説明

洗浄装置

【課題】設計(レイアウト)が容易となるとともに、洗浄液の補充作業が容易となる洗浄装置を提供すること。
【解決手段】洗浄装置は、注水口4aを有する主タンク4と、フロントウィンドウ6に向けられたフロントノズル7と、主タンク4内の洗浄液をフロントノズル7に送給可能なウォッシャポンプ5と、主タンク4と異なる位置に設けられた副タンク8と、車載カメラ(リヤビューカメラ)2のレンズ2aに向けられたリヤビューノズル10と、副タンク8内の洗浄液をリヤビューノズル10に送給可能なリヤビューポンプ9と、ウォッシャポンプ5とフロントノズル7とを接続する流路(主配管11a,11b)上に設けられ、ウォッシャポンプ5が主タンク4内の洗浄液を副タンク8に送給可能となるように、流路を切替可能な電磁切替バルブ13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられる洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を後退させる際に、車両後方の状況を車両後部に配置した車載カメラにて撮影して、その撮影映像をカーナビゲーション用のディスプレイに表示させて確認できるようにしたものが知られている。この車載カメラは、車両の外部に配置されるためにレンズに泥等が付着して車両の後方状況が十分に撮影できず、後方状況が確認し難くなる虞があるといった問題がある。
【0003】
そこで、車載カメラのレンズに洗浄液を吹き付けて付着物を除去すべく、レンズに向けられたノズルを設けるとともに、タンクからノズルに洗浄液を送給する電動ポンプを設けた洗浄装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−255018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した洗浄装置では、車載カメラのレンズを洗浄するための専用のタンク及び電動ポンプを独立して(一般的に設けられるウィンドウ洗浄装置のタンクや電動ポンプとは関係なく)車両に配置していた。これにより、例えば、車載カメラのレンズを洗浄するための専用のタンクに注水口を設ける必要があることから、その注水口の位置を考慮した設計(レイアウト)が難しいという問題があった。具体的には、例えば、車両外観を損ねないように車室内に車載カメラのレンズを洗浄するための専用のタンクの注水口を配置すると、注水時の洗浄液の溢れ等を考慮して、受け皿を設ける等その周辺を特殊な構造としなければならない等の問題が生じてしまっていた。又、勿論、車載カメラのレンズを洗浄するための専用のタンクとウィンドウ洗浄装置のタンクには、それぞれに別途、洗浄液の補充を行う必要があり、その作業が煩雑であった。
【0006】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、設計(レイアウト)が容易となるとともに、洗浄液の補充作業が容易となる洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明では、注水口を有する主タンクと、第1洗浄部に向けられた第1ノズルと、前記主タンク内の洗浄液を前記第1ノズルに送給可能な第1電動ポンプと、前記主タンクと異なる位置に設けられた副タンクと、第2洗浄部に向けられた第2ノズルと、前記副タンク内の洗浄液を前記第2ノズルに送給可能な第2電動ポンプと、前記第1電動ポンプと前記第1ノズルとを接続する流路上に設けられ、前記第1電動ポンプが前記主タンク内の洗浄液を前記副タンクに送給可能となるように、流路を切替可能な切替装置とを備えた洗浄装置を要旨とする。
【0008】
同構成によれば、第1電動ポンプと第1ノズルとを接続する流路上に設けられ、主タンク内の洗浄液を第1ノズルに送給可能な第1電動ポンプが主タンク内の洗浄液を副タンクに送給可能となるように、流路を切替可能な切替装置を備えて、主タンク内の洗浄液を副タンクに送給することができるので、副タンクに注水口を設ける必要がなくなる。よって、例えば、副タンクの配置場所の設計にその注水口を考慮する必要がなくなり、設計(レイアウト)が容易となる。具体的には、例えば、車両外観を損ねないように車室内に副タンクの注水口を配置する場合等では、注水時の洗浄液の溢れ等を考慮して、受け皿を設ける等その周辺を特殊な構造とする必要が生じてしまうが、このような周辺の特殊な構造が不要となる。又、例えば、洗浄液の補充は、主タンクの注水口にのみ行えばよいため、その作業が容易となる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の洗浄装置において、前記主タンク及び前記第1電動ポンプは、車両前方側に配置され、前記第1ノズルが向けられた前記第1洗浄部は、車両後方側に設けられたリヤウィンドウであり、前記副タンク及び前記第2電動ポンプは、車両後方側に配置され、前記第2ノズルが向けられた前記第2洗浄部は、車両後方側に設けられた車載カメラのレンズであり、前記切替装置は、前記第1電動ポンプと前記第1ノズルとを接続する流路上における車両後方側に配置されたことを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、主タンク及び第1電動ポンプは、車両前方側に配置され、第1電動ポンプと主配管で接続される第1ノズルは車両後方側に配置される。又、副タンク、第2電動ポンプ、及び第2ノズルは後方側に配置される。そして、切替装置は、第1電動ポンプと第1ノズルとを接続する流路(主配管)上における車両後方側に配置されるため、車両前方側に配置した場合に比べて、車両前方側から車両後方側に達する長い配管を少なく(一本に)することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の洗浄装置において、前記副タンクには、その洗浄液の量を検知可能な液量センサが設けられたことを要旨とする。
同構成によれば、副タンクには、その洗浄液の量を検知可能な液量センサが設けられるため、例えば、副タンクを目視が困難な位置に設けても、液量センサからの情報に基づいて、種々の操作や制御が可能となる。これにより、副タンクの配置場所の設計(レイアウト)が更に容易となる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の洗浄装置において、前記液量センサにて洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことが検知されると、その旨を報知するための報知手段を備えたことを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、液量センサにて洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことが検知されると、その旨を報知するための報知手段を備えるため、搭乗者は洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことを容易に知ることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項3又は4に記載の洗浄装置において、前記液量センサにて洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことが検知されると、前記第1電動ポンプが前記主タンク内の洗浄液を前記副タンクに送給するように前記切替装置及び前記第1電動ポンプを制御する自動補充制御部を備えたことを要旨とする。
【0015】
同構成によれば、液量センサにて洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことが検知されると、第1電動ポンプが主タンク内の洗浄液を副タンクに送給するように切替装置及び第1電動ポンプを制御する自動補充制御部を備えるため、副タンク内の洗浄液が少なくなったときに、自動で補充させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の洗浄装置において、前記自動補充制御部は、予め設定された時間だけ洗浄液を前記副タンクに送給させることを要旨とする。
同構成によれば、前記自動補充制御部は、予め設定された時間だけ洗浄液を副タンクに送給させるため、例えば、必要以上に送給される動作が続けられてしまうことを防止することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明では、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の洗浄装置において、前記洗浄液を前記副タンクに送給するための補充スイッチと、前記補充スイッチの操作が継続されている間は前記第1電動ポンプが前記主タンク内の洗浄液を前記副タンクに送給するように前記切替装置及び前記第1電動ポンプを制御する手動補充制御部とを備えたことを要旨とする。
【0018】
同構成によれば、補充スイッチの操作が継続されている間は第1電動ポンプが主タンク内の洗浄液を副タンクに送給するように切替装置及び第1電動ポンプを制御する手動補充制御部を備えるため、乗員の意志に応じた量だけ副タンク内に洗浄液を補充させることができる。特に、請求項6に記載の構成にこの構成が適用されると、例えば、自動で停止した後に、更に乗員の意志に応じた量を追加補充させることができる。
【0019】
請求項8に記載の発明では、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の洗浄装置において、前記切替装置は、洗浄液を前記副タンクに送給するときのみ、前記主タンク内の洗浄液を前記副タンクに送給可能となるように流路を切替えて、洗浄液を前記副タンクに送給するとき以外は、前記主タンク内の洗浄液を前記第1ノズルに送給可能な状態に流路を保持するように設定されたことを要旨とする。
【0020】
同構成によれば、切替装置は、洗浄液を前記副タンクに送給するとき以外は、主タンク内の洗浄液を第1ノズルに送給可能な状態に流路を保持するように設定されるため、例えば、切替装置が固着してしまう等、切替不能な状態となっても、主タンク内の洗浄液を第1ノズルに送給して第1洗浄部に洗浄液を噴射することが可能となる。即ち、第1洗浄部に洗浄液を噴射することが不能となる状態を極力回避することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、設計(レイアウト)が容易となるとともに、洗浄液の補充作業が容易となる洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施の形態における洗浄装置を備えた車両の概略構成図。
【図2】別例における洗浄装置を備えた車両の概略構成図。
【図3】別例における洗浄装置を備えた車両の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の洗浄装置の一実施の形態を図1に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、その車両後方側(図1中、右側)に車載カメラ(リヤビューカメラ)2が設けられ、第2洗浄部としての車載カメラ2のレンズ2aが後方に向かって露出して配置されている。
【0024】
又、車両1のコンソールパネルには、カーナビゲーション情報を表示したり、図示しないシフトレバーを後進位置(リバース位置)とした際に前記車載カメラ2からの撮影映像を表示する等の種々の情報を表示可能なディスプレイ3が設けられている。
【0025】
又、車両1の車両前方側(図1中、左側)であるエンジンルーム内には、注水口4aを有し洗浄液を貯留可能な主タンク4と、該主タンク4に固定された第1電動ポンプとしてのウォッシャポンプ5とが配置されている。
【0026】
又、車両1において、第1洗浄部としてのフロントウィンドウ6近傍位置には、該フロントウィンドウ6に向けられた第1ノズルとしての一対のフロントノズル7が配置されている。
【0027】
又、車両1の車両後方側には、洗浄液を貯留可能な副タンク8と、該副タンク8に固定された第2電動ポンプとしてのリヤビューポンプ9が配置されている。又、副タンク8には、その洗浄液の量を検知可能な液量センサSが設けられている。本実施の形態の液量センサSは、副タンク8内の洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったか否かを液面の高さで検知可能な液面レベルセンサが採用されている。尚、副タンク8の容量は、主タンク4の容量より小さく設定されている。又、リヤビューポンプ9は、ウォッシャポンプ5よりも高圧で洗浄液を送給可能な仕様のものが採用されている。
【0028】
又、車両1において、前記車載カメラ2のレンズ2a近傍位置には、該レンズ2aに向けられた第2ノズルとしてのリヤビューノズル10が配置されている。
そして、前記ウォッシャポンプ5は、主配管11a,11bが構成する流路によってフロントノズル7と接続(連通)され、主タンク4内の洗浄液をフロントノズル7に送給可能とされている。又、前記リヤビューポンプ9は、リヤビュー配管12が構成する流路によってリヤビューノズル10と接続(連通)され、副タンク8内の洗浄液をリヤビューノズル10に送給可能とされている。
【0029】
又、ここで、本実施の形態の車両1は、ウォッシャポンプ5とフロントノズル7とを接続する流路(主配管11a,11b)上に設けられ、ウォッシャポンプ5が主タンク4内の洗浄液を副タンク8に送給可能となるように、流路を切替可能な切替装置としての電磁切替バルブ13を備えている。詳しくは、電磁切替バルブ13は、補充配管14が構成する流路によって前記副タンク8と接続(連通)されている。そして、電磁切替バルブ13は、その図示しない励磁コイルが非通電状態のときは、主配管11a,11bを通って主タンク4内の洗浄液がフロントノズル7に送給される状態を保持し、励磁コイルが通電状態とされると、主配管11a,11bの途中から分岐して補充配管14を通って主タンク4内の洗浄液が副タンク8に送給される状態とする。この励磁コイルの通電は、車両1に設けられた自動補充制御部及び手動補充制御部としての制御部21により行われる。
【0030】
制御部21は、前記電磁切替バルブ13(その励磁コイル)と、前記ウォッシャポンプ5と、前記リヤビューポンプ9と、前記液量センサSと、報知手段をも構成する前記ディスプレイ3と、ステアリング22の近傍に設けられた補充スイッチとしての操作レバー23とに電気的に接続されている。
【0031】
この制御部21は、液量センサSにて洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことが検知されると、その旨をディスプレイ3に表示させる。
又、制御部21は、液量センサSにて洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことが検知されると、ウォッシャポンプ5が主タンク4内の洗浄液を副タンク8に送給するように電磁切替バルブ13及びウォッシャポンプ5を制御する。即ち、制御部21は、電磁切替バルブ13の励磁コイルを通電状態として、前記ウォッシャポンプ5の駆動源であるモータに駆動電流を供給する。
【0032】
又、制御部21は、タイマーを有し、予め設定された時間だけ洗浄液を副タンク8に送給させる。
又、前記操作レバー23は、例えば、ワイパ装置を操作するためのレバーと共用とされ、洗浄液を副タンク8に送給するための補充用操作が可能なもの(例えば、専用のスイッチが追加されたもの)とされている。
【0033】
そして、制御部21は、操作レバー23の補充用操作が継続されている間はウォッシャポンプ5が主タンク4内の洗浄液を副タンク8に送給するように電磁切替バルブ13及びウォッシャポンプ5を制御する。即ち、制御部21は、前記補充用操作が継続されている間は、電磁切替バルブ13の励磁コイルを通電状態として、前記ウォッシャポンプ5の駆動源であるモータに駆動電流を供給する。
【0034】
尚、前記操作レバー23は、洗浄液をフロントノズル7に送給するためのフロント洗浄操作が可能なものとされ、該フロント洗浄操作が行われると制御部21は、電磁切替バルブ13の励磁コイルを非通電状態のままとして、前記ウォッシャポンプ5の駆動源であるモータに駆動電流を供給する。又、図示しないシフトレバーを後進位置(リバース位置)とすると、制御部21は、前記リヤビューポンプ9の駆動源であるモータに予め設定した時間だけ駆動電流を供給する。
【0035】
又、上記電磁切替バルブ13は、上記構成及び制御により、洗浄液を副タンク8に送給するときのみ、主タンク4内の洗浄液を副タンク8に送給可能となるように流路を切替え、洗浄液を副タンク8に送給するとき以外は、主タンク4内の洗浄液をフロントノズル7に送給可能な状態に流路を保持するように設定されている。
【0036】
次に上記のように構成された洗浄装置の作用について説明する。
例えば、シフトレバーが後進位置(リバース位置)とされると、制御部21にてリヤビューポンプ9の駆動源であるモータに予め設定した時間だけ駆動電流が供給され、副タンク8内の洗浄液がリヤビューノズル10に送給されて、該リヤビューノズル10から車載カメラ2のレンズ2aに洗浄液が噴射される。よって、車載カメラ2のレンズ2aが洗浄され、車載カメラ2からの撮影映像が良好にディスプレイ3に表示される。
【0037】
そして、例えば、液量センサSにて副タンク8の洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことが検知されると、その旨がディスプレイ3に表示される。
又、液量センサSにて洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことが検知されると、ウォッシャポンプ5が主タンク4内の洗浄液を副タンク8に送給するように電磁切替バルブ13及びウォッシャポンプ5が制御される。このとき、予め設定された時間だけ洗浄液が副タンク8に送給される。よって、主タンク4内の洗浄液は、主配管11a、電磁切替バルブ13、及び補充配管14を通って副タンク8に送給され、該副タンク8内の洗浄液が良好に補充される。
【0038】
又、例えば、液量センサSにて洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことが検知されたか否かに関わらず、操作レバー23の補充用操作が行われると、該操作が継続されている間はウォッシャポンプ5が主タンク4内の洗浄液を副タンク8に送給するように電磁切替バルブ13及びウォッシャポンプ5が制御される。
【0039】
次に、上記実施の形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)ウォッシャポンプ5とフロントノズル7とを接続する流路(主配管11a,11b)上に設けられ、ウォッシャポンプ5が主タンク4内の洗浄液を副タンク8に送給可能となるように、流路を切替可能な電磁切替バルブ13を備える。これにより、主タンク4内の洗浄液を副タンク8に送給することができるので、副タンク8に注水口を設ける必要がなくなる。よって、例えば、副タンク8の配置場所の設計にその注水口を考慮する必要がなくなり、設計(レイアウト)が容易となる。具体的には、例えば、車両外観を損ねないように車室内に副タンクの注水口を配置する場合等では、注水時の洗浄液の溢れ等を考慮して、受け皿を設ける等その周辺を特殊な構造とする必要が生じてしまうが、このような周辺の特殊な構造が不要となる。又、例えば、洗浄液の補充は、主タンク4の注水口4aにのみ行えばよいため、その作業が容易となる。
【0040】
(2)副タンク8には、その洗浄液の量を検知可能な液量センサSが設けられるため、例えば、副タンク8を目視が困難な位置に設けても、液量センサSからの情報に基づいて、種々の操作や制御が可能となる。これにより、副タンク8の配置場所の設計(レイアウト)が更に容易となる。
【0041】
(3)液量センサSにて副タンク8内の洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことが検知されると、その旨を報知するためのディスプレイ3を備えるため、搭乗者は洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことを容易に知ることができる。
【0042】
(4)液量センサSにて副タンク8内の洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことが検知されると、ウォッシャポンプ5が主タンク4内の洗浄液を副タンク8に送給するように電磁切替バルブ13及びウォッシャポンプ5を制御する制御部21(自動補充制御部)を備える。よって、副タンク8内の洗浄液が少なくなったときに、自動で補充させることができる。
【0043】
(5)制御部21(自動補充制御部)は、予め設定された時間だけ洗浄液を副タンク8に送給させるため、例えば、必要以上に送給される動作が続けられてしまうことを防止することができる。
【0044】
(6)操作レバー23の補充用操作が継続されている間はウォッシャポンプ5が主タンク4内の洗浄液を副タンク8に送給するように電磁切替バルブ13及びウォッシャポンプ5を制御する制御部21(手動補充制御部)を備えるため、乗員の意志に応じた量だけ副タンク8内に洗浄液を補充させることができる。
【0045】
(7)電磁切替バルブ13は、洗浄液を副タンク8に送給するときのみ、主タンク4内の洗浄液を副タンク8に送給可能となるように流路を切替え、洗浄液を副タンク8に送給するとき以外は、主タンク4内の洗浄液をフロントノズル7に送給可能な状態に流路を保持するように設定される。よって、例えば、電磁切替バルブ13が固着してしまう等、切替不能な状態となっても、主タンク4内の洗浄液をフロントノズル7に送給してフロントウィンドウ6に洗浄液を噴射することが可能となる。即ち、フロントウィンドウ6に洗浄液を噴射することが不能となる状態を極力回避することができる。
【0046】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、第1電動ポンプをフロントウィンドウ6用のウォッシャポンプ5とし、第1ノズルをフロントノズル7とし、第1洗浄部をフロントウィンドウ6とし、電磁切替バルブ13が車両前方側に配置されたものとしたが、図2に示すように、電磁切替バルブが車両後方側に配置されるように具体化してもよい。
【0047】
詳しくは、この例(図2参照)のフロントウィンドウ6用のウォッシャポンプ31は、フロント配管32が構成する流路によってフロントノズル7と直接(電磁切替バルブを介さず)接続(連通)され、主タンク4内の洗浄液をフロントノズル7に送給可能とされている。
【0048】
又、この例の主タンク4には、更にウォッシャポンプ34が固定されている。このウォッシャポンプ34は、第1洗浄部としてのリヤウィンドウ33用のものであって、この例では、このウォッシャポンプ34が第1電動ポンプを構成している。
【0049】
又、車両1において、リヤウィンドウ33近傍位置には、該リヤウィンドウ33に向けられた第1ノズルとしてのリヤノズル35が配置されている。
そして、前記ウォッシャポンプ34は、車両1の前後に亘る主配管36a,36bが構成する流路によってリヤノズル35と接続(連通)され、主タンク4内の洗浄液をリヤノズル35に送給可能とされている。
【0050】
又、ここで、本実施の形態の車両1は、前記ウォッシャポンプ34とリヤノズル35とを接続する流路(主配管36a,36b)上に設けられ、ウォッシャポンプ34が主タンク4内の洗浄液を副タンク8に送給可能となるように、流路を切替可能な切替装置としての電磁切替バルブ37を備えている。詳しくは、電磁切替バルブ37は、補充配管14が構成する流路によって前記副タンク8と接続(連通)されている。そして、電磁切替バルブ37は、その図示しない励磁コイルが非通電状態のときは、主配管36a,36bを通って主タンク4内の洗浄液がリヤノズル35に送給される状態を保持し、励磁コイルが通電状態とされると、主配管36a,36bの途中から分岐して補充配管14を通って主タンク4内の洗浄液が副タンク8に送給される状態とする。そして、この電磁切替バルブ37は、車両後方側に配置されている。
【0051】
尚、この例の制御部21は、洗浄液を副タンク8に送給するとき、勿論、リヤウィンドウ33用のウォッシャポンプ34が主タンク4内の洗浄液を副タンク8に送給するように電磁切替バルブ37及びウォッシャポンプ34を制御する。又、この例では、主タンク4にフロントウィンドウ6用とリヤウィンドウ33用のウォッシャポンプ31,34がそれぞれ独立して固定される構成としたが、単一のウォッシャポンプが固定される構成としその駆動源であるモータを正逆回転させることでフロントノズル7側かリヤノズル35側に択一的に洗浄液を送給するものに具体化してもよい。
【0052】
この例では、主タンク4及びウォッシャポンプ34(第1電動ポンプ)は、車両前方側に配置され、ウォッシャポンプ34と主配管36a,36bで接続されるリヤノズル35(第1ノズル)は車両後方側に配置されている。又、副タンク8、リヤビューポンプ9(第2電動ポンプ)、及びリヤビューノズル10(第2ノズル)は後方側に配置される。そして、電磁切替バルブ37は、ウォッシャポンプ34とリヤノズル35とを接続する流路(主配管36a,36b)上における車両後方側に配置されるため、この例で電磁切替バルブを車両前方側に配置した場合に比べて、車両前方側から車両後方側に達する長い配管を少なく(主配管36aの一本に)することができる。言い換えると、主配管36a,36bの途中から分岐する補充配管14を短くすることができる。
【0053】
・上記実施の形態では、第2電動ポンプをリヤビューポンプ9とし、第2ノズルをリヤビューノズル10とし、第2洗浄部を車載カメラ2のレンズ2aとして該レンズ2aを洗浄する洗浄装置に具体化したが、洗浄する対象(第2洗浄部)を、例えば、図3に示すようにフロントレーダーセンサ41の発光面及び受光面としたものに具体化してもよい。
【0054】
この例では、車両1において、フロントレーダーセンサ41の発光面及び受光面の近傍位置には、該発光面及び受光面に向けられた第2ノズルとしてのセンサノズル42が配置されている。尚、この例では、主に上記実施の形態と第2洗浄部の位置が異なることによる(補充配管14の)取り回し等が異なるのみであるため、その他の構成は、名称が異なることになるものも上記実施の形態と同様の符号を付してその説明を省略する。このようにしても、設計(レイアウト)が容易となるとともに、洗浄液の補充作業が容易となる。
【0055】
・上記実施の形態では、副タンク8には、その洗浄液の量を検知可能な液量センサSが設けられるとしたが、これに限定されず、液量センサSが設けられていない構成に変更してもよい。尚、この場合は、勿論、操作レバー23の補充用操作を行う等、別の操作によって主タンク4内の洗浄液を副タンク8に送給させる必要がある。
【0056】
・上記実施の形態では、液量センサSにて副タンク8内の洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことが検知されると、その旨を報知するためのディスプレイ3を備えるとしたが、報知するための報知手段は、ディスプレイ3以外のもの(例えば、音声で報知するスピーカー等)に変更してもよいし、報知手段を備えていない構成としてもよい。
【0057】
・上記実施の形態では、制御部21は、副タンク8内の洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことが検知されると、洗浄液を副タンク8に送給するように電磁切替バルブ13及びウォッシャポンプ5を制御するとしたが、操作レバー23の補充用操作を行う等、別の操作によって洗浄液を副タンク8に送給させる構成としてもよい。
【0058】
・上記実施の形態では、制御部21(自動補充制御部)は、予め設定された時間だけ洗浄液を副タンク8に送給させるように制御するとしたが、これに限定されず、例えば、副タンク8内の洗浄液の上限量を検出可能な液量センサからの情報に基づいて送給を停止させるものとしてもよい。
【0059】
・上記実施の形態の電磁切替バルブ13は、同様に流路を切替可能な他の切替装置(例えば、モータや油圧を用いた切替装置等)に変更してもよい。
【符号の説明】
【0060】
2…車載カメラ、2a…車載カメラのレンズ(第2洗浄部)、3…ディスプレイ(報知手段)、4…主タンク、4a…注水口、5,34…ウォッシャポンプ(第1電動ポンプ)、6…フロントウィンドウ(第1洗浄部)、7…フロントノズル(第1ノズル)、8…副タンク、10…リヤビューノズル(第2ノズル)、13,37…電磁切替バルブ(切替装置)、21…制御部(自動補充制御部及び手動補充制御部)、23…操作レバー(補充スイッチ)、33…リヤウィンドウ(第1洗浄部)、35…リヤノズル(第1ノズル)、41…フロントレーダーセンサ(その発光面及び受光面が第2洗浄部を構成する)、42…センサノズル(第2ノズル)、S…液量センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注水口を有する主タンクと、
第1洗浄部に向けられた第1ノズルと、
前記主タンク内の洗浄液を前記第1ノズルに送給可能な第1電動ポンプと、
前記主タンクと異なる位置に設けられた副タンクと、
第2洗浄部に向けられた第2ノズルと、
前記副タンク内の洗浄液を前記第2ノズルに送給可能な第2電動ポンプと、
前記第1電動ポンプと前記第1ノズルとを接続する流路上に設けられ、前記第1電動ポンプが前記主タンク内の洗浄液を前記副タンクに送給可能となるように、流路を切替可能な切替装置と
を備えたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄装置において、
前記主タンク及び前記第1電動ポンプは、車両前方側に配置され、
前記第1ノズルが向けられた前記第1洗浄部は、車両後方側に設けられたリヤウィンドウであり、
前記副タンク及び前記第2電動ポンプは、車両後方側に配置され、
前記第2ノズルが向けられた前記第2洗浄部は、車両後方側に設けられた車載カメラのレンズであり、
前記切替装置は、前記第1電動ポンプと前記第1ノズルとを接続する流路上における車両後方側に配置されたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の洗浄装置において、
前記副タンクには、その洗浄液の量を検知可能な液量センサが設けられたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項4】
請求項3に記載の洗浄装置において、
前記液量センサにて洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことが検知されると、その旨を報知するための報知手段を備えたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の洗浄装置において、
前記液量センサにて洗浄液の量が予め設定された設定量未満となったことが検知されると、前記第1電動ポンプが前記主タンク内の洗浄液を前記副タンクに送給するように前記切替装置及び前記第1電動ポンプを制御する自動補充制御部を備えたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項6】
請求項5に記載の洗浄装置において、
前記自動補充制御部は、予め設定された時間だけ洗浄液を前記副タンクに送給させることを特徴とする洗浄装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の洗浄装置において、
前記洗浄液を前記副タンクに送給するための補充スイッチと、
前記補充スイッチの操作が継続されている間は前記第1電動ポンプが前記主タンク内の洗浄液を前記副タンクに送給するように前記切替装置及び前記第1電動ポンプを制御する手動補充制御部とを備えたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の洗浄装置において、
前記切替装置は、洗浄液を前記副タンクに送給するときのみ、前記主タンク内の洗浄液を前記副タンクに送給可能となるように流路を切替えて、洗浄液を前記副タンクに送給するとき以外は、前記主タンク内の洗浄液を前記第1ノズルに送給可能な状態に流路を保持するように設定されたことを特徴とする洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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