説明

洗浄剤組成物

本発明の身体洗浄剤組成物は、(A)長鎖脂肪酸またはその塩、(B)N−アシル−α−アラニンまたはその塩、(C)室温において液状の多価アルコール、並びに第1の態様として(D)高分子化合物及び(E)無機塩類、第2の態様として(F)両性界面活性剤、又は第3の態様として(G)アシルアミノ酸アルカリ金属塩(但し、前記(B)のアルカリ金属塩を除く)を必須成分とする組成物よりなる。
本発明の身体洗浄剤組成物は、洗浄時における泡の立ち上がりが早く、泡量、泡の伸び、泡保持という洗浄剤の基本性能に優れ、しかも、すすぎ時における感触は、残留感がないと同時に、きしみ感も与えず、乾燥後における感触は、サッパリとした感触を有しつつ、適度なシットリ感を与え得るという効果を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、長鎖脂肪酸またはその塩の1種または2種以上とN−アシル−α−アラニンまたはその塩と、室温において液状の多価アルコールと、高分子化合物とを少なくとも含有する身体用洗浄剤組成物に関するものであり、詳しくは、洗浄時における泡の立ち上がりが早く、泡量、泡の伸び、泡保持という洗浄剤の基本性能に優れ、すすぎ時における感触は、残留感がないと同時に、きしみ感も与えず、乾燥後における感触は、サッパリとした感触を有しつつ、適度なシットリ感を与え得る身体用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
従来より、身体用洗浄剤の洗浄成分として主として長鎖脂肪酸またはその塩(所謂、高級脂肪酸石鹸類)に代表されるアニオン界面活性剤や、ベタイン型両性界面活性剤等が、その泡量、洗浄力の高さから、皮膚の洗浄剤として使用されている。しかしながら、泡質、水すすぎ性に劣ること、乾燥後の感触についても、皮膚に対しては、すすぎ時において残留感があり、且つきしみ感が強く、乾燥時においてはカサツキ感を与えるといった欠点があった。
すすぎ時のきしみ緩和、コンディショニング効果付与等の目的でカチオン化セルロースのようなカチオン性高分子コンディショニング剤が洗浄剤に使用されているが、カチオン性高分子は、十分な効果を出すために、大量に配合すると泡質を劣化させ、またすすぎ時および乾燥後に残留感を感じさせるという問題があった。
グリセリン、プロピレングリコール、乳酸ソーダ等は保湿剤として知られているが、これらの保湿剤を単に洗浄剤に組み合わせただけの身体用洗浄剤では、皮膚に対してシットリ感を十分に向上させることはできない。
特開2001−19632号公報には、N−アシルアラニンナトリウム塩とグリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールとヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインを配合した洗浄料が開示されている。しかし、本発明者等の研究によれば、該洗浄料は泡質や水すすぎ性に劣り、また、乾燥後のサッパリ感に劣るという欠点があり、十分に満足できるものではなかった。
特開平01−282299号公報には、石鹸素地とラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン塩を配合した洗浄料、または石鹸素地とラウロイルサルコシントリエタノールアミン塩を配合した洗浄料が開示されている。しかし、本発明者等の研究によれば、該洗浄料は、泡の立ち上がりや泡量、泡保持といった泡性能、水すすぎ性に劣り、また、乾燥後のサッパリ感に劣るという欠点があり、十分に満足できるものではなかった。
特開平10−147800号公報には、石鹸素地とN−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、グリセリンを配合した洗浄料、また、石鹸素地とヤシ油脂肪酸アシル−N−メチル−β−アラニンナトリウム塩を配合した洗浄料が開示されている。しかし、本発明者等の研究によれば、これらの洗浄料は、泡の立ち上がりや泡量、泡保持といった泡性能、水すすぎ性に劣り、また、乾燥後のシットリ感またはサッパリ感に劣るという欠点があり、十分に満足できるものではなかった。
特開2002−338994号公報には、ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニンナトリウム塩とミリスチン酸カリウム塩、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]デキストランを配合した粉末状洗浄剤が開示されている。しかし、本発明者等の研究によれば、該粉末状洗浄剤は水すすぎ性に劣り、また、乾燥後のサッパリ感に劣るという欠点があり、十分に満足できるものではなかった。
特開2002−293722号公報には、ラウロイル−DL−アラニントリエタノールアミン塩、ステアリン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、1,3−ブチレングリコールを配合した洗顔料が開示されている。しかし、本発明者等の研究によれば、該洗顔料は、泡保持や水すすぎ性に劣り、また、乾燥後のサッパリ感に劣るという欠点があり、十分に満足できるものではなかった。
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたもので、その目的は、洗浄時における泡の立ち上がりが早く、泡量、泡の伸び、泡保持という洗浄剤の基本性能に優れ、しかも、すすぎ時における感触は、残留感がないと同時に、きしみ感も与えず、乾燥後における感触は、サッパリとした感触を有しつつ、適度なシットリ感を与え得る身体用洗浄剤組成物を提供することである。
【発明の開示】
本発明者等は上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、(A)長鎖脂肪酸またはその塩、(B)N−アシル−α−アラニンまたはその塩及び(C)室温において液状の多価アルコールをベース成分とし、これに、(D)高分子化合物及び(E)無機塩類を少なくとも配合するか、或いは、(F)両性界面活性剤または(G)アシルアミノ酸アルカリ金属塩(但し、(B)のアルカリ金属塩を除く)を少なくとも配合することより、泡立ち、泡量、泡の伸び及び泡保持といった洗浄剤の基本性能と、すすぎ時及び乾燥後における優れた感触とを両立し得る洗浄剤を実現できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、
(1)下記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有することを特徴とする身体用洗浄剤組成物、
(A)長鎖脂肪酸またはその塩;
(B)一般式(I):

(式中Rは、炭素数が8〜26の飽和または不飽和のアシル基を表す。)
で表されるN−アシル−α−アラニンまたはその塩;
(C)室温において液状の多価アルコール;
(D)高分子化合物;
(E)無機塩類;
(2)下記(A)、(B)、(C)及び(F)を含有することを特徴とする身体用洗浄剤組成物、
(A)長鎖脂肪酸またはその塩;
(B)一般式(I):

(式中Rは、炭素数が8〜26の飽和または不飽和のアシル基を表す。)
で表されるN−アシル−α−アラニンまたはその塩;
(C)室温において液状の多価アルコール;
(F)両性界面活性剤;
(3)下記(A)、(B)、(C)及び(G)を含有することを特徴とする身体用洗浄剤組成物、
(A)長鎖脂肪酸またはその塩;
(B)一般式(I):

(式中Rは、炭素数が8〜26の飽和または不飽和のアシル基を表す。)
で表されるN−アシル−α−アラニンまたはその塩;
(C)室温において液状の多価アルコール;
(G)アシルアミノ酸アルカリ金属(但し、前記(B)のアルカリ金属塩を除く。);
(4)さらに(F)両性界面活性剤を含有する、上記(3)記載の身体用洗浄剤組成物、
(5)さらに(E)無機塩類を含有する、上記(2)〜(4)のいずれか一つに記載の身体用洗浄剤組成物、
(6)さらに(D)高分子化合物を含有する、上記(2)〜(5)のいずれか一つに記載の身体用洗浄剤組成物、
(7)(D)高分子化合物がカチオン性高分子である、上記(1)または(6)に記載の身体用洗浄剤組成物、
(8)(B)N−アシル−α−アラニンまたはその塩が、N−アシル−L−アラニンまたはその塩である、上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の身体用洗浄剤組成物、
(9)(B)N−アシル−α−アラニンまたはその塩が、N−アシル−α−アラニンアルカリ金属塩である、上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載の身体用洗浄剤組成物、及び
(10)上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の洗浄剤組成物を含有する身体用洗浄剤、に関する。
本発明において、身体用洗浄剤組成物とは、顔及び顔以外の人体表皮(皮膚)の洗浄に使用する洗浄剤組成物を意味し、その剤形態は液状、泡状、ジェル状、固形状、半固形状、粉末(パウダー)状等の種々の形態を包含する。
発明の詳細な説明
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する成分(A)の長鎖脂肪酸またはその塩は、直鎖若しくは分岐鎖状の飽和若しくは不飽和脂肪酸又はその塩であって、炭素原子数が同一の単一化合物又は炭素原子数が異なる化合物の混合物よりなる。塩の塩基成分としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールなどの有機アミン、アンモニア等の無機アミン、リジン、オルニチン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸等を挙げることができ、好ましくはアルカリ金属である。当該長鎖脂肪酸又はその塩において、炭素原子数が同一の単一化合物である場合の炭素原子数は8〜26が好ましく、特に好ましくは8〜18であり、また、炭素原子数が異なる化合物の混合物である場合の平均炭素原子数は8〜26が好ましく、特に好ましくは8〜18である。当該長鎖脂肪酸又はその塩の好ましい具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、牛脂脂肪酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等やこれらの塩が挙げられ、中でもラウリン酸(塩)、ミリスチン酸(塩)、パルミチン酸(塩)、ステアリン酸(塩)、ヤシ油脂肪酸(塩)が特に好ましい。
該成分(A)の長鎖脂肪酸またはその塩は、1種を用いても2種以上を併用してもよい。また、その配合量は目的とする製品(すなわち、洗浄剤組成物の具体的用途)により適宜決定され、特に制限されないが、泡の立ち上がりや泡量といった観点から、通常、組成物全体あたり0.1〜80重量%であり、好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜30重量%である。
本発明で使用する成分(B)のN−アシル−α−アラニンまたはその塩は、前記一般式(I)で表される化合物または塩からなり、N−アシル−D−アラニン(塩)、N−アシル−L−アラニン(塩)、若しくはN−アシル−DL−アラニン(塩)であっても、またはこれらから選ばれる2種以上の混合体であってもよい。
式(I)中Rで示される炭素原子数が8〜26の飽和または不飽和のアシル基は分岐でも直鎖でもよく、例えば、カプリロイル基、カプリノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基等が挙げられる。
本発明において、当該式(I)の化合物は、式中Rで表されるアシル基が同一である単一化合物であっても、該アシル基が異なる化合物の混合物であってもよい。かかる混合物としては、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の天然より得られる混合物脂肪酸あるいは合成により得られる脂肪酸(分岐鎖脂肪酸を含む)由来のアシル基を有する化合物等が挙げられる。当該式(I)の化合物は、好ましくは式中Rは混合脂肪酸由来のアシル基であり、その場合、アシル基(すなわちR)の平均炭素原子数は8〜26、好ましくは8〜18であり、特に好ましいい混合脂肪酸由来のアシル基はヤシ油脂肪酸由来のアシル基である。
式(I)の化合物の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールなどの有機アミン、アンモニア等の無機アミン、リジン、オルニチン、アルギニン等の塩基性アミノ酸等を塩基成分とする塩が挙げられる。当該塩は製品形態の安定性等からアルカリ金属塩が好ましく、泡の伸びや泡保持といった観点からナトリウム塩が最も好ましい。
本発明において、成分(B)のN−アシル−α−アラニン又はその塩は、その入手しやすさから、N−アシル−DL−アラニン又はその塩、N−アシル−L−アラニン又はその塩が好ましく、N−アシル−L−アラニン又はその塩が特に好ましい。
また、洗浄剤組成物のすすぎ時の残留感の少なさ等の観点からは、N−アシル−L−アラニン又はその塩を使用するのが好ましい。
該成分(B)のN−アシル−α−アラニン又はその塩の具体例としては、例えばN−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニンナトリウム塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アラニンナトリウム塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニンカリウム塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アラニンカリウム塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニントリエタノールアミン塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アラニントリエタノールアミン塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニンリジン塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アラニンリジン塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニンアルギニン塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アラニンアルギニン塩、N−ラウロイル−DL−アラニンナトリウム塩、N−ラウロイル−L−アラニンナトリウム塩、N−ラウロイル−DL−アラニンカリウム塩、N−ラウロイル−L−アラニンカリウム塩、N−ラウロイル−DL−アラニントリエタノールアミン塩、N−ラウロイル−L−アラニントリエタノールアミン塩、N−ラウロイル−DL−アラニンリジン塩、N−ラウロイル−L−アラニンリジン塩、N−ラウロイル−DL−アラニンアルギニン塩、N−ラウロイル−L−アラニンアルギニン塩、N−ミリストイル−DL−アラニンナトリウム塩、N−ミリストイル−L−アラニンナトリウム塩、N−ミリストイル−DL−アラニンカリウム塩、N−ミリストイル−L−アラニンカリウム塩、N−ミリストイル−DL−アラニントリエタノールアミン塩、N−ミリストイル−L−アラニントリエタノールアミン塩、N−ミリストイル−DL−アラニンリジン塩、N−ミリストイル−L−アラニンリジン塩、N−ミリストイル−DL−アラニンアルギニン塩、N−ミリストイル−L−アラニンアルギニン塩、N−パルミトイル−DL−アラニンナトリウム塩、N−パルミトイル−L−アラニンナトリウム塩、N−パルミトイル−DL−アラニンカリウム塩、N−パルミトイル−L−アラニンカリウム塩、N−パルミトイル−DL−アラニントリエタノールアミン塩、N−パルミトイル−L−アラニントリエタノールアミン塩、N−パルミトイル−DL−アラニンリジン塩、N−パルミトイル−L−アラニンリジン塩、N−パルミトイル−DL−アラニンアルギニン塩、N−パルミトイル−L−アラニンアルギニン塩、N−ステアロイル−DL−アラニンナトリウム塩、N−ステアロイル−L−アラニンナトリウム塩、N−ステアロイル−DL−アラニンカリウム塩、N−ステアロイル−L−アラニンカリウム塩、N−ステアロイル−DL−アラニントリエタノールアミン塩、N−ステアロイル−L−アラニントリエタノールアミン塩、N−ステアロイル−DL−アラニンリジン塩、N−ステアロイル−L−アラニンリジン塩、N−ステアロイル−DL−アラニンアルギニン塩、N−ステアロイル−L−アラニンアルギニン塩、N−ステアロイル−DL−アラニンナトリウム塩、N−ステアロイル−L−アラニンナトリウム塩、N−ステアロイル−DL−アラニンカリウム塩、N−ステアロイル−L−アラニンカリウム塩、N−ステアロイル−DL−アラニントリエタノールアミン塩、N−ステアロイル−L−アラニントリエタノールアミン塩、N−ステアロイル−DL−アラニンリジン塩、N−ステアロイル−L−アラニンリジン塩、N−ステアロイル−DL−アラニンアルギニン塩、N−ステアロイル−L−アラニンアルギニン塩等が挙げられる。これらの中でもアシル基がヤシ油脂肪酸アシルタイプのものが好ましく、特に好ましくはN−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アラニンナトリウム塩である。
本発明において、該成分(B)のN−アシル−α−アラニン又はその塩は、1種を用いても2種以上を併用してもよい。また、その配合量は目的とする製品(すなわち、洗浄剤組成物の具体的用途)により適宜決定でき、特に制限されないが、組成物全体当り通常0.03〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは1.0〜25重量%である。
本発明において、成分(A)の長鎖脂肪酸またはその塩と、成分(B)のN−アシル−α−アラニンまたはその塩との配合比率は特に限定はされないが、好ましくは99/1〜1/99で、より好ましくは50/50〜1/99、特に好ましくは30/70〜5/95である。
本発明で使用する成分(C)の室温で液状の多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、エチルヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられ、糖類は含まれない。これらの中でも、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリンが好ましい。なお、ここでの室温とは20℃を意味する。
該成分(C)の多価アルコールは1種を用いても2種以上を併用してもよい。また、その配合量は目的とする製品(すなわち、洗浄剤組成物の具体的用途)により適宜決定でき、特に制限されないが、通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜45重量%、特に好ましくは5〜40重量%である。配合量が0.1重量%を下回る場合、すすぎ時に好ましくない残留感を与えたり、また乾燥後に十分なシットリ感を付与することができない場合がある。また配合量が50重量%を超える場合は、泡量、泡の伸び、泡保持という洗浄剤の基本性能を低下させたり、乾燥後のサッパリとした感触が得られないことがある。
本発明の洗浄剤組成物は、以上記載の(A)〜(C)をベース成分(基本成分)とするものであり、該(A)〜(C)の3成分にさらに(D)高分子化合物及び(E)無機塩類を少なくとも配合した組成物(第1の態様)か、該(A)〜(C)の3成分にさらに(F)両性界面活性剤を少なくとも配合した組成物(第2の態様)か、或いは、該(A)〜(C)の3成分にさらに(G)アシルアミノ酸アルカリ金属塩(但し、(B)のアルカリ金属塩を除く)を少なくとも配合した組成物(第3の態様)よりなる。
すなわち、後述の実施例及び比較例から明らかなように、(A)〜(C)の3成分を含有するだけでは、本発明の目的である泡立ち、泡量、泡の伸び及び泡保持といった洗浄剤の基本性能と、すすぎ時及び乾燥後における感触とが両立した組成物を実現できないし、また、ベース成分である(A)〜(C)の3成分のうちのいずれか一つでも欠落すると、残りの2成分にさらに(D)高分子化合物及び(E)無機塩類を配合した組成物、或いは、残りの2成分にさらに(F)両性界面活性剤または(G)アシルアミノ酸アルカリ金属塩を配合した組成物であっても、本発明の目的である泡立ち、泡量、泡の伸び及び泡保持といった洗浄剤の基本性能と、すすぎ時及び乾燥後における感触とが両立した組成物とすることは困難である。
本発明で使用する成分(D)の高分子化合物は、成分(C)に含まれるポリアルキレングリコールを含まないこと以外は、特に制限されず、アニオン性高分子、カチオン性高分子、両性高分子及びノニオン性高分子等の種々の高分子化合物を使用できる。
アニオン性高分子としては、例えば、ポリアクリル酸及びその塩(ナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエタノールアミン、アルギニン、リジン塩等)、アクリル樹脂、アクリル酸・アクリルアミド・アクリル酸エチル共重合体およびその塩等のアクリル酸誘導体;ポリグルタミン酸およびその塩;ポリアスパラギン酸およびその塩;ヒアルロン酸およびその塩;アルギン酸およびその塩;アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル・ジアセトン・アセトンアクリルアミド・メタクリル酸共重合体およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩等のメタクリル酸誘導体;酢酸ビニル・クロトン酸共重合体、クロトン酸・酢酸ビニル・ネオデカン酸ビニル共重合体等のクロトン酸誘導体;メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、イソブチレン・マレイン酸共重合体等のマレイン酸誘導体;カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、中でもポリアクリル酸及びその塩等のアクリル酸誘導体、カルボキシメチルセルロースが好ましい。
ノニオン性高分子としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ビニルピロリドン・スチレン共重合体、ビニルピロリドン・ヘキサデセン共重合体、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、エイコセン・ビニルピロリドン共重合体等のビニル誘導体;アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸ブチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、アクリル酸アミド・スチレン共重合体、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体等のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル・マレイン酸エチル共重合体等のマレイン酸誘導体;アルギン酸プロピレングリコール;ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂;グァーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストラン、カードラン、サクシノグルカン等の多糖類およびその誘導体;ポリオキシエチレン牛脂アルキルヒドロキシミリスチレンエーテル等の牛脂誘導体;トリイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のソルビタン誘導体;ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシド等の糖誘導体等が挙げられ、中でもメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体が好ましい。
両性高分子としては、例えば、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等の共重合体;水溶性コラーゲン、加水分解ケラチンおよびその誘導体、加水分解シルクおよびその誘導体、加水分解ゼラチンおよびその誘導体、カゼインおよびその塩、加水分解カゼインおよびその誘導体、加水分解コンキオリンおよびその誘導体、加水分解卵白およびその誘導体、大豆蛋白加水分解物およびその誘導体、加水分解小麦およびその誘導体、加水分解エラスチンおよびその誘導体、アルブミン等の蛋白あるいは加水分解蛋白およびその誘導体;サクシニル化カルボキシメチルキトサン等が挙げられる。
カチオン性高分子としては、キトサン、部分加水分解キチン、キトサン・dl−ピロリドンカルボン酸塩、サクシニルキトサン、ヒドロキシプロピルキトサン等のキチン誘導体;塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム−7)、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体;塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース等のカチオン化セルロース;塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァーガム等のカチオン化グァーガム;メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩等のメタクリル酸誘導体;ビニルイミダゾリニウムメタクロライド・ビニルピロリドン共重合体等が挙げられ、中でもカチオン化セルロースやカチオン化グァーガムが好ましい。
本発明において、該成分(D)の高分子化合物は1種又は2種以上の化合物を使用でき、少なくともカチオン性高分子を用いるのが好ましく、少なくともカチオン性高分子を用いることで、すすぎ時および乾燥後の感触が極めて向上する。
該成分(D)の高分子化合物は1種を用いても2種以上を併用してもよい。また、その配合量は、目的とする製品(すなわち、洗浄剤組成物の具体的用途)により適宜決定でき、特に制限されないが、通常0.01〜15重量%、好ましくは0.05〜10重量%である。配合量が0.01重量%を下回る場合、すすぎ時にきしみ感を与え、乾燥後に十分なシットリ感を付与することができなかったり、また配合量が15重量%を超える場合は、泡量、泡の伸び、泡保持という洗浄剤の基本性能を低下させたり、また、すすぎ時に好ましくない残留感を与えたり、乾燥後のサッパリとした感触が得られなかったりすることがある。
本発明で使用する成分(E)の無機塩類は特に制限されないが、硫酸、塩酸、リン酸等の鉱酸または炭酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との塩が好ましい。具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられ、中でも、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムが好ましい。
該成分(E)の無機塩類は1種を用いても2種以上を併用してもよい。また、その配合量は目的とする製品(すなわち、洗浄剤組成物の具体的用途)により適宜決定でき、特に制限されないが、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは0.1〜3重量%である。配合量が0.01重量%を下回る場合、泡量、泡の伸び、泡保持という洗浄剤の基本性能が低下したり、また、乾燥後のサッパリとした感触が得られないことがある。また配合量が10重量%を超える場合は、すすぎ時に好ましくない残留感があったり、乾燥後に適度なシットリ感が得られないことがある。
本発明で使用する成分(F)の両性界面活性剤は特に制限されず、種々の両性界面活性剤を使用できるが、中でも、カルボベタイン型両性界面活性剤、アミドベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤、ヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤、アミドスルホベタイン型両性界面活性剤、ホスホベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤等が好ましく、アミドベタイン型が特に好ましい。これらの具体例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(ココアミドプロピルベタイン)、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩、パーム核油脂肪酸アシル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ウンデシル−N−カルボキシメチルイミダリニウムベタイン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、ビス(ステアリル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリン)クロル酢酸錯体等が挙げられる。
該成分(F)の両性界面活性剤は1種または2種以上を使用でき、その配合量は目的とする製品(すなわち、洗浄剤組成物の具体的用途)により適宜決定でき、特に制限されないが、通常0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。配合量が0.1重量%を下回る場合、泡量、泡の伸び、泡保持という洗浄剤の基本性能の向上効果が得られなかったり、乾燥後に適度なシットリ感が得られないことがある。また配合量が30重量%を超える場合は、すすぎ時に好ましくない残留感ときしみ感を与えなかったり、乾燥後のサッパリとした感触が得られないことがある。
本発明で使用する成分(G)のアシルアミノ酸アルカリ金属塩は、成分(B)に含まれるN−アシル−α−アラニンアルカリ金属塩以外のアシルアミノ酸アルカリ金属塩であれば制限なく使用でき、アシル基が同一の単一化合物よりなるアシルアミノ酸の塩であっても、アシル基が異なる化合物の混合物よりなるアシルアミノ酸の塩であってもよい。具体的には、ヤシ油脂肪酸アシル−メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシル−メチルタウリンカリウム、ラウロイルメチルタウリンカリウム、ミリストイルメチルタウリンカリウム、ヤシ油脂肪酸アシル−タウリンナトリウム、ラウロイルタウリンナトリウム、ミリストイルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシル−タウリンカリウム、ラウロイルタウリンカリウム、ミリストイルタウリンカリウム、ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸カリウム、ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム、ミリストイル−L−グルタミン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸アシル−メチル−β−アラニンナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム、ミリストイルメチル−β−アラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシル−メチル−β−アラニンカリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンカリウム、ミリストイルメチル−β−アラニンカリウム等が好ましく、これらの中でも、アシル基がヤシ油脂肪酸由来のアシル基であるヤシ油脂肪酸アシル−アミノ酸の塩が特に好ましい。
該成分(G)の両性界面活性剤は1種または2種以上を使用でき、その配合量は目的とする製品(すなわち、洗浄剤組成物の具体的用途)により適宜決定でき、特に制限されないが、通常0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。配合量が0.1重量%を下回る場合、泡量、泡の伸び、泡保持という洗浄剤の基本性能の向上効果が得られなかったり、乾燥後に適度なシットリ感が得られないことがある。また配合量が30重量%を超える場合は、すすぎ時に好ましくない残留感ときしみ感を与えなかったり、乾燥後のサッパリとした感触が得られないことがある。
本発明において、成分(A)〜(C)の3成分(ベース成分)に、成分(F)の両性界面活性剤または成分(G)のアシルアミノ酸アルカリ金属塩のいずれか一方を配合することで、泡立ち、泡量、泡の伸び及び泡保持といった洗浄剤の基本性能と、すすぎ時及び乾燥後における優れた感触とを両立し得る洗浄剤を実現できるが、成分(A)〜(C)の3成分(ベース成分)に成分(F)の両性界面活性剤と成分(G)のアシルアミノ酸アルカリ金属塩の両方を配合することでより好ましい結果が得られる。
本発明の洗浄剤組成物は、以上のように、成分(A)〜(C)をベース成分(基本成分)とし、該(A)〜(C)の3成分にさらに(D)高分子化合物及び(E)無機塩類を配合するか(第1の態様)、該(A)〜(C)の3成分にさらに(F)両性界面活性剤を配合するか(第2の態様)、或いは、該(A)〜(C)の3成分にさらに(G)アシルアミノ酸アルカリ金属塩(但し、(B)のアシルアラニンアルカリ金属塩を除く)を配合する(第3の態様)ことで、目的の洗浄剤の基本性能と、すすぎ時及び乾燥後における優れた感触とを備えた洗浄剤となる。また、第2及び第3の態様の組成物では、さらに(D)高分子化合物と(E)無機塩類のうちの少なくとも1種を配合することでより好ましい結果を期待でき、特に第3の態様の組成物への(E)無機塩類の添加による改善効果は顕著である。
本発明の洗浄剤組成物には、本発明の目的(効果)を阻害しない範囲内において通常化粧料に用いられる油剤、粉体(顔料、色素、樹脂)、フッ素化合物、樹脂、界面活性剤、粘剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、生理活性成分、溶媒、酸化防止剤、抗菌剤、制汗剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤等の成分を同時に配合することができる。
また、本発明の洗浄剤組成物は、弱酸性から弱アルカリ性まで広範囲にわたって使用できるが、皮膚への刺激の低さから、pH5.0〜8.0が好ましく、pH5.0〜6.8の弱酸性が特に好ましい。
本発明の洗浄剤組成物は各種身体用洗浄剤(すなわち、顔及び顔以外の人体表皮(皮膚)の洗浄に使用する洗浄剤)として用いることができ、その剤形態は液状、泡状、ジェル状、固形状、半固形状、粉末(パウダー)状等の種々の形態を包含する。具体的用途としては、洗顔料、メイク落とし、洗顔フォーム、クレンジングクリーム、ボディシャンプー、ハンドソープ、固形石鹸、シェービングフォーム、ひげ剃り用クリーム等を挙げることができる。
【実施例】
以下、実施例と比較例を示して本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下に記載の実施例によって限定されるものでない。
製造例1(N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アラニンナトリウム塩の合成)
L−アラニン30.0gに水167gを加え、pH10.98〜11.02、反応温度33〜37℃を保持しながら、ヤシ油脂肪酸クロライド73.68gと27重量%−NaOH水溶液を攪拌しながら1時間かけて同時に滴下した。1時間熟成後、反応液を昇温し、75重量%硫酸を添加してpHを2.0に調整した。さらに80℃まで昇温し、約10分間攪拌したのち、10分間静置したところ有機層と水層とに分層したので、水層約200gを容器の下部より除去した。残った有機層に熱水を加え、再び80℃とした後、10分間攪拌し、10分間静置し、分層した水層を除去して有機層を得た。有機層に27%水酸化ナトリウム水溶液および水を加え、pH6.8となるように調整し、目的物(N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アラニンナトリウム塩)を得た。
製造例2(N−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニンナトリウム塩の合成)
L−アラニンの代わりに、DL−アラニンを使用した以外は、上記製造例1と同様にして、目的物(N−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニンナトリウム塩)を得た。
下記の表1、2に示す組成の洗浄剤組成物(実施例1〜12、比較例1〜9)を調製し、以下の評価試験を行った。なお、各組成物における表記載の配合成分以外の残余の成分は蒸留水であり、表記載の各配合成分の量(表中の数値)は組成物全体を100とした時の重量分率(%)である。
[評価試験]
▲1▼泡の立ち上がり、泡量、泡の伸び及び泡保持等の洗浄剤としての基本性能の評価
5名の専門パネラーによる手洗い評価で行った。評価は下記採点表から換算される平均点が4.1以上の場合を◎、3.5〜4.0を○、3.0〜3.4を△、2.9以下を×とした。
(泡の立ち上がり)
5:早い
4:やや早い
3:普通
2:やや遅い
1:遅い
(泡量)
5:豊富
4:やや豊富
3:普通
2:やや不足
1:不足
(泡の伸び)
5:良好
4:やや良好
3:普通
2:やや好ましくない
1:好ましくない
(泡保持)
5:良好
4:やや良好
3:普通
2:やや好ましくない
1:好ましくない
▲2▼手洗い試験による官能評価
手洗い試験では、すすぎ時の残留感ときしみ感、乾燥後のシットリ感とサッパリ感を5名の専門パネラーが評価した。
評価は1点(悪い)〜5点(良好)の5段階で評価し、5名の平均点を算出して、平均点が4.1以上を◎、3.5〜4.0を○、3.0〜3.4を▲、2.9以下を×として評価した。



表1、2からわかるように、実施例の洗浄剤組成物は泡の基本性能の全ての項目(泡の立ち上がり、泡量、泡の伸び、泡保持)において良好であり、皮膚に対するすすぎ時の感触は、残留感、きしみ感を与えず、乾燥後の感触は、シットリかつサッパリとした使用感を与えることが分かる。
【実施例13〜17】
下記の表に示す処方で常法に従って得られるボディシャンプー▲1▼(実施例13)、ボディシャンプー▲2▼(実施例14)、液体ハンドソープ(実施例15)、洗顔フォーム▲1▼(実施例16)及び洗顔フォーム▲2▼(実施例17)は、いずれも泡の立ち上がり、泡量、泡の伸び及び泡保持からなる基本性能は良好で、しかも、使用感においても優れるものである。なお、各表に記載の各配合成分の量(表中の数値)は組成物全体を100とした時の重量分率(%)である。





【産業上の利用の可能性】
以上の説明により明らかなように、本発明によれば、洗浄時における泡の立ち上がりが早く、泡量、泡の伸び、泡保持という洗浄剤の基本性能に優れ、しかも、すすぎ時は残留感がないと同時にきしみ感を与えず、乾燥後はシットリかつサッパリとした感触を与える身体用洗浄剤組成物を得ることができる。
本出願は日本で出願された特願2003−129552を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有することを特徴とする身体用洗浄剤組成物。
(A)長鎖脂肪酸またはその塩
(B)一般式(I):

(式中Rは、炭素数が8〜26の飽和または不飽和のアシル基を表す。)
で表されるN−アシル−α−アラニンまたはその塩
(C)室温において液状の多価アルコール
(D)高分子化合物
(E)無機塩類
【請求項2】
下記(A)、(B)、(C)及び(F)を含有することを特徴とする身体用洗浄剤組成物。
(A)長鎖脂肪酸またはその塩
(B)一般式(I):

(式中Rは、炭素数が8〜26の飽和または不飽和のアシル基を表す。)
で表されるN−アシル−α−アラニンまたはその塩
(C)室温において液状の多価アルコール
(F)両性界面活性剤
【請求項3】
下記(A)、(B)、(C)及び(G)を含有することを特徴とする身体用洗浄剤組成物。
(A)長鎖脂肪酸またはその塩
(B)一般式(I):

(式中Rは、炭素数が8〜26の飽和または不飽和のアシル基を表す。)
で表されるN−アシル−α−アラニンまたはその塩
(C)室温において液状の多価アルコール
(G)アシルアミノ酸アルカリ金属(但し、前記(B)のアルカリ金属塩を除く)。
【請求項4】
さらに(F)両性界面活性剤を含有する、請求の範囲第3項記載の身体用洗浄剤組成物。
【請求項5】
さらに(E)無機塩類を含有する、請求の範囲第2〜4項のいずれか一項記載の身体用洗浄剤組成物。
【請求項6】
さらに(D)高分子化合物を含有する、請求の範囲第2〜5項のいずれか一項記載の身体用洗浄剤組成物。
【請求項7】
(D)高分子化合物がカチオン性高分子である、請求の範囲第1項または第6項記載の身体用洗浄剤組成物。
【請求項8】
(B)N−アシル−α−アラニンまたはその塩が、N−アシル−L−アラニンまたはその塩である、請求の範囲第1〜7項のいずれか一項記載の身体用洗浄剤組成物。
【請求項9】
(B)N−アシル−α−アラニンまたはその塩が、N−アシル−α−アラニンアルカリ金属塩である、請求の範囲第1〜8項のいずれか一項記載の身体用洗浄剤組成物。
【請求項10】
請求項の範囲第1〜9項のいずれか一項記載の洗浄剤組成物を含有する身体用洗浄剤。

【国際公開番号】WO2004/098558
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505996(P2005−505996)
【国際出願番号】PCT/JP2004/006129
【国際出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】