持体の保持枠に挿通するだけの簡単な操作でありながら、圧縮力が解除された外面洗浄部の挿通部分の外方への復元変形に連れて保持枠に形成されている抜止め突起が外面洗浄部の中間部分に食い込み、外面洗浄部を確実に抜止め保持することができる。
【0028】
本発明による第9の特徴構成は、前記外面洗浄部には、洗浄性能の異なる複数の洗浄面が形成されている点にある。
【0029】
上記構成によれば、洗浄対象の容器の汚れ具合に応じて、外面洗浄部の複数の洗浄面の中から最も適した洗浄性能の洗浄面を選択することができるから、洗浄作業の能率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態を示す洗浄具の洗浄時の斜視図
【図2】洗浄具の本体側の分解斜視図
【図3】洗浄具全体の分解側面図
【図4】洗浄具全体の縦断面図
【図5】把持状態を示す洗浄具全体の斜視図
【図6】把持部の第2把持部位と第2支持体との連結構造を示す一部切欠き平面図
【図7】本発明の第2実施形態を示す洗浄具の要部の一部切欠き分解図
【図8】本発明の第3実施形態を示す洗浄具の要部の一部切欠き分解図
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔第1実施形態〕
図1〜図6は、ビールジョッキやコップ等の容器1の内周面1aと外周面1bとを同時に洗浄可能な洗浄具を示し、容器1の内周面1aを洗浄する可撓性の内面洗浄部2を支持する合成樹脂製の第1支持体3と、容器1の外周面1bにおける口部側を洗浄する可撓性の外面洗浄部4を支持する合成樹脂製の第2支持体5と、前記両洗浄部2,4を相対近接操作可能な状態で前記両支持体3,5の基部を接合する合成樹脂製の把持部6とが備えられている。
【0032】
前記把持部6は、片手にて把持可能な大きさで中間部が折り返えされた側面視略「つ」の字状に形成され、且つ、横断面形状が両洗浄部2,4の相対近接方向に対して直行する横方向に細長い略偏平楕円状の杆状把持体(以下、杆状把持体6と記載する)から構成されているとともに、この杆状把持体6の内側面の幅方向中央位置には、当該杆状把持体6の全長にわたって横断面形状が略半円形状の補強リブ7が突出形成されている。
【0033】
前記杆状把持体6の上下方向で対面する第1・第2把持部位6A,6Bのうち、第1支持体3に連続する下方側の第1把持部位6Aの下面には、杆状把持体6を把持した手の第2指を主に対象としたトリガー状の指掛け部8と、杆状把持体6を把持した手の第3指及び第4指を主に対象とした指の滑り止め部9とが一体形成されている。
【0034】
尚、前記杆状把持体6の両第1・第2把持部位6A,6B間に、杆状把持体6を把持した手の第2指を入れた把持状態では、前記指掛け部8に、杆状把持体6を把持した手の第3指を無理なく掛けることができる。
さらに、両第1・第2把持部位6A,6B間に、杆状把持体6を把持した手の第2指及び第3指を入れた把持状態においては、前記指掛け部8に、杆状把持体6を把持した手の第4指を掛けることが可能である。
【0035】
前記第2支持体5に連続する杆状把持体6の上方側の第2把持部位6Bの上面で、指掛け部8よりも若干前方に偏倚した部位には、杆状把持体6を把持した手の第1指に対する凹状の滑らかな押圧操作面10aを備えた指当て部10が一体的に隆起形成されている。
【0036】
前記指掛け部8から杆状把持体6の後端までの指当て面6aの長さが、当該杆状把持体6を把持した手の第3指から第5指を当て付け可能な長さに構成されているとともに、杆状把持体6の端部側において第1・第2把持部位6A,6Bを繋ぐU字状把持部分6Cが第2支持体5の存在側とは反対側に略45度の傾斜角度で屈曲形成されている。
【0037】
そのため、杆状把持体6を把持した手の第1指を指当て部10に、第2指を指掛け部8にそれぞれ当て付けた把持状態においては、指当て面6aの前半側の水平指当て面部分に第3指が当て付けられ、前記U字状把持部分6C側となる後半側の傾斜指当て面部分には第5指が当て付けられ、更に、前半側の水平指当て面部分と後半側の傾斜指当て面部分との屈曲箇所には第4指が当て付けられるように構成されている。
【0038】
また、杆状把持体6を把持した手の第1指を指当て部10に、第2指を指掛け部8に、第3指〜第5指を指当て面6aにそれぞれ当て付けた把持状態では、杆状把持体6のU字状把持部分6Cの屈曲外側面6bが把持動作によって盛り上がる手の母指球及び小指球で安定的に受止められる。
【0039】
前記滑り止め部9は、杆状把持体6を把持した手の第1指を指当て部10に、第2指を指掛け部8に、第3指〜第5指を指当て面6aにそれぞれ当て付けた把持状態において、指当て面6aにおける第3指との当接相当箇所及び第3指と第4指との隣接間相当箇所の各々に、幅方向に沿う楕円又は長円形状の滑り止め突起9a,9bを一体形成して構成されている。
【0040】
前記内面洗浄部2は、洗浄対象の容器1の内径よりも少し大きな横幅寸法で直方体形状に形成された同じ厚みの複数枚(当該実施形態では3枚)のスポンジ体2A,2Bを積層して構成されており、この積層状態にあるスポンジ体2A,2Bの幅方向中央部を第1支持体3で挾持することにより、スポンジ体2A,2Bの幅方向両側の非挾持部分が円周方向に変形する。
【0041】
スポンジ体2A,2Bが三枚の場合では、積層方向の中央に位置するスポンジ体2Aが略直線状に維持され、積層方向の両側に位置するスポンジ体2Bが中央のスポンジ体2Aから離れる側にU字状又はそれに近い形状に変形する。
【0042】
前記第1支持体3は、積層されたスポンジ体2A,2Bを圧縮状態で挾持する上下一対の帯板状の挾持体3A,3Bと,スポンジ体2A,2Bを貫通した状態で両挾持体3A,3Bを設定挾持間隔に連結する連結手段3Cとから構成されているとともに、上方側の挾持体3Aの基部側部位が外面洗浄部4の洗浄面4a、4bの一方に対面する状態で両挾持体3A,3Bが杆状把持体6の第1把持部位6Aの先端にU字状に一体形成されている。
【0043】
前記上方側の挾持体3Aを外面洗浄部4の洗浄面4a、4bの一方に対面配置することにより、上方側の挾持体3Aに接するスポンジ体2Bの凹状面2b内に外面洗浄部4の洗浄面4a、4bの一方を入り込み配置することが可能となる。
【0044】
それ故に、このスポンジ体2Bの凹状面2bと外面洗浄部4の洗浄面4a、4bの一方との対向面間に容器1の周壁を差し入れるだけで、スポンジ体2Bの凹状面2bと外面洗浄部4の洗浄面4a、4bの一方とを容器1の内周面1a及び外周面1bに挾持状態で圧接させることができ、洗浄性能を向上することができる。
【0045】
前記両挾持体3A,3Bの設定挾持間隔がスポンジ体2A、2Bの一枚の厚みよりも小に構成されているとともに、前記連結手段3Cが、両挾持体3A,3Bの複数箇所(当該実施形態では二箇所)に形成された貫通孔3a、3bと、下方側の挾持体3Bの貫通孔3bからスポンジ体2A、2Bを貫通して上方側の挾持体3Aの貫通孔3aに挿通操作可能で、且つ、貫通孔3a,3bの挿通時にスリット3gの範囲内で弾性復元力に抗して縮径可能な無理嵌め構造の係止爪部3dを先端部に備えた合成樹脂製の連結ピン3eとから構成されている。
【0046】
前記両挾持体3A,3Bの貫通孔3a、3bに連結ピン3eを挿通操作したとき、連結ピン3eの頭部3fが下方側の挾持体3Bの外側面における貫通孔3bの周縁に当接し、連結ピン3eの係止爪部3dが上方側の挾持体3Aの外側面における貫通孔3aの周縁に係合し、両挾持体3A,3Bが設定挾持間隔で連結される。
【0047】
前記外面洗浄部4は、軟質スポンジ4Aの厚み方向一側面に、天然繊維又は合成繊維及びそれらを混合した混合繊維を基材としてシート状に構成された研磨性能の高い不織布4Bを貼着して第1洗浄面4aを構成し、天然繊維又は合成繊維及びそれらを混合した混合繊維を基布として多数の短繊維を織成又は編成してあるシート状のブラシ毛4Cを貼着して、前記第1洗浄面4aの洗浄性能とは異なる第2洗浄面4bを構成してある。
【0048】
前記第2支持体5には、外面洗浄部4の軟質スポンジ4Aにおける厚み方向の中間部分を圧縮状態で挿通保持する保持枠5Aが備えられ、この保持枠5Aの内側面の複数箇所(当該実施形態では3箇所)には、挿通保持された外面洗浄部4の軟質スポンジ4Aの中間部分に食い込み可能な先鋭な抜止め突起5Bが形成されている。
【0049】
前記外面洗浄部4の輪郭形状及び第2支持体5の保持枠5Aの輪郭形状は略五角形に構成され、前記保持枠5Aの内面寸法は、軟質スポンジ4Aを圧縮状態で保持する分だけ外面洗浄部4の外面寸法よりも小に構成されている。
【0050】
前記第2支持体5の保持枠5Aと杆状把持体6の第2把持部位6Bとを相対回転自在に連結する第1連結部11が設けられている。
この第1連結部11は、第2支持体5の保持枠5Aの底辺側中央位置において一体的に突出形成された係合穴11A付きの連結筒部11Bと、この連結筒部11Bの係合穴11A内の小径係止部11aに対して無理嵌め状態で押し込み係合可能な環状係止溝11bを備えた係合部11Cとから構成されている。
【0051】
尚、前記連結筒部11B側の小径係止部11aと係合部11C側の環状係止溝11bとの抜止め係合力を高める場合には、前記係合部11Cに、連結手段3Cの連結ピン3eに形成されているスリット3gと同様なスリットを形成して、係合穴11A内の小径係止部11aへの挿入時に係合部11Cがそれ自身の弾性復元力に抗して縮径し、且つ、通過直後に弾性復元力で拡径して小径係止部11aと環状係止溝11bとが抜止め係合するように構成してもよい。
【0052】
〔第2実施形態〕
図7は、前記第2支持体5の保持枠5Aを杆状把持体6の第2把持部位6Bに対して異なる向き姿勢に付け替え可能に連結する第2連結部12を設けてある洗浄具の別の実施形態を示す。
前記第2連結部12は、第2支持体5の保持枠5Aの底辺側中央位置に、係止周溝12aを備えた横断面形状が正方形状の連結角軸12Aを形成するとともに、杆状把持体6の第2把持部位6Bには、連結角軸12Aが90度単位で差し替え可能な状態で嵌合する連結角穴12Bと、当該連結角穴12Bに嵌合連結された連結角軸12Aの係止周溝12aに係合するボール12Cと、このボール12Cを係合方向に付勢するバネ12D、及び、バネ12Dの上端を受止める状態で指当て部10に螺合装着されているキャップ12を設けて構成されている。
【0053】
そのため、当該実施形態では、前記キャップ12の上面が、杆状把持体6を把持した手の第1指に対する指当て部10の押圧操作面10aに構成されている。
【0054】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0055】
〔第3実施形態〕
図8は、前記外面洗浄部4を、杆状把持体6の第2把持部位6Bに一体形成された第2支持体5に対して回転可能に連結する第3連結部13を設けてある洗浄具の別の実施形態を示す。
前記第3連結部13を構成するに、前記第2支持体5を、先端に雄ネジ13aを備えた横断面形状が円形の支持軸13Aから構成するとともに、前記外面洗浄部4の軟質スポンジ4Aには、支持軸13Aに相対回転自在に外嵌される円筒状の連結筒13Bを貫通状態で設けるとともに、軟質スポンジ4Aの連結筒13Bを貫通して突出する支持軸13Aの雄ネジ13aには、座金13Cを介して外面洗浄部4の抜け出しを阻止するナット13Dが螺合されている。
【0056】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、第3実施形態の変形例として、前記支持軸13Aを横断面形状が正方形の角軸に形成するとともに、前記連結筒13Bを支持軸13Aに90度単位で差し替え可能な角筒状に形成して、前記外面洗浄部4を、第2支持体5である支持軸13Aに対して異なる向き姿勢に付け替え可能に構成してもよい。
【0057】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の各実施形態では、前記外面洗浄部4を、容器1の外周面1bにおける口部側部位を洗浄対象としているために、内面洗浄部2よりも短い大きさに構成したが、この外面洗浄部4を内面洗浄部2と同じ又は略同じ長さに構成してもよい。
【0058】
(2)上述の各実施形態では、前記外面洗浄部4を、軟質スポンジ4Aの厚み方向の両側面に、シート状の不織布4Bとシート状のブラシ毛4Cとを貼り付けて構成したが、一つの洗浄面が軟質スポンジ4Aの一側面で構成されるように、軟質スポンジ4Aの他側面にのみシート状の不織布4B又はシート状のブラシ毛4Cを貼着してもよい。
また、前記内面洗浄部2及び外面洗浄部4を洗浄ブラシから構成してもよい。
【0059】
(3)洗浄性能の異なる複数種類の外面洗浄部4を各別に支持する複数の第2支持体5を準備し、これら第2支持体5を、洗浄対象の容器1の汚れ状況に応じて杆状把持体6の第2把持部位6Bに付け替え可能に構成してもよい。
また、洗浄性能の異なる複数種類の内面洗浄部2を各別に支持する複数の第1支持体3を準備し、これら第1支持体3を、洗浄対象の容器1の汚れ状況に応じて杆状把持体6の第1把持部位6Aに付け替え可能に構成してもよい。
【0060】
(4)上述の第1実施形態では、前記把持部6の少なくとも端部側の把持部分6Cを第2支持体5の存在側とは反対側に屈曲形成したが、前記把持部6を直線状のU字状に構成してもよい。
前記把持部6としては、前記両洗浄部2,4を相対近接操作可能な状態で前記両支持体3、5の基部を接合することのできるものであれば、如何なる把持構造に構成してもよい。
【0061】
(5)上述の第1実施形態では、前記外面洗浄部4の輪郭形状及び第2支持体5の保持枠5Aの輪郭形状を略五角形に構成したが、矩形や円形等の他の輪郭形状に構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上説明したように、把持部に対する手のずれ動きを抑制した状態で把持部に押し引き操作力を的確に加えることができ、しかも、容器の汚れに応じて内面洗浄部と外面洗浄部との挾持力を確実、簡単に調節操作することができる洗浄具を提供することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 容器
1a 内周面
1b 外周面
2 内面洗浄部
2A スポンジ体
2B スポンジ体
3 第1支持体
3A 挾持体
3B 挾持体
3C 連結手段
4 外面洗浄部
4a 洗浄面(第1洗浄面)
4b 洗浄面(第2洗浄面)
5 第2支持体
5A 保持枠
5B 抜止め突起
6 把持部(杆状把持体)
6A 第1把持部位
6B 第2把持部位
6C 把持部分(U字状把持部分)
8 指掛け部
9 滑り止め部
10 指当て部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の内周面を洗浄する内面洗浄部を支持する第1支持体と、容器の外周面を洗浄する外面洗浄部を支持する第2支持体と、前記両洗浄部を相対近接操作可能な状態で前記両支持体の基部を接合する把持部とを備えた洗浄具であって、
前記第1支持体に連続する把持部の第1把持部位には、把持部を把持した手の第2指〜第4指のいずれかに対する指掛け部を設けるとともに、前記第2支持体に連続する把持部の第2把持部位には、把持部を把持した手の第1指に対する指当て部が設けられている洗浄具。
【請求項2】
前記把持部の少なくとも端部側の把持部分が第2支持体の存在側とは反対側に屈曲形成されている請求項1記載の洗浄具。
【請求項3】
前記把持部が、把持可能な状態で中間部が折り返し形成され、且つ、横断面形状が両洗浄部の相対近接方向に対して直行する横方向に細長い杆状把持体から構成されている請求項1又は2記載の洗浄具。
【請求項4】
前記外面洗浄部の第2支持体が、前記把持部の第2把持部位に対して回転又は異なる向き姿勢に付け替え可能に構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄具。
【請求項5】
前記外面洗浄部が、前記第2支持体に対して回転又は異なる向き姿勢に付け替え可能に構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗浄具。
【請求項6】
前記把持部の第1把持部位には指の滑り止め部が形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の洗浄具。
【請求項7】
前記第1支持体には、前記内面洗浄部を構成する複数枚の積層されたスポンジ体を圧縮状態で挾持する一対の挾持体と、スポンジ体を貫通した状態で両挾持体を設定挾持間隔に連結する連結手段とが備えられているとともに、前記一方の挾持体が外面洗浄部の洗浄面に対面する状態で前記第1支持体が把持部に接合されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の洗浄具。
【請求項8】
前記第2支持体には、可撓性のある外面洗浄部の中間部分を圧縮状態で挿通保持する保持枠が備えられ、この保持枠には、挿通保持された外面洗浄部の中間部分に食い込み可能な抜止め突起が形成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の洗浄具。
【請求項9】
前記外面洗浄部には、洗浄性能の異なる複数の洗浄面が形成されている請求項4又は5記載の洗浄具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−39250(P2013−39250A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178555(P2011−178555)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【特許番号】特許第5149982号(P5149982)
【特許公報発行日】平成25年2月20日(2013.2.20)
【出願人】(000100850)株式会社アイセン (33)