説明

洗浄料

【課題】皮膚および毛髪に対し低刺激であって、起泡力が高く、泡質が良好で、泡持ちが良く、使用感、使用性の優れた洗浄料を提供する。
【解決手段】(a)特定のポリアルキルグルコシド誘導体〔例えば、ポリ(ラウリルグルコシドヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム)、ポリ(ラウリルグルコシドヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム)など〕を0.1〜30質量%と、(b)モノエステル化率が70%以上の特定のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを3〜50質量%含有する洗浄料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄料に関する。さらに詳しくは、皮膚および毛髪に対し低刺激であって、起泡力が高く、泡質がクリーミーで、泡の持続性(泡もち)に優れる洗浄料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚および毛髪用洗浄料において、起泡力や、泡のクリーミーさ、泡の持続性(泡もち)は製品の特性上、非常に重要である。また近年、敏感肌の消費者が増加しており、洗浄性品が低刺激であることが望まれている。
【0003】
皮膚および毛髪用洗浄料は一般に、洗浄成分として分子量が500以下の低分子のアニオン界面活性剤が主成分として用いられている。例えば、皮膚洗浄用として石鹸すなわち高級脂肪酸塩やモノアルキルリン酸塩等が、頭髪洗浄用としてアルキル硫酸塩やアルキルスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩等が、好適に用いられる。
【0004】
これら低分子のアニオン界面活性剤は洗浄力、起泡性、使用後のさっぱり感等に優れており、通常、健常人では問題がないが、疾患肌、敏感肌などの肌の弱い人には刺激になることがある。肌にトラブルのない健常人では皮膚にバリア機能があり、洗浄成分であっても通常刺激などの問題はない。しかし疾患肌、敏感肌などの肌の弱い人は、皮膚のバリア機能が著しく低下しており、肌内部に浸透しやすい低分子の洗浄成分を使用すると、肌のかゆみや赤みなどの刺激を発現するという問題があった。
【0005】
こうした問題に対し、高分子量の界面活性剤が活用されることがある。分子量が500超の洗浄成分、特には分子量が約1000以上の洗浄成分では、皮膚内部へ成分が浸透しにくくなる傾向があることから、このような高分子量の界面活性剤の使用は低刺激性の点からみると好ましい。
【0006】
分子量が1000以上のアニオン界面活性剤として、例えばポリ(アルキルグルコシドヒドロキシ誘導体)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このポリ(アルキルグルコシドヒドロキシ誘導体)は、皮膚内部に吸収され難く、刺激性があまりないが、その一方、起泡性が十分でなく、泡質のクリーミーさ、泡の持続性、さっぱり感等において十分でなく、これら使用性の点において十分満足のいくものではなかった。そのため、起泡洗浄性剤として用いる時は、特許文献1の実施例の欄に示すように、分子量500以下の起泡性を有するアニオン界面活性剤と組み合わせて用いて製剤化していた。
【0007】
しかし低分子のアニオン界面活性剤と混合するため、混合したアニオン界面活性剤の刺激性により、製剤全体としての刺激性が高まり、起泡性と低刺激性を両立することができず、泡質、泡の持続性の点においても不十分なままであった。
【0008】
他方、ノニオン界面活性剤を用いた低刺激化の手法がある。ノニオン界面活性剤は、アニオン界面活性剤よりも低刺激であることが知られているが、一般にアニオン界面活性剤に比べると起泡力が極めて小さい。そのため、ノニオン界面活性剤を主成分とした洗浄料は泡立ちがほとんどないという問題があった。
【0009】
かかる従来の問題に対して、近年、脂肪酸モノエステル比率を高めたポリグリセリン脂肪酸エステルが検討され、ノニオン界面活性剤にも関わらず泡立つ性質があることが見出され、洗浄料への活用が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
しかしながら、モノエステル比率を高めたポリグリセリン脂肪酸エステルは、起泡性はあるものの、泡質のクリーミーさがなく、泡の持続性も十分とはいえなかった。
【0011】
そのため、低刺激性と泡立ち、泡質のクリーミーさ、泡の持続性のいずれの点でも優れる洗浄料が求められていた。
【0012】
【特許文献1】発明協会公開技報公技番号2006−502131号
【特許文献2】特開平10−218759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、皮膚および毛髪に対し低刺激であって、起泡力が高く、泡質が良好で、泡の持続性(泡もち)に優れる洗浄料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を達成するために本発明は、(a)下記式(I)および/または下記式(II)で示されるポリアルキルグルコシド誘導体を0.1〜30質量%と、(b)下記式(III)で示されるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルのうち、モノエステル化率が70%以上であるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを3〜50質量%含有する洗浄料を提供する。
【0015】

【0016】

【0017】
〔式(I)、(II)中、R1は飽和または不飽和の平均炭素原子数8〜20のアルキル基または脂肪酸残基(アシル基)を表し;XはSO3-+またはPOHO3-+(M+は1価の無機または有機カチオンを表す)を表し;YはSO4-+またはPO4-+(M+は上記で定義したとおり)を表し;n、mはそれぞれ2〜30の数を表す。〕
【0018】

【0019】
〔式(III)中、R2は飽和または不飽和の平均炭素原子数8〜20の脂肪酸残基(アシル基)を表し;uは6〜30の数を表す。〕
【0020】
また本発明は、(b)成分であるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの脂肪酸部がラウリン酸である、上記洗浄料を提供する。
【0021】
また本発明は、上記式(III)中、uが10である、上記洗浄料を提供する。
【0022】
また本発明は、洗浄料中における、(a)成分と(b)成分の配合比率が、(a)成分:(b)成分=1:1〜1:10(質量比)である、上記洗浄料を提供する。
【0023】
また本発明は、分子量500以下のアニオン界面活性剤の配合量が5質量%以下(0質量%含む)である、上記洗浄料を提供する。
【0024】
また本発明は、(b)成分に対するポリグリセリンジ脂肪酸エステル(=ジエステル体)の配合量割合が10質量%以下(0質量%含む)である、上記洗浄料を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、皮膚および毛髪に対し低刺激であって、起泡力が高く、泡質がクリーミーで、泡の持続性(泡もち)に優れる洗浄料が提供される。本発明の洗浄料は皮膚洗浄、頭髪洗浄等に好適に適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明について詳述する。
【0027】
本発明の(a)成分は、下記式(I)および/または下記式(II)で示されるポリアルキルグルコシド誘導体である。
【0028】

【0029】

【0030】
上記式(I)、(II)中、各置換基は以下の意味を示す。
【0031】
1は飽和または不飽和の平均炭素原子数8〜20の、アルキル基または脂肪酸残基(アシル基)を表す。R1として、例えばC1021、C1225、C1429、C1633、C1837、C2041、C1021CO、C1225CO、C1429CO、C1633CO、C1837CO、C2041CO等が挙げられる。
【0032】
XはSO3-+またはPOHO3-+を表す。ここでM+は1価の無機または有機カチオン(対イオン)を表す。1価の無機カチオンとしては、例えば、Na+、K+等のアルカリ金属イオンや、NH4+等が挙げられ、1価の有機カチオンとしては、例えばH2N(OCH2CH3+、N(OCH2CH33+等が挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。本発明ではアルカリ金属イオンが好ましい。
【0033】
YはSO4-+またはPO4-+(M+は上記で定義したとおり)を表す。
【0034】
n、mは平均重合度であり、それぞれ2〜30の数を表す。
【0035】
上記(a)成分はポリマー型アニオン界面活性剤であり、アルキルグルコシドをスルホン化、またはリン酸化して得られる誘導体の塩、若しくはそれを1,3−ジクロロ−2−プロパノールまたはエピクロロヒドリンで重合すること等により製造することができる。ただしこの製造方法に限定されるものでない。
【0036】
(a)成分は市販品を用いることができ、例えば上記式(I)に示すポリマーとして、「PolySugaNate 160P」、「PolySugaNate 124P」、「PolySugaNate 100P」(以上、いずれもColonial Chemical社製)等として販売されているポリ(アルキルグルコシドヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩)などが挙げられ、上記式(II)で示すポリマーとして、「PolySugaPhos 1200P」、「PolySugaPhos 1000P」(以上、いずれもColonial Chemical社製)等として販売されているポリ(アルキルグルコシドヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム塩)などが挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。(a)成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0037】
(a)成分の配合量は、本発明洗浄料中、0.1〜30質量%であり、好ましくは1〜20質量%である。(a)成分が0.1質量%未満では十分な泡立ちや洗浄性を得難く、一方、30質量%超では粘度が高くなり使用し難くなる。
【0038】
本発明に用いる(b)成分は、下記式(III)で示されるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルのうちモノエステル化率が70%以上のものである。
【0039】

【0040】
上記式(III)中、R2は飽和または不飽和の平均炭素原子数8〜20の脂肪酸残基(アシル基)を表す。R2としては、C919CO、C1123CO、C1327CO、C1531CO、C1735CO、C1939CO等が挙げられる。
【0041】
uはポリグリセリンの平均重合度であり、6〜30の数を表す。特にu=10であるデカグリセリンが好ましい。
【0042】
ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、グリセリンの縮合体であるポリグリセリンのOH基に1個の脂肪酸がエステル結合したモノエステル体である。ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは一般に、脂肪酸にグリシドールを触媒存在下で付加重合して合成することができる。ただしこれに限定されるものでない。
【0043】
「モノエステル化率が70%以上」とは、特開平10−218759号公報(特許文献2)に示されるように、カラムクロマト分析法で、紫外線吸収検出器を用いて検出されるモノ脂肪酸エステル体のピーク面積比で示したモノエステル脂肪酸エステル体含有率が70%以上であることをいう。該モノエステル体含有率(=モノエステル化率)は好ましくは80%以上である。すべてがモノエステル体でもかまわない。
【0044】
なお上記モノエステル体含有率の測定は、特開平10−218759号公報(特許文献2)に記載した方法により好適に行うことができる。すなわち、HPLC法による逆相分配カラム法が有効で、カラム:Wacosil 5c182(和光純薬(株)製:逆相分配カラムであるオクタデシル基を官能基としてもつカラム)を用いて、展開溶媒:メタノール、流速:0.75mL/min、カラムオーブン温度:40℃、検出方法:紫外線吸収法(λ:210nm)、試料濃度:10%(溶媒:MeOH)、注入量:5mLの条件で測定を行うことができる。
【0045】
(b)成分は非イオン性界面活性剤であり、その具体例としては、例えば、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノイソステアリン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸オクタグリセリル、モノミリスチン酸オクタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル等が挙げられる。中でもモノラウリン酸デカグリセリルが好ましい。
【0046】
(b)成分は市販品を用いることができ、例えば「サンソフトM−12J」(太陽化学(株)製。モノラウリン酸デカグリセリル。モノエステル化率約80%)等が挙げられる。ただしこの例示に限定されるものでない。(b)成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0047】
(b)成分の配合量は、本発明洗浄料中、3〜50質量%であり、好ましくは5〜15質量%である。(b)成分が3質量%未満では泡立ちの効果が小さく、一方、50質量%超では低刺激の効果が弱くなる。また、(b)成分を上記配合量範囲内とすることにより、ペースト状、ゲル状、液状、固形状、ムース状等の洗浄料を製造することができる。
【0048】
なお、本発明洗浄料中に(b)成分のジエステル体を含む場合、その配合量を(b)成分に対し10質量%以下(0質量%含む)に抑えるのが泡のクリーミーさ、泡の持続性の観点から好ましい。本発明では(a)成分と(b)成分を(a)成分:(b)成分=1:1〜1:10(質量比)の割合で配合するのが好ましく、より好ましくは1:2〜1:5(質量比)である。(a)成分、(b)成分を上記配合割合で配合することにより、低刺激性と起泡性、泡質のクリーミーさ、泡の持続性をより一層向上させることができる。
【0049】
本発明の洗浄料には、本発明効果を損なわない範囲において、上記(a)成分、(b)成分以外の界面活性剤として、他の界面活性剤を配合することができる。このような界面活性剤としては、高級脂肪酸塩〔例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウムなど〕、高級アルキル硫酸エステル塩〔例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウムなど〕、アルキルベンゼンスルホン酸塩〔例えば、リニアドデシルベンセンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンなど〕、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩〔例えば、ラウレス(=POEラウリル)硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸ナトリウムなど〕、N−アシルサルコシン酸塩〔例えば、ラウロイルサルコシンナトリウムなど〕、N−アシルアミノ酸塩〔例えば、N−ココイルグルタミン酸ナトリウム、N−ココイルアラニントリエタノールアミン、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウムなど〕、α−オレフィンスルホン酸塩〔例えば、α−オレフィンスルホン酸ナトリウムなど〕、アシルN−メチルアミノ酸塩〔例えば、ミリストイルN−メチルタウリンナトリウム、ラウロイルN−メチルアラニンナトリウムなど〕、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩〔例えば、ラウレス酢酸ナトリウムなど〕等のアニオン界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル〔例えば、POEラウリルエーテル(=ラウレス)、POEセチルエーテル(=セテス)、POEステアリルエーテル(=ステアレス)、POEベヘニルエーテル(=ベヘネス)、POEオクチルドデシルエーテル(=オクチルドデセス)など〕、糖エステル系〔例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ウンデシレン酸トレハロースなど〕、糖エーテル系、糖アミド系などのノニオン界面活性剤等が挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0050】
なお低分子量、特には分子量500以下、のアニオン界面活性剤を洗浄性向上のために配合する場合、その配合量は洗浄料中に5質量%以下(0質量%含む)に抑えるのが好ましい。分子量500以下のアニオン界面活性剤の配合量が5質量%を超えると、そのアニオン界面活性剤の刺激性が現れることがあり、低刺激性の効果が損なわれるおそれがある。分子量500以下のアニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(=ドデシル硫酸ナトリウム)、ラウリン酸カリウム、N−ヤシ油脂肪酸−N−メチルタウリンナトリウム、アシルグルタミン酸カリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
【0051】
さらに、その他、洗浄料に通常用いられる水等の成分や、他の添加成分を、本発明の効果を損なわない範囲で任意に配合することができる。このような任意添加成分として、例えば、プロピレングリコール、ソルビトール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール等の保湿剤、高分子系の粘度調整剤、パール化剤、香料、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、殺菌剤、抗炎症剤、pH調整剤、防腐剤等が挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0052】
本発明洗浄料は、各配合成分を室温で攪拌混合する等、常法により製造することができる。室温で結晶状等固形のものを配合する場合はすべてを70℃程度に加熱し、攪拌溶解した後、冷却して製剤を得るのが好ましい。
【0053】
本発明の洗浄料は、ペースト状、ゲル状、液状、固形状、ムース状等の剤型とすることができる。
【0054】
本発明洗浄料は、皮膚または毛髪等の身体用の洗浄料として好適に用いられ、具体的には、洗顔料、ボディシャンプー、ベビーシャンプー、シャンプー等として用いられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【実施例】
【0055】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。
【0056】
実施例に先立ち、本実施例で用いた各評価の試験方法、評価基準について説明する。
【0057】
[低刺激性]
各洗浄料について、敏感肌パネル30名でパッチテストを行い評価した。評価は以下の判定基準によった。
(判定基準)
◎:30名全員に刺激反応がみられなかった
○:1〜2名に刺激反応がみられたが、許容できる弱い刺激であった
△:1〜2名に刺激反応がみられ、許容できない強い刺激であった
×:3名以上に刺激反応がみられた
【0058】
[使用テスト(起泡力、泡質のクリーミーさ、泡の持続性)]
各洗浄料について、専門パネル10名による洗浄を行い、起泡力、泡質のクリーミーさ、泡の持続性(泡もち)の各項目について官能評価を行った。評価は、以下に示すように各項目ごとに5段階(1〜5点)の評価点方式により行い、10名の平均点を算出し、下記判定基準により評価した。
(判定基準)
◎:非常に良好(平均点が4.5点以上)
○:良好(平均点が3.5点以上4.5未満)
△:普通(平均点が2.5点以上3.5点未満)
×:不良(平均点が2.5点未満)
【0059】
〈起泡力〉
(評価点基準)
5点:泡立ちが良い(泡の量が多い)
4点:泡立ちがやや良い(泡の量がやや多い)
3点:普通
2点:泡立ちがやや悪い(泡の量がやや少ない)
1点:泡立ちが悪い(泡の量が少ない)
【0060】
〈泡質のクリーミーさ〉
(評価点基準)
5点:泡質が良い(クリーミーである)
4点:泡質がやや良い(ややクリーミーである)
3点:普通
2点:泡質がやや悪い(ややクリーミーでない)
1点:泡質が悪い(クリーミーでない)
【0061】
〈泡の持続性〉
(評価点基準)
5点:泡もちが良い
4点:泡もちがやや良い
3点:普通
2点:泡もちがやや悪い
1点:泡もちが悪い
【0062】
(実施例1〜5、実施例6〜8、実施例9〜11、比較例1〜4)
下記表1、2、3、4に示す組成の洗浄料を調製し、これら洗浄料を用いて上記試験法、評価基準により低刺激性、起泡力、泡のクリーミーさ、泡の持続性(泡もち)について評価した。結果をそれぞれ表1、2、3、4に示す。
【0063】
なお以下の実施例において、下記製品を用いた。
【0064】
モノラウリン酸デカグリセリル(*1): 「サンソフトM−12J」〔太陽化学(株)製。上記式(III)に示すエステル(脂肪酸部がラウリン酸、u=10。モノラウリン酸エステル体含有率約80%)〕;
ポリアルキルグルコシド誘導体(*2): 「PolySugaNate 160P」〔Colonial Chemical社製。上記式(I)で示すポリ(ラウリルグルコシドヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム)〕;
ポリアルキルグルコシド誘導体(*3): 「PolySugaPhos 1200P」〔Colonial Chemical社製。上記式(II)で示すポリ(ラウリルグルコシドヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム)〕;
モノラウリン酸デカグリセリル(*4): 「サンソフト10G−1L」(太陽化学(株)製。モノラウリン酸エステル体含有率約50%)。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
表1〜3に示す結果から明らかなように、(a)成分、(b)成分を所定量含む本発明洗浄料は、低刺激性、起泡力、泡のクリーミーさ、泡の持続性のいずれも優れた効果が得られた(表1)。また(b)成分として、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの脂肪酸部がラウリン酸を用いたもの、グリセリンの平均重合度が10のものを用いたものが、特に優れた効果が得られた(表2、3)。
【0070】
一方、表4に示すように、(a)成分、(b)成分のいずれかを欠く洗浄料ではいずれも本願発明効果を得ることができなかった。また(a)成分と、(b)成分に代えてモノエステル化率70%未満のモノラウリン酸デカグリセリルとを配合して比較例4では、起泡力や泡質、泡の持続性が劣る評価結果となった。
【0071】
以下にさらに処方例(液体洗浄料)を示す。
【0072】
[実施例12 洗顔料]
(配 合 成 分) (質量%)
モノラウリン酸デカグリセリル(*1) 10
ポリアルキルグルコシド誘導体(*2)[式(I)] 5
N−ヤシ油脂肪酸−N−メチルタウリンナトリウム 3
イミダゾリン型両性界面活性剤 0.2
(「オバゾリン662」:東邦化学(株)製)
グリセリン 8
エリスリトール 2
香料 0.5
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.2
精製水 残余
[実施例13 洗顔料]
(配 合 成 分) (質量%)
モノラウリン酸デカグリセリル(*1) 20
ポリアルキルグルコシド誘導体(*2)[式(I)] 5
アシルグルタミン酸カリウム 3
(「アミソフトCK−22」;味の素(株)製)
イミダゾリン型両性界面活性剤 0.2
(「オバゾリン662」;東邦化学(株)製)
ラウリン酸カリウム 1
1,3−ブチレングリコール 8
オレンジ油 0.01
ラベンダー油 0.01
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.2
(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド・アクリルアミド)共重合体 0.3
精製水 残余
[実施例14 シャンプー]
(配 合 成 分) (質量%)
モノラウリン酸デカグリセリル(*1) 10
ポリアルキルグルコシド誘導体(*3)[式(II)] 5
ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム 3
イミダゾリン型両性界面活性剤 0.2
(「オバゾリン662」;東邦化学(株)製)
1,3−ブチレングリコール 8
オレンジ油 0.01
ラベンダー油 0.01
カチオン化グアガム 0.1
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.2
精製水 残余
上記実施例12〜14の洗浄料は、いずれも低刺激性、起泡力、泡質のクリーミーさ、泡の持続性(泡もち)に優れるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記式(I)および/または下記式(II)で示されるポリアルキルグルコシド誘導体を0.1〜30質量%と、(b)下記式(III)で示されるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルのうち、モノエステル化率が70%以上であるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを3〜50質量%含有する洗浄料。




〔式(I)、(II)中、R1は飽和または不飽和の平均炭素原子数8〜20のアルキル基または脂肪酸残基(アシル基)を表し、;XはSO3-+またはPOHO3-+(M+は1価の無機または有機カチオンを表す)を表し;YはSO4-+またはPO4-+(M+は上記で定義したとおり)を表し;n、mはそれぞれ2〜30の数を表す。〕

〔式(III)中、R2は飽和または不飽和の平均炭素原子数8〜20の脂肪酸残基(アシル基)を表し;uは6〜30の数を表す。〕
【請求項2】
(b)成分であるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの脂肪酸部がラウリン酸である、請求項1記載の洗浄料。
【請求項3】
上記式(III)中、uが10である、請求項1または2記載の洗浄料。
【請求項4】
洗浄料中における、(a)成分と(b)成分の配合比率が、(a)成分:(b)成分=1:1〜1:10(質量比)である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄料。
【請求項5】
分子量500以下のアニオン界面活性剤の配合量が5質量%以下(0質量%含む)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗浄料。
【請求項6】
(b)成分に対するポリグリセリンジ脂肪酸エステル(=ジエステル体)の配合量割合が10質量%以下(0質量%含む)である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の洗浄料。

【公開番号】特開2008−208050(P2008−208050A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44540(P2007−44540)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】