説明

洗濯機

【課題】注水ケースのケース本体にあって外部水源から給水手段を介して供給される水を受ける給水受け室内の水が凍結したとしても、ケース本体などが破損することを極力防止することができ、また、仮に破損したとしても、その水がケース本体から外部へ漏れ出ることを防止する。
【解決手段】第1給水受け室10および第2給水受け室11のケース本体8の内部に臨む壁に、薄肉部20、21、30、31を形成する。仮に、第1給水受け室10、第2給水受け室11内に残った水が凍結した場合、前記薄肉部20、21、30、31が膨らむように変形することで、凍結時の氷の膨張圧力を吸収することが可能となる。また、仮に薄肉部20、21、30、31が破損したとしても、給水受け室10、11から漏れ出る水はケース本体8内である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水手段による外部水源からの水を水槽へ供給する給水経路の途中に注水ケースを備えた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には次のような構成のものが開示されている。この特許文献1のものでは、注水ケースは洗剤投入手段の一部を構成している。注水ケースのケース本体は上面が開口した矩形容器状をなしていて、上部にはケース蓋が装着される。ケース本体には、給水手段である給水弁の吐出口が接続される接続口が設けられているとともに、その接続口に連通した通路が設けられている。給水弁は、外部水源である水道の蛇口にホースを介して接続される。ケース本体の外側面には、水路部材が、例えば振動溶着により固着される。水路部材には、前記通路と連通する水路が形成される。ケース本体の側壁には、前記水路と連通する開口部が形成されている。ケース本体内には、洗剤や柔軟仕上げ剤などを収容する洗剤ケースが収容される。
【0003】
ここで、水道から供給された水が給水弁の吐出口から吐出されると、その水は、前記接続口、通路、水路を通り、前記開口部から、ケース本体内の洗剤ケース内に供給される。その水は、洗剤ケース内に収容された洗剤などとともに、ケース本体のケース排水口から出て水槽内へ供給される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−137945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に示したものにおいては、給水弁の吐出口からの水の吐出が停止した状態では、その吐出口から供給された水を受ける部分である、前記接続口、通路、水路(給水受け室)に水が残るという事情がある。このため、例えば寒冷地において、それら接続口、通路、水路に水が残った状態で、その水が凍結すると、凍結時の氷の膨張圧力が強度の弱い部分に集中し、合成樹脂製のケース本体や水路部材、或いはそれらの溶着面が割れたり裂けたりして破損するおそれがある。このように破損すると、氷が溶けた際や給水弁の吐出口から水が吐出された際に、その水が、破損部分から注水ケースの外部に漏れ出て、洗濯機の設置面などを濡らしてしまうおそれがある。従来では、注水ケースに対して上述した凍結時の破損等を想定した対策は何ら施されていなかった。
【0006】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、注水ケースのケース本体にあって外部水源から給水手段を介して供給される水を受ける給水受け室内の水が凍結したとしても、ケース本体などが破損することを極力防止することができ、また、仮に破損したとしても、その水がケース本体から外部へ漏れ出ることを防止できる洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明は、給水手段による外部水源からの水を水槽へ供給する給水経路の途中に注水ケースを備えた洗濯機において、前記注水ケースは、ケース本体と、このケース本体に設けられ、前記給水手段から供給される水を受け入れて上方へ案内する給水受け室と、前記ケース本体の上部に装着されたケースカバーと、このケースカバーに前記給水受け室の上部に連通するように設けられ、前記給水受け室から上方へ案内された水を前記ケース本体の上方へ流した後、前記ケース本体内へ導く水案内路と、前記ケース本体内へ導かれた水を前記水槽へ排出するケース排水口とを備え、前記給水受け室を形成する壁のうち外面が前記ケース本体内に臨む壁に、他の壁より薄い薄肉部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記構成において、仮に給水受け室内に残った水が凍結した場合、給水受け室の壁に設けられた薄肉部が膨らむように変形することで、凍結時の氷の膨張圧力を吸収することが可能となり、ケース本体やケースカバー、或いはそれらの固着面が破損することを極力防止できる。また、仮に薄肉部が変形して破損したとしても、給水受け室から漏れ出る水はケース本体内であり、その水はケース排水口から水槽へ案内されるから、水がケース本体から外部へ漏れ出ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、図5中X2−X2線に沿う拡大縦断背面図
【図2】外箱の上面板を外した状態で示す洗濯機の外観斜視図
【図3】注水ケースの分解斜視図
【図4】ケース本体の外観斜視図
【図5】ケース本体の平面図
【図6】図5中X1−X1線に沿う拡大縦断側面図
【図7】注水ケースの平面図
【図8】図7中X3−X3線に沿う縦断側面図
【図9】図7中X4−X4線に沿う縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をドラム式洗濯機に適用した一実施形態について図面を参照して説明する。図2は、外箱1の上面板を取り除いた状態での洗濯機全体の外観斜視図である。この図2において、外箱1は全体の筐体として矩形箱状をなしていて、底部に台板2が設けられている。外箱1の内部には水槽3(図2に点線で示す)が配設されているとともに、その水槽3内に、洗濯槽と脱水槽を兼ねるドラム(図示せず)が回転可能に収納されている。水槽3および前記ドラムは、互いに同心の有底円筒状をなし、その中心軸線を、外箱1の前後方向に指向させた横軸状で、かつ水平に対して所定角度傾けた前上がりの傾斜状態となるように配置されている。
【0011】
水槽3は、貯水と排水とが可能に構成され、複数のダンパ(図示せず)を介して台板2上に防振支持されている。前記ドラムは、通水および通風が可能な多数の孔を有していて、内部に洗濯物が投入される。このドラムは、駆動源となる図示しない洗濯機用モータにより回転されるようになっている。外箱1の正面を形成する前面板1aは、上部側が後方へやや傾斜した形状をなしている。その前面板1aの中央部には、前記ドラムに対して洗濯物を出し入れするための洗濯物出入口(図示せず)が形成されているとともに、その洗濯物出入口を開閉するドア4が横方向へ回動可能に取り付けられている。
【0012】
前面板1aの上部にあって、右側には操作パネル5が設けられているとともに、この操作パネル5と左右に連なるように左端部には後述する注水ケース6の前面部が配置されている。外箱1の上面後部左側には、図示しない水道(外部水源)の蛇口に接続される第1ホース接続口7a、および風呂の残り水を吸入するために用いられる図示しないホースが接続される第2ホース接続口7bが備えられている。
【0013】
図3は、注水ケース6の分解斜視図である。注水ケース6は、本実施形態では、主にケース本体8、ケースカバー9を備える。後述するように、ケースカバー9の内部には水案内路F1〜F4が形成されている。同じく後述するように、ケース本体8は、そのケース後側壁8bに第1給水受け室10および第2給水受け室11が形成されており、その下端部にはケース排水口12が形成されている。ケース排水口12には、図示しない給水ホースの一端部が接続され、この給水ホースの他端部は水槽3の接続口に接続される。
【0014】
図4はケース本体8の外観斜視図であり、図5はケース本体8の平面図である。図6は図5中X1−X1線に沿う拡大縦断側面図であり、図1は図5中X2−X2線に沿う拡大縦断背面図である。図7は後述する前カバー49を省略した洗剤ケース14を収納した注水ケース6の平面図であり、図8は図7中X3−X3線に沿う縦断側面図であり、図9は図7中X4−X4線に沿う縦断側面図である。
【0015】
図4に示すように、ケース本体8は、その前端および上面が開放された矩形容器状に形成されており、その前端上半部には正面視にて矩形状のケース前端開口部8eが形成され、その上面部にケース上面開口部8fが形成され、疎水性を有する合成樹脂材料(例えばポリプロピレンなど)からなる。
【0016】
図5に示すように、ケース本体8は、主にケース右側壁8a、ケース後側壁8b、ケース左側壁8c、ケース底壁8dより形成されており、その前端部には、後述する洗剤ケース14を注水ケース6内に収納する際に洗剤ケース14底面を支持する洗剤ケース案内台8gが一体形成されている。ケース底壁8dにはケース排水口12に連通する排水穴13が形成されており、ケース底壁8dは排水穴13に向かって下降傾斜しており、ケース本体8は全体として所謂漏斗形状をなしている。
【0017】
ケース本体8のケース後側壁8b内側の前方から正面視して右隅に、第1給水受け室10および第2給水受け室11がケース後側壁8bと一体に形成され、これら第1給水受け室10および第2給水受け室11は、その上面が開口した矩形容器形状をしている。
【0018】
第1給水受け室10は、ケース右側壁8a、正面壁15、仕切壁16、ケース後側壁8b、および底壁17(図1参照)により構成されている。正面壁15、仕切壁16、および底壁17は、第2給水受け室11と共用される部材である。前記ケース後側壁8bには、図4に示すように、第1給水受け室10に給水するための第1給水孔10aが形成されている。ケース後側壁8bの背部には、第1給水孔10aに連通し、後述する給水弁19の吐出口が接続する第1弁接続口10bが一体に形成されている。
【0019】
図1、図9に示すように、第1給水受け室10を形成する壁のうち、その正面壁15のケース本体8内を臨む壁部分には、他の壁(この場合、ケース右側壁8a、ケース後側壁8b、仕切壁16)より薄い薄肉部20が形成されている。正面壁15の薄肉部20は正面視して略四方形に形成されており、その四隅の角部(薄肉部20とこの薄肉部20の周囲の壁との境界部)には、丸み部22が形成されている。
【0020】
図1、図5、図9に示すように、第1給水受け室10を形成する壁のうち、その底壁17のケース本体8内を臨む壁部分には、他の壁(例えば、ケース右側壁8a、ケース後側壁8b、仕切壁16)より薄い薄肉部21が形成されている。底壁17の薄肉部21は、図5に示すように平面視して略四方形(図1では仕切壁16からケース右側壁8aまでの間)に形成されており、その仕切壁16側の両隅に丸み部26が形成されている。
【0021】
第2給水受け室11は、右側壁18、ケース後側壁8b、仕切壁16、正面壁15、および底壁17(図1参照)により構成されている。前記ケース後側壁8bには、図4に示すように、第2給水受け室11に給水するための第2給水孔11aが形成されている。ケース後側壁8bの背部には、第2給水孔11aに連通し、後述する給水弁19の吐出口が接続するための第2弁接続口11bが一体に形成されている。
【0022】
図1、図6、図8に示すように、第2給水受け室11を形成する壁のうち、その正面壁15のケース本体8内を臨む壁部分には、他の壁(この場合、ケース後側壁8b、仕切壁16、右側壁18)より薄い薄肉部30が形成されている。正面壁15の薄肉部30は正面視して略四方形に形成されており、その四隅の角部(薄肉部30とこの薄肉部30の周囲の壁との境界部)に、丸み部32が形成されている。
【0023】
図1、図5、図6、図8に示すように、第2給水受け室11を形成する壁のうち、その底壁17のケース本体8内を臨む壁部分には、他の壁(例えば、ケース後側壁8b、仕切壁16、右側壁18)より薄い薄肉部31が形成されている。底壁17の薄肉部31は、薄肉部30と同様に、図5に示すように、平面視して略四方形に形成されており、その四隅の角部(薄肉部31とこの薄肉部31の周囲の壁との境界部)に、丸み部36が形成されている。
ケース本体8の内側で、第1給水受け室10および第2給水受け室11の下側には、隙間40(図1参照)を介してケース後側壁8bが突出して形成された段部41が設けられている。
【0024】
次に、主に図3を用いてケースカバー9、洗剤ケース14について説明する。ケースカバー9は、上カバー43と下カバー44とからなり、上カバー43と下カバー44は、疎水性を有する合成樹脂材料(例えばポリプロピレンなど)からなる。下カバー44は、ケース本体8のケース上面開口部8fを塞ぐように振動溶着により固着される。そして、下カバー44の上面に上カバー43が振動溶着により固着され、ケース本体8にケースカバー9が固着され、注水ケース6が形成される。なお、注水ケース6は、外箱1内の上側左隅部に設置される。
【0025】
洗剤ケース14は、ケース前端開口部8eから挿入され注水ケース6に対して前後に出し入れすることができる。図2では、洗剤ケース14は、前面板1aより前方に引き出された状態を示している。洗剤ケース14は、疎水性を有する合成樹脂材料(例えばポリプロピレンなど)からなり、外箱1内の上側左隅部に沿って前後方向に延びる矩形箱形容器状をなしている。洗剤ケース14は、その内部を左右に仕切る仕切壁14aとその内部を前後に仕切る仕切壁14bとにより区画形成された、第1貯留部45、第2貯留部46、および第3貯留部47を備える。
【0026】
詳しくは後述するように、例えば、第1貯留部45には液体洗濯用洗剤もしくは液体漂白剤(共に液状剤)が貯留され、第2貯留部46には柔軟仕上げ剤用容器48が収納される。この柔軟仕上げ剤用容器48には、予め柔軟仕上げ剤を貯留しておき、第2貯留部46に柔軟仕上げ剤用容器48が収納されることにより、第2貯留部46に柔軟仕上げ剤が貯留される。また、例えば第3貯留部47には、洗濯用粉末洗剤或いは粉末漂白剤(共に粉末状剤)を収容して貯留する。
【0027】
洗剤ケース14の後壁14cには、第3貯留部47に貯留された粉末状剤の排出部としての図示しない柵状部が設けられている。また、図2、図3に示すように、洗剤ケース14の前面部には、この洗剤ケース14が上述した外箱1に収納された状態で、外箱1の前面板1aと表面が略面一になる前カバー49が取り付けられている。前カバー49には、図示するように塞がれた取手部50が設けられており、この取手部50は、洗剤ケース14を引き出すときに使用者の手で押し開かれて手指が掛けられるようになっている。
洗剤ケース14は、注水ケース6に収納されている状態ではケースカバー9が洗剤ケース14の上面開口を覆い、注水ケース6より引き出されている状態では前記上面開口が外箱1外部に開口され水平状態に保たれるように構成されている。
【0028】
続いて、給水手段たる給水弁19、風呂水ポンプ51、について主に図7、図8、図9を参照して説明する。
図7に示すように、給水弁19は、複数(例えば2つ)の弁機能を一体化したもので、前記第1ホース接続口7aを共通の入口とし、第1吐出口19aおよび第2吐出口19bを備える。給水弁19は、後述するように注水ケース6に給水するために前記ケース本体8のケース後側壁8bの背面部に設置される。
【0029】
図9に示すように、ケース本体8の第1弁接続口10bの開口内周部に、円形筒状の第1弁接続補助具10cの一端が液密状に嵌め込み接続され、第1弁接続補助具10cの他端開口内周部には第1吐出口19aが液密状に嵌め込み接続されている。第1吐出口19aから吐出された水は、第1弁接続補助具10cを介して第1給水孔10aから第1給水受け室10に供給される。
【0030】
図8に示すように、ケース本体8の第2弁接続口11bの開口内周部に、円形筒状の第2弁接続補助具11cの一端が液密状に嵌め込み接続され、第2弁接続補助具11cの他端開口内周部には第2吐出口19bが液密状に嵌め込み接続されている。第2吐出口19bから吐出された水は、第2弁接続補助具11cを介して第2給水孔11aから第2給水受け室11に供給される。
【0031】
上述のごとく、図7に示すように給水弁19は、ケース本体8の背部に接続固定され、外箱1内の上側後部に配設されている。給水弁19は、前記第1吐出口19aおよび第2吐出口19bの両方を閉じる状態と、このうちの一方のみの前記第1吐出口19aを開放する状態、若しくは前記第2吐出口19bを開放する状態とを選択できるようになっている。
【0032】
風呂水ポンプ51は、図7に示すように給水弁19に隣接されるとともにケース本体8の背部に設置され、外箱1内の上側後部に配設される。風呂水ポンプ51は、図示しない風呂の残り水を水道水に替えて洗濯の洗い運転時に水槽3に供給するために用いられる。風呂水ポンプ51の上面には第2ホース接続口7bが設けられており、風呂の残り水を吸い上げる図示しないホースが接続される。風呂水ポンプ51の前面には図示しない水吐出口が設けられ、この水吐出口に連結パイプ52の一端が連通接続されている。この連結パイプ52の他端には、ケースカバー9の上カバー43に形成された流入ダクト53の入水口54(図3参照)に接続される。
【0033】
ケースカバー9は、洗剤ケース14に対し上側からの注水が可能に構成されている。
図3に示すように、下カバー44には、洗剤ケース14の前記第1貯留部45と対向する位置に第1注水口55が形成され、前記第2貯留部46と対向する位置に第2注水口56が形成され、前記第3貯留部47と対向する位置に第3注水口57および第4注水口58が形成されている。これら注水口55〜58は、夫々複数個の小孔群から構成されている。例えば、本実施形態では、第1注水口55は10個、第2注水口56は3個、第3注水口57は34個、第4注水口58は6個の小孔から構成されている。
【0034】
下カバー44の給水弁19側の一端部には、第1給水受け室10と連通する第1流入口59が形成されるとともに、第2給水受け室11と連通する第2流入口60が形成されている。下カバー44上面には、第1流入口59から第3注水口57に連なる第1水案内路F1(図3中、矢印F1で示す)が、リブ61、62とリブ63、64との間に、つづら折れ状(蛇行状)に形成されているとともに、この第1水案内路F1の下流に繋がる第2水案内路F2(図3中、矢印F2で示す)が第1注水口55に連なるようにリブ65とリブ66との間およびリブ66とリブ67との間に往復路状に形成されている。さらに、下カバー44上面には、第2流入口60から第2注水口56に連なる第3水案内路F3(図3中、矢印F3で示す)が下カバー44外縁に沿うとともにリブ65とリブ68との間に形成されている。
【0035】
流入ダクト53の図示しない吐出口は、下カバー44の水受け部69と対向する位置に、上カバー43に形成されている。下カバー44の上面には、水受け部69から第4注水口58に連なるL字状の第4水案内路F4(図3中、矢印F4で示す)がリブ63により区画され形成される。
【0036】
上カバー43は、下カバー44を上側から覆う板状をなし、両カバー43、44が相互に結合した状態では、上カバー43の下面が、リブ61〜68の上縁に水密に接するようになっている。これにより、ケースカバー9は、各水案内路F1〜F4の間を水がリブ61〜68を越えて行き来することがないように構成されている。
【0037】
上述した構成のもと、図3に示すように、給水弁19は前記第1ホース接続口7aが外部水源たる水道の蛇口に接続された状態で、給水弁19の第1吐出口19aを開放し吐出された水は、前記第1給水受け室10により上方へ案内されケースカバー9の第1流入口59から第1水案内路F1に供給され、その第1水案内路F1を流れる水が第3注水口57から洗剤ケース14の第3貯留部47に注入される。そして、この注入された水は、第3貯留部47に前記粉末状剤が貯留されている場合は、これら粉末状剤を溶解して、これら粉末状剤とともに洗剤ケース14の後壁14cに形成された図示しない柵状部から洗剤ケース14外(注水ケース6内)に流出し、注水ケース6のケース排水口12から図示しない前記給水ホースを介して水槽3に供給される。
【0038】
一方、第3貯留部47に前記粉末状剤が貯留される替わりに第1貯留部45に前記液状剤が貯留されている場合にあっては、前記第1給水受け室10を介して前記第1水案内路F1に供給された水で、前記第3注水口57から前記第3貯留部47に注入されずに残った水は、この第1水案内路F1の下流に続く前記第2水案内路F2に供給される。この第2水案内路F2を流れる水が第1注水口55から第1貯留部45に注入される。そして、この注入された水は、第1貯留部45に貯留されている前記液状剤を希釈し、この前記液状剤と共に洗剤ケース14外(注水ケース6内)に流出し、ケース排水口12から図示しない前記給水ホースを介して水槽3に供給される。
【0039】
上述のように、給水弁19の第1吐出口19aは、洗濯機の洗い運転前の給水時に開放される。洗い運転前の給水時には、給水弁19の前記第1吐出口19aから流出された水は、第3貯留部47に貯留された洗濯用粉末洗剤或いは第1貯留部45に貯留された液体洗濯用洗剤と共に水槽3に供給される。
【0040】
これに対して、給水弁19の前記第2吐出口19bを開放し吐出された水は、第2給水受け室11により上方へ案内されケースカバー9の第2流入口60から第3水案内路F3に供給され、その第3水案内路F3を流れる水が第2注水口56から洗剤ケース14の第2貯留部46に注入される。第2貯留部46に柔軟仕上げ剤が貯留されている場合には、この注入された水は、第2貯留部46に貯留されている柔軟仕上げ剤を希釈し、この柔軟仕上げ剤と共に洗剤ケース14外(注水ケース6内)に流出し、注水ケース6のケース排水口12から図示しない前記給水ホースを介して水槽3に供給される。
【0041】
また、風呂の残り水を利用して洗濯機の洗い運転を行なう場合、前記風呂水ポンプ51の図示しないポンプモータが駆動され、風呂の残り水は、第2ホース接続口7bより風呂水ポンプ51に吸入され連結パイプ52を介してケースカバー9の上カバー43に形成された流入ダクト53の入水口54に注入される。この風呂の残り水は、この流入ダクト53の図示しない吐出口からケースカバー9の下カバー44の上面に設けられた水受け部69に注入され第4水案内路F4を流れ第4注水口58から洗剤ケース14の第3貯留部47に注入される。そして、この注入された水は、第3貯留部47に貯留されている洗濯用粉末洗剤を溶解して、この洗濯用粉末洗剤とともに洗剤ケース14の後壁14cに形成された図示しない柵状部から洗剤ケース14外(注水ケース6内)に流出し、注水ケース6のケース排水口12から図示しない前記給水ホースを介して水槽3に供給される。
【0042】
したがって、本実施形態においては、給水手段を構成する給水弁19、風呂水ポンプ51からの水を水槽3へ供給する給水経路の途中に注水ケース6が配設されている。
さて、本実施形態に係るドラム式洗濯機の未使用時では給水弁19は閉じられ水が流れない状態となる。このため給水弁19の第1吐出口19aと第2吐出口19bの内部や第1給水受け室10や第2給水受け室11の内部に水が貯まったままの状態になる。
【0043】
例えば、寒冷地で使用される場合、これらの水が凍結し、この凍結時の氷の膨張圧力が強度の弱い部分に集中し、第1給水受け室10、第2給水受け室11が割れ、裂けるなどの破損のおそれがある。また、この凍結時の氷の膨張圧力により注水ケース6のケースカバー9が押し上げられ、ケース本体8と下カバー44との固着部分や下カバー44と上カバー43との固着部分が割れ、裂けるなどの破損のおそれがある。
【0044】
そこで本実施形態では、第1給水受け室10、第2給水受け室11のケース本体8内部に臨む壁に薄肉部を設けて、給水弁19の第1吐出口19a、第2吐出口19bや第1給水受け室10、第2給水受け室11に残った水が凍結した場合でも、第1給水受け室10、第2給水受け室11の前記薄肉部が膨らむように変形することで、凍結時の氷の膨張圧力を吸収し、上述の割れ、裂けるなどの破損を防止できる。
【0045】
具体的には、図1に示すように、第1給水受け室10の正面壁15の薄肉部20および底壁17の薄肉部21並びに第2給水受け室11の正面壁15の薄肉部30及び底壁17の薄肉部31が膨らむように変形することで、凍結時の氷の膨張圧力を吸収することができ、第1給水受け室10、第2給水受け室11やケース本体8と下カバー44との固着部分や下カバー44と上カバー43との固着部分の割れ、避けるなどの破損を防止することが可能となる。
【0046】
さらに、図1、図5に示すように、第1給水受け室10の正面壁15の薄肉部20の四隅の角部には丸み部22が形成され、底壁17の薄肉部21にはその仕切壁16側の両隅に丸み部26が形成されている。第2給水受け室11の正面壁15の薄肉部30の四隅の角部に丸み部32が形成され、底壁17の薄肉部31の四隅の角部に丸み部36が形成されている。
【0047】
これら丸み部22、26、32、36により、薄肉部20、21、30、31の角部に集中する凍結時の氷の膨張圧力が分散され、より大きな凍結時の氷の膨張圧力に耐えることができ、第1給水受け室10、第2給水受け室11やケース本体8と下カバー44との固着部分や下カバー44と上カバー43との固着部分の割れ、避けるなどの破損を防止することが可能となる。
【0048】
仮に、水の凍結時における氷の膨張圧力によりこれら薄肉部20、21、30、31が割れ、裂けるなどの破損が生じた場合、正面壁15の薄肉部20、21はケース本体8の内部に臨んでおり(図5参照)、底壁17の薄肉部21、31はその下部に隙間40が設けてありケース本体8の内部に臨んでいるため(図1参照)、氷が溶けた際や給水弁19の吐出口19a、19bから水が吐出された際に、これら薄肉部20、21、30、31の割れ部分や裂け部分から水が漏れることがあっても、この水はケース本体8内に流入するため、その水はケース排水口12から水槽3へ案内されケース本体8から外部に漏れ出ることを防止できる。このため、洗濯機の設置面などを濡らしてしまうおそれがない。
【0049】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本願発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できる。例えば、本実施形態に係るドラム式洗濯機のようにドラムの回転軸が斜めに配置されているものに限らず、回転槽の回転軸が垂直となるように水槽が縦に配置された縦型洗濯機に本願発明を適用してもよい。
【0050】
また、上記実施形態では給水手段に給水弁19とともに風呂水ポンプ51を備えた例を示したが、これに限ることなく、給水手段に風呂水ポンプの無い給水弁のみを備えた洗濯機に本願発明を適用してもよい。
【0051】
また、上記実施形態ではケース本体8、上カバー43および下カバー44の相互の固着は、前記振動溶着を用いたがこれに限ることなく、接着剤を用いて行ってもよい。
【符号の説明】
【0052】
図面中、3は水槽、6は注水ケース、8はケース本体、9はケースカバー、10は第1給水受け室、11は第2給水受け室、12はケース排水口、15は正面壁、17は底壁、19は給水弁(給水手段)、20は薄肉部、21は薄肉部、22は丸み部、26は丸み部、30は薄肉部、31は薄肉部、32は丸み部、36は丸み部、51は風呂水ポンプ(給水手段)、F1は第1水案内路、F2は第2水案内路、F3は第3水案内路、F4は第4水案内路を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水手段による外部水源からの水を水槽へ供給する給水経路の途中に注水ケースを備えた洗濯機において、
前記注水ケースは、
ケース本体と、
このケース本体に設けられ、前記給水手段から供給される水を受け入れて上方へ案内する給水受け室と、
前記ケース本体の上部に装着されたケースカバーと、
このケースカバーに前記給水受け室の上部に連通するように設けられ、前記給水受け室から上方へ案内された水を前記ケース本体の上方へ流した後、前記ケース本体内へ導く水案内路と、
前記ケース本体内へ導かれた水を前記水槽へ排出するケース排水口とを備え、
前記給水受け室を形成する壁のうち外面が前記ケース本体内に臨む壁に、他の壁より薄い薄肉部を形成したことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記薄肉部と当該薄肉部の周囲の壁との境界部に丸み部を形成したことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−253026(P2010−253026A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106354(P2009−106354)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】