説明

洗浄剤組成物

【課題】起泡力に優れ、洗いあがりの肌のつっぱり感が無く、また経時安定性にも優れていることを特徴とする洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)炭素数12〜18の高級脂肪酸塩から選ばれる一種又は二種以上、(B)炭素数12〜18の脂肪酸モノエタノールアミド及び/又はジエタノールアミドから選ばれる一種又は二種以上、(C)水、(D)1,2−ペンタンジオールを含有することを特徴とする洗浄剤組成物。さらに成分(E)煙霧状シリカを含有することを特徴とする洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素数12〜18の高級脂肪酸塩から選ばれる一種又は二種以上、炭素数12〜18の脂肪酸モノエタノールアミド及び/又はジエタノールアミドから選ばれる一種又は二種以上、1,2−ペンタンジオール、及び水を含有した洗浄剤組成物に関し、更に詳しくは起泡力に優れ、また良好な使用性を与える粘性を持ち、洗い上がりの肌につっぱり感のないことを特徴とする洗浄剤組成物に関するものである。さらには煙霧状シリカを含有した経時安定性にも優れていることを特徴とする洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、皮膚、毛髪等における洗浄剤組成物は、本来の機能である清浄作用に加えて、高い起泡性や洗い上がりの肌感触といった使用品質面での要求が高まっている。そのため、従来より洗浄基剤である各種界面活性剤に水溶性高分子や油剤など種々の成分を配合検討する試みがなされている。
【0003】
例えば、代表的な洗浄基剤としての高級脂肪酸塩を配合した技術としては、高級脂肪酸塩とアミドプロピルベタイン型界面活性剤とヒドロキシプロピルメチルセルロースとを組み合わせる技術がある(例えば、特許文献1参照)。高級脂肪酸塩は、様々なアニオン性界面活性剤の中でも、特に高い起泡力を有し、洗浄剤組成物に広く応用されている。
【0004】
また、洗浄基剤としてはノニオン界面活性剤も多く用いられており、例えば脂肪酸アルカノールアミドと油性成分とアニオン界面活性剤とを組み合わせた技術がある(例えば特許文献2参照)。脂肪酸アルカノールアミドの中でも、脂肪酸モノエタノールアミドや脂肪酸ジエタノールアミドは、泡質やすすぎ感触を向上させることでも知られており(例えば特許文献3参照)、さらには泡立て時の泡の安定性を高める等の効果もある。また、洗浄剤組成物を増粘させる技術には、他にアクリル酸アルキルコポリマーを配合する技術、カチオン化フェヌグリークガムを配合する技術等がある(例えば特許文献4及び特許文献5)。
【0005】
一方、上記のような洗浄剤組成物には、通常、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコールや、安息香酸ナトリウムなどの防腐剤を配合することもまた必要な技術として検討されている(例えば、特許文献6及び特許文献7参照)。しかし前述にある高級脂肪酸塩と脂肪酸モノエタノールアミドや脂肪酸ジエタノールアミドと、1,3−ブタンジオールなどの多価アルコールとを組み合わせて洗浄剤組成物を調製した場合、この多価アルコールの配合量によって洗浄剤組成物の粘度が低下したり、また製剤の起泡力が低下したりする等の現象が知られている。(例えば非特許文献1参照)
【0006】
また、近年において1,2−アルカンジオールは上記多価アルコール類と比較して、優れた防腐力を有することが明らかとなってきており、1,2−アルカンジオールとα−ヒドロキシ酸とを組み合わせた技術(例えば特許文献8参照)や、1,2−オクタンジオールと高級脂肪酸塩とを組み合わせた技術(例えば特許文献9参照)等が挙げられる。
更に、上記にて述べたような洗浄剤組成物に煙霧状シリカを用いてゲル化させる技術があり、例えばイオン性界面活性剤水溶液と水溶性ポリアルキレングリコールに煙霧状シリカを配合する技術(例えば特許文献10参照)、アニオン界面活性剤と水溶性ポリアルキレングリコール、カチオン性高分子及び/又は両性の界面活性剤に、煙霧状シリカを配合する技術(例えば特許文献11参照)がある。
【0007】
【非特許文献1】新版 界面活性剤ハンドブック(工学図書株式会社版)
【特許文献1】特開2002−167324号公報
【特許文献2】特開2007−16109号公報
【特許文献3】特開2002−53455号公報
【特許文献4】特開2006−348258号公報
【特許文献5】特許第3880960号公報
【特許文献6】特許第3689846号公報
【特許文献7】特開2007−84482号公報
【特許文献8】特開2007−161641号公報
【特許文献9】特開2004−231580号公報
【特許文献10】特公平7−545号公報
【特許文献11】特開2002−363061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献4の例のようにアクリル酸アルキルコポリマーを用いた場合や、特許文献5の例のようにカチオン化フェヌグリークガムを用いた場合、それらの成分に由来する膜感やつっぱり感が洗い上がりの肌に生じるという場合があった。
【0009】
また、上記のような洗浄剤組成物にゲル化剤として煙霧状シリカを配合したゲル状組成物においては、煙霧状シリカを含有させる前の洗浄剤水溶液の粘度を、より高く保つことで、得られるゲル組成物の経時でのゲルの収縮を抑制し、経時安定性を向上させる必要があるが、特許文献10や特許文献11の技術の場合、防腐剤としての目的のため、プロピレングリコールや1,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコールといった多価アルコール類を多量に配合する必要があり、結果として洗浄剤組成物の粘度低下や、起泡力が低下等が起こり、さらに経時でのゲルの収縮が起こる等の経時安定性上好ましくない場合があった。
【0010】
従って、起泡力に優れ、洗いあがりの肌のつっぱり感が無く、良好な使用性を与える粘性を有し、また経時安定性にも優れていることを特徴とする洗浄剤組成物の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる実情において、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、炭素数12〜18の高級脂肪酸塩から選ばれる一種又は二種以上と炭素数12〜18の脂肪酸モノエタノールアミド及び/又はジエタノールアミドから選ばれる一種又は二種以上、水、1,2−ペンタンジオールからなる洗浄剤組成物が、起泡力に優れ、良好な使用性を与える粘性を持ち、洗いあがりの肌のつっぱり感が無い効果に優れることを見出し、さらに煙霧状シリカを含有することにより、前記効果に加えて、経時安定性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は次の成分(A)〜(D);
(A) 炭素数12〜18の高級脂肪酸塩から選ばれる一種又は二種以上
(B) 炭素数12〜18の脂肪酸モノエタノールアミド及び/又はジエタノールアミドから選ばれる一種又は二種以上
(C) 水
(D) 1,2−ペンタンジオール
を含有することを特徴とする洗浄剤組成物に関する。
【0013】
さらに成分(E)煙霧状シリカを含有することを特徴とする洗浄剤組成物に関する。
【0014】
また成分(A)の含有量が5〜25質量%、成分(B)の含有量が2〜10質量%、成分(E)の含有量が5〜15質量%であることを特徴とする洗浄剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の洗浄剤組成物は、起泡力に優れ、洗い上がりの肌のつっぱり感が無く、良好な使用性を与える粘性を有し、また経時安定性にも優れる品質を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明について詳細に説明する。
本発明の成分(A)である炭素数12〜18の高級脂肪酸塩は、製剤における起泡力の付与の目的で配合され、化粧品一般に通常用いられる高級脂肪酸塩であれば特に制限なく用いることができ、予め中和された脂肪酸塩であっても、脂肪酸と塩基を製造工程内で中和することにより脂肪酸塩を形成させて配合しても良い。また性状としては固形状、液状などの制限もない。このような成分(a)に用いられる炭素数12〜18の高級脂肪酸塩としては、特に限定されず、脂肪酸としては飽和、不飽和もしくは直鎖、分岐いずれの脂肪酸も用いることができるが、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、オレイン酸などの単一脂肪酸の他、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸等の混合脂肪酸が挙げられる。また塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチルプロパンジオールなどのアルカノールアミン、リジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸などが挙げられ、この中で無機塩基およびトリエタノールアミン塩が好ましく、特に起泡性等の観点から水酸化カリウムが好ましい。これらはあらかじめ中和物として配合してもよいし、別々に配合して中和しても構わない。尚、一部未中和の脂肪酸が存在する場合には、pHの上昇が抑えられ、皮膚刺激抑制の観点からも好ましいことから、中和率は50〜95%が好ましい。固形状の成分(A)の市販例は、固形粉末状のラウリン酸カリウムである、ニッコール KM−4150(日光ケミカルズ社製)、ラウリン酸亜鉛である、ジンクラウレート パウダーベースL(日油社製)、ステアリン酸カルシウムである、カルシウムステアレート(日油社製)等が挙げられる。また、液状の成分(A)市販例としては、ヤシ油脂肪酸カリウム液である、アルホームK−100(新日本理化社製)、ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン液である、アルホームT−200(新日本理化社製)、ヤシ油脂肪酸カリウム・ミリスチン酸カリウム配合液体である、ニッコールMNK−40(日光ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0017】
本発明の成分(A)の含有量は、特に限定されるものではないが、5〜25質量%(以下、「質量%」は単に「%」と略す)が好ましく、また10〜20%がより好ましい。この範囲にすることで、起泡力に優れたものを得ることができる。
【0018】
本発明の洗浄剤組成物に用いられる成分(B)の炭素数12〜18の脂肪酸モノエタノールアミド及び/又はジエタノールアミドは、成分(A)とともに用いることで洗浄剤組成物の粘度を向上させる目的で配合されるものである。通常、化粧品一般に通常用いられているものであれば特に制限なく用いることが出来る。具体的には、ラウリン酸モノエタノールアミド、ミリスチン酸モノエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、パルミチン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等が挙げられる。これらの市販例としては、アミゾールCME(川研ファインケミカル社製)、アミゾールCDE(川研ファインケミカル社製)、トーホール230−XY(東邦化学社製)等が挙げられる。
【0019】
本発明の成分(B)の含有量は、特に限定されるものではないが、2〜10質量%が好ましく、さらに4〜8%がより好ましい。この範囲にすることで、洗浄剤組成物の粘度を向上させるとともに、使用性上好ましい洗浄剤組成物とすることができる。
【0020】
本発明の成分(C)の水は、成分(A)の希釈溶媒や、成分(E)煙霧状シリカの膨潤溶媒としての目的で含有されるものであり、化粧品一般に通常用いられる水であれば特に制限なく用いることが出来る。
【0021】
本発明の成分(C)の含有量は、特に限定されないが製剤の使用に好適な粘度や使用性上の点で概ね30〜90%が好ましい。
【0022】
本発明の成分(D)の1,2−ペンタンジオールは、洗浄剤組成物の防腐剤としての目的で配合するものである。これは従来、防腐剤として用いられているプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類と比較して、約3倍程度の防腐力を有しており、洗浄剤組成物への含有量を低減することが可能である。
【0023】
多価アルコール類は一般に、成分(A)及び成分(B)を含む洗浄剤組成物に含有することで粘度低下が起こることが知られている。本発明において従来の多価アルコール類ではなく、成分(D)を含有させることにより、防腐力に優れるだけでなく、洗浄剤組成物の粘度低下を抑えることができ、起泡力および経時安定性の観点からも非常に有用なものとなる。このような成分(D)としては、化粧品一般に通常用いられる1,2−ペンタンジオールであれば特に制限なく用いることが出来る。また、上記成分(D)の1,2−ペンタンジオールの市販例としては、HYDROLITE−5(シムライズ社製)、OriStar PTG(Orient Stars LLC社製)等が挙げられる。
【0024】
本発明の成分(D)の含有量は、特に限定されないが、洗浄剤組成物への防腐力を付与するという点や、洗浄剤組成物の起泡力などの点から3〜7%が好ましい。
【0025】
本発明の成分(E)の煙霧状シリカは、洗浄剤組成物の粘度を向上させるゲル化剤として用いられるものであり、化粧品一般に通常用いられる煙霧状シリカであれば特に制限なく用いることが出来る。また、成分(E)の具体例としては、特に限定されないが、5nm〜20nmの粒径であるものが好ましい。市販品としては、例えばAEROSIL 380S(日本アエロジル社製、平均粒子径:5〜7nm)、AEROSIL 200(日本アエロジル社製、平均粒子径:10〜15nm)、AEROSIL R972(日本アエロジル社製、平均粒子径:16nm)、AEROSIL R976S(日本アエロジル社製、平均粒子径:5〜10nm)等の市販品が挙げられる。
【0026】
本発明の成分(E)の含有量は、5〜15%が好ましく、さらには7〜13%がより好ましい。含有量がこの範囲であれば、洗いあがりのつっぱり感が無く、また良好な経時安定性を有するものを得ることができる。
【0027】
本発明の製造方法としては、成分(A)、成分(B)、成分(C)を60℃に加温し、均一に混合溶解後、室温まで冷却したものに、成分(D)を添加し均一に混合溶解することで得られる。またこのものに成分(E)を添加し、均一に混合攪拌することで、ゲル状の洗浄剤組成物とすることが可能である。
【0028】
本発明の洗浄料組成物には、上記必須成分のほかに通常化粧料に使用する成分、すなわち、油性成分、低級アルコール、保湿剤等の水性成分、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、油溶性高分子、油溶性樹脂、染料、清涼剤、色素、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で適宜配合することができる。
【0029】
油性成分としては、化粧品に一般に使用される動物油、植物油、合成油等の起源の固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、モンタンワックス等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、モクロウ、ミツロウ、ゲイロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ロジン酸ペンタエリスリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、キャンデリラワックス等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合メチルポリシロキサン、高重合メチルフェニルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、ステアリル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カリウム、12―ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0030】
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、その他に、例えばエチルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。また保湿剤として、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられ、これらより一種又は二種を用いることができる。
【0031】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、パラアミノ安息香酸系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4´−メトキシベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられ、これらより一種又は二種を用いることができる。
【0032】
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられ、これらより一種又は二種を用いることができる。
【0033】
本発明の洗浄剤組成物の用途は、洗顔料、クレンジング料、シャンプー、ボディー洗浄料等を例示することができる。また洗浄剤組成物の性状としては、低粘度である液状から成分(E)を含有することで粘度を増加させてゲル状とすることが可能である。本発明にはおいては成分(D)を用いることで防腐力に優れるだけでなく、洗浄剤組成物の粘度低下を抑えることができる。またさらに成分(E)を含有することで、起泡力および経時安定性の観点からも非常に有用なものとすることが可能となることからゲル状洗浄剤組成物において特に優れた効果を得ることができる。
【0034】
液状洗浄剤組成物としては、ディスペンサーやポンプ等の容器での使用が想定され、またゲル状洗浄剤組成物としては、チューブ容器での使用が想定されるが、これに限定されるものではない。
【実施例1】
【0035】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0036】
本発明品1〜9及び比較品1〜5:洗浄剤組成物(液状)
下記表1及び表2に示す洗浄剤組成物を調製し、その起泡力、洗い上がりのつっぱり感のなさ、粘度に関して下記の方法により評価した。その結果も併せて表1及び表2に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
*1: ニッコール KM−4150 (日光ケミカルズ社製)
*2: アルホーム T−200 (新日本理化社製)
*3: アミゾールCME (川研ファインケミカル社製)
*4: トーホール230−XY (東邦化学社製)
*5: アミゼット 1PC (川研ファインケミカル社製)
*6: ペミュレン TR−1 (NOVEON社製)
*7: HYDROLITE−5 (シムライズ社製)
【0040】
(製造方法)
A:成分1〜8を60℃に加温し、均一に混合溶解させる。
B:A成分を室温まで冷却し、成分9〜11を加えて均一に混合溶解させる。
C:容器に充填し、洗浄剤組成物(液状)を得た。
【0041】
(評価方法)
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)
イ.起泡力
ロ.洗いあがりのつっぱり感のなさ
ハ.粘度
イについては、各試料の1質量%の水溶液を作成し、ロスマイルス法にて起泡力の評価を行った。更に得られた泡の高さ値を下記4段階判定基準により判定した。またロについては専門パネル20名による使用テストを行い、そのつっぱり感のなさについて、それぞれ下記絶対評価にて7段階に評価し評点をつけ、各試料ごとにパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。ハについては、各試料の15℃における粘度を測定し、下記4段階判定基準により判定した。また粘度に関しては、芝浦システム社製 B型回転粘度計を用いて測定した。
【0042】
本発明の起泡力の評価に用いたロスマイルス法(ISO696、JIS K 3362)は、次に示す手順に準じて行なった。具体的には、試験液200mlを90cmの高さから、同濃度、同温度の試験液50mlを入れた目盛管中へ、直径2.9mmの細孔を通して流し込み、流下直後の泡の高さを測定するという方法を用いて行った。
【0043】
4段階判定基準
<ロスマイルス法による泡高さ値>
◎ : 300mm以上
○ : 200mm以上300mm未満
△ : 50mm以上200mm未満
× : 50mm未満
【0044】
<洗いあがりのつっぱり感のなさ>
絶対評価基準
(評点) : (評価)
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
【0045】
4段階判定基準
(判定) : (評点の平均点)
◎ : 4.5点以上 : 非常に良好
○ : 3.5点以上4.5点未満 : 良好
△ : 2.5点以上3.5点未満 : やや不良
× : 2.5点未満 : 不良
【0046】
4段階判定基準
(判定) : (粘度)
◎ : 2000mPa・S以上
○ : 500mPa・S以上2000mPa・S未満
△ : 100mPa・S以上500mPa・S未満
× : 100mPa・S未満
【0047】
表1及び表2の結果から明らかな如く、本発明品1〜9の洗浄剤組成物は、比較品1〜5の洗浄剤組成物に比べ、起泡力、洗い上がりのつっぱり感のなさ、粘度の全てにおいて優れたものであった。これに対して、成分(A)の代わりにヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムを用いた比較品1や成分(B)の代わりにポリオキシプロピレン(1)ヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミドを用いた比較品2においては、本発明の成分(A)と成分(B)の組み合わせによる増粘効果が得られず、起泡力や洗い上がりのつっぱり感のなさにおいても劣るものであった。また成分(B)の代わりにアクリル酸アルキルコポリマーを用いた比較品3においては、アクリル酸アルキルコポリマーに由来する膜感が、洗い上がりの肌に残ってしまい、洗い上がりのつっぱり感のなさの点で満足のいくものが得られなかった。また成分(D)の代わりに、1,3−ブタンジオール及びプロピレングリコールを用いて洗浄剤組成物の防腐力を同程度にした比較品4及び比較品5においては、洗浄剤組成物の粘度や起泡力が、著しく劣るものであった。
【実施例2】
【0048】
本発明品10〜20及び比較品6〜11:洗浄剤組成物(ゲル状)
下記表3及び表4に示す洗浄剤組成物を調製し、その起泡力、洗いあがりのつっぱり感のなさ、経時安定性に関して下記の方法により評価した。その結果も併せて表3及び表4に示す。
【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
*8: AEROSIL 300 (日本アエロジル社製)
【0052】
(製造方法)
A:成分1〜8を60℃に加温し、均一に混合溶解させる。
B:A成分を室温まで冷却し、成分9〜11を加えて均一に混合溶解させる。
C:B成分に、成分12〜13を加えて均一に混合する。
D:容器に充填し、洗浄剤組成物を得た。
【0053】
(評価方法)
イ.起泡力
ロ.洗いあがりのつっぱり感のなさ
ニ.経時安定性
イ及びロについては実施例1と同様の方法に評価を行った。ニについては、各試料を5℃及び50℃の恒温遮光条件下に1ヶ月静置し、それぞれの1ヶ月後の状態を比較し、下記4段階判定基準により判定した。
【0054】
4段階判定基準
(判定) : (経時安定性;5℃試料と50℃試料の比較)
◎ : 離しょうが全く観察されない
○ : わずかに離しょうが観察されるが問題ないレベル
△ : 離しょうが観察され問題となるレベル
× : 著しく離しょうが観察される
【0055】
表3及び表4の結果から明らかな如く、本発明品10〜20の洗浄剤組成物は、比較品6〜11の洗浄剤組成物に比べ、起泡力、洗い上がりのつっぱり感のなさ、経時安定性の全てにおいて優れたものであった。これに対して、成分(A)の代わりにヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムを用いた比較品6及び、成分(B)の代わりにポリオキシプロピレン(1)ヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミドを用いた比較品7においては、本発明の成分(A)と成分(B)の組み合わせによる増粘効果が得られず、起泡力や洗い上がりのつっぱり感のなさにおいても劣るものであり、これに煙霧状シリカを含有させても経時安定性の点で満足の行くものが得られなかった。成分(B)の代わりにアクリル酸アルキルコポリマーを用いた比較品8においては、アクリル酸アルキルコポリマーに由来する膜感が、洗い上がりの肌に残ってしまい、洗い上がりのつっぱり感のなさの点で満足の行くものが得られなかった。成分(D)の代わりに、1,3−ブタンジオール及びプロピレングリコールを用いて洗浄剤組成物の防腐力を同程度にした比較品9及び比較品10においては、洗浄剤組成物の起泡力や経時安定性が、著しく劣るものであった。成分(E)の代わりに不定形シリカを用いた比較品11においては、起泡力や洗い上がりのつっぱり感のなさ等には優れるが、煙霧状シリカを用いた場合に得られたようなゲル状の洗浄剤組成物を形成させることはできなかった。
【実施例3】
【0056】
洗浄剤組成物(液状ボディシャンプー)
(成分) (%)
1.ヤシ油脂肪酸カリウム液(34%) *7 44
2.ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド *8 6
3.水 残量
4.1,2−ペンタンジオール 5
5.ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン *9 0.1
6.香料 適量
7.赤色227号 0.1
【0057】
*7 : アルホーム K−100 (新日本理化社製)
*8 : トーホール N220X (東邦化学工業社製)
*9 : LIPIDURE HM−600 (日油社製)
【0058】
(製造方法)
A:成分1〜3を60℃に加熱して、均一に混合溶解させる。
B:A成分を室温まで冷却し、成分4〜7を添加し均一に混合溶解させる。
C:容器に充填し、洗浄剤組成物(液状ボディシャンプー)を得た。
実施例3の洗浄剤組成物は、起泡力に優れ、また良好な使用性を与える粘性を持ち、洗い上がりの肌につっぱり感のない洗浄剤組成物(液状ボディシャンプー)であった。
【実施例4】
【0059】
洗浄剤組成物(液状洗顔料)
(成分) (%)
1.ステアリン酸マグネシウム *10 15
2.ラウリン酸モノエタノールアミド *11 3
3.ラウリン酸ジエタノールアミド 3
4.水 残量
5.1,2−ペンタンジオール 5
6.ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム液(29%) *12 0.1
7.流動パラフィン *13 1
【0060】
*10 : マグネシウムステアレート (日油社製)
*11 : アミゾール LME (川研ファインケミカル社製)
*12 : ペリセア L−30 (旭化成社製)
*13 : ハイコール K−230 (カネダ社製)
【0061】
(製造方法)
A:成分1〜4を60℃に加熱して、均一に混合溶解させる。
B:A成分を室温まで冷却し、成分5〜7を添加し均一に混合溶解させる。
C:容器に充填し、洗浄剤組成物(液状洗顔料)を得た。
【0062】
実施例4の洗浄剤組成物は、起泡力に優れ、また良好な使用性を与える粘性を持ち、洗い上がりの肌につっぱり感のない洗浄剤組成物(液状洗顔料)であった。
【実施例5】
【0063】
洗浄剤組成物(ゲル状洗顔料)
(成分) (%)
1.ラウリン酸カリウム *13 15
2.ココイルメチルタウリンナトリウム液(30%) *14 20
3.オレイン酸ジエタノールアミド *15 6
4.水 残量
5.1,2−ペンタンジオール 5
6.煙霧状シリカ *16 10
7.香料 適量
【0064】
*13 : ニッコール ラウリン酸カリLK−120 (日光ケミカルズ社製)
*14 : ダイヤポン K−SF (日油社製)
*15 : スタホーム DOS (日油社製)
*16 : ニップシール E−220 (日本シリカ工業社製)
【0065】
(製造方法)
A:成分1〜4を60℃に加熱して、均一に混合溶解させる。
B:A成分を室温まで冷却し、成分5を添加し均一に混合溶解させる。
C:B成分に成分6〜7を添加し、均一に混合する。
D:容器に充填し、洗浄剤組成物(ゲル状洗顔料)を得た。
【0066】
実施例5の洗浄剤組成物は、起泡力に優れ、また良好な使用性を与える粘性を持ち、洗い上がりの肌につっぱり感がなく、経時安定性に優れる洗浄剤組成物(ゲル状洗顔料)であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(D);
(A)炭素数12〜18の高級脂肪酸塩から選ばれる一種又は二種以上
(B)炭素数12〜18の脂肪酸モノエタノールアミド及び/又はジエタノールアミドから選ばれる一種又は二種以上
(C)水
(D)1,2−ペンタンジオール
を含有することを特徴とする洗浄剤組成物
【請求項2】
さらに成分(E)煙霧状シリカを含有することを特徴とする請求項1記載の洗浄剤組成物
【請求項3】
成分(A)の含有量 5〜25質量%、成分(B)の含有量 2〜10質量%、成分(E)の含有量 5〜15質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の洗浄剤組成物

【公開番号】特開2009−234967(P2009−234967A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81762(P2008−81762)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】