説明

洗濯機

【課題】 季節による温度差によってバランサーの径が小さくなっても、洗濯兼脱水槽の上部内側にバランサーを容易かつ確実に結合でき、組立作業の作業性の向上を図ることのできる洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造を得る。
【解決手段】 洗濯兼脱水槽4の上部内側にリング状のバランサー5をネジ止めして固定する洗濯機の洗濯兼脱水槽4とバランサー5との結合構造において、洗濯兼脱水槽4のバランサー5との接合面に適宜間隔で突出部9を設け、該突出部9と突出部9が形成されていない平面部4aとのそれぞれにネジ孔7を設け、該突出部9に設けたネジ孔7または平面部4aに設けたネジ孔7のいずれかを選択し、選択したネジ孔7とバランサー5に設けたネジ孔6とを合致させてバランサー5を洗濯兼脱水槽4に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
全自動一槽式の洗濯機は、周知のごとく例えば図14に示すように外箱1内に防振装置を介して水槽2を搖動自在に吊支し、該水槽2内に、底部に回転翼3を設けた洗濯兼脱水槽4を回転自在に配設するものであり、洗濯兼脱水槽4の上縁には洗濯兼脱水槽4内に収納した洗濯物の偏りなどが原因で洗濯兼脱水槽4が脱水運転時などに大きく搖動することを防止するための、中空輪状のバランサー5を取り付けてある。
【0003】
このバランサー5は図13にも示すようにその下部を洗濯兼脱水槽4の上部内側に挿着するもので、バランサー5の外壁部分を縮径して洗濯兼脱水槽4との結合凹部5aに形成し、該結合凹部5aに適宜間隔で複数のネジ孔6を穿設してある。また、洗濯兼脱水槽4の側にもバランサー5との接合面に適宜間隔で複数のネジ孔7を穿設し、ネジ孔6,7を合致させ、この状態で洗濯兼脱水槽4の内側にバランサー5の結合凹部5aを当接してここにネジ8を挿入することで洗濯兼脱水槽4の上縁にバランサー5を固定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
材質として洗濯兼脱水槽4はステンレス製であり、一方、バランサー5はポリプロピレン(P.P)などの合成樹脂製である。このため、冬季などには温度変化により合成樹脂製のバランサー5の方が、ステンレス製の洗濯兼脱水槽4よりも収縮が大きいために、バランサー5の径が小さくなる。その結果、洗濯兼脱水槽4とバランサー5とを結合しているネジ部間の間隔が大きいと、この部分において図15に示すように洗濯兼脱水槽4が外側に膨出してしまい、この膨出部15が外側に配設されている水槽に接触する不都合が生じる。
【0005】
また、冬季以外の季節の温度のときに、バランサー5の外径が洗濯兼脱水槽4の内径に合致するように形成しておくと、工場での組立て時において、冬季以外の季節の場合は問題がないが、冬季にはバランサー5が収縮して径が小さくなるために、洗濯兼脱水槽4とその内側に配設するバランサー5との間に隙間が生じてしまい、洗濯兼脱水槽4とバランサー5とをピッタリと密着させることが困難になり、両者を結合する作業が行いにくくなる。
【0006】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、季節による温度差によってバランサーの径が小さくなっても、洗濯兼脱水槽の上部内側にバランサーを容易かつ確実に結合でき、組立作業の作業性の向上を図ることのできる洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するため、第1に、洗濯兼脱水槽の上部内側にリング状のバランサーをネジ止めして固定する洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造において、洗濯兼脱水槽のバランサーとの接合面に適宜間隔で突出部を設け、該突出部と突出部が形成されていない平面部とのそれぞれにネジ孔を設け、該突出部に設けたネジ孔または平面部に設けたネジ孔のいずれかを選択し、選択したネジ孔とバランサーに設けたネジ孔とを合致させてバランサーを洗濯兼脱水槽に固定する。
【0008】
これにより、冬季など温度差によってバランサーの径が小さくなったときは、洗濯兼脱水槽の突出部に形成されているネジ孔を使用してバランサーを洗濯兼脱水槽に結合すれば、容易に組み立てられるとともに、ネジ止め箇所間で洗濯兼脱水槽が外方に膨出することもない。
【0009】
一方、冬季以外の季節は、バランサーの径は小さくなっていないから、洗濯兼脱水槽の平面部に形成されているネジ孔を使用してバランサーを洗濯兼脱水槽に結合する。よって、同一形状の洗濯兼脱水槽で季節による温度差で径が異なるバランサーに対応できる。
【0010】
第2に、前記バランサーのネジ孔は、バランサーに形成した突出部に設けることにより、ネジ止め箇所の強度を確保できるとともに、ネジ止め箇所が判別しやすくなり、組立作業性が向上する。
【0011】
第3に、洗濯兼脱水槽の上部内側にリング状のバランサーをネジ止めして固定する洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造において、バランサーの洗濯兼脱水槽との接合面に適宜間隔で突出部を設け、該突出部と突出部が形成されていない平面部とのそれぞれにネジ孔を設け、該突出部に設けたネジ孔または平面部に設けたネジ孔のいずれかを選択し、選択したネジ孔と洗濯兼脱水槽に設けたネジ孔とを合致させてバランサーを洗濯兼脱水槽に固定する。
【0012】
これにより、冬季など温度差によってバランサーの径が小さくなったときは、バランサーの突出部に形成されているネジ孔を使用してバランサーを洗濯兼脱水槽に結合すれば、容易に組み立てられるとともに、ネジ止め箇所間で洗濯兼脱水槽が外方に膨出することもない。
【0013】
一方、冬季以外の季節は、バランサーの径は小さくなっていないから、バランサーの平面部に形成されているネジ孔を使用してバランサーを洗濯兼脱水槽に結合する。よって、季節による温度差でバランサーの径が異なっても、同一形状のバランサーで洗濯兼脱水槽に対応できる。
【0014】
第4に、洗濯兼脱水槽の上部内側にリング状のバランサーをネジ止めして固定する洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造において、洗濯兼脱水槽を多角筒形に形成し、多角形の角部以外の平面部に位置させてバランサーとの接合面にネジ孔を設け、バランサーの洗濯兼脱水槽との接合面に適宜間隔で突出部を形成し、該突出部と突出部が形成されていない平面部とのそれぞれにネジ孔を設け、バランサー側の突出部に設けたネジ孔または平面部に設けたネジ孔のいずれかを選択し、選択したネジ孔と洗濯兼脱水槽の平面部に設けたネジ孔とを合致させてバランサーを洗濯兼脱水槽に固定する。
【0015】
これにより、冬季など温度差によってバランサーの径が小さくなったときは、バランサーの突出部に形成されているネジ孔を使用してバランサーを洗濯兼脱水槽に結合すれば、容易に組み立てられるとともに、ネジ止め箇所間で洗濯兼脱水槽が外方に膨出することもない。
【0016】
一方、冬季以外の季節は、バランサーの径は小さくなっていないから、バランサーの平面部に形成されているネジ孔を使用してバランサーを洗濯兼脱水槽に結合する。この状態でバランサーに形成されている突出部は多角筒径の洗濯兼脱水槽の角部に形成される空間に入り込むから、該突出部が結合の妨げになることはない。よって、季節による温度差でバランサーの径が異なっても、同一形状のバランサーおよび洗濯兼脱水槽で結合できる。
【0017】
第5に、前記洗濯兼脱水槽に設けたネジ孔の形成部位よりも上方に位置させて洗濯兼脱水槽周縁に切欠きを設けることにより、組立時において、温度変化によって洗濯兼脱水槽の内側へのバランサーの嵌合がきつくなっても、洗濯兼脱水槽の上縁に弾性を付与できるのでこれを開くことができ、組立作業が容易にできる。
【発明の効果】
【0018】
以上述べたように本発明の洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーの結合構造は、第1に、洗濯兼脱水槽の上部内側にリング状のバランサーをネジ止めして固定する洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造において、洗濯兼脱水槽のバランサーとの接合面に適宜間隔で突出部を設け、該突出部と突出部が形成されていない平面部とのそれぞれにネジ孔を設け、該突出部に設けたネジ孔または平面部に設けたネジ孔のいずれかを選択し、選択したネジ孔とバランサーに設けたネジ孔とを合致させてバランサーを洗濯兼脱水槽に固定する。
【0019】
これにより、冬季など温度差によってバランサーの径が小さくなったときは、洗濯兼脱水槽の突出部に形成されているネジ孔を使用してバランサーを洗濯兼脱水槽に結合すれば、容易に組み立てられるとともに、ネジ止め箇所間で洗濯兼脱水槽が外方に膨出することもない。
【0020】
一方、冬季以外の季節は、バランサーの径は小さくなっていないから、洗濯兼脱水槽の平面部に形成されているネジ孔を使用してバランサーを洗濯兼脱水槽に結合する。よって、同一形状の洗濯兼脱水槽で季節による温度差で径が異なるバランサーに対応できる。
【0021】
第2に、前記バランサーのネジ孔は、バランサーに形成した突出部に設けることにより、ネジ止め箇所の強度を確保できるとともに、ネジ止め箇所が判別しやすくなり、組立作業性が向上する。
【0022】
第3に、洗濯兼脱水槽の上部内側にリング状のバランサーをネジ止めして固定する洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造において、バランサーの洗濯兼脱水槽との接合面に適宜間隔で突出部を設け、該突出部と突出部が形成されていない平面部とのそれぞれにネジ孔を設け、該突出部に設けたネジ孔または平面部に設けたネジ孔のいずれかを選択し、選択したネジ孔と洗濯兼脱水槽に設けたネジ孔とを合致させてバランサーを洗濯兼脱水槽に固定する。
【0023】
これにより、冬季など温度差によってバランサーの径が小さくなったときは、バランサーの突出部に形成されているネジ孔を使用してバランサーを洗濯兼脱水槽に結合すれば、容易に組み立てられるとともに、ネジ止め箇所間で洗濯兼脱水槽が外方に膨出することもない。
【0024】
一方、冬季以外の季節は、バランサーの径は小さくなっていないから、バランサーの平面部に形成されているネジ孔を使用してバランサーを洗濯兼脱水槽に結合する。よって、季節による温度差でバランサーの径が異なっても、同一形状のバランサーで洗濯兼脱水槽に対応できる。
【0025】
第4に、洗濯兼脱水槽の上部内側にリング状のバランサーをネジ止めして固定する洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造において、洗濯兼脱水槽を多角筒形に形成し、多角形の角部以外の平面部に位置させてバランサーとの接合面にネジ孔を設け、バランサーの洗濯兼脱水槽との接合面に適宜間隔で突出部を形成し、該突出部と突出部が形成されていない平面部とのそれぞれにネジ孔を設け、バランサー側の突出部に設けたネジ孔または平面部に設けたネジ孔のいずれかを選択し、選択したネジ孔と洗濯兼脱水槽の平面部に設けたネジ孔とを合致させてバランサーを洗濯兼脱水槽に固定する。
【0026】
これにより、冬季など温度差によってバランサーの径が小さくなったときは、バランサーの突出部に形成されているネジ孔を使用してバランサーを洗濯兼脱水槽に結合すれば、容易に組み立てられるとともに、ネジ止め箇所間で洗濯兼脱水槽が外方に膨出することもない。
【0027】
一方、冬季以外の季節は、バランサーの径は小さくなっていないから、バランサーの平面部に形成されているネジ孔を使用してバランサーを洗濯兼脱水槽に結合する。この状態でバランサーに形成されている突出部は多角筒径の洗濯兼脱水槽の角部に形成される空間に入り込むから、該突出部が結合の妨げになることはない。よって、季節による温度差でバランサーの径が異なっても、同一形状のバランサーおよび洗濯兼脱水槽で結合できる。
【0028】
第5に、前記洗濯兼脱水槽に設けたネジ孔の形成部位よりも上方に位置させて洗濯兼脱水槽周縁に切欠きを設けることにより、組立時において、温度変化によって洗濯兼脱水槽の内側へのバランサーの嵌合がきつくなっても、洗濯兼脱水槽の上縁に弾性を付与できるのでこれを開くことができ、組立作業が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造の第1実施形態を示す要部の分解斜視図である。
【図2】本発明の洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造の第1実施形態を示す冬季以外の季節における結合状態の縦断側面図である。
【図3】本発明の洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造の第1実施形態を示す冬季における結合状態の縦断側面図である。
【図4】本発明の洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造の第2実施形態を示す要部の分解斜視図である。
【図5】本発明の洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造の第2実施形態を示す冬季以外の季節における結合状態の縦断側面図である。
【図6】本発明の洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造の第2実施形態を示す冬季における結合状態の縦断側面図である。
【図7】本発明の洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造の第3実施形態を示す平面図である。
【図8】本発明の洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造の第3実施形態を示す要部の分解斜視図である。
【図9】本発明の洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造の第3実施形態を示す冬季における結合状態の平面図である。
【図10】本発明の洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造の第3実施形態を示す冬季以外の季節における結合状態の洗濯兼脱水槽の角部の平面図である。
【図11】本発明の洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造の第3実施形態を示す冬季以外の季節における結合状態の平面図である。
【図12】本発明の洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造の洗濯兼脱水槽の要部を示す一部の正面図である。
【図13】本発明の洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造の実施形態を示す縦断側面図である。
【図14】洗濯機の全体斜視図である。
【図15】従来の洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造の要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の洗濯機の洗濯兼脱水槽とバランサーとの結合構造の第1実施形態を示す一部の分解斜視図で、洗濯機の全体構成は図13、図14について既に説明した通りであるからここでの詳細な説明は省略する。
【0031】
第1実施形態は、ステンレスなどの金属で作製される洗濯兼脱水槽4のバランサー5との接合面に適宜間隔で例えばエンボスによる突出部9を設け、該突出部9と突出部9が形成されていない平面部4aとのそれぞれにネジ孔7を設け、一方、ポリプロピレンなどの合成樹脂で作製されるバランサー5の側には洗濯兼脱水槽4との接合部に形成した結合凹部5aに適宜間隔で台形の突出部10を設け、該突出部10にネジ孔6を設ける。
【0032】
かかるバランサー5を洗濯兼脱水槽4に固定するには、冬季以外の季節はバランサー5は温度差によって縮んではいないから、洗濯兼脱水槽4の上部内側にバランサー5を接合すれば、図2に示すように洗濯兼脱水槽4の平面部4aとバランサー5の結合凹部5aに形成してある突出部10とが当接し、ネジ孔6,7が合致する。よって、このネジ孔6,7にネジ8を挿入すれば、バランサー5が洗濯兼脱水槽4の上部内側に固定される。
【0033】
冬季にバランサー5を洗濯兼脱水槽4に固定する場合は、バランサー5が温度変化によって収縮しており全体の径が小さくなっているので、前記のように洗濯兼脱水槽4の平面部4aとバランサー5との間には隙間が生じている。よって、洗濯兼脱水槽4とバランサー5との結合箇所に隙間が生じないように、図3に示すように洗濯兼脱水槽4に形成されている突出部9とバランサー5の結合凹部5aに形成してある突出部10とを接合して、ネジ孔6,7を合致させ、このネジ孔6,7にネジ8を挿入して、バランサー5を洗濯兼脱水槽4の上部内側に固定する。
【0034】
図4〜図6は第2実施形態を示し、ポリプロピレンなどの合成樹脂で作製されるバランサー5の側には洗濯兼脱水槽4との接合部に形成した結合凹部5aに適宜間隔で台形の突出部10を設け、該突出部10とこの突出部10が形成されていない平面部5bにネジ孔6を設け、一方、ステンレスなどの金属で作製される洗濯兼脱水槽4には前記突出部10に対応する凹部16を形成し、この凹部16と、バランサー5との接合面である平面部4aに適宜間隔でネジ孔7を設ける。
【0035】
かかるバランサー5を洗濯兼脱水槽4に固定するには、冬季以外の季節はバランサー5は温度差によって縮んではいないから、洗濯兼脱水槽4の上部内側にバランサー5を接合すれば、図5(a)に示すように洗濯兼脱水槽4の平面部4aとバランサー5の結合凹部5aの平面部5bとが当接し、ネジ孔6,7が合致する。よって、このネジ孔6,7にネジ8を挿入すれば、バランサー5が洗濯兼脱水槽4の上部内側に固定される。この状態でバランサー5側から突出部10が洗濯兼脱水槽4に向けて突出しているが、図5(b)に示すようにこの突出部10は洗濯兼脱水槽4に形成した凹部16に嵌入するから、突出部10がバランサー5と洗濯兼脱水槽4との嵌合を妨げることはない。
【0036】
冬季にバランサー5を洗濯兼脱水槽4に固定する場合は、バランサー5が温度変化によって収縮しており全体の径が小さくなっているので、前記のように洗濯兼脱水槽4の平面部4aとバランサー5の平面部5bとの間には隙間が生じている。よって、洗濯兼脱水槽4とバランサー5との結合箇所に隙間が生じないように、図6に示すように洗濯兼脱水槽4に形成されている平面部4aとバランサー5の結合凹部5aに形成してある突出部10とを接合して、ネジ孔6,7を合致させ、このネジ孔6,7にネジ8を挿入して、バランサー5を洗濯兼脱水槽4の上部内側に固定する。
【0037】
図7〜図11は第3実施形態を示し、図7、図8に示すように洗濯兼脱水槽4を例えば18角の多角筒形に形成し、多角形の角部4b以外の平面部4aに位置させてバランサー5との接合面にネジ孔7を設ける。バランサー5は、前記第2実施形態と同様に洗濯兼脱水槽4との接合部に形成した結合凹部5aに適宜間隔で台形の突出部10を設け、該突出部10と、この突出部10が形成されていない平面部5bにネジ孔6を設ける。
【0038】
かかるバランサー5を洗濯兼脱水槽4に固定するには、冬季以外の季節はバランサー5は温度差によって縮んではいないから、洗濯兼脱水槽4の上部内側にバランサー5を接合すれば、図7、図11に示すように洗濯兼脱水槽4の平面部4aとバランサー5の結合凹部5aの平面部5bとが当接し、ネジ孔6,7が合致する。よって、このネジ孔6,7にネジ8を挿入すれば、バランサー5が洗濯兼脱水槽4の上部内側に固定される。
【0039】
この状態でバランサー5に形成してある突出部10は洗濯兼脱水槽4の側に向けて突出するが、該突出部10は図10に示すように洗濯兼脱水槽4の角部4bに嵌合するから、突出部10が結合の妨げになることはない。
【0040】
冬季にバランサー5を洗濯兼脱水槽4に固定する場合は、バランサー5が温度変化によって収縮しており全体の径が小さくなっているので、前記のように洗濯兼脱水槽4の平面部4aとバランサー5の平面部5bとの間には隙間が生じている。よって、洗濯兼脱水槽4とバランサー5との結合箇所に隙間が生じないように、図9に示すように洗濯兼脱水槽4に形成されている平面部4aとバランサー5の結合凹部5aに形成してある突出部10とを接合して、ネジ孔6,7を合致させ、このネジ孔6,7にネジ8を挿入して、バランサー5を洗濯兼脱水槽4の上部内側に固定する。
【0041】
さらに前記実施形態1〜3について、図12に示すように洗濯兼脱水槽4に設けたネジ孔7の形成部位よりも上方に位置させて洗濯兼脱水槽4の周縁に切欠き11を設ける。この切欠き11は全体をV字形に形成し、切り込みの先端を半円形の面取り部11aに形成した。
【0042】
よって、洗濯兼脱水槽4にバランサー5を固定する作業時に、季節による温度変化によって洗濯兼脱水槽4とバランサー5との嵌合がきつくなったり、ゆるくなったとしても、この切欠き11により洗濯兼脱水槽4の上部に弾性を付与できるから、洗濯兼脱水槽4の上縁を拡径することができ組立作業が容易に行える。この場合、切欠き11には面取り部11aが形成してあるから、作業者の安全を確保できる。
【符号の説明】
【0043】
1…外箱, 2…水槽, 3…回転翼, 4…洗濯兼脱水槽,
4a…平面部, 4b…角部, 5…バランサー,5a…結合凹部,
5b…平面部, 6…ネジ孔, 7…ネジ孔, 8…ネジ,
9…突出部, 10…突出部, 11…切欠き, 11a…面取り部,
15…膨出部, 16…凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽と、
前記水槽内に配設され、円周に沿って適宜間隔でネジ孔が複数個並設された円筒状の洗濯兼脱水槽と、
前記洗濯兼脱水槽に挿入され、この挿入範囲の円周に沿って適宜間隔で前記洗濯兼脱水槽側に突出して並設された複数個の第1の突出部の各々に、前記洗濯兼脱水槽に設けられたネジ孔と合致させてネジ止め固定されるネジ孔が設けられると共に、前記洗濯兼脱水槽の上端によって当接支持されるリング状のバランサーとを有することを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記洗濯兼脱水槽に設けられたネジ孔は、前記バランサー側に向けて突出した第2の突出部に設けられたことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−131095(P2011−131095A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83468(P2011−83468)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【分割の表示】特願2010−127869(P2010−127869)の分割
【原出願日】平成12年3月30日(2000.3.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】