説明

洗浄剤組成物

【課題】近年の消費者の多種多様なニーズにおいて、泡の特性が良好で低刺激性の洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】特定の脂肪酸アミドベタインとアスパラギン酸誘導体とをそれぞれ一種又は二種以上を配合して洗浄剤組成物とする。洗浄剤組成物は、皮膚に対する刺激性が低く、前記脂肪酸アミドベタインやアスパラギン酸誘導体を単独で使用する場合と比較して、泡質が向上する効果があり、両者の配合比率が特定の範囲において。その効果が高くなることによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脂肪酸アミドベタイン型両性界面活性剤等の両性界面活性剤は、低刺激性であることから洗浄剤の基剤として広く用いられている。しかしこれら両性界面活性剤を主成分とする洗浄剤組成物は、泡質ではクリーミー感にやや欠け、泡の持続性も乏しいという欠点がある。
近年、例えば洗顔料、ボディソープ、毛髪用シャンプーに代表される洗浄剤の用途では、化粧や汚れを落とすという洗浄作用、すすぎ性、低刺激性等の基本性能に加えて、さらに高性能化や高機能化を施し付加価値を高めて上市されている。前記付加価値を高める特性としては、例えば泡の特性(起泡性、泡質、泡の持続性等)、洗浄後の皮膚感触といった使用感、香り等の感性的な性能などが挙げられる。例えば、起泡性や使用感の改質方法として、前記両性界面活性剤を基剤として含有する洗浄剤組成物に対して、水溶性高分子や非イオン性界面活性剤を配合することにより、適度な粘度を与えて改質する方法が行われている。
これまでにも従来の界面活性剤や高分子化合物などを組み合わせて併用することにより、種々の性能の改良が試みられている。しかし、未だに全ての基本性能と感性的な性能を同時に満足させることは難しく、今なお消費者の個々のニーズに対する改善方法が個々に提案されているのが現状である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−26795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、近年の消費者の多種多様なニーズにおいて、低刺激性で、きめが細かいクリーミーな泡立ちの良い洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の脂肪酸アミドベタインと特定のアスパラギン酸誘導体とを配合することにより、皮膚に対する刺激性が低く、前記脂肪酸アミドベタインやアスパラギン酸誘導体を単独で使用する場合と比較して、泡質が向上する効果があること、さらに驚くべきことにその脂肪酸アミドベタインとアスパラギン酸誘導体の配合比率が特定の範囲において、その効果が高くなることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、以下の項目の洗浄剤組成物を提供するものであり、該洗浄剤組成物は下記一般式(1)で表される脂肪酸アミドベタインから選ばれる少なくとも一種と、下記一般式(2)で表されるアスパラギン酸誘導体(即ちN−アルキル(又はN−アルケニル)アスパラギン酸及びその塩)から選ばれる少なくとも一種とを含有することを特徴とする。
【0007】
(項1)
一般式(1)
【化1】

[式中、Rは炭素数8〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。R及びRは、同一又は異なって、それぞれ炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はヒドロキシエチル基を表す。nは、1〜4の整数を表す。]
で表される脂肪酸アミドベタインと
一般式(2)
【化2】

[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表す。また2個のMは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
で表されるアスパラギン酸誘導体を含有する洗浄剤組成物。
【0008】
(項2)
脂肪酸アミドベタインとアスパラギン酸誘導体との比率が重量比で70:30〜40:60である、上記項1に記載の洗浄剤組成物。
【0009】
(項3) 洗浄剤組成物中の全界面活性剤に対して、脂肪酸アミドベタインとアスパラギン酸誘導体の合計重量が55重量%以上である、上記項1又は項2に記載の洗浄剤組成物。
【0010】
(項4)
(I)一般式(1)
【化3】

[式中、Rは炭素数8〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。R及びRは、同一又は異なって、それぞれ炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はヒドロキシエチル基を表す。nは、1〜4の整数を表す。]
で表される脂肪酸アミドベタインと
一般式(2)
【化4】

[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表す。また2個のMは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
で表されるアスパラギン酸誘導体を配合する工程、及び/又は
(II)一般式(1)
【化5】

[式中、Rは炭素数8〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。R及びRは、同一又は異なって、それぞれ炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はヒドロキシエチル基を表す。nは、1〜4の整数を表す。]
で表される脂肪酸アミドベタインと
一般式(3)
【化6】

[式中、Rは一般式(2)におけると同義である]
で表されるアスパラギン酸化合物とアルカリ性化合物を配合する工程、
を具備する方法により得られる洗浄剤組成物。
【0011】
(項5)
脂肪酸アミドベタインとアスパラギン酸誘導体との配合比率が重量比で70:30〜40:60である(なお、前記アスパラギン酸誘導体はアスパラギン酸化合物とアルカリ性化合物から得られるアスパラギン酸誘導体を含む。)、上記項4に記載の洗浄剤組成物。
【0012】
(項6) 洗浄剤組成物中の全界面活性剤に対して、脂肪酸アミドベタインとアスパラギン酸誘導体の合計重量が55重量%以上である(なお、前記アスパラギン酸誘導体はアスパラギン酸化合物とアルカリ性化合物から得られるアスパラギン酸誘導体を含む。)、上記項4又は項5に記載の洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、低刺激性で、きめが細かいクリーミーな泡立ちの良い洗浄剤組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の洗浄剤組成物は、上記一般式(1)で表される脂肪酸アミドベタインから選ばれる少なくとも一種と上記一般式(2)で表されるアスパラギン酸誘導体から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする。
上記一般式(1)におけるRは、炭素数8〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸からカルボキシル基を除いて得られる残基である。ここで、炭素数とは、直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸の総炭素数を意味する。またRは、界面活性能の観点から、好ましくは12〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸が推奨される。
前記直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸としては、具体的には、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、n−デカン酸、イソデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、オレイン酸、エライジン酸、アラキドン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、イソステアリン酸及びそれらの混合物や、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、牛脂脂肪酸などが挙げられる。より好ましくは、炭素数12〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族飽和又は不飽和脂肪酸が推奨され、具体的にラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸が推奨される。
また、上記一般式(1)におけるRは、水素原子、炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であり、好ましくは水素原子又はメチル基、特に好ましくは水素原子である。
また、上記一般式(1)におけるR及びRは、同一又は異なって、それぞれ炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はヒドロキシエチル基であり、好ましくはメチル基又はヒドロキシエチル基、特に好ましくはメチル基である。
また、上記一般式(1)におけるnは、1〜4の整数であり、好ましくは2又は3、特に好ましくは3である。
【0015】
本発明に係る脂肪酸アミドベタインとしては、具体的には、n−オクタン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−エチルヘキサン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、n−デカン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イソデカン酸アミドプロピルアミノ酢酸ジメチルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アラキジン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、大豆油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジ(ヒドロキシエチル)アミノ酢酸ベタイン、オレイン酸アミドプロピルジ(ヒドロキシエチル)アミノ酢酸ベタイン、ヤシ脂肪酸アミドプロピルジ(ヒドロキシエチル)アミノ酢酸ベタインなどが例示される。
より好ましくは、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の、Rが好ましくは12〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸からカルボキシル基を除いて得られる残基であり、Rが水素原子、RとRがメチル基、nが3で表される脂肪酸アミドベタインが推奨される。
【0016】
これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて含有させることができる。前記例示の化合物の名称は、本技術分野では種々の慣用名が用いられる。例えば化粧品成分表示名称(日本化粧品工業連合会)によれば、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインはラウラミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインはコカミドプロピルベタインとして表示されている。
【0017】
本発明に係る脂肪酸アミドベタインは、特に限定はなく、市販されているものや公知の方法で製造されたものを使用することができる。市販品は、例えば「2011年版15911の化学商品(発行所;化学工業日報社,発行日2011年1月25日)」に記載の多くのメーカから市販されている。
【0018】
本発明に係るアスパラギン酸誘導体は、上記一般式(2)で表される化合物である。一般式(2)におけるRは、炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、好ましくは12〜22、より好ましくは12〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基が推奨される。
具体的には、n−デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、アラキジル基、ベヘニル基、オレイル基、リノール基、リノレニル基、イソステアリル基、ヤシ油アルキル基、パーム核油アルキル基、パーム油アルキル基、大豆油アルキル基等が例示され、好ましくはラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基、ヤシ油アルキル基、パーム油アルキル基、パーム核油アルキル基が推奨される。
【0019】
またアスパラギン酸誘導体を構成する2つのMは、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオンを表す。
アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が例示され、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオンが推奨される。
有機アンモニウムイオンとしては、モノエタノールアンモニウムイオン、N−メチルモノエタノールアンモニウムイオン、N−ブチルモノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、イソプロパノールアンモニウムイオン、2−ヒドロキシメチル−2−プロピルアンモニウムイオン等のアルカノールアンモニウムイオン、リシン、アルギニン等の塩基性アミノ酸のアンモニウムイオン等が例示され、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、アンモニウムイオンが推奨される。
【0020】
本発明に係るアスパラギン酸誘導体としては、具体的には、N−n−デシルアスパラギン酸一ナトリウム、N−n−デシルアスパラギン酸一カリウム、N−n−デシルアスパラギン酸一アンモニウム、N−n−デシルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ラウリルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ラウリルアスパラギン酸一カリウム、N−ラウリルアスパラギン酸一アンモニウム、N−ラウリルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ミリスチルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一カリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一アンモニウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−パルミチルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パルミチルアスパラギン酸一カリウム、N−パルミチルアスパラギン酸一アンモニウム、N−パルミチルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ステアリルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ステアリルアスパラギン酸一カリウム、N−ステアリルアスパラギン酸一アンモニウム、N−ステアリルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−オレイルアスパラギン酸一ナトリウム、N−オレイルアスパラギン酸一カリウム、N−オレイルアスパラギン酸一アンモニウム、N−オレイルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−イソステアリルアスパラギン酸一ナトリウム、N−イソステアリルアスパラギン酸一カリウム、N−イソステアリルアスパラギン酸一アンモニウム、N−イソステアリルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−アラキジルアスパラギン酸一ナトリウム、N−アラキジルアスパラギン酸一カリウム、N−アラキジルアスパラギン酸一アンモニウム、N−アラキジルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ベヘニルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ベヘニルアスパラギン酸一カリウム、N−ベヘニルアスパラギン酸一アンモニウム、N−ベヘニルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一アンモニウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一アンモニウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−パーム油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸一アンモニウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−n−デシルアスパラギン酸、N−ラウリルアスパラギン酸、N−ミリスチルアスパラギン酸、N−パルミチルアスパラギン酸、N−ステアリルアスパラギン酸、N−オレイルアスパラギン酸、N−アラキジルアスパラギン酸、N−ベヘニルアスパラギン酸、N−イソステアリルアスパラギン酸、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸、N−パーム油アルキルアスパラギン酸、N−n−デシルアスパラギン酸二ナトリウム、N−ラウリルアスパラギン酸二ナトリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸二ナトリウム、N−パルミチルアスパラギン酸二ナトリウム、N−ステアリルアスパラギン酸二ナトリウム、N−オレイルアスパラギン酸二ナトリウム、N−アラキジルアスパラギン酸二ナトリウム、N−ベヘニルアスパラギン酸二ナトリウム、N−イソステアリルアスパラギン酸二ナトリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸二ナトリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸二ナトリウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸二ナトリウム、N−n−デシルアスパラギン酸二カリウム、N−ラウリルアスパラギン酸二カリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸二カリウム、N−パルミチルアスパラギン酸二カリウム、N−ステアリルアスパラギン酸二カリウム、N−オレイルアスパラギン酸二カリウム、N−アラキジルアスパラギン酸二カリウム、N−ベヘニルアスパラギン酸二カリウム、N−イソステアリルアスパラギン酸二カリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸二カリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸二カリウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸二カリウム、N−n−デシルアスパラギン酸二アンモニウム、N−ラウリルアスパラギン酸二アンモニウム、N−ミリスチルアスパラギン酸二アンモニウム、N−パルミチルアスパラギン酸二アンモニウム、N−ステアリルアスパラギン酸二アンモニウム、N−オレイルアスパラギン酸二アンモニウム、N−アラキジルアスパラギン酸二アンモニウム、N−ベヘニルアスパラギン酸二アンモニウム、N−イソステアリルアスパラギン酸二アンモニウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸二アンモニウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸二アンモニウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸二アンモニウム、N−n−デシルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−ラウリルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−ミリスチルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−パルミチルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−ステアリルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−オレイルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−アラキジルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−ベヘニルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−イソステアリルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−パーム油アルキルアスパラギン酸ビス(トリエタノールアミン)、N−n−デシルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−ラウリルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−ミリスチルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−パルミチルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−ステアリルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−オレイルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−アラキジルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−ベヘニルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−イソステアリルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)、N−パーム油アルキルアスパラギン酸(ナトリウム・カリウム)等が例示される。
また、起泡性、泡質、水溶性及び保存安定性の観点から、N−ラウリルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ラウリルアスパラギン酸一カリウム、N−ラウリルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ラウリルアスパラギン酸一アンモニウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一カリウム、N−ミリスチルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ミリスチルアスパラギン酸一アンモニウム、N−パルミチルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パルミチルアスパラギン酸一カリウム、N−パルミチルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−パルミチルアスパラギン酸一アンモニウム、N−オレイルアスパラギン酸一ナトリウム、N−オレイルアスパラギン酸一カリウム、N−オレイルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−オレイルアスパラギン酸一アンモニウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−ヤシ油アルキルアスパラギン酸一アンモニウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−パーム核油アルキルアスパラギン酸一アンモニウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸一ナトリウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸一カリウム、N−パーム油アルキルアスパラギン酸一トリエタノールアミン、N−パーム油アルキルアスパラギン酸一アンモニウム、が推奨される。
これらは、本発明の洗浄剤組成物に1種で又は2種以上を適宜組み合わせて配合しても良い。
なお上記説明は、一般式(3)で表されるアスパラギン酸化合物の説明として重複する説明である。
【0021】
本発明に係るアスパラギン酸誘導体において、一般式(2)における2つのMが水素原子と水素原子以外のイオンとの組み合わせで表される誘導体が実質的に単一であるとき又は主成分であるときが、洗浄剤組成物に適した中性に近いpHになる点と適度な水溶性及び低温保存安定性を得やすい点から、推奨される好ましい態様である。
主成分のときの態様とは、2つのMの組成比率、即ち水素原子と水素原子以外のイオンとの比率が、好ましくは水素原子:水素原子以外のイオン(当量比)=3:1〜1:3、より好ましくは2:1〜1:2、特に1.5:1〜1 :1.5の範囲にある態様である。このときのアスパラギン酸誘導体は、2つのMの一方が水素原子で他方が水素原子以外のイオンであるものと、2つのMが両方とも水素原子であるもの、2つのMが両方とも水素原子以外のイオンであるものが混在していると推定される。
【0022】
本発明に係るアスパラギン酸誘導体は、特に限定はなく、市販されているものや公知の方法で製造されたものを使用することができる。例えば製造方法としては、特開平5−140059号公報や特開2001−26795号公報に記載の方法で製造することができる。一例として、マレイン酸又はその塩と水及び/又は水と親和性を示す有機溶媒とを混合して比較的高濃度の状態とし、次いで所望する脂肪族第一級アミンを加えてから加熱して付加反応させ、反応終了後に反応溶媒を減圧留去して乾燥し、この乾燥粗物を粉砕して残存する未反応の脂肪族第一級アミンを溶媒で加熱洗浄除去して、最後に減圧乾燥して製造する方法が例示される。
【0023】
本発明に係る洗浄剤組成物における脂肪酸アミドベタインとアスパラギン酸誘導体との合計の含有量は、本発明の効果を安定的に発揮させるために、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは2重量%以上、特に好ましくは5重量%以上が推奨される。
また、本発明に係る洗浄剤組成物中の全界面活性剤に対して、脂肪酸アミドベタインとアスパラギン酸誘導体との合計重量は、好ましくは55重量%以上、より好ましくは60重量%以上が推奨される。
【0024】
また、本発明の洗浄剤組成物における脂肪酸アミドベタインとアスパラギン酸誘導体との配合比率(重量比)は、好ましくは70:30〜40:60が推奨される。当該配合比率の範囲において、よりきめが細かいクリーミーな泡が得られやすい点で優位性が認められる。
【0025】
洗浄剤組成物の形態は、水溶液状、ペースト状、固体状、粉末状など、所望する目的・対象により任意に選択ができる。その形態の調製方法として、脂肪酸アミドベタイン、アスパラギン酸誘導体及び後述の他の成分の種類とそれらの配合量を適宜調整する方法などが挙げられる。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物の調製方法としては、(i)所定量の上記一般式(1)で表される脂肪酸アミドベタイン及び上記一般式(2)で表されるアスパラギン酸誘導体と、必要に応じて所望量の後述の他の成分とを配合して調製する方法、
(ii)アスパラギン酸誘導体の所望の量と同じになるように、上記一般式(3)で表されるアスパラギン酸化合物及びアルカリ性化合物の配合量をそれぞれ算出した上で、それぞれの配合量のアスパラギン酸化合物及びアルカリ性化合物と脂肪酸アミドベタインと、必要に応じて所望量の後述の他の成分とを配合して調製する方法、
(iii)前記(i)の調製方法において、アスパラギン酸誘導体の所望量と同じになるように、アスパラギン酸誘導体の一部を、アスパラギン酸化合物とアルカリ性化合物の構成に置き換えて調製する方法、即ち、脂肪酸アミドベタイン、アスパラギン酸誘導体、アスパラギン酸化合物及びアルカリ性化合物と必要に応じて所望量の後述の他の成分とを配合して調製する方法(一部置換による方法)、などが例示される。
なお、前記(i)〜(iii)の調製方法で得られる洗浄剤組成物は、上記項4に記載の発明の説明に該当する。上記項4に記載の工程(I)及び(II)については、通常、一工程を選択して実施されるが、二工程を実施することも可能である。その場合、二工程を逐次的に実施されたり(分割仕込)、二工程を同時に実施されたりする。同時に実施するとは、例えば、脂肪酸アミドベタイン、アスパラギン酸誘導体、アスパラギン酸化合物及びアルカリ性化合物を同時に配合する操作を意味する。
【0027】
一例として、具体的に前記(i)の調製方法を用いて説明すると、液状(水溶液状)又はペースト状の洗浄剤組成物を所望する場合、例えば、所定量の脂肪酸アミドベタイン及びアスパラギン酸誘導体と必要に応じて所望量の他の成分を水に加えて溶解させて調製する方法が挙げられる。この場合、脂肪酸アミドベタインとアスパラギン酸誘導体を含む全界面活性剤の合計の配合量は、有効成分として、好ましくは2〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%が推奨される。
また、粉末状の洗浄剤組成物を所望する場合、例えば、所定量の脂肪酸アミドベタイン及びアスパラギン酸誘導体と必要に応じて所望量の他の成分(粉末状)とをドライブレンドする方法や、脂肪酸アミドベタイン及びアスパラギン酸誘導体と必要に応じて他の成分とを適量の水に加えて混合し、一旦高濃度ペースト状とした後、これを噴霧乾燥する方法等により調製する方法が挙げられる。固形状の洗浄剤組成物を所望する場合、例えば、所定量の脂肪酸アミドベタイン及びアスパラギン酸誘導体と必要に応じて所望量の他の成分(粉末状)の組成物に少量の水を加えてニートソープ状に練り、これを型枠等に入れて成形することにより調製する方法が挙げられる。これらの場合、脂肪酸アミドベタインとアスパラギン酸誘導体を含む全界面活性剤の合計の配合量は、有効成分として、好ましくは1〜100重量%が推奨される。
【0028】
本発明に係るアスパラギン酸化合物は、上記一般式(3)で表される化合物である。アスパラギン酸化合物の説明は、上記アスパラギン酸誘導体の説明と重複する。
アスパラギン酸化合物は、特に限定はなく、市販されているものや公知の方法で製造されたものを使用することができる。例えば、アスパラギン酸誘導体(Mが水素原子以外で表されるもの。)を塩酸等の酸性化合物で処理し、そして有機合成化学の一般的手法による後処理(精製)を施すことにより、容易に調製することができる。
【0029】
本発明に係るアルカリ性化合物は、上記一般式(3)で表されるアスパラギン酸化合物を中和して、洗浄剤組成物中で、上記一般式(2)で表されるアスパラギン酸誘導体を形成させる目的で配合されるものであり、その配合量は、少なくともアスパラギン酸誘導体が所定量を形成することができる量となるように調整する必要がある。前記アルカリ性化合物は、pH調整剤の目的で使用されることがあり、アスパラギン酸誘導体の形成目的と外形上異にするが、前者の目的或いは認識であったとしても実質的には当該形成目的を達成することができる。
アルカリ性化合物としては、一般式(2)におけるMであるカチオンを形成し得る塩基性を示す化合物であれば特に制限はないものの、好ましくは洗浄剤用途において通常配合される化合物が推奨される。
具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸四ナトリウム等の無機アルカリ性化合物、アンモニア(水)、モノエタノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、N−ブチルモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2−ヒドロキシメチル−2−プロピルアミン、リシン、アルギニン等の有機アルカリ性化合物等が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、アンモニア(水)が推奨される。
これらのアルカリ性化合物は、1種で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0030】
本発明の洗浄剤組成物には、本発明に係る脂肪酸アミドベタインとアスパラギン酸誘導体の他に、一般的に洗浄剤に配合される他の成分を、本発明の効果が奏する範囲で配合することができる。他の成分としては、例えば、アニオン性界面活性剤、本発明に係る脂肪酸アミドベタイン及びアスパラギン酸誘導体以外の両性界面活性剤、半極性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤などの各種界面活性剤、ポリオール、無機塩類、増粘剤、減粘剤、キレート剤、防腐剤、殺菌剤、色素(色剤)、香料、清涼剤、保湿剤、油性剤、コンディショニング剤、紫外線吸収剤、動植物のエキス、ハイドロトロープ剤、酸化防止剤、パール化剤などが例示される。
【0031】
より具体的には、例えば、炭素数8〜18のアルキル基(又はアルケニル基)を有するアルキル(又はアルケニル)硫酸塩、炭素数8〜18 のアルキル基(又はアルケニル基)を有するポリオキシエチレン(1〜5)アルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩[なお、前記( ) 内の数値はオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、以下同様である。]、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するポリオキシエチレン(1〜5)脂肪酸モノエタノールアミドエーテル硫酸塩、炭素数8〜18のアルキル基(又はアルケニル基)を有するポリオキシエチレン(1〜5)スルホコハク酸モノアルキル(又はアルケニル)エーテルエステル塩、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、炭素数8〜20の親油基を有するα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数8〜18の脂肪酸由来の脂肪酸塩、炭素数8〜18のアルキル基(又はアルケニル基)を有するポリオキシエチレン(1〜7)アルキル(又はアルケニル)エーテル酢酸塩、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミドエーテル酢酸塩、炭素数8〜18の脂肪酸由来の脂肪族アシルアミノ酸塩(N−アシルグリシン塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルアラニン塩、N−アシル−N−メチルアラニン塩、N−アシル−L−グルタミン酸塩、N−アシル−L−アスパラギン酸塩)、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するN−脂肪族アシル−N−メチルタウリン塩、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するイセチオン酸エステル塩、炭素数8〜18のアルキル基を有するモノアルキルリン酸エステル塩、炭素数8〜18のアルキル基を有するポリオキシエチレン(1〜7)モノアルキルエーテルリン酸エステル塩、などのアニオン性界面活性剤、
【0032】
炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するアミドプロピルアミノヒドロキシスルホベタイン、炭素数8〜18を有する脂肪酸由来のイミダゾリニウムベタイン型両性界面活性剤、炭素数8〜18のアルキル基を有するN−アルキルアミノジ酢酸塩、N−アルキルアミノプロピオン酸塩、N−アルキルアミノジプロピオン酸塩、N−アルキルジアミノエチルグリシン塩等のN−アルキルアミノ酸型両性界面活性剤、などの両性界面活性剤、
【0033】
炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシド、炭素数8〜18のアシル基を有する脂肪酸アミドプロピルアミンオキシド、などの半極性界面活性剤、
【0034】
炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するアルカノールアミド、炭素数8〜18の脂肪族アシル基を有するポリオキシエチレン(1〜10)脂肪酸アルカノールアミド、炭素数8〜18のアルキル基を有するポリオキシエチレン(1〜20)アルキルエーテル、炭素数8〜14のアルキル基又はポリオキシエチレン(1〜7)アルキルエーテル基を有するアルキルポリグリコシド、などの非イオン性界面活性剤、
【0035】
ポリオキシエチレン(60)セトステアリルヒドロキシミリスチレンエーテル、ポリオキシエチレン(60)セチルステアリルジエーテル等のポリエーテル型増粘剤、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(150)、テトラステアリン酸ポリオキシエチレン(150)ペンタエリスリット、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(160)ソルビタン、ポリオキシエチレン(120)ジオイレン酸メチルグルコシド等のポリエーテルエステル型増粘剤、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム等の水溶性高分子型増粘剤、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム等の無機塩型増粘剤、
【0036】
プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ソルビトール、グリセリン等の保湿剤、炭化水素やエステル等の油性剤、メチルポリシロキサン及びその誘導体やカチオン化セルロース、カチオン化グアーガム等のコンディショニング剤、などが例示される。
【0037】
かくして得られる洗浄剤組成物は、毛髪洗浄料、ボディソープ、ハンドソープ、洗顔料等の用途に極めて有用であり、その形態は、液状(水溶液状)、ペースト状、固体状、粉末状等と任意に選択も可能である。
【実施例】
【0038】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これに限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例における分析・評価は以下の方法で行った。実施例で使用した化合物は、市販品、試薬又は下記製造例で得た化合物を用いた。
【0039】
[起泡性]
洗浄剤組成物の泡立ちについて、20名のパネラーによる官能評価を行った。評価方法は、各パネラーが実際に使用したときの泡立ちの良否を集計し、次の評価基準に従って判定した。判定基準◎において、泡立ちが良いと評価される。
<評価基準>
◎:20名中16名以上が良好な泡立ちであると評価
○:20名中11から15名が良好な泡立ちであると評価
△:20名中6から10名が良好な泡立ちであると評価
×:20名中5名以下が良好な泡立ちであると評価
【0040】
[泡質]
a)泡密度(きめの細かさ)
100mlの共栓付きメスシリンダー(JIS R3550-1994)に人工硬水(アメリカ硬度:50ppm)で界面活性剤の含有量が2.5重量%となる濃度に希釈した洗浄剤組成物の水溶液10mlを入れ、測定温度25℃にて、一定速度で30秒間に60回、手で振とうした。次いで1分間静置した後、直ちに1分間静置後の泡の体積(ml)及び1分間静置後の洗浄剤組成物水溶液の体積(ml)を目視によって測定した。この測定を3回行い、それぞれの測定値の平均を整数位まで求め、その平均値を「1分間静置後の泡の体積」、「1分間静置後の洗浄剤組成物水溶液の体積」とした。その泡の体積とその洗浄剤組成物水溶液の体積の数値から、次の式(1)を用いて泡密度(g/ml)を算出した。泡密度の数値が大きいほどきめ細かい泡と評価される。なお、洗浄剤組成物水溶液の比重を1とみなして、泡密度を算出した。

泡密度(g/ml)=(10−洗浄剤組成物水溶液の体積)/(泡の体積) (1)

b)官能評価(クリーミー感)
泡のクリーミー感について、20名のパネラーによる官能評価を行った。評価方法は、各パネラーが実際に使用したときのクリーミー感の有無を集計し、次の評価基準に従って判定した。判定基準◎が泡にクリーミー感が高いと評価される。
<評価基準>
◎:20名中16名以上がクリーミーな泡であると評価
○:20名中11から15名がクリーミーな泡であると評価
△:20名中6から10名がクリーミーな泡であると評価
×:20名中5名以下がクリーミーな泡であると評価
【0041】
[皮膚刺激性]
卵白アルブミン0.025重量%を含有するpH7のリン酸緩衝溶液9mlと、イオン交換水で界面活性剤の含有量が10重量%となる濃度に希釈した洗浄剤組成物水溶液1mlとを混合し、直ちに水系高速液体クロマトグラフィー(カラム;東ソー TSKG3000SWXL(30cm),測定温度;室温,溶離液;0.15M硫酸ナトリム含有0.05Mリン酸緩衝溶液(pH7),検出器;UV)を用いて分析して、卵白アルブミンの220nmの吸収ピーク高さを求めた。なお基準値として、前記洗浄剤組成物の代わりにイオン交換水を用いて同様に分析を行った。
分析の結果、得られた220nmのピーク高さから、次の式(3)を用いて蛋白質変性率(%)を算出した。蛋白質変性率により皮膚刺激性を評価した。蛋白質変性率が小さいほど、皮膚刺激性が小さいことを意味し、蛋白質変性率30%以下が低刺激性と判断される目安となる。

蛋白質変性率(%)=((Ho−Hs)/Ho)×100 (3)
Ho;基準値として分析したときの吸収ピークの高さ
Hs;洗浄剤組成物を分析したときの吸収ピークの高さ
【0042】
[製造例]
攪拌機、温度計、窒素導入管、真空ポンプに接続できる冷却管付きデカンターを備えた四つ口フラスコ(容量;1L)に無水マレイン酸137.3g(1.4モル)、イオン交換水113gを入れ、加熱せずに1時間攪拌して水和した。次に、水冷しながら水酸化ナトリウム59.0g(純度95%、1.4モル)を徐々に加えてマレイン酸一ナトリウム塩とした。次に、ラウリルアミン259.5g(1.4モル)を加えて、わずかに窒素を通気しながら湯浴中で昇温し、90〜97℃に加熱して10時間反応した。半固体状の反応粗物を一旦冷却後、徐々に真空に切り替え、90℃まで昇温しながら減圧脱水し、乾燥粗物とした。このものの未反応アミン含量から求めた反応率は93%であった。これを乳鉢で粉砕し、5重量倍の99.5%エタノール中で加熱洗浄し、室温まで冷却後不溶物を濾過で分取し、さらに減圧乾燥して、本発明に係るN−ラウリルアスパラギン酸一ナトリウム(粉末〜塊状)を得た。精製歩留まりは88.8%、未反応アミンの含有率は0.7%であった。
なお、表1に記載の他のアスパラギン酸誘導体も製造例1と同様の手順にて調製した。無水マレイン酸の水和に用いるイオン交換水は、最終的に反応系中の目的物濃度が80%程度となるに必要な量に調整した。
【0043】
[実施例1〜11及び比較例1〜4]
表1又は表2に記載の配合成分及び配合比率に従ってこれらを混合して、界面活性剤の合計の含有量が25重量%となるようにイオン交換水を加えて濃度調整して、水溶液状の洗浄剤組成物を調製した。上記方法により、起泡性、泡質及び皮膚刺激性を分析・評価した。それらの分析・評価結果を表1又は表2に示した。
【0044】
[実施例12〜14]
表3に示す配合成分及び配合比率に従ってこれらを混合して、界面活性剤成分から理論的に生成するアスパラギン酸誘導体を含む界面活性剤の合計が25重量%となるようにイオン交換水を加えて濃度調整して、水溶液状の洗浄剤組成物を調製した。上記方法により、起泡性、泡質及び皮膚刺激性を分析・評価し、それらの分析・評価結果を表3に示した。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
表1〜表3で使用した化合物は以下の通りである。
ラウリン酸アミドプロピルベタイン;リカビオンB−300(製品名,新日本理化株式会社製)
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン;リカビオンB−200(製品名,新日本理化株式会社製)
ココイルグルタミン酸ナトリウム;アミノサーファクトACDS−L(製品名,旭化成ケミカルズ株式会社製)
水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,トリエタノールアミン,塩化ナトリム,グリセリン;試薬特級
N−ラウリルアスパラギン酸;上記N−ラウリルアスパラギン酸一ナトリウムをナトリウムの当量よりも過剰の塩酸で処理し、析出した固体を水洗して、減圧乾燥して調製した。
【0049】
表1〜表3より、脂肪酸アミドベタインとアスパラギン酸誘導体を併用することにより、泡立ちが良く、きめが細かいクリーミーな泡が得られることがわかる。特に脂肪酸アミドベタインとアスパラギン酸誘導体の配合比率が70:30〜40:60の範囲において、よりきめが細かいクリーミーな泡が得られやすいことが判る。また、当該洗浄剤組成物の低刺激性であることも判る。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の洗浄剤組成物は、きめが細かいクリーミーな泡立ちの良い洗浄剤組成物であるので、近年の消費者の多種多様なニーズに対した付加価値のある末端製品(毛髪洗浄料、ハンドソープ、ボディソープ、洗顔料等)を設計することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

[式中、Rは炭素数8〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。R及びRは、同一又は異なって、それぞれ炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はヒドロキシエチル基を表す。nは、1〜4の整数を表す。]
で表される脂肪酸アミドベタインと
一般式(2)
【化2】

[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表す。また2個のMは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
で表されるアスパラギン酸誘導体を含有する洗浄剤組成物。
【請求項2】
脂肪酸アミドベタインとアスパラギン酸誘導体との比率が重量比で70:30〜40:60である、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
(I)一般式(1)
【化3】

[式中、Rは炭素数8〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。R及びRは、同一又は異なって、それぞれ炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はヒドロキシエチル基を表す。nは、1〜4の整数を表す。]
で表される脂肪酸アミドベタインと
一般式(2)
【化4】

[式中、Rは炭素数10〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表す。また2個のMは、同一又は異なって、それぞれ水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
で表されるアスパラギン酸誘導体を配合する工程、及び/又は
(II)一般式(1)
【化5】

[式中、Rは炭素数8〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。R及びRは、同一又は異なって、それぞれ炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はヒドロキシエチル基を表す。nは、1〜4の整数を表す。]
で表される脂肪酸アミドベタインと
一般式(3)
【化6】

[式中、Rは一般式(2)におけると同義である]
で表されるアスパラギン酸化合物とアルカリ性化合物を配合する工程、
を具備する方法により得られる洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2013−82803(P2013−82803A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223398(P2011−223398)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000191250)新日本理化株式会社 (90)
【Fターム(参考)】