説明

洗浄水タンクの排水弁装置、及び、排水弁装置の排水弁

【課題】排水弁を交換するとき、不適合な排水弁を取り付けることを確実に防止することができる排水弁装置等を提供する。
【解決手段】本発明は、便器を洗浄する洗浄水を貯える洗浄水タンクの排水弁装置であり、支持軸42と、洗浄水タンク1に形成された排水口30に取り付けられた弁座44と、を備えた排水弁本体部32と、支持軸と係合して上下方向に揺動可能な係合部46と、この係合部に延伸部を介して接続され上下方向に揺動することにより弁座に離接して排水及び止水を行う弁体50と、を備えた排水弁(フラッパ弁)26と、を有し、排水弁本体部32aは、第1の突出部52を備え、この第1の突出部が、排水弁として適合な排水弁26aが取り付けられているときにはこの排出弁と当接することなく、排水及び止水を行うことができ、且つ、排水弁として不適合な排水弁26bが取り付けられたときには不適合な排水弁に設けられた第2の突出部54に当接し、止水できないようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄水タンクの排水弁装置、及び、排水便装置の排水弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、便器を洗浄する洗浄水を貯える洗浄水タンクには、排水口の開閉して吐水及び止水を行うためのフラッパ弁(排水弁)が使用されているが、このフラッパ弁は、長い期間に亘って使用されると、水に長期間さらされ且つ繰り返し開閉動作を行うことにより、劣化したり磨耗したりする。
【0003】
このため、劣化したフラッパ弁は、変形したりピンホールが形成され、水密性が保持できなくなり、水漏れの原因となる。そのため、劣化したフラッパ弁は、新しいフラッパ弁に交換されて、置き換えられるようになっている。
【0004】
このフラッパ弁を交換するとき、洗浄水タンクの仕様に併せて、複数の種類のフラッパ弁が存在するため、作業者が誤って、不適合なフラッパ弁を取り付けることがあった。
しかしながら、従来の洗浄水タンク装置の排水弁装置においては、例えば、特許文献1に示すように、不適合なフラッパ弁の取り付けを防止するような機構は設けられていないため、作業者がその点を認識して適合するフラッパ弁を取り替えるしかなく、それゆえ、不適合な排水弁を取り付けることを確実に防止することは困難であった。
【0005】
【特許文献1】特開平9-291580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、フラッパ弁を交換する際、不適合なフラッパ弁を取り付けた場合には、洗浄水タンクから吐水される洗浄水の量が必要な量よりも多くなったり、または、少なくなったりして、これにより、所定の洗浄機能が発揮できなくなり、問題である。
このような従来からの問題を解決するために、本発明者らは、種々の検討及び実験等を行うことにより、有効な防止策を見出したのである。
【0007】
このように、本発明は、従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、排水弁(フラッパ弁を含む)を交換するとき、不適合な排水弁を取り付けることを確実に防止することができる、洗浄水タンクの排水弁装置及び排水弁装置の排水弁の提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、便器を洗浄する洗浄水を貯える洗浄水タンクの排水弁装置であって、水平方向に延びる支持軸と、洗浄水タンクの底面に形成された排水口に取り付けられた弁座と、を備えた排水弁本体部と、支持軸と係合して上下方向に揺動可能な係合部と、この係合部に延伸部を介して接続され上下方向に揺動することにより上記弁座に離接して排水及び止水を行う弁体と、を備えた排水弁と、を有し、排水弁本体部は、上方に突出した第1の突出部を備え、この第1の突出部が、排水弁として適合な排水弁が取り付けられているときにはこの排出弁と当接することなく、排水及び止水を行うことができ、且つ、排水弁として不適合な排水弁が取り付けられたときには不適合な排水弁に設けられた下方に突出した第2の突出部に当接し、止水できないように構成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、排水弁本体部が、上方に突出した第1の突出部を備え、この第1の突出部が、排水弁として適合な排水弁が取り付けられているときにはこの排出弁と当接することないので、排出弁は円滑に開閉動作して、排水及び止水を行うことができ、一方、排水弁として不適合な排水弁が取り付けられたときには、排水弁本体部の第1の突出部が不適合な排水弁に設けられた下方に突出した第2の突出部に当接するので、止水できないようになっている。これにより、排水弁を交換する作業員は、洗浄水タンクに洗浄水が貯水されないので、不適合な排水弁を取り付けたことに直ぐに気付く。この結果、本発明によれば、不適合な排水弁を取り付けることを確実に防止することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、不適合な排水弁の第2の突出部は排水弁の延伸部に設けられ、排水弁本体部の第1の突出部は第2の突出部に対応した位置に設けられている。
このように構成された本発明によれば、不適合な排水弁を取り付けた場合、不適合な排水弁の延伸部に設けられた第2の突出部と、排水弁本体部の第1の突出部は第2の突出部とが当接するので、止水できないようになっている。これにより、排水弁を交換する作業員は、洗浄水タンクに洗浄水が貯水されないので、不適合な排水弁を取り付けたことに直ぐに気付き、不適合な排水弁を取り付けることを確実に防止することができる。
さらに、排水弁本体部の第1の突出部は、排水弁の延伸部に設けられた第2の突出部に対応した位置に設けられているので、適合な排水弁が設置された場合、第1の突出部は洗浄水が排出口から排出される際の抵抗となり難く、良好な排出性能を発揮することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、不適合な排水弁の第2の突出部は排水弁の弁体の周囲の所定の箇所に設けられて、排水弁本体部の第1の突出部は第2の突出部に対応した位置に設けられている。
このように構成された本発明によれば、不適合な排水弁を取り付けた場合、不適合な排水弁の弁体の周囲の所定の箇所に設けられた第2の突出部と、排水弁本体部の第1の突出部は第2の突出部とが当接するので、止水できないようになっている。これにより、排水弁を交換する作業員は、洗浄水タンクに洗浄水が貯水されないので、不適合な排水弁を取り付けたことに直ぐに気付き、不適合な排水弁を取り付けることを確実に防止することができる。
さらに、排水弁本体部の第1の突出部は、排水弁の弁体の周囲の所定の箇所に設けられているので、不適合な排水弁を取り付けた場合、洗浄水排出時、弁体を下方に押さえつける水圧が作用して誤って閉弁するといった不具合を確実に防止することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、排水弁本体部の第1の突出部又は不適合な排水弁の第2の突出部は、支持軸が延びる方向に排水弁が変位又は移動しても排水弁の第2の突出部又は排水弁本体部の第1の突出部と当接できるような長さを有する。
このように構成された本発明によれば、支持軸が延びる方向に排水弁が変位又は移動しても、第1の突出部と第2の突出部は当接し、止水できないようになっている。これにより、排水弁を交換する作業員は、洗浄水タンクに洗浄水が貯水されないので、不適合な排水弁を取り付けたことに直ぐに気付き、不適合な排水弁を取り付けることを確実に防止することができる。
さらに、吐出部同士が当接するようにするために、排水弁の変位又は移動を防ぐ規制部材等を新たに設ける必要がない。そのため、生産コスト、環境負荷を軽減することができる。
【0012】
本発明は、便器を洗浄する洗浄水を貯える洗浄水タンク装置の排水弁装置に使用される排水弁であって、排水弁装置は、水平方向に延びる支持軸と、洗浄水タンクの底面に形成された排水口に取り付けられた弁座と、を備えた排水弁本体部を有し、排水弁は、支持軸と係合して上下方向に揺動可能な係合部と、この係合部に延伸部を介して接続され上下方向に揺動することにより弁座に離接して排水及び止水を行う弁体と、下方に突出した第2の突出部と、を備え、排水弁が、適合な排水弁として排水弁本体とに取り付けられているときには、排水及び止水を行うことができ、不適合な排水弁として排水弁本体部と異なる排水弁本体部に取り付けられたときには、排水弁の第2の突出部が、この異なる排水弁本体部に設けられた上方に突出する第1の突出部に当接し、止水できないように構成されている。
このように構成された本発明においては、排水弁が、適合な排水弁として排水弁本体とに取り付けられているときには、排出弁は円滑に開閉動作して、排水及び止水を行うことができ、不適合な排水弁として排水弁本体部と異なる排水弁本体部に取り付けられたときには、排水弁の第2の突出部が、この異なる排水弁本体部に設けられた上方に突出する第1の突出部に当接し、止水できないようになっている。これにより、排水弁を交換する作業員は、洗浄水タンクに洗浄水が貯水されないので、不適合な排水弁を取り付けたことに直ぐに気付く。この結果、本発明によれば、不適合な排水弁を取り付けることを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の洗浄水タンクの排水弁装置及び排水弁装置の排水弁(フラッパ弁を含む)によれば、排水弁を交換するとき、不適合な排水弁を取り付けることを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図1乃至図10により、本発明の実施形態による洗浄水タンクの排水弁装置及び排水弁装置の排水弁を説明する。
先ず、図1により、本発明の排水弁装置が適用される洗浄水タンクについて説明する。図1は本発明の排水弁装置が適用される洗浄水タンクを示す断面図である。
図1に示す洗浄水タンク1は、図示しない便器に取り付けられ、便器に洗浄水を排出するようになっている。この洗浄水タンク装置1は、便器の種類に応じて、貯水する洗浄水の量が異なっている。
【0015】
図1に示すように、洗浄水タンク1内には、洗浄水タンク1内に洗浄水を供給して貯える給水装置2と、洗浄水タンク1に貯えられた洗浄水を便器に排出する排水弁装置4とが設けられている。
【0016】
給水装置2は、外部の給水源に接続され洗浄水タンク1の底面6から上方に延びる給水管8と、この給水管8の上端部に取り付けられ給水管8から給水される洗浄水の洗浄水タンク1内への吐水・止水を切り替える給水バルブ10と、洗浄水タンク1内の水位の変動に応じて上下動して給水バルブ10による吐水・止水を切り替えるフロート12とを備えている。
【0017】
給水管8の外周側下端部には、吐出口14が開口し、給水バルブ10からの洗浄水がこの吐出口14から洗浄水タンク1内に吐水されるようになっている。
給水装置2は、更に、給水バルブ10に接続されたリフィール管16を備え、このリフィール管16の下流端は、後述するオーバーフロー管36の上端開口に位置している。
【0018】
給水装置2においては、後述する排水弁装置4により、洗浄水タンク1内の洗浄水が便器に排水されると、洗浄水の水位が低下してフロート12が下降し、それにより給水バルブ10が開き、吐水口14から吐水が開始される、洗浄水タンク1内への吐水が開始される。次に、吐水が継続されて水位が上昇すると、フロート12も上昇し、それにより給水バルブ10が閉じ、吐水口14が止水される。これにより、洗浄水タンク1内の洗浄水の水位を所定の満水時の水位に維持するようになっている。
【0019】
次に、排水弁装置4を説明する。図1に示すように、排水弁装置4は、洗浄水タンク1の外部に取り付けられた操作レバー20と、この操作レバー20に取り付けられ操作レバー20の操作により回転する洗浄水タンク1内に取り付けられた回転軸22と、この回転軸22の他端に取り付けられ回転軸22の回転により上下動するようになっている鎖24と、この鎖24の下端に取り付けられた排水弁であるフラッパ弁26と、このフラッパ弁26より所定距離だけ上方の位置で鎖24に取り付けられたフロート28と、洗浄水タンク1の底面6に形成されたフラッパ弁26により開閉され排水口30と、この排水口30に設けられた排水弁本体部32と、を備えている。ここで、排水弁本体部32は、内部通路34を介して排水口30に連通するように設けられたオーバーフロー管36を備えている。
【0020】
次に、図2乃至図7により、本発明の実施形態による排水弁装置を詳細に説明する。本発明の実施形態においては、少なくとも2種類の排水弁装置が適用される。即ち、図2乃至図4に示すハイシルエットの洗浄水タンクに取り付けられる第1のタイプの排水弁装置4a、図5乃至図7に示すローシルエットの洗浄水タンクに取り付けられる第2のタイプの排水弁装置4bである。
以下の説明において、第1のタイプの排水弁装置4a、及び、第2のタイプの排水弁装置4bにおいては、ぞれぞれ、符号に″a″及び″b″を付することにする。
【0021】
図2は、本発明の実施形態による第1のタイプの排水弁装置4aを示す正面図であり、図3は図2の平面図であり、図4は、本発明の実施形態による第1のタイプの排水弁装置4aの部品展開図である。
これらの図2乃至図4に示すように、第1のタイプの排水弁装置4aは、上述したように、排水弁であるフラッパ弁26aと、排水弁本体部32aを備えている。ここで、排水弁本体部32aは、オーバーフロー管36aの下方の側面から水平方向に延びる一対の支持軸42aと、洗浄水タンク1の底面7に形成された排水口30aに取り付けられた弁座44aと、を備えている。
【0022】
次に、排水弁であるフラッパ弁26aは、支持軸42aと係合して上下方向に揺動可能な係合部46aと、この係合部46aに延伸部48aを介して接続され上下方向に揺動することにより弁座44aに離接して排水及び止水を行う弁体50aと、を備えている。
さらに、第1のタイプの排水弁装置4aにおいては、排水弁本体部32aのフラッパ弁26aの延伸部48aの下方に位置する部分に、上方に突出した突出部(第1の突出部)52が形成されている。この第1のタイプの排水弁装置4aの排水弁本体部32aの突出部52は、後述する第2のタイプの排水弁装置4bのフラッパ弁26bが、誤って、不適合な第1のタイプの排水弁装置4aのフラッパ弁として使用されたときに、フラッパ弁26bの延伸部48bに形成された下方に突出した突出部(第2の突出部)54と当接する位置に形成されている。
【0023】
このような第1のタイプの排水弁装置4aにおいて、排水弁本体部32aに排水弁である適合するフラッパ弁26aを取り付けた場合、排水弁本体部32aの上方に突出した突出部(第1の突出部)52に、フラッパ弁26aが、上下方向に揺動して洗浄水を吐水及び止水するときでも当接しないようになっている。それゆえ、第1のタイプの排水弁装置4aにおいては、適合するフラッパ弁26aが取り付けられた場合には、支障なく、洗浄水の吐水及び止水ができるようになっている。
【0024】
次に、図5乃至図7に示すように、第2のタイプの排水弁装置4bは、第1のタイプのものとは形状及び寸法等の異なる、フラッパ弁26b、及び、排水弁本体部32bを備えている。ここで、排水弁本体部32bは、オーバーフロー管36bの下方の側面から水平方向に延びる一対の支持軸42bと、洗浄水タンク1の底面6に形成された排水口30bに取り付けられた弁座44bと、を備えている。
【0025】
次に、排水弁であるフラッパ弁26bは、支持軸42bと係合して上下方向に揺動可能な係合部46bと、この係合部46bに延伸部48bを介して接続され上下方向に揺動することにより弁座44bに離接して排水及び止水を行う弁体50bと、を備えている。なお、第2のタイプの排水弁装置4bの排水弁本体部32bには、第1のタイプにおいて設けられた上方に突出した突出部(第1の突出部)52は設けられていない。
さらに、第2のタイプの排水弁装置4bにおいては、フラッパ弁26bの延伸部48bに下方に突出した突出部(第2の突出部)54が形成されている。第2のタイプの排水弁装置4bのフラッパ弁26bの突出部(第2の突出部)54は、この第2のタイプの排水弁装置4bのフラッパ弁26bが、誤って、第1のタイプの排水弁装置4aに使用されたときに、第1のタイプの排水弁本体部32aの突出部(第1の突出部)52に当接する位置に形成されている。
【0026】
このような第2のタイプの排水弁装置4bにおいて、排水弁本体部32bに排水弁である適合するフラッパ弁26bを取り付けた場合、フラッパ弁26bの突出部(第2の突出部)54は、上下方向に揺動して洗浄水を吐水及び止水するとき、排水弁本体部32bのどの部位にも当接しないので、支障なく、洗浄水の吐水及び止水ができるようになっている。
【0027】
次に、図8及び図9により、第1のタイプの排水弁装置4aの排水弁本体部32aに、誤って、不適合な第2のタイプの排水弁装置4bのフラッパ弁26bを取り付けた場合を説明する。図8は、本発明の実施形態による、第1のタイプの排水弁装置4aの排水弁本体部32aに、誤って、不適合な第2のタイプの排水弁装置4bのフラッパ弁26bを取り付けた場合を示す正面図であり、図9は、図8と同様な場合の斜視図である。
【0028】
図8及び図9に示すように、第1のタイプの排水弁装置4aの排水弁本体部32aに、誤って、不適合な第2のタイプの排水弁装置4bのフラッパ弁26bを取り付けた場合には、第1のタイプの排水弁本体部32aの上方に突出した突出部(第1の突出部)52の先端部と、第2のタイプの不適合なフラッパ弁26bの下方に突出した突出部(第2の突出部)54の下端部とが当接し、フラッパ弁26bが、閉じなくなり、排水口30aが開放状態となる。この結果、給水装置2から洗浄水タンク1内に給水しても、洗浄水タンク1内に洗浄水が貯水されることがないので、作業者は、直ぐに、取り付けたフラッパ弁26bが不適合なものであることに気付くことができる。
【0029】
次に、図10により、第1のタイプの排水弁装置4aの排水弁本体部32aの第1の突出部52と、第2のタイプの排水弁装置4bのフラッパ弁26bの第2の突出部54との形状及び寸法を説明する。
図10(a)は、不適合なフラッパ弁26bが取り付けられた状態(図8参照)の排水弁装置4aを示す部分拡大平面図であり、図10(b)は、不適合なフラッパ弁26bの第2の突出部54の下端部を示す拡大平面図であり、図10(c)は、排水弁本体部32aの第1の突出部52の上端部を示す拡大平面図である。
【0030】
上述したフラッパ弁26a,26bは、それぞれ、弾性変形可能なゴム製であり、平面視で、X軸方向(幅方向)及びY軸方向(長手方向)の何れにも、変位又は移動可能となっている。そのため、フラッパ弁26bが、X軸方向及びY軸方向にどのように変位又は移動しても、第1のタイプの排水弁本体部32aの第1の突出部52の先端部と、第2のタイプの不適合なフラッパ弁26bの第2の突出部54の下端部とが必ず当接するような形状及び寸法(長さ)となっている。具体的には、フラッパ弁26bの第2の突出部54の下端部は、X方向(幅方向)に3.5mm〜4.1mmであり、Y方向(長手方向)に6.7mm〜7.3mmであり、一方、排水弁本体部32aの第1の突出部52の上端部は、X方向(幅方向)に10.7mm〜11.3mmであり、Y方向(長手方向)に2.2mm〜2.8mmである。
【0031】
以上説明したように、本実施形態による排水弁装置によれば、排水弁であるフラッパ弁を交換するとき、不適合なフラッパ弁を取り付けることを確実に防止することができる。
【0032】
次に、図11により本発明の実施形態の第1変形例を説明する。図11(a)は本発明の実施形態の第1変形例による不適合なフラッパ弁が取り付けられた状態の排水弁装置を示す概略正面図であり、図11(b)は、同様な概略平面図である。
この本実施形態の第1変形例においては、フラッパ弁26bの第2の突出部54が、その弁体50bの係合部46bから最も離れている位置に形成され、一方、排水弁本体部32aの第1の突出部52は、フラッパ弁26bの第2の突出部54に対応した位置、即ち、弁座44aの支持軸42aから最も離れた位置に形成されている。
この第1変形例による排水弁装置においても、上述した本実施形態による排水弁装置と同様に、排水弁であるフラッパ弁を交換するとき、直ぐに、取り付けたフラッパ弁26bが不適合なものであることに気付き、その結果、不適合なフラッパ弁を取り付けることを確実に防止することができる。
【0033】
次に、図12により本発明の実施形態の第2変形例を説明する。図12(a)は本発明の実施形態の第2変形例による不適合なフラッパ弁が取り付けられた状態の排水弁装置を示す概略正面図であり、図12(b)は、同様な概略平面図である。
この本実施形態の第2変形例においては、フラッパ弁26bの第2の突出部54が、その弁体50bの両側の位置に形成され、一方、排水弁本体部32aの第1の突出部52は、フラッパ弁26bの第2の突出部54に対応した位置、即ち、弁座44aの両側の位置に形成されている。
この第2変形例による排水弁装置においても、上述した本実施形態による排水弁装置と同様に、排水弁であるフラッパ弁を交換するとき、直ぐに、取り付けたフラッパ弁26bが不適合なものであることに気付き、その結果、不適合なフラッパ弁を取り付けることを確実に防止することができる。
【0034】
次に、図13により本発明の実施形態の第3変形例を説明する。図13(a)は本発明の実施形態の第3変形例による不適合なフラッパ弁が取り付けられた状態の排水弁装置を示す概略正面図であり、図13(b)は、同様な概略平面図である。
この本実施形態の第3変形例においては、フラッパ弁26bの第2の突出部54の位置及び排水弁本体部32aの第1の突出部52の位置は、それぞれ、上述した本実施形態のものと同じであるが、第3変形例においては、排水弁本体部32aの第1の突出部52の上端部が球形状(又は半球形状)となっている。
この第3変形例による排水弁装置においても、上述した本実施形態による排水弁装置と同様に、排水弁であるフラッパ弁を交換するとき、直ぐに、取り付けたフラッパ弁26bが不適合なものであることに気付き、その結果、不適合なフラッパ弁を取り付けることを確実に防止することができる。
【0035】
次に、図14により本発明の実施形態の第4変形例を説明する。図14(a)は本発明の実施形態の第4変形例による不適合なフラッパ弁が取り付けられた状態の排水弁装置を示す概略正面図であり、図14(b)は、同様な概略平面図である。
この本実施形態の第4変形例においては、フラッパ弁26bの第2の突出部54の位置及び排水弁本体部32aの第1の突出部52の位置は、それぞれ、上述した本実施形態のものと同じであるが、第4変形例においては、排水弁本体部32aの第1の突出部52の上端部が線形状となっている。
この第4変形例による排水弁装置においても、上述した本実施形態による排水弁装置と同様に、排水弁であるフラッパ弁を交換するとき、直ぐに、取り付けたフラッパ弁26bが不適合なものであることに気付き、その結果、不適合なフラッパ弁を取り付けることを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の排水弁装置が適用される洗浄水タンクを示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態による第1のタイプの排水弁装置を示す正面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】本発明の実施形態による第1のタイプの排水弁装置の部品展開図である。
【図5】本発明の実施形態による第2のタイプの排水弁装置を示す正面図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】本発明の実施形態による第2のタイプの排水弁装置の部品展開図である。
【図8】本発明の実施形態による、第1のタイプの排水弁装置の排水弁本体部に、誤って、不適合な第2のタイプの排水弁装置のフラッパ弁を取り付けた場合を示す正面図である。
【図9】本発明の実施形態による、第1のタイプの排水弁装置の排水弁本体部に、誤って、不適合な第2のタイプの排水弁装置のフラッパ弁を取り付けた場合を示す斜視図である。
【図10】図10(a)は、不適合なフラッパ弁が取り付けられた状態(図8参照)の排水弁装置を示す部分拡大平面図であり、図10(b)は、不適合なフラッパ弁の第2の突出部の下端部を示す拡大平面図であり、図10(c)は、排水弁本体部の第1の突出部の上端部を示す拡大平面図である。
【図11】図11(a)は本発明の実施形態の第1変形例による不適合なフラッパ弁が取り付けられた状態の排水弁装置を示す概略正面図であり、図11(b)は、同様な概略平面図である。
【図12】図12(a)は本発明の実施形態の第2変形例による不適合なフラッパ弁が取り付けられた状態の排水弁装置を示す概略正面図であり、図12(b)は、同様な概略平面図である。
【図13】図13(a)は本発明の実施形態の第3変形例による不適合なフラッパ弁が取り付けられた状態の排水弁装置を示す概略正面図であり、図13(b)は、同様な概略平面図である。
【図14】図14(a)は本発明の実施形態の第4変形例による不適合なフラッパ弁が取り付けられた状態の排水弁装置を示す概略正面図であり、図14(b)は、同様な概略平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1,1a,1b 洗浄水タンク
2 給水装置
4,4a,4b 排水弁装置
6 底面
8 給水管
10 給水バルブ
12 フロート
14 吐水口
16 リフィール管
20 操作レバー
22 回転軸
24 鎖
26,26a,26b フラッパ弁
28 フロート
30 排水口
32,32a,32b 排水弁本体部
34 内部通路
36 オーバーフロー管
42,42a,42b 支持軸
44,44a,44b 弁座
46,46a,46b 係合部
48,48a,48b 延伸部
50,50a,50b 弁体
52 上方へ突出した突出部(第1の突出部)
54 下方へ突出した突出部(第2の突出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器を洗浄する洗浄水を貯える洗浄水タンクの排水弁装置であって、
水平方向に延びる支持軸と、上記洗浄水タンクの底面に形成された排水口に取り付けられた弁座と、を備えた排水弁本体部と、
上記支持軸と係合して上下方向に揺動可能な係合部と、この係合部に延伸部を介して接続され上下方向に揺動することにより上記弁座に離接して排水及び止水を行う弁体と、を備えた排水弁と、を有し、
上記排水弁本体部は、上方に突出した第1の突出部を備え、この第1の突出部が、上記排水弁として適合な排水弁が取り付けられているときにはこの排出弁と当接することなく、排水及び止水を行うことができ、且つ、上記排水弁として不適合な排水弁が取り付けられたときには不適合な排水弁に設けられた下方に突出した第2の突出部に当接し、止水できないように構成されていることを特徴とする排水弁装置。
【請求項2】
上記不適合な排水弁の第2の突出部は上記排水弁の延伸部に設けられ、上記排水弁本体部の第1の突出部は上記第2の突出部に対応した位置に設けられている請求項1記載の排水弁装置。
【請求項3】
上記不適合な排水弁の第2の突出部は上記排水弁の弁体の周囲の所定の箇所に設けられて、上記排水弁本体部の第1の突出部は上記第2の突出部に対応した位置に設けられている請求項1記載の排水弁装置。
【請求項4】
上記排水弁本体部の第1の突出部又は上記不適合な排水弁の第2の突出部は、上記支持軸が延びる方向に上記排水弁が変位又は移動しても上記排水弁の第2の突出部又は上記排水弁本体部の第1の突出部と当接できるような長さを有する請求項1乃至3の何れか1項に記載の排水弁装置。
【請求項5】
便器を洗浄する洗浄水を貯える洗浄水タンクの排水弁装置に使用される排水弁であって、
上記排水弁装置は、水平方向に延びる支持軸と、上記洗浄水タンクの底面に形成された排水口に取り付けられた弁座と、を備えた排水弁本体部を有し、
上記排水弁は、上記支持軸と係合して上下方向に揺動可能な係合部と、この係合部に延伸部を介して接続され上下方向に揺動することにより上記弁座に離接して排水及び止水を行う弁体と、下方に突出した第2の突出部と、を備え、
上記排水弁が、適合な排水弁として上記排水弁本体とに取り付けられているときには、排水及び止水を行うことができ、不適合な排水弁として上記排水弁本体部と異なる排水弁本体部に取り付けられたときには、上記排水弁の第2の突出部が、この異なる排水弁本体部に設けられた上方に突出する第1の突出部に当接し、止水できないように構成されていることを特徴とする排水弁。
【請求項6】
上記排水弁の第2の突出部は上記排水弁の延伸部に設けられている請求項5記載の排水弁。
【請求項7】
上記排水弁の第2の突出部は上記排水弁の弁体の周囲の所定の箇所に設けられている請求項5記載の排水弁装置。
【請求項8】
上記排水弁の第2の突出部は、上記支持軸が延びる方向に上記排水弁が変位又は移動しても上記異なる排水弁本体部の第1の突出部と当接できるような長さを有する請求項5乃至7の何れか1項に記載の排水弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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