説明

洗濯機

【課題】洗濯機のノイズフィルタを制御ユニットと別部材とし、制御ユニットの制約なしに電磁波低減を行い、かつ防水効果を確実に行う。
【解決手段】モータ46等の運転を制御する制御ユニット47と、制御ユニットの電源入力部67と、前記電源入力部67に付加するノイズフィルタ53と、制御ユニットを収納するケース60とを備え、ノイズフィルタ53は前記制御ユニット47と分離し、かつ前記ケース60内に一体に収納したことにより、ノイズフィルタ53の最適電磁波遮蔽効果を制御ユニットの制約なしに追求可能となり、かつ制御ユニットのケース60で防水する事により、安全で電磁波遮蔽効果を高めた洗濯機を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源部にノイズフィルタと、制御ユニットを備えた洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、洗濯機は、モータ等の駆動部を制御する為に、インバータ制御回路等が多用されている。さらに、この制御回路から発した電磁波ノイズが電源線等を通じて他の機器に悪影響を与えたり、モータの回路から発生するノイズで制御回路に影響を与えたりする事を防ぐ為に、この電磁波ノイズを遮断するノイズフィルタを設けることが一般的である。
【0003】
上記ノイズフィルタの第1の従来構成例として、電源コードとモータコードの離間距離を長くして、ノイズの影響を少なくしつつ、電源回路の入力側の制御ユニット回路にノイズフィルタ回路を接続したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、前記第1の従来構成例以外の第2の従来構成例として、以下に記述するものがあり、図8は、その洗濯機外観図であり、図9は、同洗濯機の主要部分の分解斜視図である。
【0005】
図8において、外箱1の上方にトップカバー2を装着し、トップカバー2の後方には、給水の入水口32aを有する後部パネル28を、中央付近に開閉自在に蓋37を、前方には、各種操作キーや表示を有する前部パネル38を装着する。
【0006】
図9において、前記図8の前部パネル38下内方には、マイクロコンピュータやインバータ回路等を有した制御中枢部4aと、これにリードセン4bにより接続された、操作や表示を行う操作・表示部4cとで構成された制御装置4を配置する。
【0007】
また、後部パネル28の内方には、前記制御装置4から発せられるノイズを遮断するノイズフィルタ12を組み込んだフィルタケース16を、上方よりフィルタカバー21にてトップカバー2に形成したノイズフィルタ収納部26に係合装着している。
【0008】
ノイズフィルタ12の一端には、電源コンセント(図示せず)に差し込み接続されるプラグ29に接続する電源コード線19を、他端には、制御装置4に接続されるリード線30にそれぞれ接続している。この構成は、制御装置4とノイズフィルタ12とをトップカバー2内部に配置して、組み付けや配線の作業性を良くしようというものである(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−46786号公報
【特許文献2】特開平11−9889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記第1の従来構成例(特許文献1)では、ノイズフィルタが制御ユニットの回路の一部となっているため、ノイズフィルタを構成する素子同士の形状的な組み合わせによっては、サイズ等の制約から電磁波低減が十分に行えない場合があった。
【0010】
その対応として図8、図9に示す第2の従来構成例(特許文献2)のように、ノイズフィルタを制御ユニットから分離する方法をとった時、ノイズフィルタへの電気接続の必要が生じるため電源の極性間違いを含む誤配線防止を行う必要があるという課題や、ノイズフィルタから制御装置(制御ユニット)までの配線が長くなり性能が不安定となるという課題を有している。また、ノイズフィルタの設置場所が、給水の入水口も設置されている後部パネル内であり、水の通水構造がある近傍で万一水漏れ等の不具合時の発生の場合の絶縁性の低下という点での課題もあった。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、洗濯機の電磁波低減が制御ユニットの制約なしに可能とし、かつノイズフィルタへの誤配線防止を確実に行うと共に、ノイズフィルタの防水効果を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の洗濯機は、ノイズフィルタを制御ユニットから分離した別部材とし、かつ制御ユニットを収納するケース内に収納すると共に、ノイズフィルタの入出力端子への誤配線防止には、電源の入力側と制御ユニット側の各々の端子を、お互いに接続不可能な別形状の構成としたものである。
【0013】
これによって、ノイズフィルタは制御ユニットの制約を受けなく、単独の最適電磁波遮蔽効果を求めることが出来ると共に、ノイズフィルタの防水も制御ユニットの収納ケースで一体的に出来るためコンパクト化を図る事が出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明の洗濯機は、ノイズフィルタが防水効果を持って最適電磁波遮蔽効果を求め得る事が可能で、かつ誤配線を防ぎ得る構成の洗濯機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
第1の発明は、モータ等負荷装置の運転を制御する制御ユニットと、前記制御ユニットの電源入力部と、前記電源入力部に付加するノイズフィルタと、前記制御ユニットを収納するケースとを備え、前記ノイズフィルタは前記制御ユニットと分離した別部材とし、かつ前記ケース内に前記制御ユニットと共に収納した事により、ノイズフィルタの最適電磁波遮蔽効果を制御ユニットの制約なしに追求可能であり、かつ制御ユニットのケースで防水する事が出来る安全で電磁波遮蔽効果を高めた洗濯機を提供できる。
【0016】
第2の発明は、特に、第1の発明の制御ユニットを収納するケースは、フタを有し、前記フタを閉じる事により前記ケースおよび前記フタに形成したリブにより、前記ノイズフィルタが保持される構成とした事により、簡単な構成でノイズフィルタが保持固定されるため生産性の高い洗濯機を提供できる。
【0017】
第3の発明は、特に、第1〜2のいずれか1つの発明の制御ユニットを収納するケースは、制御ユニットとノイズフィルタとの間に、絶縁壁を有する事により、絶縁距離が増えるので、双方の絶縁性が向上するため安全性を高めた洗濯機を提供できる。
【0018】
第4の発明は、特に、第3の発明の絶縁壁は、壁面内部に金属板を配し、電磁波遮蔽壁とした事により、ノイズフィルタへの制御ユニットからの電磁波の影響を無くした洗濯機を提供できる。
【0019】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明のノイズフィルタは、電源の入力側と制御ユニット側に各々の端子を有し、前記各々の側の端子形状をお互いに接続不可能な別形状とした事により、前記各々の端子間への誤挿入防止が可能な洗濯機を提供できる。
【0020】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明のノイズフィルタは、電源の入力側の端子近傍に、入力電源の極性表示を表示した事により、入力電源の極性誤挿入の防止の可能な洗濯機を提供できる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における洗濯機の縦断面図であり、図2は、同洗濯機の回路概念図、図3は、同洗濯機のノイズフィルタの外観図、図4は、同洗濯機の制御ユニット部分の断面図、図5は、同洗濯機の制御ユニット部分の分解矢視図、図6は、同洗濯機の制御ユニット部分の外観図を示すものである。
【0023】
図1において、洗濯機の外箱40の内部には、周囲に多数の小孔41を有した回転ドラム42を回転自在に支持した水槽43をサスペンション44にて防振支持する。
【0024】
回転ドラム42は、その外底部で回転軸45を固着し、水槽43の外底部に固着したモータ46に連接する。前記モータ46のインバータ運転制御等は、外箱40の底部に配した制御ユニット47にておこない、洗濯機運転に関する操作や表示を行う外箱40の上方に配した表示入力装置48とは信号線49にて接続される。
【0025】
制御ユニット47は、ケース60内部にノイズフィルタ53と共に収納するとともに、先端部にプラグ50を有する電源コード51に接続線52にて接続され、またモータ46等の負荷装置とは、負荷ケーブル54にて接続される。
【0026】
図2の回路概念図において、ノイズフィルタ53の入力側は、100V、あるいは200Vのような家庭に配電された電源から、プラグ50および電源コード51に接続された接続線52および52bより、端子56aおよび56bを介して入力される。
【0027】
ノイズフィルタ53は、制御ユニット47とは独立した別部材として構成し、ノイズフィルタ53からの出力側は、制御側端子57を介して出力線55が制御ユニット47の電源入力部67に配線され、ノイズフィルタ53の電源側は、前記接続線52を介して電源コード51、プラグ50から電源に接続される。
【0028】
上記のような回路にて、インバータ制御回路等を有する制御ユニット47から発した電磁波ノイズは、ノイズフィルタ53にて遮断されプラグ50等から外部の電源線等を通じて他の機器に悪影響を与えることはない。またその効果を高める為には、制御ユニット47と、ノイズフィルタ53を接続する出力線55の長さが短い事が求められる。これは出力線が長いと、アンテナ効果によりノイズフィルタ53により遮断される前に、空中に発信することがあるためである。
【0029】
図3の外観図において、ノイズフィルタ53は、円柱状ケース内に電子部材および回路を収納した構成としている。
【0030】
ノイズフィルタ53の入力側の電源側に接続する端子のうち、電源極性のライン側を電源側端子56aとし、ニュートラル側を電源側端子56bとし、各々に電源極性の、ラインを意味する「L」の極性表示56cと、ニュートラルを意味する「N」の極性表示56dとを、ノイズフィルタ上のそれぞれの端子近傍に表示している。
【0031】
前記端子56a、および56bは、組み立て作業やサービス作業性を向上する為、抜き差し可能な端子で樹脂ハウジングの付いたファストン端子で1極タイプである。一方、出力側の制御側端子57は、樹脂ハウジング付きのファストン端子で2極のタイプである。
【0032】
この2極の端子間ピッチはこの端子固有で、他の端子側への挿入は出来ない様に設定しているので、入力側と出力側を間違えて接続する事は不可能な構成となる。
【0033】
ノイズフィルタ53から出ているリード線58はアース線であり、ノイズフィルタ53の内部のアースインダクタ(図示せず)を介して接地線からのノイズ侵入を防止する。
【0034】
図4の制御ユニット部分の断面図において、ノイズフィルタ53と制御ユニット47の、ケース60およびフタ61への収納状態を説明する。
【0035】
ノイズフィルタ53は、制御ユニット47の基板47aから分離した別部材とし、単独部材としてケース60内に収納する構成とし、ノイズフィルタ53の下方は、ケース60に支持リブ62を設けて載置せしめ、上方に構成したフタ61には押さえリブ63を設けて上方から保持される。
【0036】
ケース60およびフタ61は、絶縁性を有するプラスチック材等で構成し、フタ61は、内部の制御ユニット47に載置した電装部材より発生する熱を放散する窓64を形成し、かつ小ねじ65にてケース60に形成したボス66に締結して、ケース60と固定する。
【0037】
図5の制御ユニット部分の分解矢視図において、ノイズフィルタ53は、制御ユニット47の基板47aとあい隣り合うように配置され、出力線55は、短い距離でノイズフィルタ53の近傍の電源入力部67にて制御ユニット47に接続される。
【0038】
ケース60に形成した開口部68からノイズフィルタ53の接続線52を引き出し、図2で説明した電源コード51、プラグ50に接続する。また、制御ユニット47からモータ46等の負荷装置への負荷ケーブル54は、ケース60に形成した案内溝69より引き出される。ケース60に一体形成した取付ヒンジ70は、洗濯機の外箱40の底部に取り付ける為のものである。
【0039】
図6の制御ユニット外観図において、ノイズフィルタ53は、制御ユニット47とともに、絶縁性を有する材質のケース60およびフタ61で構成される箱状のケース内部に収納され、外部と接続の必要な例えば接続線52や、負荷ケーブル54を引き出している。
【0040】
以上のように構成された洗濯機について、以下その動作、作用を説明する。
【0041】
電源コード51から供給された電力は、入力側はライン側電源側端子56aおよび、ニュートラル側の電源側端子56bからノイズフィルタ53に接続され、出力側は制御側端子57の接続を通し出力線55にて制御ユニット47に接続通電され、表示入力装置48からの信号に従ってモータ46の負荷装置を駆動する。
【0042】
ノイズフィルタ53は、制御ユニット47と共にケース60およびフタ61内部に収められているが、制御ユニット47とは分離しているため、制御ユニット47の基板上に配置する形態をとる必要が無く、雑音防止の機能に特化した雑音防止部品の形状、部品の仕様、配置が可能である。
【0043】
さらにケース60、フタ61により絶縁および防水されており、また制御ユニット47と同一ケース内に隣接して設置した為、出力線55の長さが短い事より安定した性能を有すると共に、双方の接続が容易であり、接続部もフタ61で覆われているため安全であり、コンパクト化を図る事も可能である。
【0044】
また、ノイズフィルタ53の取付は、ケース60からの支持リブ62およびフタ61からの押さえリブ63で固定するようにしている為、組み立ても簡単な形態としている。
【0045】
また、ノイズフィルタ53は入力側と出力側の端子を持ち、間違いのない接続が求められるが、ノイズフィルタ53の入力側には1極の端子を、出力側には2極の端子を、それぞれ使用しているので、接続入力側と出力側の誤配線は生じない構成となっている。また、入力側の電源側端子の電源側端子には、極性表示「L」56cおよび、「N」56dを行って視認しやすくし、組立作業や、サービス時の分解後の再組み立て時の誤配線防止を図っている。
【0046】
以上のように、本実施の形態においては、ノイズフィルタを制御ユニットから分離し、かつ制御ユニットを収納するケース内に一体的に収納した構成としたことにより、従来構成の制御ユニットに組み込みの雑音防止機能と比べ雑音防止性能の良いものとする事が出来、洗濯機に必要な防水性を満足しつつ、コンパクト化も図れ、かつ誤配線接続も防止する事が出来る。
【0047】
(実施の形態2)
図7は、本発明の第2の実施の形態における洗濯機の制御ユニット部分の断面図を示すものである。
【0048】
ノイズフィルタ53と制御ユニット47との間には、ケース71から絶縁壁72を、その先端72aが円筒形状のノイズフィルタ53の中心線高さHの位置より上方に位置するように形成した構成としている。
【0049】
さらに、ケース71からの絶縁壁72の壁面内部に金属板73を配する。前記金属板73の構成方法は、例えば樹脂成型部材にてなるケース71にインサート成型をすること、あるいは、ケース71に溝を予め形成しておき、この溝に金属板73を挿入する事により構成している。
【0050】
以上のように構成された洗濯機について、以下その動作、作用を説明する。
【0051】
ノイズフィルタ53と制御ユニット47とは、絶縁壁72により沿面距離が十分確保されるので、万一ケースとフタ内部に湿気等が侵入した場合でも、ノイズフィルタ53と制御ユニット47の間の絶縁性能を確保する事が出来る。
【0052】
また、制御ユニット47から発生した電磁波によるノイズフィルタ53への影響を、金属板73にて遮蔽し低減するものである。ノイズフィルタ53と制御ユニット47に対し金属部が外部に露出していないため、絶縁性能を損なう事のない構成で電磁波低減を図れるので、全体のコンパクト化にも寄与する構成である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明にかかる利用は、電磁波発生の抑制が必要で耐水性の必要な機器には洗濯機以外でも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1における洗濯機の縦断面図
【図2】同洗濯機の回路概念図
【図3】同洗濯機のノイズフィルタの外観図
【図4】同洗濯機の制御ユニット部分の断面図
【図5】同洗濯機の制御ユニット部分の分解矢視図
【図6】同洗濯機の制御ユニット部分の外観図
【図7】本発明の実施の形態2における洗濯機の制御ユニット部分の断面図
【図8】従来例の洗濯機外観図
【図9】同従来例の主要部分の分解斜視図
【符号の説明】
【0055】
46 モータ
47 制御ユニット
53 ノイズフィルタ
56b 電源側端子
56c 極性表示
57 制御側端子
60 ケース
61 フタ
62 支持リブ
63 押さえリブ
67 電源入力部
72 絶縁壁
73 金属板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ等負荷装置の運転を制御する制御ユニットと、前記制御ユニットの電源入力部と、前記電源入力部に付加するノイズフィルタと、前記制御ユニットを収納するケースとを備え、前記ノイズフィルタは前記制御ユニットと分離した別部材とし、かつ前記ケース内に前記制御ユニットと共に収納した洗濯機。
【請求項2】
制御ユニットを収納するケースは、フタを有し、前記フタを閉じる事により前記ケースおよび前記フタに形成したリブにより、前記ノイズフィルタが保持される構成の請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
制御ユニットを収納するケースは、制御ユニットとノイズフィルタとの間に、絶縁壁を有した構成の請求項1〜2のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項4】
絶縁壁は、壁面内部に金属板を配して電磁波遮蔽壁とした構成の請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
ノイズフィルタは、電源の入力側と制御ユニット側に各々の端子を有し、前記各々の端子はお互いに接続不可能な別形状とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項6】
ノイズフィルタは、電源の入力側の端子近傍に、入力電源の極性表示を表示した構成の請求項1〜5のいずれか1項に記載の洗濯機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate