説明

洗浄装置を備えた定置式消火システム

【課題】従来技術の定置式消火システムを、他にも使用できるようにすることにある。
【解決手段】本発明は、消火流体貯蔵装置と、が消火流体貯蔵装置と少なくとも1つの消火フォグノズルとの間のパイプと、パイプ内に高圧を発生する高圧ポンプとを有する定置式火災システムに関する。この定置式火災システムを他の用途にも使用できるようにするため、洗浄手段を有し、該洗浄手段は、流体を洗浄手段の接続部を介して種々の表面の洗浄に使用できるように、接続部を介してパイプに連結され、高圧ポンプが40バールを超える圧力を発生するように構成された消火システムを提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、流体貯蔵装置と、該流体貯蔵装置と少なくとも1つの消火フォグノズルとの間のパイプと、該パイプ内に高圧を発生する高圧ポンプとを備えた定置式消火システムに関する。
【背景技術】
【0002】
慣用の定置式消火システムでは、消火流体貯蔵タンクが、パイプを介して消火フォグノズルに連結されている。この場合には、パイプは、多くの枝に分かれているのが好ましい。パイプ、特に主パイプには消火流体が既に充填されていて、火災の場合に消火流体を消火フォグノズルから迅速に利用できることが好ましい。火災の場合に消火フォグノズルを通る消火流体の非常に微細な噴霧を直ちに発生する高い作動圧力が、現代の高圧ポンプを用いてパイプ内に発生される。
【0003】
例えば地下鉄施設、道路トンネル等の特にトンネル施設には、安全のため、高圧消火システムが時々使用されている。しかしながら、汎用の高圧消火システムは、他のあらゆる建造物に設置できる。
【0004】
消火流体貯蔵装置、配管および高圧ポンプを備えた定置式消火システムの設置に要する投下資本は非常に大きい。パイプは、保護すべき建造物の全体の中に敷設しなければならない。高圧であるため、パイプ金具の設計は精密でなくてはならない。大きな資本投下を正当化するには、既存パイプの多機能使用が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、従来技術の定置式消火システムを、他にも使用できるようにすることにある。このような定置式消火システムの見返り利益は、これらのシステムの多機能性の結果として増大されるべきものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、洗浄手段を有し、該洗浄手段は、流体を洗浄手段の接続部を介して種々の表面の洗浄に使用できるように、接続部を介してパイプに連結され、高圧ポンプが40バールを超える圧力を発生するように構成された消火システムにより達成される。
【0007】
高圧消火システムを設置することにより、消火流体は、工業界で使用されているような洗浄システムに使用できる。より詳しくは、消火流体として水を使用できる。また、用途によっては、流体は、界面活性剤または他の洗浄剤で濃縮することができる。洗浄手段は、高圧供給源に連結して表面の洗浄を簡単化できる。かくして、定置式消火システムは、他の用途に使用することができる。
【0008】
鉄道トンネル並びに他の建造物はもとより、特に道路トンネルにおいては、壁面および標識を定期的に洗浄する必要がある。より詳しくは、避難ルートおよび緊急出口並びに安全に関する標識を識別できるようにする反射ペイントが使用されている。国家安全規格および建造物規制安全規格に合致するには、標識は定期的に洗浄されなくてはならない。高圧消火システムは建造物にますます多く使用されてきているので、本発明により、建造物の壁および表面の洗浄にも日常的に使用できる。
【0009】
他の特徴は特許請求の範囲の実施態様項の記載から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
添付図面には、消火流体貯蔵装置2と、パイプ4と、消火フォグノズル6と、接続部8と、洗浄ガン10と、連結ホース12と、供給パイプ14とを備えた定置式消火システム1が示されている。
【0011】
消火流体貯蔵装置2は、必要に応じて供給パイプ14を介して充填される。ジョッキーポンプ(jockey pump)が、消火流体の定置式静圧をパイプ内に発生する。この静圧は、作動圧力より実質的に低い圧力にある。静圧は、火災であるか否かにかかわらず、パイプ4内に存在する。パイプ4は多くの枝に分かれていて、消火フォグノズル6にリンクしている。例えばトンネルの長手方向に延びる主パイプは、消火流体で予め充填しておくのが好ましい。主パイプから分枝したローカルパイプに連結されたローカル弁が、主パイプに連結される。ローカルパイプにも予め充填しておくことができる。消火フォグノズル6は、トンネルの安全が危惧される領域に配置するのが好ましい。消火フォグノズル6は、該フォグノズルの補助により、火災の場合に、炎の根源部を包囲する領域を高い効果で冷却し、従って優れた火災消火特性を有する非常に微細なフォグカーテンが形成されるように設計される。40バールを超える高圧により、消火流体の非常に微細な噴霧が達成される。消火フォグノズル6は広範囲に分散されるので、パイプ4はトンネルの大部分に存在する。
【0012】
洗浄を必要とする領域内でトンネルを洗浄できるようにするため、接続部8が設けられている。接続部8はプラグイン連結部として設計でき、これにより、ホース12を接続部8にプラグインすることができる。
【0013】
接続部8でのパイプ4からホース12への消火流体の供給は、弁組立体(詳細には図示せず)により調整される。また、弁組立体は、パイプ4内の消火流体の圧力が下限より低下しない場合には、接続部8において、消火流体がホース12のみに供給されるように構成できる。洗浄のためには、40バール以上の圧力が発生される。高圧により、洗浄ガン10では一方向洗浄ジェットが形成される。
【0014】
火災は火災検出器の補助により検出することもでき、例えば、使用されている接続部8から離れた分枝で火災が発見された場合には、対応する弁制御により、洗浄ガン10に消火流体が供給されることが防止される。これにより、火災の場合に、高圧ポンプ2により発生された流体圧力を、消火フォグノズル6で実際に利用でき、洗浄によるサイホン効果の結果として流体圧力が低下されることはない。
【0015】
ホース12は、高圧に耐えるように設計するのが好ましい。洗浄ガン10には、ホース12を介して消火流体が供給される。高圧により優れた洗浄結果が得られる。洗浄ガン10は、表面を完全に洗浄するのに使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】消火流体貯蔵装置と、パイプと、消火フォグノズルと、接続部と、洗浄ガンと、連結ホースと、供給パイプとを備えた定置式消火システムを示す図面である。
【符号の説明】
【0017】
1 定置式消火システム
2 消火流体貯蔵装置
4 パイプ
6 消火フォグノズル
8 接続部
10 洗浄ガン
12 連結ホース
14 供給パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体貯蔵タンクと、
流体貯蔵タンクと少なくとも1つの消火フォグノズルとの間のパイプと、
パイプ内に高圧を発生する高圧ポンプとを有する特にトンネル用の定置式火災システムにおいて、
洗浄手段を有し、該洗浄手段は、流体を洗浄手段の接続部を介して種々の表面の洗浄に使用できるように、接続部を介してパイプに連結され、高圧ポンプが40バールを超える圧力を発生することを特徴とする消火システム。
【請求項2】
前記パイプは、トンネル内に分枝されたパイプシステムであることを特徴とする請求項1記載の消火システム。
【請求項3】
前記洗浄手段は自動洗浄機であることを特徴とする請求項1または2記載の消火システム。
【請求項4】
前記洗浄手段は洗浄ガンであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の消火システム。
【請求項5】
前記洗浄手段は洗浄ノズルを備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の消火システム。
【請求項6】
前記洗浄手段は高圧ホースにより接続部に連結されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の消火システム。
【請求項7】
前記洗浄手段は高圧カップリングにより接続部に連結されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の消火システム。
【請求項8】
前記高圧ポンプは消火ノズルに少なくとも40バールの流体圧力を発生することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の消火システム。
【請求項9】
前記高圧ポンプは洗浄手段に少なくとも40バールの流体圧力を発生することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の消火システム。
【請求項10】
前記洗浄手段を出る流体の小滴サイズは10μmから2.5mmの間であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の消火システム。
【請求項11】
前記流体は界面活性剤を含有していることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載の消火システム。

【図1】
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【公表番号】特表2009−505759(P2009−505759A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528380(P2008−528380)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008155
【国際公開番号】WO2007/025651
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(508056394)フォグテック ブランドシューツ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー カー・ゲー (3)
【氏名又は名称原語表記】FOGTEC Brandschutz GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Schanzenstr. 19A 51063 Koln Germany
【Fターム(参考)】