説明

洗浄装置

【課題】円筒型フィルタを手で支えた状態でホースを使ってそれに水を吹き付けることによって円筒型フィルタの洗浄がなされていたが、このような洗浄方法では作業効率が悪い。円筒型フィルタの洗浄作業の効率を向上手段を提供する。
【解決手段】円筒型フィルタ10を洗浄する洗浄装置100は、円筒型フィルタ10の端部を保持し円筒型フィルタ10を宙吊り状態で支持する宙吊り部材20と、円筒型フィルタ10がその軸を中心として回転することができるように宙吊り部材20を支持する支持部材30と、円筒型フィルタ10が回転するように円筒型フィルタに洗浄液を吹き付けるノズル60とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒型フィルタを洗浄する洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルが付された瓶を洗浄する洗瓶機が知られている。洗瓶機では、ラベルを溶解させることによって瓶から除去されるほか、瓶の外面に付着した他の異物や内側に入っている異物が除去されうる。したがって、洗瓶機で使用された洗浄液は、フィルタ(ストレーナー)によってろ過された後に再利用されたり、排水処理設備に送られたりしうる。このようなフィルタの1つとして、円筒型フィルタがある。円筒型フィルタは、管路の途中に配置されて使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−78214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
円筒型フィルタは、それによって捕集された異物などによって目詰まりを起こすので、定期的に洗浄されうる。従来は、円筒型フィルタを手で支えた状態でホースを使ってそれに水を吹き付けることによって円筒型フィルタの洗浄がなされていたが、このような洗浄方法では作業効率が悪い。
【0005】
本発明は、円筒型フィルタの洗浄作業の効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの側面は、円筒型フィルタを洗浄する洗浄装置に係り、前記洗浄装置は、前記円筒型フィルタの端部を保持し前記円筒型フィルタを宙吊り状態で支持する宙吊り部材と、前記円筒型フィルタがその軸を中心として回転することができるように前記宙吊り部材を支持する支持部材と、前記円筒型フィルタが回転するように前記円筒型フィルタに洗浄液を吹き付けるノズルとを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、円筒型フィルタの洗浄作業の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の好適な実施形態の洗浄装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の好適な実施形態の洗浄装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の好適な実施形態の洗浄装置の構成を示す図である。
【図4】カバー部材の内側に洗浄対象の円筒型フィルタを挿入した状態を上方から見た状態を示す図である。
【図5】宙吊り部材の下端に設けられたハンドの構成例を示す図である。
【図6】支持部材の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0010】
図1〜図3は、本発明の好適な実施形態の洗浄装置100の構成を示す図である。図1〜図3において、斜線を付した部分は断面である。また、図1〜図3における上下方向は鉛直方向である。洗浄装置100は、円筒型フィルタ10を洗浄するように構成されている。円筒型フィルタ10は、種々の設備に使用されうるが、例えば、洗瓶機において洗浄液をろ過するために使用されうる。
【0011】
洗浄装置100は、円筒型フィルタ10の端部(ハンドル部12)を保持し円筒型フィルタ10を宙吊り状態で支持する宙吊り部材20と、円筒型フィルタ10がその軸(円筒形状の中心軸)を中心として回転することができるように宙吊り部材20を支持する支持部材30と、円筒型フィルタ10が回転するように円筒型フィルタ10に洗浄液(例えば、水)を吹き付ける少なくとも1つのノズル60とを備える。洗浄装置100は、好ましくは、洗浄中の円筒型フィルタ10の側面を覆うカバー部材40を備える。カバー部材40は、例えば円筒形状部分を有しうる。カバー部材40によって円筒型フィルタ10の側面が覆われることにより、洗浄中に洗浄液が周囲に飛散することが防止される。カバー部材40は、例えば、その底部に、洗浄液を排出するためのドレイン(例えば開口)を有しうる。カバー部材40は、例えば、支持脚44によって支持されうる。
【0012】
カバー部材40は、その上部に、カバー部材40の内側に円筒型フィルタ10を挿入したり、そこから円筒型フィルタ10を取り出したりするための作業開口を有しうる。該作業開口には、蓋部材82が被せられる。蓋部材82もまた、洗浄中に洗浄液が周囲に飛散することを防止するように機能しうる。この実施形態では、宙吊り部材20は、連結部84を介して蓋部材82によって支持されている。つまり、この実施形態では、宙吊り部材20と蓋部材82とが一体化されている。しかしながら、宙吊り部材20と蓋部材82とが分離された構成を採用することもできる。
【0013】
図4は、カバー部材40の内側に洗浄対象の円筒型フィルタ10を挿入した状態を上方から見た状態を示す図である。ノズル60は、宙吊り部材20によって保持された円筒型フィルタ10を回転させるように配置されている。より具体的には、ノズル60は、円筒型フィルタ10に対してその中心軸からずれた位置に洗浄液が吹き付けられるように配置されている。この実施形態では、ノズル60は、上方から見て円筒型フィルタ10が洗浄液から受ける力によって時計回りに回転するように配置されている。
【0014】
宙吊り部材20は、回転シャフト22と、回転シャフト22の下端に取り付けられたハンド(把持部)24と、回転シャフト22の上端に取り付けられた操作部25とを含みうる。宙吊り部材20は、例えば回転シャフト22の周囲に、第1ネジ28を有しうる。支持部材30は、宙吊り部材20の第1ネジ28と噛み合う第2ネジ32を有しうる。第1ネジ28および第2ネジ32は、互いに噛み合う螺旋状の山および溝である。ノズル60から噴射される洗浄液が円筒型フィルタ10に吹き付けられると、それによって円筒型フィルタ10に回転トルクが与えられる。第1ネジ28と第2ネジ32とが噛み合っているときは、宙吊り部材20は、円筒型フィルタ10の回転に伴って回転しながら当該噛み合いに従って降下する。また、宙吊り部材20は、当該回転の結果として第1ネジ28と第2ネジ32との当該噛み合いが解除されることによって支持部材30による支持が解除されて落下する。螺旋のピッチ(ネジピッチ)によって1回転あたりの宙吊り部材20(円筒型フィルタ10)の軸方向における降下量が定まる。円筒型フィルタ10が回転しながら降下することにより、円筒型フィルタ10が全周にわたって洗浄されるとともに、円筒型フィルタ10の軸方向における洗浄ムラが低減される。
【0015】
洗浄装置100は、宙吊り部材20の第1ネジ28と支持部材30の第2ネジ32との噛み合いが解除されることによって落下してくる宙吊り部材20を受け止めて支持する第2支持部材50を更に備えうる。この実施形態では、宙吊り部材20は、回転シャフト22にストッパ26を有し、宙吊り部材20の第1ネジ28と支持部材30の第2ネジ32との噛み合いが解除されることによって宙吊り部材20が落下すると、第2支持部材50は、ストッパ26を下方から受け止めて支持する。ストッパ26は、例えばリング形状を有しうる。第2支持部材50は、回転シャフト22の鉛直方向の移動(直線移動)を許容するとともに回転を許容するガイドを含む。第2支持部材50は、例えば、伸縮性部材52を介して蓋部材82によって支持されうる。ストッパ26が第2支持部材50によって支持されている状態で宙吊り部材20を下方に押し下げようとすると、伸縮性部材52が伸縮してそれを許容する。
【0016】
第1ネジ28と第2ネジ32とが噛み合った状態で回転シャフト22(宙吊り部材20)を回転させるための回転トルクは、第1ネジ28と第2ネジ32とが噛み合いが解除されてストッパ26が第2支持部材50によって支持された状態で回転シャフト22(宙吊り部材20)を回転させるための回転トルクよりも十分に小さい。
【0017】
図5は、宙吊り部材20の下端に設けられたハンド24の構成例を示す図である。ハンド24は、2つの係合部27を有し、円筒型フィルタ10の端部に設けられたハンドル部12に当該2つの係合部27が係合することによって円筒型フィルタ10を保持する。ハンド24は、洗浄液によって円筒型フィルタ10に与えられるA方向への回転トルクが所定値を超えると、円筒型フィルタ10のハンドル部12が係合部27から外れて落下し、該所定値を超えない限り、円筒型フィルタ10のハンドル部12が係合部27によって保持され続ける構成を有する。
【0018】
つまり、ハンド24を有する宙吊り部材20は、第1ネジ28と第2ネジ32とが噛み合った状態では、円筒型フィルタ10が洗浄液から受ける力によって回転するときに、円筒型フィルタ10を落下させることなく、円筒型フィルタ10の回転に伴って回転する。一方、宙吊り部材20は、宙吊り部材20が第2支持部材50によって支持された状態では、円筒型フィルタが洗浄液から受ける力によって回転しようとすると、円筒型フィルタ10を保持しきれなくなる(すなわち、宙吊り部材20による円筒型フィルタ10の支持が解除される)。
【0019】
洗浄装置100は、宙吊り部材20による支持が解除された円筒型フィルタ10をその下方から支持する受け部材70を更に備えることが好ましい。受け部材70は、例えば、洗浄液を下方に排出するための穴72を有しうる。
【0020】
図6は、支持部材30の構成例を示す図である。支持部材30は、例えば、第1ブロック34および第2部ロック36を有し、それらの少なくとも一方が可動でありうる。図6に示す構成例では、第2ブロック36は、回転軸38を中心として回動可能に構成されている。図6に例示するように、第2ブロック36を開いた状態で第1ネジ32と宙吊り部材20の第2ネジ28とを噛み合わせ、その後に第2ブロック36を閉じると、洗浄のための準備作業が容易である。ただし、宙吊り部材20を回転させることによって第1ネジ32と第2ネジ28を噛み合わせることもできる。
【0021】
ノズル60には、バルブ62が設けられた管路64を通して洗浄液(例えば、水)が供給される。
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態の洗浄装置100の使用例を説明する。まず、カバー部材40の上部の作業開口が開いた状態で、図4に例示するようにカバー部材40の内側に円筒型フィルタ10が挿入されて受け部材70の上に置かれる。次いで、宙吊り部材20が一体化された蓋部材82がカバー部材40の作業開口に被せられる。次いで、宙吊り部材20が伸縮性部材52の復元力に逆らって下方に押し下げられ、更に時計回りに回転させられることにより、宙吊り部材20の下端に設けられたハンド24の係合部27が円筒型フィルタ10のハンドル部12に引っ掛けられる。次いで、宙吊り部材20の第1ネジ28が支持部材30の第2ネジ32に噛み合わせられる。これにより、図1に示す状態になる。
【0023】
次いで、バルブ62が開かれてノズル60から洗浄液が噴射されて、円筒型フィルタ10に吹き付けられる。これによって、円筒型フィルタ10が回転し、それに伴って宙吊り部材20も回転する。そして、この回転により、宙吊り部材20の第1ネジ28と支持部材30の第2ネジ32との噛み合いに従って宙吊り部材20が円筒型フィルタ10とともに降下する。そして、宙吊り部材20は、当該回転の結果として第1ネジ28と第2ネジ32との当該噛み合いが解除されることによって支持部材30による支持が解除されて落下し、図2に示すように、第2支持部材50によって(ストッパ26が)支持される。そして、ノズル60から噴射される洗浄液から受ける回転トルクによって円筒型フィルタ10が更に回転することによって、図3に示すように、宙吊り部材20のハンド24による保持が解除されて、円筒型フィルタ10は、受け部材70の上に落下する。次いで、バルブ62が閉じられて、一連の洗浄作業が終了する。
【0024】
ところで、特許文献1には、円筒型フィルタの洗浄装置が開示されていて、当該洗浄装置は、水平に配置された主洗浄管および副洗浄管を備えている。円筒型フィルタは、洗浄時に主洗浄管に遊嵌される。主洗浄管のノズルからは鉛直上向きに洗浄液が噴射される。副洗浄管のノズルからは、鉛直下向きに洗浄水が噴射される。副洗浄管のノズルは、フィルタの中心軸から外れた方向を向いていて、主洗浄管に遊嵌されたフィルタは、副洗浄管のノズルから噴射される洗浄水によって回転する。
【0025】
しかしながら、特許文献1は、円筒型フィルタを宙吊り状態で洗浄することとは無関係である。しかも、特許文献1に開示された方式において円筒型フィルタをその軸が鉛直方向に沿うように支持したとすると、主洗浄管から噴射される洗浄水によって円筒型フィルタを主洗浄管から離隔させることができなくなり、特許文献1に開示された発明の本質が損なわれる。
【符号の説明】
【0026】
10 円筒型フィルタ
12 ハンドル部
20 宙吊り部材
22 回転シャフト
24 ハンド
25 操作部
26 ストッパ
27 係合部
28 第1ネジ
30 支持部材
32 第2ネジ
34 第1ブロック
36 第2ブロック
38 回転軸
40 カバー部材
44 支持脚
50 第2支持部材
52 伸縮性部材
60 ノズル
62 バルブ
64 管路
70 受け部材
72 穴
82 蓋部
84 連結部
100 洗浄装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒型フィルタを洗浄する洗浄装置であって、
前記円筒型フィルタの端部を保持し前記円筒型フィルタを宙吊り状態で支持する宙吊り部材と、
前記円筒型フィルタがその軸を中心として回転することができるように前記宙吊り部材を支持する支持部材と、
前記円筒型フィルタが回転するように前記円筒型フィルタに洗浄液を吹き付けるノズルと、
を備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記宙吊り部材は、第1ネジを有し、前記支持部材は、前記第1ネジと噛み合う第2ネジを有し、
前記宙吊り部材は、前記第1ネジと前記第2ネジとが噛み合っているときは、前記円筒型フィルタに洗浄液が吹き付けられることによって前記円筒型フィルタとともに回転しながら当該噛み合いに従って降下し、
前記宙吊り部材は、当該回転の結果として前記第1ネジと前記第2ネジとの当該噛み合いが解除されることによって前記支持部材による支持が解除される、
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記第1ネジと前記第2ネジとの噛み合いが解除されることによって落下してくる前記宙吊り部材を受け止めて支持する第2支持部材を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記宙吊り部材は、前記宙吊り部材が前記第2支持部材によって支持された状態で前記円筒型フィルタに洗浄液が吹き付けられて前記円筒型フィルタが回転することによって前記宙吊り部材による前記円筒型フィルタの支持が解除されるように構成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記宙吊り部材による支持が解除された前記円筒型フィルタをその下方から支持する受け部材を更に備える、
ことを特徴とする請求項4に記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−11133(P2011−11133A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156315(P2009−156315)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】