説明

洗浄剤組成物

【課題】 本発明は、低温および高温保管下において格段優れた安定性を兼ね備えること、起泡性、洗浄力、水への溶解性およびスクラブ感に優れた効果を有すること、脂肪酸石鹸特有の突っ張り感を抑えること、タオルドライ後に適度なしっとり感を持たせること等を可能にする、洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】 (A)スルホコハク酸アルキル塩および/又はスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩、(B)ベタイン型両性界面活性剤、好ましくはラウリン酸アミドプロピルベタインおよび/又はラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、(C)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、(D)高級脂肪酸塩、および(E)粉体、好ましくはポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末、タルク、シリコンパウダー、酸化チタンからなる群から選ばれる1種以上を含有してなる洗浄剤組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物に関する。更に詳しくは、低温又は高温に保管しても優れた製剤安定性を有し、起泡性、洗浄力に優れるとともに、しっとり感、スクラブ感に優れ、つっぱり感を生じない洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、洗浄剤組成物は、固形乃至ペースト状およびゲル状に代表される高級脂肪酸石鹸が主流である。高級脂肪酸石鹸の最大の特徴は、洗浄力および起泡力が優れていること、すすぎ後のさっぱり感が良好であることが挙げられる。
【0003】
しかしながら、高級脂肪酸石鹸の場合、優れた起泡力および洗浄力を有する反面、以下の問題点を有する。すなわち、皮膚への刺激性、タオルドライ後の肌のつっぱり感、低温保存下での高級脂肪酸塩の結晶析出、高温保存下での高級脂肪酸塩の変色、更には、高級脂肪酸塩が液状化し、水との比重差のために分離が生じるといった問題を有する。
【0004】
このような問題点を解決するために、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸を特定比率で配合することにより、皮膚刺激性を低減した皮膚洗浄料(特許文献1を参照)、高級脂肪酸塩にアミドエーテルサルフェート型陰イオン性界面活性剤、アルカノールアミド型界面活性剤及び非イオン性高分子を配合することにより、泡立ち性の向上および皮膚刺激性を低減した洗浄剤組成物(特許文献2を参照)、陽イオン性高分子及びポリエチレングリコールを添加することにより、泡立ち性等を改善し、洗浄後のなめらかさを向上した液体セッケン組成物(特許文献3を参照)、多価アルコール類を高濃度で配合させることにより、脂肪酸塩の溶解度を向上させ、低温保存下での安定性を向上したゲル状洗浄剤組成物(特許文献4を参照)などが提案されている。
【0005】
しかしながら、これら試みに拠っても、皮膚刺激性、製剤安定性、泡立ち性、すすぎ後のぬるつきやベタつきなど、高級脂肪酸石鹸特有の諸問題の解決には至っておらず、未だ満足しうるものではない。
【0006】
【特許文献1】特開平7−76514号公報
【特許文献2】特開平10−158686号公報
【特許文献3】特開平2−142900号公報
【特許文献4】特開昭63−57699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、温度変化に格段優れた製剤安定性を兼ね備えること、起泡性、洗浄力、水への溶解性およびスクラブ感に優れた効果を有すること、脂肪酸石鹸特有のつっぱり感を抑えること、タオルドライ後に適度なしっとり感を持たせること等を可能にする、洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、請求項1に係る発明は、(A)スルホコハク酸アルキル塩および/又はスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩、(B)ベタイン型両性界面活性剤、(C)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、(D)高級脂肪酸塩、および(E)粉体を含有してなる洗浄剤組成物に関する。
請求項2に係る発明は、前記(A)成分が、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウムおよび/又はスルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウムである請求項1記載の洗浄剤組成物に関する。
請求項3に係る発明は、前記(B)成分が、ラウリン酸アミドプロピルベタインおよび/又はラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインである請求項1又は2記載の洗浄剤組成物に関する。
請求項4に係る発明は、前記(D)成分が、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩からなる群より選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の洗浄剤組成物に関する。
請求項5に係る発明は、(前記(E)成分が、ポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末、タルク、シリコンパウダー、酸化チタンからなる群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の洗浄剤組成物に関する。
請求項6に係る発明は、請求項1〜5いずれか記載の洗浄剤組成物からなる洗顔剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の洗浄剤組成物は、低温保管下での高級脂肪酸塩の析出防止、並びに高温保管下での変色および分離抑制に優れた製剤安定性を有するとともに、起泡性、洗浄力、さっぱり感およびしっとり感に優れた効果を奏する。更に、高級脂肪酸石鹸特有の突っ張り感も抑制することができることから、製剤安定性および使用感に格段優れた洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の洗浄剤組成物は、(A)スルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩および/又はスルホコハク酸アルキル塩、(B)ベタイン型両性界面活性剤、(C)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、(D)高級脂肪酸塩、および(E)粉体を含有してなる。
【0011】
本発明に用いられる(A)成分のスルホコハク酸アルキル塩は、例えば、アルキルアルコールと無水マレイン酸とをエステル化してマレイン酸モノエステルとし、これに酸性亜硫酸ナトリウムなどを付加させて得られる。一方、(A)成分のスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩は、例えば、酸化エチレン付加のアルキルアルコールと無水マレイン酸とをエステル化してマレイン酸モノエステルとし、これに酸性亜硫酸ナトリウムなどを付加させて得られる。用いられるアルキルアルコールとしては特に限定されないが、炭素数6〜22のアルキルアルコールが好ましい。これらのうち、好適なスルホコハク酸アルキル塩又はスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩の例としては、洗浄力、起泡力、泡の持続力、皮膚および眼粘膜への安全性が優れている観点から、スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウムやスルホコハク酸ラウリル二ナトリウムが挙げられ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0012】
尚、前記スルホコハク酸アルキル塩および/又はスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩は、商業的に容易に入手しうるものである。その例としては、コグニスジャパン(株)製、商品名:Texapon SB−3、新日本理化(株)製、商品名:リカマイルド ES−100などのスルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウム;東邦化学工業(株)製、商品名:コハクール L−40などのスルホコハク酸ラウリル二ナトリウムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示にのみ限定されるものではない。
【0013】
本発明の洗浄剤組成物におけるスルホコハク酸アルキル塩および/又はスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩の配合量は、所望の洗浄力、起泡力が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、洗浄力、起泡力、泡の持続力およびしっとり感を高める観点から、組成物中、0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上であることが望ましく、べたつき感および皮膚への刺激を抑制する観点から、20重量%以下、好ましくは15重量%以下であることが望ましい。これらの観点から、洗浄剤組成物における配合量は、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%である。
【0014】
本発明に用いられる(B)ベタイン型両性界面活性剤は特に限定されないが、例えば、アミドプロピルベタイン型界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型界面活性剤、スルフォベタイン型界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン型界面活性剤等のベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。より具体的には、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン等のアミドプロピルベタイン型界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−プロピルスルホン酸塩、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、N−脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩等のスルフォベタイン型両性界面活性剤;2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシル−N−ヒドロキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリニウム型ベタイン型両性界面活性剤等を例示することができ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。好適なベタイン型両性界面活性剤としては、洗浄力、起泡力および泡の持続力が優れている観点から、アミドプロピルベタイン型界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤が好ましく、特に、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインがより好ましい。
【0015】
尚、前記ベタイン型両性界面活性剤は、商業的に容易に入手しうるものである。その例としては、ミヨシ油脂(株)製、商品名:アンホレックス LB−2、新日本理化(株)製、商品名:リカビオン B−300、川研ファインケミカル(株)製、商品名:ソフタゾリン LPBなどのラウリン酸アミドプロピルベタイン;東邦化学工業(株)製、商品名:オバゾリン LB−SF、花王(株)製、商品名:アンヒトール 20BS、新日本理化(株)製、商品名:リカビオン A−100などのラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示にのみ限定されるものではない。
【0016】
本発明の洗浄剤組成物におけるベタイン型両性界面活性剤の配合量は、所望の洗浄力、起泡力が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、洗浄力、起泡力および泡の持続力を高める観点から、組成物中、0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上であることが望ましく、べたつき感および皮膚への刺激を抑制する観点から、20重量%以下、好ましくは15重量%以下であることが望ましい。これらの観点から、洗浄剤組成物におけるベタイン型両性界面活性剤の配合量は、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%である。
【0017】
本発明で用いられる(C)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は、アクリル酸とメタクリル酸アルキルの共重合体であり、例えば米国特許第4,509,949号明細書に詳述されている。用いられるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は特に限定されないが、メタクリル酸ユニットのアルキル基の炭素数が10〜30であるものが好ましい。商業的に入手しうるものとしては、ビー・エフ・グッド・リッチ(BF Goodrich)社製、商品名:カーボポール ETD2020、PEMULEN TR−1、PEMULEN TR−2、CARBOPOL1342、CARBOPOL1382などが挙げられるが、本発明は、かかる例示にのみ限定されるものではない。
【0018】
本発明の洗浄剤組成物におけるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合量は、所望の粘性および粉体の分散性が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、粉体の均一な分散性を保たせる観点から、組成物中、0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上であることが望ましく、流動性を保たせる観点から、10重量%以下、好ましくは5重量%以下であることが望ましい。これらの観点から、洗浄剤組成物におけるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合量は、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0019】
また、本発明においては、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を中和して粘性を発揮させる。中和剤として添加される塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の有機アミン類;アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基類が例示できる。塩基性物質の配合量は、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が粘性を発揮できる量であり、中和するに充分な量を使用塩基に合わせて適宜配合すればよい。
【0020】
本発明に用いられる(D)高級脂肪酸塩に用いられる高級脂肪酸は特に限定されないが、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の炭素数12〜22の高級脂肪酸、オリーブ油、ヤシ油、パーム油、綿実油等の植物性油脂、魚油、牛脂等の動物性油脂等を例示することができ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。本発明においては、洗浄力および起泡力を向上させる観点から、炭素数12〜22の高級脂肪酸を用いるのが好ましく、特に、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩がより好ましく用いられる。
【0021】
高級脂肪酸塩の塩としては、高級脂肪酸をアルカリ剤でケン化、又は中和した、アルカリ金属塩や有機アミン塩等を例示することができる。用いられるアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機アルカリ;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の有機アルカリが挙げられる。本発明では、製剤の安定性を向上させる観点から、有機アルカリを用いることが好ましく、なかでもトリエタノールアミンがより好ましい用いられる。
【0022】
本発明の洗浄剤組成物に高級脂肪酸塩を配合する場合、高級脂肪酸とアルカリ剤を予め高級脂肪酸塩として調製後に配合するか、或いは該組成物中で高級脂肪酸とアルカリ剤を配合して高級脂肪酸塩としてもよい。
【0023】
尚、前記高級脂肪酸は、商業的に容易に入手しうるものである。その例としては、ヘンケル(Henkel)社製、商品名:EDENOR C−12、EDENOR C−14、EDENOR C−16、EDENOR C−18などが挙げられるが、本発明は、かかる例示にのみ限定されるものではない。
【0024】
本発明の洗浄剤組成物における高級脂肪酸塩の配合量は、本発明の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、起泡力および洗浄力を向上させる観点から、高級脂肪酸として組成物中、0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上であることが望ましく、皮膚刺激の抑制、つっぱり感の抑制および粘度上昇に伴う使用感の悪化を抑制させる観点から、20重量%以下、好ましくは15重量%以下であることが望ましい。これらの観点から、洗浄剤組成物における高級脂肪酸塩の高級脂肪酸としての配合量は、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%である。
【0025】
(E)粉体としては、本発明の効果を発揮すれば特に限定されないが、洗浄時の使用感を向上させる観点から、スクラブ感を有するものが好ましい。具体的には、有機粉末としてポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末が挙げられ、無機粉末としてタルク、シリコンパウダー、酸化チタンが挙げられる。これらの中では、スクラブとしての使用感、起泡性の向上および水への溶解性を向上させる観点から、ポリエチレン粉末、若しくはタルクが好ましい。
【0026】
用いる粉体の粒子径は、本発明の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、スクラブとしての使用感、起泡性の向上および水への溶解性を向上させる観点から、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上であり、また、皮膚と接触したときの違和感を低減させる観点から、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下である。これらの観点から、粉体の粒子径は、好ましくは50〜1000μm、より好ましくは100〜500μmである。
【0027】
尚、前記粉体は、商業的に容易に入手しうるものである。その例としては、Honeywell社製、商品名:AC ポリエチレン 6Aなどのポリエチレン粉末、松村産業社製、商品名:クラウンタルクなどのタルクなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示にのみ限定されるものではない。
【0028】
本発明の洗浄剤組成物における粉体の配合量は、上述した如く、本発明の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、スクラブとしての使用感、起泡性の向上および水への溶解性を向上させる観点から、組成物中、0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上であることが望ましく、皮膚と接触したときの違和感を低減および組成物自体の硬化を抑制させる観点から、20重量%以下、好ましくは10重量%以下であることが望ましい。これらの観点から、洗浄剤組成物における粉体の配合量は、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
【0029】
また、本発明の洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に通常化粧品に用いられる成分、例えば、陽イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、動植物由来油脂、シリコーン類、低級アルコール、動植物由来抽出エキス、保湿剤、清涼剤、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、ビタミン類、酸化防止剤、防腐・殺菌剤、pH調整剤、抗酸化剤、着色剤、各種香料などを適宜、その用途、目的などに応じて配合することができる。
【0030】
尚、本発明において、洗浄剤組成物の全量が100重量%となるように、残部に水が用いられる。かかる水の種類には限定がなく、一般に、精製水を用いることができる。
【0031】
本発明の洗浄剤組成物は、常法により製造することができ、液状、ジェル状、クリーム状などの種々の剤型に適用することができる。その用途としては、例えば、ボディーソープ、ハンドソープ、ボディーシャンプーなどの皮膚用洗浄剤や洗顔剤が挙げられ、なかでも、使用時の洗浄力およびスクラブ感に優れるとともに、使用後のさっぱり感およびしっとり感に優れ、つっぱり感を生じさせないという観点から、洗顔剤に好ましく用いることができる。
【実施例】
【0032】
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0033】
実施例1〜12および比較例1〜4
表1〜3に記載した各成分を常法により混合することにより、洗浄剤組成物を調製した。尚、各表に記載の成分の詳細は、以下の通りである。また、各表に記載成分の量の単位は、いずれも「重量%」である。
【0034】
・スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウム:新日本理化(株)製、商品名:リカマイルド ES−100
・スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム:東邦化学工業(株)製、商品名:コハクール L−40
・ラウリン酸アミドプロピルベタイン:新日本理化(株)製、商品名:リカビオン B−300
・ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン:新日本理化(株)製、商品名:リカビオン A−100
・アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:ビー・エフ・グッド・リッチ(BF Goodrich)社製、商品名:カーボポール ETD 2020
・高級脂肪酸:ヘンケル(Henkel)社製、商品名:EDENOR C−12、EDENOR C−14、EDENOR C−16、EDENOR C−18
・ポリエチレン粉末:Honeywell社製、商品名:AC ポリエチレン 6A
・タルク:松村産業社製、商品名:クラウンタルク
【0035】
次に、各実施例および比較例で得られた洗浄剤組成物の物性を以下の方法に従って調べた。その結果を表1〜3に示した。
【0036】
(試験例1)起泡力
各実施例および各比較例で得られた洗浄剤組成物の2%水溶液50mLを目盛り付き容器(250mL)に封入し、25℃の条件下で卓上ミキサーにより5秒間攪拌後、洗浄液の体積の増加率(%)を起泡力として測定し、以下の評価基準に従って評価した。
【0037】
<起泡力の評価基準>
◎:増加率400%以上
○:増加率300%〜400%未満
△:増加率200%〜300%未満
×:増加率200%未満
【0038】
(試験例2)洗浄力
加温した人工皮脂にケラチン布(3cm×3cm)を浸して汚染布とし、このものを各実施例および各比較例で得られた洗浄剤組成物の10%水溶液に50℃で1時間浸漬後、水洗した。各試料の洗浄力(%)は、人工皮脂の除去率を汚染布の重量変化から下記式により算出し、以下の評価基準に従って評価した。
洗浄力(%)=(塗布時人工皮脂量−洗浄後人工皮脂量)÷(塗布時人工皮脂量)×100
【0039】
<洗浄力の評価基準>
◎:75%以上
○:50%〜75%未満
△:25%〜50%未満
×:25%未満
尚、人工皮脂は、トンシ40重量%、オレイン酸13重量%、豚ミリスチン12重量%、スクワレン12重量%、パラフィンワックス10重量%、ステアリン酸モノグリセリン3重量%、コレステロール2重量%、赤色202号残分の組成のものを調製して用いた。
【0040】
(試験例3)皮膚洗浄剤組成物の評価1
各実施例および各比較例で得られた洗浄剤組成物料を、専門パネラー10名により、洗顔剤の態様による試験を行い、水への溶解性を以下の評価基準に従って官能評価した。
【0041】
<水への溶解性の評価基準>
◎:非常に良好(10名中8名以上が良いと回答)
○:良好(10名中6〜7名が良いと回答)
△:普通(10名中4〜5名が良いと回答)
×:不良(10名中3名以下が良いと回答)
【0042】
(試験例4)皮膚洗浄剤組成物の評価2
各実施例および各比較例で得られた洗浄剤組成物を、専門パネラー10名により、洗顔剤の態様による使用試験を行い、使用中のスクラブ感(スクラブ効果)を以下の評価基準に従って官能評価した。
【0043】
<スクラブ効果の評価基準>
◎:十分ある(10名中8名以上がある)
○:ある(10名中6〜7名がある)
△:あまりない(10名中4〜5名がある)
×:ない(10名中3名以下がある)
【0044】
(試験例5)皮膚洗浄剤組成物の評価3
各実施例および各比較例で得られた洗浄剤組成物を、専門パネラー10名により、洗顔剤の態様による使用試験を行い、使用後の肌のつっぱり感を以下の評価基準に従って官能評価した。
【0045】
<つっぱり感の評価基準>
◎:非常に良好(10名中8名以上がつっぱらないと回答)
○:良好(10名中6〜7名がつっぱらないと回答)
△:普通(10名中4〜5名がつっぱらないと回答)
×:不良(10名中3名以下がつっぱらないと回答)
【0046】
(試験例6)皮膚洗浄剤組成物の評価4
各実施例および各比較例で得られた洗浄剤組成物を、専門パネラー10名により、洗顔剤の態様による使用試験を行い、使用後のしっとり感について以下の評価基準に従って官能評価した。
【0047】
<しっとり感の評価基準>
◎:十分ある(10名中8名以上がある)
○:ある(10名中6〜7名がある)
△:あまりない(10名中4〜5名がある)
×:ない(10名中3名以下がある)
【0048】
(試験例7)低温安定性
各実施例および各比較例で得られた洗浄剤組成物を50mLサンプル管に封入し、−3℃の恒温槽に120時間保管後、系の状態を目視観察して以下の評価基準に従って評価した。
【0049】
<低温安定性の評価基準>
◎:製造直後と変化無し
○:僅かに脂肪酸塩の析出が認められる
△:脂肪酸塩の析出が認められるが、室温に戻すと溶解する
×:脂肪酸塩の析出が認められ、室温に戻しても状態の変化無し
【0050】
(試験例8)高温安定性
各実施例および各比較例で得られた洗浄剤組成物を50mLサンプル管に封入し、55℃の恒温槽に120時間保管後、系の状態を目視観察して以下の評価基準に従って評価した。
【0051】
<高温安定性の評価基準>
○:製造直後と変化無し
△:僅かな分離が認められる
×:明らかな分離が認められる
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
【表3】

【0055】
表1〜2に示される結果の通り、本発明に係る洗浄剤組成物は、表3に示される比較例結果と比べ、起泡力、洗浄力、および水への溶解性に優れ、使用時の適度なスクラブ効果を持ち、使用後のつっぱり感を抑えながらしっとり感を有するという格段優れた使用感を有することが分かる。更に、−3℃の低温下に保存しても、脂肪酸塩の析出を起こさず、55℃の高温下に保存しても、明らかな変色および分離を起こさず、温度変化による製剤安定性が非常に高いことが分かる。
【0056】
以下、本発明に係る洗浄剤組成物の処方例を示す。尚、含有量は重量%である。
【0057】
(処方例1:洗顔剤)
スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウム(30%) 30.0
ラウリン酸アミノ酢酸ベタイン(30%) 25.0
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 1.0
ラウリン酸 1.5
パルミチン酸 2.0
トリエタノールアミン 0.8
タルク 5.0
メントール 0.3
パラオキシ安息香酸メチル 0.3
パラオキシ安息香酸プロピル 0.1
精製水 残 量
合計 100.0
【0058】
(処方例2:洗顔剤)
スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウム(30%) 30.0
ラウリン酸アミノ酢酸ベタイン(30%) 15.0
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 1.0
ラウリン酸 0.5
ミリスチン酸 1.0
パルミチン酸 1.0
ソルビット液(70%) 5.0
トリエタノールアミン 0.8
ポリエチレン末 2.0
メントール 0.4
パラオキシ安息香酸メチル 0.3
パラオキシ安息香酸プロピル 0.1
精製水 残 量
合計 100.0
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の洗浄剤組成物は、低温および高温保管下における脂肪酸石鹸特有の不安定化を安定化させると共に、起泡力、洗浄力および水への溶解性に優れることから、洗浄剤に用いることができる。また、使用後の突っ張り感を抑えながらしっとり感を有するという格段優れた使用感を有するものであるから、ボディーソープ、ハンドソープ、ボディーシャンプーなどの皮膚用洗浄剤に好適に用いることができる。更には、使用時の適度なスクラブ効果を持つことから、洗顔剤に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)スルホコハク酸アルキル塩および/又はスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩、(B)ベタイン型両性界面活性剤、(C)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、(D)高級脂肪酸塩、および(E)粉体を含有してなる洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記(A)成分が、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウムおよび/又はスルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウムである請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が、ラウリン酸アミドプロピルベタインおよび/又はラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインである請求項1又は2記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記(D)成分が、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩からなる群より選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記(E)成分が、ポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末、タルク、シリコンパウダー、酸化チタンからなる群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載の洗浄剤組成物からなる洗顔剤組成物。

【公開番号】特開2006−169453(P2006−169453A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366979(P2004−366979)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】