説明

洗浄装置

【課題】 被洗浄物の出し入れの困難性を解消するとともに、減圧した洗浄槽内へ気体を導入することによって上昇した洗浄液が減圧手段に吸い込まれないようにして、洗浄剤やエネルギーのロスを防ぐことができる洗浄装置を得る。
【解決手段】 上部に蓋体14を有する洗浄槽3と、洗浄槽3内を減圧する減圧手段4と、洗浄槽3内に気体を導入する給気手段5を備え、減圧下の洗浄槽3内の洗浄液1中に気体を導入し洗浄液1を上昇,下降させて被洗浄物2の洗浄を行う洗浄装置において、蓋体14に、洗浄槽3内に開口する減圧手段4における排気路16の開口部18と対峙するようにじゃま板32を蓋体14から垂下するようにして設け、上昇した洗浄液1が排気路16の開口部18側へ移動するのをじゃま板32により防ぎ、洗浄液1が排気路16の開口部18から洗浄槽3外へ持ち出されることを抑えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、医療器具、電子部品機械部品などの洗浄に好適な洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品機械部品などを洗浄する洗浄装置として、洗浄槽内に被洗浄物を浸漬し、洗浄槽内を減圧し、減圧した洗浄槽内に気体を導入して洗浄液を激しく上昇,下降させる洗浄装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この洗浄装置によれば、密閉容器からなる洗浄槽内に所定レベルまで洗浄液を貯え、さらに洗浄槽下部に大気を導入するパイプを設けておき、洗浄時に洗浄槽内を減圧した状態で被洗浄物よりも下方から洗浄槽内に気体を導入することにより、気泡の膨張によって洗浄液を噴き上げるように激しく上昇させる。この減圧下の洗浄液への気体導入による液の上昇と下降により被洗浄物の洗浄を効果的に行わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−86878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の洗浄装置によれば、減圧下への気体の導入により上昇させた洗浄液が洗浄槽の上部に有する蓋体に接触し、表面張力によって留まった状態から蓋板に設けた吸込口に流れる、あるいは減圧下への気体の導入によって上昇した洗浄液が直接吸込口に入り込んで減圧手段側に吸い込まれ、洗浄槽から持ち出されるといった事態が生じる場合がある。洗浄槽から洗浄液が持ち出されると洗浄槽内の洗浄液は減少し、洗浄ができなくなってしまう。このため、静的に常に洗浄槽内における洗浄液の一定の液位を検出できるようにしておき、洗浄槽から洗浄液が持ち出された分の給水を行うことになる。この結果、給水により、洗浄液における洗浄剤濃度の低下や洗浄液温度の低下を引き起こすことになり、洗浄剤の追加や洗浄液の加熱が必要となるので、洗浄剤やエネルギーのロスを生じるといった問題がある。
【0005】
また、洗浄槽内に貯える洗浄液の液面と上部の蓋体との距離を大きくして、減圧下への気体の導入によって上昇した洗浄液が蓋板に設けた吸引口に引き込まれないようにする方法も技術的に考えられるが、洗浄槽が深くなり、被洗浄物の出し入れの作業が困難になるとともに気相部の空間が大きくなることにより、減圧時に時間を要することになるといった問題もある。
【0006】
本発明の目的は、被洗浄物の出し入れの困難性を解消するとともに、減圧した洗浄槽内へ気体を導入することによって上昇した洗浄液が減圧手段に吸い込まれないようにして、洗浄剤やエネルギーのロスを防ぐことができる洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、上部に蓋体を有する洗浄槽と、前記洗浄槽内を減圧する減圧手段と、前記洗浄槽内に気体を導入する給気手段を備え、減圧下の前記洗浄槽内の洗浄液中に気体を導入し洗浄液を上昇,下降させて被洗浄物の洗浄を行う洗浄装置において、前記蓋体に、前記洗浄槽内に開口する減圧手段における排気路の開口部と対峙するようにじゃま板を前記蓋体から垂下するようにして設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、減圧下への気体の導入によって上昇した洗浄液は、前記減圧手段による吸引により、前記洗浄槽内に開口する排気路の開口部側へ吸引されて移動し、また、前記洗浄槽の上部に有する前記蓋体を伝わって前記洗浄槽内に開口する排気路の開口部側へ移動するが、この洗浄液の移動は前記排気路の開口部と対峙するように前記蓋体から垂下するようにして設けたじゃま板により妨げられ、じゃま板を伝って洗浄槽内の洗浄液側に落下するので、洗浄槽の高さを高くすることなく、減圧下への気体の導入によって上昇した洗浄液が前記排気路の開口部から前記洗浄槽外へ持ち出されることを抑えることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記じゃま板は、少なくとも前記排気路の開口部よりも大きく、そして、前記じゃま板の少なくとも一側端と前記洗浄槽の内壁との間及び前記じゃま板の下端と前記洗浄槽内に供給した洗浄液の上面との間に通気路を保有する形状となっていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、前記じゃま板の少なくとも一側端と前記洗浄槽の内壁との間及び前記じゃま板の下端と前記洗浄槽内に供給した洗浄液の上面との間に通気路を保有する形状となっているので、前記じゃま板の存在が減圧手段による洗浄槽内の減圧の妨げにならないと共に、前記じゃま板は、少なくとも前記排気路の開口部よりも大きい形状となっているので、前記通気路を保有していても気体の導入によって上昇して前記排気路の開口部側へ吸引され移動する洗浄液は前記じゃま板によりその移動が妨げられるので、洗浄槽の高さを高くすることなく、前記排気路の開口部から前記洗浄槽外へ持ち出されることを抑えることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2のいずれか1に記載の、前記蓋体は、その一辺が前記蓋体とともに前記洗浄槽を構成する容器本体の開口部の一辺にヒンジにより回動可能に取り付けたものからなり、前記蓋体には液受け板を、前記ヒンジ近傍でかつ閉鎖時に前記容器本体の開口部内に収まる位置に、前記蓋体が取り付けられている前記容器本体の開口部の一辺と略平行に設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、前記蓋体を開いたとき、前記蓋体を伝わって流下する前記蓋体の内面に付着している液体が前記液受け板に受けられ、誘導されて前記洗浄槽内へ入るので、液体が前記洗浄槽の外へ落ちることを防止できる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1,2または3のいずれか1に記載の、前記じゃ板及び/または受け板に、押さえ蓋を着脱可能に保持する押さえ蓋保持部を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、蓋体を開いて、洗浄槽内へ被洗浄物が収容されたバスケットを配置し、また洗浄槽内から被洗浄物が収容されたバスケットを取り出す作業時に、洗浄運転中に洗浄槽内でバスケットの開口部に置かれる押さえ蓋を押さえ蓋保持部に保持させておくことにより、蓋体を押さえ蓋の収納場所として利用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、洗浄槽の高さを高くすることなく、減圧下に導入した気体により起こる洗浄液の上昇によって、洗浄液が洗浄槽内に開口する減圧手段における排気路の開口部から洗浄槽外へ持ち出されることを抑えることができるので、洗浄槽内への追加給水を減ずることができ、過度な追加給水による洗浄液における洗浄剤濃度の低下や洗浄液温度の低下を防止できることから、洗浄剤やエネルギーのロスを防ぐことができる。
さらに、蓋体を開いたとき、蓋体を伝わって流下する洗浄液を液受け板が洗浄槽内へ誘導するので、洗浄液が洗浄槽の外へ落ちることを防止できる。また、洗浄運転中に洗浄槽内でバスケットの開口部に置かれる押さえ蓋を、非運転時に押さえ蓋保持部に保持させておくことにより、蓋体を押さえ蓋の収納場所として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る洗浄装置の実施の形態の第1例を示す概略構成図である。
【図2】本例の洗浄装置の洗浄槽の一部省略横断面図である。
【図3】じゃま板の他例を示す洗浄装置の洗浄槽の一部省略横断面図である。
【図4】本例の洗浄装置における噴き上げられて上昇した洗浄液の状態を示す説明図である。
【図5】本発明に係る洗浄装置の実施の形態の第2例を示す一部省略斜視図である。
【図6】本例に示す液受け板の他例を示す一部省略斜視図である。
【図7】本例の洗浄装置の蓋体を閉じた状態を示す概略構成図である。
【図8】本例の洗浄装置の非運転時に、蓋体に押さえ蓋を保持させた状態を示す一部省略斜視図である。
【図9】本例の洗浄装置の蓋体を開いたとき、蓋体に付着した洗浄液の流下状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る洗浄装置を実施するための形態を、図面に示す実施例を参照して詳細に説明する。
図1乃至図4は本発明に係る洗浄装置の実施の形態の第1例を示すものであり、図1は本例の洗浄装置を示す概略構成図、図2は本例の洗浄装置の洗浄槽の一部省略横断面図、図3はじゃま板の他例を示す洗浄装置の洗浄槽の一部省略横断面図、図4は本例の洗浄装置における噴き上げられて上昇した洗浄液の状態を示す説明図である。
【0018】
本例の洗浄装置は、洗浄液1を貯留して被洗浄物2が浸漬される洗浄槽3と、洗浄槽3内の気体を外部へ吸引排出して洗浄槽3内を減圧する減圧手段4と、減圧下の洗浄槽3内の洗浄液1中に気体を導入する給気手段5と、洗浄槽3内へ給水する給水手段6と、洗浄槽3内へ洗浄剤を供給する洗浄剤供給手段7と、洗浄槽3内の洗浄液1を加熱する加熱手段8と、洗浄槽3内の洗浄液1を排出する排水手段9と、洗浄槽3内の気相部の圧力を検出する圧力センサ10と、洗浄槽3内の液相部の温度、即ち洗浄液1の温度を検出する温度センサ11と、常に洗浄槽3内における洗浄液1の液位を検出する液位検出手段12と、圧力センサ10と温度センサ11と液位検出手段12の検出信号などに基づいて減圧手段4,給気手段5,給水手段6,洗浄剤供給手段7,加熱手段8,排水手段9を制御する制御手段(図示せず)を備えている。
【0019】
前記した洗浄槽3は耐圧容器であって、上部を開口する容器本体13と、容器本体13の開口部を開閉する蓋体14とからなり、容器本体13と蓋体14との間はパッキン15で封止されるようになっている。
【0020】
また、減圧手段4にあっては、洗浄槽3と接続する排気路16と、排気路16を介して洗浄槽3内の気体を外部へ吸引排出する真空ポンプ17とで構成されている。洗浄槽3における容器本体13の上部には、洗浄槽3内に開口する排気路16の開口部18が設けられている。そして、排気路16には、洗浄槽3と真空ポンプ17との間に逆止弁19が設けられている。
【0021】
また、給気手段5にあっては、減圧下の洗浄槽3内の洗浄液1中に気体を導入する給気路20と、洗浄槽3内の底部に設けられた給気パイプ21とで構成されている。給気路20には給気弁22とフィルター23が設けられており、洗浄槽3内が減圧された状態で給気弁22を開くと、差圧により外気を洗浄槽3内へ導入することができるようになっている。前記した給気パイプ21には気体を導出する気体導出孔24が設けられている。
【0022】
また、給水手段6にあっては、洗浄槽3と接続する給水路25と給水源(図示せず。)とで構成されている。給水路25には給水弁26が設けられている。
また、洗浄剤供給手段7にあっては、洗浄槽3と接続する洗浄剤供給路27と洗浄剤収容部28とで構成されている。洗浄剤供給路27には洗浄剤供給弁29が設けられている。
【0023】
また、加熱手段8にあっては、本例では電気ヒータが用いられ、電気ヒータが洗浄槽3内に設けられて洗浄液1を加熱するように構成されている。
また、排水手段9にあっては、洗浄槽3の底部に排水路30が接続された構成となっており、排水路30には排水弁31が設けられている。
【0024】
このように構成した洗浄装置にあって、洗浄液1を貯留して被洗浄物2が浸漬される洗浄槽3の蓋体14に、洗浄槽3内に開口する減圧手段4における排気路16の開口部18と対峙するようにじゃま板32が蓋体14から垂下するようにして設けられている。
じゃま板32は、洗浄槽3内に開口する排気路16の開口部18よりも大きい矩形状に形成されており、そして、じゃま板32の側端と洗浄槽3の容器本体13の内壁との間及びじゃま板32の下端と洗浄槽3内に供給した洗浄液1の上面との間に通気路33,34を保有する形状となっている(図1、図2参照。)。
【0025】
本例では、排気路16の開口部18の幅に対してじゃま板32の長さ(図2のL1)は、両端とも50mm〜100mm長くなるようにしており、かつ、通気路33となる容器本体13の内壁とじゃま板32の間は30mm〜100mmの間隔を設けるようにしている。通気路34となるじゃま板32と洗浄液1の所定水位における上面との間の間隔L2は50mm〜100mmとし、じゃま板32と対峙する開口部18は、じゃま板32から外れない位置に開口しており、じゃま板32の下端は開口部18の下縁より下になるように設定している。じゃま板32と洗浄槽3内に開口する開口部18との間隔L3は30mm〜70mmに設定している。
【0026】
本例では、じゃま板32の両側端と洗浄槽3の容器本体13の内壁との間に通気路33を保有する形状となっているが、図3に示すように、じゃま板32の一側端と洗浄槽3の容器本体13の内壁との間に通気路33を保有する形状としてもよい。
【0027】
このように構成された本例の洗浄装置による洗浄は、次の工程で行われる。
〈給水工程〉
先ず、給水弁26を開き被洗浄物2が投入された洗浄槽3の容器本体13内に給水する。このとき、給水と同時に減圧手段4を作動させて洗浄槽3内を減圧してもよい。そして、液位検出手段が設定液位まで給水されたことを検出したら給水弁26を閉じ、給水を停止する。このとき、減圧手段4を作動させていた場合はその作動を停止し、給気を行う。
【0028】
〈洗浄剤投入工程〉
次に、減圧手段4を作動させて洗浄槽3を所定圧力まで減圧した後、減圧手段4を停止させ、洗浄液供給弁29を開き、洗浄槽3内に洗浄液を設定時間引き込んで給水に投入させて洗浄液1とする。そして、設定時間が経過したら洗浄液供給弁29を閉じる。
【0029】
〈加熱工程〉
洗浄剤を所定量投入したら、加熱手段8により洗浄液1を所定温度まで加熱する。所定温度まで加熱したら、洗浄槽3を所定圧力まで減圧し、給気手段5により洗浄槽3内の洗浄液1側に給気して洗浄液1を攪拌する。この動作を洗浄液1の温度が目標温度(例えば、50℃)となるまで一定のインターバルで繰り返す。洗浄液1の温度が目標温度に到達したら、加熱手段8をON−OFF制御することにより、目標温度を維持させる。
【0030】
〈洗浄工程〉
洗浄液1の温度を目標温度に維持させた状態で、減圧手段4により洗浄槽3内の気体を外部へ吸引排出して洗浄槽3内の気相部の圧力を減圧して、洗浄液1の飽和蒸気圧力以下またはその直前まで下げ(例えば、目標温度から0.5℃低い温度まで下げておく。)、洗浄槽3内の洗浄液1を沸騰可能な状態とする。この状態では、通常、洗浄槽3内の洗浄液1の少なくとも一部において沸騰が生じた状態となる。
【0031】
この状態で、給気手段5により減圧下の洗浄槽3内の洗浄液1中に被洗浄物2よりも下方から気体を導入する。この導入された気体が洗浄液1の沸騰の核となり、導入した気体と洗浄液1の境界層、特にその下層で激しい沸騰が起こり、大きな気泡が形成され、この大きく形成された気泡が上昇することで洗浄液が大きく噴き上げられて上昇し下降する。この激しい洗浄液1の上昇,下降によって、洗浄槽3内の洗浄液1が大きく揺動し、被洗浄物2が洗浄される。このような所定圧までの減圧と、その減圧による沸騰可能な状態にある洗浄液1中への気体の導入による洗浄液の上昇,下降を繰り返し(例えば、10回前後)行うことにより被洗浄物2の洗浄を行う。
【0032】
このようにして行われる洗浄中では、減圧手段4は継続して作動している状態にあり、上昇した洗浄液1が洗浄槽3内を減圧している減圧手段4の吸引により排気路16の開口部18側へ引き寄せられて移動するが、この洗浄液1の移動は排気路16の開口部18と対峙するように蓋体14から垂下するようにして設けたじゃま板32により妨げられ、じゃま板32を伝って洗浄槽3内の洗浄液1に落下する。
【0033】
特に、上昇して洗浄槽3の上部に有する蓋体14に接触した洗浄液1は、その表面張力によって一定量が蓋体14の裏面に止まっており、この洗浄液1が減圧手段4の吸引により蓋体14を伝わって排気路16の開口部18側へ引き寄せられて流れるが、このような洗浄液1の排気路16の開口部18側への流れをじゃま板32により妨げ、この洗浄液1をじゃま板32を伝って洗浄槽3内の洗浄液1に落下させることができる。これにより、上昇した洗浄液1が排気路16の開口部18から洗浄槽3外へ持ち出されることが抑えられる(図4参照。)。
【0034】
本例では、じゃま板32は、洗浄槽3内に開口する排気路16の開口部18よりも大きい矩形状に形成されており、そして、じゃま板32の側端と洗浄槽3の容器本体13の内壁との間及びじゃま板32の下端と洗浄槽3内に供給した洗浄液1の上面との間に、通気を妨げない通気路33,34を保有する形状となっているので、じゃま板32の存在が減圧手段4による洗浄槽3内の減圧の妨げにならない。
【0035】
また、じゃま板32は洗浄槽3の上部に有する蓋体14に設けられているので、洗浄槽3の容器本体13内へ被洗浄物2を収容したバスケット35を出し入れする際の支障になることはない。
【0036】
〈排水工程〉
被洗浄物2の洗浄が終了したら排水弁31を開き、洗浄槽3内の洗浄液1を排出し、液位検出手段12により洗浄液1が完全に排出されたことを確認したら排水弁31を閉じ、排水工程を終了する。
【0037】
〈すすぎ工程〉
前記した、給水工程、加熱工程、洗浄工程と同じ工程により行われる。すすぎ工程では、洗浄工程の前に、すすぎ剤が前記した洗浄剤の投入と同じ制御によって投入される。
【0038】
〈排水工程〉
被洗浄物2のすすぎが終了したら排水弁31を開いて洗浄槽3内の液体を排出し、液位検出手段12により液体が完全に排出されたことを確認したら排水弁31を閉じる。
前記したすすぎ工程と排水工程を複数回繰り返すことにより、本例の洗浄装置による洗浄の全ての工程が終了する。
【0039】
図5乃至図9は本発明に係る洗浄装置の実施の形態の第2例を示すものであり、図5は本発明に係る洗浄装置の実施の形態の第2例を示す一部省略斜視図、図6は本例に示す液受け板の他例を示す一部省略斜視図、図7は本例の洗浄装置の蓋体を閉じた状態を示す概略構成図、図8は本例の洗浄装置の非運転時に、蓋体に押さえ蓋を保持させた状態を示す一部省略斜視図、図9は本例の洗浄装置の蓋体を開いたとき、蓋体に付着した洗浄液の流下状態を示す説明図である。
【0040】
本例の洗浄装置について、前記第1例と同一の構成については同一の符号を付しその説明を省略し、第1例と異なる構成についてのみ説明する。
本例の洗浄装置は、洗浄槽3を構成する容器本体13の開口部を開閉する蓋体14は、容器本体13の開口部の一辺にヒンジ36により回動可能に取り付けられている。蓋体14には液受け板37が、ヒンジ36の近傍でかつ閉鎖時に容器本体13の開口部内に収まる位置に、蓋体14が取り付けられている容器本体13の開口部の一辺と略平行に設けられている。
【0041】
この液受け板37は、蓋体14に設けられているじゃま板32と同様に、蓋体14から垂下するようにして設けられており、その垂下長は、特に限定されないが、少なくとも蓋体14を開いたとき、蓋体14を伝わって流下する蓋体14の内面に付着している液体39を受け洗浄槽3内へ誘導し滴下させる長さに設定されている。また、液受け板37の横幅長にあっては、蓋体14の開閉の妨げにならない範囲で、可能な限り容器本体13の開口部の一辺の両側辺の内壁に近づく長さであることが好ましい。
本例では、液受け板37は、その幅方向の端部がじゃま板32の端部と接続し一体となって、液受け板37とじゃま板32とで略L字状を形成しているが、図に示すように、液受け板37とじゃま板32が別体となっていてもよい。
【0042】
また、本例では、じゃま板32と液受け板37に、押さえ蓋38を着脱可能に保持する押さえ蓋保持部40,41が設けられている。押さえ蓋38は、洗浄槽3内に配置された最上部の被洗浄物2を収容するバスケット35の開口部に置かれ、洗浄運転中に噴き上げられて上昇する洗浄液1に伴って上昇する被洗浄物2の損傷や散乱を防止するものとして使用される。
本例で使用される押さえ蓋38は、バスケット35の開口部の対応する大きさに形成された網板状に構成されており、一方の面には取っ手42が所定の高さまで突出させて設けられている。取っ手42の高さは、図7に示すように、押さえ蓋38を洗浄槽3内に配置された最上部のバスケット35の開口部に置き、蓋体14を閉じたとき、その先端部42aが蓋体14の内面(洗浄槽3側の面)に当接して下方に押さえつけられる高さに設定されている。
このように使用される押さえ蓋38を着脱可能に保持する蓋保持部40,41はフック状に形成され、図8に示すように、蓋保持部40,41に押さえ蓋38の縁部を係止させることにより保持できるようになっている。
【0043】
この押さえ蓋38を保持する前記じゃま板32と液受け板37に設けられた押さえ蓋受け部40,41にあっては、本例では、じゃま板32に設けられた押さえ蓋受け部40は、じゃま板32の内側面に板状材をフック状に突出させて設けた構成となっており、液受け板37に設けられた押さえ蓋受け部41は、液受け板37の端部を内側へフック状に折曲した折曲片により構成されており、押さえ蓋38は、その一縁部がじゃま板32に設けられた押さえ蓋受け部40に着脱可能に係止することにより保持され、他縁部が液受け板37に設けられた押さえ蓋受け部41に着脱可能に係止することにより保持されるようになっている。
前記押さえ蓋受け部40,41の形状にあっては、押さえ蓋38を着脱可能に受けて支持できるものであれば特に限定されない。また、本例では、じゃま板32と液受け板37のそれぞれに押さえ蓋受け部40,41が設けられているが、押さえ蓋38を着脱可能に係止することにより保持できれば、じゃま板32或いは液受け板37のいずれか片方に押さえ蓋受け部40或いは押さえ蓋受け部41を設けたものであってもよい。
その他の構成は前記第1例と同様なので、第1例の説明を援用し、その説明を省略する。
【0044】
このように構成された本例の洗浄装置による洗浄は、前記第1例と同様に、給水工程、洗浄剤投入工程、加熱工程、洗浄工程、排水工程、すすぎ工程、排水工程の順で行われ、同様の作用を生じる。さらに、本例の洗浄装置は、蓋体14に、第1例の構成には存在しない液受け板37、押さえ蓋受け部40,41が設けられており、液受け板37、押さえ蓋受け部40,41から第1例には無い作用を生じる。よって、第1例と同様の洗浄工程および作用は第1例の説明を援用してその説明を省略し、本例の洗浄装置の独自の作用についてのみ説明する。
【0045】
本例では、じゃま板32と液受け板37に、押さえ蓋38を保持する押さえ蓋受け部40,41が設けられているので、蓋体14を開いて、洗浄槽3内に被洗浄物2が収納されたバスケット35を配置する作業時や、また洗浄槽3内から被洗浄物2が収容されたバスケット35を取り出す作業時に、押さえ蓋38を保持する前記じゃま板32と液受け板37に設けられた押さえ蓋受け部40,41に押さえ蓋38の縁部を係止させて保持させることにより、蓋体14を押さえ蓋38の収納場所として利用することができる(図8参照。)。
そして、洗浄運転時には、押さえ蓋38を洗浄槽3内に配置された最上部のバスケット35の開口部に置き、蓋体14を閉じたとき、その先端部42aが蓋体14の内面(洗浄槽3側の面)に当接して下方に押さえつけるので(図7参照。)、バスケット35の開口部が押さえ蓋38で下期日に押さえられ、噴き上げられて上昇する洗浄液1に伴って上昇する被洗浄物2の損傷や散乱を防止すことができる。
【0046】
また、本例では、洗浄槽3を構成する容器本体13の開口部を開閉する蓋体14は、容器本体13の開口部の一辺にヒンジ36により回動可能に取り付けられており、蓋体14には液受け板37が、ヒンジ36の近傍でかつ閉鎖時に容器本体13の開口部内に収まる位置に、蓋体14が取り付けられている容器本体13の開口部の一辺と略平行に設けられているので、前記したすすぎ工程と排水工程を複数回繰り返すことにより、本例の洗浄装置による洗浄の全ての工程が終了した後、蓋体14を開いたとき、図9に示すように、蓋体14に付着していた液体39が蓋体14を伝わって流下したとき、この流下した液体39は液受け板37に受けられ、誘導されて洗浄槽3内へ滴下するので、液体39が洗浄槽3の外へ落ちることが防止される。
【符号の説明】
【0047】
1 洗浄液
2 被洗浄物
3 洗浄槽
4 減圧手段
5 給気手段
6 給水手段
13 容器本体
14 蓋体
16 排気路
18 開口部
32 じゃま板
33,34 通気路
36 ヒンジ
37 液受け板
38 押さえ蓋
39 液体
40,41 押さえ蓋受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に蓋体を有する洗浄槽と、前記洗浄槽内を減圧する減圧手段と、前記洗浄槽内に気体を導入する給気手段を備え、減圧下の前記洗浄槽内の洗浄液中に気体を導入し洗浄液を上昇,下降させて被洗浄物の洗浄を行う洗浄装置において、
前記蓋体に、前記洗浄槽内に開口する減圧手段における排気路の開口部と対峙するようにじゃま板を前記蓋体から垂下するようにして設けたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記じゃま板は、少なくとも前記排気路の開口部よりも大きく、そして、前記じゃま板の少なくとも一側端と前記洗浄槽の内壁との間及び前記じゃま板の下端と前記洗浄槽内に供給した洗浄液の上面との間に通気路を保有する形状となっていることを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記蓋体は、その一辺が前記蓋体とともに前記洗浄槽を構成する容器本体の開口部の一辺にヒンジにより回動可能に取り付けたものからなり、前記蓋体には液受け板を、前記ヒンジ近傍でかつ閉鎖時に前記容器本体の開口部内に収まる位置に、前記蓋体が取り付けられている前記容器本体の開口部の一辺と略平行に設けたことを特徴とする請求項1または2のいずれか1に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記じゃ板及び/または受け板に、押さえ蓋を着脱可能に保持する押さえ蓋保持部を設けたことを特徴とする請求項1,2または3のいずれか1に記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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