説明

洗浄用スプレーガン

【課題】 ノズルからお湯を噴射して生地やその他の物品に付着している汚れを洗い落とす為の洗浄用スプレーガンの提供。
【解決手段】 モータによってスライドするピストンを有すポンプ2の先端には噴射ノズル1を備え、又、ヒーター7を内蔵した加熱器3を取付け、該ヒーター7によって水を加熱することが出来るように付近に空間8を形成し、該空間8の入口側には水を供給するホース9を接続し、又出口側に接続したホース5の他端をポンプに接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は付着した汚れを除去する為に、洗浄液としてお湯を噴射することが出来る洗浄用スプレーガンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スプレーガンにはピストンポンプを備えた型式のものが一般的に使われているが、ピストンの往復動によって噴射する洗浄液は断続的となり、該洗浄液は霧状を成して繊維製品や機器等にかけられ、汚れを落とす場合に使用されている。図 は従来の洗浄用スプレーガンを示しているが、ピストンポンプ(イ)の先端に噴射ノズル(ロ)を有し、ピストンポンプ(イ)を往復動するピストン(ハ)によって供給ホース(ニ)から洗浄液を吸上げて噴射ノズル(ロ)から噴射する。
【0003】
ここで、ピストン(ハ)は持ち手(ホ)に内蔵されているモータにて往復動させられることになるが、該モータの軸(ヘ)はカムリング(ト)に連結し、カムリング(ト)には偏心軸(チ)が設けられている。そして、この偏心軸(チ)はスライダー(リ)の遊嵌溝に遊嵌していて、上記カムリング(ト)が回転するならばスライダー(リ)は偏心軸(チ)の偏心量の範囲内で往復動することになる。上記ピストン(ハ)はスライダー(リ)に連結している為に、ピストン(ハ)も往復動することが出来る。
【0004】
スプレーガンのケーシング(オ)には上記供給ホース(ニ)の近くにドレーンホース(ル)が接続されており、ピストンポンプ(イ)から漏れた洗浄液を回収している。ピストン(ハ)が嵌って往復動するシリンダー穴の内周面との間には殆ど隙間はなく、又洗浄液が逆流しないようにシールされているが、実際にはこの僅かな隙間を侵入して逆流し、ドレーンとして回収される。使用する洗浄液が非常に高価である為に回収する場合、又漏れたまま放置したのでは環境保全上問題になる場合等色々あるが、ピストンポンプ(イ)から漏れる洗浄液をそのまま垂れ流すことが出来ない。
【0005】
そこで、供給ホース(ニ)をケーシング(ホ)の上側に接続し、又ドレーンホース(ル)を接続しないで、その代わり回収容器を取着し、該回収容器内には吸収材を充填してドレーンを吸収する方式も知られている。ところで、従来一般的に用いられている洗浄液は、トリクロールエタン、トリクロールエチレン等であり、これを噴射ノズルから断続的に噴射させることで、生地に付着している汚れが落とされる。
【0006】
特開平7−308609号に係る「洗浄用スプレーガン」は、プランジャポンプのプランジャをシリンダーに挿入し、シリンダーに洗浄液供給ポート及びドレンポートを設けた洗浄用スプレーガンであり、洩れた洗浄液を容易に排出し、再利用することができ、洗浄液を廃棄する必要がなく、再利用によって経済性を高めることが出来るようにしている。そこで、ドレンタンクがドレンポートに接続され、接続ホースが供給ポートに接続され、洗浄液供給ホース及びドレンタンクが三方弁を介して接続ホースに接続されている。
【0007】
特開平10−192803号に係る「洗浄用スプレーガン」は、ノズルから洗浄液を噴射して生地等に付着している汚れを洗い落とす洗浄用スプレーガンであって、軽くて扱い易く、構造が簡単なスプレーガンである。
シリンダーには洗浄液供給ホースとエヤー供給ホースをそれぞれ接続し、洗浄液供給ホースを先端ノズル側に設け、シリンダー内にエヤーを断続的に流して、該エヤーとともに洗浄液を噴出することが出来る。
【特許文献1】特開平7−308609号に係る「洗浄用スプレーガン」
【特許文献2】特開平10−192803号に係る「洗浄用スプレーガン」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、洗浄用スプレーガンの具体的な構造は色々あるが、基本的にはピストンが作動してトリクロールエタンやトリクロールエチレン等の洗浄液を汚れた部分に吹付けることが出来るように構成している。ところで、該洗浄液は高価であると共に環境保全上好ましくない。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、基本的に洗浄液を使用することなく、お湯を洗浄液として噴射するようにした洗浄用スプレーガンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る洗浄用スプレーガンは、洗浄液として基本的にお湯が使用され、該お湯を噴射する為の噴射ノズルを設けている。モータによって往復動するスライダーにピストンが連結し、前進した際には噴射ノズルからお湯を噴射することが出来る。ここで、洗浄スプレーガンとしての基本構造は従来のものと共通しているが、本発明では加熱器を備えている。
【0010】
すなわち、外部からは冷たい水が供給され、洗浄スプレーガンに取付けた加熱器によって水を適度な温度に加熱して噴射するように構成している。ただし、水に僅かな洗浄液を混入したものを使用することもある。ここで、加熱器の具体的な構造は限定しないことにし、加熱器を流れることで熱いお湯となって噴射ノズルから噴射することが出来る。そして、加熱されるお湯の温度は調整可能としている。本発明の洗浄用スプレーガンは加熱器を備え、噴射直前に水(水に僅かな洗浄液を加えた場合もある)を加熱して噴射ノズルから噴射するようにしている点に特徴があり、外部から熱いお湯を供給するものではない。
【発明の効果】
【0011】
本発明の洗浄スプレーガンは熱いお湯を洗浄液として噴射することが出来る。
従来から使用されているトリクロールエタンやトリクロールエチレン等の洗浄液に比較して洗浄能力は多少劣るかもしれないが、加熱されたお湯であることから、殆どの汚れを除去することは可能であり、冷たい水に比べれば優れた洗浄能力はある。そして、お湯であることから洗浄液としてのコストは安く、しかも環境保全上も好ましい。
【0012】
又、お湯を噴射することで、対象となる生地によっては縮みを生じる場合があるが、ヒーターにてお湯の温度は適度に調整することが出来る。すなわち、外部から熱いお湯を供給したのでは気温の変化によって微妙に左右されるが、噴射直前で所定の温度に加熱することから、対象となる生地に適した最適温度に調整出来る。そして、お湯である為に、スプレーガンの噴射ノズルから噴射する超微粒子は生地内部まで入り込んで汚れを余すことなく除去することが可能である。勿論、純粋なお湯でなく、僅かな洗浄液を加えたお湯を噴射するならば、その洗浄能力は一段と高くなり、油類が付着した精密機器の洗浄に適している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る洗浄用スプレーガンの正面図。
【図2】本発明に係る洗浄用スプレーガンの平面図。
【図3】従来の洗浄用スプレーガン。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1、図2は本発明の洗浄用スプレーガンを示している実施例であり、図1は正面図、図2は平面図を夫々表している。同図において、1は噴射ノズル、2はポンプ、3は加熱器、4は持ち手を示している。本発明の洗浄用スプレーガンは加熱器3を備え、噴射ノズル1から該加熱器3にて加熱されたお湯が噴射されて汚れを落とすことが出来る。そして、上記ポンプ2は内部に往復するピストンが収容され、基本構造は前記図3に示した洗浄用スプレーガンと共通した構造と成っている。
【0015】
ところで、従来の洗浄用スプレーガンと同じく、持ち手4の内部にはモータが内蔵され、該モータの主軸にはカムが取着され、カムはスライダーと係合している。従って、モータにて該カムが回転駆動するならば、スライダーはガイドに沿って前後方向に往復スライドすることが出来る。該カムとスライダーとの係合関係は前記図3に示す従来例と同じであり、カムに設けている偏心軸が回転することによりスライダーは往復スライドするように構成している。
【0016】
そして上記スライダーにはピストンが連結して前方向へ延び、スライダーのスライドと共にピストンもスライドすることが出来る。ここで、ピストンはポンプ2を構成するシリンダーに収容されて往復スライドする。ピストンが収容されてスライドすることが出来るシリンダー孔の先端にはバルブが取付けられると共に、スプリングによってバネ力がバルブに付勢されている。従って、該バルブはシリンダー孔を閉鎖している。
【0017】
そこで、ピストンが後退する場合、上記バルブがシリンダー孔を閉鎖している為に、真空状態となってホース5からお湯がシリンダー孔に吸い込まれ、そして、ピストンが前進すると、スプリングが圧縮されてバルブが開き、噴射ノズル1からお湯が噴射される。
【0018】
ところで、本発明の洗浄用スプレーガンには加熱器3がポンプ2に平行して取付けられ、ポンプ2に取着した保持具6の先端部に該加熱器6が保持されている。そして、加熱器3の内部にはヒーター7が内蔵され、該ヒーター7の周囲に形成した空間8を水が流れるように成っている。加熱器3の入口にはホース9が接続され、出口にはホース5が接続している。
【0019】
外部から冷たい水がホース9を流れて加熱器3に供給され、加熱器3のヒーター7に電流が流れて熱くなり、該空間8を流れた水は加熱されて熱くなり、お湯はホース5を流れてポンプ2のシリンダーへ入る。シリンダーへ入ったお湯はピストンの前進動作で噴射ノズル1から噴射される。噴射ノズル1から噴射されるお湯は超微粒子となって汚れに吹き付けられ、超微粒子に汚れが付着して除去される。
【0020】
ところで、上記加熱器3のヒーター7を流れる電流をコントロールすれば、空間8を流れる水の加熱温度が調整される。汚れを落とす為に余り高い温度のお湯に加熱しないように、すなわち生地の種類や材質に応じて調整出来るように制御している。
【符号の説明】
【0021】
1 噴射ノズル
2 ポンプ
3 加熱器
4 持ち手
5 ホース
6 保持具
7 ヒーター
8 空間
9 ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから洗浄液を噴射して生地やその他の物品に付着している汚れを洗い落とす為の洗浄用スプレーガンにおいて、モータによってスライドするピストンを有すポンプの先端には噴射ノズルを備え、又、ヒーターを内蔵した加熱器を取付け、該ヒーターによって水を加熱することが出来るように付近に空間を形成し、該空間の入口側には水を供給するホースを接続し、又出口側に接続したホースの他端をポンプに接続したことを特徴とする洗浄用スプレーガン。
【請求項2】
上記ヒーターを流れる電流をコントロールし、水の加熱温度を調整可能とした請求項1記載の洗浄用スプレーガン。
【請求項3】
上記加熱器をポンプに平行して取付けた請求項1、又は請求項2記載の洗浄用スプレーガン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−72954(P2011−72954A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229326(P2009−229326)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(592201863)
【Fターム(参考)】