洗濯機
【課題】ポンプ室から吐出された洗濯水を、流逸を防止して循環水路に効率良く送水することができる洗濯機を提供する。
【解決手段】洗濯槽10の底面12に、ケーシング20によって包囲されたパルセータ40が回転自在に配置されている。
パルセータ40に設置された裏外周壁50の下端面50cに円環状の溝である移動側止水溝51が形成され、ケーシング20の内周に沿って上方に突出する円筒状の固定側止水壁21が形成され、前者が後者に侵入した際ラビリンス1が形成される。また、パルセータ40に設置された表外周壁60の上端には外側に突出するフランジ61が形成され、フランジ61の外周に沿って下方に突出する円筒状の移動側止水壁62が形成され、一方、ケーシング20の内周に沿って下方に向かって円環状に陥没する固定側止水溝23が形成され、前者が後者に侵入して際、ラビリンス2が形成される。
【解決手段】洗濯槽10の底面12に、ケーシング20によって包囲されたパルセータ40が回転自在に配置されている。
パルセータ40に設置された裏外周壁50の下端面50cに円環状の溝である移動側止水溝51が形成され、ケーシング20の内周に沿って上方に突出する円筒状の固定側止水壁21が形成され、前者が後者に侵入した際ラビリンス1が形成される。また、パルセータ40に設置された表外周壁60の上端には外側に突出するフランジ61が形成され、フランジ61の外周に沿って下方に突出する円筒状の移動側止水壁62が形成され、一方、ケーシング20の内周に沿って下方に向かって円環状に陥没する固定側止水溝23が形成され、前者が後者に侵入して際、ラビリンス2が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯機、特に、洗濯槽の外部に流出した洗濯水を洗濯槽の内部に噴射させる洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に洗濯機は、洗濯水を貯蔵する貯水槽(水槽に同じ)と貯水槽内に収納され洗濯槽(脱水洗濯槽、脱水乾燥洗濯槽を総称する)とを有している。そして、洗濯水中に浮遊する屑(布屑、糸屑等)を捕捉するフィルタを設置するため、あるいは、洗濯水の水面に消泡用の水を散布するため、洗濯槽から流出した洗濯水を循環させるための循環水路が形成されている。このとき、循環水路への給水手段として、洗濯槽に設置されたパルセータのベースの下面に裏羽根を形成し、回転するパルセータと、パルセータを包囲するケーシングと、洗濯槽の下面とによってポンプ室を形成し、ポンプ性能を高めようとする発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−255992号公報(第3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された発明は、洗濯槽+とパルセータの外周縁部との間に、ラビリンス構造のシール部を形成するものであって、具体的には、パルセータの裏側に環状リブを形成し、当該環状リブをケーシングの外面に微少間隔を介して対峙させたり、パルセータの裏側に平坦部を形成し、当該平坦部をケーシングに形成した顎部に微少間隔を介して対峙させたりするものである。
すなわち、比較的広い円筒面同士あるいは平坦面同士を、微少間隔を介して対峙させたものであるため、本来のラビリンス(迷路)を形成するものではなく、ポンプ室から吐出された洗濯水が流逸して、循環水路に十分に供給されないという問題があった。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、ポンプ室から吐出された洗濯水の流逸を防止する性能(以下、「止水性」と称する場合がある)が向上した洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る洗濯機は、洗濯水を貯蔵自在かつ排出自在な貯水槽と、
該貯水槽内に収納され、底面の中央に開口部が形成された洗濯槽と、
該洗濯槽に回転自在に配設されたパルセータと、
前記洗濯槽に設置され、前記パルセータを回転自在に包囲するケーシングと、
前記洗濯槽に設置され、前記ケーシングに形成された開口部に連通する循環水路と、
該循環水路に設けられ、前記洗濯槽の内側または外側に開口する噴射孔と、
を有し、
前記パルセータと前記ケーシングとの間に水の流逸を困難にするラビリンスが形成されていることを特徴とする。
【0007】
なお、本発明において「洗濯槽」とは、洗濯および脱水に供するものでは「脱水兼洗濯槽」に同じであり、乾燥に供するものでは(たとえば、温風が供給される場合)「乾燥兼脱水兼洗濯槽」に同じである。また、「洗濯水」とは、洗濯に供する水であって、水道水、風呂水やこれらに洗剤が投入されたものを指し、特段限定するものではない。また、洗濯とは、「洗い」または「濯ぎ」の一方または両方を指している。
【発明の効果】
【0008】
したがって、本発明に係る洗濯機は、パルセータとケーシングとの間に水の流逸を困難にする本来のラビリンス(断面L字状や断面コ字状)が形成されるから、止水性(ポンプアップ性能に同じ)が向上することになる。そして、これに伴って循環する洗濯水の量が増すから、洗濯水中を浮遊する屑の捕捉が促進されると共に、水面に発生した泡の消失や、貯水槽の内面の洗浄が促進される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る洗濯機のラビリンスを説明する側面視の断面図である。なお、理解を助けるため、図中の各構成部材を模式的に示しているため、その寸法は正確でない。特に、薄板によって形成されている部材については厚さを誇張し、各構成部材間の間隔については隙間を誇張している。また、各図において同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図1において(一部詳細については図7参照)、洗濯機100は、一連の洗い行程とすすぎ行程と脱水行程と乾燥行程とを実行するものである。なお、洗い行程と濯ぎ行程とをまとめて「洗濯行程」と称する場合がある。
【0010】
洗濯機100は、筐体と、該筐体内に収納された貯水槽(何れも図示しない)と、該貯水槽内に回転自在に配置された洗濯槽10と、洗濯槽10内に回転自在に配置されたパルセータ40と、洗濯槽10内に設置され、パルセータ40を回転自在に包囲するケーシング20と、洗濯槽10に設置され、ケーシング20に形成された開口部(以下、「流入口」と称す)70に連通する循環水路30と、を有している。
【0011】
(洗濯槽)
洗濯槽10は、投入された衣類の洗いとすすぎと脱水とに供するものでは「洗濯兼脱水槽」と、投入された衣類の洗いとすすぎと脱水と乾燥とに供するものでは「洗濯兼脱水兼乾燥槽」とも称呼されるものである。洗濯槽10は貯水槽(図示しない)に回転自在に配置されている。
洗濯槽10は天面が開放するコップ状であって、底面12の中央において円形に開口する底面開口部11が形成さ、底面12と円筒状の側面14との間には両者を滑らかに繋ぐ略円錐台状の傾斜面13が形成されている。また、側面14には洗濯行程における洗濯水の循環のため、および脱水行程における洗濯水の吹き飛ばしのため、複数の通水孔(図示しない)が形成されている。
【0012】
(パルセータ)
洗濯槽10の底面12の内側(槽内)に、パルセータ40が回転自在に配置されている。パルセータ40のベース40bの上面には羽根40aが形成され、投入された衣類および注入された水を効率的に攪拌するようになっている。ベース40bの下面には略半径方向に向かって複数の裏羽根が設置され、複数の裏羽根の下端部には、これらを連結する円環状板(以下「裏蓋」と称す)42が設置されている。したがって、ベース40bの下面と裏蓋42の上面との間には、一対の裏羽根に仕切られた複数の略角錐台状の空間(以下「加速流路」と称す)43が形成されている。
【0013】
また、裏蓋42の内周縁42aとパルセータ40の駆動軸44との間には円環状の隙間(以下「吸引口」と称す)45が形成され、吸引口45は洗濯槽10の底面12に形成された底面開口部11と平面視のおいて略重なり、両者は連通している。
よって、水中に没した状態で、パルセータ40を回転すると、加速流路43内の水は遠心力によって半径方向の外側に吹き飛ばされるから、洗濯槽10の底面11の下に貯まった水は、底面開口部11および吸引口45を通過して、加速流路43に吸い込まれることになる。このとき、パルセータ40の裏羽根41と洗濯槽10の底面12との間に隙間が形成されないから、水が漏れることがなく、ポンプ性能(吸引/吐出性能に同じ)が優れている。
【0014】
さらに、ベース40bの裏面には、裏羽根の外周端面41bを連結してベース40b寄りの所定範囲を包囲する裏外周壁50と、ベース40bの表面には、羽根40aの外周を連結して、外周にそって上方に突出する表外周壁60とが、それぞれ設けられている。したがって、洗濯行程において、パルセータ40の回転によって加速流路43から外側に吹き飛ばされる水流は、裏外周壁50の内周面50aにおいて略下方に向けられ、洗濯槽10内では、パルセータ40の羽根40aの回転によって撹拌された洗濯水は、表外周壁60の内周面60aにおいて略上方に向けられる。
【0015】
また、裏羽根41の外周端面41bは、裏外周壁50よりも下の範囲が切り欠かれ、裏羽根切欠部41cが形成されている。すなわち、裏羽根切欠部41cに連なる範囲の外周(以下、「切欠側端面41d」と称す)は、外周端面41bより一段奥まっている(図中、左に位置している)。
【0016】
(循環水路)
洗濯槽10の側面14の内面側には、所定厚さ(半径方向の距離に同じ)で、所定幅(円周方向の距離に同じ)の循環水路30が、底面12から略上端にまで、鉛直方向(図中、上下方向)に形成されている。
循環水路30は、洗濯槽10の底面12の一部と循環水路壁32とによって囲まれ、上端部は上蓋部34によって塞がれ、循環水路壁32には貫通した噴射孔33が形成されている。また、循環水路壁32の下端は、連通水路壁31を介してケーシング20(流入口30の位置に限る)の上端に接続されている。
【0017】
(ラビリンス1)
ケーシング20の内周に沿って上方に突出する円筒状の固定側止水壁21が形成されている。なお、正確には、ケーシング20の下端には内周側に突出する円環状の固定側内フランジ22が形成され、固定側内フランジ22の内周に沿って上方に突出する円筒状の固定側止水壁21が形成されている。
一方、パルセータ40に設置された裏外周壁50の下端面50cには、円環状の溝である移動側止水溝51が形成されている。
そして、移動側止水溝51に固定側止水壁21が侵入自在であって、侵入した際、両者の間には所定の微少間隙が形成されるから、両者によって止水性を奏するラビリンス以下、「ラビリンス1」と称す)が形成されることになる。
【0018】
(ラビリンス2)
ケーシング20の内周に沿って下方に向かって円環状に陥没する固定側止水溝23が形成されている。
一方、パルセータ40に設置された表外周壁60の上端には外側に突出するフランジ61が形成され、フランジ61の外周に沿って下方に突出する円筒状の移動側止水壁62が形成されている。
そして、固定側止水溝23に移動側止水壁62が侵入自在であって、侵入した際、両者の間には所定の微少間隙が形成されるから、両者によって止水性を奏するラビリンス(以下、「ラビリンス2」と称す)が形成されることになる。
【0019】
なお、裏外周壁50の外周面50bと表外周壁60の外周面60bとが同一面を形成し、ケーシング20の内周面20aと所定の微少間隔を介して対峙するようにすれば、これらによっても、止水性を奏する隙間が形成されることになる。
したがって、洗濯機100はラビリンス1およびラビリンス2を有するから、パルセータ40の回転によって吐出された洗濯水は僅かな量の流逸あるいは流逸することなく、循環水路30に供給される。よって、パルセータ40のポンプアップ性能が向上している。
なお、本発明は洗濯機100がラビリンス1およびラビリンス2の両方を具備するものに限定するものではなく、何れか一方を具備するものであってもよい。
【0020】
(ラビリンス3)
図2〜図6は、図1に示す洗濯機に追加して設置することができるラビリンスを説明する側面視の断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図2において、ケーシング20の流入口70の底面71が、洗濯槽10の底面12よりも高い位置に配置されている。したがって、洗濯槽10の底面12と裏蓋42の下面、および流入口70底面71と裏蓋42の外周端面42b、によってラビリンス3が形成される。また、裏蓋42の上面が流入口70の底面71より僅かに高くなっているから、加速流路43から吹き出された水流の底部は、滑らかにケーシング20に流入する。
【0021】
(ラビリンス4)
図3において、ケーシング20の流入口70の底面71に上方に突出する流入口下壁74が形成され、流入口下壁74の上縁が洗濯槽10の底面12よりも高い位置になっている。したがって、洗濯槽10の底面12と裏蓋42の下面、および流入口下壁74の下壁内面74aと裏蓋42の外周端面42b、によってラビリンス4が形成される。
【0022】
(ラビリンス5)
図4において、洗濯槽10の底面12の中央に形成された底面開口部11の内周(底面12の内周縁12aに同じ)に沿って、下方に突出する円環状の固定側止水壁81が形成され、かつ、パルセータ40の裏蓋42の内周縁42aに沿って、下方に突出する円環状の移動側止水壁84が形成されている。したがって、洗濯槽10の底面12と裏蓋42の下面、および底面12に形成された固定側止水壁81の内面81aと裏蓋42に形成された移動側止水壁84の外周面84b、によってラビリンス5が形成される。
【0023】
(ラビリンス6)
図5において、洗濯槽10の底面12の中央に形成された底面開口部11の内周(底面12の内周縁12aに同じ)に沿って、底面12に下方に陥没する円環状の固定側止水溝82が形成され、かつ、パルセータ40の裏蓋42に、固定側止水溝82に侵入自在な円環状の移動側止水壁85が形成されている。したがって、底面12に形成された固定側止水溝82に裏蓋42に形成された移動側止水壁85が侵入することによってラビリンス6が形成される。
【0024】
(ラビリンス7)
図6において、洗濯槽10の底面12の中央に形成された底面開口部11の内周(底面12の内周縁12aに同じ)に沿って、底面12に下方に陥没する円環状の固定側止水溝82が形成され、かつ、パルセータ40の裏蓋42に、固定側止水溝82に侵入自在な円環状の移動側止水壁85が形成されている(ラビリンス6に同じ)。
さらに、パルセータ40の裏蓋42の内周縁42aに沿って、下方に突出する円環状の移動側止水壁84が形成され、固定側止水溝82を形成する固定側内周壁83の内周面83aが鉛直に形成されている。
したがって、と固定側内周壁83の内周面83aと移動側止水壁84の外周面84b、固定側止水溝82と移動側止水壁85、洗濯槽10の底面12と裏蓋42の下面、によってラビリンス7が形成される。
【0025】
[実施の形態2]
図7〜図9は、本発明の実施の形態2に係る洗濯機を説明するものであって、図7は一部を示す側面視の断面図、図8は一部を示す平面視の断面図、図9は水流を模式的に示す一部を断面にした平面図である。図7〜図9において、洗濯機200は、洗濯機100(ラビリンス1、2、3を有する)に追加して、後記する水流誘導リブ90a、90bが設けられたものである。
水流誘導リブ90a、90bは、ケーシング20に形成された流入口70の側面72a、72bに、パルセータ40側に突出して設置され、そのパルセータ40側が、裏外周壁50の下方および裏羽根切欠部41cに侵入している。なお、水流誘導リブ90a、90bは平面視においてハ字状に面対称に配置されているから、以下、その一方について説明する。
【0026】
すなわち、
水流誘導リブ90a、90bの下縁91a、91bのケーシング20側は、流入口70の流入口下壁74(底面71に形成されている)に当接し(または固定され)、下縁91a、91bのパルセータ40側は裏蓋42の上面および切欠上端面41eと所定の間隔を形成している。
水流誘導リブ90a、90bの側縁92a、92bは裏羽根41の切欠側端面41dと所定の間隔を形成している。
水流誘導リブ90a、90bの上縁93a、93bのケーシング20側は、流入口70の天井面73に当接し(または固定され)、上縁93a、93bのパルセータ40側は裏外周壁50の下端面50cと所定の間隔を形成している。
【0027】
したがって、パルセータ40は水流誘導リブ90a、90bに衝突することなく回転することができ、回転によって加速流路43から吹き出された接線方向に流れる水流は、水流誘導リブ90a、90bに案内されて循環水路30に流入することになる(図9参照)。特に、前記所定の間隔は狭く設定されているから、ラビリンス1、2、3の止水効果にも助けられ、前記水流は効果的に循環水路30に流入している。
なお、水流誘導リブ90a、90bは、その効果が必要な箇所に設置すればよく、たとえば、ポンプアップが必要な循環路30、糸屑捕集(リントフィルター)が配置される循環路30、あるいは、マイクロバブル(槽内洗浄)手段が配置される循環路30等に連なる1または2以上の流入口70に設置されるものである。
【0028】
そして、パルセータ40の裏蓋42の外周には、水流誘導リブ90a、90bが通過自在なリブ通過用スリット49a、49bが形成されている。したがって、リブ通過用スリット49a、49bと水流誘導リブ90a、90bとの位相を合わせて(図8参照)、パルセータ40を下方に押し込めば、パルセータ40を所定に位置に設置することができる。
なお、リブ通過用スリット49a、49bの設置数は限定するものではなく、リブ通過用スリット49a、49bが設置される流入口70の数量に同じか、組み立て(組み込み)時の作業性を良くするために流入口70の数量より多くてもよい。
【0029】
[実施の形態3]
図10および図11は、本発明の実施の形態3に係る洗濯機を説明するものであって、図10は一部を示す側面視の断面図、図11は一部を示す平面視の断面図である。図10および図11において、洗濯機300は、洗濯機200(水流誘導リブ90a、90bを有する)におけるパルセータ40の裏蓋42に形成されたリブ通過用スリット49a、49bを撤去したものである。
【0030】
洗濯機300における水流誘導リブ90a、90bは、洗濯機200よりも突出量が短く、裏外周壁50の下方に侵入し、その下縁91a、91bのケーシング20側は、流入口70の流入口下壁74(底面71に固定されたいる)に当接し(または固定され)、下縁91a、91bのパルセータ40側は0洗濯槽10の底面12に当接している(または固定されている)。そして、水流誘導リブ90a、90bの上縁93a、93bは裏外周壁50の下端面50cと所定の間隔を形成し、の水流誘導リブ90a、90bの側縁92a、92bは裏羽根41の外周端面41bと所定の間隔を形成している。
【0031】
したがって、洗濯機200(実施の形態2)と同様に、パルセータ40は水流誘導リブ90a、90bに衝突することなく回転することができ、回転によって加速流路43から吹き出された接線方向に流れる水流は、水流誘導リブ90a、90bに案内されて循環水路30に流入することになる(図9参照)。特に、前記所定の間隔は狭く設定されているから、ラビリンス1、2、3の止水効果にも助けられ、前記水流は効果的に循環水路30に流入している。
【0032】
[実施の形態4:洗濯機]
図12は本発明の実施の形態4に係る洗濯機を説明する側面視の断面図である。図12において、洗濯機400は、筐体410内に、傾動自在に懸吊された水槽(貯水槽に同じ)を有し、ラビリンス1〜7および水流誘導リブ90a、90bに何れか1以上を有している(図示しない)。したがって、洗濯機400は、循環水路30への洗濯水の流入が促進されると共に、洗濯槽450が傾斜することによる洗浄性能の向上が図られる。
なお、洗濯機100〜3(実施の形態1〜3)は、洗濯機400から水槽を傾動させる機能を撤去したものに相当している。以下、洗濯機400について簡単に説明する。
【0033】
(洗濯機)
図10において、洗濯機400は、一連の洗い行程とすすぎ行程と脱水行程と乾燥行程とを実行するものであって、洗濯槽を傾斜させた状態(回転軸を鉛直方向に対して傾けた状態)で洗い行程と乾燥行程とを実行し、洗濯槽を直立させた状態(回転軸を鉛直方向にした状態)で脱水行程(すすぎ行程を含む場合がある)とを実行するものである。したがって、図10に示す姿勢は、洗濯行程に対応している。
【0034】
(筐体)
筺体410は断面矩形の筒状(略直方体に同じ)であって、天面には天面開口部411が形成され、天面開口部411には扉412が開閉自在に設置されている。また、天面開口部411の後方(図中、右側)には洗濯ケース413が設置されている。
また、筺体410のに連なって底枠420が接続され、底枠420の底板423(筐体410の低板に同じ)には、遮音板429とゴム足425とが設置されている。なお、遮音板50の設置要領は洗濯機100(実施の形態1)に同じであるから、説明を省略する。
さらに、筺体410は四隅の上端部近くには吊り板426が設置され、吊り板426には吊り座427が設けられている。
【0035】
(水槽)
筺体410内に水槽(貯水槽に同じ)430が収納されている。水槽430は前面または上面が開放され、水槽底431が閉塞されたコップ状であって、水槽底431の近くで筐体410の四隅と同一位相に、バネ受け432が設置されている。
そして、水槽430は吊り棒440によって吊り下げられている。すなわち、吊り棒440の上端は吊り座427に係止し、下端はバネ441を介してバネ受け432によって支持されている。なお、後方の吊り棒440には吊り棒可動部442が設けられているから、吊り棒可動部442が後方の吊り棒440を引き上げると、水槽430は前方に向かって傾動する。
【0036】
(脱水槽)
洗濯槽(脱水洗濯槽に同じ)450は、投入された衣類の洗いとすすぎと脱水と乾燥とに供するものであるから、洗濯兼脱水槽あるいは洗濯兼脱水兼乾燥槽とも称呼されるものである。脱水槽450は水槽430に回転自在に配置されている。そして、水槽430が傾動するから、脱水槽450は水槽430と共に傾動するものである。したがって、洗濯行程における洗濯水の撹拌が促進され、洗浄効果が向上すると共に、乾燥行程においても衣類の撹拌が促進されるから、乾燥効率が向上する。
脱水槽450は、前面または上面が開放され、脱水槽底451が閉塞されたコップ状で、側面452には脱水のための複数の通水孔453が形成され、天面の周囲にはバランサー454が設置されている。
【0037】
(パルセータ等)
また、脱水槽底451の内側には、投入された衣類および注水された水(以下「洗濯水」と称す)を攪拌するパルセータ40が回転自在に配置されている。そして、パルセータ40はケーシング20によって回転自在に包囲され、ケーシング20に形成されて流入口70に連通する循環水路30が形成されている。
さらに、パルセータ40とケーシング20(脱水槽底451を含む)との間にはラビリンス1〜7の1以上が設けられている(図示しない)。また、これに追加して、流入口70には水流誘導リブ90a、90bが設置されてもよい(図示しない)。
【0038】
よって、水中に没した状態で、パルセータ40を回転すると、加速流路43内の水は遠心力によって半径方向の外側に飛ばされるから、水槽底431と脱水槽底451との間に貯まった洗濯水は、循環口435および吸引口45を通過して、加速流路43に吸い込まれ、流入口70を通過して循環水路30に流入することになる。このとき、設置されたラビリンス1〜7の1以上の止水効果、および設置された水流誘導リブ90a、90bの水流誘導効果によって、洗濯水は効率良く循環水路30に流入する。このとき、パルセータ40の裏羽根41と洗濯槽10の底面12との間に隙間が形成されないから、水が漏れることがなく、ポンプ性能(吸引/吐出性能に同じ)が優れている。
なお、パルセータ40は水槽430の水槽底431に軸受ベース・ステータ471を介して設置されたモータ470によって回転駆動されるものである。
【0039】
(循環水路)
脱水槽450の側面の内側には、所定厚さ(半径方向の距離に同じ)で、所定幅(円周方向の距離に同じ)の循環水路30が鉛直方向(図中、上下方向)に形成され、循環水路30の上方には噴射孔33が設けられている。
したがって、洗濯行程において、パルセータ40の回転によって吐出された洗濯水は、循環水路30を経由して噴射孔33から脱水槽450内に噴射されることになる。したがって、水面の泡等が消されるから周囲が清浄に保たれる。さらに、循環水路30内に屑(糸屑、布屑等)を捕捉する屑捕捉手段を設置してもよい。
【0040】
(除湿手段)
さらに、水槽430には除湿手段480が設置されている。除湿手段480は乾燥行程において、脱水槽450から排出された湿った空気を案内する除湿風路481と、除湿風路481内に設置された除湿板482および乾燥フィルタ483と、除湿風路481に空気を吸引(脱水槽450に空気を送るに同じ)するファン・モータ484、ファン・モータ484によって送られた空気を加熱するヒータ485、ヒータ485によって加熱された空気を脱水槽450に案内する蛇腹486と、から形成されている。このとき、蛇腹486は可撓性または伸縮性を具備するから、水槽430の傾動に追従することができる。
なお、筐体410の天面には給水口414が設けられ、給水口414に注入された水は、分岐弁415によって分岐され、洗濯ケース413に注がれたり、あるいは除湿板482に注がれたりする。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は以上の構成であるから、パルセータ等によって形成されるポンプ室から吐出された洗濯水を効率良く循環させることができるから、各種家庭用および業務用の洗濯機として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態1に係る洗濯機のラビリンスを説明する側面視断面図。
【図2】図1に示す洗濯機に設置可能なラビリンス3を説明する側面視の断面図。
【図3】図1に示す洗濯機に設置可能なラビリンス4を説明する側面視の断面図。
【図4】図1に示す洗濯機に設置可能なラビリンス5を説明する側面視の断面図。
【図5】図1に示す洗濯機に設置可能なラビリンス6を説明する側面視の断面図。
【図6】図1に示す洗濯機に設置可能なラビリンス7を説明する側面視の断面図。
【図7】本発明の実施の形態2に係る洗濯機を説明する一部を示す側面視の断面図。
【図8】本発明の実施の形態2に係る洗濯機を説明する一部を示す平面視の断面図。
【図9】図7に示す洗濯機を説明する水流を模式的に示す一部を断面にした平面図。
【図10】本発明の実施の形態3に係る洗濯機を説明する一部を示す側面視断面図。
【図11】本発明の実施の形態3に係る洗濯機を説明する一部を示す平面視断面図。
【図12】本発明の実施の形態4に係る洗濯機を説明する側面視の断面図。
【符号の説明】
【0043】
1〜7:ラビリンス、10:洗濯槽、11:底面開口部、12:底面、12a:内周縁、14:側面、13:傾斜面、20:ケーシング、20a:内周面、21:固定側止水壁、22:固定側内フランジ、23:固定側止水溝、23:固定側止水溝、30:循環水路、30:流入口、31:連通水路壁、32:循環水路壁、33:噴射孔、34:上蓋部、40:パルセータ、40a:羽根、40b:ベース、41:裏羽根、41b:外周端面、41c:裏羽根切欠部、41d:切欠側端面、41e:切欠上端面、42:裏蓋、42a:内周縁、42b:外周端面、43:加速流路、44:駆動軸、45:吸引口、49a:リブ通過用スリット、49b:リブ通過用スリット、50:裏外周壁、50a:内周面、50b:外周面、50c:下端面、51:移動側止水溝、60:表外周壁、60a:内周面、60b:外周面、61:フランジ、62:移動側止水壁、70:流入口、71:底面、72a:側面、72b:側面、73:天井面、74:流入口下壁、74a:下壁内面、81:固定側止水壁、81a:内面、82:固定側止水溝、83:固定側内周壁、83a:内周面、84:移動側止水壁、84b:外周面、85:移動側止水壁、90a:水流誘導リブ、90b:水流誘導リブ、91a:下縁、92a:側縁、93a:上縁、100:洗濯機(実施の形態1)、200:洗濯機(実施の形態2)、300:洗濯機(実施の形態3)、400:洗濯機(実施の形態4)、410:筺体、411:天面開口部、412:扉、413:洗濯ケース、414:給水口、415:分岐弁、420:底枠、423:底板、425:ゴム足、426:吊り板、427:吊り座、429:遮音板、430:水槽、431:水槽底、432:バネ受け、435:循環口、440:吊り棒、441:バネ、442:吊り棒可動部、450:脱水槽、451:脱水槽底、452:側面、453:通水孔、454:バランサー、470:モータ、471:軸受ベース・ステータ、480:除湿手段、481:除湿風路、482:除湿板、483:乾燥フィルタ、484:モータ、485:ヒータ、486:蛇腹。
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯機、特に、洗濯槽の外部に流出した洗濯水を洗濯槽の内部に噴射させる洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に洗濯機は、洗濯水を貯蔵する貯水槽(水槽に同じ)と貯水槽内に収納され洗濯槽(脱水洗濯槽、脱水乾燥洗濯槽を総称する)とを有している。そして、洗濯水中に浮遊する屑(布屑、糸屑等)を捕捉するフィルタを設置するため、あるいは、洗濯水の水面に消泡用の水を散布するため、洗濯槽から流出した洗濯水を循環させるための循環水路が形成されている。このとき、循環水路への給水手段として、洗濯槽に設置されたパルセータのベースの下面に裏羽根を形成し、回転するパルセータと、パルセータを包囲するケーシングと、洗濯槽の下面とによってポンプ室を形成し、ポンプ性能を高めようとする発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−255992号公報(第3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された発明は、洗濯槽+とパルセータの外周縁部との間に、ラビリンス構造のシール部を形成するものであって、具体的には、パルセータの裏側に環状リブを形成し、当該環状リブをケーシングの外面に微少間隔を介して対峙させたり、パルセータの裏側に平坦部を形成し、当該平坦部をケーシングに形成した顎部に微少間隔を介して対峙させたりするものである。
すなわち、比較的広い円筒面同士あるいは平坦面同士を、微少間隔を介して対峙させたものであるため、本来のラビリンス(迷路)を形成するものではなく、ポンプ室から吐出された洗濯水が流逸して、循環水路に十分に供給されないという問題があった。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、ポンプ室から吐出された洗濯水の流逸を防止する性能(以下、「止水性」と称する場合がある)が向上した洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る洗濯機は、洗濯水を貯蔵自在かつ排出自在な貯水槽と、
該貯水槽内に収納され、底面の中央に開口部が形成された洗濯槽と、
該洗濯槽に回転自在に配設されたパルセータと、
前記洗濯槽に設置され、前記パルセータを回転自在に包囲するケーシングと、
前記洗濯槽に設置され、前記ケーシングに形成された開口部に連通する循環水路と、
該循環水路に設けられ、前記洗濯槽の内側または外側に開口する噴射孔と、
を有し、
前記パルセータと前記ケーシングとの間に水の流逸を困難にするラビリンスが形成されていることを特徴とする。
【0007】
なお、本発明において「洗濯槽」とは、洗濯および脱水に供するものでは「脱水兼洗濯槽」に同じであり、乾燥に供するものでは(たとえば、温風が供給される場合)「乾燥兼脱水兼洗濯槽」に同じである。また、「洗濯水」とは、洗濯に供する水であって、水道水、風呂水やこれらに洗剤が投入されたものを指し、特段限定するものではない。また、洗濯とは、「洗い」または「濯ぎ」の一方または両方を指している。
【発明の効果】
【0008】
したがって、本発明に係る洗濯機は、パルセータとケーシングとの間に水の流逸を困難にする本来のラビリンス(断面L字状や断面コ字状)が形成されるから、止水性(ポンプアップ性能に同じ)が向上することになる。そして、これに伴って循環する洗濯水の量が増すから、洗濯水中を浮遊する屑の捕捉が促進されると共に、水面に発生した泡の消失や、貯水槽の内面の洗浄が促進される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る洗濯機のラビリンスを説明する側面視の断面図である。なお、理解を助けるため、図中の各構成部材を模式的に示しているため、その寸法は正確でない。特に、薄板によって形成されている部材については厚さを誇張し、各構成部材間の間隔については隙間を誇張している。また、各図において同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図1において(一部詳細については図7参照)、洗濯機100は、一連の洗い行程とすすぎ行程と脱水行程と乾燥行程とを実行するものである。なお、洗い行程と濯ぎ行程とをまとめて「洗濯行程」と称する場合がある。
【0010】
洗濯機100は、筐体と、該筐体内に収納された貯水槽(何れも図示しない)と、該貯水槽内に回転自在に配置された洗濯槽10と、洗濯槽10内に回転自在に配置されたパルセータ40と、洗濯槽10内に設置され、パルセータ40を回転自在に包囲するケーシング20と、洗濯槽10に設置され、ケーシング20に形成された開口部(以下、「流入口」と称す)70に連通する循環水路30と、を有している。
【0011】
(洗濯槽)
洗濯槽10は、投入された衣類の洗いとすすぎと脱水とに供するものでは「洗濯兼脱水槽」と、投入された衣類の洗いとすすぎと脱水と乾燥とに供するものでは「洗濯兼脱水兼乾燥槽」とも称呼されるものである。洗濯槽10は貯水槽(図示しない)に回転自在に配置されている。
洗濯槽10は天面が開放するコップ状であって、底面12の中央において円形に開口する底面開口部11が形成さ、底面12と円筒状の側面14との間には両者を滑らかに繋ぐ略円錐台状の傾斜面13が形成されている。また、側面14には洗濯行程における洗濯水の循環のため、および脱水行程における洗濯水の吹き飛ばしのため、複数の通水孔(図示しない)が形成されている。
【0012】
(パルセータ)
洗濯槽10の底面12の内側(槽内)に、パルセータ40が回転自在に配置されている。パルセータ40のベース40bの上面には羽根40aが形成され、投入された衣類および注入された水を効率的に攪拌するようになっている。ベース40bの下面には略半径方向に向かって複数の裏羽根が設置され、複数の裏羽根の下端部には、これらを連結する円環状板(以下「裏蓋」と称す)42が設置されている。したがって、ベース40bの下面と裏蓋42の上面との間には、一対の裏羽根に仕切られた複数の略角錐台状の空間(以下「加速流路」と称す)43が形成されている。
【0013】
また、裏蓋42の内周縁42aとパルセータ40の駆動軸44との間には円環状の隙間(以下「吸引口」と称す)45が形成され、吸引口45は洗濯槽10の底面12に形成された底面開口部11と平面視のおいて略重なり、両者は連通している。
よって、水中に没した状態で、パルセータ40を回転すると、加速流路43内の水は遠心力によって半径方向の外側に吹き飛ばされるから、洗濯槽10の底面11の下に貯まった水は、底面開口部11および吸引口45を通過して、加速流路43に吸い込まれることになる。このとき、パルセータ40の裏羽根41と洗濯槽10の底面12との間に隙間が形成されないから、水が漏れることがなく、ポンプ性能(吸引/吐出性能に同じ)が優れている。
【0014】
さらに、ベース40bの裏面には、裏羽根の外周端面41bを連結してベース40b寄りの所定範囲を包囲する裏外周壁50と、ベース40bの表面には、羽根40aの外周を連結して、外周にそって上方に突出する表外周壁60とが、それぞれ設けられている。したがって、洗濯行程において、パルセータ40の回転によって加速流路43から外側に吹き飛ばされる水流は、裏外周壁50の内周面50aにおいて略下方に向けられ、洗濯槽10内では、パルセータ40の羽根40aの回転によって撹拌された洗濯水は、表外周壁60の内周面60aにおいて略上方に向けられる。
【0015】
また、裏羽根41の外周端面41bは、裏外周壁50よりも下の範囲が切り欠かれ、裏羽根切欠部41cが形成されている。すなわち、裏羽根切欠部41cに連なる範囲の外周(以下、「切欠側端面41d」と称す)は、外周端面41bより一段奥まっている(図中、左に位置している)。
【0016】
(循環水路)
洗濯槽10の側面14の内面側には、所定厚さ(半径方向の距離に同じ)で、所定幅(円周方向の距離に同じ)の循環水路30が、底面12から略上端にまで、鉛直方向(図中、上下方向)に形成されている。
循環水路30は、洗濯槽10の底面12の一部と循環水路壁32とによって囲まれ、上端部は上蓋部34によって塞がれ、循環水路壁32には貫通した噴射孔33が形成されている。また、循環水路壁32の下端は、連通水路壁31を介してケーシング20(流入口30の位置に限る)の上端に接続されている。
【0017】
(ラビリンス1)
ケーシング20の内周に沿って上方に突出する円筒状の固定側止水壁21が形成されている。なお、正確には、ケーシング20の下端には内周側に突出する円環状の固定側内フランジ22が形成され、固定側内フランジ22の内周に沿って上方に突出する円筒状の固定側止水壁21が形成されている。
一方、パルセータ40に設置された裏外周壁50の下端面50cには、円環状の溝である移動側止水溝51が形成されている。
そして、移動側止水溝51に固定側止水壁21が侵入自在であって、侵入した際、両者の間には所定の微少間隙が形成されるから、両者によって止水性を奏するラビリンス以下、「ラビリンス1」と称す)が形成されることになる。
【0018】
(ラビリンス2)
ケーシング20の内周に沿って下方に向かって円環状に陥没する固定側止水溝23が形成されている。
一方、パルセータ40に設置された表外周壁60の上端には外側に突出するフランジ61が形成され、フランジ61の外周に沿って下方に突出する円筒状の移動側止水壁62が形成されている。
そして、固定側止水溝23に移動側止水壁62が侵入自在であって、侵入した際、両者の間には所定の微少間隙が形成されるから、両者によって止水性を奏するラビリンス(以下、「ラビリンス2」と称す)が形成されることになる。
【0019】
なお、裏外周壁50の外周面50bと表外周壁60の外周面60bとが同一面を形成し、ケーシング20の内周面20aと所定の微少間隔を介して対峙するようにすれば、これらによっても、止水性を奏する隙間が形成されることになる。
したがって、洗濯機100はラビリンス1およびラビリンス2を有するから、パルセータ40の回転によって吐出された洗濯水は僅かな量の流逸あるいは流逸することなく、循環水路30に供給される。よって、パルセータ40のポンプアップ性能が向上している。
なお、本発明は洗濯機100がラビリンス1およびラビリンス2の両方を具備するものに限定するものではなく、何れか一方を具備するものであってもよい。
【0020】
(ラビリンス3)
図2〜図6は、図1に示す洗濯機に追加して設置することができるラビリンスを説明する側面視の断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図2において、ケーシング20の流入口70の底面71が、洗濯槽10の底面12よりも高い位置に配置されている。したがって、洗濯槽10の底面12と裏蓋42の下面、および流入口70底面71と裏蓋42の外周端面42b、によってラビリンス3が形成される。また、裏蓋42の上面が流入口70の底面71より僅かに高くなっているから、加速流路43から吹き出された水流の底部は、滑らかにケーシング20に流入する。
【0021】
(ラビリンス4)
図3において、ケーシング20の流入口70の底面71に上方に突出する流入口下壁74が形成され、流入口下壁74の上縁が洗濯槽10の底面12よりも高い位置になっている。したがって、洗濯槽10の底面12と裏蓋42の下面、および流入口下壁74の下壁内面74aと裏蓋42の外周端面42b、によってラビリンス4が形成される。
【0022】
(ラビリンス5)
図4において、洗濯槽10の底面12の中央に形成された底面開口部11の内周(底面12の内周縁12aに同じ)に沿って、下方に突出する円環状の固定側止水壁81が形成され、かつ、パルセータ40の裏蓋42の内周縁42aに沿って、下方に突出する円環状の移動側止水壁84が形成されている。したがって、洗濯槽10の底面12と裏蓋42の下面、および底面12に形成された固定側止水壁81の内面81aと裏蓋42に形成された移動側止水壁84の外周面84b、によってラビリンス5が形成される。
【0023】
(ラビリンス6)
図5において、洗濯槽10の底面12の中央に形成された底面開口部11の内周(底面12の内周縁12aに同じ)に沿って、底面12に下方に陥没する円環状の固定側止水溝82が形成され、かつ、パルセータ40の裏蓋42に、固定側止水溝82に侵入自在な円環状の移動側止水壁85が形成されている。したがって、底面12に形成された固定側止水溝82に裏蓋42に形成された移動側止水壁85が侵入することによってラビリンス6が形成される。
【0024】
(ラビリンス7)
図6において、洗濯槽10の底面12の中央に形成された底面開口部11の内周(底面12の内周縁12aに同じ)に沿って、底面12に下方に陥没する円環状の固定側止水溝82が形成され、かつ、パルセータ40の裏蓋42に、固定側止水溝82に侵入自在な円環状の移動側止水壁85が形成されている(ラビリンス6に同じ)。
さらに、パルセータ40の裏蓋42の内周縁42aに沿って、下方に突出する円環状の移動側止水壁84が形成され、固定側止水溝82を形成する固定側内周壁83の内周面83aが鉛直に形成されている。
したがって、と固定側内周壁83の内周面83aと移動側止水壁84の外周面84b、固定側止水溝82と移動側止水壁85、洗濯槽10の底面12と裏蓋42の下面、によってラビリンス7が形成される。
【0025】
[実施の形態2]
図7〜図9は、本発明の実施の形態2に係る洗濯機を説明するものであって、図7は一部を示す側面視の断面図、図8は一部を示す平面視の断面図、図9は水流を模式的に示す一部を断面にした平面図である。図7〜図9において、洗濯機200は、洗濯機100(ラビリンス1、2、3を有する)に追加して、後記する水流誘導リブ90a、90bが設けられたものである。
水流誘導リブ90a、90bは、ケーシング20に形成された流入口70の側面72a、72bに、パルセータ40側に突出して設置され、そのパルセータ40側が、裏外周壁50の下方および裏羽根切欠部41cに侵入している。なお、水流誘導リブ90a、90bは平面視においてハ字状に面対称に配置されているから、以下、その一方について説明する。
【0026】
すなわち、
水流誘導リブ90a、90bの下縁91a、91bのケーシング20側は、流入口70の流入口下壁74(底面71に形成されている)に当接し(または固定され)、下縁91a、91bのパルセータ40側は裏蓋42の上面および切欠上端面41eと所定の間隔を形成している。
水流誘導リブ90a、90bの側縁92a、92bは裏羽根41の切欠側端面41dと所定の間隔を形成している。
水流誘導リブ90a、90bの上縁93a、93bのケーシング20側は、流入口70の天井面73に当接し(または固定され)、上縁93a、93bのパルセータ40側は裏外周壁50の下端面50cと所定の間隔を形成している。
【0027】
したがって、パルセータ40は水流誘導リブ90a、90bに衝突することなく回転することができ、回転によって加速流路43から吹き出された接線方向に流れる水流は、水流誘導リブ90a、90bに案内されて循環水路30に流入することになる(図9参照)。特に、前記所定の間隔は狭く設定されているから、ラビリンス1、2、3の止水効果にも助けられ、前記水流は効果的に循環水路30に流入している。
なお、水流誘導リブ90a、90bは、その効果が必要な箇所に設置すればよく、たとえば、ポンプアップが必要な循環路30、糸屑捕集(リントフィルター)が配置される循環路30、あるいは、マイクロバブル(槽内洗浄)手段が配置される循環路30等に連なる1または2以上の流入口70に設置されるものである。
【0028】
そして、パルセータ40の裏蓋42の外周には、水流誘導リブ90a、90bが通過自在なリブ通過用スリット49a、49bが形成されている。したがって、リブ通過用スリット49a、49bと水流誘導リブ90a、90bとの位相を合わせて(図8参照)、パルセータ40を下方に押し込めば、パルセータ40を所定に位置に設置することができる。
なお、リブ通過用スリット49a、49bの設置数は限定するものではなく、リブ通過用スリット49a、49bが設置される流入口70の数量に同じか、組み立て(組み込み)時の作業性を良くするために流入口70の数量より多くてもよい。
【0029】
[実施の形態3]
図10および図11は、本発明の実施の形態3に係る洗濯機を説明するものであって、図10は一部を示す側面視の断面図、図11は一部を示す平面視の断面図である。図10および図11において、洗濯機300は、洗濯機200(水流誘導リブ90a、90bを有する)におけるパルセータ40の裏蓋42に形成されたリブ通過用スリット49a、49bを撤去したものである。
【0030】
洗濯機300における水流誘導リブ90a、90bは、洗濯機200よりも突出量が短く、裏外周壁50の下方に侵入し、その下縁91a、91bのケーシング20側は、流入口70の流入口下壁74(底面71に固定されたいる)に当接し(または固定され)、下縁91a、91bのパルセータ40側は0洗濯槽10の底面12に当接している(または固定されている)。そして、水流誘導リブ90a、90bの上縁93a、93bは裏外周壁50の下端面50cと所定の間隔を形成し、の水流誘導リブ90a、90bの側縁92a、92bは裏羽根41の外周端面41bと所定の間隔を形成している。
【0031】
したがって、洗濯機200(実施の形態2)と同様に、パルセータ40は水流誘導リブ90a、90bに衝突することなく回転することができ、回転によって加速流路43から吹き出された接線方向に流れる水流は、水流誘導リブ90a、90bに案内されて循環水路30に流入することになる(図9参照)。特に、前記所定の間隔は狭く設定されているから、ラビリンス1、2、3の止水効果にも助けられ、前記水流は効果的に循環水路30に流入している。
【0032】
[実施の形態4:洗濯機]
図12は本発明の実施の形態4に係る洗濯機を説明する側面視の断面図である。図12において、洗濯機400は、筐体410内に、傾動自在に懸吊された水槽(貯水槽に同じ)を有し、ラビリンス1〜7および水流誘導リブ90a、90bに何れか1以上を有している(図示しない)。したがって、洗濯機400は、循環水路30への洗濯水の流入が促進されると共に、洗濯槽450が傾斜することによる洗浄性能の向上が図られる。
なお、洗濯機100〜3(実施の形態1〜3)は、洗濯機400から水槽を傾動させる機能を撤去したものに相当している。以下、洗濯機400について簡単に説明する。
【0033】
(洗濯機)
図10において、洗濯機400は、一連の洗い行程とすすぎ行程と脱水行程と乾燥行程とを実行するものであって、洗濯槽を傾斜させた状態(回転軸を鉛直方向に対して傾けた状態)で洗い行程と乾燥行程とを実行し、洗濯槽を直立させた状態(回転軸を鉛直方向にした状態)で脱水行程(すすぎ行程を含む場合がある)とを実行するものである。したがって、図10に示す姿勢は、洗濯行程に対応している。
【0034】
(筐体)
筺体410は断面矩形の筒状(略直方体に同じ)であって、天面には天面開口部411が形成され、天面開口部411には扉412が開閉自在に設置されている。また、天面開口部411の後方(図中、右側)には洗濯ケース413が設置されている。
また、筺体410のに連なって底枠420が接続され、底枠420の底板423(筐体410の低板に同じ)には、遮音板429とゴム足425とが設置されている。なお、遮音板50の設置要領は洗濯機100(実施の形態1)に同じであるから、説明を省略する。
さらに、筺体410は四隅の上端部近くには吊り板426が設置され、吊り板426には吊り座427が設けられている。
【0035】
(水槽)
筺体410内に水槽(貯水槽に同じ)430が収納されている。水槽430は前面または上面が開放され、水槽底431が閉塞されたコップ状であって、水槽底431の近くで筐体410の四隅と同一位相に、バネ受け432が設置されている。
そして、水槽430は吊り棒440によって吊り下げられている。すなわち、吊り棒440の上端は吊り座427に係止し、下端はバネ441を介してバネ受け432によって支持されている。なお、後方の吊り棒440には吊り棒可動部442が設けられているから、吊り棒可動部442が後方の吊り棒440を引き上げると、水槽430は前方に向かって傾動する。
【0036】
(脱水槽)
洗濯槽(脱水洗濯槽に同じ)450は、投入された衣類の洗いとすすぎと脱水と乾燥とに供するものであるから、洗濯兼脱水槽あるいは洗濯兼脱水兼乾燥槽とも称呼されるものである。脱水槽450は水槽430に回転自在に配置されている。そして、水槽430が傾動するから、脱水槽450は水槽430と共に傾動するものである。したがって、洗濯行程における洗濯水の撹拌が促進され、洗浄効果が向上すると共に、乾燥行程においても衣類の撹拌が促進されるから、乾燥効率が向上する。
脱水槽450は、前面または上面が開放され、脱水槽底451が閉塞されたコップ状で、側面452には脱水のための複数の通水孔453が形成され、天面の周囲にはバランサー454が設置されている。
【0037】
(パルセータ等)
また、脱水槽底451の内側には、投入された衣類および注水された水(以下「洗濯水」と称す)を攪拌するパルセータ40が回転自在に配置されている。そして、パルセータ40はケーシング20によって回転自在に包囲され、ケーシング20に形成されて流入口70に連通する循環水路30が形成されている。
さらに、パルセータ40とケーシング20(脱水槽底451を含む)との間にはラビリンス1〜7の1以上が設けられている(図示しない)。また、これに追加して、流入口70には水流誘導リブ90a、90bが設置されてもよい(図示しない)。
【0038】
よって、水中に没した状態で、パルセータ40を回転すると、加速流路43内の水は遠心力によって半径方向の外側に飛ばされるから、水槽底431と脱水槽底451との間に貯まった洗濯水は、循環口435および吸引口45を通過して、加速流路43に吸い込まれ、流入口70を通過して循環水路30に流入することになる。このとき、設置されたラビリンス1〜7の1以上の止水効果、および設置された水流誘導リブ90a、90bの水流誘導効果によって、洗濯水は効率良く循環水路30に流入する。このとき、パルセータ40の裏羽根41と洗濯槽10の底面12との間に隙間が形成されないから、水が漏れることがなく、ポンプ性能(吸引/吐出性能に同じ)が優れている。
なお、パルセータ40は水槽430の水槽底431に軸受ベース・ステータ471を介して設置されたモータ470によって回転駆動されるものである。
【0039】
(循環水路)
脱水槽450の側面の内側には、所定厚さ(半径方向の距離に同じ)で、所定幅(円周方向の距離に同じ)の循環水路30が鉛直方向(図中、上下方向)に形成され、循環水路30の上方には噴射孔33が設けられている。
したがって、洗濯行程において、パルセータ40の回転によって吐出された洗濯水は、循環水路30を経由して噴射孔33から脱水槽450内に噴射されることになる。したがって、水面の泡等が消されるから周囲が清浄に保たれる。さらに、循環水路30内に屑(糸屑、布屑等)を捕捉する屑捕捉手段を設置してもよい。
【0040】
(除湿手段)
さらに、水槽430には除湿手段480が設置されている。除湿手段480は乾燥行程において、脱水槽450から排出された湿った空気を案内する除湿風路481と、除湿風路481内に設置された除湿板482および乾燥フィルタ483と、除湿風路481に空気を吸引(脱水槽450に空気を送るに同じ)するファン・モータ484、ファン・モータ484によって送られた空気を加熱するヒータ485、ヒータ485によって加熱された空気を脱水槽450に案内する蛇腹486と、から形成されている。このとき、蛇腹486は可撓性または伸縮性を具備するから、水槽430の傾動に追従することができる。
なお、筐体410の天面には給水口414が設けられ、給水口414に注入された水は、分岐弁415によって分岐され、洗濯ケース413に注がれたり、あるいは除湿板482に注がれたりする。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は以上の構成であるから、パルセータ等によって形成されるポンプ室から吐出された洗濯水を効率良く循環させることができるから、各種家庭用および業務用の洗濯機として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態1に係る洗濯機のラビリンスを説明する側面視断面図。
【図2】図1に示す洗濯機に設置可能なラビリンス3を説明する側面視の断面図。
【図3】図1に示す洗濯機に設置可能なラビリンス4を説明する側面視の断面図。
【図4】図1に示す洗濯機に設置可能なラビリンス5を説明する側面視の断面図。
【図5】図1に示す洗濯機に設置可能なラビリンス6を説明する側面視の断面図。
【図6】図1に示す洗濯機に設置可能なラビリンス7を説明する側面視の断面図。
【図7】本発明の実施の形態2に係る洗濯機を説明する一部を示す側面視の断面図。
【図8】本発明の実施の形態2に係る洗濯機を説明する一部を示す平面視の断面図。
【図9】図7に示す洗濯機を説明する水流を模式的に示す一部を断面にした平面図。
【図10】本発明の実施の形態3に係る洗濯機を説明する一部を示す側面視断面図。
【図11】本発明の実施の形態3に係る洗濯機を説明する一部を示す平面視断面図。
【図12】本発明の実施の形態4に係る洗濯機を説明する側面視の断面図。
【符号の説明】
【0043】
1〜7:ラビリンス、10:洗濯槽、11:底面開口部、12:底面、12a:内周縁、14:側面、13:傾斜面、20:ケーシング、20a:内周面、21:固定側止水壁、22:固定側内フランジ、23:固定側止水溝、23:固定側止水溝、30:循環水路、30:流入口、31:連通水路壁、32:循環水路壁、33:噴射孔、34:上蓋部、40:パルセータ、40a:羽根、40b:ベース、41:裏羽根、41b:外周端面、41c:裏羽根切欠部、41d:切欠側端面、41e:切欠上端面、42:裏蓋、42a:内周縁、42b:外周端面、43:加速流路、44:駆動軸、45:吸引口、49a:リブ通過用スリット、49b:リブ通過用スリット、50:裏外周壁、50a:内周面、50b:外周面、50c:下端面、51:移動側止水溝、60:表外周壁、60a:内周面、60b:外周面、61:フランジ、62:移動側止水壁、70:流入口、71:底面、72a:側面、72b:側面、73:天井面、74:流入口下壁、74a:下壁内面、81:固定側止水壁、81a:内面、82:固定側止水溝、83:固定側内周壁、83a:内周面、84:移動側止水壁、84b:外周面、85:移動側止水壁、90a:水流誘導リブ、90b:水流誘導リブ、91a:下縁、92a:側縁、93a:上縁、100:洗濯機(実施の形態1)、200:洗濯機(実施の形態2)、300:洗濯機(実施の形態3)、400:洗濯機(実施の形態4)、410:筺体、411:天面開口部、412:扉、413:洗濯ケース、414:給水口、415:分岐弁、420:底枠、423:底板、425:ゴム足、426:吊り板、427:吊り座、429:遮音板、430:水槽、431:水槽底、432:バネ受け、435:循環口、440:吊り棒、441:バネ、442:吊り棒可動部、450:脱水槽、451:脱水槽底、452:側面、453:通水孔、454:バランサー、470:モータ、471:軸受ベース・ステータ、480:除湿手段、481:除湿風路、482:除湿板、483:乾燥フィルタ、484:モータ、485:ヒータ、486:蛇腹。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯水を貯蔵自在かつ排出自在な貯水槽と、
該貯水槽内に収納され、底面の中央に開口部が形成された洗濯槽と、
該洗濯槽に回転自在に配設されたパルセータと、
前記洗濯槽に設置され、前記パルセータを回転自在に包囲するケーシングと、
前記洗濯槽に設置され、前記ケーシングに形成された開口部に連通する循環水路と、
該循環水路に設けられ、前記洗濯槽の内側または外側に開口する噴射孔と、
を有し、
前記パルセータと前記ケーシングとの間に水の流逸を困難にするラビリンスが形成されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
円盤状のベースと、
該ベースの下面に設置された複数の裏羽根と、
中央に開口部を具備する円板であって、前記複数の裏羽根の下縁の外周寄りの所定範囲を連結する裏蓋と、
前記複数の裏羽根の外周端面を連結して前記ベース寄りの所定範囲を包囲する裏外周壁と、を前記パルセータが有し、
前記ケーシングの内周に沿って、上方に突出する円筒状の固定側止水壁が形成され、かつ、前記パルセータの裏外周壁の下端面に、前記固定側止水壁が移動自在に侵入する円環状の移動側止水溝が形成され、
前記固定側止水壁が前記移動側止水溝に侵入することによってラビリンスが形成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
円盤状のベースと、
該ベースの外周に沿って、上面に設置された表外周壁と、
該ベースの下面に設置された複数の裏羽根と、
中央に開口部を具備する円板であって、前記複数の裏羽根の下縁の外周寄りの所定範囲を連結する裏蓋と、を前記パルセータが有し、
前記ケーシングの内周に沿って下方に向かって円環状に陥没する固定側止溝が形成され、かつ、前記パルセータの表外周壁の上端に外側に突出するフランジと、該フランジの外周に沿って下方に突出する円環状の移動側止水壁が形成され、
前記移動側止水壁が、前記固定側止水溝に侵入することによって、ラビリンスが形成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項4】
円盤状のベースと、
該ベースの下面に設置された複数の裏羽根と、
中央に開口部を具備する円板であって、前記複数の裏羽根の下縁の外周寄りの所定範囲を連結する裏蓋と、を前記パルセータが有し、
前記ケーシングに形成された開口部の下縁が、前記洗濯槽の底面よりも高い位置に配置され、
前記洗濯槽の底面と前記裏蓋の下面、および前記ケーシングの開口部の下縁と前記裏蓋の外周端面、によってラビリンスが形成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項5】
円盤状のベースと、
該ベースの下面に設置された複数の裏羽根と、
中央に開口部を具備する円板であって、前記複数の裏羽根の下縁の外周寄りの所定範囲を連結する裏蓋と、を前記パルセータが有し、
前記ケーシングに形成された開口部の下縁に上方に突出する開口部下壁が形成され、該開口部下壁の上縁が前記洗濯槽の底面よりも高い位置で、
前記洗濯槽の底面と前記裏蓋の下面、および前記ケーシングの開口部下壁の内面と前記裏蓋の外周端面、によってラビリンスが形成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項6】
円盤状のベースと、
該ベースの下面に設置された複数の裏羽根と、
中央に開口部を具備する円板であって、前記複数の裏羽根の下縁の外周寄りの所定範囲を連結する裏蓋と、を 前記パルセータが有し、
前記洗濯槽の底面の中央に形成された開口部の内周に沿って、下方に突出する円環状の固定側止水壁が形成され、かつ、前記パルセータの裏蓋の内周に沿って、下方に突出する円環状の移動側止水壁が形成され、
前記洗濯槽の底面と前記裏蓋の下面、および前記洗濯槽の固定側止水壁の内面と前記裏蓋の移動側止水壁の外面、によってラビリンスが形成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項7】
円盤状のベースと、
該ベースの下面に設置された複数の裏羽根と、
中央に開口部を具備する円板であって、前記複数の裏羽根の下縁の外周寄りの所定範囲を連結する裏蓋と、を前記パルセータが有し、
前記洗濯槽の底面の中央に形成された開口部の内周に沿って、下方に陥没する円環状の固定側止水溝が形成され、かつ、前記パルセータの裏蓋に、前記固定側止水溝に侵入自在な円環状の移動側止水壁が形成され、
前記洗濯槽の固定側止水溝に前記裏蓋の移動側止水壁が侵入することによってラビリンスが形成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項8】
円盤状のベースと、
該ベースの下面に設置された複数の裏羽根と、
中央に開口部を具備する円板であって、前記複数の裏羽根の下縁の外周寄りの所定範囲を連結する裏蓋と、
前記複数の裏羽根の外周端面を連結して前記ベース寄りの所定範囲を包囲する裏外周壁と、を前記パルセータが有し、
前記ケーシングに、前記開口部の両側縁から突出して前記裏外周壁の下に侵入する水流誘導リブが形成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項9】
円盤状のベースと、
該ベースの下面に設置された複数の裏羽根と、
中央に開口部を具備する円板であって、前記複数の裏羽根の下縁の外周寄りの所定範囲を連結する裏蓋と、
前記複数の裏羽根の外周端面を連結して前記ベース寄りの所定範囲を包囲する裏外周壁と、を前記パルセータが有し、
前記裏羽根に、前記裏外周壁より下の外周端面を切り欠いた裏羽根切欠部が形成され、
前記ケーシングに、前記開口部の両側縁から突出して前記裏外周壁の下および前記裏羽根切欠部に侵入する水流誘導リブが形成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項10】
前記裏蓋の外周に、前記水流誘導リブが面厚方向に通過自在なリブ通過用スリットが形成されることを特徴とする請求項9記載の洗濯機。
。
【請求項11】
前記貯水槽が傾動自在に懸吊されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の洗濯機。
【請求項1】
洗濯水を貯蔵自在かつ排出自在な貯水槽と、
該貯水槽内に収納され、底面の中央に開口部が形成された洗濯槽と、
該洗濯槽に回転自在に配設されたパルセータと、
前記洗濯槽に設置され、前記パルセータを回転自在に包囲するケーシングと、
前記洗濯槽に設置され、前記ケーシングに形成された開口部に連通する循環水路と、
該循環水路に設けられ、前記洗濯槽の内側または外側に開口する噴射孔と、
を有し、
前記パルセータと前記ケーシングとの間に水の流逸を困難にするラビリンスが形成されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
円盤状のベースと、
該ベースの下面に設置された複数の裏羽根と、
中央に開口部を具備する円板であって、前記複数の裏羽根の下縁の外周寄りの所定範囲を連結する裏蓋と、
前記複数の裏羽根の外周端面を連結して前記ベース寄りの所定範囲を包囲する裏外周壁と、を前記パルセータが有し、
前記ケーシングの内周に沿って、上方に突出する円筒状の固定側止水壁が形成され、かつ、前記パルセータの裏外周壁の下端面に、前記固定側止水壁が移動自在に侵入する円環状の移動側止水溝が形成され、
前記固定側止水壁が前記移動側止水溝に侵入することによってラビリンスが形成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
円盤状のベースと、
該ベースの外周に沿って、上面に設置された表外周壁と、
該ベースの下面に設置された複数の裏羽根と、
中央に開口部を具備する円板であって、前記複数の裏羽根の下縁の外周寄りの所定範囲を連結する裏蓋と、を前記パルセータが有し、
前記ケーシングの内周に沿って下方に向かって円環状に陥没する固定側止溝が形成され、かつ、前記パルセータの表外周壁の上端に外側に突出するフランジと、該フランジの外周に沿って下方に突出する円環状の移動側止水壁が形成され、
前記移動側止水壁が、前記固定側止水溝に侵入することによって、ラビリンスが形成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項4】
円盤状のベースと、
該ベースの下面に設置された複数の裏羽根と、
中央に開口部を具備する円板であって、前記複数の裏羽根の下縁の外周寄りの所定範囲を連結する裏蓋と、を前記パルセータが有し、
前記ケーシングに形成された開口部の下縁が、前記洗濯槽の底面よりも高い位置に配置され、
前記洗濯槽の底面と前記裏蓋の下面、および前記ケーシングの開口部の下縁と前記裏蓋の外周端面、によってラビリンスが形成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項5】
円盤状のベースと、
該ベースの下面に設置された複数の裏羽根と、
中央に開口部を具備する円板であって、前記複数の裏羽根の下縁の外周寄りの所定範囲を連結する裏蓋と、を前記パルセータが有し、
前記ケーシングに形成された開口部の下縁に上方に突出する開口部下壁が形成され、該開口部下壁の上縁が前記洗濯槽の底面よりも高い位置で、
前記洗濯槽の底面と前記裏蓋の下面、および前記ケーシングの開口部下壁の内面と前記裏蓋の外周端面、によってラビリンスが形成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項6】
円盤状のベースと、
該ベースの下面に設置された複数の裏羽根と、
中央に開口部を具備する円板であって、前記複数の裏羽根の下縁の外周寄りの所定範囲を連結する裏蓋と、を 前記パルセータが有し、
前記洗濯槽の底面の中央に形成された開口部の内周に沿って、下方に突出する円環状の固定側止水壁が形成され、かつ、前記パルセータの裏蓋の内周に沿って、下方に突出する円環状の移動側止水壁が形成され、
前記洗濯槽の底面と前記裏蓋の下面、および前記洗濯槽の固定側止水壁の内面と前記裏蓋の移動側止水壁の外面、によってラビリンスが形成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項7】
円盤状のベースと、
該ベースの下面に設置された複数の裏羽根と、
中央に開口部を具備する円板であって、前記複数の裏羽根の下縁の外周寄りの所定範囲を連結する裏蓋と、を前記パルセータが有し、
前記洗濯槽の底面の中央に形成された開口部の内周に沿って、下方に陥没する円環状の固定側止水溝が形成され、かつ、前記パルセータの裏蓋に、前記固定側止水溝に侵入自在な円環状の移動側止水壁が形成され、
前記洗濯槽の固定側止水溝に前記裏蓋の移動側止水壁が侵入することによってラビリンスが形成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項8】
円盤状のベースと、
該ベースの下面に設置された複数の裏羽根と、
中央に開口部を具備する円板であって、前記複数の裏羽根の下縁の外周寄りの所定範囲を連結する裏蓋と、
前記複数の裏羽根の外周端面を連結して前記ベース寄りの所定範囲を包囲する裏外周壁と、を前記パルセータが有し、
前記ケーシングに、前記開口部の両側縁から突出して前記裏外周壁の下に侵入する水流誘導リブが形成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項9】
円盤状のベースと、
該ベースの下面に設置された複数の裏羽根と、
中央に開口部を具備する円板であって、前記複数の裏羽根の下縁の外周寄りの所定範囲を連結する裏蓋と、
前記複数の裏羽根の外周端面を連結して前記ベース寄りの所定範囲を包囲する裏外周壁と、を前記パルセータが有し、
前記裏羽根に、前記裏外周壁より下の外周端面を切り欠いた裏羽根切欠部が形成され、
前記ケーシングに、前記開口部の両側縁から突出して前記裏外周壁の下および前記裏羽根切欠部に侵入する水流誘導リブが形成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項10】
前記裏蓋の外周に、前記水流誘導リブが面厚方向に通過自在なリブ通過用スリットが形成されることを特徴とする請求項9記載の洗濯機。
。
【請求項11】
前記貯水槽が傾動自在に懸吊されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の洗濯機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−194361(P2008−194361A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34880(P2007−34880)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】
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