説明

洗浄装置

【課題】洗浄装置において、被洗浄物の表面に洗浄液を噴射して洗浄を行う場合に、被洗浄物の表面からの飛散物が種々の方向に飛散する場合でも再付着を防止することができるようにする。
【解決手段】洗浄装置1は、レンズ15を保持して回転させる回転保持部2と、回転保持部2に保持されたレンズ15上のスポット状の洗浄領域に洗浄液Lを噴射する洗浄液噴射部7と、洗浄領域の周囲を、回転中心に対する洗浄領域の相対移動方向における後方側から覆うように凸レンズ面15aに入射する層状気流17を形成する圧縮空気噴射部8と、回転保持部2および洗浄液噴射部7の少なくとも一方を移動させて、洗浄領域をレンズ15の回転中心から外周側に向かって相対移動させるとともに層状気流17の入射位置を洗浄領域の相対移動に追従して相対移動させる昇降ステージ6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被洗浄物の表面から、例えば微粒子などを除去する洗浄装置において、洗浄液を加圧して被洗浄物に噴射するジェット洗浄や、洗浄液を気体流中に混合して気体流とともに被洗浄物に噴射する2流体ジェット洗浄を行うものが知られている。
例えば、特許文献1には、このような洗浄装置の一例として、半導体や電子部品などの製造工程に好適な高圧ジェット洗浄装置が記載されている。この高圧ジェット洗浄装置は、水平に載置した被洗浄物上にスポット状の高圧水を鉛直上方から噴射し、被洗浄物を回転させながら高圧水の噴射ノズルを被洗浄物の中心から径方向外側に移動させることによって洗浄を行う。
このように高圧水等の洗浄液を被洗浄物に噴射すると、被洗浄物に付着した微粒子や不純物が飛散して、洗浄済みの被洗浄面に再付着する場合がある。
このため、特許文献2には、被洗浄物を水平方向に搬送し枚葉式で洗浄する洗浄装置において、被洗浄物上面に高圧力を加えた洗浄液を吹き付けるノズルと、被洗浄物の搬送方向の上流側及び下流側の少なくとも一方に備えられて洗浄液を溜める受け部と、そこに溜めた洗浄液を吸引するバキュームノズルを設けた洗浄装置が記載されている。
この洗浄装置では、洗浄液を被洗浄物に吹き付けることによってこの被洗浄物状のパーティクルを除去した後、この除去後のパーティクルを含んでいる洗浄液を受け部に溜めて吸飲して排除することによりパーティクルの再付着を防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭64−76724号公報
【特許文献2】特開2003−300023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術の洗浄装置には、以下の問題があった。
特許文献1に記載の高圧ジェット洗浄装置では、被洗浄物の表面から飛散した微粒子や、洗浄処理後の微粒子等を含んだ洗浄液が飛散して再付着することを防止する手段が設けられていない。このため、このような微粒子等の再付着によって洗浄後の被洗浄物が汚染されてしまうおそれがあるという問題がある。
特許文献2に記載の洗浄装置では、微粒子や洗浄使用後の洗浄液を受け部に溜めて吸引除去することができるが、受け部に溜められたものしか再付着を防ぐことができない。すなわち、微粒子や洗浄使用後の洗浄液が飛散していく場所が予め特定されない限り、再付着を防止できないという問題がある。
このため、特許文献2に記載の技術は、例えば、水平に搬送される半導体用基板、液晶表示パネル用ガラス基板等のような単純な形状の被洗浄物でないと良好な効果を期待できない技術である。
例えば、レンズのように、被洗浄面に凹凸があり、しかも大きさや曲率が製品種類によって異なるような場合には、微粒子や洗浄液等が飛散する位置が種々変化するため、再付着を防止することが難しくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、被洗浄物の表面に洗浄液を噴射して洗浄を行う場合に、被洗浄物の表面からの飛散物が種々の方向に飛散する場合でも再付着を防止することができる洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の洗浄装置は、被洗浄物を保持して回転させる回転保持部と、該回転保持部に保持された前記被洗浄物上のスポット状の洗浄領域に洗浄液を噴射する洗浄液噴射部と、前記回転保持部および前記洗浄液噴射部の少なくとも一方を移動させて、前記洗浄領域を前記被洗浄物の回転中心から外周側に向かって相対移動させる洗浄領域移動部と、前記洗浄領域の周囲を、前記回転中心に対する前記洗浄領域の相対移動方向における後方側から覆うように前記被洗浄物の表面に入射する層状気流を形成する層状気流形成部と、該層状気流の入射位置を前記洗浄領域の相対移動に追従して相対移動させる層状気流移動部と、を備える構成とする。
【0007】
また、本発明の洗浄装置では、前記洗浄液噴射部と前記層状気流形成部とを一体に保持する保持部と、該保持部および前記回転保持部の少なくとも一方を移動させる移動部と、を備え、前記洗浄領域移動部および前記層状気流移動部は、前記移動部で構成されることが可能である。
【0008】
また、本発明の洗浄装置では、前記洗浄液噴射部の噴射口の中心軸は、前記洗浄領域の中心位置における前記被洗浄物の表面の法線に対して前記洗浄領域の前記相対移動方向と反対側に傾けられることが可能である。
【0009】
また、本発明の洗浄装置では、前記層状気流の噴射方向は、前記洗浄領域の中心位置における前記被洗浄物の表面の法線に対して前記洗浄領域の前記相対移動方向と反対側であって、前記洗浄液噴射部の噴射口の中心軸よりも大きく傾けられたることが可能である。
【0010】
また、本発明の洗浄装置では、前記洗浄液噴射部を傾動可能に保持する傾動保持部と、前記洗浄液噴射部の噴射口の中心軸の、前記洗浄領域の中心位置における前記被洗浄物の表面の法線に対する角度が一定角度となるように、前記傾動保持部の傾動量を制御する傾動制御部と、を備えることが可能である。
【0011】
また、本発明の洗浄装置では、前記回転保持部は、前記被洗浄物の回転中心軸を鉛直軸から傾けて保持し、前記被洗浄物は光学素子であり、前記洗浄領域の相対移動方向が、前記光学素子の光軸を含む鉛直面に沿う方向に設定することが可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の洗浄装置によれば、洗浄液の噴射によって被洗浄物の表面からの飛散物が発生しても、層状気流によって洗浄位置の周囲が洗浄位置の移動方向の後方側から覆われ、層状気流よりも後方側への飛散物の飛散が阻止されるため、被洗浄物の表面に洗浄液を噴射して洗浄を行う場合に、被洗浄物の表面からの飛散物が種々の方向に飛散する場合でも再付着を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態の洗浄装置の概略構成を示す模式的な平面図および正面図である。
【図2】図1におけるA視図およびB視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の洗浄装置における正面視の動作説明図、および被洗浄面上の様子を示す模式説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の洗浄装置における作用を説明する模式図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の洗浄装置の概略構成を示す模式的な平面図および正面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の洗浄装置の制御ブロック図である。
【図7】図5におけるE視図およびF視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の洗浄装置における正面視の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0015】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態の洗浄装置について説明する。
図1(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の洗浄装置の概略構成を示す模式的な平面図および正面図である。図2(a)、(b)は、図1(b)におけるA視図およびB視図である。
【0016】
本実施形態の洗浄装置1は、被洗浄物に対して洗浄液を噴射して被洗浄物の表面の洗浄を行う装置である。洗浄方式は、洗浄液のみ加圧して噴射するジェット洗浄方式でもよいし、洗浄液を気体流中に混合して気体流とともに噴射する2流体ジェット洗浄方式でもよい。
以下では、一例として、2流体ジェット洗浄方式を採用した場合の例で説明する。
また、被洗浄物は、保持した状態で回転可能であって、2流体ジェット洗浄方式による洗浄が可能なものであれば、特に限定されない。
以下では、図1(a)、(b)に示すように、洗浄物が、一例として、ガラス製のレンズ15の場合の例で説明する。
レンズ15は、凸レンズ面15a、15bを有する両凸レンズであり、レンズ側面15cは光軸Oに同軸な円筒面として形成されている。
凸レンズ面15a、15bの面形状は、球面でもよいし、軸対称非球面や自由曲面などの球面以外の凸面でもよい。また、被洗浄面は、凸レンズ面15a、15bのいずれであってもよいが、以下では、一例として、凸レンズ面15aが被洗浄面の場合で説明する。
【0017】
洗浄装置1の概略構成は、図1(a)、(b)に示すように、回転保持部2、固定台5(保持部)、昇降ステージ6(移動部、洗浄領域移動部、層状気流移動部)、洗浄液噴射部7、および圧縮空気噴射部8(層状気流形成部)を備える。
なお、特に図示しないが、回転保持部2や昇降ステージ6等の動作を制御する制御部を備えている。
【0018】
回転保持部2は、レンズ15を保持して回転させるものである。
回転保持部2の概略構成は、レンズ15の外周を径方向内側に押圧して保持し、図示略の支持部材に対して回転可能に設けられた駆動ローラ3aおよび保持ローラ3b、3cと、駆動ローラ3aを回転することによりレンズ15に回転駆動力を伝達するモーター4とを備える。
【0019】
駆動ローラ3a、保持ローラ3b、3cは、それぞれの回転中心軸線を含む断面がV字状またはU字状とされることで中央がくびれた凹状のローラ面を有し、各回転中心軸線を1つの水平方向に沿って平行した状態で、1つの鉛直面に沿って配置されている。
これにより、駆動ローラ3a、保持ローラ3b、3cは、凸レンズ面15aとレンズ側面15cとのなす角部と、凸レンズ面15bとレンズ側面15cとのなす角部とにそれぞれのローラ面が当接した状態で、レンズ15を保持してそれぞれの回転中心軸回りに回転できるようになっている。
【0020】
また、駆動ローラ3a、保持ローラ3b、3cは、図2(b)に示すように、レンズ15の外周を略3等分する円周上に配置されている。
本実施形態では、駆動ローラ3a、保持ローラ3bは水平方向に離間して配置されレンズ15を下方から保持しており、保持ローラ3cは駆動ローラ3a、保持ローラ3bの間の中間位置でレンズ15を上方から保持している。
このような保持状態では、駆動ローラ3a、保持ローラ3b、3cによる保持中心軸と、レンズ15のレンズ側面15cの中心軸である光軸Oとは整列している。
【0021】
また、駆動ローラ3a、保持ローラ3b、3cは、保持中心軸に対して進退可能な移動アーム(図示略)を介して支持部材(図示略)に固定されている。このため、駆動ローラ3a、保持ローラ3b、3cは、レンズ15の外径の大きさに合わせて、保持中心軸に対する径方向の位置を変えることができる。
また、保持ローラ3cは、駆動ローラ3a、保持ローラ3bとは独立に位置調整が可能である。このため、保持ローラ3cを上方側に退避させることで、レンズ15を駆動ローラ3a、保持ローラ3bの上方から着脱できるようになっている。
【0022】
駆動ローラ3aの回転軸は、モーター4の回転軸4aに接続され、モーター4の回転に連動して回転できるようになっている。図1(a)では、駆動ローラ3aの回転軸が回転軸4aと直結されている場合の例を図示しているが、例えば、歯車伝達機構やベルト伝達機構などを介在させて接続してもよい。
保持ローラ3b、3cは、駆動ローラ3aによって回転されるレンズ15に連れ回って回転できるようになっている。
モーター4の回転方向は、特に限定されないが、以下では、一例として、図2(b)の図示反時計回りに回転する場合の例で説明する。この場合、レンズ15は、図示時計回りに回転することになる。
【0023】
このような構成により、回転保持部2は、レンズ15を、光軸Oが水平に配置された状態で、光軸Oを中心として回転可能に保持することができる。
【0024】
固定台5は、洗浄液噴射部7および圧縮空気噴射部8を固定して一体に保持する保持部であり、水平に配置された板状のベース5aと、ベース5aの端部に立設された固定板5bとを備える。
固定板5bは、回転保持部2に保持されたレンズ15の洗浄面である凸レンズ面15aに対向する位置に配置されている。
【0025】
昇降ステージ6は、固定台5のベース5aを下方から支持し、洗浄時に固定台5を鉛直軸に沿って昇降移動させるものである。
昇降ステージ6の構成としては、例えば、モーターと送りねじ機構とを用いた1軸ステージや、リニアモータなどを採用することができる。
【0026】
洗浄液噴射部7は、回転保持部2に保持されたレンズ15の洗浄面に洗浄液Lを噴射するものであり、洗浄液Lを含む噴射流16を形成するための円開口を有する噴射口7aが先端部に形成された筒状部材からなる。
洗浄液Lは、被洗浄物や汚れの種類に応じて、例えば、純水、水系洗浄液、溶剤などを採用することができる。さらに、水系洗浄液と純水の2種類を用い、水系洗浄液で洗浄後に純水で洗浄する組合せでもよい。
例えば、レンズ15などのガラス光学素子の場合には、純水を採用することが好ましい。洗浄液Lとして純水を用いる場合、廃液の管理が不要となるため好都合である。
【0027】
また、洗浄液噴射部7は、図1(b)に示すように、光軸Oを含む鉛直面内で、噴射口7aが下方を向き、洗浄液噴射部7の中心軸Pが光軸Oに対して角度θだけ傾斜した姿勢で、固定板5bに固定されている。
角度θは、後述するように昇降ステージ6を下降させることにより凸レンズ面15aに対して中心軸Pを移動させる際に、凸レンズ面15aにおける中心軸Pの入射角が5°〜60°の範囲になるように設定することが好ましい。
ここで、中心軸Pの入射角とは、中心軸Pの延長線と凸レンズ面15aとが交差した入射位置における中心軸Pの延長線と凸レンズ面15aの法線N(図3(a)参照)とのなす角によって定義される。
本実施形態では、一例として、θ=30(°)に設定している。例えば、凸レンズ面15aが半径100mmの球面で、レンズ15のレンズ径が60mmの場合、θ=30(°)の設定で、中心軸Pの入射角の変化は、30°〜47.45°となる。
【0028】
洗浄液噴射部7の基端部には、洗浄液Lを供給する供給チューブ7bが接続されている。また、供給チューブ7bの接続位置と噴射口7aとの間の洗浄液噴射部7の側面には、圧縮空気Gを供給する供給チューブ7cが接続されている。
供給チューブ7bは、洗浄液Lが貯留された洗浄液供給部10に接続されている。
供給チューブ7bにおいて、洗浄液噴射部7と洗浄液供給部10との間には、洗浄液供給部10の洗浄液Lを洗浄液噴射部7に向けて送出するポンプ9が設けられている。
供給チューブ7cは、圧縮空気Gを形成する圧縮空気供給源20に接続されている。
供給チューブ7cにおいて、洗浄液噴射部7と圧縮空気供給源20との間には、圧縮空気供給源20側から、圧縮空気Gの圧力を調整するレギュレーター12と、圧縮空気Gを浄化するフィルター11とがこの順に設けられている。
【0029】
噴射流16は、本実施形態では、洗浄液Lが霧状とされて圧縮空気Gとともに噴射口7aから噴射されたものであり、供給チューブ7bから洗浄液Lを供給しつつ、供給チューブ7cから圧縮空気Gを供給して、洗浄液噴射部7内で洗浄液Lと圧縮空気Gとを混合することにより形成される。
噴射流16の放射範囲は、噴射口7aのノズル形状、洗浄液Lの流量、圧縮空気Gの圧力等の条件により異なる。本実施形態では、これらの条件を適宜設定することにより、噴射流16が、洗浄液噴射部7の中心軸Pを中心としてわずかに拡径して放射され、図2(b)に示すように、凸レンズ面15a上で、凸レンズ面15aの大きさに比べて小さいスポット状に吹き付けられる設定としている(符号Sで示す二点鎖線参照)。
噴射流16が吹き付けられる領域Sは、噴射流16が吹き付けられることによって生じる圧力や衝撃によって表面の洗浄が効率的に進行する領域であるため、以下では洗浄領域Sと称する。
このような構成により、洗浄液噴射部7は、回転保持部2に保持されたレンズ15上のスポット状の洗浄領域Sに洗浄液Lを噴射するものとなっている。
【0030】
本実施形態では、噴射口7aの形状は、直径2mmの円形である。また、凸レンズ面15aの面頂に噴射流16が吹き付けられる位置にある洗浄領域Sは、直径2mmの円形より大きくなり、略楕円状の縦長の領域になっている。
洗浄領域Sの位置は、昇降ステージ6によって、洗浄液噴射部7と回転保持部2とを相対移動させることで変更することができる。
以下では、洗浄領域Sの凸レンズ面15a上での位置を表す場合、中心軸Pと凸レンズ面15aとの交点を用いることとし、この交点を洗浄位置pと称する。洗浄位置pは、洗浄領域Sの中心と略一致する。
【0031】
圧縮空気噴射部8は、洗浄領域Sの周囲を上方から覆うように凸レンズ面15aに入射する層状気流17を形成するものである。
本実施形態では、圧縮空気Gを層状に噴射するスリット状の開口を有する噴射口8aが先端部に形成された一対の筒状部材からなる。
これら圧縮空気噴射部8は、いずれも、図2(b)に示すように、光軸Oを含む鉛直面内で、噴射口8aが下方を向き、圧縮空気噴射部8の中心軸Qが光軸Oに対して角度θだけ傾斜した姿勢で、固定板5bに固定されている。
角度θは、角度θ以上の大きさに設定する。本実施形態では、一例として、θ=30(°)に設定している。
【0032】
また、一対の圧縮空気噴射部8は、図2(a)に示すように、各噴射口8aが、洗浄液噴射部7の噴射口7aの左右の上方において、全体として山形状をなすとともに上部が水平方向にわずかに離間されて配置されている。すなわち、各噴射口8aはハ字状をなして配置されている。
また、各噴射口8aは、中心軸Pを含む鉛直面を対称面として面対称な位置に配置されている。
ここで、各噴射口8aをハ字状の配置とし、上部において水平方向に離間させているのは、噴射口8aから噴射される層状気流17が噴射口8aの開口の長手方向に拡がることを考慮した配置である。
各層状気流17が、噴射口8aから噴射された後、噴射口8aの長手方向に拡がることで、凸レンズ面15aに近づくにつれて、各層状気流17同士が近接して、上方が閉じた山形状の層状気流17が形成される。
この山形状につながった層状気流17は、凸レンズ面15aに入射し、図2(b)に示すように、凸レンズ面15aの山形状の領域に吹き付けられる。以下では、この層状気流17が吹き付けられる領域を吹き付け領域Tと称する。
【0033】
洗浄領域Sと吹き付け領域Tとの間隔は、狭ければ狭いほど、後述する飛散物Dの再付着可能な領域を狭めることができて好ましい。具体的な数値範囲としては、例えば、0mm〜10mmの範囲が好適である。
また、吹き付け領域Tのうち、レンズ15の回転方向側、即ち図3(b)における左側が、反対側、即ち図3(b)における右側に比べ、長いことにより、飛散物Dの再付着可能な領域を狭めることができて好ましい。
【0034】
各圧縮空気噴射部8の基端部には、図1(a)に示すように、圧縮空気Gを供給する供給チューブ8bが接続されている。
供給チューブ8bは、全体としてY字状をなすように設けられており、2本に分岐された先端部が各圧縮空気噴射部8に接続されている。また、1本にまとめられた基端部は、圧縮空気供給源20に接続されている。
供給チューブ8bにおける分岐部と圧縮空気供給源20との間には、圧縮空気供給源20側から、圧縮空気Gの圧力を調整するレギュレーター14と、圧縮空気Gを浄化するフィルター13とがこの順に設けられている。
【0035】
次に、洗浄装置1の動作について、洗浄装置1による洗浄方法を中心として説明する。
図3(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の洗浄装置における正面視の動作説明図、および被洗浄面上の様子を示す模式説明図である。図4(a)、(b)本発明の第1の実施形態の洗浄装置における作用を説明する模式図である。
【0036】
洗浄装置1によって、レンズ15の凸レンズ面15aを洗浄するには、まず、被洗浄面である凸レンズ面15aを固定台5側に向けて、レンズ15を回転保持部2に保持させる。
次に、洗浄開始位置に洗浄領域Sが形成するために、昇降ステージ6を上昇させて洗浄液噴射部7の位置決めを行う。
洗浄開始位置は、凸レンズ面15aの面頂に設定することができる。
噴射流16は、洗浄液噴射部7の中心軸Pに沿って噴射されるから、図3(a)に二点鎖線で示す洗浄液噴射部7のように、中心軸Pの延長線がレンズ15の面頂に交差する高さまで固定台5を上昇させればよい。
ただし、本実施形態では、噴射流16の放射方向のバラツキや、昇降ステージ6の位置決め誤差などに対する余裕を見て、洗浄開始位置を、面頂よりもやや上側に設定している。すなわち、凸レンズ面15aと光軸Oを含む鉛直面とが交差してできる円弧上において、中心軸Pの延長線が面頂よりもやや上側で交差する高さまで、昇降ステージ6を上昇させる。
【0037】
次に、モーター4を駆動して駆動ローラ3aを回転させる。これにより、レンズ15が、保持中心軸に整列した光軸Oを中心に回転する。本実施形態では、レンズ15の回転速度は120rpmに設定している。
レンズ15の回転が定常回転に達したら、ポンプ9を駆動して供給チューブ7bから洗浄液Lの供給を開始するとともに、レギュレーター12を駆動して供給チューブ7cから洗浄液噴射部7内に圧縮空気Gを供給する。
また、レギュレーター14を駆動して供給チューブ8bから各圧縮空気噴射部8内に圧縮空気Gを供給する。
また、これらに合わせて昇降ステージ6を下降させる。
これにより洗浄が開始される。
【0038】
洗浄条件は、凸レンズ面15aの汚れの度合い等によって適宜設定することができる。
本実施形態では、一例として、洗浄液噴射部7においては洗浄液Lの流量を0.5mL/min、圧縮空気Gの圧力(ゲージ圧)を0.5Paに設定し、圧縮空気噴射部8においては圧縮空気Gの圧力(ゲージ圧)を0.5MPaに設定し、昇降ステージ6の移動速度を0.2mm/回転に設定している。なお、昇降ステージ6の移動速度は、レンズ15の1回転当たりの移動量で表している。
【0039】
このように昇降ステージ6が下降することで、固定台5に固定された洗浄液噴射部7、圧縮空気噴射部8が一体に下降するため、洗浄領域Sおよび吹き付け領域Tが、鉛直下方に移動していく。これにより洗浄位置pは、光軸Oを含む鉛直面と凸レンズ面15aとの交線に沿って、下方に移動していく。
このため、昇降ステージ6は、保持部である固定台5を移動させる移動部を構成している。また、昇降ステージ6は、洗浄液噴射部7を移動させて、洗浄領域Sをレンズ15の回転中心から外周側に向かって相対移動させる洗浄領域移動部を構成している。また、昇降ステージ6は、層状気流17の入射位置である吹き付け領域Tを洗浄領域Sの相対移動に追従して相対移動させる層状気流移動部を構成している。
【0040】
洗浄領域Sでは、後述するようにして洗浄が進行していくため、図3(b)に示すように、洗浄位置pの移動とともに、光軸Oを中心とする同心円の範囲に、洗浄済領域Cが形成されていく。
洗浄位置pが、凸レンズ面15aの外周に達すると、凸レンズ面15a全体が洗浄済領域Cとなるため、洗浄が終了する。
洗浄が終了したら、洗浄液噴射部7、圧縮空気噴射部8の噴射を停止してから、昇降ステージ6、モーター4を停止させる。
続けて、レンズ15の凸レンズ面15bを洗浄したり、他の洗浄物を洗浄したりする場合には、回転保持部2からレンズ15を取り外して、次の洗浄を行う準備を行い、上記の工程を繰り返す。
このようにして、レンズ15の洗浄を行うことができる。
【0041】
次に、洗浄装置1による洗浄作用について説明する。
図3(a)に示すように、噴射口7aからは噴射流16が噴射されると、噴射流16は、中心軸Pを中心としてわずかに拡がりながら放射されて凸レンズ面15aに到達する。これにより、凸レンズ面15a上に、スポット状の洗浄領域S(図3(b)参照)が形成される。
洗浄領域Sに吹き付けられた噴射流16は凸レンズ面15aに沿って拡がる表面流16aを形成する。
このとき、噴射流16の吹き付け時の凸レンズ面15aの表面に加わる圧力や衝撃により、凸レンズ面15a上に付着した微粒子や不純物等の汚染物18(図4(a)参照)が凸レンズ面15aから剥離される。そして、凸レンズ面15aから剥離された表面流16a中の汚染物18は、以下に説明するように凸レンズ面15aに沿って拡がる表面流16aとともに移動され、凸レンズ面15aから除去される。
【0042】
表面流16aは、洗浄液噴射部7の中心軸Pが水平面に対して角度θだけ下方側に傾斜していることにより噴射流16が鉛直下方に向かう速度成分を有しており、重力の作用と相俟って、光軸Oから外周側に向かう流れであって凸レンズ面15aに沿って鉛直下向きに向かう流れが支配的となる。
また、表面流16aは、凸レンズ面15aに沿って下方側に流れるにつれて、レンズ15の回転の影響を受けるため、図3(b)に示すように、進路は、全体として回転方向に偏っていく。
汚染物18を含む表面流16aがさらにレンズ15の外周側に向かうと、凸レンズ面15aの湾曲により表面流16aは剥離する。このため、下方側に向かう落下流16bが形成される。
本実施形態では、レンズ15は、光軸Oから水平方向に離間した駆動ローラ3aおよび保持ローラ3bによって下方から保持されているため、落下流16bは、駆動ローラ3a、保持ローラ3bの間の凸レンズ面15aの外縁部から、汚染物18とともに下方側に移動していく。
【0043】
洗浄領域Sの周囲では、図4(a)、(b)に示すように、噴射流16が凸レンズ面15aに吹き付けられる際の衝撃により、飛散物Dが凸レンズ面15aから離間する種々の方向に飛散する。なお、図4(a)、(b)は、模式図であるため、噴射流16が2流体ジェットであることを特に明示する図示はしていない。
飛散物Dとしては、凸レンズ面15aから剥離された微粒子、洗浄液Lの液滴に吸収された微粒子、洗浄液Lに凸レンズ面15a上の不純物が溶解された飛沫、洗浄液Lの液滴による飛沫等を挙げることができる。
飛散物Dは、洗浄済領域Cに再付着すると、飛散物Dに含まれる微粒子や不純物からなる汚染物18が再付着したり、飛散物Dの洗浄液Lに含まれる水分が凸レンズ面15a上に滞留してガラスのヤケが生じたりして、凸レンズ面15aを汚したり、欠陥を形成する原因となる。
【0044】
本実施形態では、洗浄位置pの移動方向において後方側の位置に、層状気流17が吹き付けられている。このため、噴射流16および洗浄領域Sが洗浄済領域C側から見て層状気流17により覆われている。
この結果、例えば、図4(a)に示すように、飛散物Dが洗浄済領域C側に飛散すると、層状気流17に衝突して、例えば飛散物Dのように洗浄位置pの移動方向に向かってはじき返される、または、飛散物Dのように層状気流17とともに凸レンズ面15aに吹き付けられて洗浄位置pの移動方向に移動されることになる。
このため、二点鎖線で示す飛散物Dのように、層状気流17を通り抜けて洗浄済領域C側に移動することができなくなる。すなわち、層状気流17は、噴射流16の後方側を覆って、飛散物Dを遮蔽するエアカーテンを構成している。
【0045】
また、凸レンズ面15aに吹き付けられた層状気流17は、噴射流16と同様にして洗浄位置pの移動方向に向かう表面流17aを形成し、表面流17aを形成する圧縮空気Gが凸レンズ面15a上を洗浄領域S側に掃いていく。このため、凸レンズ面15a上の汚染物18、液滴19や、洗浄領域Sに吹き付けられる噴射流16の先端を洗浄位置pの移動方向と略同方向に押し出す作用を有する。
これにより、層状気流17の通過後の凸レンズ面15aが清浄となる。
このような層状気流17の押し出す作用は、凸レンズ面15aに沿う方向の速度成分が大きくなるほど強大になる。このため、中心軸Qの入射角θは、中心軸Pの入射角θよりも大きくすると、より効率よく押し出すことができる。
また、層状気流17の表面流17の流速は吹き付け領域Tの近傍ほど大きくなるため、吹き付け領域Tは洗浄領域Sに近いほど、より効率的に汚染物18等を押し出していくことができる。
また、吹き付け領域Tと洗浄領域Sとの間隔が狭いほど、飛散物Dがこれらの間に落下する率が減り、落下しても短時間で層状気流17の表面流16aに押圧されるため、飛散物Dが再付着を防ぎやすくなる。
【0046】
また、表面流17aは、液体を含まない圧縮空気Gの流れであるため、図4(b)に示すように、凸レンズ面15aの表面の液滴19の乾燥が促進される。このため、噴射流16の後方側に、流れたり飛散したりする液滴19は、表面流17aによって速やかに乾燥される。このため、水分の付着によるガラスのヤケが抑制される。
【0047】
このようにして、表面流16a、表面流16aからの飛散物D、凸レンズ面15aの表面に付着した汚染物18や液滴19は、全体として、層状気流17で拭われるように洗浄位置pの移動方向に移動し、表面流16aに合流される。このため、汚染物18は、表面流16aとともに凸レンズ面15aから剥離し、落下流16bとなって落下し、凸レンズ面15aから除去される。
【0048】
このように洗浄装置1によれば、洗浄液Lの噴射によってレンズ15の凸レンズ面15aからの飛散物Dが発生しても、層状気流17によって洗浄領域Sの周囲が洗浄位置pの移動方向の後方側から覆われ、層状気流17よりも後方側への飛散物Dの飛散が阻止されるため、凸レンズ面15aに洗浄液Lを噴射して洗浄を行う場合に、凸レンズ面15aからの飛散物Dが種々の方向に飛散する場合でも再付着を防止することができる。
【0049】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の洗浄装置について説明する。
図5(a)、(b)は、本発明の第2の実施形態の洗浄装置の概略構成を示す模式的な平面図および正面図である。図6は、本発明の第2の実施形態の洗浄装置の制御ブロック図である。図7(a)、(b)は、図5(b)におけるE視図およびF視図である。
【0050】
本実施形態の洗浄装置1Aは、洗浄装置1と同様、被洗浄物に対して洗浄液Lを噴射して被洗浄物の表面の洗浄を行う装置である。洗浄方式は、ジェット洗浄方式でもよいし、2流体ジェット洗浄方式でもよいが、以下では、一例として、ジェット洗浄方式を採用した場合の例で説明する。
また、被洗浄物は、保持した状態で回転可能であって、ジェット洗浄方式による洗浄が可能なものであれば、特に限定されない。
以下では、図5(a)、(b)に示すように、洗浄物が、一例として、ガラス製のレンズ25の場合の例で説明する。
レンズ25は、凹レンズ面25a、凸レンズ面25bを有するメニスカスレンズであり、レンズ側面25cは光軸Oに同軸な円筒面として形成されている。
凹レンズ面25a、凸レンズ面25bの面形状は、球面でもよいし、軸対称非球面や自由曲面などの球面以外の凸面でもよい。また、被洗浄面は、凹レンズ面25a、凸レンズ面25bのいずれであってもよいが、以下では、一例として凹レンズ面25aが被洗浄面の場合で説明する。
【0051】
洗浄装置1Aは、上記第1の実施形態の洗浄装置1の固定台5、圧縮空気噴射部8に代えて、固定台5A(傾動保持部)、圧縮空気噴射部8A(層状気流形成部)を備え、移動ステージ24(移動部、洗浄領域移動部、層状気流移動部)と、制御部26(図6参照、傾動制御部)とを追加したものである。
以下、上記第1の実施形態の洗浄装置1と異なる点を中心に説明する。
【0052】
固定台5Aは、洗浄液噴射部7および圧縮空気噴射部8Aを、回転保持部2の保持中心軸に対する傾斜角度を可変に固定して一体に保持するものであり、ベース5aと、ベース5aの端部に互いに対向して立設された一対の支持板5cと、一対の支持板5c間で回動軸23aを中心にして回動可能に保持された回動ブロック23(保持部)と、回動軸23aに回転駆動力を伝達して、制御部26からの制御信号に基づいて回動ブロック23の回動位置を変化させるモーター22とを備える。
回動ブロック23は、回転保持部2に保持されたレンズ25の洗浄面である凹レンズ面25aに対向する位置に配置されている。
支持板5cは、水平面内でレンズ25の光軸Oに直交する方向に対向して配置され、回動ブロック23の回動軸23aも水平面内でレンズ25の光軸Oに直交する方向に延ばされている。
【0053】
回動ブロック23には、洗浄液噴射部7と一対の圧縮空気噴射部8Aとが固定されている。
本実施形態の洗浄液噴射部7は、上記第1の実施形態の洗浄液噴射部7と同様に、噴射口7aが先端部に形成された筒状部材からなるが、本実施形態では、回転保持部2に保持されたレンズ25の洗浄面に洗浄液Lのみを噴射流16Aとして噴射する点が異なる。
このため、上記第1の実施形態における供給チューブ7c、フィルター11、レギュレーター12は削除されている。
また、本実施形態では、洗浄液Lのみの圧力で洗浄に必要な圧力の噴射を行えるように、上記第1の実施形態のポンプ9に代えて、高圧ポンプ9Aを備える。
さらに、洗浄液噴射部7と高圧ポンプ9Aとの間の供給チューブ7b上には、噴射口7aから噴射される洗浄液Lの流量を洗浄中に調整するための流量弁21が追加されている。
流量弁21は、図6に示すように、制御部26に電気的に接続され、制御部26から送出される制御信号に基づいて流量を調整することができる。
【0054】
また、本実施形態の洗浄液噴射部7は、図5(b)に示すように、回動ブロック23の回動位置を基準となる回動位置(以下、回動基準位置と称する)に固定したときに、光軸Oを含む鉛直面内で、噴射口7aが下方を向き、洗浄液噴射部7の中心軸Pが光軸Oに対して角度θPAだけ傾斜した姿勢で、回動ブロック23に固定されている。
ただし、モーター22による回動ブロック23が角度φだけ回転すると、中心軸Pの光軸Oに対する角度θは、θ=θPA+φに変化する。
角度θは、本実施形態では、制御部26によって、凹レンズ面25aに対する中心軸Pの入射角が一定になるように制御される。
中心軸Pの入射角は、1°〜60°の範囲内の一定値に設定することが好ましい。本実施形態では、一例として、中心軸Pの入射角を30°に設定している。
本実施形態では、回動ブロック23の回動基準位置おいて、中心軸Pが凹レンズ面25aの面頂に入射する設定とするため、θPA=30(°)としている。
【0055】
噴射流16Aの放射範囲は、噴射口7aのノズル形状、洗浄液Lの流量等の条件により異なる。本実施形態では、噴射口7aのノズル形状を円筒状とすることにより、洗浄液Lの流量が変化しても略均一断面のビーム状に噴射されるようにしている。
このため、図7(b)に示すように、凹レンズ面25a上で、凸レンズ面15aの大きさに比べて小さいスポット状に吹き付けられる設定としている(符号Sで示す二点鎖線参照)。
噴射流16Aが吹き付けられる領域Sは、噴射流16Aが吹き付けられることによって生じる圧力や衝撃によって表面の洗浄が効率的に進行する領域であるため、以下では洗浄領域Sと称する。
【0056】
本実施形態では、噴射口7aの形状は、直径2mm円形である。また、凹レンズ面25aの面頂に噴射流16Aが吹き付けられる位置にある洗浄領域Sは、直径2mmの円形より大きくなり、略楕円状の縦長の領域になっている。
以下では、洗浄領域Sの凹レンズ面25a上での位置を表す場合、中心軸Pと凹レンズ面25aとの交点を用いることとし、この交点を洗浄位置pと称する。洗浄位置pは、洗浄領域Sの中心と略一致する。
【0057】
このような構成により、固定台5Aは、洗浄液噴射部7を傾動可能に保持する傾動保持部を構成している。
また、制御部26は、洗浄液噴射部7の噴射口7aの中心軸Pの、洗浄位置pにおける凹レンズ面25aの法線Nに対する角度が一定角度となるように、傾動保持部の傾動量を制御する傾動制御部を構成している。
【0058】
圧縮空気噴射部8Aは、洗浄領域Sの周囲を上方から覆うように凹レンズ面25aに入射する層状気流17Aを形成するものである。
本実施形態では、圧縮空気Gを層状に噴射する円弧スリット状の開口を有する噴射口8cが先端部に形成された一対の筒状部材からなる。
これら圧縮空気噴射部8Aは、いずれも、図5(b)に示すように、回動ブロック23の回動基準位置に固定したときに、光軸Oを含む鉛直面内で、噴射口8cが下方を向き、圧縮空気噴射部8Aの中心軸Qが光軸Oに対して角度θQAだけ傾斜した姿勢で、回動ブロック23に固定されている。
角度θQAは、角度θ以上の大きさに設定する。本実施形態では、一例として、θ=35(°)に設定している。
なお、本実施形態では、角度θQAは、角度θPAと同様にして、中心軸Qの凹レンズ面25aに対する入射角になっている。
【0059】
このようにθPA<θQAにすると、洗浄領域Sと吹き付け領域Tとの間の間隔を狭めても洗浄液噴射部7と圧縮空気噴射部8Aとが互いに干渉しないように間隔を離しやすくなるため、装置レイアウトが容易となる。
また、凹レンズ面25aから噴射口7a、8aまでの距離を小さくしても洗浄液噴射部7と圧縮空気噴射部8Aとが互いに干渉しないように間隔を離すことができるため、噴射流16A、層状気流17Aの噴射圧の低下を防ぐことができる。また、装置のさらなる小型化を図ることができる
【0060】
また、一対の圧縮空気噴射部8Aは、図7(a)に示すように、各噴射口8cが、洗浄液噴射部7の噴射口7aの左右の上方において、全体として中心軸Pに対する1つの同心円に整列するとともに、上部が水平方向にわずかに離間されて配置されている。
また、各噴射口8cは、中心軸Pを含む鉛直面を対称面として面対称な位置に配置されている。
ここで、各噴射口8cを、上部において水平方向に離間させているのは、噴射口8cから噴射される層状気流17Aが噴射口8cの開口の円周方向に拡がることを考慮した配置である。
各層状気流17Aが、噴射口8cから噴射された後、噴射口8cの円周方向に拡がることで、凹レンズ面25aに近づくにつれて、各層状気流17A同士が近接して、上方が閉じた円弧状の層状気流17Aが形成される。
この円弧状につながった層状気流17Aは、凹レンズ面25aに入射し、図7(b)に示すように、凹レンズ面25aの円弧状の領域に吹き付けられる。以下では、この層状気流17Aが吹き付けられる領域を吹き付け領域Tと称する。
【0061】
各圧縮空気噴射部8の基端部には、図5(a)に示すように、上記第1の実施形態と同様に、供給チューブ8b、フィルター13、レギュレーター14が接続されている。
【0062】
移動ステージ24は、図5(b)に示すように、昇降ステージ6とベース5aとの間に設けられ、固定台5Aを回転保持部2に保持されたレンズ25に向かって、光軸Oに沿う方向に進退させるものである。
また、移動ステージ24は、図6に示すように、制御部26に電気的に接続され、制御部26から送出される制御信号に基づいて移動量を変化させることができる。
移動ステージ24の構成としては、例えば、モーターと送りねじ機構とを用いた1軸ステージや、リニアモータなどを採用することができる。
【0063】
制御部26は、洗浄装置1Aの洗浄動作を制御するもので、図6に示すように、昇降ステージ6、移動ステージ24、モーター22、流量弁21に電気的に接続され、それぞれに対して通信を行うことができるようになっている。
また、制御部26には、レンズ25の洗浄面の形状に関する情報と、回転保持部2と固定台5Aとの位置関係の情報とが記憶された記憶部27に電気的に接続されている。
【0064】
制御部26が行う制御は、洗浄位置pが移動した際に、洗浄領域Sにおける洗浄力を略一定に保つことを目的とするもので、例えば、洗浄位置pの移動に伴う噴射流16Aに対する凹レンズ面25aの形状変化に基づいて洗浄液噴射部7および圧縮空気噴射部8Aの光軸Oに対する角度を変更する制御と、洗浄液噴射部7の噴射口7aから洗浄位置pまでの距離を一定に保つ制御とを挙げることができる。
制御部26の装置構成は、本実施形態では、CPU、メモリ、入出力インターフェース、外部記憶装置などを備えるコンピュータを採用している。
【0065】
次に、洗浄装置1Aの動作について、洗浄装置1Aによる洗浄方法を中心として説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態の洗浄装置における正面視の動作説明図である。
【0066】
本実施形態の洗浄動作は、制御部26によって、回転保持部2に保持されたレンズ25の凹レンズ面25aと、洗浄液噴射部7との相対位置関係を洗浄中に制御し、図8に示すように、各洗浄位置pでの法線に対する中心軸Pの入射角を一定の角度θPAとし、洗浄位置pと噴射口7aとの距離を一定値、例えば距離Mとした状態で行う点が、上記第1の実施形態と異なる。
このため、洗浄を開始する前に、制御部26は、記憶部27に予め記憶された凹レンズ面25aの形状情報に基づいて、洗浄位置pの軌跡を算出し、この軌跡上における光軸O方向の変位と洗浄位置pの法線の変化とを算出し、洗浄位置pごとに中心軸Pの入射角を一定の角度θPAとし、かつ噴射口7aまでの距離を距離Mとするための固定台5Aの位置および回動ブロック23の回動位置に対応する制御目標値を求めておく。
この制御目標値は、被洗浄物の形状が一定であれば共通に用いることができる。このため、本実施形態では、複数の被洗浄物の形状に基づいた制御目標値を予め算出しておき、例えば、テーブルや関数などの形で記憶部27に記憶させておく。
これにより、制御部26は、被洗浄面に応じた制御目標値を洗浄開始前に記憶部27から選択的に読み込めるようになっている。
【0067】
洗浄装置1Aによって、レンズ25の凹レンズ面25aを洗浄するには、まず、被洗浄面である凹レンズ面25aを固定台5A側に向けて、レンズ25を回転保持部2に保持させる。
次に、制御部26は、記憶部27からレンズ25の凹レンズ面25aに対応した制御目標値を読み込む。
制御部26は、洗浄開始位置に洗浄領域Sを形成するための制御目標値に基づいて、昇降ステージ6、移動ステージ24を駆動して、固定台5Aの平行移動を行い、モーター22を駆動して回動ブロック23の回動を行う。これにより、洗浄液噴射部7の中心軸Pの延長線が凹レンズ面25a上における洗浄開始位置に交差して、中心軸Pの入射角が角度θPAとなり、洗浄開始位置から噴射口7aまでの距離が距離Mとなるように相対位置の設定が行われる。
本実施形態の洗浄開始位置は、上記第1の実施形態と同様にして、凹レンズ面25aの面頂よりもやや上側に設定されている。
【0068】
次に、上記第1の実施形態と同様にして、レンズ25を回転させる。
レンズ25の回転が定常回転に達したら、ポンプ9を駆動して供給チューブ7bから洗浄液Lの供給を開始する。このとき、制御部26は、流量弁21を予め設定された一定流量が得られるように制御する。
なお、洗浄液供給部10で蒸気を発生させることで、ポンプ9が無くても洗浄液Lを蒸気圧力により供給することもできる。これにより、洗浄液Lの消費を抑え、熱による汚れ落し効果も得ることができる
また、上記第1の実施形態と同様にして、レギュレーター14を駆動して供給チューブ8bから各圧縮空気噴射部8A内に圧縮空気Gを供給する。
また、制御部26は、これらに合わせて昇降ステージ6を下降させて、洗浄位置pを洗浄開始位置から鉛直下方に相対移動させる。
このとき、制御部26は、記憶部27から読み込んだ制御目標値に基づいて、昇降ステージ6、移動ステージ24、モーター22を駆動するため、洗浄位置pが移動しても、中心軸Pの入射角と、洗浄位置pから噴射口7aまでの距離とが、それぞれ一定値、θPA、Mに保たれる。
【0069】
洗浄条件は、凹レンズ面25aの汚れの度合い等によって適宜設定することができる。
本実施形態では、一例として、洗浄液噴射部7においては洗浄液Lの流量を240mL/minに設定し、圧縮空気噴射部8Aにおいては圧縮空気Gの圧力(ゲージ圧)を0.5MPaに設定し、昇降ステージ6の移動速度を上記第1の実施形態と同様、0.2mm/回転に設定している。
また、第1の実施形態同様に、水系洗浄液と純水の2種類を用い、水系洗浄液で洗浄後に純水で洗浄する組合せにしてもよい。
【0070】
このようにして、図4(a)、(b)に示すように、洗浄領域Sおよびその周囲では、洗浄位置pの移動とともに上記第1の実施形態と略同様にして洗浄が進行していく。
例えば、噴射流16A、層状気流17Aは、凹レンズ面25aに達すると、それぞれ表面流16a、17aが形成され、表面流16a、17aは、主として洗浄位置pの移動方向に向かう流れを形成する。
また、本実施形態の噴射流16A、表面流16aは、洗浄液Lのみからなるため、微粒子のみからなる飛散物Dは少なくなるが、飛散物Dに関する上記第1の実施形態の説明は、本実施形態でも同様に通用する。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0071】
本実施形態では、洗浄領域Sが、噴射口7aから距離Mの位置に形成され、噴射流16Aの流量が一定であり、中心軸Pの入射角が一定であるため、中心軸Pに沿って進む噴射流16Aによる圧力や衝撃が、洗浄位置pの位置によらず一定となる。このため、凹レンズ面25aの形状や位置によらず各所での洗浄力が一定に保たれ、洗浄ムラを抑制することができる。
【0072】
また、中心軸Pの入射角が一定であるため噴射流16Aからの飛散物Dの飛散方向の分布が、洗浄位置pの位置によらず略一定となる。
さらに、各圧縮空気噴射部8Aは、洗浄液噴射部7とともに回動ブロックに固定されているため、中心軸Qの入射角も中心軸Pの入射角と同様に一定に保たれ、噴射流16Aと層状気流17Aの相対位置関係が洗浄位置pの位置によらず一定となる。
このため、層状気流17Aが噴射流16Aを覆う範囲を、上記第1の実施形態に比べて狭く設定しても同程度に飛散物Dを阻止することができる。
このため、被洗浄物が曲率半径の小さいレンズである場合の洗浄に特に好適となる。
【0073】
また、本実施形態では、層状気流17Aが、中心軸Pを中心とする同心円弧状に形成されている。層状気流17Aにより、洗浄領域Sの周囲に略均等なエアカーテンが形成される。このため、飛散物Dが飛散する可能性のある洗浄領域Sと吹き付け領域Tとの間の間隔が略均等になるため、洗浄ムラをさらに抑制することが可能となる。
また、層状気流17Aが円弧状に湾曲しているため、特に、被洗浄面が球面に近い凹凸面になっている場合には、平面状の層状気流に比べると、被洗浄面に対する層状気流17Aの入射角のバラツキが小さくなる。このため、洗浄領域Sの周囲における層状気流17Aの表面流17aの安定性を向上することができ、噴射流16Aの端部および飛散物Dを移動方向側に押し出す作用がより安定し、より効率的な押し出しを行うことができる。
【0074】
このように洗浄装置1Aによれば、洗浄液Lの噴射によってレンズ25の凹レンズ面25aからの飛散物Dが発生しても、層状気流17Aによって洗浄領域Sの周囲が洗浄位置pの移動方向の後方側から覆われ、層状気流17Aよりも後方側への飛散物Dの飛散が阻止されるため、凹レンズ面25aに洗浄液Lを噴射して洗浄を行う場合に、凹レンズ面25aからの飛散物Dが種々の方向に飛散する場合でも再付着を防止することができる。
【0075】
なお、上記の各実施形態の説明では、洗浄液噴射部、層状気流形成部が保持部に一体に設けられ、回転保持部に対して保持部を移動させる場合の例で説明したが、保持部および回転保持部は、洗浄領域を回転中心から外周側に向かって相対移動させることができれば、いずれが移動してもよく、両方が移動するようにしてもよい。
【0076】
また、上記の各実施形態の説明では、洗浄液噴射部、層状気流形成部が保持部に一体に設けられ、回転保持部に対して保持部を移動させる場合の例で説明したが、回転保持部および洗浄液噴射部の少なくとも一方を移動させて、洗浄領域を被洗浄物の回転中心から外周側に向かって相対移動させる洗浄領域移動部と、層状気流の入射位置を洗浄領域の相対移動に追従して相対移動させる層状気流移動部とを別個に備える構成としてもよい。
【0077】
また、上記第2の実施形態の説明では、洗浄液噴射部7、圧縮空気噴射部8Aが保持部である回動ブロック23に一体に設けられた場合の例で説明したが、圧縮空気噴射部8Aは、洗浄液噴射部7とは独立に傾動できる構成としてもよい。
この場合、洗浄液噴射部7の傾動量と、圧縮空気噴射部8Aの傾動量とをそれぞれ独立に制御できるため、上記第2の実施形態と同様に相対的な傾動量を一致させることもできるし、洗浄液噴射部7と圧縮空気噴射部8Aとの傾動量を異ならせることもできる。
例えば、吹き付け領域Tが外周側に行くほど中心軸Qの入射角を大きくすることで、外周側ほど、層状気流17Aの押し出し作用を強める、と入った制御が可能である。
【0078】
また、上記の各実施形態の説明では、一対の圧縮空気噴射部8、一対の圧縮空気噴射部8Aによって、それぞれ断面が山形状、円弧状の層状気流17、17Aを形成する場合の例で説明したが、層状気流17、17Aの断面形状に対応した開口形状が山形のスリット、円弧状のスリットになっている1つの噴射口を備えた層状気流形成部を備える構成としてよい。
【0079】
また、上記の各実施形態の説明では、回転保持部2の保持中心軸が水平方向に配置された場合の例で説明したが、洗浄領域を回転中心から外周側に向かって移動させる際に、噴射流16(16A)、層状気流17(17A)の作用、重力、および遠心力のバランスにより、洗浄液Lの洗浄済領域Cへの逆流を阻止できる場合には、保持中心軸の向きは特に限定されない。例えば、保持中心軸を鉛直軸に整列させることも可能である。
【0080】
また、上記第2の実施形態の説明では、洗浄位置pごとに対して、中心軸Pの入射角を一定の角度θPAとし、かつ噴射口7aまでの距離を距離Mとする制御を行う場合の例で説明したが、凹レンズ面25a上での圧力や衝撃を一定に保つ制御はこれには限定されない。
例えば、移動ステージ24を削除して、流量弁21によって、洗浄位置pごとに噴射流16Aの流量を調整する構成としてもよい。すなわち、凹レンズ面25aの外周側では、噴射口7aと凹レンズ面25aとの距離が近くなるため、流量を減らすことにより、凹レンズ面25a上での圧力や衝撃を一定に保つことができる。被洗浄面が凸面の場合には逆に外周側に向かうほど流量を増大させればよい。
【0081】
また、上記第2の実施形態の説明では、洗浄位置pごとに、中心軸Pの入射角を一定の角度θPAとし、かつ噴射口7aまでの距離を距離Mとする制御を行うことにより、凹レンズ面25a上での圧力や衝撃を一定に保つようにした場合の例で説明したが、汚れの性質によって圧力や衝撃の大きさと洗浄力とが対応しない場合には、圧力や衝撃が変化する構成としてもよい。
また、噴射流16Aの圧力や衝撃がある程度変化しても略同様な洗浄力が得られる場合には、許容範囲内で圧力や衝撃を変化させてもよい。
すなわち、距離Mや流量を被洗浄面の形状の変化に一対一に対応して連続的に変化させるのではなく、段階的に変化させてもよい。例えば、距離Mや流量の設定値をレンズ半径の3分の2を境界としてその内周側と外周側とで切り換える、といった制御を行ってもよい。
【0082】
また、上記の説明では、層状気流形成部は噴射圧が一定の場合の例で説明したが、層状気流形成部の噴射圧は、移動方向に沿って変化させてもよい。
【0083】
また、上記の説明では、層状気流形成部が、圧縮空気Gにより層状気流17、17Aを形成する圧縮空気噴射部8、8Aの場合の例で説明したが、層状気流は空気以外の気流、例えば、Arガスや窒素ガスなどの気流で形成することも可能である。
【0084】
また、上記の各実施形態で説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせたり、削除したりして実施することができる。
【符号の説明】
【0085】
1、1A 洗浄装置
2 回転保持部
5 固定台(保持部)
5A 固定台(傾動保持部)
6 昇降ステージ(移動部、洗浄領域移動部、層状気流移動部)
7 洗浄液噴射部
7a 噴射口
8、8A 圧縮空気噴射部(層状気流形成部)
8a、8c 噴射口
9 ポンプ
9A 高圧ポンプ
10 洗浄液供給部
15、25 レンズ(被洗浄物)
15a 凸レンズ面(被洗浄面)
16、16A 噴射流
17、17A 層状気流
20 圧縮空気供給源
21 流量弁
22 モーター
23 回動ブロック(保持部)
24 移動ステージ(
25a 凹レンズ面(被洗浄面)
26 制御部(傾動制御部)
27 記憶部
C 洗浄済領域
D、D、D 飛散物
G 圧縮空気
L 洗浄液
O 光軸
P、Q、Q 中心軸
S、S 洗浄領域
T、T 吹き付け領域
p、p 洗浄位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を保持して回転させる回転保持部と、
該回転保持部に保持された前記被洗浄物上のスポット状の洗浄領域に洗浄液を噴射する洗浄液噴射部と、
前記回転保持部および前記洗浄液噴射部の少なくとも一方を移動させて、前記洗浄領域を前記被洗浄物の回転中心から外周側に向かって相対移動させる洗浄領域移動部と、
前記洗浄領域の周囲を、前記回転中心に対する前記洗浄領域の相対移動方向における後方側から覆うように前記被洗浄物の表面に入射する層状気流を形成する層状気流形成部と、
該層状気流の入射位置を前記洗浄領域の相対移動に追従して相対移動させる層状気流移動部と、を備える
ことを特徴とする、洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄液噴射部と前記層状気流形成部とを一体に保持する保持部と、
該保持部および前記回転保持部の少なくとも一方を移動させる移動部と、
を備え、
前記洗浄領域移動部および前記層状気流移動部は、前記移動部で構成された
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄液噴射部の噴射口の中心軸は、前記洗浄領域の中心位置における前記被洗浄物の表面の法線に対して前記洗浄領域の前記相対移動方向と反対側に傾けられた
ことを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記層状気流の噴射方向は、前記洗浄領域の中心位置における前記被洗浄物の表面の法線に対して前記洗浄領域の前記相対移動方向と反対側であって、前記洗浄液噴射部の噴射口の中心軸よりも大きく傾けられた
ことを特徴とする請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄液噴射部を傾動可能に保持する傾動保持部と、
前記洗浄液噴射部の噴射口の中心軸の、前記洗浄領域の中心位置における前記被洗浄物の表面の法線に対する角度が一定角度となるように、前記傾動保持部の傾動量を制御する傾動制御部と、を備える
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記回転保持部は、前記被洗浄物の回転中心軸を鉛直軸から傾けて保持し、
前記被洗浄物は光学素子であり、
前記洗浄領域の相対移動方向が、前記光学素子の光軸を含む鉛直面に沿う方向に設定された
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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