説明

洗浄剤組成物

【課題】油脂汚れに対する洗浄性、泡切れ性、流動性及び再汚染防止性に優れ、使用量を低減できる液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤(A)及び粘度調整剤(B)を含有してなる液体洗浄剤組成物である。液体洗浄剤組成物の重量に基づいて、非イオン性界面活性剤(A)の含有量が1〜30重量%であり、25℃での粘度が50〜300mPa・sである液体洗浄剤組成物であることが油脂汚れに対する洗浄性、泡切れ性、流動性及び再汚染防止性の観点から好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関する。更に詳しくは、編物又は織物の洗浄に用いられる液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭で使用される衣料用又は食器洗い用洗浄剤には、一般に高級アルコールのエチレンオキサイド付加物等の非イオン性界面活性剤が配合されている。しかしながら、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物は、油脂汚れに対する洗浄性が十分とは言えない。また流動性が悪いため、液体洗浄剤組成物に配合すると液体洗浄剤組成物の粘度が上昇し、ハンドリング性が低下するという課題があった。
そこで、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物が有する課題を改善するために、高級アルコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物を洗浄剤組成物として使用することが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−130690公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の高級アルコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物は、流動性が良好であるが、油脂汚れに対する洗浄性および再汚染防止性が十分ではない。そのため、油脂汚れに対する洗浄性、流動性に優れた液体洗浄剤組成物が要望されている。
また、環境負荷低減の観点から低界面活性剤濃度が望まれる上に、少ない使用水量でも洗浄性及び再汚染防止性が優れる液体洗浄剤組成物が望まれている。
本発明は、低界面活性剤濃度でも油脂汚れに対する洗浄性及び再汚染防止性に優れ、かつ流動性が良好な液体洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤(A)及び粘度調整剤(B)を含有してなる液体洗浄剤組成物である。
【化1】

式(1)中、Rは炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基;AO及びAOはそれぞれ独立にオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基:EOはオキシエチレン基;POはオキシプロピレン基;a、b、c、d、e、f、g及びhは、a+b=0〜10、c+d=5〜50、e+f=1〜20、g+h=0〜40を満たす数;[(EO)/(PO)] 及び[(EO)/(PO)]は、EOとPOがランダム付加及び/又はブロック付加した基;を表す。
【発明の効果】
【0006】
本発明の液体洗浄剤組成物は、油脂汚れに対する洗浄性及び再汚染防止性に優れ、かつ流動性が良好であるといった効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の液体洗浄剤組成物は、一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤(A)および粘度調整剤(B)を含有してなる。
一般式(1)におけるRは、炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を表す。炭素数8〜24のアルキル基としては、直鎖若しくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基が挙げられ、具体的には、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、テトラコシル基、オクチルシクロヘキシル基及びシクロヘキシルオクチル基等が挙げられる。
炭素数8〜24のアルケニル基としては、直鎖又は分岐のアルケニル基が挙げられ、具体的にはオクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、イソドデセニル基、テトラデセニル基、イソテトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基及びガドレイル基等が挙げられる。
【0008】
のうち、洗浄性の観点から好ましいのは、炭素数12〜20のアルキル基及びアルケニル基であり、更に好ましいのは炭素数14〜20のアルキル基及びアルケニル基である。
【0009】
一般式(1)におけるEOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表す。AO及びAOは、それぞれ独立にオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を表し、洗浄性の観点から好ましくはオキシエチレン基単独である。一般式(1)におけるa、b、c、d、e、f、g及びhは、a+b=0〜10、c+d=5〜50、e+f=1〜20、g+h=0〜40を満たす数であり、洗浄性及びすすぎ性の観点から、好ましくはa+b=1〜10、c+d=10〜40、e+f=2〜18、g+h=2〜30を満たす数であり、更に好ましくはa+b=2〜10、c+d=15〜35、e+f=4〜16、g+h=5〜25を満たす数である。なお、a、b、c、d、e、f、g及びhは、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基の平均付加モル数を表しているため、a+b、c+d、e+f及びg+hは、整数であるとは限らず、小数の場合もある。
[(EO)/(PO)] 及び[(EO)/(PO)]は、EOとPOがランダム付加及び/又はブロック付加した基を表し、流動性の観点から好ましいのはランダム付加である。
【0010】
一般式(1)の[(EO)/(PO)]及び[(EO)/(PO)]で表される基におけるEOの含有率は、[(EO)/(PO)]及び[(EO)/(PO)]の重量に基づいて、泡切れ性及び流動性の観点から、好ましくは50〜95重量%であり、更に好ましくは55〜90重量%、特に好ましくは60〜80重量%である。
【0011】
粘度調整剤(B)としては、水溶性高分子(B1)、水膨張性粘度鉱物(B2)及び非イオン界面活性剤(B3)が挙げられる。
【0012】
天然の水溶性高分子(B11)としては、植物系高分子(アラビアガム、ガラクタン、グアーガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン及びデンプン等);微生物系高分子(キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン及びブルラン等);動物系高分子(コラーゲン、カゼイン、アルブミン及びゼラチン等)等が挙げられる。また、これらの誘導体(POE・POP変性、アルキル変性、アニオン化、シリル化類)も挙げられる。
【0013】
半合成の水溶性高分子(B12)としては、デンプン系高分子(カルボキシメチルデンプン及びメチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びこれら高分子のカチオン変性化合物等);アルギン酸系高分子(アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸プロピレングリコールエステル等);ペクチン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0014】
合成の水溶性高分子(B13)としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン)等が挙げられる。
【0015】
水膨潤性粘土鉱物(B2)としては、スメクタイト、ベントナイト、ラポナイト及びケイ酸AlMg(ビーガム)等が挙げられる。
【0016】
非イオン界面活性剤(B3)としては、脂肪酸アルカノールアミド(脂肪酸モノエタノールアミド及び脂肪酸イソブタノールアミド等)、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル(ポリオキシエチレンジステアリルエステル等)及びポリエーテルウレタン変性物(ポリオキシエチレンポリオキシエチレン共重合体のウレタン変性物等)等が挙げられる。
【0017】
粘度調整剤(B)としては、洗浄性及び皮膚刺激性の観点から好ましくは、水溶性高分子(B1)及び非イオン界面活性剤(B3)である。
これらのうち好ましくは、セルロース系高分子、ビニル系高分子、アクリル系高分子、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル及びポリエーテルウレタン変性物である。
【0018】
本発明の液体洗浄剤組成物は、必要により(A)及び(B3)以外の非イオン性界面活性剤(C)、アニオン性界面活性剤(D)、カチオン性界面活性剤(E)及び両性界面活性剤(F)等の公知の界面活性剤を含有してもよい。
【0019】
非イオン性界面活性剤(C)としては、高級アルコール(炭素数8〜24)アルキレン(炭素数2〜4、好ましいのは2)オキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜80)、アルキル(炭素数1〜12)フェノールのエチレンオキサイド付加物(付加モル数1〜30)、脂肪酸(炭素数8〜18)のエチレンオキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜60)、ポリプロピレングリコール(数平均分子量200〜4,000)のエチレンオキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜50)、ポリオキシエチレン(繰り返し単位数3〜30)アルキル(炭素数6〜20)アリルエーテル並びにソルビタンモノラウレートのエチレンオキサイド付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)及びソルビタンモノオレートのエチレンオキサイド付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)等の多価(2〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステルのエチレンオキサイド付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)等が挙げられる。
【0020】
アニオン性界面活性剤(D)としては、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸(塩)[(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテル硫酸エステル塩[(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル塩[モノ又はジアルキルスルホコハク酸エステルジ又はモノナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)モノ又はジアルキルスルホコハク酸エステルジ又はモノナトリウム等]、(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩(ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等)、アシル化アミノ酸塩(ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等)等が挙げられる。
【0021】
カチオン性界面活性剤(E)としては、4級アンモニウム塩型又はアミン塩型のカチオン界面活性剤等が挙げられる。
4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤としては、3級アミン類と4級化剤[ハロゲン化アルキル(メチルクロライド、メチルブロマイド、エチルクロライド及びベンジルクロライド等)、ジメチル硫酸、ジメチルカーボネート及びエチレンオキサイド等]との反応で得られる化合物等が使用でき、例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、セチルピリジニウムクロライド、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド及びステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。
アミン塩型カチオン界面活性剤としては、1〜3級アミン類を無機酸(塩酸、硝酸、硫酸及びヨウ化水素酸等)又は有機酸(酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸及びアルキルリン酸等)で中和することにより得られる化合物が使用でき、例えば1級アミン塩型のものとしては、脂肪族高級アミン(ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン及びロジンアミン等)の無機酸塩又は有機酸塩、低級アミン類の高級脂肪酸(ステアリン酸及びオレイン酸等)塩等が挙げられる。2級アミン塩型のものとしては、例えば脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物等の無機酸塩又は有機酸塩が挙げられる。
【0022】
両性界面活性剤(F)としては、ベタイン型両性界面活性剤(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等)及びアミノ酸型両性界面活性剤(β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等)等が挙げられる。
【0023】
本発明の液体洗浄剤組成物は、必要により、水又は公知のその他の成分としてビルダー、キレート剤、酵素、親水性溶媒、消泡剤、蛍光増白剤、漂白剤、柔軟剤、除菌剤、香料及び着色剤等を含有してもよい。
【0024】
ビルダーとしては、多価カルボン酸塩(クエン酸及びリンゴ酸等)及びアルカリビルダー(苛性ソーダ、ソーダ灰、アンモニア、トリエタノールアミン、トリポリリン酸ソーダ及びケイ酸ソーダ等)等が挙げられる。キレート剤としては、EDTA及びNTA等が挙げられる。酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ及びセルラーゼ等が挙げられる。親水性溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びプロピレングリコール等が挙げられる。消泡剤としては、シリコーン系消泡剤、ポリオキシアルキレン系消泡剤及び鉱物油系消泡剤等が挙げられる。
【0025】
本発明の液体洗浄剤組成物における非イオン性界面活性剤(A)、粘度調整剤(B)、公知の界面活性剤、水及びその他の成分の含有率は以下の通りである。
非イオン性界面活性剤(A)の含有率は、液体洗浄剤組成物の重量に基づいて、洗浄性及び再汚染防止性の観点から好ましくは1〜30重量%であり、更に好ましくは3〜25重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。
粘度調整剤(B)の含有率は、液体洗浄剤組成物の重量に基づいて、洗浄性及び取り扱い性の観点から好ましくは0.1〜5重量%であり、更に好ましくは0.5〜4重量%である。
公知の界面活性剤の含有率は、液体洗浄剤組成物の重量に基づいて、洗浄性の観点から好ましくは0〜20重量%であり、更に好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜5重量%である。
水の含有率は、液体洗浄剤組成物に基づいて、好ましくは70〜99重量%であり、更に好ましくは71〜97重量%である。
その他の成分のうち、ビルダー及びキレート剤の含有率は、液体洗浄剤組成物の重量に基づいて、好ましくは10重量%以下であり、更に好ましくは5重量%以下である。蛍光増白剤、漂白剤、柔軟剤、酵素、除菌剤、香料、着色剤及び消泡剤の含有率は、液体洗浄剤組成物の重量に基づいて、好ましくは5重量%以下であり、更に好ましくは2重量%以下である。親水性溶媒の含有率は、液体洗浄剤組成物の重量に基づいて、好ましくは20重量%以下であり、更に好ましくは10重量%以下である。
【0026】
本発明の液体洗浄剤組成物は、以下の方法で製造することができる。
撹拌機及び加熱冷却装置を備えた混合槽に、非イオン性界面活性剤(A)と粘度調整剤(B)、公知の界面活性剤、水及びその他の成分を投入順序に特に制限なく投入し、10〜50℃で均一になるまで撹拌して製造する方法である。
【0027】
本発明の液体洗浄剤組成物の25℃での粘度は取り扱い性の観点から50〜1000mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは50〜500mPa・s、特に好ましくは50〜300mPa・sである。
【0028】
本発明の液体洗浄剤組成物は、衣料用洗浄剤、食器洗い用洗浄剤及び工業用の洗浄剤(例えば繊維用精錬剤及び金属脱脂剤等の洗浄剤)等として使用できるが、特に衣料用洗浄剤として、セルロース繊維、合成繊維、羊毛、絹若しくはアセテート繊維を含む編物又は織物の洗浄に有用である。
【0029】
本発明の液体洗浄剤組成物を衣料用洗浄剤として使用する場合の使用量は、洗浄する衣料の汚れの度合い等に従って任意に選択されるが、洗浄する衣料1kgあたり好ましくは1〜30gであり、更に好ましくは2〜25g、特に好ましくは5〜20gである。
【0030】
本発明の液体洗浄剤組成物を用いて、衣料を洗浄(洗濯)するのに必要な水の使用量は、衣料1kgあたり1〜30L程度である。
【0031】
洗浄の温度は、適用する繊維の種類によって任意に選択できるが、好ましくは5〜80℃であり、更に好ましくは15〜50℃である。
【0032】
洗浄方法は特に制限はなく、家庭においては手洗い及び洗濯機等、産業界において(業務用として)は液流染色機によるバッチ処理及び連続精錬装置による連続処理等が適用できる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下において、部及び%は、特記しない限りそれぞれ重量部及び重量%を示す。
【0034】
<製造例1>
温度計、加熱冷却装置、撹拌機及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、n−ヘキサデシルアミン241部を投入し、窒素置換後密閉し140℃に昇温した。撹拌下140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながらエチレンオキサイド88部を5時間かけて滴下後同温度で3時間熟成し、60℃まで冷却してn−ヘキサデシルアミンのエチレンオキサイド2モル付加物(x−1)を得た。次いで水酸化カリウム3部を投入し、窒素置換後密閉し140℃に昇温した。撹拌下140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら、エチレンオキサイド1320部とプロピレンオキサイド696部の混合物を5時間かけて滴下後、同温度で3時間熟成した。更に、撹拌下140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながらエチレンオキサイド440部を5時間かけて滴下後同温度で3時間熟成し、n−ヘキサデシルアミンのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物(A−1)を得た[(A−1)は、一般式(1)におけるRがn−ヘキサデシル基、AO及びAOがオキシエチレン基であり、a+b=2、c+d=30、e+f=12、g+h=10、[(EO)/(PO)] 及び[(EO)/(PO)]が、EOとPOがランダム付加した基である非イオン性界面活性剤]。
【0035】
<製造例2>
製造例1と同様の反応容器に、製造例1で得られた(x−1)329部及び水酸化カリウム3部を投入し、窒素置換後密閉し140℃に昇温した。撹拌下140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら、エチレンオキサイド660部とプロピレンオキサイド290部の混合物を5時間かけて滴下後同温度で3時間熟成した。更に、撹拌下140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら、エチレンオキサイド440部を5時間かけて滴下後同温度で3時間熟成し、n−ヘキサデシルアミンのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物(A−2)を得た[(A−2)は、一般式(1)におけるRがn−ヘキサデシル基、AO及びAOがオキシエチレン基であり、a+b=2、c+d=15、e+f=5、g+h=10、[(EO)/(PO)] 及び[(EO)/(PO)]が、EOとPOがランダム付加した基である非イオン性界面活性剤]。
【0036】
<製造例3>
製造例1と同様の反応容器に、n−ドデシルアミン185部及び水酸化カリウム4部を投入し、窒素置換後密閉し140℃に昇温した。撹拌下140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら、エチレンオキサイド2,220部とプロピレンオキサイド1,160部の混合物を5時間かけて滴下後同温度で3時間熟成し、n−ドデシルアミンのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物(A−3)を得た[(A−3)は、一般式(1)におけるRがn−ドデシル基、AOがオキシエチレン基であり、a+b=0、c+d=50、e+f=20、g+h=0、[(EO)/(PO)] 及び[(EO)/(PO)]が、EOとPOがランダム付加した基である非イオン性界面活性剤]。
【0037】
<製造例4>
製造例1と同様の反応容器に、n−オクタデシルアミン269部及び水酸化カリウム4部を投入し、窒素置換後密閉し140℃に昇温した。撹拌下140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら、エチレンオキサイド440部を5時間かけて滴下後同温度で3時間熟成した。更に、撹拌下140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら、エチレンオキサイド220部とプロピレンオキサイド58部の混合物を5時間かけて滴下後同温度で3時間熟成した。更に、撹拌下140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら、エチレンオキサイド1,320部を5時間かけて滴下後同温度で3時間熟成した。次いで、撹拌下140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら、プロピレンオキサイド580部を5時間かけて滴下後同温度で3時間熟成し、n−オクタデシルアミンのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物(A−4)を得た[(A−4)は、一般式(1)におけるRがn−オクタデシル基、AOがオキシエチレン基であり、AOはオキシエチレン基を付加後、オキシプロピレン基を付加した基であり、a+b=10、c+d=5、e+f=1、g+h=40(40のうち、オキシエチレン基が30、オキシプロピレン基が10)、[(EO)/(PO)] 及び[(EO)/(PO)]が、EOとPOがランダム付加した基である非イオン性界面活性剤]。
【0038】
<製造例5>
製造例1において、n−ヘキサデシルアミン241部を2−エチルヘキシルアミン129部に変更した以外は製造例1と同様にして、2−エチルヘキシルアミンのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物(A−5)を得た[(A−5)は、一般式(1)におけるRが2−エチルヘキシル基、AO及びAOがオキシエチレン基であり、a+b=2、c+d=30、e+f=12、g+h=10、[(EO)/(PO)] 及び[(EO)/(PO)]が、EOとPOがランダム付加した基である非イオン性界面活性剤]。
【0039】
<製造例6>
製造例1において、n−ヘキサデシルアミン241部をn−テトラコシルアミン353部に変更した以外は製造例1と同様にして、n−テトラコシルアミンのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物(A−6)を得た[(A−6)は、一般式(1)におけるRがn−テトラコシル基、AO及びAOがオキシエチレン基であり、a+b=2、c+d=30、e+f=12、g+h=10、[(EO)/(PO)] 及び[(EO)/(PO)]が、EOとPOがランダム付加した基である非イオン性界面活性剤]。
【0040】
<製造例7>
製造例1と同様の反応容器に、製造例1で得られた(x−1)329部及び水酸化カリウム3部を投入し、窒素置換後密閉し140℃に昇温した。撹拌下140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら、エチレンオキサイド1320部を3時間かけて滴下後、同温度で3時間熟成した。次いで、撹拌下140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながらプロピレンオキサイド696部を2時間かけて滴下後、同温度で3時間熟成した。更に、撹拌下140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながらエチレンオキサイド440部を5時間かけて滴下後同温度で3時間熟成し、n−ヘキサデシルアミンのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物(A−7)を得た[(A−7)は、一般式(1)におけるRがn−ヘキサデシル基、AO及びAOがオキシエチレン基であり、a+b=2、c+d=30、e+f=12、g+h=10、[(EO)/(PO)] 及び[(EO)/(PO)]が、EOとPOがブロック付加した基である非イオン性界面活性剤]。
【0041】
実施例及び比較例に使用した粘度調整剤(B)を以下に示す。
(B1−1)サンノプコ(株)製「SNシックナー618」(変性ポリアクリル酸ナトリウム 18%水溶液)
(B1−2)サンノプコ(株)製「SNシックナー630」(変性ポリアクリル酸 30%水溶液)
(B3−1)三洋化成工業(株)製「エマルミン862」(ポリオキシエチレンジステアリルエステル)
<比較製造例8>
製造例1と同様の反応容器に、n−ヘキサデシルアミン241部及び水酸化カリウム1部を投入し、窒素置換後密閉し140℃に昇温した。撹拌下140℃で、圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら、エチレンオキサイド880部を5時間かけて滴下後同温度で3時間熟成し、n−ヘキサデシルアミンのエチレンオキサイド付加物(A’−1)を得た。
【0042】
<実施例1〜11、比較例1〜6>
表1に記載した部数の液体洗浄剤組成物の各原料を、撹拌機及び温度調節機能を備えた混合槽に投入し、20〜30℃で10分間撹拌して液体洗浄剤組成物(実施例1〜11、比較例1〜6)を作製した。なお、表1におけるプロテアーゼは、「アルカラーゼ2.5L」(ノボノルディスク社製)を使用した。
【0043】
実施例1〜11、比較例1〜6の液体洗浄剤組成物について、以下の方法で洗浄性、泡切れ性及びすすぎ性を評価した。結果を表1に示す。
【0044】
<洗浄性試験>
実施例1〜11、比較例1〜6の洗浄剤それぞれ0.3gを水999.7gに溶解させた溶液に、表2に示した汚垢組成を有する財団法人洗濯科学協会製の湿式人工汚染布10枚を投入し、ターゴトメーター[(株)大栄科学精器製作所製]を用いて以下の条件で洗浄及びすすぎをした後、布を取り出し、ギヤーオーブン「GPS−222」[エスペック(株)製]を用いて70℃で60分間乾燥し、試験布を得た。次いで、分光式色差計「SpectroPhotometer SD5000」[日本電色工業(株)製]を使用して、この試験布の540nmの反射率を、試験布1枚ごとに表裏1個所ずつ計2個所(試験布10枚で合計20個所)測定し、平均値を求め、以下の数式(1)で洗浄率(%)を算出した。洗浄率が高いほど、洗浄性に優れることを示す。
[洗浄条件]
時間:10分、温度:25℃、回転速度:85rpm
[すすぎ条件]
時間:1分、温度:25℃、回転速度:85rpm
洗浄率(%)=[(RW−RS)/(RI−RS)]×100 (1)
数式(1)中、RIは清浄布の反射率、RWは洗浄布の反射率、RSは汚染布の反射率を示す。また、使用した人工汚染布は、表2の汚垢組成を有する財団法人洗濯科学協会製の湿式人工汚染布(540nmにおける反射率が40±5%)である。
【0045】
<泡切れ性試験>
実施例1〜11、比較例1〜6の液体洗浄剤組成物それぞれ10gを用いて、未汚染の試験布(2kg)を洗濯機「NA−FD8005S」[パナソニック(株)製]によって中水位コースで洗浄し、すすぎ1回目と2回目の排水を採取した。すすぎ水20mlを100ml共栓付きメスシリンダーに入れ、手振りで20回振とうした直後の泡の高さを測定した。泡の高さが低いほど、泡切れ性に優れることを示す。
【0046】
<すすぎ性試験>
実施例1〜11、比較例1〜6の液体洗浄剤組成物を用いて、泡切れ性試験等同様の方法で洗浄した。すすぎ1回目と2回目の試験布70g付着した残存界面活性剤を1000mlのイオン交換水で抽出し、以下の数式(2)で界面活性剤残存率を算出した。界面活性剤残存率が低いほどすすぎ性が良好であることを示す。
界面活性剤残存率(%)=[(抽出液の界面活性剤濃度)/(洗浄液の界面活性剤濃度)]×100(2)
【0047】
<流動性試験>
実施例1〜11、比較例1〜6の液体洗浄剤組成物の0℃、25℃における粘度を回転式B型粘度計(RB−80L;東機産業(株)製)を用いて測定し、以下の評価基準で流動性を評価した。
◎:液体洗浄剤組成物の粘度が50mPa・s以上300mPa・s未満
○:液体洗浄剤組成物の粘度が300mPa・s以上500mPa・s未満
△:液体洗浄剤組成物の粘度が500mPa・s以上1000mPa・s未満
×:液体洗浄剤組成物の粘度が50mPa・s未満又は1000mPa・s以上
【0048】
<再汚染防止性>
実施例1〜11及び比較例1〜6の液体洗浄剤組成物0.3gを水499.7gに溶解させた溶液に、予め下記測定法で反射率を測定した布[綿金巾3号(JIS L0803−2011)]を10cm×10cmに裁断したもの20枚、汚垢[表2に示す成分]1gを投入し、ターゴトメーター(大栄化学製)を用いて以下の条件にて洗浄及びすすぎをした後、布を取り出し、ギヤーオーブン(TABAI製、GPS−222)を用いて70℃で60分間乾燥し、試験布を得た。
ついで、分光式色差計[日本電色工業(株)製、SpectroPhotometer SD5000]を使用して、この試験布の540nmの反射率を、試験布1枚ごとに表裏2個所ずつ計4個所(試験布20枚で合計80個所)測定し、この平均値を求め、以下の数式(3)にて再汚染防止率(%)を算出した。
(洗浄条件)
時間:10分、温度:25℃、回転速度:120rpm
(すすぎ条件)
時間:1分、温度:25℃、回転速度:120rpm
再汚染防止率(%)=100−[(RI−RS)/RI]×100 (3)
数式(3)中、RIは清浄布(洗浄試験前の布)の反射率、RSは試験布(洗浄試験後の布)の反射率示す。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
表1の結果から明らかなように、本発明の液体洗浄剤組成物は、比較例の液体洗浄剤組成物と比較して、いずれも洗浄性、流動性、泡切れ性、すすぎ性及び再汚染防止性に優れた液体洗浄剤組成物である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の液体洗浄剤組成物は、衣料用洗浄剤、食器洗い用洗浄剤及び工業用の洗浄剤(例えば繊維用精錬剤及び金属脱脂剤等の洗浄剤)等として使用できる。中でも衣料用洗浄剤として、セルロース繊維、合成繊維、羊毛、絹若しくはアセテート繊維を含む編物又は織物の洗浄に特に有用である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤(A)及び粘度調整剤(B)を含有してなる液体洗浄剤組成物。
【化1】

{式(1)中、Rは炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基;AO及びAOは、それぞれ独立にオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基:EOはオキシエチレン基;POはオキシプロピレン基;a、b、c、d、e、f、g及びhは、a+b=0〜10、c+d=5〜50、e+f=1〜20、g+h=0〜40を満たす数;[(EO)/(PO)] 及び[(EO)/(PO)]は、EOとPOがランダム付加及び/又はブロック付加した基;を表す。}
【請求項2】
該液体洗浄剤組成物の重量に基づいて、非イオン性界面活性剤(A)の含有量が1〜30重量%である請求項1記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
一般式(1)の[(EO)/(PO)]及び[(EO)/(PO)]で表される基におけるEOの含有率が、[(EO)/(PO)]及び[(EO)/(PO)]の重量に基づいて50〜95重量%である請求項1又は2記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
一般式(1)のAOがオキシエチレン基であり、a及びbがa+b=2〜10を満たす数である請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
一般式(1)のAOがオキシエチレン基であり、a及びbがa+b=2〜10を満たす数である請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
粘度調整剤(B)が、アニオン性または非イオン性の水溶性高分子である請求光1〜5いずれか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
液体洗浄剤組成物の25℃での粘度が50〜300mPa・sである請求項1〜6のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項8】
セルロース繊維、合成繊維、羊毛、絹若しくはアセテート繊維を含む編物又は織物の洗浄に用いられる請求項1〜7のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。


【公開番号】特開2013−103976(P2013−103976A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247997(P2011−247997)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】