説明

洗濯機

【課題】前部枠体と洗剤ケースの位置ずれを解消し、洗剤ケースの操作性の優れた洗濯機を提供すること。
【解決手段】洗濯機本体1の前面を形成する前部枠体2と、前部枠体2の上部に配置された洗剤ケース5と、洗剤ケース5を引き出し自在に収納する洗剤ケース収容容器6とを備え、前部枠体2の裏面に複数個のガイドリブ9、リブ10を形成し、ガイドリブ9、リブ10を洗剤ケース収容容器6に設けられた複数個の嵌合穴11、12に挿入して位置決めをしたことにより、前部枠体2と洗剤ケース5との位置ずれが原因で起こる不良の恐れをなくすことができ、さらには部品追加によるコストアップの回避が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤ケースを配置した洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の、この種のドラム式洗濯機は、洗濯機本体の前面を形成する前部枠体の上部正面側に洗剤ケースを引き出し可能に収容している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、特許文献1に記載された従来の洗濯機の縦断面図、図6は、同洗濯機の洗剤ケースおよび洗剤ケース収容容器部分の部分断面図である。
【0004】
図5の断面図に示すように、洗濯機本体67の前面を形成する前部枠体61には、回転ドラム64への衣類出し入れ用の開口扉70が配置され、その上方には、洗剤ケース62を引き出し自在に収納する洗剤ケース収容容器65が配置されている。
【0005】
駆動モータ63で回転され略水平方向または傾斜方向に回転軸を有する回転ドラム64は、外周壁に多数の水抜き穴68を形成し、水槽66内部に回転自在に軸支される。
【0006】
洗濯機本体67の内部上方に配置した給水弁69より、洗剤ケース収容容器65を経由して洗剤ケース62内部に投入された洗剤を溶解しつつ、ホース71より水槽66内部および回転ドラム64に洗濯水を給水する。
【0007】
図6の部分断面図において、洗剤ケース62は、洗剤ケース収容容器65より若干引き出した状態を示している。
【0008】
洗剤ケース62は、図6で左側に、前部枠体61の凹部81に収納する引き出し操作の取手部72を形成し、中央部に液体洗剤収納部73、右側に粉末洗剤収納部74を形成する。
【0009】
洗剤ケース収容容器65は、洗剤ケース62の収納部78と、その上部に給水弁69から配管される給水ホース75に接続する給水通路76と、通水経路76の下面に給水を満遍なく広げて、洗剤ケース62の液体洗剤収納部73や粉末洗剤収納部74に散水する為の多数の小孔77を構成する。
【0010】
また、収納部78の下方には、洗剤ケース62の引き出しあるいは挿入の摺動動作を円滑にする為の突条79を形成し、かつその下方に流出部80を設けて既述のホース71に配管する。
【0011】
前部枠体61と洗剤ケース収容容器65との取り付け構成は、洗剤ケース収容容器65の洗剤ケース62の収納部78下方外面に一体形成した取り付けボス82と、前部枠体61の凹部81の縦壁部83とをビス84にて締めつけ固定をする構成をとっていた。
【特許文献1】特開2007−68801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記従来の構成では、前部枠体61と洗剤ケース収容容器65との位置が決まりにくく、取り付け後もビス84を中心に回転方向に位置ずれを起こすなどの問題があり、それにより、洗剤ケース62がゆがんで取りつき、洗剤ケース62の収納不完全や引き出し操作力大、外観隙間の悪化などの不具合が起こる可能性があった。
【0013】
それを防止するため、洗剤ケース収容容器65を前部枠体61との間に、剛性を有する金属板金部品に仮固定して位置ずれを防止したり、あるいはビス締めの員数増加などの対応をすることが検討されてきた。
【0014】
しかし、洗剤ケース収容容器65を前部枠体61との間にある板金部品に仮固定して位置ずれを防止する構成にあっては、組立て行程が複雑化し、また、ビス締め追加は、部品点数の増加によるコスト的な課題があった。
【0015】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、部品の追加なしに前部枠体と洗剤投ケースの位置ずれを解消して、組み立て作業性が優れ、洗剤ケースの操作性の優れた洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記従来の課題を解決するために、本発明の洗濯機は、洗濯機本体の前面を形成する前部枠体と、前部枠体の上部に配置された洗剤ケースと、前記洗剤ケースを引き出し自在に収納する洗剤ケース収容容器とを備え、前記前部枠体の裏面に複数個のリブを形成し、前記リブを洗剤ケース収容容器に設けた複数個の嵌合穴に挿入して位置決めをしたものである。
【0017】
これによって、前部枠体と洗剤ケースとの位置ずれが原因で起こる不具合をなくすことができ、さらには部品追加によるコストアップを回避できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の洗濯機は、洗剤ケースの位置ずれによる不良をなくし、円滑な引き出し操作ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
第1の発明は、衣類を収納する回転ドラムと、洗濯機本体の前面を形成すると共に前記回転ドラムへの衣類出し入れ用の開口扉を有する前部枠体と、前部枠体の上部に配置された洗剤ケースと、前記洗剤ケースを引き出し自在に収納する洗剤ケース収容容器とを備え、前記前部枠体は、裏面に複数個のリブを形成し、前記リブを洗剤ケース収容容器に設けた複数個の嵌合穴に挿入して位置決めをして、洗剤ケース収容容器を前部枠体の裏面に取り付けたことにより、前部枠体と洗剤ケースとの位置ずれが原因で起こる不良の恐れをなくすことができ、さらには部品追加によるコストアップを回避できる。
【0020】
第2の発明は、特に、第1の発明の前部枠体の複数個のリブを、それぞれ高さが異なる形状とし、最も高いガイドリブの先端部は傾斜面を有して、洗剤ケース収容容器に設けた嵌合穴に摺動しやすい構成としたことにより、前部枠体に洗剤ケース収容容器の組み立て時、最も高いリブとその傾斜面が嵌合穴への挿入時の組み立てガイドとなり、生産性を高める事が出来る。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態の洗濯機の外観図、図2は、同洗濯機の部分分解矢視図、図3(a)は、同洗濯機の洗剤ケース部の図2のA−A部分断面図、図3(b)はガイドリブ部分説明用外観図、図4は、同洗濯機の洗剤ケース部の図2のB−B部分断面図である。
【0023】
図1の外観図において、洗濯機本体1の前部枠体2は、合成樹脂材等で構成し、前面中央部には開閉自在に開口扉3を配し、内部の回転ドラム4への衣類出入口とする。
【0024】
前部枠体2上部には、洗剤ケース5が配置され、洗剤ケース5を引き出し自在に収容する洗剤ケース収容容器6は、前部枠体2の裏面内方に取り付けられている。
【0025】
図2の部分分解矢視図において、前部枠体2への洗剤ケース収容容器6の取り付け構成を説明する。
【0026】
前部枠体2に形成した開口扉7に、洗剤ケース収容容器6の洗剤ケース挿入開口8を対応させると共に、開口扉7下面に凸状に内方に向けて一体形成したガイドリブ9とリブ10にそれぞれ嵌合挿入する嵌合穴A11と嵌合穴B12とを洗剤ケース収容容器6に設ける。
【0027】
洗剤ケース収容容器6を、前部枠体2の内部に取り付ける時は、洗剤ケース収容容器6の嵌合穴A11と嵌合穴B12に、前部枠体2のガイドリブ9とリブ10を挿入嵌合させ左右および上下へ位置ずれするのを防止しつつ、前部枠体2の前方よりネジ13にて前部枠体2のビス挿入孔14を介して洗剤ケース収容容器6のボス部15に固着して前後に位置ずれの無い構成としている。
【0028】
図3(a)の要部断面図は、図2のA−A部分のガイドリブ9と嵌合穴A11の嵌合状態の断面を示し、洗剤ケース収容容器6は、前部枠体2に装着された状態で、かつ洗剤ケース5は、洗剤ケース収容容器6より若干引き出した状態を示している。
【0029】
突出高さの大きいガイドリブ9は、嵌合穴A11に挿入した状態を示し、その先端部9aは嵌合穴A11の裏面側に寸法H突出している。また、ガイドリブ9の先端部9aの形状は、図3(b)に示すように略角体の4面に傾斜面9bを設け、幅、高さ共に先端形状を細くなるように形成している。
【0030】
図4は、図2のB−B部分におけるリブ10と嵌合穴B12の嵌合状態の断面を示し、図3のガイドリブ9にくらべて高さの低いリブ10は、その先端部10aは嵌合穴B12の裏面側に寸法h突出しているが、その突出高さhと図3(a)のガイドリブの突出寸法Hとは、h<<Hの関係にある。
【0031】
以上のように構成された洗濯機について以下その動作、作用を説明する。
【0032】
洗剤ケース収容容器6を前部枠体2の取り付ける場合、まず、前部枠体2の裏面に形成された高さの高いガイドリブ9の細い先端形状9aに、図2A−A仮想線に沿って洗剤ケース収容容器6に設けられた嵌合穴A11が導かれて挿入し、その後、リブ10と嵌合穴B12が嵌合する構成となっているので、複数のリブの嵌合を簡単に作業ができる。
【0033】
複数のリブと嵌合穴による位置決めによるため、精度が高まり前部枠体2と洗剤ケース収容容器6の左右および上下へ位置ずれが解消される。
【0034】
また、前部枠体2に設けられたビス挿入孔14を介して、洗剤ケース収容容器6に設けられたボス部15の一箇所でのビス13の締めを行うことにより、前後の位置ずれも防止も可能となる。
【0035】
以上のように、本実施の形態では、前部枠体2と洗剤ケース収容容器6の位置ずれ防止構成により、前部枠体2と洗剤ケース5との位置ずれを防止されるので、洗剤ケース5の引き出しや収納動作が円滑に作業でき、位置ずれが原因で起こる不良の恐れをなくすことができ、さらには部品追加によるコストアップを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1における洗濯機の外観図
【図2】同洗濯機の部分分解矢視図
【図3】(a)同洗濯機の洗剤ケース部の図2のA−A部分断面図、(b)ガイドリブ部分説明用外観図
【図4】同洗濯機の洗剤ケース部の図2のB−B部分断面図
【図5】従来の洗濯機の縦断面図
【図6】同洗濯機の洗剤ケース部分の部分断面図
【符号の説明】
【0037】
1 洗濯機本体
2 前部枠体
3 開口扉
4 回転ドラム
5 洗剤ケース
6 洗剤ケース収容容器
9 ガイドリブ
10 リブ
11 嵌合穴A
12 嵌合穴B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を収納する回転ドラムと、洗濯機本体の前面を形成すると共に前記回転ドラムへの衣類出し入れ用の開口扉を有する前部枠体と、前記前部枠体の上部に配置された洗剤ケースと、前記洗剤ケースを引き出し自在に収納する洗剤ケース収容容器とを備え、前記前部枠体は裏面に複数個のリブを形成し、前記リブを前記洗剤ケース収容容器に設けた複数個の嵌合穴に挿入して位置決めをして、前記洗剤ケース収容容器を前記前部枠体の裏面に取り付けた洗濯機。
【請求項2】
前部枠体の複数個のリブはそれぞれ高さが異なる形状とし、最も高いガイドリブの先端部は傾斜面を有して、洗剤ケース収容容器に設けた嵌合穴に摺動しやすい構成とした請求項1に記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−35747(P2010−35747A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200782(P2008−200782)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】