説明

洗濯機

【課題】吊り板を板面と左右対称に開く方向の力および板面と垂直な上下に捻る方向の力に対する強度をより強化させた吊り板を有する洗濯機を提供する。
【解決手段】外箱1内にその四隅から吊下げ手段6によって水槽3を吊下げ、底部に攪拌翼を配設した洗濯兼脱水槽を水槽内に配設し、洗濯兼脱水槽の下方にギヤ、クラッチなどの機構を介してモータ4を配設する。吊り下げ手段6の吊り棒5は、水槽3を支持する。吊り板11とは、吊り棒5を吊り下げ保持する。フランジ61の一方の辺は外箱1の少なくとも2隅を構成する2辺に沿って水平に設けられている。吊り板11は、板面に垂直方向に一方の面が凸部で他方の面が凹部となる絞り形状を複数段有し、この内の少なくとも1段の絞り形状の側面をフランジ61の他方の辺に当接させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関するものであり、特に水槽の支持手段の一部を構成する吊り板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、洗濯機は外箱内にその四隅から吊り下げ手段によって水槽を吊り下げ、底部に攪拌翼を配設した洗濯兼脱水槽を上記水槽内に配設し、洗濯兼脱水槽の下方にギヤ、クラッチなどの機構を介してモータを配設したもので、外箱の上部の四隅部から、吊り棒を主体とする吊り下げ手段によって水槽が吊持されており、この槽体の内部に、洗濯槽と脱水槽とを兼ねる内槽が配設されている。
【0003】
特許文献1に示される従来の洗濯機において、外箱の上部の四隅にそれぞれ設けられ、水槽の支持手段の一部を構成する吊り板は、略三角形の金属板を板金加工及びプレス加工により球面凹部を形成し、この球面凹部の中心部に吊り棒の挿通孔を形成し、さらに板の一端からこの挿通孔に連通する吊り棒挿通溝を形成し、吊り板の周囲に板面に垂直な方向に強度を高めるための絞り形状を1段設けたものが知られている。
【特許文献1】特開2000−237491号公報(図12及び図13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で示される従来の洗濯機では、略三角形の吊り板の面と垂直方向に吊り板を外力に対向して補強するための絞りが1段しか設けられていないため、吊り棒挿入孔を中心として吊り板を板面と左右対称に開く方向の力および板面と垂直な上下に捻る方向の力に対して弱く、破壊されることがあるという問題があった。
【0005】
また、吊り板をネジで外箱に設けられたフランジに取り付ける際、フランジのネジ取付け孔と吊り板のネジ取付け孔とを合わせなくてはならず、作業が煩雑であった。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するために為されたものであり、主たる目的は、吊り板を板面と左右対称に開く方向の力および板面と垂直な上下に捻る方向の力に対する強度をより強化させた吊り板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外箱と、外箱に収容される水槽と、外箱に設けられ、水槽を吊り下げる吊り下げ手段と、を備え、吊り下げ手段は、水槽を支持する吊り棒と、吊り棒を吊り下げ保持する吊り板と、吊り板に対応して設けられ、一方の辺が前記外箱上部の少なくとも2隅に水平に設けられ、内側に向いた略湾曲状の開口部を有するフランジと、を備え、吊り板は、板面に垂直方向に一方の面が凸部で他方の面が凹部となる絞り形状を複数段有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
吊り板は、板面に垂直方向に一方の面が凸部で他方の面が凹部となる絞り形状を複数段有するので、吊り板を板面と左右対称に開く方向の力および板面と垂直な上下に捻る方向の力に対する強度がその分増加する。
【0009】
また、少なくとも1段の絞り形状の側面を上記フランジの他方の辺に当接させるように構成したので、吊り板の側面をフランジの辺に当接させるだけで自動的に吊り板のネジ孔とフランジのネジ孔の位置合わせが行われるので、ネジ取付け作業が極めて容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の洗濯機の実施形態1を示す側面側の説明図、図2は同上平面側の説明図、図3は図2における吊り板の外観図、図4はその裏面を示す外観図、図5は吊り板を外箱に取り付けた状態を示す外観図、図6はその拡大図、図7はさらに取付状況を分かりやすく示した説明図である。
洗濯機は外箱1内の4隅または2隅(この場合には、水槽の一方の辺をヒンジなどにより水槽が傾斜自在に固定しておく)から吊り下げ手段6によって水槽3を吊り下げ、図示は省略するが底部に攪拌翼を配設した洗濯兼脱水槽を上記水槽内に配設し、洗濯兼脱水槽の下方にギヤ、クラッチなどの機構を介してモータ4を配設している。また、上記吊り下げ手段6として、下部に防振部分7を組み込んだ吊り棒5の上部に雄ネジ8を有する外周ネジ管を吊り棒5本体に披嵌して形成し、この雄ネジ8の部分を駆動部9で回転する雌ネジ回転体10にネジ込んで吊り下げ長さを自動調整可能にしている。
【0011】
上記吊り下げ手段6の一部を構成する吊り板11として、吊り板11には、図3に示すように、板面に垂直方向に一方の面が凸部で他方の面が凹部となる絞り形状A 31と絞り形状B 32を形成して、吊り板を板面と左右対称に開く方向の力および板面と垂直な上下に捻る方向の力に対する強度を強化している。また、図3に示すように、略方形状の板に吊り棒5を挿通するための挿通孔33を形成し、さらに吊り板の一端からこの挿通孔33に連通する吊り棒用挿入溝34を形成した。また、洗濯機の運転中にこの吊り板11が不要な回転をしないように図示しないストッパを挿通するストッパ挿通孔35を形成している。さらに、図4に示すように吊り棒の挿通孔には絞り形状C 41を形成して、吊り板11を板面と左右対称に開く方向の力に対する強度を強化している。
【0012】
また、図5〜図7に示すように、吊り板11を外箱1に取り付ける際に、吊り板11の絞り形状B 32の側面と外箱1に設けられたフランジ61の辺とが当接させると、吊り板11のネジ孔とフランジ61のネジ孔がすべて合うように構成した。これにより、吊り板11を外箱1に取り付ける際の位置合わせが不要になり、作業の効率化を大幅に図ることができる。
【0013】
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2における吊り板の取付け状況を示す外観図である。
図8において、実施の形態1と同じ部分についての説明を省略し、異なる部分について説明する。実施の形態1では、吊り棒挿通孔33と連通する吊り棒挿通溝34は開口側に向いて設けられていたが、この実施の形態2では、開口側でなく、反対側に向いて設けられている。
これにより、吊り棒挿通溝34はフランジ61の辺に当接するので板面に平行な左右方向に開く力に対しては、強力な対抗力を有し、左右に閉じる方向に対しては、吊り棒挿通溝34はフランジにより保護されるため、十分な対抗力を持つ。従って、実施の形態1に比べて板面方向の開く力及び閉じる力に対して格段に強力な対抗力を有する。
なお、吊り棒5と吊り板11の取付け方は、まず、吊り棒5を吊り板11の吊り棒挿通溝34を介して吊り棒挿通孔33に挿通し、その後、吊り板11を、吊り棒挿通溝を外箱に向いた状態でフランジ61の辺に当接するように取り付ける。
これにより、実施の形態1の効果に加え、吊り板を板面と左右対称に開く方向の力および板面と垂直な上下に捻る方向の力に対する強度がより強化する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の洗濯機の実施形態1を示す側面側の説明図(側面図)である。
【図2】本発明の洗濯機の実施形態1を示す平面側の説明図(平面図)である。
【図3】本発明の洗濯機の要部である吊り板の外観図である。
【図4】図3の吊り板の裏面外観図である。
【図5】吊り板を外箱に取り付けた状況を示す外観図である。
【図6】吊り板を外箱に取り付けた状況を拡大して示す外観図である。
【図7】吊り板を外箱のフランジに取り付ける状況を示す説明図である。
【図8】本発明の洗濯機の実施形態2における吊り板の取付け状況を示す外観図である。
【符号の説明】
【0015】
1 外箱、2 支持板、3 水槽、4 モータ、5 吊り棒、6 吊り下げ手段、7 防振部分、8 雄ネジ、9 駆動ユニット(アクチュエーター)、10 雌ネジ回転体、11 吊り板、12 フランジ、31 絞り形状A、32 絞り形状B、33 吊り棒用挿通孔、34 吊り棒挿通溝、35 ストッパ用挿通孔、41 絞り形状C、61 フランジ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
この外箱に収容される水槽と、
前記の外箱に設けられ、前記水槽を吊り下げる吊り下げ手段と、を備えた洗濯機において、
前記吊り下げ手段は、
前記水槽を支持する吊り棒と、
この吊り棒を吊り下げ保持する吊り板と、
この吊り板に対応して設けられ、一方の辺が前記外箱上部の少なくとも2隅に水平に設けられ、内側に向いた略湾曲状の開口部を有するフランジと、を備え、
前記吊り板は、板面に垂直方向に一方の面が凸部で他方の面が凹部となる絞り形状を複数段有することを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記吊り板の少なくとも1段の絞り形状の側面を前記フランジの略湾曲部の側面に当接させたことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記吊り板は略多角形の絞り形状を有し、
前記フランジは、前記略多角形の少なくとも2辺に当接するように形成された湾曲部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記吊り板は略楕円形の絞り形状を有し、
前記フランジは、前記吊り板の略楕円形の少なくとも所定の部分に当接するように形成された湾曲部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記吊り板は、前記吊り棒を通す第1の挿通孔と、この吊り板の回転防止用ストッパーを通す第2の挿通孔を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項6】
前記吊り板は、第1の挿通孔と連通する吊り棒挿通用の溝を有し、
前記フランジは、前記吊り板の前記吊り棒挿通用溝を含む外周に当接するように形成された部分を有することを特徴とする請求項5に記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−167894(P2008−167894A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3073(P2007−3073)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】