説明

洗濯機

【課題】電装部品を上部枠体の後部空間部に収容し、後方パネル部材の上面を後方パネル部材カバーで覆うように構成したもので、外部からの防水性が高い安全性を実現する。
【解決手段】上部枠体24の後部空間部37の後方パネル部材36の後方パネル部材後方爪部40および後方パネル部材カバー38の後方パネル部材カバー後方爪部41はどちらも金型のスライド構造を利用した爪嵌合にて係止し、前端部は、後方パネル部材36の上面に後方パネル部材凹部開口部42を設けるとともに、その後方パネル部材凹部開口部42の金型の合わせ面を利用して後方パネル部材前方爪部43を形成し、後方パネル部材カバー38は後方パネル部材前方爪部43に対応するように後方パネル部材カバー前方爪部44を設け、後方パネル部材凹部開口部42は、後部空間部37の外部に導通するように構成したことにより、電装部品に水がかかることがなくなるため、確実に防水できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機本体の上部に設けた上部枠体に制御装置及び電装部品を内包した洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の洗濯機は、図5、6に示すような構成が一般的であった(例えば、特許文献1、2参照)。以下その構成について説明する。
【0003】
図5は、特許文献1に記載された洗濯機を示すものである。筐体1の上部に上部枠体2を装着した状態で、上部枠体2の前部には、制御用ユニット3が装着された状態の操作パネル4が装着される。また、上部枠体2の後部には、給水弁5、安全スイッチ6等の電装部品が装着された状態で上方より後方パネル部材7が装着されている。
【0004】
図6は、特許文献2に記載された洗濯機を示すものである。図6(a)は、上部枠体8の上面図、図6(b)は、上部枠体8の側面図である。上部枠体8に開閉自在に設けられた蓋体9は、上部枠体8の上面より突出して形成されており、また、略円形状に形成されている。ただし、蓋体9は、その後端部が一部切り欠かれており、その部分が回転の軸として上部枠体8に回転支持されている。また、蓋体9の後方部の上部枠体8を形成する後方パネル部材10の上面は、蓋体9の円形状の連続体として、略円弧状に突出した形状をしている。
【0005】
ここで、この後方パネル部材10の上面の突出した部分のデザイン性を向上させるため後方パネル部材カバー11を配設する方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−123492号公報
【特許文献2】特開2004−337203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の構成では、後方パネル部材10と後方パネル部材カバー11を構成するに当たり、図7に示すように、爪12にて係止して固定する構造が考えられるが、爪12に対応する後方パネル部材10の底面に孔13を構成する必要があり、そのため、その孔13から進入した水が、内部に装着された給水弁5、安全スイッチ6等の電装部品に付着してしまう恐れがあった。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、デザイン性向上のため後方パネル部材と後方パネルカバーと2部品以上の構成をとる場合において、後方パネル部材内に水が浸入するのを防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために、後方パネル部材の上面の一部を後方パネル部材カバーで覆うように構成し、後方パネル部材カバー及び後方パネル部材の上面の後方部はどちらも金型のスライド構造を利用した爪嵌合にて係止し、前端部は、後方パネル部材の上面に開口部を設けるとともに、その開口部の金型の合わせ面を利用して爪を形成し、後方パネル部材カバーは爪に対応するように爪を設け、それらの爪が係合することで、後方パ
ネル部材カバーが後方パネル部材に固定され、後方パネル部材の上面に設けた開口部は、後部空間部の外部に導通するように構成する。
【0010】
これにより、後方パネル部材と後方パネルカバーと2部品以上の構成とすることで、デザイン性の向上を図るとともに、電装部品に対する防水性を向上させ、安全性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の洗濯機は、上部枠体後部に電装部品等を内包する洗濯機において、後方パネル部材と後方パネルカバーと2部品以上の構成とすることで、デザイン性の向上を図るとともに、電装部品に対する防水性を向上させ、安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における洗濯機の断面図
【図2】同洗濯機の上部を構成する上部枠体後方の構成を示した平面図
【図3】同洗濯機の上部を構成する上部枠体後方の構成を示した斜視図
【図4】同洗濯機の上部を構成する上部枠体後方の構成を示した断面図
【図5】従来の洗濯機の断面図
【図6】同別の洗濯機の断面図
【図7】同さらに別の洗濯機の断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、洗濯機本体を構成する筐体と、前記筐体の上部に設けられ略中央部に衣類投入口を有する上部枠体と、前記衣類投入口を開閉自在に覆う蓋体と、前記上部枠体の後部に設けられ電装部品を収容する後部空間部と、前記後部空間部の上面を覆う後方パネル部材とを備え、前記後方パネル部材の上面の一部を後方パネル部材カバーで覆うように構成し、前記後方パネル部材カバー及び前記後方パネル部材の上面の後方部はどちらも金型のスライド構造を利用した爪嵌合にて係止し、前端部は、前記後方パネル部材の上面に開口部を設けるとともに、その開口部の金型の合わせ面を利用して爪を形成し、前記後方パネル部材カバーは前記爪に対応するように爪を設け、それらの爪が係合することで、前記後方パネル部材カバーが前記後方パネル部材に固定され、前記後方パネル部材の上面に設けた開口部は、前記後部空間部の外部に導通するように構成した洗濯機とすることにより、後方パネル部材と後方パネルカバーと2部品以上の構成とすることで、後方パネルカバーの色、形状等を種々なデザインとすることができるので、デザイン性の向上を図ることができるとともに、後方パネル部材と後方パネルカバーの間から入り込んだ水が、電装部品を収容する後部空間部内に浸入するのを防止することができるので、防水性を向上させ、安全性を向上させることができる。
【0014】
第2の発明は、特に第1の発明の後方パネル部材の上面に設けた開口部の裏面側には、下方に向けて第1のリブを形成し、上部枠体には、前記第1のリブを囲むように第2のリブを形成し、前記第2のリブに囲まれることで形成された上部枠体導水経路は、後部空間部を貫通して前記後部空間部の下方に連通するように構成した洗濯機とすることで、後方パネル部材と後方パネルカバーの間から入り込んだ水を、確実に、電装部品を収容する後部空間部内に浸入することなく、後部空間部の下方に導くことができるので、防水性をさらに向上させ、安全性を向上させることができる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来例と同じ構成のものは同一符号を付して説明を省略する。また、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における洗濯機の断面図、図2は、同洗濯機の上部を構成する上部枠体後方の構成を示した平面図、図3は、同洗濯機の上部を構成する上部枠体後方の構成を示した斜視図、図4は、同洗濯機の上部を構成する上部枠体後方の構成を示した断面図である。
【0017】
図1において、洗濯機本体21は、洗濯物を収容する洗濯兼脱水槽22を回転自在に内包した水槽23を弾性支持し、洗濯機本体21の上部には、上部枠体24を装着し、上部枠体24の略中央部に衣類投入口25を形成している。衣類投入口25は、前蓋部26aと後蓋部26bとで構成された蓋26で覆われており、前蓋部26aには把手部27が設けられ、把手部27にて蓋部26の開閉を操作するように構成している。
【0018】
また、上部枠体24の前部には、表示される内容が印刷され、裏面に接着剤を塗布した操作カバー28を上部枠体24の前部に貼付し、上部枠体24の前部の内部にはスイッチ等を有する操作兼制御基板29が難燃樹脂製の基板収納部30内に収容されポッティング材等にて封止されており、この基板収納部30が、ボタン部(図示せず)等を配設した上部枠体24の前面の裏面にネジ止め、爪嵌合等にて固定されている。
【0019】
また、図2および図3に示すように、上部枠体24の後部には、洗濯兼脱水槽22に水を供給する注水口部材31、注水口部材31への水の供給を制御する電磁給水弁32、脱水工程時等において、水槽23の異常振動の発生を検知する異常振動検知スイッチ33、水槽23内の水位を測定するための水位センサー34、以上の電装部品をつなぐリード線35を内蔵し、図1に示す後方パネル部材36で覆っている。これにより、内部に上記電装部品およびリード線25等を収容する後部空間部37を形成している。
【0020】
また、図3および図4に示すように、上部枠体24の後方の後部空間部37の上部を構成する後方パネル部材36の上面には、デザイン性を向上するために、後方パネル部材カバー38が上方より取り付けられている。
【0021】
後方パネル部材36は、前方中央部に後方パネル部材カバー38が収容される後方パネル部材凹部39を設けており、この後方パネル部材凹部39の後部には、後方パネル部材後方爪部40が、前方に向けて爪が突出するように設けている。この後方パネル部材後方爪部40は、金型の前方へのスライド構成にて形成しているので、底面に孔を設ける必要がない。そして、後方パネル部材カバー38には、その裏面に、後方パネル部材後方爪部40に対応するように、後方へ向けて爪が突出する後方パネル部材カバー後方爪部41が形成されており、その爪は金型の後方へのスライド構成にて形成されている。
【0022】
一方、後方パネル部材凹部39の前部には、略四角状に開口した後方パネル部材凹部開口部42が形成されている。この後方パネル部材凹部開口部42には、上下の金型の合わせ面を利用して、後方パネル部材凹部開口部42の中央側に突出するように、後方パネル部材前方爪部43が形成されている。この構成は、金型費用の抑制、またはスライド構造の出来ない場所に爪を構成する必要がある場合に有効である金型の喰切構造にて形成している。そして、後方パネル部材カバー38には、その裏面に、後方パネル部材凹部開口部42に入り込み、後方パネル部材前方爪部43に対応するように、後方パネル部材凹部開口部42の外方へ向けて爪が突出する後方パネル部材カバー前方爪部44が形成されており、その爪も金型のスライド構成にて形成されている。
【0023】
後方パネル部材凹部開口部42の裏面側には、後方パネル部材導水リブ45を下方に向けて形成している。そして、上部枠体24には、後方パネル部材導水リブ45を囲むように上部枠体導水リブ46を形成し、この上部枠体導水リブ46に囲まれた上部枠体導水経
路47は、後部空間部37を貫通するように構成している。
【0024】
そして、後方パネル部材カバー38を、後方パネル部材カバー後方爪部41を後方パネル部材後方爪部40に係止し、後方パネル部材カバー前方爪部44を後方パネル部材前方爪部43に係止することで、後方パネル部材36に固定する。その後、後方パネル部材カバー38を取り付けた後方パネル部材36を上部枠体24の後方の後部空間部37の上部にネジ止め、爪嵌合等にて固定する。この構成により、後方パネル部材36と後方パネル部材カバー38の隙間より浸入した水は、後方パネル部材凹部開口部42より上部枠体導水経路47を介して、上部枠体24の後部空間部37の内部に水が浸入することなく、外部に確実に排出される。上部枠体導水経路47を通った水は、水槽23の上方開口部を覆う水槽カバー48上に落下し、その後、水槽カバー48に設けた貫通孔(図示せず)を通って水槽23内に流される。なお、上部枠体導水経路47を通った水が、直接、洗濯兼脱水槽22内に落下するようにしても良い。
【0025】
なお、上記実施の形態では、上部枠体の後部の空間は、上方から後方パネル部材にて覆うことで形成する構成としているが、上方を上部枠体で構成し、その上部枠体の下方より、電装部品を取り付けたカバー体で覆うようにしても、同等の効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上のように、本発明にかかる洗濯機は、電装部品を上部枠体後部に内包し、後方パネル部材、後方パネル部材カバーにて覆うように構成する洗濯機において、防水の対策を行っており、製品の安全性を更に向上する事が可能であり、洗濯機等として有用である。
【符号の説明】
【0027】
24 上部枠体
36 後方パネル部材
37 後部空間部
38 後方パネル部材カバー
40 後方パネル部材後方爪部
41 後方パネル部材カバー後方爪部
42 後方パネル部材凹部開口部
43 後方パネル部材前方爪部
44 後方パネル部材カバー前方爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機本体を構成する筐体と、前記筐体の上部に設けられ略中央部に衣類投入口を有する上部枠体と、前記衣類投入口を開閉自在に覆う蓋体と、前記上部枠体の後部に設けられ電装部品を収容する後部空間部と、前記後部空間部の上面を覆う後方パネル部材とを備え、前記後方パネル部材の上面の一部を後方パネル部材カバーで覆うように構成し、前記後方パネル部材カバー及び前記後方パネル部材の上面の後方部はどちらも金型のスライド構造を利用した爪嵌合にて係止し、前端部は、前記後方パネル部材の上面に開口部を設けるとともに、その開口部の金型の合わせ面を利用して爪を形成し、前記後方パネル部材カバーは前記爪に対応するように爪を設け、それらの爪が係合することで、前記後方パネル部材カバーが前記後方パネル部材に固定され、前記後方パネル部材の上面に設けた開口部は、前記後部空間部の外部に導通するように構成した洗濯機。
【請求項2】
後方パネル部材の上面に設けた開口部の裏面側には、下方に向けて第1のリブを形成し、上部枠体には、前記第1のリブを囲むように第2のリブを形成し、前記第2のリブに囲まれることで形成された上部枠体導水経路は、後部空間部を貫通して前記後部空間部の下方に連通するように構成した請求項1記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−240293(P2010−240293A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94803(P2009−94803)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】