説明

洗濯機の洗浄方法及び洗濯機洗浄用の容積占有袋

【課題】 大量の水や洗浄剤を浪費せず、簡単な作業で、十分な洗浄を行える洗濯機の洗浄方法、及び、このような洗浄方法で使用される洗濯機洗浄用の容積占有袋を提供する。
【解決手段】 洗濯槽20内に洗浄剤W1を投入し、浸け置きし、洗濯槽20内の洗浄剤を含む水を排水し、すすぎを行って、洗濯機の内部の洗浄を行う。この際に、浸け置きの前に、容積占有袋50を洗濯槽20内に入れて水を注入する。洗濯槽20内に水の入った容積占有袋50を入れることによって、洗浄剤W1の濃度を適正に保ちつつ、洗浄剤の分量や洗濯層20と外層23との間に保持される水の容量が減少する。すすぎの前に、容積占有袋50から水を排出しながら、容積占有袋50を洗濯槽20から取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機内に発生したカビ等を洗浄する洗濯機の洗浄方法及び洗濯機洗浄用の容積占有袋に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機の洗濯槽には、石鹸カスやカビが付着しており、アレルギー皮膚炎の原因にもなっている。このため、洗濯機の内部を定期的に清掃することが望まれる。
【0003】
従来の洗濯機の洗浄方法としては、洗濯槽や各部の部品を取り外し、洗濯槽や各部の部品を高圧ポンプやブラシを使って清掃するものが知られている(非特許文献1)。また、洗濯槽に洗浄剤を投入して浸け置きした後、すすぎを行って、洗濯機の洗濯槽を洗浄するものが知られている(非特許文献2)。
【非特許文献1】「ベストの洗濯機クリーニング」 インターネット<URL:http://homepage3.nifty.com/u-best/washer.htm>
【非特許文献2】「全自動洗濯機除菌クリーニング」 インターネット<URL:http://www.duskin.jp/house/service/pro/spot/ilandry_el.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、洗濯槽や各部の部品を取り外し、洗濯槽や各部の部品を高圧ポンプやブラシを使って清掃する方法では、洗濯槽を取り外すために、各メーカの洗濯機に合わせた特殊な工具が必要である。また、洗濯機の分解には、かなりの労力と経験が必要である。
【0005】
また、洗濯槽に洗浄剤を投入して浸け置きした後、すすぎを行って、洗濯機の洗濯槽を洗浄する方法では、洗濯機の分解は不要であるが、洗浄剤の管理が難しい。また、洗濯槽の容量が大きいため、必要な洗浄剤の濃度を保ち、洗濯槽の上まで十分に洗浄を行おうとすると、大量の水や洗浄剤を浪費してしまう。
【0006】
上述の課題を鑑み、本発明の目的は、大量の水や洗浄剤を浪費せず、簡単な作業で、十分な洗浄を行える洗濯機の洗浄方法、及び、このような洗浄方法で使用される洗濯機洗浄用の容積占有袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明の洗濯機の洗浄方法は、洗濯槽内に洗浄剤を投入し、浸け置きし、洗濯槽内の洗浄剤を含む水を排水し、すすぎを行って、洗濯機の内部の洗浄を行う洗濯機の洗浄方法において、浸け置きの前に、容積占有袋を洗濯槽内に入れ、その後容積占有袋に水を注入する工程と、すすぎの前に、容積占有袋から水を排出しながら容積占有袋を洗濯槽から取り出す工程とを含むようにしたことを特徴とする。
【0008】
好ましくは、容積占有袋を洗濯槽内に入れ、その後容積占有袋に水を注入する工程は、2つの開口を有する容積占有袋の下方の開口を閉じる工程と、下方の開口を閉じた容積占有袋を洗濯槽内に入れ、上方の開口から容積占有袋に水を注入してから、上方の開口を閉じる工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
好ましくは、容積占有袋の下方の開口を閉じる工程は、容積占有袋の下方の開口を外側から閉じた後、容積占有袋を裏返しにする工程を含むことを特徴とする。
【0010】
好ましくは、容積占有袋から水を排出しながら容積占有袋を洗濯槽から取り出す工程は、2つの開口を有する容積占有袋の上方と下方の開口を開き、容積占有袋の水を下方の開口から洗濯槽内で排水しながら、洗濯槽から容積占有袋を取り出す工程を含むことを特徴とする。
【0011】
好ましくは、容積占有袋の開口は、紐で縛って閉じることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、紐の縛り方は、スリップト・リーフ・ノットであることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、洗浄剤としてアルカリ性の洗浄剤を用い、さらに、洗濯槽内の水を排水する前に、洗濯槽内に中和剤を投入することを特徴とする。
【0014】
好ましくは、浸け置きの前に、取り外し可能な部品を取り外し、取り外した部品を浸け置きの待ち時間と並行して洗浄することを特徴とする。
【0015】
好ましくは、浸け置きの前に、洗濯槽の上部に洗浄剤を噴射することを特徴とする。
【0016】
本発明の洗濯機洗浄用の容積占有袋は、洗濯槽内に洗浄剤を投入し、浸け置きし、洗濯槽内の水を排水し、すすぎを行って、洗濯機の内部を洗浄するのに用いる洗濯機洗浄用の容積占有袋であって、上方および下方に開口を有する円筒状の袋本体と、袋本体は上下部に設けられた折り返し部と、折り返し部に挿入され前記開口を開け閉めする紐とからなり、浸け置きの前に、洗濯槽内に入れて、開口から袋本体に水を注入し、洗濯槽の内面に密着するようにして用いることを特徴とする。
【0017】
好ましくは、容積占有袋本体は、可撓性の部材からなることを特徴とする。
【0018】
好ましくは、容積占有袋本体は、左右の両側縁に設けられた補強材を有することを特徴とする。
【0019】
好ましくは、紐は、その先端に取り付けられた浮き部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、洗濯槽内に洗浄剤を投入し、浸け置きし、洗濯槽内の洗浄剤を含む水を排水し、すすぎを行って、洗濯機の内部の洗浄を行う洗濯機の洗浄方法において、浸け置きの前に、容積占有袋を洗濯槽内に入れ、その後容積占有袋に水を注入する工程と、すすぎの前に、容積占有袋から水を排出しながら容積占有袋を洗濯槽から取り出す工程とを含むようにしているので、洗浄剤の濃度を適正に保ちつつ、洗浄剤の分量や洗濯層の外面と洗濯層を覆う外層との間に保持される水の容量を減少させることができる。
【0021】
本発明によれば、容積占有袋を洗濯槽内に入れ、その後容積占有袋に水を注入する工程は、2つの開口を有する容積占有袋の下方の開口を閉じる工程と、下方の開口を閉じた容積占有袋を洗濯槽内に入れ、上方の開口から容積占有袋に水を注入してから、上方の開口を閉じる工程とを含むようにしているので、水を入れた容積占有袋を洗濯槽内に簡単に入れることができる。
【0022】
本発明によれば、容積占有袋の下方の開口を閉じる工程は、容積占有袋の下方の開口を外側から閉じた後、容積占有袋を裏返しにする工程を含むようにしているので、水を入れた容積占有袋の内部から下方の開口を開くことが簡単にできる。
【0023】
本発明によれば、容積占有袋から水を排出しながら容積占有袋を洗濯槽から取り出す工程は、2つの開口を有する容積占有袋の上方と下方の開口を開き、容積占有袋の水を下方の開口から洗濯槽内で排水しながら、洗濯槽から容積占有袋を取り出す工程を含むようにしているので、容積占有袋から水を排出して、洗濯槽から簡単に取り出すことができる。
【0024】
本発明によれば、容積占有袋の開口は、紐で縛って閉じるようにしているので、容積占有袋の開口を簡単に閉じ、また、開くことができる。
【0025】
本発明によれば、紐の縛り方は、スリップト・リーフ・ノットとしているので、容積占有袋の開口を簡単に閉じ、また、開くことができる。
【0026】
本発明によれば、洗浄剤としてアルカリ性の洗浄剤を用い、さらに、洗濯槽内の水を排水する前に、洗濯槽内に中和剤を投入しているので、洗濯槽を十分に洗浄できると共に、排水口から排水される水で、汚染を招くことがない。
【0027】
本発明によれば、浸け置きの前に、取り外し可能な部品を取り外し、取り外した部品を浸け置きの待ち時間と並行して洗浄しているので、時間を無駄にすることなく、各部の清掃を行える。
【0028】
本発明によれば、浸け置きの前に、洗濯槽の上部に洗浄剤を噴射しているので、洗濯槽の上部の汚れの激しい部分も洗浄することができる。
【0029】
本発明によれば、本発明の洗濯機洗浄用の容積占有袋は、洗濯槽内に洗浄剤を投入し、浸け置きし、洗濯槽内の水を排水し、すすぎを行って、洗濯機の内部を洗浄するのに用いる洗濯機洗浄用の容積占有袋であって、上方および下方に開口を有する円筒状の袋本体と、袋本体は上下部に設けられた折り返し部と、折り返し部に挿入され前記開口を開け閉めする紐とからなり、浸け置きの前に、洗濯槽内に入れて、開口から袋本体に水を注入し、洗濯槽の内面に密着するようにして用いているので、洗濯層の外面と洗濯層を覆う外層との間に保持される水に含まれる洗浄剤の濃度を適正に保ちつつ、洗浄剤の分量や洗濯槽内に入る水の容量を減少させることができる。
【0030】
本発明によれば、袋本体は、可撓性の部材から構成されているので、水を入れた容積占有袋を洗濯槽内に簡単に入れることができ、また、洗濯槽から簡単に取り出すことができる。
【0031】
本発明によれば、袋本体は、左右の両側縁に設けられた補強材を有するので、必要な強度を保つことができ、容積占有袋を洗濯槽から取り出す際に、水の重みで破れたり、伸びたりすることなく、確実に取り出すことができる。
【0032】
本発明によれば、紐は、その先端に取り付けられた浮き部材を有するので、水の入った洗濯槽の中でも、紐や開口の位置を簡単に確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の洗浄方法を用いて洗浄される洗濯機1の構成を示すものである。なお、ここで挙げる洗濯機1は、縦型全自動洗濯機であるが、本発明の洗浄方法で洗浄できる洗濯機は、これに限定されるものではない。
【0034】
図1に示すように、洗濯機1の外側は、外枠11で覆われる。洗濯機1の上面には、上部パネル12が取り付けられる。上部パネル12には、開閉自在の蓋体13が設けられる。また、上部パネル12には、操作パネル14が設けられる。洗濯機1の上側には、洗濯給水口15が設けられる。また、洗濯機1の下側には、洗濯排水口16が設けられる。
【0035】
洗濯機1の内部には、外層23とその内側に洗濯槽20が設けられる。洗濯槽20の底部には、パルセーター21が取り付けられる。
【0036】
この例では、洗濯機1は、洗濯機専用パン2の上に置かれている。洗濯機専用パン2の底面には、排水口4が設けられる。洗濯排水口16は、排水ホース19を介して、排水口4に連結される。洗濯給水口15は、給水ホース17を介して、水道栓3に連結される。
【0037】
なお、洗濯機1は、洗濯機専用パン2の上に置かれず、直接、床に置かれている場合もある。本発明の洗浄方法は、洗濯機専用パン2に洗濯機1を置かない場合にも、同様に洗浄できる。
【0038】
本発明の洗濯機の洗浄方法では、洗濯槽20内に洗浄剤を投入し、所定時間浸け置きして、洗濯槽20内の洗浄剤を含む水を排水し、すすぎを行って、洗濯機の内部の外層23の表面と洗濯槽20の内面の洗浄を行う。ここで、十分な洗浄を行うためには、洗浄剤の濃度が重要である。しかしながら、外層23には、100リットル程度の水が入り、洗浄剤を十分な濃度にして浸け置きすると、大量の水と洗浄剤を消費することになる。外層23内の水や洗浄剤を節約すると、洗浄剤を含む水が外層23の表面と洗濯槽20の内面の上部に到達しなくなり、外層23の表面と洗濯槽20の内面の上部の汚れが除去できない。
【0039】
そこで、本発明の洗濯機の洗浄方法では、水の入った容積占有袋を洗濯槽20内に入れることで、洗濯層20と外層23との間に保持される水に含まれる洗浄剤の濃度を適正に保ちつつ、洗浄剤の分量や洗濯槽20内に入る水の容量を減少させるようにしている。このことについて、以下に説明する。
【0040】
いま、水10リットルに対して洗浄剤1グラムが最適な濃度であるとする。そして、図2(A)に示すように、外層23の容量が100リットルであるとする。この場合、外層23に100リットルの水を入れたとすると、必要な洗浄剤の分量は、10グラムということになる。
【0041】
ここで、図2(B)に示すように、体積が75リットルの容積占有体Q1を洗濯槽20に入れたとする。この場合、容積占有体Q1により洗濯槽20内の容積が占有され、外層23に入る水の容量は、(100−75=25)リットルになり、必要な洗浄剤の分量は、2.5グラムになる。このように、洗濯槽20内に75リットルの容積占有体Q1を入れれば、必要とされる洗浄剤の分量は2.5グラムになり、洗濯槽20内に入る水の容量や洗浄剤の分量を1/4に減らすことができる。
【0042】
しかしながら、たとえ、洗濯槽20内に容積占有体Q1を入れたとしても、容積占有体Q1が水の比重よりも軽い場合には、図3(A)に示すように、容積占有体Q1が浮いてしまい、洗濯槽20内に入る水の容量や洗浄剤の分量を実質的に減少させることはできない。
【0043】
そこで、本発明の洗濯機の洗浄方法では、容積占有体Q1として、水を入れた容積占有袋を使うようにしている。この場合には、比重がほぼ同じになるため、図3(B)に示したように、洗濯槽20内の水の中に容積占有体Q1が漂うようになる。
【0044】
図4は、本発明の洗濯機の洗浄方法に用いられる容積占有袋50の一例を示すものである。図4に示すように、容積占有袋50は、可撓性の合成樹脂(例えばポリ塩化ビニル、ポリオレフィン等)からなる袋本体51および袋本体51の上下に設けられる開口52a及び52bから構成される。容積占有袋50の左右の両側縁は、補強材53a及び53bで補強されている。
【0045】
袋本体51は、上下の両側縁に折り返し部54a及び54bが設けられ、折り返し部54a及び54b内には、紐55a及び55bが挿通され、巾着構造になっている。紐55a及び55bの先端には、浮き部材56a及び56bが取り付けられている。
【0046】
図5は、本発明の洗濯機の洗浄方法を示すフローチャートである。図5に示すように、先ず、汚れや薬品が飛散しないように、各部の養生を行う(工程S1)。養生シートは、できるだけ厚手の弾力性のあるものを使用することが望ましい。
【0047】
次に、図1における水道栓3が確実に締められているかをチェックする(工程S2)。洗濯機1は、洗濯機専用パン2の上に置かれず、直接、床に置かれている場合もある。この場合には、水道栓3が確実に締められていないと、水がフローリングの床にかかり、床を変色させてしまう虞がある。
【0048】
水道栓3の締め付けが確実なら、取り外し可能な上部パネル12とパルセーター21を取り外し、パルセーター21は汚れの状態を確認した後、再度取り付ける(工程S3)。上部パネル12は、正面から開口する場合と、背面から開口する場合の2つのタイプがある。また、パルセーター21は、専用の工具を使って取り外す。
【0049】
そして、洗濯給水口15に専用のホースを連結する(工程S4)。普通の水道栓3を使用している場合、殆どが取り外したことがないため、一旦、給水ホース17を外してしまうと、ゴムパッキンの変形で、殆ど元に戻らないので、注意する必要がある。
【0050】
排水口4を確認し、床面からの直接配管かどうかを確認し、床面からの直接配管の場合を除き、排水ホース19を取り外す(工程S5)。なお、排水ホース19を取り外す際には、排水ホース19内に溜まった水に注意する必要がある。
【0051】
ここまでの作業が終了したら、図4に示したような容積占有袋50を準備し、図6(A)に示すように、袋本体51の下側の開口52bを紐55bで縛り、図6(B)に示すように、開口52bを、袋本体51の上側の開口52aに通し袋本体51を裏返しにして、開口52bが袋本体51の内側に位置する状態にする(工程S6)。紐55bの縛り方としては、スリップト・リーフ・ノットが用いられる。
【0052】
そして、図6(C)に示すように、洗濯槽20の下部まで水H1を注入した後、洗浄剤W1を投入する(工程S7)。
【0053】
洗濯槽20の汚れの素は、石鹸カスと、カビである。カビは、あらゆる雑菌が水分と少量残った洗剤を養分として繁殖し、ドラムの裏側に付着する。さらに、細かな繊維くずが付着し、増大することで、絶えず水分の供給に拍車がかかる。この例では、洗浄剤W1として、石鹸カスの除去とカビの除去と2つの要素を兼ね備えたものが用いられる。また、この洗浄剤W1は、強いアルカリ性を示すもので、取り扱いには注意が必要である。
【0054】
図6(D)に示すように、袋本体51の下側の開口52bを紐55bで縛り裏返し状態の容積占有袋50を洗濯槽20に入れ、上側の開口52aから袋本体51の上限まで、専用ホース等で水を注入し、図6(E)に示すように、洗濯槽20の内面に密着した状態で、上側の開口52aを紐55aで縛る(工程S8)。紐55aの縛り方としては、スリップト・リーフ・ノットが用いられる。そして、図6(F)に示すように、洗濯槽20内の上限まで、水を入れる(工程S9)。
【0055】
洗濯槽20内の上限より更に上の部分のカビや汚れがあるかどうかを確認し、上の部分のカビや汚れがある場合には、その部分に専用スプレーの洗剤を噴霧する(工程S10)。
【0056】
そして、所定の待ち時間だけ、浸け置きをする(工程S11)。浸け置き洗浄の待ち時間は、汚れの程度や成分の違いに依存して変わる。ステンレス槽なら 約30分程度、それ以外なら、約40分程度である。
【0057】
上述のように、洗浄剤に浸け置きしておくだけで、殆どのカビは消滅し、毛髪、綿や麻、羊毛、絹等の天然素材の繊維くずは、分解される。化学繊維は、高濃度の洗浄剤で、強度が失われ、すすぎの際に自然に剥がれ落ちる。
【0058】
洗浄待ち時間の間に、上部パネル12の裏側部分と取り外した部品の洗浄を行う(工程S12)。洗剤及び柔軟剤の投入口付近、水の注水口には、カビが発生しやすいので、専用スプレーの洗剤で確実に洗浄し、その後、洗剤成分を残さないように、すすぎ洗浄する。
【0059】
さらに、洗濯機1が洗濯機専用パン2上に設置されているかどうかを確認し、洗濯機1が洗濯機専用パン2上に設置されている場合には、排水口4の各部品を取り外し、排水口4の周辺を洗剤にて洗浄する(工程S13)。
【0060】
洗濯槽20の上部にスプレーした部分を確認し、ブラシ等で汚れを除去する(工程S14)。
【0061】
前述したように、洗浄剤W1は強いアルカリ性を示すもので、洗浄剤W1を含む水を洗濯槽20からそのまま下水に排水すると、下水を汚染し、浄化槽の故障等につながる。そこで、洗濯槽20の水を排水する前に、洗濯槽20に中和剤を投入する(工程S15)。中和剤は、容量を正確に計量して投入する必要がある。
【0062】
洗濯槽20内に中和剤を投入したら、洗濯機1の電源を入れ、排水に設定し、洗濯層20と外層23との間に保持される水を排水する(工程S16)。
【0063】
そして、図7(A)に示すように、容積占有袋50の上側の開口52aを縛っている紐55aの結びを解き、上側の開口52aを開き、図7(B)に示すように、袋本体51の内側から、紐55bを解き、下側の開口52bを開き、容積占有袋50の結び目をゆっくり持ち上げて、容積占有袋50の袋本体51の水を開口52bから排出しながら、容積占有袋50を洗濯槽20から取り出す(工程S17)。
【0064】
つまり、浸け置きが終わった後には、容積占有袋50を洗濯槽20から取り出す必要がある。このとき、容積占有袋50内に水が入ったままだと、非常に大きな重量となり、容積占有袋50を取り出すのが困難である。そこで、洗濯槽20内で、容積占有袋50から水を抜いて、容積占有袋50を取り出すようにしている。また、洗濯槽20内で容積占有袋50から水を抜くと、この水が洗濯槽20のすすぎに利用でき、節水効果が得られる。
【0065】
前述したように、容積占有袋50の上下の開口52a、52bは、紐55a及び55bを結んで閉じており、結び方としては、スリップト・リーフ・ノットを使っているので、簡単に紐を解くことができる。
【0066】
また、紐55a及び55bの先端には、浮き部材56a及び56bが取り付けられているため、この浮き部材56a及び56bを辿っていけば、水の入った袋本体51の中でも、紐55a及び55bや開口52a及び52bの位置を簡単に確認できる。
【0067】
また、袋本体51の左右の両側縁に補強材53a及び53bを設けているので、容積占有袋50を洗濯槽20から取り出す際に、水の重みで破れたり、伸びたりすることなく、確実に取り出すことができる。
【0068】
洗濯槽20から容積占有袋50を取り出したら、洗濯槽20の上部を水洗いする(工程S18)。
【0069】
次に、洗濯機1の電源を入れ、すすぎ工程を選択し、スタートする(工程S19)。このとき、水に残留物がどれ位混入しているかを確認する。洗浄した上部を水洗いすると同時に、上限まで水を注入すすぎ工程の際に、浮き上がる汚れ破片等に注意する。
【0070】
洗濯機1内の水が排水されたことを確認した後、清水で洗濯槽20の内外全体をすすぎ、洗剤を洗い流す(工程S20)。
【0071】
取り外した各部品を組み込む(工程S21)。そして、上部パネル12を取り付け、表面全体を洗浄し空拭きする(工程S22)。
【0072】
以上の作業が終了したら、洗濯機1を所定の位置に戻し、洗濯給水口15を給水ホース17を介して水道栓3に接続して、水道栓3を開栓する(工程S23)。このとき、水漏れの確認を行う。
【0073】
そして、洗濯機1の試運転を行い、各動作の確認を行う(工程S24)。このとき、水道栓3を接続した際の水漏れを確認する。各部の動作が正常なら、作業場所付近の清掃を行って、洗濯機の洗浄作業を終了する(工程S25)。
【0074】
以上説明したように、本発明の洗濯機の洗浄方法では、洗濯槽20内に洗浄剤W1を投入して洗浄を行う際に、洗濯槽20内に水の入った容積占有袋50を入れることで、洗浄剤W1の濃度を適正に保ちつつ、洗浄剤の分量や洗濯層20と外層23との間に保持される水の容量を減少させることができる。
【0075】
なお、上述の実施形態では、容積占有袋50として、上下に開口52a、52bを有し、開口52a、52bを紐55a及び55bで縛って塞ぐようにしているが、容積占有袋50は、洗濯槽内で給水、排水できるものであれば、どのようなものを用いても良い。例えば、紐55a及び55bの代わりに、クリップ等の部材を用いて、開口52a、52bを塞ぐようにしても良い。また、容積占有袋50として、開口が1つの部材を用いても良い。
【0076】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、洗濯機の内部の石鹸カスやカビを清掃する場合の他、各種の容器を浸け置きして清掃する場合に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の洗濯機の洗浄方法で洗浄できる洗濯機の一例の斜視図である。
【図2】本発明の洗濯機の洗浄方法の原理の説明図である。
【図3】本発明の洗濯機の洗浄方法の原理の説明図である。
【図4】本発明の洗濯機の洗浄方法で用いられる容積占有袋の一例の斜視図である。
【図5】本発明の洗濯機の洗浄方法の説明に用いるフローチャートである。
【図6】本発明の洗濯機の洗浄方法における容積占有袋を入れる工程の説明図である。
【図7】本発明の洗濯機の洗浄方法における容積占有袋を取り出す工程の説明図である。
【符号の説明】
【0079】
1 洗濯機
2 洗濯機専用パン
3 水道栓
4 排水口
11 外枠
12 上部パネル
13 蓋体
14 操作パネル
15 洗濯給水口
16 洗濯排水口
17 給水ホース
19 排水ホース
20 洗濯槽
21 パルセーター
23 外層
50 容積占有袋
51 袋本体
52a,52b 開口
53a,53b 補強材
54a,54b 折り返し部
55a,55b 紐
56a,56b 浮き部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯槽内に洗浄剤を投入し、浸け置きし、前記洗濯槽内の洗浄剤を含む水を排水し、すすぎを行って、洗濯機の内部の洗浄を行う洗濯機の洗浄方法において、
前記浸け置きの前に、容積占有袋を前記洗濯槽内に入れ、その後前記容積占有袋に水を注入する工程と、
前記すすぎの前に、前記容積占有袋から水を排出しながら前記容積占有袋を前記洗濯槽から取り出す工程と
を含むようにしたことを特徴とする洗濯機の洗浄方法。
【請求項2】
前記容積占有袋を前記洗濯槽内に入れ、その後前記容積占有袋に水を注入する工程は、
2つの開口を有する前記容積占有袋の下方の開口を閉じる工程と、
前記下方の開口を閉じた前記容積占有袋を前記洗濯槽内に入れ、上方の開口から前記容積占有袋に水を注入してから、上方の開口を閉じる工程と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の洗濯機の洗浄方法。
【請求項3】
前記容積占有袋の下方の開口を閉じる工程は、前記容積占有袋の下方の開口を外側から閉じた後、前記容積占有袋を裏返しにする工程
を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の洗濯機の洗浄方法。
【請求項4】
前記容積占有袋から水を排出しながら前記容積占有袋を前記洗濯槽から取り出す工程は、
2つの開口を有する前記容積占有袋の上方と下方の開口を開き、
前記容積占有袋の水を下方の開口から前記洗濯槽内で排水しながら、前記洗濯槽から前記容積占有袋を取り出す工程
を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の洗濯機の洗浄方法。
【請求項5】
前記容積占有袋の開口は、紐で縛って閉じることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の洗濯機の洗浄方法。
【請求項6】
前記紐の縛り方は、スリップト・リーフ・ノットであることを特徴とする請求項5に記載の洗濯機の洗浄方法。
【請求項7】
前記洗浄剤としてアルカリ性の洗浄剤を用い、さらに、前記洗濯槽内の水を排水する前に、前記洗濯槽内に中和剤を投入することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の洗濯機の洗浄方法。
【請求項8】
前記浸け置きの前に、取り外し可能な部品を取り外し、前記取り外した部品を前記浸け置きの待ち時間と並行して洗浄することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の洗濯機の洗浄方法。
【請求項9】
前記浸け置きの前に、前記洗濯槽の上部に洗浄剤を噴射することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の洗濯機の洗浄方法。
【請求項10】
洗濯槽内に洗浄剤を投入し、浸け置きし、前記洗濯槽内の水を排水し、すすぎを行って、洗濯機の内部を洗浄するのに用いる洗濯機洗浄用の容積占有袋であって、
容積占有袋は、
上方および下方に開口を有する円筒状の袋本体と、
前記袋本体は上下部に設けられた折り返し部と、
前記折り返し部に挿入され前記開口を開け閉めする紐とからなり、
前記浸け置きの前に、前記洗濯槽内に入れて、前記開口から前記袋本体に水を注入し、前記洗濯槽の内面に密着するようにして用いることを特徴とする洗濯機洗浄用の容積占有袋。
【請求項11】
前記袋本体は、可撓性の部材からなることを特徴とする請求項10に記載の洗濯機洗浄用の容積占有袋。
【請求項12】
前記袋本体は、左右の両側縁に設けられた補強材を有することを特徴とする請求項10乃至11の何れかに記載の洗濯機洗浄用の容積占有袋。
【請求項13】
前記紐は、その先端に取り付けられた浮き部材を有することを特徴とする請求項12に記載の洗濯機洗浄用の容積占有袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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