説明

洗浄用組成物とその製造方法

【課題】 製造時の組成物の粘性を低くして生産性の向上と共に長期的な貯蔵安定性を図ることができ、また、使用時には皮膚表面を傷つける虞れのないシラスバルーン配合の洗浄用組成物を提供する。
【解決手段】 脂肪酸系石けんを主成分としてこの成分に界面活性剤や保湿剤、増粘剤等の成分を添加してなる洗浄用化粧料の成分に粒径が75μm以下で、且つ、吸水率が70%以下のシラスバルーンを6〜10重量%、添加することにより、製造時の粘性が高くなり難くして、チューブ等への充填性、生産性を向上させると共に貯蔵安定性を図ると共に使用時にはシラスバルーンにより皮膚表面を傷つけることなく洗浄効果の高い洗浄用組成物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラス原石を焼成発泡させることによって得られたシラスバルーンを添加剤として配合してなる洗浄用組成物とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シラスは洗浄効果を有するばかりでなく、遠赤外線やマイナスイオンを発生して皮膚細胞を活性化し、美肌効果も奏するため、シラス粉末等に加工し、化粧料添加剤として使用することが行われている。例えば、特許文献1には、シラス原石を粗砕することによって得られたシラス粉末をふるい分けして整粒したのち、加熱処理して含水率を調整し、次いで、ジョークラッシャやハンマーミル等によって自生摩砕処理を行うことによりシラス加工微粉末を得ることが記載されており、このシラス加工微粉末を化粧料添加剤として使用すれば、摩砕処理によって微粉末の表面が滑らかさに加工されているため、上記洗浄効果や美肌効果と共に皮膚を傷つける虞れのない化粧料組成物を提供し得ることが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、シラスや黒曜石、真珠岩等の火山噴出物の粉末を焼成処理することによって得られた発泡体を高分子化合物水溶液に添加してクリーム状の化粧品組成物を製造することが記載されており、添加した発泡体によって皮膚の刺激感が少ないにもかかわらず、古い角質や皮膚の汚れを効率良く除去できる洗浄力に優れた高機能の化粧品組成物を提供できることが記載されている。さらに、シラス発泡体であるシラスバルーンにおいては、洗浄効果と共に遠赤外線やマイナスイオンによる効果も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−186468号公報
【特許文献2】特開2008−001671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、化粧料の組成物に添加剤としてシラス発泡剤を配合して化粧料を製造する過程において、シラス発泡剤の吸水性により化粧料組成物の粘性が高くなって生産性が低下する虞れがあるが、従来の化粧料製造方法においてはシラス発泡剤の吸水性については十分に考慮されておらず、そのため、吸水率の高いシラス発泡剤を化粧料組成物に添加すると、化粧料組成物の粘性が高くなってチューブなどの容器に充填し難くなり、上述したように生産性が低下するといった問題点があった。さらに、化粧料組成物の製造後においても、比較的短期間で成分が分離し始めることがあり、化粧料組成物の貯蔵安定性が低下するといった問題点があった。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされてもので、その目的とするところは、製造時の組成物の粘性が高くならず、長期的な貯蔵安定性を確保して生産性がよく、また、皮膚表面を傷つける虞れのないシラスバルーン配合の洗浄用組成物とその製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の洗浄用組成物は、請求項1に記載したように、脂肪酸系石けんを主成分とするクリーム状の洗浄用組成物であって、粒径が75μm以下で、且つ、吸水率が70%以下のシラスバルーンを6〜10重量%添加していることを特徴とする。
【0008】
このように構成した洗浄用組成物において、請求項2に係る発明は、組成物に添加するシラスバルーンの粒径が20μm〜45μmであることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、上記洗浄用組成物の製造方法であって、シラス原石の構造水を3〜6%に調整した後に焼成発泡させることによって得られたシラスバルーンを粒径が20μm〜75μmになるよう分級選別し、このシラスバルーンを洗浄用化粧料の成分に添加混合して形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の洗浄用組成物によれば、請求項1に記載したように、脂肪酸系石けんを主成分とする洗浄用化粧料の成分に、粒径が75μm以下で、かつ、吸水率が70%以下のシラスバルーンを6〜10重量%添加しているので、洗浄用組成物の製造時の粘性が高くなり難くて貯蔵安定性が向上し、使用時には皮膚を傷つける虞れもなくて安全性においても効果があり、しかも洗浄効果も高い洗浄用組成物を得ることができる。
【0011】
さらに、請求項2に係る発明によれば、洗浄用化粧料の成分に添加するシラスバルーンとして、粒子径が20〜45μmの細かい分級品を使用しているので、粒子径が45μmよりも大きいシラスバルーンが除去されていることから、組成物の性状が滑らかとなって使用感に優れ、また、粒子径が20μm以下の大きいシラスバルーンにおいては、発泡が未熟なものが多く、且つ、バルーンの形状が不完全で表面が粗いが、このようなシラスバルーンが除去されていることから、皮膚表面を傷つけ難い洗浄用組成物を提供することができる。
【0012】
また、本発明洗浄用組成物の製造方法によれば、まず、シラス原石の構造水を3〜6%に調整した後に焼成発泡させて得たシラスバルーンを粒径が20μm〜75μm、好ましくは20μm〜45μmになるよう分級選別するものであるから、粒径が20μm〜75μm、好ましくは20μm〜45μmで、且つ、吸水率が70%以下のシラスバルーンを生産性よく得ることができ、こうして得られたシラスバルーンを洗浄用化粧料の成分に添加混合するので、洗浄用化粧料の成分に分散性よく配合混合することができると共に吸水性が低いために得られた洗浄用組成物の粘性が非常に安定し、従って、生産性が向上するばかりでなく、チューブ等に充填する際も粘性が上がらないために充填装置の機械的負荷が少なくてすむといった利点を有する。また、貯蔵安定性も高く、且つ、洗浄効果が高くて皮膚表面を傷つけにくい洗浄用組成物を生産性よく得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の具体的な実施の形態を詳述すると、脂肪酸系石けんを洗浄用化粧料の主成分とし、この洗浄用化粧料の成分にシラスバルーンを添加してなる洗浄用組成物を得るに際して、シラスバルーンとして、火山噴出物(火山灰原石)であるシラスを700〜1000℃程度で数秒間焼成発泡させることによって得られたシラスバルーンを使用する。この場合、シラスの焼成条件にもよるが、粒径は数μm〜100μm程度のシラスバルーンが得られる。なお、1000℃以上で焼成すると、シラスバルーンの発泡倍率が大きくなって70μm以下のものが少なくなり、生産性がよくない。
【0014】
シラスを焼成するにあたって、予め、シラスの構造水を調整しておくと、発泡倍率や発泡形状が安定するので、安定した吸水率のシラスバルーンが生産性よく得られる。特に、構造水を3〜6%に調整しておくと、粒径が75μm以下のシラスバルーンであれば吸水率70%以下のものを得ることができる。
【0015】
洗浄用化粧料の成分に添加するシラスバルーンの粒径としては75μm以下がよい。シラスバルーンの粒径が75μmを超えると、このシラスバルーンを添加している洗浄用組成物を使用した場合、素肌へのザラツキ等が発生しやすくて使用感が低下するのは勿論、破泡品やピンホールを有しやすくなり、吸水率の高いシラスバルーンが多くなる。吸水率が70%を超えるような吸水率の高いシラスバルーンを用いて洗浄用組成物を製造した場合には、得られた洗浄用組成物の粘性が増大して貯蔵安定性が低下する。
【0016】
従って、シラスバルーンの粒径としては、75μm以下、特に、20〜45μmの粒径に分級選別されてなるシラスバルーンを使用することが好ましい。このように、シラスバルーンの粒径が揃うことによって洗浄用組成物の製造時に洗浄用化粧料の成分に混練しやすいだけでなく分散もしやすいので祖先物の成分が均一になりやすい。なお、粒径が20μmよりも小さいシラスバルーンは、表面がギザギザで角張ってザラツキのあるものが多く、発泡状態が良好でないものが多いため、使用時に皮膚表面を細かく傷つける虞れが高くなるので好ましくない。
【0017】
一方、粒径が45μmよりも大きいシラスバルーンは、破泡したり、表面に微細なピンホールやスリット等が発生しやすく、発泡状態で良好でないものが多いため、吸水率が高いものが多く含まれやすくなって、洗浄用組成物の生産性や貯蔵安定性が低下することとなる。なお、シラスバルーンの分級選別方法は振動篩、ミクロンセパレータ等のエアー分級等各種方法を採用することできる。
【0018】
さらに、洗浄用組成物における洗浄用化粧料の成分に添加するシラスバルーンの添加料としては6〜10重量%であることが必要である。シラスバルーンの添加料が6重量%よりも少ないと、添加による高い洗浄効果、即ち、シラスバルーンが有する汚れの吸着性能の発揮が得られにくくなるからであり、10重量%を超えると、水分や洗浄用化粧料の成分等がシラスバルーンの内部に多く入り込みやすくなって、洗浄用組成物を得るための混合成分の粘性が増加して製造し難くなるとともに、必要以上の水分を添加しなければならために生産性が低下することになり、その上、洗浄用組成物を得た後においてもシラスバルーン内部の水分が経時変化により放出されやすいことになって貯蔵安定性が低下する。また、石けんの特性である泡の保持力が低下し、使用感が損なわれることとなる。そしてこのような高い洗浄性と使用感を保持しつつ、生産性のよい添加量である6−10重量%を達成するには、吸水率が70%を超えると困難になる。そのため、吸水率は70%以下、好ましくは64%以下であることが必要である。
【0019】
本発明の洗浄用組成物とは、主成分が脂肪酸ナトリウムあるいは脂肪酸カリウムである石けんであり、クリーム状の洗顔用化粧料、手指用化粧料、ボディソープなどである。クリーム状の石けん素地としては、通常は脂肪酸カリウム石けんを用いるが、クリーム状であれば脂肪酸ナトリウム石けんや脂肪酸アルギニン石けんなどの脂肪酸塩基アミノ酸石けんを使用することも可能であり、さらに、必要に応じて通常の化粧料で使用される成分を任意に上記主成分に添加して化粧料成分とすることができる。例えば、蔗糖脂肪酸エステルなどの非イオン系界面活性剤、高級脂肪酸塩などのアニオン系界面活性剤、カルボキシベタインなどの両性界面活性剤、オレイン酸やステアリン酸などの脂肪酸、オレイルアルコールやセタノールなどの高級アルコール類、オリーブ油や牛脂などのトリグリセライド類、ワセリンやスクワランなどの炭化水素類、ゲイロウやホホバ油などのエステル類、グリセリンなどの保湿剤、エタノールなどの増粘剤、防腐剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、色素、香料などの成分を添加する。
【0020】
上記脂肪酸系石けんを主成分とし、必要に応じて上記界面活性剤や保湿剤等の成分を添加してなる洗浄用化粧料の成分(原料)の中に、先の製造方法で得られたシラスバルーンを添加して、混合・混練することによりクリーム状(半固形状或いは液体状)の洗浄用組成物を得る。なお、上記脂肪酸系石けんを得るには鹸化や中和などの一般的製法で構わない。例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミスチン酸、セタノール、ラノリン、グリセリン及び防腐剤を適量混合して80〜90℃に加温したものを油相とし、別途、水酸化カリウム、シラスバルーン、精製水を適量混合して80〜90℃に加温したものを水相とし、上記油相にこの水相を添加し攪拌混合して、ゆっくり冷却することによって洗浄用組成物を形成することができる。次に、本発明の具体的な実施例と比較例を示す。
【0021】
〔実施例1〕
平均粒径が20μmのシラス原石を200℃のドライヤーで構造水が4.5%となるように調整した後、730℃の炉で焼成発泡させることによってシラスバルーンを得た。このシラスバルーンを目開き45μmの篩にかけて45μmを超える大径のシラスバルーンを除いた。こうして得られたシラスバルーンの吸水率は50%であった。このシラスバルーンを表1に示す油相と、シラスバルーン以外の水相とからなる洗浄用化粧料の成分に、10重量%添加して混合攪拌することにより洗浄用組成物を得た。こうして得られた洗浄用組成物は粘度上昇もなく良好な性状を呈していた。また、この洗浄用組成物を別途貯蔵安定性試験をしたところ、硬さ変化や水分離などの性状変化が見られなかった。
【0022】
〔実施例2〕
実施例1と同様に、平均粒径が20μmのシラス原石をドライヤーで構造水が4.5%となるように調整した後、730℃の炉で焼成発泡させることによってシラスバルーンを得た。このシラスバルーンを目開き45μmの篩にかけて45μmを超える大径のシラスバルーンを除いた。こうして得られたシラスバルーンの吸水率は50%であった。このシラスバルーンを表1に示す油相と、シラスバルーン以外の水相とからなる洗浄用化粧料の成分に、6重量%添加して混合攪拌することにより洗浄用組成物を得た。こうして得られた洗浄用組成物は粘度上昇もなく良好な性状を呈していた。また、この洗浄用組成物を別途貯蔵安定性試験をしたところ、硬さ変化や水分離などの性状変化が見られなかった。
【0023】
〔実施例3〕
実施例1と同様に、平均粒径が20μmのシラス原石をドライヤーで構造水が4.5%となるように調整した後、760℃の炉で焼成発泡させることによってシラスバルーンを得た。このシラスバルーンを目開き45μmの篩にかけて45μmを超える大径のシラスバルーンを除いた。こうして得られたシラスバルーンの吸水率は64%であった。このシラスバルーンを表1に示す油相と、シラスバルーン以外の水相とからなる洗浄用化粧料の成分に、10重量%添加して混合攪拌することにより洗浄用組成物を得た。こうして得られた洗浄用組成物は粘度上昇もなく良好な性状を呈していた。また、この洗浄用組成物を別途貯蔵安定性試験をしたところ、硬さ変化や水分離などの性状変化が見られなかった。
【0024】
〔実施例4〕
実施例1と同様に、平均粒径が20μmのシラス原石をドライヤーで構造水が4.5%となるように調整した後、730℃の炉で焼成発泡させることによってシラスバルーンを得た。このシラスバルーンを目開き45μmの篩にかけて45μmを超える大径のシラスバルーンを除いた。その後、さらに目開き20μmの篩にかけて20μm以下の小径のシラスバルーンを除いた。こうして得られたシラスバルーンの吸水率は38%であった。このシラスバルーンを表1に示す油相と、シラスバルーン以外の水相とからなる洗浄用化粧料の成分に、10重量%添加して混合攪拌することにより洗浄用組成物を得た。こうして得られた洗浄用組成物は粘度上昇もなく良好な性状を呈していた。また、この洗浄用組成物を別途貯蔵安定性試験をしたところ、硬さ変化や水分離などの性状変化が見られなかった。
【0025】
〔実施例5〕
実施例1と同様に、平均粒径が20μmのシラス原石をドライヤーで構造水が4.5%となるように調整した後、730℃の炉で焼成発泡させることによってシラスバルーンを得た。このシラスバルーンを目開き45μmの篩にかけて45μmを超える大径のシラスバルーンを除いた。その後、実施例4と同様にさらに目開き20μmの篩にかけて20μm以下の小径のシラスバルーンを除いた。こうして得られたシラスバルーンの吸水率は38%であった。このシラスバルーンを表1に示す油相と、シラスバルーン以外の水相とからなる洗浄用化粧料の成分に、6重量%添加して混合攪拌することにより洗浄用組成物を得た。こうして得られた洗浄用組成物は粘度上昇もなく良好な性状を呈していた。また、この洗浄用組成物を別途貯蔵安定性試験をしたところ、硬さ変化や水分離などの性状変化が見られなかった。
【0026】
〔実施例6〕
実施例1と同様に、平均粒径が20μmのシラス原石をドライヤーで構造水が4.5%となるように調整した後、760℃の炉で焼成発泡させることによってシラスバルーンを得た。このシラスバルーンを目開き45μmの篩にかけて45μmを超える大径のシラスバルーンを除いた。こうして得られたシラスバルーンの吸水率は64%であった。このシラスバルーンを表1に示す油相と、シラスバルーン以外の水相とからなる洗浄用化粧料の成分に、6重量%添加して混合攪拌することにより洗浄用組成物を得た。こうして得られた洗浄用組成物は粘度上昇もなく良好な性状を呈していた。また、この洗浄用組成物を別途貯蔵安定性試験をしたところ、硬さ変化や水分離などの性状変化が見られなかった。
【0027】
〔比較例1〕
平均粒径が20μmのシラス原石をドライヤーで構造水が7.5%となるように調整した後、730℃の炉で焼成発泡させることによってシラスバルーンを得た。このシラスバルーンを目開き63μmの篩にかけて63μmを超える大径のシラスバルーンを除いた。こうして得られたシラスバルーンの吸水率は141%であった。このシラスバルーンを表1に示す油相と、シラスバルーン以外の水相とからなる洗浄用化粧料の成分に10重量%添加して混合攪拌することにより洗浄用組成物を得たところ粘度上昇が生じた。また、この洗浄用組成物を別途貯蔵安定性試験をしたところ、硬さ変化や水分離などの性状変化が生じた。
【0028】
〔比較例2〕
平均粒径が20μmのシラス原石をドライヤーで構造水が7.5%となるように調整した後、730℃の炉で焼成発泡させることによってシラスバルーンを得た。このシラスバルーンを目開き63μmの篩にかけて63μmを超える大径のシラスバルーンを除いた。こうして得られたシラスバルーンの吸水率は141%であった。このシラスバルーンを表1に示す油相と、シラスバルーン以外の水相とからなる洗浄用化粧料の成分に5重量%添加して混合攪拌することにより洗浄用組成物を得たところ粘度上昇が生じた。また、この洗浄用組成物を別途貯蔵安定性試験をしたところ、硬さ変化や水分離などの性状変化が生じた。
【0029】
〔比較例3〕
平均粒径が20μmのシラス原石をドライヤーで構造水が7.5%となるように調整した後、670℃の炉で焼成発泡させることによってシラスバルーンを得た。このシラスバルーンを目開き63μmの篩にかけて63μmを超える大径のシラスバルーンを除いた。こうして得られたシラスバルーンの吸水率は78%であった。このシラスバルーンを表1に示す油相と、シラスバルーン以外の水相とからなる洗浄用化粧料の成分に10重量%添加して混合攪拌することにより洗浄用組成物を得たところ粘度上昇が生じた。また、この洗浄用組成物を別途貯蔵安定性試験をしたところ、硬さ変化や水分離などの性状変化が生じた。
【0030】
なお、上記実施例1〜6及び比較例1〜3において、別途貯蔵安定性試験とは、洗浄用組成物を40℃の恒温室内で密閉容器に入れて3カ月静置後、観察を行う試験をいう。
【0031】
【表1】

【0032】
上記実施例1〜6と比較例1〜3とにおけるシラスバルーンの構造水、焼成温度、吸水率、添加量、篩の目開きを表2に示す。
【0033】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸系石けんを主成分とするクリーム状の洗浄用組成物であって、粒径が75μm以下で、かつ、吸水率が70%以下のシラスバルーンを6〜10重量%添加していることを特徴とする洗浄用組成物。
【請求項2】
シラスバルーンは、粒径が20μm〜45μmであることを特徴とする請求項1に記載の洗浄用組成物。
【請求項3】
シラス原石の構造水を3〜6%に調整した後に焼成発泡させて得たシラスバルーンを粒径が20μm〜75μmになるよう分級選別し、これを洗浄用化粧料の成分に添加混合して形成することを特徴とする洗浄用組成物の製造方法。

【公開番号】特開2012−206951(P2012−206951A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72043(P2011−72043)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】