説明

洗浄組成物用の速乾性両性ポリマー

本特許請求の範囲は、良好な残留物洗浄性だけではなく、とりわけ速乾性を洗浄組成物に付与する特定の両性ポリマーを含有する硬質表面洗浄剤組成物および硬質表面処理剤組成物を包含する。ポリマーは、例えば、ジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、アニオン性モノマー、およびN,Nジ−C1−C8アルキル(メタ)アクリルアミドから形成されるターポリマーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年3月20日に出願された仮特許出願第61/210,635号の利益を主張するものであり、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書における考察は、良好な残留物洗浄性だけではなく、とりわけ速乾性を洗浄組成物に付与する特定の両性ポリマーを含有する硬質表面洗浄剤組成物に関する。ポリマーは、ジアリルジアルキルアンモニウムクロリド(メタ)アクリル酸およびNアルキル置換アクリルアミドから形成されるターポリマーである。
【背景技術】
【0003】
種々の両性ポリマーを、洗浄製剤、具体的には硬質表面洗浄製剤に組み込むことは周知である。ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)およびアクリル酸のコポリマー等の両性ポリマーは、硬質表面洗浄剤に多数の利益を付与することで知られている。これまでに列挙された利益の中には、例えば、両性ポリマーが硬質表面に親水性を付与する能力が挙げられる。表面に付与された親水性は、水滴の発生を減少させ、防曇性、耐汚染性、および/または耐傷性を付与することが分かっている。これらの親水性の高い両性ポリマーはまた、洗浄組成物を塗布した表面が乾燥する時間を短縮するという、いくらかの利点を提供することが分かっている。しかしながら、乾燥時間が十分に迅速であり、好適な親水性を提供することが可能な新規ポリマーの必要性が依然として存在する。
【0004】
本明細書に開示される両性ターポリマーは、まさにそのような必要性を満足させる。本発明は、硬質表面洗浄剤中に配合されると、頑固な水垢、石鹸カス、泥、食物、洗面所の染み、油、グリース、微粒子等の表面の汚れに対して残留物洗浄効果を提供する水溶性ポリマーを発見した。しかし、最も重要かつ意外なのは、このターポリマーはまた、洗浄後の表面により高い速乾効果も提供し、垂直面からの迅速な水切れを可能にすることである。この速乾効果は、適度に疎水性のモノマーをポリマーに組み込むことによって提供され、洗浄後の処理表面に非親水性の挙動をもたらす。従来技術において、このクラスの他のポリマーは、1)水膜の広がり、ならびに水切れおよび乾燥の遅延をもたらす高親水性の表面改質か、または2)速乾性はもたらすが、残留物洗浄効果はもたらさない疎水性の表面改質のいずれかを提供するため、より容易な洗浄とより高い速乾効果の組み合わせは新規である。
【0005】
上述したように、洗浄製剤に種々の両性ポリマーを組み込むことは既知である。
【0006】
例えば、欧州特許第835925号等の種々の刊行物が、洗浄組成物中のジアリルジメチルアンモニウムクロリドおよびアクリル酸のコポリマーについて教示している。
【0007】
多数の発行済みの特許および出願が、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、酸性の酸およびアクリルアミドから形成されるターポリマーについて記載している。これらの特許出願および発行済み特許は、PCT特許出願第97/45510号、07/068870号、および国際特許第2007068939号、欧州特許第0522756号、特願第1997−169995号、米国特許第5,981,456号、第6,664,218号、同第6,593,288号、同第6,767,410号、同第6,924,260号、同第6,924,260号、同第6,905,814号、および米国特許出願公開第2004/0013638号、同第2006/0270579号、同第2007/0213251号、同第2007/0105737号を含む。
【0008】
2008年6月30日に出願された同時係属中の仮出願第61/133,460号(参照により本明細書に組みこまれる)は、防曇性を有する両性コポリマーを開示している。2005年11月28日に出願された同時係属中の米国特許出願第11/792,031号(参照により、全体が本明細書に組みこまれる)は、硬質表面洗浄剤において有用な疎水性に改質されたカチオン性ポリマーを開示している。
【0009】
従来技術に記載されるポリマーは、処理表面に親水性の表面改質を提供することによって、より容易に洗浄する効果を提供する。この種の改質は、表面から水気が切れるのに時間がかかる均一な水膜を発生するという短所を有する。その結果、これらのポリマーは、処理表面が乾燥するために必要な時間を増加させる可能性がある。対照的に、本発明は、迅速な水切れを可能にする一方で、改善された汚れ除去のためのより容易に洗浄する効果を提供する、適度に非親水性の表面を提供する。
【発明の概要】
【0010】
ターポリマーを含む硬質表面洗浄剤であって、ターポリマーは、
a)式(I)
【0011】
【化1】

によって表されるカチオン性モノマーであって、
式中、R1およびR4は、互いに独立して、水素原子または直鎖状もしくは分岐状のC1−C6アルキル基を表し、R2およびR3は、互いに独立して、アルキル、ヒドロキシアルキル基(アルキル基は、直鎖状または分岐状のC1−C6鎖である)を表し、
nおよびmは、1〜3の整数であり、
-は、対イオンを表す、カチオン性モノマーと、
b)C3−C8カルボン酸、スルホン酸、硫酸、ホスホン酸、またはリン酸、それらの無水物および塩からなるモノマーの群から選択される、アニオン性モノマーと、
c)式(II)
【0012】
【化2】

によって説明される置換(メタ)アクリルアミドであって、
1は、水素またはメチルであり、
2は、水素またはC1−C2アルキルであり、
3およびR4は、独立して、C1−C8アルキルである、置換(メタ)アクリルアミドと、
d)任意で、架橋剤と、から形成される、硬質表面洗浄剤。
【0013】
本発明はまた、液体洗浄組成物の、好ましくは垂直面上の、乾燥時間を短縮するための方法であって、洗浄組成物は、効果的な量の水溶性または水分散性ポリマーを含み、ポリマーは、上記のように、構成成分a)、b)、c)、および任意でd)から形成される洗浄組成物を提供するステップを含む、方法も包含する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
別途記載の無い限り、全ての百分率は重量に基づくものとする。
【0015】
用語(メタ)アクリルは、アクリルおよびメタクリル誘導体の両方を包含する。
【0016】
本発明の目的において、硬質表面洗浄剤は、セラミック、石、レンガ、ガラス、プラスチック、木材、ラミネート、金属、ビニール、複合材料等の、家庭内または商業施設内に見られる多様な硬質表面のうちのいずれかに対する一般的な洗浄手順において使用される洗浄製剤を意味する。
【0017】
最も好ましい硬質表面は、ガラスおよびセラミックを含む親水性表面である。
【0018】
用語「モノマー」は、重合の前に少なくともモノエチレン性不飽和を有する化合物を指して使用される。
【0019】
モノマーが重合してポリマーの一部になったあと、そのモノマーは「モノマー単位」と称される。
【0020】
用語「ポリマー」は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、および3つより多くの異なるモノマー単位を含むポリマーを含む。
【0021】
用語「ターポリマー」は、少なくとも3つの異なるモノマー種から形成されるポリマーを含む。
【0022】
ポリマーの詳細な説明
【0023】
モノマーa)
【0024】
【化3】

式中、R1およびR4は、互いに独立して、水素原子または直鎖状もしくは分岐状のC1−C6アルキル基を表し、R2およびR3は、互いに独立して、アルキル、ヒドロキシアルキル基(アルキル基は、直鎖状または分岐状のC1−C6鎖である)を表し、
nおよびmは、1、2、または3の整数であり、
-は対イオンを表す。
【0025】
1−C6アルキルは、例えば、分岐状または非分岐状のラジカルC1−C2、C1−C4アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、およびn−ヘキシルである。
【0026】
好ましくは、R3およびR4は、C1−C4アルキルまたはC1−C2アルキルであり、R1およびR2は、好ましくは水素である。
【0027】
ヒドロキシアルキルは、同様にC1−C6アルキルとして定義されるが、アルキルラジカルが分岐状または非分岐状であってもよく、さらに1、2、または3個のヒドロキシラジカルによって置換されてもよい。例えば、ヒドロキシル置換アルキルは、CH2OH、−CH2CH2OH、−CH2(OH)CH2CH2OH、−CH2CH2CH(CH3)CH2OH、および−CH2CH2(OH)CH3であってもよい。
【0028】
対イオンXは、フッ化物、塩化物、臭化物およびヨウ化物、硫酸またはリン酸を含むハロゲン等の、実質的にいずれの対イオンであってもよい。
【0029】
最も典型的には、式(I)によって表されるモノマーは、例えば、ジアリルジアルキルアンモニウムモノマーである。
【0030】
これらの一般的に使用可能な式(I)のモノマーは、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ジアリルジメチルアンモニウムサルフェート、ジアリルジメチルアンモニウムホスフェート、ジメチルアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジエチルアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジ(β−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド、およびジアリルジエチルアンモニウムクロリドを含む。
【0031】
モノマーb)は、アニオン性C3−C8カルボン酸、スルホン酸、硫酸、ホスホン酸、またはリン酸、それらの無水物および塩である。
【0032】
モノマーb)は、典型的には、少なくともモノエチレン性不飽和を含む。
【0033】
3−C8カルボン酸の酸性または無水物モノマーの例として、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、ジメチルアクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、メチレンマロン酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、スチリルアクリル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、フェニルアクリル酸、シトラコン酸、ビニル安息香酸、およびメサコン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
モノマーを含有するスルホン酸および硫酸は、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、エチレンスルホン酸、ビニル硫酸、4−ビニルフェニル硫酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、および2−プロペン−1−スルホン酸を含むが、これらに限定されない。
【0035】
モノマーを含有するホスホン酸またはリン酸は、エチレンホスホン酸、ビニルリン酸、ジビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、メタリルホスホン酸、メタクリルアミドメタンホスホン酸、2−アリールアミノ−2−メチルプロパンホスホン酸、3−ホスホノプロピルアクリレート、および3−ホスホノプロピルメタクリレートを含むが、これらに限定されない。
【0036】
最も典型的には、酸性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、およb2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。本発明において有用なコポリマーは、上記酸性モノマーを塩または遊離酸のいずれかの形態で含有することができる。塩は、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、およびアンモニウム塩であってもよい。
【0037】
モノマーc)は、式(II)
【0038】
【化4】

によって表され、式中、
1は、水素またはメチルであり、
2は、水素またはC1−C2アルキルであり、
3およびR4は、独立して、直鎖状または分岐状のC1−C8アルキルである。
【0039】
1−C8アルキルは、例えば、分岐状または非分岐状ラジカルC1−C2、C1−C4、C1−C6アルキルであり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、n−オクチル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、および2−エチルヘキシルである。
【0040】
好ましくは、R3およびR4は、独立して直鎖状C1−C4アルキルまたはC1−C2アルキルである。
【0041】
代表的な置換(メタ)アクリルアミドは、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミドおよびN,N−プロピルブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジペンチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルペンチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルペンチル(メタ)アクリルアミド、N,N−プロピルペンチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ブチルペンチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−プロピルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ブチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ペンチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N−プロピルヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ブチルヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ペンチルヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−プロピルオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ブチルオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ペンチルオクチル(メタ)アクリルアミド、およびN,N−ヘプチルオクチル(メタ)アクリルアミド等の、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド誘導体である。
【0042】
モノマーa)、b)、c)、および任意でd)から形成されるポリマーはまた、非イオン性モノマーから選択される追加のモノマーe)を含有してもよい。
【0043】
例えば、任意の非イオン性構成成分e)は、(メタ)アクリルアミド、分岐状または非分岐状のC1−C6アルキル(メタ)アクリレートエステル、ヒドロキシル置換C1−C6アルキル(メタ)アクリレートエステル、N−メチルアクリルアミド、アクリル酸およびメタクリル酸のポリC2−C3アルコキシ化エステル、具体的には(メタ)アクリレートのポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールエステルであってもよい。想定されるさらなる非イオン性構成成分は、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、および4−ビニルピリジンである。
【0044】
ビニルアセテートモノマー単位は、加水分解されてビニルアルコールを生じてもよい。
【0045】
構成成分e)の任意の非イオン性モノマーは、好ましくは水溶性である。
【0046】
本発明の目的のための水溶性モノマーとは、モノマーの少なくとも1、2、または3重量%が水中(20℃)に溶解することを意味する。
【0047】
したがって、例えば、a)、b)、c)、ならびに任意でd)およびe)から形成されるポリマーは、例えば、以下の式(III)または(IV)を有してもよい。
【0048】
【化5】

【0049】
【化6】

式中、a、b、c、d、およびeは、各モノマー単位のモル比、または形成される全ポリマーの重量%を表す。
*は、例えば、触媒断片等の末端基か、またはエンドキャップ基であってもよい。
【0050】
構成成分a)、b)、c)、ならびに任意の構成成分d)およびe)の重量比
【0051】
構成成分a)のモノマーは、形成される全ポリマーの少なくとも約0.5〜約40、約1〜約35、約2〜約30、約5〜25重量%を構成してもよい。典型的には、構成成分a)は、最低量約2、4、6、8、10、12、14または16重量%の構成成分a)、最大約10、20、30または40重量%を含有する。
【0052】
構成成分b)のモノマーは、全ポリマーの少なくとも約0.1〜約20、約0.5〜約15、約0.7〜約12、約1〜約8重量%を構成してもよい。最も典型的には、アニオン性の構成成分b)は、形成されるポリマーの全重量の最低約2、3、または4重量パーセントであり、最大約5、10、15、または20重量%である。
【0053】
構成成分c)の重量比はいずれの量であってもよい。しかしながら、最も典型的には、モノマーc)は、形成されるポリマーの全重量の約15〜約95を重量パーセント構成する。例えば、構成成分c)は、形成されるポリマーの全重量の約20〜約90、約30〜約90、または約35〜約85重量%であってもよい。
【0054】
構成成分モノマーc)は、非イオン性であり、適度に疎水性である。したがって、アミド官能基(R3およびR4)上のアルキル基のうちのいずれか1つは、典型的には、C8アルキル、好ましくはC6アルキル、最も好ましくはC4アルキル、または特にC2アルキルを超えない。
【0055】
典型的には、構成成分c)の重量は、形成されるポリマーの少なくとも約30、35、40、45、50重量%であり、構成成分c)のモノマーの最大量は、形成されるポリマーの約80、85、90、または95重量%である。
【0056】
モノマーa)およびb)の重量の和は、形成されるターポリマーの全重量の約60〜約4重量%の範囲である。例えば、モノマーa)およびb)の和は、形成されるターポリマーの全重量の約60〜約8、約55〜約10、約50〜約15、または約45〜約20であってもよい。典型的には、モノマーa)およびb)の重量パーセントは、約60重量%未満であるか、または約50重量パーセント未満であり、最低少なくとも約15、20、25、30、35、または40重量パーセントである。
【0057】
モノマーa)対モノマーb)のモル比は、1:10〜10:1であってもよい。例えば、モノマーa)対モノマーb)のモル比は、約1:5〜約5:1、約1:4〜約4:1、約1:3〜約3:1、および約1:2〜約2:1である。典型的には、モノマーa)対モノマーb)のモル比は、約2:1〜約1.1:1である。
【0058】
モノマーb)のモル量は、例えば、モノマーa)のモル量を下回るかまたは上回る。例えば、a)対b)のモル比は、1.1:1〜5:1、1.1:1〜4:1、より典型的には1.1:1〜3:1、または1.1:1〜2:1の範囲である。
【0059】
代替として、例えば、a)対b)のモル比は、1:1.1〜1:5、1:1.1〜1:4、より典型的には1:1.1〜1:3、または1:1.1〜1:2の範囲である。
【0060】
a)対b)のモル比を調べる別の方法は、ターポリマーの正味電荷を測定することである。例えば、ターポリマー上のカチオン性の正味電荷は、例えば、約−0.10〜約1.5、約0.0〜約1.5、約0.1〜約0.8、または約0.1〜約0.5meq/gの範囲であってもよい。
【0061】
構成成分a)とb)の間のモル関係を表す別の方法は、構成成分a)が、例えば、ターポリマーに組み込まれる構成成分b)のモル量を少なくとも10%超えることである。代替として、構成成分b)が、例えば、ターポリマーに組み込まれる構成成分a)のモル量を10%または15%以下で超える。
【0062】
本発明のターポリマーは、架橋剤d)を任意で含有してもよい。架橋しているとは、ターポリマーが、(構成成分a)のモノマー以外の)多数のエチレン不飽和を有するコモノマーをさらに含有してもよいことを意味する。
【0063】
ポリマーは、架橋または非架橋であってもよい。
【0064】
典型的な架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド(MBA);チレンビスメタクリルアミド;不飽和モノカルボン酸およびポリカルボン酸とポリオールとのエステル、ジアクリレートおよびトリアクリレート、ジメタクリレートおよびトリメタクリレート、ブタンジオールおよびエチレングリコールジアクリレートおよびメタクリレート、ジエエチレングリコールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、テトラアリルアンモニウムクロリド(TAAC)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリトリトールトリアクリレート(PETA)およびトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)である。また、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリル、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン;リン酸のアリルエステル;および/またはビニルホスホン酸誘導体等のアリル化合物も考慮される。
【0065】
架橋剤は、例えば、少なくとも二官能性のエチレン不飽和モノマーであり、全モノマー含有量の20〜10,000ppmの範囲の量で、ターポリマーの形成中に加えられる。例えば、20〜1000ppm、50〜800ppm、または75〜600ppmが想定される。
【0066】
いくつかの特に好ましい架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、メチレンビスメタクリルアミドである。
【0067】
コポリマーの全質量に基づく架橋コモノマーの重量分率は、5%、3%、または2重量%以下であり、より典型的には0.00002〜2重量%であり、最も好ましくは0.00002〜1重量%である。
【0068】
形成されるポリマーは、使用条件においてカチオン性にまたはアニオン性に帯電していてもよい。
【0069】
好ましくは、ポリマーは、カチオン性に帯電している。
【0070】
構成成分e)の任意の非イオン性モノマーは、形成されるポリマーの約30〜約0、約25〜約1、約20〜約2、約10〜約5重量%を構成してもよい。例えば、約30〜約10または約5重量%が想定される。
【0071】
形成されるポリマーは、モノマー構成成分a)、b)、c)および任意でd)が100〜約60重量%である。例えば、形成されるポリマーは、構成成分a)、b)、c)および任意でd)が約60、65、70、75、85、80、90、または約95重量%であってもよい。典型的には、形成されるポリマーは、約60〜100または約70〜約100重量パーセントのa)、b)、c)、および任意でd)を含有する。
【0072】
洗浄製剤に加えられるポリマーは、約10,000〜約10,000,000の平均分子量(Mw)である。例えば、Mwは、約15,000〜約5,000,000、約20,000〜約2,500,000、または約50,000〜約1,250,000である。
【0073】
平均分子量は、PEO標準物質に対するGPCによって測定される。
【0074】
両性ポリマーは、ランダム、ブロック、グラフト、またはグラジエントであってもよい。
【0075】
両性ポリマーは、直鎖状または分岐状であってもよい。
【0076】
ポリマーは、水溶性または水分散性である。本発明のために水溶性であるとは、ポリマーが、25℃で約5、約10、または約15重量%で溶解することを意味する。
【0077】
ポリマーを組み込んだ洗浄製剤の利点
本明細書で請求される硬質表面洗浄剤中のポリマーの利点のうちの1つは、ポリマーが、垂直面が乾燥する時間を短縮することである。理論に束縛されるものではないが、疎水性の表面は、水滴をビーズ状にする。皿が縁部で重ねられる電気式食器洗浄機内のように表面が垂直な場合、水滴は迅速に転落する傾向があり、したがって、迅速な水切れを提供する。表面の疎水性が高いほど、水の接触角度が大きくなり、水切れ特性が迅速になる。
【0078】
洗浄手順の間、製剤中のポリマーが表面上に吸着して、表面が洗浄された後に残る、薄い、目に見えない膜を形成する。後に汚れた際に、その膜が、いずれの新しい汚れの層も表面から容易に除去されるようにする。このようにして、本発明のポリマーは、汚れのより容易な除去をもたらし、また、汚れが表面に付着するのを防止することもできる。
【0079】
本発明の洗浄製剤は、頑固な汚れに対して有意に改善された洗浄性能を提供し、既存の洗浄溶液に容易に組み込まれる。洗浄段階の間にフィルムが表面上に吸着することにより、汚れ放出機構および防汚機構の両方を提供する。また、これらの製剤で処理された表面は、未処理の表面よりも迅速に水切れおよび乾燥する。これらのポリマーを含有する洗浄用製品は、汚れ放出/速乾技術を伴わない既存の製品を上回る有意な消費者利益を提供する。
【0080】
したがって、本発明のポリマーは、食器洗浄機中で、もしくは手洗いによる洗浄を行うために、またはガラスパネル、浴室、シンク、自動車の車体、シャワーの壁、便器、およびガラス−セラミックの皿を洗浄するために、硬質表面洗浄組成物に組み込むことができる。
【0081】
これらの物質のさらなる利点は、カチオン性、アニオン性、または非イオン性のいずれかの界面活性剤を含有する、酸性および塩基性の両方の、多様な洗浄製剤との適合性である。表面洗浄製剤用の他の市販のポリマーは、特定の洗浄製剤の種類に限定されることが多く、一般的に適合するわけではない。
【0082】
本発明は、浴室用洗剤、硬質表面洗浄剤、洗面所の手入れ、食器洗い等の幅広い家事用途において有用性を有し得る。また、これらの物質は、自動車、ボート、庇、室内もしくは屋外用家具、窓、または他の表面を洗浄するためにも有用であり得る。
【0083】
ポリマーを含有する洗浄組成物は、電気式食器洗浄用または手洗い食器洗浄用の組成物中に配合された場合に、特に有用である。
【0084】
本発明のポリマーはまた、硬質表面用の処理剤としても使用することができる。本発明のポリマーが液体媒体中で硬質表面に塗布されると、残留ポリマーが若干疎水性の効果を提供し、硬質表面の乾燥速度の向上がもたらされる。ポリマーはまた、その後の表面の洗浄をより容易にする機能も果たす。
【0085】
洗浄製剤
本発明のポリマーは、ポリマーが溶解するかまたは均一に分散するように、約0.01%〜10%の活性レベルで、例えば0.01%〜5%、約0.1%〜約3%、0.2%〜2%、0.3%〜1.5%のレベルで洗浄製剤に加えられる。
【0086】
ターポリマーの特定の利点のうちの1つは、酸性および塩基性の両方の製剤への組み込みが容易であることである。例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.9および1重量%が、沈殿することなく、塩基性または酸性の製剤に容易に加えられる。
【0087】
洗浄組成物中の任意の構成成分
洗浄製剤は、典型的には、界面活性剤、溶剤、ヒドロトロープ、キレート剤、ビルダー、酸、塩基、増粘剤、香料、防腐剤等を含む洗浄用製品に一般的に見られる種々の構成成分の水溶液である。
【0088】

本発明の組成物は、通常、水と、任意で1つ以上の有機溶剤とを含む、水性液体担体を含む。水は、典型的には、水性担体の約50%〜約100%、例えば約60%〜約98%、約80%〜約96%を占め、任意の溶剤が平衡を形成している。脱イオン水または軟水が好ましい。
【0089】
溶剤
溶剤は、実質的に均一に分散した混合物を形成するように、改良された洗浄組成物中に種々の構成成分を溶解させるために典型的に使用される。溶剤はまた、(i)表面から脂肪または油汚れを浮かせて可溶化するための洗浄剤、(ii)洗浄した表面上に残る残留物を減少させるための残留抑制剤、(iii)洗剤、および/または(iv)消毒剤、殺菌剤、および/または滅菌剤として機能することもできる。
【0090】
溶剤は、使用される場合、洗浄組成物の他の構成成分と事前に混合することができるか、または、使用前に、改良された洗浄組成物に部分的にもしくは完全に加えることができる。溶剤は、水溶性であってもよく、かつ/または、水に分散可能な有機溶剤である。溶剤は、洗浄用途に応じて所望の揮発性を有するように選択することができる。
【0091】
好適な溶剤は、C16アルカノール、C1-6ジオール、アルキレングリコールのC1-10アルキルエーテル、C3-24アルキレングリコールエーテル、ポリアルキレングリコール、単鎖カルボン酸、単鎖エステル、イソパラフィンハイドロカーボン、ミネラルスピリット、アルキル芳香族、テルペン、テルペン誘導体、テルペノイド、テルペノイド誘導体、ホルムアルデヒド、およびピロリドンを含むが、これらに限定されない。アルカノールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、およびヘキサノール、ならびにそれらの異性体を含むが、これらに限定されない。ジオールは、メチレン、エチレン、プロピレン、およびブチレングリコールを含むが、これらに限定されない。アルキレングリコールエーテルは、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルまたはモノプロピルまたはモノブチルエーテル、ジ−またはトリ−ポリプロピレングリコールメチルまたはエチルまたはプロピルまたはブチルエーテル、グリコールエーテルの酢酸エステルおよびプロピオン酸エステルを含むが、これらに限定されない。単鎖カルボン酸は、酢酸、グリコール酸、乳酸、およびプロピオン酸を含むが、これらに限定されない。単鎖エステルは、グリコールアセテート、および環状または直鎖状の揮発性メチルシロキサンを含むが、これらに限定されない。イソパラフィンハイドロカーボン、ミネラルスピリット、アルキル芳香族、テルペノイド、テルペノイド誘導体、テルペン、およびテルペン誘導体等の水不溶性溶剤は、用いるときに水溶性溶剤と混合することができる。
【0092】
界面活性剤
洗浄組成物は、洗浄性能を向上させるため、洗浄組成物を安定させるため、そして洗浄構成成分を乳化するために、有効量の界面活性剤を含んでもよい。従来の非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性イオン性、および/または両性の界面活性剤を用いることができる。好適な界面活性剤は、McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents(1997)、Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,3rd Ed.,Volume 22,pp.332−432(Marcel−Dekker,1983)、およびMcCutcheon’s Soaps and Detergents(N.Amer.1984)に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
したがって、硬質表面洗浄剤は、典型的には、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性、または両性イオン性の界面活性剤を含有する。
【0094】
好適な界面活性剤は、グリコシド、グリコール、エチレンオキシド、ならびにアルキルフェノールおよびアルコールの混合エチレンオキシド/プロピレンオキシド付加物、長鎖アルコールまたは脂肪酸のエチレンオキシドおよび混合エチレンオキシド/プロピレンオキシド付加物、混合エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、脂肪酸および親水性アルコールのエステル、ソルビタンモノオレアート、アルカノールアミド、石鹸、アルキルベンゼンスルホネート、オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、プロピオン酸誘導体、アルコールおよびアルコールエーテルサルフェート、リン酸エステル、アミン、アミンオキシド、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、サルコシネート、スルホアセテート、スルホサクシネート、ココアンホカルボキシグリシネート、イセチオン酸の高級アシルエステルの塩、タウリンまたはメチルタウリンの高級アシル誘導体の塩、フェノールポリエーテルサルフェート、グリシンおよびメチルグリシンの高級アシル誘導体、アルキルアリールポリエーテルアルコール、高級アルキル置換イミダゾリニウムジカルボン酸の塩、タンニン、ナフトスルホネート、モノクロル酢酸、アントラフラビン酸、馬尿酸、アントラニル酸、ナフトエ酸、フタル酸、カルボン酸塩、アクリル酸、リン酸塩、アルキルアミンエトキシレート、エチレンジアミンアルコキシレート、ベタイン、スルホベタイン、ならびにイミダゾリンを含むが、これらに限定されない。
【0095】
ラウリルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、コカミドプロピルベタイン、アルキルポリグリコシド、およびアミンオキシドもまた、界面活性剤として用いることができる。アミンオキシドは、エトキシ化および/またはプロポキシル化されてもよい。ある特定的なアミンオキシドは、アルキルジ(ヒドロキシ低級アルキル)アミンオキシド、アルキルアミドプロピルジ(低級アルキル)アミンオキシド、アルキルジ(低級アルキル)アミンオキシド、および/またはアルキルモルホリンオキシド(アルキル基が、5〜25個の炭素を有し、分岐、非分岐、飽和、および/または不飽和であってもよい)を含むが、これらに限定されない。アミンオキシドの非限定的な例として、ラウリルジメチルアミンオキシドが挙げられるが、これに限定されない。
【0096】
界面活性剤はまた、典型的には6〜22個の炭素を含むアルキル基を有するエトキシ化アルコールを含み、アルキル基は、好ましくは直鎖状だが分岐状であってもよい。さらに、炭素基は、飽和または不飽和であってもよい。好適なエトキシ化アルコールは、Huntsman社のSURFONIC Lシリーズの界面活性剤を含む。フルオロ界面活性剤を界面活性剤として使用することもできる。好適なフルオロ界面活性剤は、エトキシ化非イオン性フルオロ界面活性剤である。好適なエトキシ化非イオン性フルオロ界面活性剤は、DuPont社のZONYL界面活性剤を含む。
【0097】
好適なシリコンベースの界面活性剤も使用することができる。これらは、例えば、Air Products社の界面活性剤SURFYNOLである。
【0098】
カチオン性界面活性剤は、具体的には、式
【0099】
【化7】

のアルキルアンモニウム塩であり、
式中、X-はハロゲン化物を表し、CH3SO4-またはC25SO4-イオンR1およびR2は、同じであるかまたは異なり、C1−C20アルキルラジカルまたはアリールもしくはベンジルラジカルを表し、R3およびR4は、同じであるかまたは異なり、C1−C20アルキルラジカル、アリールもしくはベンジルラジカルまたはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド凝縮物(CH2CH2O)x−−(CH2CHCH3O)y-Hを表し、式中、xおよびyは0〜30の範囲であり、セチルトリメチルアンモニウムブロミドのように決して同時にゼロではない。
【0100】
他の例は、ジステアリルジアンモニウムクロリドおよびジ牛脂ジアンモニウムクロリド;C8−C18の脂肪族アルキルアミン、アミドアルキルアミン、およびアミドアルカノールアミン、ならびにそれらの塩;エトキシ化アミン;アミンオキシド;そしてイミダゾリン等の、少なくとも約16個の炭素原子を有する少なくとも2つの窒素結合アルキル鎖を含有するアルキル四級アンモニウム化合物を含む。
【0101】
典型的に、界面活性剤は、部分的にまたは完全に水に溶解する。用いられる場合、界面活性剤は、洗浄組成物の少なくとも約0.001%、典型的には0.01〜10%を占める。洗浄組成物が濃縮物中に配合される場合、界面活性剤の量は10%を超えてもよい。好ましくは、界面活性剤の含有量は、約0.1〜2%である。
【0102】
抗菌剤
抗菌剤もまた、洗浄組成物に含むことができる。抗菌剤として機能する有用な四級化合物の非限定的な例として、ベンザルコニウムクロリドおよび/または置換塩化ベンザルコニウム、ジ(C6-14)アルキルジ単鎖((C1-4アルキルおよび/またはヒドロキシアルキル)四級アンモニウム塩、N−(3−クロロアリル)ヘキサミニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、メチルベンゼトニウムクロリド、およびセチルピリジニウムクロリドが挙げられる。カチオン性の抗菌活性物質として有用な四級化合物は、好ましくは、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびそれらの混合物からなる群から選択される。ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩、p−クロロフェニルビグアニドを含むが、これらに限定されないビグアニド抗菌活性物質;4−クロロベンズヒドリルビグアニド、クロルヘキシジン(1,1’−ヘキサメチレン−ビス−5−(4−クロロフェニルビグアニド)およびその塩等であるが、これらに限定されないハロゲン化ヘキシジンが特に好ましい。これらの四級化合物、特に、本明細書の好ましい低界面活性剤組成物の殺生効果のための典型的な濃度は、使用組成物の約0.001%〜約0.8%の範囲であり、好ましくは約0.005%〜約0.3%の範囲である。洗浄組成物中のビグアニドおよび/または四級化合物の重量パーセントの範囲は、最も一般的な家庭用および工業用の表面を消毒、殺菌、および/または滅菌するように選択される。
【0103】
非四級殺生物剤もまた、本発明の組成物において有用である。そのような殺生物剤は、アルコール、過酸化物、ホウ酸およびホウ酸塩、塩素化炭化水素、有機金属、ハロゲン放出化合物、水銀化合物、金属塩、松根油、有機硫黄化合物、ヨード化合物、硝酸銀、四級リン酸化合物、ならびにフェノールを含むことができるが、これらに限定されない。
【0104】
好ましい抗菌剤は、酢酸、乳酸、スルファミン酸、およびグリコール酸等の有機酸も含む。
【0105】
防腐剤
防腐剤は、使用される場合、殺カビ薬または静菌薬、メチル、エチルおよびプロピルパラベン、単鎖有機酸(例えば、酢酸、乳酸、および/またはグリコール酸)、ビスグアニジン化合物(例えば、DantogardおよびDantogard Plus、両方ともLonza,Inc.および/またはGlydantより)および/または単鎖アルコール(例えば、エタノールおよび/またはIPA)を含むが、これらに限定されない。
【0106】
静菌薬
殺カビ薬または静菌薬は、Kathon GC、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、KATHON ICP、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、およびそれらのブレンド、ならびにKATHON 886、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(全て、Rohm and Haas Companyより入手可能)、BRONOPOL、2−ブロモ−2−ニトロプロパン1,3ジオール(Boots Company Ltd.)、PROXEL CRL、プロピル−p−ヒドロキシベンゾエート(ICI PLC)、NIPASOL M、o−フェニル−フェノール、Na.sup.+塩(Nipa Laboratories Ltd.)、DOWICIDE A、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(Dow Chemical Co.)、そしてIRGASAN DP 200、2,4,4’−トリクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル(Ciba Corp)を含む殺カビ薬(非イソチアゾロン化合物を含む)を含むが、これらに限定されない。
【0107】
ビルダー/緩衝剤
洗浄組成物は、界面活性剤の効果を増加させるビルダー洗剤を含んでもよい。ビルダー洗剤はまた、洗浄組成物中の柔軟剤および/または封鎖剤ならびに緩衝剤として機能することもできる。多様なビルダー洗剤を使用することができ、それらは、リン酸塩−ケイ酸塩化合物、ゼオライト、アルカリ金属、アンモニウムおよび置換アンモニウムポリアセテート、ニトリロ三酢酸のトリアルカリ塩、カルボン酸塩、ポリカルボン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、ポリリン酸塩、アミノポリカルボン酸塩、ポリヒドロキシスルホン酸塩、およびデンプン誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0108】
ビルダー洗剤はまた、ポリアセテートおよびポリカルボキシレートも含むことができる。ポリアセテートおよびポリカルボキシレート化合物は、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、およびエタノールジグリシンの置換アンモニウム塩、メチルグリシン、二酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ニトリロ三酢酸塩、オキシジコハク酸、イミノジコハク酸、メリト酸、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸およびコポリマー、ベンゼンポリカルボン酸、グルコン酸、スルファミン酸、シュウ酸、リン酸、ホスホン酸、有機ホスホン酸、酢酸、ならびにクエン酸を含むが、これらに限定されない。これらのビルダー洗剤はまた、部分的にまたは完全に水素イオンの形態で存在することもできる。
【0109】
ビルダー剤は、EDTAのナトリウム塩および/またはカリウム塩、ならびに置換アンモニウム塩を含むことができる。置換アンモニウム塩は、メチルアミン、ジメチルアミン、ブチルアミン、ブチレンジアミン、プロピルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、エチレンジアミンテトラ酢酸およびプロパノールアミンのアンモニウム塩を含むが、これらに限定されない。
【0110】
緩衝剤ならびに酸および塩基等のpH調整剤は、使用される場合、有機酸、鉱酸、ケイ酸塩のアルカリ金属およびアルカリ土類塩、メタケイ酸塩、ポリケイ酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、カルバミン酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、三リン酸塩、四リン酸塩、アンモニア、水酸化物、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリエタノールアミン、ならびに2−アミノ−2メチルプロパノールを含むが、これらに限定されない。本発明の組成物のための好ましい緩衝剤は、窒素含有物質である。いくつかの例は、リシン等のアミノ酸またはモノ−、ジ−、およびトリ−エタノールアミンのような低級アルコールアミンである。他の好ましい窒素含有緩衝剤は、トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン(HOCH23CNH3(TRIS)、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパノール、ジナトリウムグルタメート、N−メチルジエタノールアミド、2−ジメチルアミノ−2−メチルプロパノール(DMAMP)、1,3−ビス(メチルアミン)−シクロヘキサン、1,3−ジアミノ−プロパノールN,N’−テトラ−メチル−1,3−ジアミノ−2−プロパノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(ビシン)およびN−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン(トリシン)である。他の好適な緩衝剤は、カルバミン酸アンモニウム、クエン酸、酢酸を含む。上記のいずれの混合物もまた、許容可能である。有用な無機緩衝剤/アルカリ性源は、アンモニア、アルカリ金属カーボネートおよびアルカリ金属リン酸塩、例えば、炭酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムを含む。さらなる緩衝剤については、McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents, North American Edition, 1997,McCutcheon Division,MC Publishing Company Kirkおよび国際特許第95/07971号を参照のこと(両方とも、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0111】
用いられる場合、ビルダー洗剤は、洗浄組成物の少なくとも約0.001%、典型的には約0.01〜5%を占める。洗浄組成物が濃縮物として配合される場合、ビルダー洗剤の量は約5%を超えてもよい。好ましくは、ビルダー洗剤の含有量は、約0.01〜2%である。
【0112】
石鹸カスおよび石灰カスを除去するための洗浄組成物は、例えば、酸を含んでもよく、したがって、7未満のpHを有し、いくつかの実施形態においては約4未満、いくつかの実施形態においては約3、2、または約1未満のpHを有する。酸は、有機、無機、またはそれらの混合物であり得る。
【0113】
種々の有機酸の代表例は、クエン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、グリコール酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、およびそれらの混合物である。使用することのできる種々の無機酸の代表例は、硫酸、スルファミン酸、塩化水素酸、リン酸、硝酸、およびそれらの混合物である。
【0114】
洗浄組成物、またはガラスもしくは鏡等の非多孔質の硬質表面上での使用に好適であり、かつ、非多孔質表面上に膜を貼るために効果的な組成物はまた、例えば塩基性の物質も含むことができる。したがって、組成物は、7を超えるpHを有し、いくつかの実施形態において9または10を超え、いくつかの場合においては11以上のpHを有する。
【0115】
好適な塩基は、ナトリウム、カリウム、リチウム、ならびに水酸化アンモニウムおよびアミンを含む。ジエタノールイソプロパノールアミンおよびジグリコールジイソプロパノールアミン等のアルカノールアミンもまた想定される。
【0116】
意外なことに、本発明のターポリマーを塩基性、酸性、または中性のいずれかの洗浄組成物に組み合わせると、組成物から析出しない。ターポリマーが有効量で洗浄組成物に加えられると、ターポリマーは、製剤中に分散または溶解した状態を保ち、好ましくは透明な溶液を形成する。
【0117】
追加のアジュバント
洗浄組成物は、さらなる付加物を含んでもよい。付加物は、芳香剤または香料、ワックス、色素および/または着色剤、可溶化物質、安定剤、増粘剤、消泡剤、ヒドロトロープ、ローションおよび/または鉱油、酵素、漂白剤、曇点調整剤、防腐剤、ならびに他のポリマーを含むが、これらに限定されない。ワックスは、使用される場合、カルナウバロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、カンデリラロウ、パラフィン、ラノリン、セラック、エスパルト、オウリキュリー、ポリエチレンワックス、塩素化ナフタリンワックス、ワセリン、微結晶ワックス、セレシンワックス、オゾケライトワックス、および/またはレゾワックス(rezowax)を含むが、これらに限定されない。可溶化物質は、使用される場合、ヒドロトロープ(例えば、キシレンスルホン酸のナトリウム塩および/またはカリウム塩等の低分子量有機酸の水溶性塩)を含むが、これに限定されない。酸は、使用される場合、有機ヒドロキシ酸、クエン酸、ケト酸等を含むが、これらに限定されない。増粘剤は、使用される場合、ポリアクリル酸、キサンタンガム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、アルギン酸塩、グアーガム、メチル、エチル、粘土、および/またはプロピルヒドロキシセルロースを含むが、これらに限定されない。消泡剤は、使用される場合、シリコーン、アミノシリコーン、シリコーンブレンド、および/またはシリコーン/炭化水素ブレンドを含むが、これらに限定されない。ローションは、使用される場合、クロロフェンおよび/またはラノリンを含むが、これに限定されない。酵素は、使用される場合、リパーゼおよびプロテアーゼ、および/またはキシレンスルホネートおよび/またはトルエンスルホネート等のヒドロトロープを含むが、これらに限定されない。漂白剤は、使用される場合、過酸、ハイポライト源、過酸化水素、および/または過酸化水素の源を含むが、これらに限定されない。
【0118】
吸収材料
本発明の洗浄組成物は、吸収剤および/または吸着材料とは別個に使用するかまたは併用することができる。例えば、洗浄組成物は、洗浄ワイプ、スポンジ(セルロース、合成等)ペーパータオル、ナプキン、クロス、タオル、ラグ、モップヘッド、スクイージー、および/または吸収剤および/または吸着材料を含む他の洗浄用デバイスと併用されるように配合することができる。
【0119】
洗浄ワイプは、不織布繊維シート材料もしくはメルトブロー、コフォーム、エアレイド、スパンボンド、ウェットレイド、ボンデッドカーデッドウェブ材料、および/または水流絡合(スパンレースとしても知られる)材料等の不織布材料で作製することができる。洗浄ワイプはまた、綿繊維、綿/ナイロンブレンドおよび/または他の織物等の織布材料で作製することもできる。洗浄ワイプはまた、木材パルプ、木材パルプのブレンド、および/または合成繊維、例えば、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、および/またはセルロースポリマーを含むことができる。
【0120】
洗浄製剤が吸収材料に組み込まれる場合、洗浄組成物は、洗浄ワイプから表面上に放出されるポリマーの量を増加させるために、有効量の放出剤を含んでもよい。放出剤は、好ましくは、洗浄ワイプ上の場所についてポリマーと競合し、それによって、洗浄ワイプの使用間に洗浄ワイプからのポリマー放出を増加させるように設計されたイオン性種である。放出剤は、塩を含んでもよい。一価の塩、二価の塩、有機塩等を含むが、これに限定されない多様な異なる塩を使用することができる。
【0121】
洗浄手順の間、製剤中のポリマーが表面上に吸着して、表面が洗浄された後に残る、薄い、目に見えない膜を形成する。後に汚れた際に、その膜が、いずれの新しい汚れの層も表面から容易に除去されるようにする。このようにして、本発明のポリマーは、汚れのより容易な除去をもたらし、かつ、汚れが表面に付着するのを防止することもできる。
【0122】
ポリマーを含有する洗浄組成物は、洗浄されることを必要としている硬質表面の好適な処理を可能にする任意の形態をとることができる。これは、流動性もしくは噴霧可能な液体、希釈可能な液体、クリームもしくはペースト、エアロゾル、ワイプ製品に事前に含浸される液体、濃縮物、ゲル、固体、または、最初に水と合わせなければならない乾燥生成物を含む。
【0123】
ポリマーの調製
本発明の両性ターポリマーは、すぐ下に記載するプロセスを用いて、単純な様式で調製することができる。
【0124】
硬質表面洗浄剤に使用されるポリマーは、標準的な溶液の重合(水性)によって作製される。
【0125】
本発明のターポリマーは、水溶性または水分散性である。
【0126】
本発明の目的のための水溶性ターポリマーとは、ポリマーが使用範囲の透明な溶液を形成することを意味する。
【0127】
本発明のコポリマーは、コポリマーを調製するための既知の技術にしたがって、具体的には、既知の化合物であるか、または有機化学の従来の合成プロセスを用いて当業者が容易に得ることができる、エチレン的に不飽和な出発モノマーのラジカル媒介重合によって得ることができる。
【0128】
ラジカル媒介重合は、好ましくは、無酸素環境、例えば、不活性ガス(ヘリウム、アルゴン等)または窒素の存在下で実行される。反応は、不活性溶剤中で、好ましくは、メタノールまたはエタノール、より好ましくは水中で行われる。
【0129】
重合は、重合開始剤を加えることによって開始される。使用される開始剤は、当該技術分野において通常使用されるフリーラジカル開始剤である。その例は、有機ペルエステル(t−ブチルぺロキシピバレート、t−アミルペロキシピバレート、t−ブチルぺロキシ−α−ヘキサノン酸エチル等);アゾ型の有機化合物、例えばアゾビスアミジノプロパン塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル等);無機および有機の過酸化物、例えば過酸化水素、過酸化ベンジル、および過酸化ブチル等;レドックス開始剤系、例えば、過硫酸塩(具体的にはアンモニウムまたはアルカリ金属過硫酸塩等)等の酸化剤を含むもの;塩素酸塩および臭素酸塩(無機または有機の塩素酸塩および/または臭素酸塩を含む);亜硫酸塩および亜硫酸水素塩等の還元剤(無機および/または有機の亜硫酸塩もしくは亜硫酸水素塩を含む);シュウ酸およびアスコルビン酸、ならびにこれらの化合物のうちの2つ以上の混合物を含む。
【0130】
好ましい開始剤は、水溶性の開始剤である。過硫酸ナトリウムおよびアゾビスアミジノプロパン塩酸塩が特に好ましい。
【0131】
変形例として、紫外線を照射することによって重合を開始することができる。使用される開始剤の量は、一般的に、重合を開始するために十分であり得る量である。開始剤は、モノマーの全重量に対して0.001重量%〜約10重量%の範囲の量で存在することが好ましく、好ましくはモノマーの全重量に対して0.5重量%未満の量であり、好ましい量は、モノマーの全重量に対して0.005重量%〜0.5重量%の範囲である。開始剤は、連続的にまたはバッチごとに重合混合物に加えられる。
【0132】
反応は、約50℃〜約125℃、好ましくは約60℃〜約120℃、特に約80℃〜約110℃で実行されてもよい。
【0133】
全反応時間は、1〜約10時間で変化し得る。
【実施例】
【0134】
洗浄製剤用ポリマーの調整
【0135】
実施例1
【0136】
1リットル反応器を窒素でパージする。15.5gのDADMAC(65.9%)溶液、1.3gのN,N−ジメチルアクリルアミド、40mgのアクリル酸(99%)溶液、1.5gのNaEDTA(10%)溶液、および250gの脱イオン水を最初の投入分として反応器に加える。HCl(5%)溶液を用いて反応混合物のpHを約4.0+/−0.2に調整する。
【0137】
反応物を210rpmで撹拌し、100℃まで加熱する。6.7gのDADMAC(65.9%)溶液、54gのN,N−ジメチルアクリルアミド、3.25gのアクリル酸(99%)溶液、70mgのメルカプと酢酸、および110gの脱イオン水からモノマー供給物を調製する。NaOH(10%)溶液を用いて供給液のpHを約4.0+/−0.2に調整する。5mLのモノマー供給物を最初に反応混合物に投入する。残りのモノマー供給物を60分かけて供給しながら、開始剤(水20mL中の過硫酸アンモニウム0.2g)を0.22mL/分の速度で導入する。モノマーの供給が終了した後、モノマー供給物を保持する容器を10mLの脱イオン水ですすぎ、反応器に投入する。開始剤の供給が終了するまで同じ速度で継続する、バッチをさらに0.5時間100℃に維持する。
【0138】
処理後の供給物であるメタ重亜硫酸ナトリウム(2重量%水溶液、3mL)を、0.6mL/分の速度で終了するまで加える。次いで、バッチをさらに0.5時間100℃に維持する。反応器を冷却し、生成物を排出する。
【0139】
N,N−ジメチルアクリルアミド/ジアリルジメチルアンモニウム/アクリル酸(それぞれのモノマー含有物の重量%75.6/20/4.4)のターポリマーを生成する。ターポリマーは、DADMAC対アクリル酸のモル比が1を上回る過剰な正の電荷を帯びている。平均分子量は120キロダルトンである。ターポリマーの電荷は0.63meq/gである。
【0140】
いくつかのポリマーは上記のように調製されるが、モノマーの重量パーセントは様々である。いくつかの場合において、追加の非イオン性モノマーであるアクリルアミドが加えられる。
【0141】
【表1】

【0142】
全てのポリマーは、約10重量%まで水に溶解する。
【0143】
架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド(MBA)である。投入する全モノマーに基づいて300ppmのMBAが投入される。
【0144】
ポリマーを含有する典型的な製剤
【0145】
【表2】

【0146】
【表3】

【0147】
洗浄製剤中のポリマーの試験
本発明のポリマーを、3つの別個の製剤と組み合わせる。いくつかの標準的な試験において、ポリマーを含む各製剤をポリマーを含まない製剤(対照)と比較する。
【0148】
製剤
Church and Dwight社の市販品であるSCRUB FREE(登録商標)製剤を購入した。その市販の配合物に0.50重量%のポリマー活性物質を直接加え、製剤に完全に分散または溶解するように撹拌する。この製剤は酸性(pH1.2)である。
【0149】
SC Johnson社の市販品であるSCRUBBING BUBBLES(登録商標)エアロゾル製剤を購入した。その市販の配合物に0.50重量%のポリマー活性物質を直接加え、製剤に完全に分散または溶解するように撹拌する。この製剤は塩基性(pH11.0)であり、実質的に疎水性である四級化合物(抗菌剤)の表面を含む。
【0150】
【表4】

【0151】
含浸試験の結果
【0152】
【表5】

【0153】
洗浄製剤中の0.5%ポリマーの溶液2mLを、2平方インチの四角いペーパータオルに含浸させる。次いで、10cm×10cmの白色タイル(Home Depot)の半分をペーパータオルで上下に12回拭く。同じ含浸方法を用いて、ポリマーを含まない製剤で未処理の側を拭く。次いで、タイルを1時間空気乾燥させ、接触角度を計測する。次いで、ペンキ用の刷毛を細かく動かしてタイルに石鹸カスを塗り、0.3〜0.4gの汚れを塗布する。ベンチトップでタイルを1時間空気乾燥させる。
【0154】
次いで、水の流れに対して45度の角度でタイルを維持しながら、汚れたタイルを脱イオン水(流速30mL/秒)の流動スプレー下に2分間配置する。スプレーパターンが等しい量でタイルの両側に当たるように、水流をタイルの中央に向ける。水流から除去した後でタイルを空気乾燥させ、0〜5のスケールでタイルを評価した:5が最も効果的であり、0は、石鹸カスに対して事実上抵抗性のないことを表す。
【0155】
2.乾燥試験の手順 洗浄製剤中の0.5%ポリマーの溶液3mLを、2インチ×5インチのペーパータオルに含浸させる。次いで、10cm×10cmの黒色タイル(Home Depot)の全体をペーパータオルで上下に12回拭く。タイルを1時間空気乾燥させ、次いで、脱イオン水(流速30mL/秒)の流動スプレー下で30秒間すすぐ。すすぎ手順の直後に、濡れたタイルを約65°の角度で直立に保つ。すすぎ手順の30秒後、乾燥したタイルの割合を目視観測により予測して記録する。
【0156】
本発明のポリマーは、直立面の迅速な乾燥時間とともに、石鹸カスに対する高度な抵抗性を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターポリマーを含む硬質表面洗浄剤または硬質表面処理剤であって、前記ターポリマーは、
a)式(I)
【化1】

によって説明されるカチオン性モノマーであって、
式中、R1およびR4は、互いに独立して、水素原子または直鎖状もしくは分岐状のC1−C6アルキル基を表し、R2およびR3は、互いに独立して、アルキル、ヒドロキシアルキル基(前記アルキル基は、直鎖状または分岐状のC1−C6鎖である)を表し、
nおよびmは、1〜3の整数であり、
-は、対イオンを表す、カチオン性モノマーと、
b)C3−C8カルボン酸、スルホン酸、硫酸、ホスホン酸、またはリン酸、それらの無水物および塩からなるモノマーの群から選択される、アニオン性モノマーと、
c)式(II)
【化2】

によって説明される置換(メタ)アクリルアミドであって、
1は、水素またはメチルであり、
2は、水素またはC1−C2アルキルであり、
3およびR4は、独立して、C1−C8アルキルである、置換(メタ)アクリルアミドと、
d)任意で、架橋剤と、から形成される、硬質表面洗浄剤または硬質表面処理剤。
【請求項2】
前記構成成分a)のカチオン性モノマーは、形成される全ターポリマーの少なくとも0.5〜40、好ましくは1〜35、より好ましくは2〜30、最も好ましくは5〜25重量%を構成する、請求項1に記載の硬質表面洗浄剤または硬質表面処理剤。
【請求項3】
構成成分b)の前記アニオン性モノマーは、
全ポリマーの少なくとも0.1〜20、好ましくは0.5〜15、より好ましくは0.7〜12、最も好ましくは1〜8重量%を構成する、硬質表面洗浄剤または硬質表面処理剤。
【請求項4】
構成成分c)の非イオン性モノマーは、少なくとも15〜95、好ましくは20〜90、より好ましくは30〜90、最も好ましくは35〜85を構成する、硬質表面洗浄剤または硬質表面処理剤。
【請求項5】
構成成分a)の前記カチオン性モノマーは、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ジアリルジメチルアンモニウムサルフェート、ジアリルジメチルアンモニウムホスフェート、ジメチルアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジエチルアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジ(β−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド、およびジアリルジエチルアンモニウムクロリドからなるカチオン性モノマーの群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬質表面洗浄剤または硬質表面処理剤。
【請求項6】
構成成分b)の前記アニオン性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、ジメチルアクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、メチレンメチレンマロン酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、スチリルアクリル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、フェニルアクリル酸、シトラコン酸、ビニル安息香酸、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、エチレンスルホン酸、ビニル硫酸、4−ビニルフェニル硫酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、2−プロペン−1−スルホン酸、エチレンホスホン酸、ビニルリン酸、ジビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、メタリルホスホン酸、メタクリルアミドメタンホスホン酸、2−アリールアミノ−2−メチルプロパンホスホン酸、3−ホスホノプロピルアクリレートおよび3−ホスホノプロピルメタクリレートからなる群から選択され、好ましくは、前記アニオン性モノマーは、アクリル酸またはメタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬質表面洗浄剤または硬質表面処理剤。
【請求項7】
モノマーa)およびb)の重量の和は、形成されるターポリマーの全重量の60〜4、好ましくは60〜8、より好ましくは55〜10、最も好ましくは50〜15重量%の範囲である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬質表面洗浄剤または硬質表面処理剤。
【請求項8】
構成成分c)の置換(メタ)アクリルアミドは、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−mエチルブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミドおよびN,N−プロピルブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジペンチル(メタ)アクリルアミド、N,Nメチルペンチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルペンチル(メタ)アクリルアミド、N,N−プロピルペンチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ブチルペンチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−プロピルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ブチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ペンチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N−プロピルヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ブチルヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ペンチルヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−プロピルオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ブチルオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ペンチルオクチル(メタ)アクリルアミドおよびN,N−ヘプチルオクチル(メタ)アクリルアミドからなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬質表面洗浄剤または硬質表面処理剤。
【請求項9】
前記硬質表面洗浄剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性または両性イオン性の界面活性剤をさらに含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬質表面洗浄剤または硬質表面処理剤。
【請求項10】
前記硬質表面洗浄剤のpHは、酸性またはアルカリ性である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬質表面洗浄剤または硬質表面処理剤。
【請求項11】
前記硬質表面洗浄剤は、流動性もしくは噴霧可能な液体、希釈可能な液体、クリームもしくはペースト、エアロゾル、ワイプ製品中に事前に含浸される液体、濃縮物、ゲル、固体、または、最初に水と合わせなければならない乾燥生成物の形態である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の硬質表面洗浄剤。
【請求項12】
前記ターポリマーは、前記硬質表面洗浄剤組成物の約0.1〜約10重量%を占める、請求項1〜11のいずれか1項に記載の硬質表面洗浄剤または硬質表面処理剤。
【請求項13】
前記ターポリマーは、追加の非イオン性モノマーから形成され、前記追加の非イオン性モノマーは、(メタ)アクリルアミド、分岐状または非分岐状のC1−C6アルキル(メタ)アクリレートエステルおよびヒドロキシル置換C1−C6アルキル(メタ)アクリレートエステル、N−メチルアクリルアミド、(メタ)アクリレートのポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールエステル、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、ならびにおよび4−ビニルピリジンから構成される群から選択される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の硬質表面洗浄剤または硬質表面処理剤。
【請求項14】
前記硬質表面洗浄剤は、食器洗浄機中で、または手荒いによる洗浄を行うために、ガラスパネル、浴室、シンク、自動車の車体、シャワーの壁、便器、およびガラス−セラミックの皿を洗浄するために、洗浄組成物に組み込まれる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の硬質表面洗浄剤または硬質表面処理剤
【請求項15】
液体洗浄組成物の、好ましくは垂直面上の、乾燥時間を短縮するための方法であって、
効果的な量の請求項1〜14のいずれか1項に記載のターポリマーを含む洗浄組成物を硬質表面に塗布するステップを含む、方法。
【請求項16】
前記洗浄組成物は、自動食器洗浄用または手洗い食器洗浄用の組成物中に配合される、請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2012−520925(P2012−520925A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500813(P2012−500813)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/025134
【国際公開番号】WO2010/107554
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(511213395)チバ、コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】