説明

洗浄機構、洗浄方法及び分析装置

【課題】分注ノズルの内周面を好適に超音波洗浄できる洗浄機構、洗浄方法及び分析装置を提供すること。
【解決手段】内部に空隙を有する略筒状の分注ノズル20を洗浄する洗浄機構10であって、分注ノズル20を挿入可能な少なくとも一つの開口部を有し内部に液体を貯留可能な洗浄槽40と、分注ノズル20の内部で集束位置P10に集束する超音波を照射する超音波照射機構である振動子アレイ41とを備える洗浄機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄機構、洗浄方法及び分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被洗浄物の外面等に付着した異物を洗浄するための装置として、被洗浄物を液体に浸漬させ、この液体に対して超音波を照射する洗浄機構が知られている。特に、生化学的分析をおこなう生化学分析装置においては、試料等を分注するための分注ノズルと、分注ノズルの外面に付着した試料を除去するための超音波洗浄槽とを備えて分注ノズルを好適に洗浄することを図ったものが知られている。
【0003】
このような装置の例として、特許文献1には生化学分析機が記載されている。この特許文献1に記載の生化学分析機は、超音波振動子であるランジュバン振動子と、両端に細径部および太径部を有し断面積がしだいに広がった管形状であり太径部の端面が超音波振動子に接して配置されたホーン部材とを備え、ホーン部材は細径部の内部に分注ノズルを洗浄するための洗浄槽と、洗浄槽の内部において分注ノズルに対して超音波振動を伝達させる振動間接部材とを有している。
【0004】
この生化学分析機によれば、分注ノズルの試料付着物の除去が完全に行われるので、分注ノズルによる試料の持ち込み(キャリーオーバー)の発生を防止して分析結果の誤差を低減させることができる。
【特許文献1】特許第294574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の生化学分析機では、分注ノズルを洗浄槽に浸漬して洗浄槽に供給された洗浄液に対して超音波振動を伝達させているので、分注ノズルの外周面比べて分注ノズルの内周面においてキャビテーション等を充分に生じさせることが困難である。このため、分注ノズルの内周面に試料が残留してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は分注ノズルの内周面を好適に超音波洗浄できる洗浄機構、洗浄方法、分析装置の提供を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の洗浄機構は、内部に空隙を有する略筒状の分注ノズルを洗浄する洗浄機構であって、前記分注ノズルを挿入可能な少なくとも一つの開口部を有し内部に液体を貯留可能な洗浄槽と、前記洗浄槽の内部にセットされた前記分注ノズルの前記空隙へ向けて集束する超音波を照射する超音波照射機構とを備えることを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、超音波照射機構によって照射される超音波は、分注ノズルの内部の空隙において一点に集束されている。すなわち、超音波が集束された位置において他の位置よりも超音波の強度が高められている。従って、超音波が分注ノズルを透過する際にその強度が減衰しても、分注ノズルの内部において超音波が集束された位置では分注ノズルに付着した試料を除去可能な強度にすることができる。その結果分注ノズルの内周面を好適に超音波洗浄できる。
また、超音波が集束される位置以外では超音波が集束される位置における強度よりもその強度が弱くなっているので、超音波洗浄を行う部位以外における衝撃が低減される。従って、分注ノズルの外面に対する攻撃性を低下させることができる。
【0009】
また、本発明の洗浄機構は、前記分注ノズルの内部の前記空隙に液体を流通させる送液機構を有することが好ましい。
この場合、分注ノズルの内部に流通させた液体によって、超音波洗浄によって分注ノズルから脱離された付着物等を好適に押し流すことができる。
さらに、分注ノズルの内部に液体を流通させるだけでは分注ノズルの内部における液体は層流となり放物線型の速度分布を示し、管壁近傍において最も流速が遅くなるが、超音波照射機構によって分注ノズルの内部に超音波振動を生じさせることで分注ノズルの内部の管壁近傍における液体の流速が高まる。従って、分注ノズルの内周面を好適に超音波洗浄できる。
【0010】
また、本発明の洗浄機構は、前記超音波照射機構が、前記洗浄槽に固定され前記分注ノズルの周方向に並べて配置された超音波振動子からなる振動子アレイを有することが好ましい。
この場合、洗浄槽の周方向に並べて配置された超音波振動子から分注ノズルの内部の空隙に向けて集束する超音波を照射することができる。ここで、複数の超音波振動子が設けられており、その動作を個別に操作して任意の超音波振動子を組み合わせて駆動させることで超音波が集束された際の強度を調節することができる。
【0011】
また、本発明の洗浄機構は、前記振動子アレイが前記洗浄槽の内部にセットされた前記分注ノズルの軸方向に並べて複数配置されていることが好ましい。
この場合、分注ノズルに対して軸方向に離間した複数の位置において超音波を集束させて分注ノズルの内周面をより好適に超音波洗浄することができる。
【0012】
また、本発明の洗浄機構は、前記超音波照射機構が前記洗浄槽に固定され前記超音波を前記分注ノズルの前記空隙に向かって集束させる音響レンズ部を有することが好ましい。
この場合、音響レンズ部によって超音波が屈折されることで超音波が集束されるので、超音波の集束位置をより正確に合わせることができる。
さらに、音響レンズ部を円柱レンズ形状に形成することでその母線に平行な線上に超音波を集束させることによって分注ノズルの内部においてその内周面を好適に超音波洗浄できる。
【0013】
また、本発明の洗浄機構は、前記超音波照射機構が、前記分注ノズルに対して周方向あるいは軸方向に前記超音波の集束位置を変化させるダイナミックフォーカス機構を有することが好ましい。
この場合、超音波照射機構は、ダイナミックフォーカス機構によって超音波の集束位置を変化させることができる。従って、分注ノズルが配置された洗浄槽において、分注ノズルと超音波照射機構との位置関係を固定しても分注ノズルの内周面の異なる複数の部位に好適に超音波を集束させて分注ノズルの内周面を超音波洗浄することができる。
【0014】
また、本発明の洗浄機構は、前記超音波照射機構が前記分注ノズルの内部の前記空隙においてキャビテーションを生じさせることが好ましい。
分注ノズルの内部においてキャビテーションを生じさせるためには、分注ノズルの内部において閾値を超える音圧を有する超音波を照射する必要がある。ここで、超音波照射機構が分注ノズルの内部に集束する超音波を照射することで、分注ノズルの内部において超音波が集束する位置においてキャビテーションを生じさせることができる。分注ノズルの内部に生じたキャビテーションによって分注ノズルの内周面に衝撃波が伝播し、この衝撃波によって分注ノズルの内周面に付着した試料等を剥離することができる。従って、分注ノズルの内周面を好適に洗浄することができる。
【0015】
また、本発明の洗浄機構は、前記超音波照射機構が前記分注ノズルの内部の前記空隙において前記分注ノズルの周方向への音響流を生じさせることが好ましい。
液体中を伝播する超音波が被洗浄物等の物体によって遮られた際に、超音波の放射圧によって超音波の伝播方向に生じる押圧力が生じ、前記被洗浄物並びに前記液体が押圧される。音響流とは、この際に前記液体に生じ、超音波の輻射面に略垂直な流体運動である。
超音波照射機構によって生じた音響流によって、分注ノズルの内周面において超音波が集束された位置において液体が攪拌される。さらに、音響流によって分注ノズルの周方向へその内周面に沿う流れが生じる。その結果、分注ノズルの内周面に付着した試料等の汚れが溶解された液体が好適に運搬されるとともに汚れていない溶液に置換されるので、分注ノズルの内周面を好適に洗浄することができる。
【0016】
また、本発明の洗浄機構は、前記超音波の集束位置が前記分注ノズルの内周面に沿うように前記超音波の集束位置と前記分注ノズルの内周面との相対位置を位置合わせする位置調整機構をさらに備えることが好ましい。
【0017】
この場合、超音波の集束位置を分注ノズルの内周面に位置合わせすることができるので、超音波が集束された際に生じる振動を好適に分注ノズルの内周面に伝播させることができる。その結果、分注ノズルの内周面を好適に洗浄することができる。
【0018】
また、本発明の洗浄機構は、前記超音波照射機構が、前記洗浄槽の内部にセットされた前記分注ノズルの内部における前記液体の流通方向に所定の角度を有する超音波を照射することが好ましい。
この場合、超音波照射機構によって照射される超音波は、液体の流通方向に角度を有して照射されている。したがって、超音波が集束する位置において集束された超音波は液体をその流通方向へさらに押圧する力が生じることになる。従って、液体の流速を早める、あるいは液体の流速の低下を抑制することができ、分注ノズルの内周面を好適に洗浄することができる。
【0019】
また、本発明の洗浄機構は、前記超音波照射機構が、前記液体の流通方向に沿って前記超音波の集束位置を移動させることが好ましい。
この場合、液体の流通方向に沿って超音波の集束位置を移動させることによって、液体をその流通方向にさらに押圧することができる。従って、液体の流速を早める、あるいは液体の流速の低下を抑制することができ、分注ノズルの内周面を好適に洗浄することができる。
【0020】
本発明の洗浄方法は、内部に空隙を有する分注ノズルを液体に浸漬する浸漬工程と、前記分注ノズルの外部から内部へむけて、少なくとも前記内部において強め合うように干渉する超音波を前記分注ノズルの外部の二箇所以上の位置から照射する超音波照射工程と、前記超音波照射工程に続いて前記分注ノズルの内部の液体を交換するリンス工程とを備えることを特徴としている。
【0021】
この発明によれば、浸漬工程によって分注ノズルの内部には液体が充填される。続いて分注ノズルの内部に向けて照射された超音波が分注ノズルの内部において強めあうように干渉して分注ノズルの内周面に衝撃を伝播させる。さらに続いて分注ノズルの内部の液体を交換することで超音波による衝撃によって分注ノズルから剥離された試薬等の汚れを含有する液体が排出される。その結果、分注ノズルの内周面を好適に洗浄することができる。
【0022】
また、本発明の洗浄方法は、前記超音波照射工程が、前記分注ノズルの基端側に対して先行して前記超音波を照射する第一照射工程と、前記第一照射工程より所定時間だけ遅延させて前記第一照射工程における前記超音波の照射部位よりも所定距離だけ先端側の前記分注ノズルに対して前記超音波を照射する第二照射工程とを有することが好ましい。
【0023】
この場合、第一照射工程によって超音波が照射されることで分注ノズルの内部の液体には分注ノズルの軸線方向への押圧力が生じる。続いて第二照射工程によって第一照射工程から所定時間だけ遅延されて照射される超音波は、第一照射工程における集束位置よりも所定距離だけ先端側に集束される。すると、第一照射工程において先端側へ押圧された液体が第二照射工程によってさらに先端側に押圧されることになる。その結果、分注ノズルの内部では液体が基端から先端へ押圧移動される。従って分注ノズルの内周面に対して液体が摺動移動されることによって分注ノズルの内周面が好適に洗浄される。
【0024】
本発明の分析装置は、上述の洗浄機構と、前記分注ノズルを有し前記空隙に所定量の試料を吸引、吐出、保持可能な分注機構と、一端が開口する槽状で前記分注機構によって前記試料が分注されるキュベットと、複数の前記キュベットを順次搬送する搬送機構と、前記キュベットにおける前記検体と前記第二液体との反応状態を検出する検出機構とを備えることを特徴としている。
【0025】
この発明によれば、分注ノズルの内周面が好適に洗浄される洗浄機構によって分注ノズルが洗浄され、分注ノズルによって所定量の試料が分注されるので、異なる試料の持ち込みが抑制されて検出機構における検出誤差を低減する事ができる。
【0026】
また、本発明の分析装置は、前記検出機構が生化学的反応に対する比色分析法を行う分光光度計を有することが好ましい。
この場合、分光光度計によって比色分析を精度よく行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る洗浄機構、洗浄方法および分析装置によれば、超音波照射機構によって分注ノズルの内部に集束する超音波を照射して分注ノズルの内周面に対して衝撃を伝播させることで、分注ノズルの内周面を好適に超音波洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態の洗浄機構を搭載した分析装置について図1から図7を参照して説明する。
図1は、本実施形態の分析装置1の概略構成を示す平面図である。図1に示すように、分析装置1は、分析・検査の対象になる検体が装着される検体容器移送機構3と、検体容器移送機構3から検体が搬送される反応テーブル2と、反応テーブル2において反応を行うための試薬が配置された試薬テーブル4とを備える。
【0029】
反応テーブル2には、検体や試薬が供給される反応容器である複数のキュベット5が同心円周上に環状に配置されている。また、検体容器移送機構3には、検体を入れるための容器である検体容器6が同心円状に環状に配置されている。また、試薬テーブル4には、試薬を入れるための容器である試薬容器7が同心円状に環状に配置されている。
【0030】
また、分析装置1はキュベット5の内部に供給される液体を攪拌するための攪拌機構12を備えている。
【0031】
反応テーブル2、検体容器移送機構3、試薬テーブル4は、それぞれ図示しない回転駆動機構を備え、周方向に間欠あるいは連続的に回転動作して任意の位置に位置決めが可能になっている。
【0032】
さらに、分析装置1は、反応テーブル2に隣接して配置され、キュベット5の内部の反応状態を分析して測定するための検出機構である分析光学系13を備える。本実施形態における分析光学系13は、キュベット5に対して所定の波長の光線を照射してその透過率を出力する分光光度計を備えている。
【0033】
さらに、分析装置1は、検体容器移送機構3と反応テーブル2との間で液体を搬送して分注する第一分注機構である検体分注機構8と、試薬テーブル4と反応テーブル2との間で液体を搬送して分注する第二分注機構である試薬分注機構9を備える。
【0034】
検体分注機構8及び試薬分注機構9は、反応テーブル2と検体容器移送機構3、あるいは反応テーブル2と試薬テーブル4の間で旋回動作可能になっている。検体分注機構8及び試薬分注機構9の旋回動作の軌道上には、検体分注機構8及び試薬分注機構9を洗浄するための洗浄機構10、11が設けられている。
【0035】
反応テーブル2には、検体分注機構8によって検体を検体容器移送機構3から搬送するための位置となる検体分注ポジションP1と、試薬分注機構9によって試薬を試薬テーブル4から搬送するための位置となる試薬分注ポジションP3と、攪拌機構12によってキュベット5の内部に供給された検体や試薬を攪拌するための位置となる攪拌ポジションP5と、キュベット5の内部における反応結果を測定するための位置となる測定ポジションP6と、測定が完了したキュベット5の内容物を廃棄してキュベット5を洗浄するための位置となる槽洗浄ポジションP7とが定められている。
【0036】
同様に、検体容器移送機構3には、反応テーブル2に搬送される検体が配置される検体吸引ポジションP2が定められており、試薬テーブル4には、反応テーブル2に搬送される試薬が配置される試薬吸引ポジションP4が定められている。
【0037】
検体容器移送機構3において、検体容器6には、検体として全血、血清、血漿、尿、糞便溶解液、組織破砕液、細胞懸濁液等の生体試料や、培養細胞あるいは培養液等の研究用試料等を収容することができる。
【0038】
図2は、分析装置1の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、分析装置1においては、作業者が所定の入力を行って分析項目や検体数等の動作条件や、洗浄機構10における洗浄動作条件を指定するための入力部Iが設けられている。
【0039】
入力部Iにおいて入力された動作条件は制御部Cに送信され、この動作条件に従って、検体分注機構8、試薬分注機構9、検体容器移送機構3、試薬テーブル4、反応テーブル2、分析光学系13、攪拌機構12、洗浄機構10の動作が制御される。
【0040】
なお、分析光学系13において検出されたデータを出力する機構として、表示部Dに表示させる方法や、図示しない記憶装置によって記録媒体に出力する等の構成を採用することができる。
【0041】
図3は、本実施形態の一部の構成を示す構成図である。図3は、検体分注機構8に係る構成を示している。検体分注機構8は、先端から所定量の検体6aを吐出可能な筒状の分注ノズル20を備える。分注ノズル20はアーム21に固定されており、アーム21は旋回軸26回りに旋回動作可能になっている。
【0042】
さらに、旋回軸26は軸線方向に進退移動可能になっており、旋回軸26は分注ノズル移送ユニット27に接続されており、分注ノズル移送ユニット27によって旋回及び進退駆動されている。従って分注ノズル20は旋回軸26回りに回転可能かつ旋回軸26方向に進退動作可能になっている。このため、分注ノズル移送ユニット27は、分注ノズル20の旋回動作の軌道上にあるキュベット5、検体容器6、並びに洗浄機構10のそれぞれに対して分注ノズル20の先端20aを近接あるいは離間させることができる。
【0043】
分注ノズル移送ユニット27は制御部Cにおける分注ノズル移送部33に電気的に接続されている。分注ノズル移送部33では、上述の入力部Iにおいて入力された動作条件に応じて分注ノズル移送ユニット27に対して駆動信号を送信している。
【0044】
図3にさらに示すように、分注ノズル20には、流通管路23が連通されており、分注ノズル20に対して検体6aを吐出させる吐出機構24が設けられている。本実施形態では、吐出機構24は流通管路23を介して分注ノズル20の内部を正圧、負圧、圧力維持のいずれかの状態に任意に切替が可能な圧力調整機構24aを備えている。
【0045】
圧力調整機構24aは、例えばシリンジやローラーチューブポンプ等を採用することができる。なお、図示していないが、吐出機構24から分注ノズル20に至る管路には液体が充填されていることが好ましい。この場合、気体の弾力による圧力損失を低減することができるので分注精度を高めることができる。
【0046】
吐出機構24は、制御部Cにおける吸引吐出制御部31に電気的に接続されている。吸引吐出制御部31は、吸引動作制御部36と吐出動作制御部37とを備え、圧力調整機構24aに対して駆動信号を送信している。
【0047】
また、吐出機構24は、制御部Cにおける洗浄制御部34に電気的に接続されており、吐出機構24から分注ノズル20に至る一連の管路の内部に洗浄液W1(後述)を流通させるための駆動信号を送信する内側洗浄制御部38と、分析装置1の終了処理の一つとして上記管路の内部の液体を空気に置換するための駆動信号を送信する空気供給制御部39が設けられている。
【0048】
図4は、本実施形態の洗浄機構を示す側面断面図である。図4に示すように、洗浄機構10には、洗浄液供給機構10aが設けられており、洗浄槽40に対して洗浄液W1を供給するようになっている。本実施形態の洗浄液W1は純水である。
【0049】
洗浄槽40には、洗浄液W1を内部に供給するための管路40a、40bの一端が開口されている。さらに、洗浄槽40の底部には開閉動作可能な電磁バルブ48を有する流出路47が設けられている。管路40a、40b並びに流出路47における洗浄液W1の流通は制御部Cにおける外側洗浄制御部35(図3参照)によって制御されている。さらに、洗浄槽40には、洗浄槽40の内方に向けて超音波を照射可能な超音波振動子が複数設けられており、振動子アレイ41〜46が洗浄槽40の長手方向(分注ノズル20の軸線方向)に所定間隔置きに構成されている。
【0050】
図5は、洗浄機構10の平面断面図である。図5に示すように、洗浄槽40に設けられた振動子アレイ41は、複数の超音波振動子が周方向に所定間隔置きに配置されて構成されている。振動子アレイ41は洗浄液W1に接触可能なように洗浄槽40の内壁から露出されている。
【0051】
なお、洗浄機構11においても、洗浄機構10と同様の構成を採用することができる。
【0052】
以上に説明する構成の、本実施形態の分析装置1における洗浄機構10の作用について、図6及び図7を参照しながら説明を行う。まず、本実施形態の分析装置における検体分注機構8及び洗浄機構10における動作の流れを図6を参照して説明する。
【0053】
図6は検体分注機構8の動作の流れを示すフローチャートである。分析装置1において、まず分注ノズル20は検体6aを吸引する位置である検体吸引ポジションP2まで移動され、検体6aが分注ノズル20の内部へ吸引される(吸引工程S1)。続いて、分注ノズル20は分注ノズル移送ユニット27によって旋回動作されて検体6aを吐出する位置である検体分注ポジションP1において検体6aがキュベット5に吐出される(吐出工程S2)。続いて、分注ノズル20は再び旋回動作されて洗浄機構10まで移送され、洗浄槽40の洗浄液W1に浸漬される(浸漬工程S3)。
【0054】
洗浄機構10において、分注ノズル20は洗浄槽40の内部へ挿入される(図4、図6参照)。続いて、分注ノズル移送部33(図3参照)は分注ノズル20の洗浄槽40に対する相対位置を検出し(位置検出工程S4)、分注ノズル20の位置が調整される(位置調整工程S5)。
【0055】
分注ノズル20が洗浄槽40に挿入される際には図7(A)に示すように本実施形態の振動子アレイ41は洗浄槽40の中心軸線上の集束位置P10に向かって超音波を照射するようになっている。位置調整工程S5では、分注ノズル移送部33によって分注ノズル20の位置が図7(B)に示すように移動されて集束位置P10に分注ノズル20の内周面が位置されるように調整される。
【0056】
続いて、分注ノズル20に対する洗浄動作が開始される(洗浄開始工程S6)。まず、外側洗浄制御部35によって洗浄槽40の内部に洗浄液W1が供給されると共に、分注ノズル20の内部においても圧力調整機構24aから分注ノズル20の先端20aに向かって洗浄液W1が送液される。
【0057】
続いて、振動子アレイ41〜46が同時に駆動され、洗浄槽40の中心軸線上に集束する超音波が照射される(超音波照射工程S7)。図7(B)に示すように、例えば振動子アレイ41によって集束位置P10に集束された超音波は、分注ノズル20を透過する際に反射や吸収によってその強度は減衰される。しかしながら、複数の超音波振動子からなる振動子アレイ41によって周方向の複数の位置から照射された超音波は集束位置P10において合成され、洗浄液W1に対してその閾値以上の音圧で振動させる。従って、洗浄液W1において加圧及び減圧が繰り返されることによってキャビテーションを生じる。
【0058】
なお、振動子アレイ41に搭載された超音波振動子の一部だけを使用して集束位置P10に向かう超音波を照射することも可能であり、また振動子アレイ41におけるすべての超音波振動子を同時に使用することもでき、使用する超音波振動子の数量によって音圧等の出力を変化させることができる。
【0059】
キャビテーションによって集束位置P10近傍における分注ノズル20の内周面には衝撃波が伝播され、分注ノズル20の内周面に付着した検体6a等の試料が分解あるいは剥離される。
【0060】
続いて、図6に示すように超音波照射条件を変更する(変更工程S8)。本実施形態では、変更工程S8では、分注ノズル20を洗浄槽40に対して相対移動させている。すなわち、超音波の集束位置P10を分注ノズル20の内周面の他の位置に移動させ、上述と同様に超音波を集束位置P10に向けて照射する。
【0061】
超音波の照射が完了したら、振動子アレイ41〜46の動作は停止される(照射終了工程S9)。その後、必要に応じて所定時間だけ洗浄液W1が送液され(リンス工程S91)さらに引き続いて洗浄液W1の送液が停止されて洗浄動作が終了される(洗浄終了工程S10)。
洗浄が完了した分注ノズル20は、洗浄機構10から検体容器移送機構3側へ旋回動作されて次回の分注動作へ移行する(移行工程S11)。
【0062】
以上説明したように、本実施形態の洗浄機構、洗浄方法及び分析装置によれば、洗浄槽40の周方向に所定間隔置きに超音波振動子が配置されて振動子アレイ41が構成されている。このため、洗浄槽40において洗浄液W1に浸漬された分注ノズル20の内部へ向けて分注ノズル20の周方向の複数の位置から集束位置P10に集束する超音波が照射され、分注ノズル20の内部でキャビテーションによる衝撃波を生じさせることができる。
【0063】
さらに、集束位置P10を分注ノズル20の内周面に位置させるように分注ノズル移送ユニット27が駆動されて分注ノズル20の内周面と集束位置P10とが近接されるので、衝撃波を好適に分注ノズル20の内周面に伝播させることができ、分注ノズル20の内周面を好適に洗浄することができる。
【0064】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態の洗浄機構について図8を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態において、上述した第一実施形態に係る洗浄機構10と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、説明を省略することにする。
本実施形態では、洗浄槽40が挿入された支持槽50をさらに備える点で第一実施形態と構成が異なっている。
【0065】
支持槽50は、洗浄槽40と支持槽50との相対位置を調整するための位置調整機構52によって連結されている。位置調整機構52は、洗浄槽40の径方向の位置を調整する機構であり、例えば洗浄槽40の径方向断面に平行な平面内で直交する二組のボールネジとナットとによる2軸の進退駆動機構や、エアシリンダあるいはピエゾ素子による進退駆動機構等を採用することができる。
【0066】
また、支持槽50には、低部に貫通孔が設けられており、排出路47から排出される洗浄液W1を流出させるようになっている。
【0067】
このような構成であっても、第一実施形態と同様に分注ノズル20の内周面において洗浄槽40の中心軸線上にある集束位置(例えば集束位置P10)に超音波を集束させて分注ノズル20の内周面を好適に洗浄することができる。
【0068】
また、位置調整機構52によって分注ノズル20の内周面と洗浄槽40との相対位置を調整して超音波の集束位置を分注ノズル20の内周面に合わせることができるので、高速に旋回動作される分注機構(検体分注機構8や試薬分注機構9)に対して洗浄槽40に対して位置合わせを行うような駆動機構を搭載する必要がなく、分注機構を軽量化して動作を高速化することができる。
【0069】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態の洗浄機構について図8を参照して説明する。本実施形態では、洗浄機構10(11)、110(111)に代えて洗浄機構210(211)を備える点で上述の各実施形態と構成が異なっている。
【0070】
洗浄機構210(211)は、支持槽50に代えて支持槽250を有する。支持槽250は、低部において鉛直下方へ開口する排出路251を有する。
さらに洗浄槽40に代えて洗浄槽240を有する。洗浄槽240は排出路47に代えて洗浄槽240の内径と略同径の排出路247を有し、電磁バルブ等の開閉機構を有さない構成になっている。
【0071】
また、位置調整機構52に代えて設けられた位置調整機構252は支持槽250と洗浄槽240とのそれぞれに連結されて支持槽250と洗浄槽240との相対位置を調整するようになっている。
【0072】
本実施形態では洗浄液W1を洗浄槽240に貯留させるためのバルブ等の構成を有さないが、洗浄液W1を供給するための管路240a、240b、及び分注ノズル20から吐出されることによって供給される洗浄液W1の量が調整されることで排出路247から排出される洗浄液W1の量との平衡状態を維持する構成になっている。
【0073】
このように構成することで、洗浄槽240に洗浄液W1を貯留させるためのバルブが不要となるので構成を簡略化することができる。また、バルブを用いない構成としたことで洗浄液W1が滞留するような隙間を生じさせない構成とすることができ、分注ノズル20から剥離された試薬等の汚れが洗浄槽240内に堆積することを抑制することができる。
【0074】
(第四実施形態)
次に、本発明の第四実施形態の洗浄機構について図10及び図11を参照して説明する。本実施形態では、上述の各実施形態の洗浄機構に代えて洗浄機構310(311)を備える点で上述の各実施形態と構成が異なっている。
【0075】
図10に示すように、本実施形態の洗浄機構310(311)は、振動子アレイ41に代えて音響レンズ部341を備える。なお、図示していないが、音響レンズ部341は、第一実施形態における振動子アレイ41〜46の配置と同様に洗浄槽40の軸線方向に複数配置することができる。
【0076】
音響レンズ部341は、内部に超音波振動子を有する共に、洗浄槽40の中心方向に向かうように集束するように超音波を屈折させる図示しない音響レンズを有する。従って、図11(A)に示すように、音響レンズ部341によって、超音波を第一実施形態と同様の集束位置P10に集束させるようになっている。
【0077】
また、図11(B)に示すように、本実施形態でも分注ノズル20を洗浄槽40に対して相対移動させて分注ノズル20の内周面と洗浄槽40との位置合わせを行うことができる。このように、本実施形態においても上述の実施形態と同様に分注ノズル20の内周面を好適に洗浄することができる。
【0078】
また、音響レンズによって超音波を集束させる構成であるので、超音波の集束位置は音響レンズの形状によって決定される。従って、複数の超音波振動子を位置決めして配置するよりも容易に超音波を一点に集束させることができる。
【0079】
(第五実施形態)
次に、本発明の第五実施形態の洗浄機構について図12を参照して説明する。本実施形態では、上述の各実施形態の洗浄機構に代えて洗浄機構410(411)を備える点で上述の各実施形態と構成が異なっている。
【0080】
図12に示すように、洗浄機構410(411)は、超音波を、洗浄槽40の中心軸線上以外の点、例えば集束位置P20に集束させるダイナミックフォーカス機構(不図示)を備えている。
【0081】
ダイナミックフォーカス機構は、超音波の集束位置を任意の位置に移動させるために、振動子アレイ41に代えて位相をずらした超音波を照射可能な振動子アレイ411を備える。なお、本実施形態でも振動子アレイ411を洗浄槽40の軸線方向に並べて複数配置しても良い。
【0082】
ダイナミックフォーカス機構では、超音波振動子のそれぞれから照射される際の位相がずらされた際に、洗浄槽40の周方向において離間する複数の位置から照射された超音波は、洗浄槽40の中心軸線上ではなく中心軸線上から離間した位置において強めあうように干渉する。
このため、振動子アレイ411は、分注ノズル20が洗浄槽40の内部に配置された状態で、分注ノズル20の内周面に沿う位置においてキャビテーションを生じさせる。
【0083】
このように、本実施形態においても上述の実施形態と同様に分注ノズル20の内周面を好適に洗浄することができる。さらに、分注ノズル20の内周面と洗浄槽40との位置合わせを行うための構成を省くことができるので構成を簡略化することができる。
【0084】
(変形例)
以下では本実施形態の変形例について図13を参照して説明する。
本変形例は、洗浄槽40に対して、上述のダイナミックフォーカス機構並びに上述の音響レンズ部を共に備える超音波照射機構541を備えたものである。
ダイナミックフォーカス機構並びに音響レンズ部を組み合わせることで、洗浄槽40の内部の所望の位置に容易に超音波を集束させて分注ノズル20の内周面を洗浄することができる。
【0085】
(第六実施形態)
次に、本発明の第六実施形態の洗浄機構について図14を参照して説明する。本実施形態では、上述の各実施形態の洗浄機構に代えて洗浄機構610(611)を備える点で上述の各実施形態と構成が異なっている。
【0086】
本実施形態では、図14(A)に示すように第一実施形態と同様に洗浄槽40の周方向に配置された超音波振動子を有する振動子アレイ41を備えるが、振動子アレイ41によって生じる超音波の周波数及び音圧が異なっている。
【0087】
本実施形態では、振動子アレイ41から照射される超音波は、第一実施形態の超音波よりも高い周波数に設定されており、分注ノズル20が洗浄槽40に挿入された状態で集束位置P10に集束しても洗浄液W1に対してキャビテーションを生じさせるための強度の閾値を越えないようになっている。このような周波数は数十kHz〜十数MHzの範囲であることが好ましい。
【0088】
また、振動子アレイ41によって照射される超音波の放射圧は(本実施形態で好適な音圧の範囲がございましたら記載いただければ幸いです。)であることが好ましい。
【0089】
このため、振動子アレイ41によって照射される超音波は、集束位置P10において洗浄液W1の対して超音波の伝播方向への流体運動である音響流を生じさせる。
【0090】
図14(A)ないし図14(C)に示すように、本実施形態では、振動子アレイ41において超音波の放射方向が比較的近い超音波振動子、すなわち隣接する二つの超音波振動子が同時に駆動されることによって集束位置P10において集束する超音波が照射される。さらに分注ノズル20と洗浄槽40との相対位置は、超音波の伝播方向が分注ノズル20の内周における接線方向に略一致するように調整されている。
【0091】
また、振動子アレイ41においては、洗浄槽40の周方向のいずれかの所定方向(本実施形態では時計回り方向)に沿って超音波振動子を順次切り替えて駆動することで超音波の伝播方向を順次変化させ、同時に超音波の伝播方向が分注ノズル20の内周における接線方向に略一致するように追従させてその位置関係が調整されて駆動されている。分注ノズル20と洗浄槽40との位置関係の調整は、第二実施形態の位置調整機構52と同様な図示しない位置調整機構によって行われる。
【0092】
従って、分注ノズル20の内部においては、内周面を周方向時計回りに流れる音響流が生じている。このため、分注ノズル20の内周面における洗浄液W1の流速が速められているので分注ノズル20の内周面に付着した検体6a等の試料が剥離しやすくなり、分注ノズル20の内周面が好適に洗浄される。
【0093】
(変形例)
以下では本実施形態の変形例について図15を参照して説明する。
本変形例の洗浄機構710(711)は、洗浄槽40に対して、超音波照射機構341を備え、上述と同様の音響流を生じさせる超音波を照射する構成になっている。
本変形例では、分注ノズル20と洗浄槽40とが位置決めして支持され、洗浄槽40の中心軸線上において超音波が集束位置P10に集束されるようになっている。このような構成であっても分注ノズル20の内周面にそって音響流が生じるので分注ノズル20の内周面を好適に洗浄することができる。
【0094】
(第七実施形態)
次に、本発明の第七実施形態の洗浄機構について図16を参照して説明する。本実施形態では、上述の各実施形態の洗浄機構に代えて洗浄機構710(711)を備える点で上述の各実施形態と構成が異なっている。
洗浄機構710(711)には、第一実施形態の振動子アレイ41〜46のように洗浄槽40の中心軸線方向に並べて配置された振動子アレイ641〜645を備える。それぞれの振動子アレイは、分注ノズル20が洗浄槽40に挿入された際に分注ノズル20の先端20a方向へと傾斜されて配置されている。
【0095】
また、振動子アレイ641〜645の傾斜の向きは、図17に示すように分注ノズル20の外周面に垂直に照射される角度が上限であり、それを超えて基端側へは傾斜されないほうが好ましい。
【0096】
さらに、本実施形態では、洗浄槽40の中心軸線に沿って、振動子アレイ641〜645へと順次切り替えて超音波が照射されるように駆動される。例えば、超音波アレイ641が駆動されて超音波が集束位置P61に向かって照射される(第一照射工程S601、不図示)。その後、所定時間だけ遅延されて振動子アレイ642が駆動されて超音波が集束位置P62に向かって照射される(第二照射工程S602、不図示)。以下同様に集束位置P63〜P65まで順に超音波が集束されて照射される。
【0097】
集束位置P61〜P65までにおいては、いずれの位置においても洗浄液W1に対してキャビテーションが生じている。したがって、分注ノズル20の内周面に対して、先端20a側に向かって順次衝撃波が生じる。
【0098】
図18は、分注ノズル20における洗浄液W1の流速を説明するための説明図である。円筒状の分注ノズル20の内部を流れる洗浄液W1等の流体は、分注ノズル20の内周面との摩擦によって層流となっている。従って、洗浄液W1の流速は、特に先端20a側において図18に示すように放物線型の流速分布になる。従って、分注ノズル20の中心軸線上が最も流速が速く、分注ノズル20の内周面が最も流速が遅くなっている。
【0099】
ここで、たとえば集束位置P81に集束する超音波が照射された際には、分注ノズル20の内部においてキャビテーションが生じ、この衝撃波は分注ノズル20の径方向に伝播し、集束位置P81の近傍において洗浄液W1は局所的に層流から乱流になる。従って、分注ノズル20の内周面において洗浄液W1が攪拌されるので、キャビテーションによる衝撃波と攪拌との作用によって分注ノズル20の内周面に付着した汚れ等が剥離されて押し流される。
【0100】
また、振動子アレイ641〜645が傾斜して配置されていることで、振動子アレイ641〜654によって照射された超音波の音圧には分注ノズル20の先端20a側へ洗浄液W1を押圧する方向の成分を有している。従って分注ノズル20の内部では超音波によって洗浄液W1が断続的に先端20aへ押圧されている。
このように分注ノズルの内周面に対して洗浄液W1の流速を高めて分注ノズル20の先端20a側へ押圧移動させるので本実施形態においても上述の各実施形態と同様に分注ノズルの内周面を好適に洗浄できるという効果を奏する。
【0101】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、振動子アレイ41等を洗浄槽40等の中心軸線方向に複数配置する構成に代えて、図19に示すように、超音波照射機構841を洗浄槽40の中心軸線方向に延ばして配置する構成を採用することができる。
【0102】
上記構成において、音響レンズやダイナミックフォーカス機構を組み合わせること、並びにキャビテーションあるいは音響流を生じさせること等を適宜組み合わせた構成とすることもできる。
【0103】
また、洗浄槽40の軸線方向に延びる超音波照射機構841において音響レンズを円柱レンズ形状とすることで、この円柱レンズの母線方向に平行な線上に超音波を集束させることができ、分注ノズル20の内周面に対して分注ノズル20の内周面において中心軸線方向に延びて広がる領域に対して同時に超音波洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施形態の分析装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】同分析装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】同分析装置における一部の構成を示す構成図である。
【図4】本実施形態の洗浄機構の構成を示す側面断面図である。
【図5】同洗浄機構の平面断面図である。
【図6】同分析装置における一部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】(A)(B)は同分析装置における洗浄機構の動作を示す平面断面図である。
【図8】本発明の第二実施形態の洗浄機構を示す側面断面図である。
【図9】本発明の第二実施形態の洗浄機構を示す側面断面図である。
【図10】本発明の第四実施形態の洗浄機構を示す側面断面図である。
【図11】(A)(B)は同洗浄機構の動作を示す平面断面図である。。
【図12】本発明の第五実施形態の洗浄機構を示す平面断面図である。
【図13】同洗浄機構の変形例を示す平面断面図である。
【図14】(A)(B)及び(C)は本発明の第六実施形態の洗浄機構を示す平面断面図である。
【図15】同洗浄機構の変形例を示す平面断面図である。
【図16】本発明の第七実施形態の洗浄機構を示す側面断面図である。
【図17】同洗浄機構の他の構成を示す側面断面図である。
【図18】同洗浄機構の使用時の動作を説明するための図である。
【図19】本発明の洗浄機構にかかる超音波照射機構の他の構成の例を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0105】
1 分析装置
3 検体容器移送機構(搬送機構)
5 キュベット
8 検体分注機構(分注機構)
9 試薬分注機構(第二分注機構)
10、11、110、111、210、211、310、311、410、411、510、511、610、611、710、711 洗浄機構
13 分析光学系(検出機構)
20 分注ノズル
20a 先端
24 吐出機構
24a 圧力調整機構
26 旋回軸
31 吸引吐出制御部
40、240 洗浄槽
41〜46、641〜645、741〜745 振動子アレイ(超音波照射機構)
52、252 位置調整機構
341 音響レンズ部(超音波照射機構)
541、841 超音波照射機構
W1 洗浄液(液体)
S3 浸漬工程
S7 超音波照射工程
S91 リンス工程
S601 第一照射工程
S602 第二照射工程


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空隙を有する略筒状の分注ノズルを洗浄する洗浄機構であって、
前記分注ノズルを挿入可能な少なくとも一つの開口部を有し内部に液体を貯留可能な洗浄槽と、
前記洗浄槽の内部にセットされた前記分注ノズルの前記空隙へ向けて集束する超音波を照射する超音波照射機構とを備える洗浄機構。
【請求項2】
前記分注ノズルの内部の前記空隙に液体を流通させる送液機構を有する請求項1に記載の洗浄機構。
【請求項3】
前記超音波照射機構が、
前記洗浄槽に固定され前記分注ノズルの周方向に並べて配置された超音波振動子からなる振動子アレイを有する請求項1または2に記載の洗浄機構。
【請求項4】
前記振動子アレイが前記洗浄槽の内部にセットされた前記分注ノズルの軸方向に並べて複数配置された請求項3に記載の洗浄機構。
【請求項5】
前記超音波照射機構が前記洗浄槽に固定され前記超音波を前記分注ノズルの前記空隙に向かって集束させる音響レンズ部を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の洗浄機構。
【請求項6】
前記超音波照射機構が、
前記分注ノズルに対して周方向あるいは軸方向に前記超音波の集束位置を変化させるダイナミックフォーカス機構を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の洗浄機構。
【請求項7】
前記超音波照射機構が前記分注ノズルの内部の前記空隙においてキャビテーションを生じさせる請求項1〜6のいずれか一項に記載の洗浄機構。
【請求項8】
前記超音波照射機構が前記分注ノズルの内部の前記空隙において前記分注ノズルの周方向への音響流を生じさせる請求項1〜7のいずれか一項に記載の洗浄機構。
【請求項9】
前記超音波の集束位置が前記分注ノズルの内周面に沿うように前記超音波の集束位置と前記分注ノズルの内周面との相対位置を位置合わせする位置調整機構をさらに備える請求項1〜8のいずれか一項に記載の洗浄機構。
【請求項10】
前記超音波照射機構が、前記洗浄槽の内部にセットされた前記分注ノズルの内部における前記液体の流通方向に所定の角度を有する超音波を照射する請求項1〜9のいずれか一項に記載の洗浄機構。
【請求項11】
前記超音波照射機構が、前記液体の流通方向に沿って前記超音波の集束位置を移動させる請求項1〜10のいずれか一項に記載の洗浄機構。
【請求項12】
内部に空隙を有する分注ノズルを液体に浸漬する浸漬工程と、
前記分注ノズルの外部から内部へむけて、少なくとも前記内部において強め合うように干渉する超音波を前記分注ノズルの外部の二箇所以上の位置から照射する超音波照射工程と、
前記超音波照射工程に続いて前記分注ノズルの内部の液体を交換するリンス工程とを備える洗浄方法。
【請求項13】
前記超音波照射工程が、
前記分注ノズルの基端側に対して先行して前記超音波を照射する第一照射工程と、
前記第一照射工程より所定時間だけ遅延させて前記第一照射工程における前記超音波の照射部位よりも所定距離だけ先端側の前記分注ノズルに対して前記超音波を照射する第二照射工程とを有する請求項12に記載の洗浄方法。
【請求項14】
請求項1〜11に記載の洗浄機構と、
前記分注ノズルを有し前記空隙に所定量の試料を吸引、吐出、保持可能な分注機構と、
一端が開口する槽状で前記分注機構によって前記試料が分注されるキュベットと、
複数の前記キュベットを順次搬送する搬送機構と、
前記キュベットにおける前記検体と前記第二液体との反応状態を検出する検出機構とを備える分析装置。
【請求項15】
前記検出機構が生化学的反応に対する比色分析法を行う分光光度計を有する請求項14に記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−133727(P2010−133727A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307485(P2008−307485)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(510005889)ベックマン・コールター・インコーポレーテッド (174)
【Fターム(参考)】