洗濯機
【課題】洗濯槽内側周囲からの突出量を少なくして、しかもリントを効果的に捕集できる新たなリントフィルター構造を提案すること。
【解決手段】洗濯脱水槽3の底面3Aと隙間を有して回転自在に配置されたパルセータ4とを備え、パルセータ4は洗濯脱水槽3の底面3Aと対向する下面に少なくとも1つの裏羽根4aを有し、裏羽根4aが、パルセータ4の回転により、洗濯脱水槽3の底部の水を押し出すポンプとして作用する洗濯機であって、裏羽根4aのポンプ作用により押し出された水を上方に導く流路61,62を左右に備えた水路ベース60が、洗濯脱水槽3の内側に設けられており、水路ベース60の流路61,62を上昇した水を取り込んで水中に含まれるリントを捕集するリントフィルター71を備えたリントフィルターボックス70が、水路ベース60の左右の流路61,62の間に挿入されている洗濯機。
【解決手段】洗濯脱水槽3の底面3Aと隙間を有して回転自在に配置されたパルセータ4とを備え、パルセータ4は洗濯脱水槽3の底面3Aと対向する下面に少なくとも1つの裏羽根4aを有し、裏羽根4aが、パルセータ4の回転により、洗濯脱水槽3の底部の水を押し出すポンプとして作用する洗濯機であって、裏羽根4aのポンプ作用により押し出された水を上方に導く流路61,62を左右に備えた水路ベース60が、洗濯脱水槽3の内側に設けられており、水路ベース60の流路61,62を上昇した水を取り込んで水中に含まれるリントを捕集するリントフィルター71を備えたリントフィルターボックス70が、水路ベース60の左右の流路61,62の間に挿入されている洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯機に関し、特にそのリントフィルター構造に関連する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗濯機では、リントフィルター構造として、袋状のフィルターを洗濯槽内に出すか水路内に埋め込んでいるものが広く知られている。
また、洗濯槽の内側周囲に前後2列の流路を設け、後側から前側に水をポンプアップして、前側流路に配した捕集袋にリントを溜めるようにしたものもある(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特許第3439108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、袋状のフィルターが槽内に出ていると、洗濯時や乾燥時に衣類とフィルターが直接当たりフィルターが破損するおそれがあり、また意匠的にも優れない。
また、フィルターを水路内に埋め込む場合には、収容容積が小さくなってしまう。
さらに、洗濯槽の内側周囲に前後2列の流路を設けた場合には、その流路構造部分の洗濯槽内への突出量が多くなり、洗濯・乾燥時の攪拌時に衣類がその流路構造部分に引っかかって、衣類の攪拌の障害となったり、モータ負荷の増大を招くおそれがある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、洗濯槽内側周囲からの突出量を少なくして、しかもリントを効率よく捕集できる新たなリントフィルター構造を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の洗濯機は、外槽内に配置された洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽の底面と隙間を有して回転自在に配置されたパルセータとを備え、前記パルセータは洗濯脱水槽の底面と対向する下面に少なくとも1つの裏羽根を有し、前記裏羽根が、前記パルセータの回転により、前記洗濯脱水槽の底部の水を押し出すポンプとして作用する洗濯機であって、前記裏羽根のポンプ作用により押し出された水を上方に導く流路を左右に備えた水路ベースが、前記洗濯脱水槽の内側に設けられており、前記水路ベースの前記流路を上昇した水を取り込んで水中に含まれるリントを捕集するフィルターを備えたリントフィルターボックスが、前記水路ベースの前記左右の流路の間に挿入されているものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の洗濯機は、パルセータの裏羽根のポンプ作用により押し出された水を上方に導く流路を左右に備えた流路の間にリントフィルターボックスを挿入しているため、リントフィルタ部分の洗濯槽内側周囲からの突出量を少なくできる。また、上記構成によれば、リントフィルターボックスを洗濯槽内側面に沿って縦長形状に配置できるため、フィルタ面積が大きく取れ効率のよいリント捕集が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(洗濯機の全体構成)
図1は本発明の実施の形態に係る洗濯機の構成を示す断面図である。この洗濯機は、筐体1の中に、吊り下げられた外槽(水槽)2を有し、外槽2の内側に洗濯脱水槽3が配置されている。なお、この実施の形態では、外槽2を傾動可能に吊り下げている。
洗濯脱水槽3の底部には、表面(上面)が傾斜し、洗濯脱水槽3の底面3Aと対向する裏面(下面)に水のポンプアップ作用を果たす裏羽根4aを少なくとも1つ有したパルセータ4が、洗濯脱水槽3の底面3Aと隙間を有して回転自在に配置されている。外槽1の底部外側にはモータ5が配置されており、そのモータ5の回転を伝達する回転伝達軸6が回転パルセータ4の回転中心と、洗濯脱水槽3の底部の回転中心とに連結または連結可能とされていて、回転パルセータ4や洗濯脱水槽3の回転駆動源となっている。なお、パルセータ4は、洗い行程、すすぎ行程、乾燥行程などにおいて、正転と反転を繰り返して、洗濯脱水槽3内の水や洗濯物を攪拌する。
【0009】
外槽2は、筐体1に固定された吊り板9から吊した吊り棒10,11を利用し、外槽2の下部に設けた吊り棒受け部12にて、吊り棒10,11の下端部に設けられた弾性支持部13を支持させることにより、筐体1内で傾動させることを可能にしている。この例では、外槽2の後側に配した吊り棒11を上下に移動させることで外槽2を傾動させている。なお、この例で、吊り棒10は外槽2の前側の吊り棒を、吊り棒11は外槽2の後側の吊り棒を表しており、それぞれ2本ずつ設けるのが好ましい。
【0010】
外槽2の外周には、洗濯脱水槽3の底部から出た空気を上方へ流す風路20を備えており、その風路20の内側には、風路20内を流れる空気を除湿する除湿板21が配置されている。この例で、風路20は洗濯脱水槽3とともに空気の循環風路の一部を構成しており、その循環風路の風路20と洗濯脱水槽3との間には、乾燥フィルター22、ファン23、ヒータ24が配置されている。
【0011】
筐体1の上面前側部には洗濯物の出し入れ口があり、それは扉30で開閉自在となっている。筐体1の上面中間部には洗剤をいれる洗剤ケース31が形成されている。筐体1の上面後側部には、給水口32が設けられており、給水口32から取り入れられた水は、分岐弁33で、洗濯脱水槽3内または除湿板21へ切替られる。
筐体1の底部には底枠40が配置され、それに遮音板41やゴム足42等が取り付けられている。
【0012】
洗濯脱水槽3の側板3Bには、水を排出する孔3aが複数形成されており、また、側板3Bの上部には洗濯脱水槽3のバランスをとるための流体バランサー3bが設けられている。
さらに、洗濯脱水槽3の側板3Bの内側には、リントを捕集する作用を果たすリントフィルター構造体50が形成されている。リントフィルター構造体50はこの発明の中核をなすものであり、以下においてその実施の形態を基にその構成及び作用を詳述する。
【0013】
(洗濯機のリントフィルター構造体)
図2はリントフィルター構造体50の斜視図であり、図2(a)はリントフィルター構造体50を前面方向から見た斜視図、図2(b)は背面方向から見た斜視図である。また、図3はリントフィルター構造体50の分解斜視図である。図2〜図3に示すように、リントフィルター構造体50は、水路ベース部60とリントフィルターボックス70とを備えている。
水路ベース60は、パルセータ4の回転時、裏羽根4aのポンプ作用により押し出された洗濯脱水槽底部の水を上方に導く流路61,62を左右に備えたもので、洗濯脱水槽3の側板3Bの内側に取り付けられ、洗濯脱水槽3の外側からねじなどにより固定されている。水路ベース60の左右の流路61,62の間には、水路ベース60の流路61,62を上昇した水を取り込んで、水中に含まれるリントを捕集するリントフィルター71及びスリット72を備えたリントフィルターボックス70が挿入されている。
なお、符号64は、水路ベースの背面側の流路61,62を上昇した水を、流路61,62の間に挿入されたリントフィルターボックス70の内部へ導入するための開口64であり、符号69a,69bは水路ベース60の縦方向の外殻左右壁面を表している。
【0014】
この例では、水路ベース60の左右の流路61,62は、それらの間隔が下側から上側に行くに従って広くなる逆八の字状に配置されている。このようにすれば、パルセータ4の正転と反転に応じて、左右の流路61,62に効果的に水を取り込むことが可能となる。また、左右流路61,62への水の取込口を一カ所に集中させることができ、しかも流路の上部では左右流路61,62の間に広い隙間を形成することができるという利点がある。ただし、左右の流路61,62の配置態様は、この逆八の字状に限定されるものではなく、平行や八の字状の態様とすることも可能である。
なお、図4に示すように、水路ベース60の左右の流路61,62の外縁の洗濯脱水槽3の内周面との接触面には、水密用のシール材63を貼付して、流路61,62の水密性を確保するのが好ましい。
【0015】
リントフィルターボックス70は、前部に横長のスリット72が縦方向に複数形成され、これら複数のスリット72の集合部の内側面にリントを捕集するリントフィルター(これは、例えば樹脂製の水透過性膜からなる)が貼付されているリントフィルターボックスカバー80と、リントフィルターボックスカバー80を組み付けてリントフィルターボックス70となり、該ボックス70を水路ベース60に取り付ける機能を備えたリントフィルターボックスベース90とを有している(図3参照)。リントフィルターボックスカバー80とリントフィルターボックスベース90とは、リントフィルターボックスベース90の側板に形成された係止ツメ91が、リントフィルターボックスカバー80の対応する切り欠き部81に嵌り合って係止され組み付けられる。このようにしてリントフィルターボックスカバー80を保持したリントフィルターボックスベース90を利用して、リントフィルターボックス70が水路ベース60に取り付けられる(図3参照)。なお、この取り付け構造については後述する。
【0016】
図5はリントフィルター構造体50における水の流れを説明する説明図であり、(a)はリントフィルター構造体50の背面図、(b)はリントフィルターボックスカバー80を外した状態のリントフィルター構造体50を前面方向から見た斜視図、(c)はリントフィルターボックスカバー80が装着された状態のリントフィルター構造体50を前面方向から見た斜視図である。パルセータ4の回転により、その裏羽根4aの作用で押し出された水は、図5の(a)〜(b)〜(c)の順に矢印に示たような経路を流れる。すなわち、裏羽根4aの作用で押し出された水は、水路ベース60の左右の流路61,62を上昇して、リントフィルターボックス70の内部に入り、リントフィルターボックス70の前面のリントフィルター71およびスリット72を介して、洗濯脱水槽3の内部へ流れる。その過程で、水中のリントがリントフィルター71に捕集される。
【0017】
図5(a)に示すように、水路ベース60は、左右の流路61,62の下端部に、上昇する水を左右の流路61,62に分けるテーパ状の下部誘導板65を備えて、裏羽根4aにより押し出された水が、それぞれの流路61,62に導入されやすいようにしている。 また、図5(a)に示すように、水路ベース60は、左右の流路61,62の上部に、上昇した水を、左右の流路61と62の間に配したリントフィルターボックス70の内部に導入する開口と上部誘導板66を備えている。左右の流路61,62に設けられた上部誘導板66は、背面側から見た場合、八の字状を構成している。
【0018】
また、リントフィルターボックス70には、水路ベース60の流路61,62から水を取り込む水取込口74が左右に形成されており(図5(b)では片側の水取込口74のみが見えている)、これら水取込口74の開口下端部に、リントフィルターボックス70の内側下方に向かう水呼び込み傾斜面75が形成されている。
また、リントフィルターボックスベース90の、左右の水取込口74からの中間部に、それら水取込口からの水流を下方に向ける中間部誘導板92を形成している。中間部誘導板92は、左右の水取込口74から流れ込んだ水を下方に曲げる作用を果たす。
さらに、リントフィルターボックス70の内側上下方向の途中には、リントの戻り防止機構を備えるのが好ましい。そのために、この例では、リントフィルターボックスベース90にリント戻り防止リブ93を複数本設けている。これにより、高水位時や裏羽根4aのポンプアップ停止時に水が逆流しても、リントの戻りが防止できる。
【0019】
図6はパルセータ4の回転方向と水の上昇経路の関係を示すリントフィルター構造体50の背面図である。図6(a)に示すように、パルセータ4が右方向に回転する場合には、背面側から見て、左側の流路61に右側の流路62より多くの水が取り込まれて上昇する。一方、図6(b)に示すように、パルセータ4が左方向に回転する場合には、背面側から見て、右側の流路62に左側の流路61より多くの水が取り込まれて上昇する。
【0020】
図7は水路ベース60の左右の流路61と62の間にリントフィルターボックス70が挿入された状態にあるリントフィルター構造体50の概略縦断面図である。この図7により、これまで説明してきた、流路61,62、下部誘導板65、上部誘導板66、水取込口74、水呼び込み傾斜面75、中間部誘導板91、およびリント戻り防止リブ92の関係が明確に把握できるであろう。なお、下部誘導板65の下側中央部にはスリット65aを設けて、リントボックス取付け部下の凹部に溜まる水を水槽2内に誘導するようにしておくのが好ましい。これにより、リントボックス取付け部下の凹部に水が溜まって腐るのを防止できる。
【0021】
図8は洗濯脱水槽3、パルセータ4、およびリントフィルター構造体50の配置態様を示す概略図である。洗濯脱水槽3の底部にはパルセータ4が設けられている。パルセータ4は、洗濯脱水槽3の底面3Aと対向する下面に少なくとも1つの裏羽根4aを有し、洗濯脱水槽3の底面3Aと隙間を有して、回転伝達軸6により回転自在に配置されている。洗濯脱水槽3は、その底面3Aにつながっている側板3Bを有しており、その側板3Bにリントフィルター構造体50が取り付け固定されている。リントフィルター構造体50を構成している水路ベース60は、その下端部がパルセータ4の裏羽根4aで押し出された水を取り込めるように配置されている。そして、水路ベース60の左右流路61,62の下端部において、水路ベース60のケースと洗濯脱水槽3の側面3Bとにより形成される水の上昇路の一部が、前後の流路断面積より狭い流路断面積とされて流路絞り部として形成されている。これにより、裏羽根4aにより押し出された水の流速を上げて、水を上方まで引き上げることが可能になり、低水位から高水位までに対応することが可能となる。
【0022】
図9はリントフィルターボックスカバー80を前面方向から見た斜視図である。図9に示すように、リントフィルターボックス70の前部を構成するリントフィルターボックスカバー80は、水平方向に平行に配置された複数の水平リブ86により縦方向に複数のスリット72が形成されている。また、各水平リブ86の間には水平リブと直交する垂直リブ87が水平リブ86の先端面より後退させて配置されており、水平リブ86と垂直リブ87の後端面は同一平面上に形成されていて、それら水平リブ86と垂直リブ87の後端面にリントフィルター71が貼付されている。
垂直リブ87は水平リブ86を補強するためのものであり、水平リブ86の先端面より後退させて配置することで、利用者から見えにくくしている。ただし、水平リブ86と垂直リブ87の後端面は、リントフィルター71を貼り易くするため同一平面としたものである。
【0023】
図3にも示したように、リントフィルターボックスベース90は、リントフィルターボックスカバー80を保持するとともに、水路ベース60の左右の流路61,62間に挿入されたリントフィルターボックス70を水路ベース60に固定する機能を有している。その固定は、リントフィルターボックスベース90の上端部に形成した板ばね部96を利用して、その板ばね部96の上端面に形成した突起98を、水路ベース60の上部に形成した突起係止部68へ係合させて固定している。
図10はそのようなリントフィルターボックスベース90の側面図である。図3および図10に示すように、板ばね部96の上端面前側部に、水路ベース60の上部に設けられている突起係止部68と係合する左右一対の突起98が形成されており、この一対の突起98の間に板ばね部96を押圧するための押圧スペース99が設けられていて、それによりリントフィルターボックス70が水路ベース60に対して着脱自在となっている。このような左右一対の突起98の配置により、リントフィルターボックス70の水路ベース60に対する着脱が狭い押圧スペース99で可能となっている。なお、板ばね部96に突起を設けずに、水路ベース60の突起係止部68の方に突起を設けても、同様の作用効果を奏する。
【0024】
また、水路ベース60とリントフィルターボックスカバー80を、ガラス混合樹脂(例えばポリプロピレン(PP)にガラスを混ぜたもの)により形成して、その強度を上げておくのが好ましい。これに対して、リントフィルターボックスベース90は、その板ばね部96の弾性作用を確保するため、ガラスを混合または配合しない樹脂により、またはリントフィルターボックスカバーを形成するガラス混合樹脂よりガラスの混合割合が少ないガラス混合樹脂により形成することが好ましい。
また、リントフィルターボックスベース90の板ばね部96の色を、リントフィルターボックスカバー80および水路ベース60の色と相違させて、板ばね部96の押圧スペースをわかりやすくしておくのが好ましい。
【0025】
図11は水路ベース60の外殻を構成している縦方向の左右壁面69a,69bのテーパ角度を示す上面図である。リントフィルター構造体50は、洗濯脱水槽3の内部に突出して設けられる。その突出量は、流路をほぼ同一平面内に形成しているため従来に比べて小さくはなっているものの、依然として洗濯または乾燥時に洗濯物がその突出部に引っかかって、攪拌を妨げたりモータに負荷をかけるおそれがある。それを最小限にするため、ここでは、水路ベース60の外殻を構成している左右の端面69a,69bを、洗濯脱水槽3の中心方向に向かって狭まるテーパ状に形成している。
水路ベース60の左右の端面69a,69bと洗濯脱水槽3の外周接線とのなす角αは、できるだけ小さくするのが好ましいが、実験などにより、55度以下の角度であれば洗濯物の引っかかりが起こりくいことも判明している。従って、水路ベース60の左右の端面と洗濯脱水槽3の外周接線とのなす角αは、図11に示したように55度以下とすることが特に好ましい。
なお、リントフィルター構造体50の洗濯脱水槽3内部への突出部全体を円弧形状とし、その円弧径を大きくして、洗濯物の該突出部への引っかかりを低減する事もできる。
【0026】
図12はリントフィルターボックスカバーの垂直リブ87の有る部分の縦断面を示した寸法説明図である。図12に示ように、水平リブ86同士の間の空間距離をh1、水平リブ86の先端面から垂直リブ87の先端面までの距離をd1としたとき、tan-1(h1/d1)≦65°とすると、洗濯脱水槽3を斜め上方から見る人に対して、垂直リブ87を見え難くすることができる。
また、水平リブ86同士の間の空間距離をh1、水平リブ86の先端面から後端面までの距離をd2としたとき、tan-1(h1/d2)≦50°とすると、洗濯脱水槽3を斜め上方から見る人に対して、フィルターボックス70の内部を見え難くすることができる。
なお、本実施の形態では、外槽2を傾斜可能としており、外槽2を傾斜させた場合には洗濯脱水槽3も傾斜するので、垂直リブ87やフィルターボックス70の内部をより見え難くすることができる。
これらの対応により、リントフィルター構造体50を、意匠的にも優れたものとすることができる。
【0027】
ところで、以上に説明した水路ベース60とリントフィルターボックス70とを有したリントフィルター構造体50は、洗濯脱水槽3の複数箇所に設けてもよい。例えば、180度毎に2カ所、120度対象に3カ所、90度毎に4カ所配置することができる。このように洗濯脱水槽3に設けるリントフィルター構造体50の数を増やすことで、リントの捕集効率を上げることができる。
【0028】
また、洗濯脱水槽3の回転を制御して、リントフィルター構造体50が所定の位置、例えば、洗濯機の正面手前側に来た時に洗濯脱水槽3の回転を停止させるようにしてもよい。こうすることで、リントフィルターボックス70を取り外して掃除することなどが容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る洗濯機の構成を示す断面図。
【図2】実施の形態に係るリントフィルター構造体の斜視図。
【図3】実施の形態に係るリントフィルター構造体の分解斜視図。
【図4】リントフィルター構造体の背面側における水密シール貼付の説明図。
【図5】リントフィルター構造体における水の流れを説明する説明図。
【図6】パルセータの回転方向と水の上昇経路の関係を説明するリントフィルター構造体の背面図。
【図7】水路ベースの左右の流路の間にリントフィルターボックスが挿入された状態のリントフィルター構造体の概略縦断面図。
【図8】洗濯脱水槽、パルセータおよびリントフィルター構造体の配置態様を示す概略断面図。
【図9】リントフィルターボックスカバーを前面方向から見た斜視図。
【図10】リントフィルターボックスベースの側面図。
【図11】水路ベースの外殻を構成している縦方向の左右の端面のテーパ角度を示す上面図。
【図12】リントフィルターボックスカバーの垂直リブの有る部分の縦断面を示した寸法説明図。
【符号の説明】
【0030】
1:筐体、2:外槽、3:洗濯脱水槽、3A:洗濯脱水槽の底面、3B:洗濯脱水槽の側板、4:パルセータ、4a:裏羽根、5:モータ、6:回転伝達軸、10,11:吊り棒、12:吊り棒受け部、13:弾性支持部、20:風路、50:リントフィルター構造体、60:水路ベース、61,62:左右の流路、63:水密用のシール材、64:開口、65:下部誘導板、66:上部誘導板、68:突起係止部、69a,69b:水路ベースの縦方向の外殻左右壁面、70:リントフィルターボックス、71:リントフィルター、72:スリット、74:リントフィルターボックスの水取込口、75:水呼び込み傾斜面、80:リントフィルターボックスカバー、81:切り欠き部、86:水平リブ、87:垂直リブ、90:リントフィルターボックスべース、91:係止ツメ、92:中間部誘導板、93:リント戻り防止リブ、96:板ばね部、98:突起、99:突起間の押圧スペース。
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯機に関し、特にそのリントフィルター構造に関連する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗濯機では、リントフィルター構造として、袋状のフィルターを洗濯槽内に出すか水路内に埋め込んでいるものが広く知られている。
また、洗濯槽の内側周囲に前後2列の流路を設け、後側から前側に水をポンプアップして、前側流路に配した捕集袋にリントを溜めるようにしたものもある(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特許第3439108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、袋状のフィルターが槽内に出ていると、洗濯時や乾燥時に衣類とフィルターが直接当たりフィルターが破損するおそれがあり、また意匠的にも優れない。
また、フィルターを水路内に埋め込む場合には、収容容積が小さくなってしまう。
さらに、洗濯槽の内側周囲に前後2列の流路を設けた場合には、その流路構造部分の洗濯槽内への突出量が多くなり、洗濯・乾燥時の攪拌時に衣類がその流路構造部分に引っかかって、衣類の攪拌の障害となったり、モータ負荷の増大を招くおそれがある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、洗濯槽内側周囲からの突出量を少なくして、しかもリントを効率よく捕集できる新たなリントフィルター構造を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の洗濯機は、外槽内に配置された洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽の底面と隙間を有して回転自在に配置されたパルセータとを備え、前記パルセータは洗濯脱水槽の底面と対向する下面に少なくとも1つの裏羽根を有し、前記裏羽根が、前記パルセータの回転により、前記洗濯脱水槽の底部の水を押し出すポンプとして作用する洗濯機であって、前記裏羽根のポンプ作用により押し出された水を上方に導く流路を左右に備えた水路ベースが、前記洗濯脱水槽の内側に設けられており、前記水路ベースの前記流路を上昇した水を取り込んで水中に含まれるリントを捕集するフィルターを備えたリントフィルターボックスが、前記水路ベースの前記左右の流路の間に挿入されているものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の洗濯機は、パルセータの裏羽根のポンプ作用により押し出された水を上方に導く流路を左右に備えた流路の間にリントフィルターボックスを挿入しているため、リントフィルタ部分の洗濯槽内側周囲からの突出量を少なくできる。また、上記構成によれば、リントフィルターボックスを洗濯槽内側面に沿って縦長形状に配置できるため、フィルタ面積が大きく取れ効率のよいリント捕集が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(洗濯機の全体構成)
図1は本発明の実施の形態に係る洗濯機の構成を示す断面図である。この洗濯機は、筐体1の中に、吊り下げられた外槽(水槽)2を有し、外槽2の内側に洗濯脱水槽3が配置されている。なお、この実施の形態では、外槽2を傾動可能に吊り下げている。
洗濯脱水槽3の底部には、表面(上面)が傾斜し、洗濯脱水槽3の底面3Aと対向する裏面(下面)に水のポンプアップ作用を果たす裏羽根4aを少なくとも1つ有したパルセータ4が、洗濯脱水槽3の底面3Aと隙間を有して回転自在に配置されている。外槽1の底部外側にはモータ5が配置されており、そのモータ5の回転を伝達する回転伝達軸6が回転パルセータ4の回転中心と、洗濯脱水槽3の底部の回転中心とに連結または連結可能とされていて、回転パルセータ4や洗濯脱水槽3の回転駆動源となっている。なお、パルセータ4は、洗い行程、すすぎ行程、乾燥行程などにおいて、正転と反転を繰り返して、洗濯脱水槽3内の水や洗濯物を攪拌する。
【0009】
外槽2は、筐体1に固定された吊り板9から吊した吊り棒10,11を利用し、外槽2の下部に設けた吊り棒受け部12にて、吊り棒10,11の下端部に設けられた弾性支持部13を支持させることにより、筐体1内で傾動させることを可能にしている。この例では、外槽2の後側に配した吊り棒11を上下に移動させることで外槽2を傾動させている。なお、この例で、吊り棒10は外槽2の前側の吊り棒を、吊り棒11は外槽2の後側の吊り棒を表しており、それぞれ2本ずつ設けるのが好ましい。
【0010】
外槽2の外周には、洗濯脱水槽3の底部から出た空気を上方へ流す風路20を備えており、その風路20の内側には、風路20内を流れる空気を除湿する除湿板21が配置されている。この例で、風路20は洗濯脱水槽3とともに空気の循環風路の一部を構成しており、その循環風路の風路20と洗濯脱水槽3との間には、乾燥フィルター22、ファン23、ヒータ24が配置されている。
【0011】
筐体1の上面前側部には洗濯物の出し入れ口があり、それは扉30で開閉自在となっている。筐体1の上面中間部には洗剤をいれる洗剤ケース31が形成されている。筐体1の上面後側部には、給水口32が設けられており、給水口32から取り入れられた水は、分岐弁33で、洗濯脱水槽3内または除湿板21へ切替られる。
筐体1の底部には底枠40が配置され、それに遮音板41やゴム足42等が取り付けられている。
【0012】
洗濯脱水槽3の側板3Bには、水を排出する孔3aが複数形成されており、また、側板3Bの上部には洗濯脱水槽3のバランスをとるための流体バランサー3bが設けられている。
さらに、洗濯脱水槽3の側板3Bの内側には、リントを捕集する作用を果たすリントフィルター構造体50が形成されている。リントフィルター構造体50はこの発明の中核をなすものであり、以下においてその実施の形態を基にその構成及び作用を詳述する。
【0013】
(洗濯機のリントフィルター構造体)
図2はリントフィルター構造体50の斜視図であり、図2(a)はリントフィルター構造体50を前面方向から見た斜視図、図2(b)は背面方向から見た斜視図である。また、図3はリントフィルター構造体50の分解斜視図である。図2〜図3に示すように、リントフィルター構造体50は、水路ベース部60とリントフィルターボックス70とを備えている。
水路ベース60は、パルセータ4の回転時、裏羽根4aのポンプ作用により押し出された洗濯脱水槽底部の水を上方に導く流路61,62を左右に備えたもので、洗濯脱水槽3の側板3Bの内側に取り付けられ、洗濯脱水槽3の外側からねじなどにより固定されている。水路ベース60の左右の流路61,62の間には、水路ベース60の流路61,62を上昇した水を取り込んで、水中に含まれるリントを捕集するリントフィルター71及びスリット72を備えたリントフィルターボックス70が挿入されている。
なお、符号64は、水路ベースの背面側の流路61,62を上昇した水を、流路61,62の間に挿入されたリントフィルターボックス70の内部へ導入するための開口64であり、符号69a,69bは水路ベース60の縦方向の外殻左右壁面を表している。
【0014】
この例では、水路ベース60の左右の流路61,62は、それらの間隔が下側から上側に行くに従って広くなる逆八の字状に配置されている。このようにすれば、パルセータ4の正転と反転に応じて、左右の流路61,62に効果的に水を取り込むことが可能となる。また、左右流路61,62への水の取込口を一カ所に集中させることができ、しかも流路の上部では左右流路61,62の間に広い隙間を形成することができるという利点がある。ただし、左右の流路61,62の配置態様は、この逆八の字状に限定されるものではなく、平行や八の字状の態様とすることも可能である。
なお、図4に示すように、水路ベース60の左右の流路61,62の外縁の洗濯脱水槽3の内周面との接触面には、水密用のシール材63を貼付して、流路61,62の水密性を確保するのが好ましい。
【0015】
リントフィルターボックス70は、前部に横長のスリット72が縦方向に複数形成され、これら複数のスリット72の集合部の内側面にリントを捕集するリントフィルター(これは、例えば樹脂製の水透過性膜からなる)が貼付されているリントフィルターボックスカバー80と、リントフィルターボックスカバー80を組み付けてリントフィルターボックス70となり、該ボックス70を水路ベース60に取り付ける機能を備えたリントフィルターボックスベース90とを有している(図3参照)。リントフィルターボックスカバー80とリントフィルターボックスベース90とは、リントフィルターボックスベース90の側板に形成された係止ツメ91が、リントフィルターボックスカバー80の対応する切り欠き部81に嵌り合って係止され組み付けられる。このようにしてリントフィルターボックスカバー80を保持したリントフィルターボックスベース90を利用して、リントフィルターボックス70が水路ベース60に取り付けられる(図3参照)。なお、この取り付け構造については後述する。
【0016】
図5はリントフィルター構造体50における水の流れを説明する説明図であり、(a)はリントフィルター構造体50の背面図、(b)はリントフィルターボックスカバー80を外した状態のリントフィルター構造体50を前面方向から見た斜視図、(c)はリントフィルターボックスカバー80が装着された状態のリントフィルター構造体50を前面方向から見た斜視図である。パルセータ4の回転により、その裏羽根4aの作用で押し出された水は、図5の(a)〜(b)〜(c)の順に矢印に示たような経路を流れる。すなわち、裏羽根4aの作用で押し出された水は、水路ベース60の左右の流路61,62を上昇して、リントフィルターボックス70の内部に入り、リントフィルターボックス70の前面のリントフィルター71およびスリット72を介して、洗濯脱水槽3の内部へ流れる。その過程で、水中のリントがリントフィルター71に捕集される。
【0017】
図5(a)に示すように、水路ベース60は、左右の流路61,62の下端部に、上昇する水を左右の流路61,62に分けるテーパ状の下部誘導板65を備えて、裏羽根4aにより押し出された水が、それぞれの流路61,62に導入されやすいようにしている。 また、図5(a)に示すように、水路ベース60は、左右の流路61,62の上部に、上昇した水を、左右の流路61と62の間に配したリントフィルターボックス70の内部に導入する開口と上部誘導板66を備えている。左右の流路61,62に設けられた上部誘導板66は、背面側から見た場合、八の字状を構成している。
【0018】
また、リントフィルターボックス70には、水路ベース60の流路61,62から水を取り込む水取込口74が左右に形成されており(図5(b)では片側の水取込口74のみが見えている)、これら水取込口74の開口下端部に、リントフィルターボックス70の内側下方に向かう水呼び込み傾斜面75が形成されている。
また、リントフィルターボックスベース90の、左右の水取込口74からの中間部に、それら水取込口からの水流を下方に向ける中間部誘導板92を形成している。中間部誘導板92は、左右の水取込口74から流れ込んだ水を下方に曲げる作用を果たす。
さらに、リントフィルターボックス70の内側上下方向の途中には、リントの戻り防止機構を備えるのが好ましい。そのために、この例では、リントフィルターボックスベース90にリント戻り防止リブ93を複数本設けている。これにより、高水位時や裏羽根4aのポンプアップ停止時に水が逆流しても、リントの戻りが防止できる。
【0019】
図6はパルセータ4の回転方向と水の上昇経路の関係を示すリントフィルター構造体50の背面図である。図6(a)に示すように、パルセータ4が右方向に回転する場合には、背面側から見て、左側の流路61に右側の流路62より多くの水が取り込まれて上昇する。一方、図6(b)に示すように、パルセータ4が左方向に回転する場合には、背面側から見て、右側の流路62に左側の流路61より多くの水が取り込まれて上昇する。
【0020】
図7は水路ベース60の左右の流路61と62の間にリントフィルターボックス70が挿入された状態にあるリントフィルター構造体50の概略縦断面図である。この図7により、これまで説明してきた、流路61,62、下部誘導板65、上部誘導板66、水取込口74、水呼び込み傾斜面75、中間部誘導板91、およびリント戻り防止リブ92の関係が明確に把握できるであろう。なお、下部誘導板65の下側中央部にはスリット65aを設けて、リントボックス取付け部下の凹部に溜まる水を水槽2内に誘導するようにしておくのが好ましい。これにより、リントボックス取付け部下の凹部に水が溜まって腐るのを防止できる。
【0021】
図8は洗濯脱水槽3、パルセータ4、およびリントフィルター構造体50の配置態様を示す概略図である。洗濯脱水槽3の底部にはパルセータ4が設けられている。パルセータ4は、洗濯脱水槽3の底面3Aと対向する下面に少なくとも1つの裏羽根4aを有し、洗濯脱水槽3の底面3Aと隙間を有して、回転伝達軸6により回転自在に配置されている。洗濯脱水槽3は、その底面3Aにつながっている側板3Bを有しており、その側板3Bにリントフィルター構造体50が取り付け固定されている。リントフィルター構造体50を構成している水路ベース60は、その下端部がパルセータ4の裏羽根4aで押し出された水を取り込めるように配置されている。そして、水路ベース60の左右流路61,62の下端部において、水路ベース60のケースと洗濯脱水槽3の側面3Bとにより形成される水の上昇路の一部が、前後の流路断面積より狭い流路断面積とされて流路絞り部として形成されている。これにより、裏羽根4aにより押し出された水の流速を上げて、水を上方まで引き上げることが可能になり、低水位から高水位までに対応することが可能となる。
【0022】
図9はリントフィルターボックスカバー80を前面方向から見た斜視図である。図9に示すように、リントフィルターボックス70の前部を構成するリントフィルターボックスカバー80は、水平方向に平行に配置された複数の水平リブ86により縦方向に複数のスリット72が形成されている。また、各水平リブ86の間には水平リブと直交する垂直リブ87が水平リブ86の先端面より後退させて配置されており、水平リブ86と垂直リブ87の後端面は同一平面上に形成されていて、それら水平リブ86と垂直リブ87の後端面にリントフィルター71が貼付されている。
垂直リブ87は水平リブ86を補強するためのものであり、水平リブ86の先端面より後退させて配置することで、利用者から見えにくくしている。ただし、水平リブ86と垂直リブ87の後端面は、リントフィルター71を貼り易くするため同一平面としたものである。
【0023】
図3にも示したように、リントフィルターボックスベース90は、リントフィルターボックスカバー80を保持するとともに、水路ベース60の左右の流路61,62間に挿入されたリントフィルターボックス70を水路ベース60に固定する機能を有している。その固定は、リントフィルターボックスベース90の上端部に形成した板ばね部96を利用して、その板ばね部96の上端面に形成した突起98を、水路ベース60の上部に形成した突起係止部68へ係合させて固定している。
図10はそのようなリントフィルターボックスベース90の側面図である。図3および図10に示すように、板ばね部96の上端面前側部に、水路ベース60の上部に設けられている突起係止部68と係合する左右一対の突起98が形成されており、この一対の突起98の間に板ばね部96を押圧するための押圧スペース99が設けられていて、それによりリントフィルターボックス70が水路ベース60に対して着脱自在となっている。このような左右一対の突起98の配置により、リントフィルターボックス70の水路ベース60に対する着脱が狭い押圧スペース99で可能となっている。なお、板ばね部96に突起を設けずに、水路ベース60の突起係止部68の方に突起を設けても、同様の作用効果を奏する。
【0024】
また、水路ベース60とリントフィルターボックスカバー80を、ガラス混合樹脂(例えばポリプロピレン(PP)にガラスを混ぜたもの)により形成して、その強度を上げておくのが好ましい。これに対して、リントフィルターボックスベース90は、その板ばね部96の弾性作用を確保するため、ガラスを混合または配合しない樹脂により、またはリントフィルターボックスカバーを形成するガラス混合樹脂よりガラスの混合割合が少ないガラス混合樹脂により形成することが好ましい。
また、リントフィルターボックスベース90の板ばね部96の色を、リントフィルターボックスカバー80および水路ベース60の色と相違させて、板ばね部96の押圧スペースをわかりやすくしておくのが好ましい。
【0025】
図11は水路ベース60の外殻を構成している縦方向の左右壁面69a,69bのテーパ角度を示す上面図である。リントフィルター構造体50は、洗濯脱水槽3の内部に突出して設けられる。その突出量は、流路をほぼ同一平面内に形成しているため従来に比べて小さくはなっているものの、依然として洗濯または乾燥時に洗濯物がその突出部に引っかかって、攪拌を妨げたりモータに負荷をかけるおそれがある。それを最小限にするため、ここでは、水路ベース60の外殻を構成している左右の端面69a,69bを、洗濯脱水槽3の中心方向に向かって狭まるテーパ状に形成している。
水路ベース60の左右の端面69a,69bと洗濯脱水槽3の外周接線とのなす角αは、できるだけ小さくするのが好ましいが、実験などにより、55度以下の角度であれば洗濯物の引っかかりが起こりくいことも判明している。従って、水路ベース60の左右の端面と洗濯脱水槽3の外周接線とのなす角αは、図11に示したように55度以下とすることが特に好ましい。
なお、リントフィルター構造体50の洗濯脱水槽3内部への突出部全体を円弧形状とし、その円弧径を大きくして、洗濯物の該突出部への引っかかりを低減する事もできる。
【0026】
図12はリントフィルターボックスカバーの垂直リブ87の有る部分の縦断面を示した寸法説明図である。図12に示ように、水平リブ86同士の間の空間距離をh1、水平リブ86の先端面から垂直リブ87の先端面までの距離をd1としたとき、tan-1(h1/d1)≦65°とすると、洗濯脱水槽3を斜め上方から見る人に対して、垂直リブ87を見え難くすることができる。
また、水平リブ86同士の間の空間距離をh1、水平リブ86の先端面から後端面までの距離をd2としたとき、tan-1(h1/d2)≦50°とすると、洗濯脱水槽3を斜め上方から見る人に対して、フィルターボックス70の内部を見え難くすることができる。
なお、本実施の形態では、外槽2を傾斜可能としており、外槽2を傾斜させた場合には洗濯脱水槽3も傾斜するので、垂直リブ87やフィルターボックス70の内部をより見え難くすることができる。
これらの対応により、リントフィルター構造体50を、意匠的にも優れたものとすることができる。
【0027】
ところで、以上に説明した水路ベース60とリントフィルターボックス70とを有したリントフィルター構造体50は、洗濯脱水槽3の複数箇所に設けてもよい。例えば、180度毎に2カ所、120度対象に3カ所、90度毎に4カ所配置することができる。このように洗濯脱水槽3に設けるリントフィルター構造体50の数を増やすことで、リントの捕集効率を上げることができる。
【0028】
また、洗濯脱水槽3の回転を制御して、リントフィルター構造体50が所定の位置、例えば、洗濯機の正面手前側に来た時に洗濯脱水槽3の回転を停止させるようにしてもよい。こうすることで、リントフィルターボックス70を取り外して掃除することなどが容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る洗濯機の構成を示す断面図。
【図2】実施の形態に係るリントフィルター構造体の斜視図。
【図3】実施の形態に係るリントフィルター構造体の分解斜視図。
【図4】リントフィルター構造体の背面側における水密シール貼付の説明図。
【図5】リントフィルター構造体における水の流れを説明する説明図。
【図6】パルセータの回転方向と水の上昇経路の関係を説明するリントフィルター構造体の背面図。
【図7】水路ベースの左右の流路の間にリントフィルターボックスが挿入された状態のリントフィルター構造体の概略縦断面図。
【図8】洗濯脱水槽、パルセータおよびリントフィルター構造体の配置態様を示す概略断面図。
【図9】リントフィルターボックスカバーを前面方向から見た斜視図。
【図10】リントフィルターボックスベースの側面図。
【図11】水路ベースの外殻を構成している縦方向の左右の端面のテーパ角度を示す上面図。
【図12】リントフィルターボックスカバーの垂直リブの有る部分の縦断面を示した寸法説明図。
【符号の説明】
【0030】
1:筐体、2:外槽、3:洗濯脱水槽、3A:洗濯脱水槽の底面、3B:洗濯脱水槽の側板、4:パルセータ、4a:裏羽根、5:モータ、6:回転伝達軸、10,11:吊り棒、12:吊り棒受け部、13:弾性支持部、20:風路、50:リントフィルター構造体、60:水路ベース、61,62:左右の流路、63:水密用のシール材、64:開口、65:下部誘導板、66:上部誘導板、68:突起係止部、69a,69b:水路ベースの縦方向の外殻左右壁面、70:リントフィルターボックス、71:リントフィルター、72:スリット、74:リントフィルターボックスの水取込口、75:水呼び込み傾斜面、80:リントフィルターボックスカバー、81:切り欠き部、86:水平リブ、87:垂直リブ、90:リントフィルターボックスべース、91:係止ツメ、92:中間部誘導板、93:リント戻り防止リブ、96:板ばね部、98:突起、99:突起間の押圧スペース。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外槽内に配置された洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽の底面と隙間を有して回転自在に配置されたパルセータとを備え、前記パルセータは洗濯脱水槽の底面と対向する下面に少なくとも1つの裏羽根を有し、前記裏羽根が、前記パルセータの回転により、前記洗濯脱水槽の底部の水を押し出すポンプとして作用する洗濯機であって、
前記裏羽根のポンプ作用により押し出された水を上方に導く流路を左右に備えた水路ベースが、前記洗濯脱水槽の内側に設けられており、
前記水路ベースの前記流路を上昇した水を取り込んで水中に含まれるリントを捕集するリントフィルターを備えたリントフィルターボックスが、前記水路ベースの前記左右の流路の間に挿入されている、ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記左右の流路は、それらの間隔が下側から上側に行くに従って広くなる逆八の字状に配置されている、ことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記左右の流路の下端部に上昇する水を前記左右の流路に分けるテーパ状の下部誘導板を備えている、ことを特徴とする請求項1または2記載の洗濯機。
【請求項4】
前記テーパ状下部誘導板の下側中央部に水が通過可能なスリットを設けている、ことを特徴とする請求項3記載の洗濯機。
【請求項5】
前記左右の流路の上部に、上昇した水を前記左右の流路の間の中間部に向かわせる上部誘導板を備えている、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項6】
前記リントフィルターボックスは、前記水路ベースの前記流路から水を取り込む水取込口が左右に形成されており、前記左右の水取込口からの中間部に、前記左右の水取込口からの水流を下方に向ける中間部誘導板を備えている、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項7】
前記リントフィルターボックスの前記水取込口の下端部に、前記リントフィルターボックスの内側下方に向かう水呼び込み傾斜面が形成されている、ことを特徴とする請求項6記載の洗濯機。
【請求項8】
前記リントフィルターボックスの内側上下方向の途中に、水中に含まれるリントを捕集するリント戻り防止リブを備えている、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項9】
前記左右の流路の下端部に、前後の流路断面積より狭い流路断面積を有した流路絞り部を備えている、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項10】
前記水路ベースは前記洗濯脱水槽の内周面に固着されて取り付けられており、前記水路ベースの前記左右の水路の外縁の前記洗濯脱水槽内周面との接触面に水密用のシール材が貼付されている、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項11】
前記リントフィルターボックスは、前部に横長のスリットが縦方向に複数形成され、前記複数のスリットの集合部の内側面に前記リントフィルターが貼付されているリントフィルターボックスカバーと、前記リントフィルターボックスカバーを組み付けて前記水路ベースに取り付けるリントフィルターボックスベースとを有している、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項12】
前記リントフィルターボックスの前部は、水平方向に平行に配置された複数の水平リブにより前記複数のスリットが形成され、前記水平リブの間には前記水平リブと直交する垂直リブが前記水平リブの先端面より後退させて配置されており、それら水平リブと垂直リブの後端面に前記リントフィルターが貼付されている、ことを特徴とする請求項11記載の洗濯機。
【請求項13】
前記水平リブと前記垂直リブの後端面は同一平面上に形成されている、ことを特徴とする請求項12記載の洗濯機。
【請求項14】
前記リントフィルターボックスベースは、前記リントフィルターボックスカバーを保持し、かつ上端部に前記水路ベースと弾性力で係合する板ばね部が形成されている、ことを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項15】
前記板ばね部の上端面前側部に、前記水路ベースの上部に設けられた突起係止部と係合する左右一対の突起が形成されており、前記一対の突起の間に前記板ばね部を押圧するための押圧スペースが設けられていて、それにより前記リントフィルターボックスが前記水路ベースに対して着脱自在となっている、ことを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項16】
前記水路ベースと前記リントフィルターボックスカバーは、ガラス混合樹脂により形成されている、ことを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項17】
前記リントフィルターボックスベースは、前記リントフィルターボックスカバーを形成するガラス混合樹脂よりガラスの割合が少ないガラス混合樹脂またはガラス配合のない樹脂により形成されている、ことを特徴とする請求項16記載の洗濯機。
【請求項18】
前記リントフィルターボックスベースの前記板ばね部の色を、前記リントフィルターボックスカバーおよび前記水路ベースの色と相違させている、ことを特徴とする請求項14記載の洗濯機。
【請求項19】
前記水路ベースの外殻を構成している左右の端面は前記洗濯脱水槽の中心方向に向かって狭まるテーパ状に形成されている、ことを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項20】
前記水平リブの間の空間距離をh1、前記水平リブの先端面から前記垂直リブの先端面までの距離をd1としたとき、tan-1(h1/d1)≦65°とすることを特徴とする請求項12記載の洗濯機。
【請求項21】
前記水平リブの間の空間距離をh1、前記水平リブの先端面から後端面までの距離をd2としたとき、tan-1(h1/d2)≦50°とすることを特徴とする請求項12記載の洗濯機。
【請求項22】
前記洗濯脱水槽が傾斜していることを特徴とする請求項20または21記載の洗濯機。
【請求項23】
前記水路ベースおよび前記リントフィルターボックスを有したリントフィルター構造体が、前記洗濯脱水槽の複数箇所に備えられている、ことを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項1】
外槽内に配置された洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽の底面と隙間を有して回転自在に配置されたパルセータとを備え、前記パルセータは洗濯脱水槽の底面と対向する下面に少なくとも1つの裏羽根を有し、前記裏羽根が、前記パルセータの回転により、前記洗濯脱水槽の底部の水を押し出すポンプとして作用する洗濯機であって、
前記裏羽根のポンプ作用により押し出された水を上方に導く流路を左右に備えた水路ベースが、前記洗濯脱水槽の内側に設けられており、
前記水路ベースの前記流路を上昇した水を取り込んで水中に含まれるリントを捕集するリントフィルターを備えたリントフィルターボックスが、前記水路ベースの前記左右の流路の間に挿入されている、ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記左右の流路は、それらの間隔が下側から上側に行くに従って広くなる逆八の字状に配置されている、ことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記左右の流路の下端部に上昇する水を前記左右の流路に分けるテーパ状の下部誘導板を備えている、ことを特徴とする請求項1または2記載の洗濯機。
【請求項4】
前記テーパ状下部誘導板の下側中央部に水が通過可能なスリットを設けている、ことを特徴とする請求項3記載の洗濯機。
【請求項5】
前記左右の流路の上部に、上昇した水を前記左右の流路の間の中間部に向かわせる上部誘導板を備えている、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項6】
前記リントフィルターボックスは、前記水路ベースの前記流路から水を取り込む水取込口が左右に形成されており、前記左右の水取込口からの中間部に、前記左右の水取込口からの水流を下方に向ける中間部誘導板を備えている、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項7】
前記リントフィルターボックスの前記水取込口の下端部に、前記リントフィルターボックスの内側下方に向かう水呼び込み傾斜面が形成されている、ことを特徴とする請求項6記載の洗濯機。
【請求項8】
前記リントフィルターボックスの内側上下方向の途中に、水中に含まれるリントを捕集するリント戻り防止リブを備えている、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項9】
前記左右の流路の下端部に、前後の流路断面積より狭い流路断面積を有した流路絞り部を備えている、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項10】
前記水路ベースは前記洗濯脱水槽の内周面に固着されて取り付けられており、前記水路ベースの前記左右の水路の外縁の前記洗濯脱水槽内周面との接触面に水密用のシール材が貼付されている、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項11】
前記リントフィルターボックスは、前部に横長のスリットが縦方向に複数形成され、前記複数のスリットの集合部の内側面に前記リントフィルターが貼付されているリントフィルターボックスカバーと、前記リントフィルターボックスカバーを組み付けて前記水路ベースに取り付けるリントフィルターボックスベースとを有している、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項12】
前記リントフィルターボックスの前部は、水平方向に平行に配置された複数の水平リブにより前記複数のスリットが形成され、前記水平リブの間には前記水平リブと直交する垂直リブが前記水平リブの先端面より後退させて配置されており、それら水平リブと垂直リブの後端面に前記リントフィルターが貼付されている、ことを特徴とする請求項11記載の洗濯機。
【請求項13】
前記水平リブと前記垂直リブの後端面は同一平面上に形成されている、ことを特徴とする請求項12記載の洗濯機。
【請求項14】
前記リントフィルターボックスベースは、前記リントフィルターボックスカバーを保持し、かつ上端部に前記水路ベースと弾性力で係合する板ばね部が形成されている、ことを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項15】
前記板ばね部の上端面前側部に、前記水路ベースの上部に設けられた突起係止部と係合する左右一対の突起が形成されており、前記一対の突起の間に前記板ばね部を押圧するための押圧スペースが設けられていて、それにより前記リントフィルターボックスが前記水路ベースに対して着脱自在となっている、ことを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項16】
前記水路ベースと前記リントフィルターボックスカバーは、ガラス混合樹脂により形成されている、ことを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項17】
前記リントフィルターボックスベースは、前記リントフィルターボックスカバーを形成するガラス混合樹脂よりガラスの割合が少ないガラス混合樹脂またはガラス配合のない樹脂により形成されている、ことを特徴とする請求項16記載の洗濯機。
【請求項18】
前記リントフィルターボックスベースの前記板ばね部の色を、前記リントフィルターボックスカバーおよび前記水路ベースの色と相違させている、ことを特徴とする請求項14記載の洗濯機。
【請求項19】
前記水路ベースの外殻を構成している左右の端面は前記洗濯脱水槽の中心方向に向かって狭まるテーパ状に形成されている、ことを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項20】
前記水平リブの間の空間距離をh1、前記水平リブの先端面から前記垂直リブの先端面までの距離をd1としたとき、tan-1(h1/d1)≦65°とすることを特徴とする請求項12記載の洗濯機。
【請求項21】
前記水平リブの間の空間距離をh1、前記水平リブの先端面から後端面までの距離をd2としたとき、tan-1(h1/d2)≦50°とすることを特徴とする請求項12記載の洗濯機。
【請求項22】
前記洗濯脱水槽が傾斜していることを特徴とする請求項20または21記載の洗濯機。
【請求項23】
前記水路ベースおよび前記リントフィルターボックスを有したリントフィルター構造体が、前記洗濯脱水槽の複数箇所に備えられている、ことを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の洗濯機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−228757(P2008−228757A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68244(P2007−68244)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]