説明

洗濯用多区画パウチ組成物

水溶性フィルムから製造され、かつ少なくとも2つの区画を有する洗濯用多区画パウチ。本発明のパウチは、固体成分及び液体成分を含有する組成物を含み、この固体成分は、過酸化物源及び特定のポリマーの混合物を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性フィルムから製造され、かつ、固体成分及び液体成分を含有し、この固体相が過酸化物源及びポリマーの特定の組み合わせを含有する少なくとも2つの区画を有する洗濯用パウチに関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯洗剤製品及び過酸化酸素漂白剤に基づく漂白剤組成物は、最近では、顆粒、液体、及び錠剤などの様々な製品形状で提供される。各形状にはそれぞれ長所及び短所があり、消費者が使用できる製品に多くの選択肢を与える。1回量個包装の洗剤及び漂白剤組成物は、消費者にとってますます魅力的で便利が良いことが分かっている。実際に、この「1回量」は取り扱いが容易で、消費者が製品を計量する必要がないことから、より正確な量を与え、無駄な過量又は量が足りないことを防ぐ。
【0003】
錠剤よりも、漂白剤組成物と消費者の指が接触することを防ぐという利点があるため、パウチ状形態の漂白剤組成物は、特に当該技術分野において既知である。しかし、過炭酸塩などの漂白剤をパウチ状組成物中に含むことは、漂白剤の相対不安定性から、これまで制限されている。
【0004】
実際に、過炭酸ナトリウムなどの漂白剤は、重金属イオン、例えば鉄、銅、及びマンガンの存在下で、及び特に水分の存在下で、その有効酸素を顕著に失うことがよく知られている。更に、洗濯用処理製品は、製品が水分を取り込む湿潤環境下で保存されることが多いため、水分による過炭酸塩の分解は保存中により問題となる。
【0005】
したがって、実行可能な洗剤処方の成分を得るために、過炭酸塩の安定性増加を考慮した多くの活動がなされている。
【0006】
ポリマーを含む乾燥状組成物を伴う過炭酸アルカリ金属塩を含む組成物は、この水分と安定性の問題を解決することを考慮して使用されている。例えば、特定のポリマーと密接な物理的接触により安定化させた過炭酸塩粒子を開示する欧州特許第0572724A1号(1993年08月12日公開)を参照のこと。洗剤用パウチ自体もまた、1回量組成物を提供するのに便利で、成分を互いに隔離することが当該技術分野において既知である。例えば、欧州特許第1283862A1号(2003年02月19日公開)又は同第1262539A1号(2002年04月12日公開)は、水溶性フィルムから製造され、かつ少なくとも2つの区画を有する多区画パウチに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このようなポリマーの使用は、本質的に製造プロセス中に、べたっとしてかつ流動性がない処方及び組成物を作り出すという短所を有する。組成物の流動性特性は、特にべたっとせず固まりにくい製品を得るという点から、常に組成物の要件となっている。この特性は、最適な製造プロセスを有するという点で必須である。実際に、べたっとせず固まりにくい製品は、製造及びパウチへの充填がより容易である。
【0008】
したがって、本発明の目的は、漂白剤を含有し、かかる乾燥状洗濯漂白剤組成物の製造及び保存の両方において向上した安定性を有する多区画パウチを提供することである。同時に、本発明の別の目的は、良好な溶解特性及び良好な漂白性能を伴う多区画パウチを有することである。
【0009】
これらの目的は、後述するように、洗濯用多区画パウチ中に、特定のポリマーの組み合わせと共に漂白剤を含む組成物を処方することにより達成することができることが今では判明している。
【0010】
したがって本発明の利点は、向上した安定性を示すアルカリ金属過炭酸塩漂白剤を包含し、この過炭酸塩漂白剤が複雑な保護技術を必要としない漂白剤組成物を提供することである。
【0011】
したがって本発明の更なる利点は、特に、茶、フルーツジュース、及び着色された植物の汚れなどの漂白可能な汚れ/染みに、優れた漂白性能を有し、それでも布地に安全な、洗濯用多区画パウチを有することである。
【0012】
本発明の別の利点は、洗濯用多区画パウチが良好な溶解性を有し、ゲル化が最小限であることから、洗剤成分を洗濯物に最大限送達することである。これらの効果は、良好な洗濯性能と、高濃度に漂白剤が局在することによる任意の布地損傷の最小化をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、慣用の顆粒状又は液体洗濯洗剤と合わせて布地を漂白するのに使用することができる、パウチ入り漂白剤添加物組成物に関する。より詳細には、本発明は、水溶性フィルムから製造され、かつ少なくとも2つの区画を有する洗濯用多区画パウチに関する。本発明のパウチは、固体成分及び液体成分を含有する組成物を含み、この固体成分は、
i.60〜95%の過酸化物源と、
ii.1〜30%の、ポリアクリレート又はポリカルボキシレートであるポリマーAと、
iii.1〜30%の以下の式IのポリマーBとを含み、
【化1】

式中、Yは、第1のモノマーとして、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、メサコン酸、及びこれらの塩、及びこれらの混合物、並びに、第2のモノマーとして、アクリル酸又はアルファ−C1〜4アルキルアクリル酸などの不飽和モノカルボン酸からなる群から選択されるコモノマー又はコモノマー混合物であり、R及びRは、漂白剤及びアルカリ安定性ポリマー末端基であり、RはH、OH、又はC1〜4アルキルであり、MはH、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は置換アンモニウムであり、pは0でなく2までであり、nは少なくとも10であり、又はこれらの混合物であり、
ポリマーAに対するポリマーBの重量比は0.033〜30に含まれ、全ポリマー濃度は固体成分の1〜30重量%である。
【0014】
本発明はまた、本発明によるパウチを洗濯機のドラム内に置くことによる、洗濯処理方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ポリマーAに対するポリマーBの重量比(比ポリマーB/ポリマーA)による本発明のパウチの吸湿性及び流動性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、慣用の顆粒状又は液体洗濯洗剤と合わせて布地を漂白するのに使用することができる、パウチ入り漂白剤添加物組成物に関する。
【0017】
パウチ
本発明による多区画パウチは、固体成分及び液体成分を含有する組成物を含み、ここで第1の区画は液体成分を含み、第2の区画は固体成分を含む。
【0018】
本発明の多区画パウチは、本明細書では「パウチ」と称し、少なくとも2つの区画を備える。本明細書ではパウチは、典型的には閉じた構造であり、本明細書で説明する材料で製造され、少なくとも2つ、好ましくは2つの区画に隔離される体積空間を取り囲む。
【0019】
好ましい実施形態では、本発明のパウチは2区画パウチである。
【0020】
パウチは、例えば、パウチが水に接触する前にパウチから組成物を放出することなく、組成物を保持するために好適な、任意の形態、形状、及び材料であり得る。正確な実行は、例えば、パウチ内の組成物の種類及び量、パウチ内の区画の数、並びに、組成物を保持、保護、及び分配又は放出するためにパウチに必要とされる特性に依存する。
【0021】
パウチは、必要とされる操作、例えば1回の洗浄に好適な本明細書の組成物の1回量、又は、消費者が、例えば洗濯する量及び/若しくは汚れの程度に応じた使用量の変更を、より柔軟にできるような単なる部分量のいずれかを収容するのに便利な大きさであってよい。
【0022】
本発明の別の特徴は、パウチが容積を取り囲む水溶性フィルムから製造され、かかる容積がパウチの区画に分けられることである。
【0023】
本明細書で定められるパウチの区画は、閉じた構造であり、組成物の固体成分又は液体成分を含む体積空間を取り囲む水溶性フィルムから製造される。かかる体積空間は、体積空間が外部環境から隔離される方法で、好ましくは水溶性フィルムにより取り囲まれる。パウチの区画に含まれる固体又は液体成分は、区画の体積空間内に収容され、水溶性フィルムのバリアによって外部環境から隔離される。
【0024】
用語「隔離される」は、本発明の目的において、「第1の成分を含む区画と同じ区画に第2の成分が含まれない場合、ある区画に含まれる第1の成分が第2の成分に接触するのを防ぐ点で物理的に異なる」ことを意味する。
【0025】
用語「外部環境」は、本発明の目的において、「区画を取り囲む水溶性フィルムを通過できず、区画に含まれないない全てのもの」を意味する。
【0026】
区画は、例えば、パウチが水に接触する前に区画から成分を放出することなく、固体又は液体成分を保持するのに好適である。区画は、区画材料の性質、成分又は組成物の性質、使用目的、成分の量などにより、任意の形態又は形状を有することができる。
【0027】
液体成分を含む区画は気泡も含み、好ましくはこの気泡は、かかる区画の体積空間の50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下の容積を有することが好ましい場合がある。理論に束縛されるものではないが、気泡の存在により、区画内で液体成分が動くことに対するパウチの耐性を高め、それにより区画からの液体成分の漏れリスクを低減すると考えられる。
【0028】
パウチは水溶性フィルム製であり、かかる水溶性フィルムは、典型的には、本明細書において後に述べる最大孔径50マイクロメートルのガラスフィルターを使用する方法により測定するとき、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%の溶解度を有する。
【0029】
パウチの材料の水溶性を決定する重量測定法:
10グラム±0.1グラムの材料を重量を測定した400mLのビーカーに入れ、245mL±1mLの蒸留水を加える。これを、600rpmに設定された磁性攪拌器上で、30分間激しく攪拌する。次に混合物を、先に定義したような孔径(最大50マイクロメートル)の折り畳み構造の定性焼結ガラスフィルターを通して濾過する。回収した濾液から任意の従来法によって水を蒸発させて、残留ポリマーの重量を測定する(これは、溶解画分又は分散画分である)その後、溶解度%又は分散度%を計算することができる。
【0030】
好ましいフィルムは、ポリマー材料、好ましくはフィルム又はシートに形成されるポリマーである。フィルムは、例えば、当該技術分野において既知のように、ポリマー材料のキャスティング、吹込成形、押出成形、又はインフレーションによって得ることができる。好ましいポリマー、コポリマー又はそれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを包含する多糖類、キサンタン及びカラゴム(carragum)などの天然ゴムから選択される。ポリマーは、より好ましくは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)から選択される。フィルムにおけるポリマーの濃度は、例えば、PVAポリマーでは少なくとも60%であることが好ましい。
【0031】
ポリマーは、好ましくは約1000〜1,000,000、又は更には10,000〜300,000、又は更には15,000〜200,000、又は更には20,000〜150,000の、任意の重量平均分子量を有してよい。
【0032】
ポリマーの混合物も使用できる。これは、その用途及び必要とされるニーズに応じて、区画又はパウチの機械的特性及び/又は溶解特性を制御するのに特に有益であり得る。例えば、1つのポリマー材料が別のポリマー材料より高い水溶性を有する、及び/又は、1つのポリマー材料が別のポリマー材料より高い機械的強度を有することにより、ポリマーの混合物がフィルムに存在することが好ましい場合がある。異なる重量平均分子量を有するポリマーの混合物、例えば、10,000〜40,000、好ましくはおよそ20,000の重量平均分子量のPVA又はそのコポリマーと、約100,000〜300,000、好ましくはおよそ150,000の重量平均分子量のPVA又はそのコポリマーとの混合物を使用するのが好ましいことがあり得る。
【0033】
また、例えば、材料が水溶性でなければならない場合、典型的には1〜35重量%のポリラクチドとおよそ65〜99重量%のポリビニルアルコールを含むポリラクチドとポリビニルアルコールの混合によって達成される、ポリラクチドとポリビニルアルコールなどの加水分解的に分解できる水溶性ポリマーブレンドを含むポリマーブレンド組成物も有用である。
【0034】
フィルムに存在するポリマーは、材料の溶解度を改善するために60%〜98%、好ましくは80%〜90%加水分解されていることが好ましい場合もある。
【0035】
最も好ましいのは、PVAポリマーを含むフィルムに類似する特性を有するPVAポリマーを含むフィルムであり、Chris−Craft Industrial Products(Gary,Indiana,US)が販売する商品照会名M8630として既知である。
【0036】
本明細書のフィルムは、ポリマー又はポリマー材料以外の他の添加物成分を含んでもよい。例えば、可塑剤、例えば、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物、追加の水、崩壊助剤を加えることが有益であり得る。パウチ化組成物が洗剤組成物のとき、パウチ又は区画材料自体が、洗浄水に送達される洗剤添加剤、例えば、有機ポリマー性汚れ放出剤、分散剤、移染阻害剤を含むことが便利な場合もある。
【0037】
区画及び好ましくはパウチ全体が水溶性フィルムから製造される。市販の水溶性フィルムの好適な例として、ポリビニルアルコール及び部分的に加水分解されたポリビニルアセテート、アルギネート、セルロースエーテル、例えばカルボキシメチルセルロース及びメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリアクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
好ましくは、本発明のパウチの水溶性フィルムは、ポリビニルアルコールポリマーを含む。
【0039】
パウチは、当該技術分野において既知の方法により作製できる。パウチは、典型的には、最初に、適当な大きさのパウチ材料片、好ましくはパウチ材料を切断することにより作製される。続いてパウチ材料を、区画に必要な数と大きさを形成するよう折り曲げ、任意の好適な技術、例えば、ヒートシール、湿式シール、又は加圧シールを用いて、縁部を封止する。好ましくは、シール原料をパウチ材料と接触させ、熱又は圧をかけて、パウチ材料が封止される。
【0040】
パウチ材料は、典型的には、成形型に導入され、真空を適用して、パウチ材料を型の内側表面にぴったり重なるようにすることによって、かかるパウチ材料に真空形成されたへこみ又は窪みが形成される。これは真空成形と呼ばれる。別の好適な方法は熱成形である。熱成形は、典型的には、熱を加えて成形型の中で開いたパウチを形成する工程を含み、これでパウチ材料を成形型の形状にすることができる。
【0041】
典型的には、多区画パウチを作製するために、2片以上のパウチ材料片が用いられる。例えば、第1のパウチ材料片を、真空を用いて型に引き込んで、かかるパウチ材料を成形型の内壁にぴったり重ねることができる。次いで、第2のパウチ材料片を、第1のパウチ材料片と少なくとも部分的に重なり合うように、好ましくは完全に重なり合うように位置決めすることができる。第1のパウチ材料片と第2のパウチ材料片とを合わせて封止する。第1のパウチ材料片及び第2のパウチ材料片は、同一の種類の材料で作製することもでき、又は異なる種類の材料にすることもできる。
【0042】
好ましいプロセスでは、1片のパウチ材料を少なくとも2回折り曲げ、又は少なくとも3片のパウチ材料が使用され、又は少なくとも2片のパウチ材料が使用され、このとき少なくとも1片のパウチ材料が少なくとも1回折り曲げられる。第3のパウチ材料片、又は折り曲げられたパウチ材料片は、小袋を封止したときに、かかる小袋の内容積を少なくとも2つ以上の区画に分割するバリア層を形成する。
【0043】
またパウチは、第1のパウチ材料片を成形型に取り付けることによって作製することもでき、例えば、第1のフィルム片を真空を用いて成形型に引き込んで、かかるフィルムを成形型の内壁にぴったり重ねてもよい。組成物又はその成分が、典型的には成形型に注入される。次いで、パウチ材料で作製された予備封止済み区画を、典型的には、組成物又はその成分を含有する成形型上に置く。予備封止済み区画は、好ましくは組成物又はその成分を収容する。予備封止済み区画及びかかる第1のパウチ材料片を合わせて封止し、パウチを形成することができる。
【0044】
組成物
パウチは組成物を含み、典型的には、かかる組成物はパウチの体積空間内に収容される。多区画パウチ内に収容される組成物は漂白剤添加物組成物であり、慣用の顆粒状又は液体洗濯洗剤と合わせて布地を漂白するのに使用することができる。
【0045】
好ましい組成物は、洗濯洗浄組成物又は洗濯用布地ケア組成物、好ましくは洗濯用組成物である。典型的には、組成物は、1つ又は複数のパウチ化組成物が1回の洗濯に十分な量で洗浄組成物を含む。本発明の本質的な特徴は、組成物が固体成分及び液体成分を含むことである。第1の区画は固体成分を含み、第2の区画は液体成分を含む。固体成分及び液体成分が、水溶性フィルムで隔離されることが重要である。
【0046】
固体成分
固体成分は、パウチの第1の区画に含まれる。かかる区画は、液体成分を含む区画とは異なる区画である。
【0047】
本発明の本質的な特徴は、パウチの固体成分が組成物の60〜95重量%の量の過酸化物源を含むことである。
【0048】
好ましくは、過酸化物源は、組成物の固体成分の60〜95重量%、好ましくは65〜85重量%、より好ましくは70〜80重量%の量で存在する。
【0049】
本明細書で用いるとき、語句「過酸化物源」は、水との接触によりペルヒドロキシルイオンを産生する任意の化合物を指す。本明細書で用いるのに好適な過酸化水素の水溶性源として、過炭酸塩、過ホウ酸塩、及び過ケイ酸塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
好ましい成分は、過炭酸塩、特にナトリウム塩などの過水和物漂白剤、及び/又は、有機ペルオキシ酸漂白剤前駆体である。無機過水和物塩は、好ましい過酸化物源である。
【0051】
無機過水和物塩の例として、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、及び過ケイ酸塩が挙げられる。無機過水和物塩は、通常アルカリ金属塩である。無機過水和物塩は、追加的保護なしで、結晶性固体として含まれてよい。しかし、ある過水和物塩について、このような顆粒状組成物の好ましい実施では、顆粒状製品内の過水和物塩に対してより良好な保存安定性をもたらす、コーティングされた形態の材料を利用する。好適なコーティングとしては、無機塩類、例えばアルカリ金属ケイ酸塩、炭酸塩若しくはホウ酸塩若しくはこれらの混合物、又は有機材料、例えばワックス類、油類若しくは脂肪族石鹸類が挙げられる。
【0052】
過炭酸のアルカリ金属塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書で好ましい過水和物である。過炭酸ナトリウムは、2NaCO−3Hに相当する式を有する付加化合物であり、結晶性固体として市販される。ペルオキシ一過硫酸カリウムは、本明細書の組成物で使用する別の無機過水和物塩である。
【0053】
より好ましい実施形態では、過酸源が過炭酸ナトリウムである。組成物の固体成分は、アルカリ性組成物である。
【0054】
かかる固体成分は、(固体成分の重量で)好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%の非水溶性固体材料を含む。好ましくは、かかる非水溶性固体材料は非水溶性ビルダー剤を含み、好ましくは非水溶性ビルダー剤はアルミノケイ酸塩であり、又は粘土などの非水溶性布地柔軟化剤を含む。好ましくは、かかる非水溶性固体材料は、非水溶性ビルダー剤を含む。好ましい非水溶性ビルダー剤は、以下により詳細に記載する。
【0055】
本発明の別の本質的な特徴は、パウチの固体成分が、2つの異なるポリカルボキシレートポリマーの組み合わせを含むことである。
【0056】
本質的な特徴として、本発明の洗濯用多区画パウチは、その固体成分内に2つのポリマーA及びBの組み合わせを含む。
【0057】
ポリマーA及びBは特定の重量比で存在する。ポリマーAに対するポリマーBの重量比(比ポリマーB/ポリマーA)は、0.033〜30、好ましくは0.02〜15に含まれ、全ポリマー濃度は固体成分の1〜30重量%である。全ポリマー濃度は、ポリマーA及びポリマーBの重量濃度の合計である。
【0058】
別の実施形態では、ポリマーAに対するポリマーBの重量比(比ポリマーB−ポリマーA)は、30〜50、好ましくは35〜45に含まれ、より好ましくは40である。
【0059】
この特定の比内において、製品は良好な製品安定性及び加工中の優れた流動性を同時に示す。
【0060】
本発明によるポリマーAは、アクリル酸/スルホン酸コポリマーである。一実施形態では、ポリマーAはポリアクリレート又はポリカルボキシレートを含むアクリル酸コポリマーである。典型的には、ポリマーAは本発明のパウチの固体相内に存在する。
【0061】
ポリマーAは、粉末組成物の総重量の1〜30%からなる量で存在し、好ましくは2〜20%からなる量で存在する。
【0062】
好ましい実施形態では、本発明のポリマーAは、5000〜20000からなり、好ましくは10000〜15000からなる分子量(Mw)を有する。典型的には、ポリマーAの平均分子量(Mw)は約12000である。
【0063】
本発明によるポリマーAは、ポリカルボキシレートコポリマーである。本明細書で用いるとき、「ポリカルボキシレート」は、複数のカルボキシレート基、好ましくは少なくとも3つのカルボキシレートを有する化合物を指す。
【0064】
一般に、ポリカルボキシレートビルダーは、酸形態で組成物に加えられることができるが、中和された塩又は「過塩基」の形態で加えらることもできる。塩の形態で用いるときは、ナトリウム、カリウム、及びリチウムのようなアルカリ金属塩、又はアルカノールアンモニウム塩が好ましい。有用なポリカルボキシレートとして、アクリル酸のホモポリマー、並びにアクリル酸及びマレイン酸のコポリマーが挙げられる。
【0065】
このような塩の例は、ポリアクリレートと、変性アクリル酸、フマル酸(furnaric)、マレイン酸、イタコン酸、アコニット酸、メサコン酸、シトラコン酸、及びメチレンマロン酸又はこれらの塩類、無水マレイン酸、アクリルアミド、アルキレン、ビニルメチルエーテル、スチレン、及びこれらの任意の混合物などの、任意の好適なその他モノマー単位とのコポリマーである。
【0066】
本発明の組成物で好ましいのは、塩形態で用いられるポリカルボキシレートである。
【0067】
好ましい実施形態では、ポリマーAはアクリル酸コポリマーである。より好ましくは、ポリマーAはアクリル酸/スルホン酸コポリマーである。好ましい実施形態では、本発明のポリマーAはケイ酸塩でコーティングされる。したがって、より好ましい実施形態では、本発明のコポリマーナトリウムは、外部がシリカコートでコーティングされたコポリマー塩である。
【0068】
本発明による好ましいポリマーAは、Rohm & Haas(Philadelphia,USA)から商品名Acusolで市販されるものなどの疎水変性カルボン酸ポリマーである。好ましいポリマーAは、Rohm & Haasから市販されるAcusol(登録商標)588GFである。
【0069】
他の有用なポリカルボキシレートとしては、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸のエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、ニトリロ三酢酸のようなポリ酢酸の各種アルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩、並びにメリト酸、コハク酸、オキシ二コハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びこれらの可溶性塩のようなポリカルボキシレートが挙げられる。好適なポリカルボキシレートは、商品名Norasol又はAcusolでRohm & Haasから市販される。
【0070】
本発明の組成物の別の必須成分は、ポリマーBである。典型的には、ポリマーBは本発明のパウチの固体相内に存在する。ポリマーBは、粉末組成物の総重量の1〜30%からなる量で存在し、好ましくは2〜20%からなる量で存在する。
【0071】
ポリマーBは、以下の式Iによるポリマーである。
【化2】

式中、Yは、以下に示す群から選択されるコモノマー又はコモノマー混合物であり、R及びRは、漂白剤及びアルカリ安定性ポリマー末端基であり、RはH、OH、又はC1〜4アルキルであり、MはH、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は置換アンモニウムであり、pは0でなく2までであり、nは少なくとも10であり、又はこれらの混合物である。
【0072】
本明細書のポリマーでは、Yは、第1のモノマーとして、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、メサコン酸、及びこれらの塩、及びこれらの混合物、並びに、第2のモノマーとして、アクリル酸又はアルファ−C1〜4アルキルアクリル酸などの不飽和モノカルボン酸からなる群から選択される。この種の好ましいポリマーは、Yがマレイン酸である上記式Iによるものである。また、好ましい実施形態では、R3及びMはHであり、nは、ポリマーが、1000〜400 000原子質量単位、好ましくは10 000〜200 000原子質量単位、より好ましくは30 000〜70 000原子質量単位の分子量を有するようなものである。
【0073】
本明細書の上記式I中のアルカリ安定性ポリマー末端基、R及びRとして、好適には、アルキル基、オキシアルキル基、及びアルキルカルボン酸基、並びにこれらの塩及びエステルが挙げられる。
【0074】
上記において、ポリマーの重合度、nは、重量平均重合体分子量を平均重合体分子量で除することにより決定できる。つまり、重量平均分子量15,500を有し、30モル%のマレイン酸由来単位を含むマレイン酸−アクリル酸コポリマーにおいて、nは182である(すなわち、15,500/(116×0.3+72×0.7))。
【0075】
不明な場合は、重量平均重合体分子量は、Water[mu]Porasil(登録商標)GPC60A、並びに[mu]Bondagel(登録商標)E−125、E−500、及びE−1000シリーズの40℃に温度制御されたカラムを用い、Polymer Laboratories Ltd.(Shropshire,UK)から入手できるポリスチレンスルホン酸ナトリウムポリマー標準品(80/20の水/アセトニトリル中、pH 7.0の0.15Mリン酸二水素ナトリウム及び0.02M水酸化テトラメチルアンモニウムであるポリマー標準品)に対するゲル透過クロマトグラフィーにより本明細書では決定できる。
【0076】
本明細書に用いるのに特に好ましいポリマーは、nの平均が100〜800、好ましくは120〜400のものである。
【0077】
本明細書で用いられる乾燥状組成物は、かかる乾燥状組成物の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも85%の上述のポリマーを含む。本明細書において「乾燥」とは、かかるポリマーを含むかかる乾燥状組成物が実質的に水を含まないことを意味する。
【0078】
このような乾燥状組成物のいくつかは、例えば、BASFのSOKALAN(登録商標)CP45、CP5、CP7、及びPA40、並びに、NORSOHAASのNORASOL SP02ND(登録商標)として市販されている。
【0079】
本発明による乾燥状漂白剤組成物は、全組成物の1重量%〜30重量%、好ましくは5重量%〜20重量%のかかる乾燥状組成物を含む。
【0080】
好ましくは、本発明のポリマーBは、BASFから商品名SOKALAN(登録商標)CP−5として入手できるアクリル酸/マレイン酸コポリマーである。好ましい実施形態では、本発明のポリマーBは20,000〜100,000の分子量を有する。
【0081】
固体成分の一部又は全部の成分は、区画内に組み入れる前に凝集、噴霧乾燥、押し出しのような前顆粒化をされず、成分は乾燥混合粉末成分又は更には原材料の混合物であることが可能である。好ましくは、例えば、成分の60%未満、又は更には40%未満、又は更には20%未満が自由流動可能な前顆粒化顆粒である。好ましくは、固体成分は、固体成分に含まれる成分の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%が固体形態であるという点で、実質的に固体である。好ましくは、固体成分は、実質的に液体組成物に包含するのが困難であるか、若しくはコストがかかるかのいずれかである成分、又は実質的に液体組成物中に包含されるのを可能とする付加加工工程を必要とする固体成分として、典型的に輸送及び供給される成分を含む。
【0082】
液体成分
液体成分はパウチの第2の区画に含まれる。かかる区画は、固体成分を含む区画とは異なる区画である。
【0083】
好ましくは、本発明の液体成分は界面活性剤を含む。典型的には、界面活性剤は室温で液体である。
【0084】
好ましくは、界面活性剤は非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせであり、最も好ましくは界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。
【0085】
好ましくは、本発明のかかる液体成分は溶媒又は香料を含む。好ましくは、かかる液体成分は、(液体成分の重量で)少なくとも2%、より好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも40%の香料を含む。
【0086】
好ましくは、かかる液体成分は、(液体成分の重量で)0.1〜30%、より好ましくは5%〜25%、より好ましくは10%〜20%の溶媒を含む。好ましくはかかる溶媒はアルコール系溶媒であり、より好ましくはかかる溶媒はエタノール及び/又はn−ブトキシプロポキシプロパノールである。
【0087】
好ましくは、液体成分は、液体成分に含まれる成分の少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%が室温で液状であるという点で、実質的に液体である。
【0088】
また本発明のパウチは、界面活性剤、ビルダー剤、キレート剤、染料、ポリマー、光沢剤、酵素、泡促進剤、泡抑制剤、香料、有機溶媒、及びこれらの混合物からなる群から選択される、洗濯用組成物に通常使用されるその他慣用の成分を含んでもよい。好ましくは、組成物は、少なくとも1つの界面活性剤及び少なくとも1つのビルダー剤を含む。特に規定がない限り、本明細書に記載する成分は、液体成分又は固体成分のいずれかに組み入れることができる。
【0089】
洗浄性界面活性剤
好ましい実施形態では、組成物は洗浄性界面活性剤を含有する。これらの界面活性剤は、固体又は液体成分のいずれかに存在することができる。好ましくは、本明細書の界面活性剤は液状であり、組成物の液体成分に含まれる。
【0090】
界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、及び/又は両性界面活性剤からなる群から選択される。
【0091】
好ましくは、本発明による界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせである。好ましい実施形態では、組成物は非イオン性界面活性剤を含む。
【0092】
更により好ましくは、本明細書の非イオン性界面活性剤は液状であり、組成物の液体成分に含まれる。
【0093】
好適なアニオン性界面活性剤としては、式ROSOMの水溶性塩又は酸(式中、Rは好ましくは、C10〜C24ヒドロカルビル、好ましくはC10〜C20アルキル成分を有するアルキル又はヒドロキシアルキル、より好ましくはC12〜C18アルキル又はヒドロキシアルキルであり、MはH又は陽イオン、例えばアルカリ金属陽イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム)又はアンモニウム若しくは置換アンモニウム(例えば、メチル−、ジメチル−、及びトリメチルアンモニウム陽イオン、並びに四級アンモニウム陽イオン、例えば、テトラメチル−アンモニウム及びジメチルピペリジニウム(piperdinium)陽イオン、並びにエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物などのようなアルキルアミンから誘導される四級アンモニウム陽イオンなど)である)が挙げられる。典型的には、低い洗濯温度(例えば、約50℃以下)ではC1216のアルキル鎖が好ましく、高い洗濯温度(例えば、約50℃超)ではC1618のアルキル鎖が好ましい。
【0094】
本明細書に用いるのに好適なその他のアニオン性界面活性剤は、式RO(A)SOMの水溶性塩又は酸(式中、Rは、C10〜C24アルキル成分を有する非置換C10〜C24アルキル又はヒドロキシアルキル基、好ましくはC12〜C20アルキル又はヒドロキシアルキル、より好ましくはC12〜C18アルキル又はヒドロキシアルキルであり、Aはエトキシ又はプロポキシ単位であり、mは0より大きく、典型的には約0.5〜約6、より好ましくは約0.5〜約3であり、MはH又は陽イオンであり、これは例えば、金属陽イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムなど)、アンモニウム又は置換アンモニウム陽イオンであることができる)である。アルキルエトキシル化スルフェート並びにアルキルプロポキシル化スルフェートについて、本明細書において考察される。置換アンモニウム陽イオンの具体例としては、メチル−、ジメチル−、トリメチルアンモニウム、及びテトラメチルアンモニウム、ジメチルピペリジニウム(piperdinium)のような四級アンモニウム陽イオン、並びに、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物などのようなアルカノールアミンから誘導される陽イオンなどが挙げられる。代表的な界面活性剤は、C12〜C18アルキルポリエトキシレート(1.0)スルフェート、C12〜C18E(1.0)M)、C12〜C18アルキルポリエトキシレート(2.25)スルフェート、C12〜C18E(2.25)M)、C12〜C18アルキルポリエトキシレート(3.0)スルフェートC12〜C18E(3.0)、及びC12〜C18アルキルポリエトキシレート(4.0)スルフェートC12〜C18E(4.0)M)であり、式中Mは簡便にナトリウム及びカリウムから選択される。
【0095】
本明細書で用いるのに特に好適なその他のアニオン性界面活性剤は、式RSOMの水溶性塩又は酸(式中、RはC〜C22直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和アルキル基、好ましくはC12〜C18アルキル基、及びより好ましくはC14〜C16アルキル基であり、MはH又は陽イオン、例えば、アルカリ金属陽イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム)又は、アンモニウム若しくは置換アンモニウム(例えば、メチル−、ジメチル−、及びトリメチルアンモニウム陽イオン、並びに四級アンモニウム陽イオン、例えば、テトラメチル−アンモニウム及びジメチルピペリジニウム(piperdinium)陽イオン、並びにエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物などのようなアルキルアミンから誘導される四級アンモニウム陽イオンなど)である)を含むアルキルスルホネートである。
【0096】
本明細書で用いるのに好適なアルキルアリールスルホネートとしては、式RSOMの水溶性塩又は酸(式中、Rはアリール、好ましくは、C〜C22直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和アルキル基、好ましくはC12〜C18アルキル基、及びより好ましくはC14〜C16アルキル基で置換されるベンジルであり、MはH又は陽イオン、例えば、アルカリ金属陽イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムなど)又は、アンモニウム若しくは置換アンモニウム(例えば、メチル−、ジメチル−、及びトリメチルアンモニウム陽イオン、並びに四級アンモニウム陽イオン、例えば、テトラメチル−アンモニウム及びジメチルピペリジニウム(piperdinium)陽イオン、並びにエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物などのようなアルキルアミンから誘導される四級アンモニウム陽イオンなど)である)が挙げられる。
【0097】
本明細書で使用するアルキルスルホネート及びアルキルアリールスルホネートとしては、一級及び二級アルキルスルホネート、並びに一級及び二級アルキルアリールスルホネートが挙げられる。本明細書において「二級C〜C22アルキル又はC〜C22アルキルアリールスルホネート」とは、上記で定めた式中において、SOM又はアリール−SOM基が、アルキル鎖の2つの異なる炭素間のかかるアルキル鎖の炭素原子(二級炭素原子)に結合されることを意味する。
【0098】
例えば、C14〜C16アルキルスルホネート塩は、HoechstからHostapur(登録商標)SASの名称で市販されており、C−アルキルスルホネートナトリウム塩は、Witco SAからWitconate NAS 8(登録商標)の名称で市販されている。市販のアルキルアリールスルホネートの例は、Su.Maのラウリルアリールスルホネートである。特に好ましいアルキルアリールスルホネートは、Albright & WilsonからNansa(登録商標)の商品名で市販されるアルキルベンゼンスルホネートである。
【0099】
洗浄目的のために有用なその他のアニオン性界面活性剤も、本明細書で使用することができる。これらとしては、石鹸塩(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム及び置換アンモニウム塩、例えば、モノ−、ジ−及びトリエタノールアミン塩など)、C〜C24オレフィンスルホネート、例えば、英国特許明細書第1,082,179号に記載されるようなクエン酸アルカリ土類金属塩の熱分解生成物のスルホン化により調製されるスルホン化ポリカルボン酸、C〜C24アルキルポリグリコールエーテルスルフェート(最大10モルのエチレンオキシド含有);C1416メチルエステルスルホネートなどのアルキルエステルスルホネート;アシルグリセロールスルホネート、脂肪酸オレイルグリセロールスルフェート、アルキルフェノールエチレンオキシドエーテルスルフェート、パラフィンスルホネート、アルキルホスフェート、イセチオネート、例えば、アシルイセチオネート、N−アシルタウレート、アルキルスクシナメート及びスルホサクシネート、スルホサクシネートのモノエステル(特に、飽和及び不飽和C12〜C8モノエステル)、スルホサクシネートのジエステル(特に、飽和及び不飽和C〜C14ジエステル)、アルキル多糖類のスルフェート、例えば、アルキルポリグルコシドスルフェート(以下に記載する非イオン性非硫酸化化合物)、分枝鎖一級アルキルスルフェート、アルキルポリエトキシカルボキシレート、例えば、式RO(CHCHO)CHCOO(式中、RはC〜C22アルキルであり、kは0〜10の整数であり、Mは可溶性塩形成陽イオンである)のものを挙げることができる。ロジン、水素添加ロジン、並びにトール油中に存在する又はトール油から誘導される樹脂酸及び水素添加樹脂酸のような、樹脂酸及び水素添加樹脂酸も好適である。更なる例は、「Surface Active Agents and Detergents」(Vol.I and II by Schwartz,Perry and Berch)に記載されている。種々のこのような界面活性剤は、米国特許第3,929,678号(Laughlinら)、1975年12月30日発行)の第23欄58行目〜第29欄23行目にも概括的に開示されている(参考として本明細書に組み込まれる)。
【0100】
特に好ましい界面活性剤は、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルエトキシサルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルカルボキシレート、アルキルエトキシカルボキシレート、アミンオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものである。より好ましくは、界面活性剤系は、アルキルスルホネート及びアミンオキシドを含む。
【0101】
典型的には、本発明による洗濯用添加剤は、好ましくは洗濯用添加剤の0.01重量%〜30重量%、好ましくは0.1重量%〜15重量%、より好ましくは10重量%未満、最も好ましくは0.2重量%〜5重量%の濃度で界面活性剤系を含む。
【0102】
キレート剤
本明細書の組成物は、好ましくはキレート剤を含む。キレート剤は、固体又は液体区画のいずれかに存在することができる。好ましくは、キレート剤は固体相にある。
【0103】
キレート剤は一般に、本明細書の組成物の1重量%から、好ましくは2.5重量%から、3.5重量%から、又は更には5.0重量%から、又は更には7重量%から、及び好ましくは20重量%まで、又は更には15重量%まで、又は更には10重量%までの濃度で存在する。
【0104】
本明細書において「キレート剤」とは、重金属イオンを捕捉する(キレートする)よう作用する成分を意味する。これらの成分は、カルシウム及びマグネシウムのキレート化能も有しているが、鉄、マンガン、及び銅などの重金属イオンへの結合選択性を優先的に示す。
【0105】
本明細書の組成物は、例えば、2つ以上のホスホン酸若しくはホスホネート基、又は2つ以上のカルボン酸若しくはカルボキシレート基、又はこれらの混合物を有するキレート剤を含むことができる。
【0106】
洗濯用添加剤は、好ましい任意成分としてキレート剤を含んでよい。好適なキレート剤としては、ホスホネートキレート剤、アミノカルボキシレートキレート剤、他のカルボキシレートキレート剤、多官能置換された芳香族キレート剤、エチレンジアミンN,N’−二コハク酸類、又はこれらの混合物を含む群から選択されるもののような、当該技術分野において既知のもののうちいずれかであってよい。
【0107】
本明細書で用いるのに好適なホスホネートキレート剤としては、アルカリ金属エタン1−ヒドロキシジホスホネート(HEDP)、アルキレンポリ(アルキレンホスホネート)、並びにアミノアミノトリ(メチレンホスホン酸)(amino aminotri(methylene phosphonic acid))(ATMP)、ニトリロトリメチレンホスホネート(NTP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホネート、及びジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)を包含するアミノホスホネート化合物を挙げることができる。ホスホネート化合物は、その酸形態であるか又はその酸性官能基の一部若しくは全ての上での異なる陽イオンの塩として存在し得る。本明細書で用いるのに好ましいホスホネートキレート剤は、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)及びエタン1−ヒドロキシジホスホネート(HEDP)である。このようなホスホネートキレート剤は、MonsantoからDEQUEST(登録商標)の商品名で市販されている。
【0108】
多官能置換された芳香族キレート剤も、本明細書の洗濯用添加剤において有用である場合がある。1974年5月21日にコナー(Connor)らに対して発行された、米国特許第3,812,044号を参照のこと。この種の酸形態の好ましい化合物は、1,2−ジヒドロキシ−3,5−ジスルホベンゼンなどのジヒドロキシジスルホベンゼンである。
【0109】
本明細書で用いるのに好ましい生分解性キレート剤は、エチレンジアミンN,N’−二コハク酸、又はそのアルカリ金属塩、若しくはアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩若しくは置換アンモニウム塩、又はこれらの混合物である。エチレンジアミンN,N’−二コハク酸、特に(S,S)異性体については、米国特許第4,704,233号(Hartman及びPerkins、1987年11月3日)に広く記載されている。エチレンジアミンN,N’−二コハク酸は、例えば、ssEDDS(登録商標)の商品名でPalmer Research Laboratoriesから市販されている。
【0110】
更に、本明細書で用いるカルボキシレートキレート剤としては、サリチル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、マロン酸、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0111】
本明細書で用いるのに特に好ましいキレート剤は、アミノアミノトリ(メチレンホスホン酸)、ジ−エチレン−トリアミノ−五酢酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート、1−ヒドロキシエタンジホスホネート、エチレンジアミンN,N’−二コハク酸(HEDP)、及びこれらの混合物である。
【0112】
ビルダー剤
本発明による組成物は、好ましくは水溶性ビルダー化合物を含有し、典型的には洗剤組成物中に、組成物の1重量%〜60重量%、好ましくは3重量%〜40重量%、最も好ましくは5重量%〜25重量%の濃度で存在する。
【0113】
好適な水溶性ビルダー化合物としては、水溶性の単量のカルボキシレート若しくはそれらの酸の形、又は、ホモポリマー状若しくはコポリマー状ポリカルボン酸若しくはそれらの塩が挙げられ、ここで、ポリカルボン酸は、2つ以下の炭素原子及び上述のいかなるものの混合物によって、互いが隔離されている少なくとも2つのカルボン酸ラジカルを含む。
【0114】
好ましいビルダー化合物としては、シトレート、タータラート、スクシネート、オキシジスクシネート(oxydissuccinates)、カルボキシメチルオキシスクシネート、ニトリロトリアセテート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0115】
1つ以上の脂肪酸及び/又は任意にこれらの塩(そして好ましくはナトリウム塩)が洗剤組成物中に存在することが、特に好ましい場合がある。これは、布地の柔軟化及び洗浄の更なる改善をもたらすことができると判明している。好ましくは、組成物は、組成物の2重量%〜40重量%、より好ましくは5重量%〜30重量%、最も好ましくは10重量%〜25重量%の脂肪酸又はこれらの塩を含む。特に好ましいのは、C12〜C18飽和及び/又は不飽和、直鎖及び/又は分枝鎖脂肪酸であるが、好ましくはこのような脂肪酸の混合物である。飽和及び不飽和脂肪酸の混合物が特に好ましいと判明しており、例えば、好ましいのは、菜種由来脂肪酸とC16〜C18留分全除去脂肪酸の混合物、又は菜種由来脂肪酸とタローアルコール由来脂肪酸の混合物、パルミチン酸、オレイン酸、脂肪酸アルキルコハク酸、及びこれらの混合物である。
【0116】
本発明の組成物は、リン酸含有ビルダー材料を含んでよい。好ましくは、2%〜40%、より好ましくは5%〜30%、より好ましくは10%〜25%の濃度で存在する。水溶性ホスフェートビルダーの好適な例は、アルカリ金属トリポリホスフェート、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムピロホスフェート、ナトリウム及びカリウム及びアンモニウムピロホスフェート、ナトリウム及びカリウムオルトホスフェート、ナトリウムポリメタホスフェート(polymeta/phosphate)(重合度は、約6〜21の範囲である)、並びにフィチン酸の塩である。
【0117】
本発明による組成物は、部分的に可溶性又は不溶性ビルダー化合物を含有してよく、典型的には洗剤組成物中に、組成物の0.5重量%〜60重量%、好ましくは5重量%〜50重量%、最も好ましくは8重量%〜40重量%の濃度で存在する。好ましいのは、アルミノケイ酸塩及び/又は結晶性層状ケイ酸塩、例えば、Clariantから入手できるSKS−6である。しかし、処方の観点からすれば、過度の分散又は沈殿の原因となり得るため、かかるビルダーを液体組成物中に含まないことが好ましい場合もある。
【0118】
ラジカルスカベンジャー
本発明の洗濯用添加剤は、ラジカルスカベンジャー又はその混合物を含んでもよい。本明細書で使用するのに適したラジカルスカベンジャーとしては、周知の置換モノ及びジヒドロキシベンゼン並びにそれらの類似体、アルキル及びアリールカルボキシレート並びにそれらの混合物が挙げられる。本明細書に使用するのに好ましいこのようなラジカルスカベンジャーとしては、ジ−tert−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ヒドロキノン、ジ−tert−ブチルヒドロキノン、モノ−tert−ブチルヒドロキノン、tert−ブチル−ヒドロキシアニソール、安息香酸、トルイル酸、カテコール、t−ブチルカテコール、ベンジルアミン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、没食子酸n−プロピル、又はこれらの混合物が挙げられ、ジ−tert−ブチルヒドロキシトルエンが極めて好ましい。没食子酸N−プロピル(N-propyl-gallate)のようなラジカルスカベンジャーは、Nipa Laboratoriesから商標名Nipanox S1(登録商標)で市販され得る。
【0119】
ラジカルスカベンジャーは、使用される場合、本明細書中では典型的に洗濯用添加剤全体の10重量%まで、好ましくは0.001重量%〜0.5重量%の量で存在する。
【0120】
泡調整剤
本発明による洗濯用添加剤は、好ましい任意成分として、2−アルキルアルカノール、又はこれらの混合物などの泡調整剤を更に含んでもよい。本発明で用いるのに特に好適なのは、6〜16個、好ましくは8〜12個の炭素原子と、末端ヒドロキシ基と、含むアルキル鎖を有する2−アルキルアルカノールであり、かかるアルキル鎖は、1〜10個、好ましくは2〜8個、より好ましくは3〜6個の炭素原子を含むアルキル鎖によって、α位が置換されている。このような好適な化合物は、例えば、Isofol(登録商標)12(2−ブチルオクタノール)又はIsofol(登録商標)16(2−ヘキシルデカノール)などのIsofol(登録商標)シリーズとして市販されている。
【0121】
その他の泡調整剤としては、約8〜約24個、好ましくは約10〜約20個の炭素原子を含む脂肪酸アルカリ金属(例えば、ナトリウム又はカリウム)、又はこれらの石鹸を挙げることができる。
【0122】
石鹸の製造に用いられるものを含む脂肪酸は、例えば、植物又は動物由来のグリセリド(例えば、パーム油、ココヤシ油、ババス油、大豆油、ヒマシ油、タロー、クジラ油、魚油、タロー、グリース、ラード、及びこれらの混合物)などの天然源から得ることができる。脂肪酸を合成的に調製することもできる(例えば、石油資源の酸化により、又はフィッシャー・トロプシュ法により)。
【0123】
アルカリ金属石鹸は、脂肪及び油脂の直接けん化により、又は、別の製造プロセスで調製される遊離脂肪酸の中和により、製造することができる。特に有用であるのは、ココヤシ油及びタロー由来の脂肪酸の混合物のナトリウム塩及びカリウム塩、すなわち、ナトリウム及びカリウムタロー及びココヤシ石鹸である。
【0124】
その他の好適な泡調整剤は、シリコーン類及びシリカ−シリコーン混合物によって例示される。シリコーン類は、一般にアルキル化ポリシロキサン物質によって表すことができるが、シリカは、通常はシリカエアロゲル及びキセロゲル及び様々な種類の疎水性シリカ類によって例示される細かく分割された形態で使用される。これらの材料は、泡調整剤を有利に放出できる粒子状で組み入れることができ、水溶性又は水分散性の実質的に非界面活性の洗剤不浸透性キャリアに組み入れることができる。あるいは、泡調整剤は液体キャリア中に溶解又は分散し、1つ以上の他の成分に噴霧することにより適用することができる。
【0125】
好ましいシリコーン泡調整剤は、Bartollotaらによる米国特許第3 933 672号に開示される。その他の特に有用な泡調整剤は、1977年4月28日に公開されたドイツ特許出願第DTOS 2 646 126号に記載される自己乳化シリコーン泡調整剤である。このような化合物の例は、シロキサン−グリコールコポリマーであり、Dow Corningから市販されるDC−544である。
【0126】
特に好ましいシリコーン泡調整剤は、同時係属の欧州特許出願第922016249.8に記載されている。かかる洗濯用添加剤は、Aerosil(登録商標)などのヒュームド無孔シリカと組み合わせるシリコーン/シリカ混合物を含んでもよい。
【0127】
好ましい泡調整剤の種類は、アルキル末端保護されたアルコールアルコキシレートである。アルコールのアルキル鎖はC〜C30であってよく、アルコキシレートは、好ましくはその1〜30モルを含む好ましくはエトキシレートであり、末端保護基は、好ましくはC〜C直鎖又は分枝鎖アルキル基である。
【0128】
特に好ましい泡調整剤は、シリコーン油及び2−アルキル−アルカノールの混合物を含む泡調整剤系である。
【0129】
典型的には、本明細書の洗濯用添加剤は、総洗濯用添加剤の4重量%までの泡調整剤又はこれらの混合物、好ましくは0.1重量%〜1.5重量%、最も好ましくは0.1重量%〜0.8重量%を含んでよい。
【0130】
安定剤
本発明の洗濯用添加剤は、安定剤を更に含んでもよい。存在する場合、安定剤は、総洗濯用添加剤の10重量%まで、好ましくは2重量%〜4重量%の式HO−CR’R”−OH(式中、R’及びR”は独立してH又はC〜C10炭化水素鎖及び/又は炭化水素環である)のアルコール濃度で存在する。この式による好ましいアルコールは、プロパンジオールである。実際に、一般的にこれらのアルコール、特にプロパンジオールもまた、洗濯用添加剤の化学的安定性を改善することが観察されている。
【0131】
無機安定剤のようなその他の安定剤を本明細書で用いてもよい。無機安定剤の例としては、スズ酸ナトリウム、並びに周知のトリポリホスフェートナトリウム、ピロリン酸ナトリウム及びオルトリン酸ナトリウムのような種々のアルカリ金属リン酸塩が挙げられる。
【0132】
泡促進剤
高い起泡性が所望であれば、C10〜C16アルカノールアミドなどの泡促進剤を、典型的には1%〜10%の濃度で洗濯用添加剤に組み入れることができる。C10〜C14モノエタノール及びジエタノールアミドは、このような泡促進剤の典型的な部類を示す。上述のアミンオキシド、ベタイン及びスルタインのような高起泡補助界面活性剤を含む泡促進剤を使用することも有益である。所望の場合、MgCl、MgSO、その他同種のものなどの可溶性マグネシウム塩を、例えば0.1%〜2%の濃度で添加し、更なる泡立ちをもたらし、油汚れ除去能を向上させることができる。
【0133】
泡抑制系
組成物は、組成物の10重量%未満、好ましくは0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜8重量%、最も好ましくは0.05重量%〜5重量%の濃度で、泡抑制剤を含んでもよい。好ましくは泡抑制剤は、石鹸、パラフィン、ワックス、又はこれらの任意の組み合わせのいずれかである。泡抑制剤が泡抑制シリコーンである場合、洗剤組成物は、好ましくは0.005重量%〜0.5重量%の泡抑制シリコーンを含む。本明細書に用いるのに好適な泡抑制系は、例えば、シリコーン消泡化合物及び2−アルキルアルカノール消泡化合物などの、任意の公知の消泡化合物を本質的に含んでもよい。
【0134】
その他の好適な消泡化合物としては、上記ビルダーとしても記載されている、モノカルボキシル脂肪酸及びその可溶性塩が挙げられる。これらの材料は、1960年9月27日に発行された米国特許第2,954,347号(Wayne St.John)に記載されている。泡抑制剤として使用されるモノカルボキシル脂肪酸及びその塩は、典型的には、10〜24個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子のヒドロカルビル鎖を有する。好適な塩としてはアルカリ金属塩が挙げられ、例えば特にナトリウムであるが、カリウム塩も含まれる。
【0135】
光学的光沢剤
洗濯用組成物は、任意に光学的光沢剤を含んでよい。存在する場合、光沢剤は、0.005%〜5%、より好ましくは0.01%〜1%、最も好ましくは0.01%〜0.5%の濃度で存在する。
【0136】
本発明で使用するのに好適な光学的光沢剤は、実質的に水に不溶性である。ここで実質的に不溶性とは、pH 7において、1リットルの蒸留水に1グラム未満の光沢剤が溶解することを意味する。非イオン性光沢剤は、いかなる恒久的に帯電している基又はスルホン酸、硫酸、カルボン酸、ホスホン酸、リン酸、及び四級アンモニウムから選択される基を有しない光沢剤を意味する。
【0137】
好ましい実施形態では、光学的光沢剤は、スチルベン、ピラゾリン、クマリン、カルボン酸、メチンシアニン、ジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、アゾール、5員及び6員複素環、ベンゼン又はこれらの誘導体、及びこれらの混合物を含む化合物から選択される実質的に不溶性化合物である。より好ましくは、光沢剤は、ベンゾキサゾール(benzoxozol)、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、イミダゾール、フラン基又はこれらの混合物を含む。
【0138】
好ましい市販の光学的光沢剤の例として、商標名Tinopal SOP(Ciba−Geigy)で販売されるベンゾキサゾール、2,2’−(2,5−チオフェンジイル)ビス−(7CI、8CI、9CI)、商標名Tinopal SWN(Ciba−Geigy)で販売されるC.I.蛍光光沢剤140(9CI)、7−(ジメチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(9CI)、商標名Tinopal K(Ciba−Geigy)で販売されるベンゾキサゾール、2,2’−(1,2−エテンジイル)ビス[5−メチル−(9CI)、商標名Uvitex AT(Ciba−Geigy)で販売されるC.I.蛍光光沢剤352(9CI)1H−ベンゾイミダゾール、2,2’−(2,5−フランジイル)ビス[1−メチル−(9CI)からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0139】
香料
特に好ましいのは香料成分であり、好ましくは、コーティング剤及び/若しくはキャリア材料を含む少なくとも1つの成分、好ましくは香料を保有する有機ポリマー、又は香料を保有するアルミノケイ酸塩(alumniosilicate)、又は香料を封入するカプセル、例えばデンプン若しくはその他セルロース系材料カプセルである。発明者らは、本発明の組成物では、香料が布地上により効率よく付着することを見出した。
【0140】
好ましくは、本発明のパウチ組成物は、0.01%〜4%、より好ましくは0.1%〜2%の香料を含む。
【0141】
酵素
本明細書の組成物で有用な別の好ましい成分は、1つ以上の酵素である。
【0142】
好適な酵素としては、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、グルコ−アミラーゼ、アミラーゼ、キシラナーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、デキストラナーゼ、トランスフェラーゼ、ラッカーゼ、マンナナーゼ、キシログルカナーゼ、又はこれらの混合物から選択される酵素が挙げられる。洗剤組成物は一般に、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼなどの慣用の適用可能な酵素の混合物を含む。酵素は一般に、組成物中の純酵素が0.0001重量%〜2重量%、好ましくは0.001重量%〜0.2重量%、より好ましくは0.005重量%〜0.1重量%の濃度で洗剤組成物に組み入れられる更に、酵素は化学的又は酵素的に修飾、例えば、PEG化、架橋することができ、及び/又は固定化することができ、すなわちキャリアに付着した酵素を適用することができる。洗剤組成物に組み入れられた酵素は、任意の好適な形状、例えば、液体、カプセル、粒状、顆粒状、又は現況技術による任意のその他の形状であってよい。
【0143】
洗濯処理方法
本発明はまた、パウチを用いる洗濯処理方法にも関する。好ましくは、洗濯機のドラムに直接パウチを入れることにより、パウチを洗濯機内に送達する。処理される布地に直接接触することを考慮して、パウチをドラム内に入れる。
【0144】
本明細書で用いるとき、「ドラム」は、洗面器/洗濯機ドラム、又は洗濯機の洗浄プロセスの前に組成物を布地に直接接触させることができる任意のシステムを指す。ドラム内にパウチを使用するとは、ディスペンサーからの組成物の使用と相対する。
【0145】
本明細書で用いるとき、「ディスペンサー」は、本発明の組成物を引き出す、取り除く、又は導入する任意のシステムを指し、これらは布地に接触せずに洗濯プロセス内に組成物を投入する。
【0146】
洗濯処理方法には、必ず洗浄工程を含む。本発明による洗浄工程は、洗濯機で実施される。
【0147】
本明細書において処理する布地としては、衣服、カーテン、服地、ベッドリネン、バスリネン、テーブルクロス、寝袋及び/又はテントが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において「布地を処理する」とは、かかる布地を洗浄することを意味する。
【0148】
本発明による布地洗浄プロセスは、洗浄水槽に組成物を希釈、溶解、又は分散する工程を含んでよい。
【0149】
本明細書において「希釈される、溶解される、又は分散される」とは、かかる慣用の洗濯洗剤の少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、なおより好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%が、本発明によるプロセスで形成される水槽中に希釈、溶解、又は分散されることを意味する。
【0150】
用語「槽」は、本明細書で用いるとき、水用の任意の好適な容器と定義する。このような容器は、例えば浴槽又はバケツであってよい。あるいは、容器は洗濯機であってよい。
【0151】
本発明のプロセスによると、慣用の洗剤組成物は、洗濯機のディスペンサーの引き出しから、又は洗濯機のドラム内に直接入れることにより洗濯機に入れることができる。パウチは洗濯機のドラム内に直接投入する。好ましくは、慣用の洗濯洗剤及びこの小袋の両方を洗濯機のドラム内に直接置く。
【0152】
本明細書において「慣用の洗濯洗剤」とは、市場で現在入手可能な洗濯洗剤組成物を意味する。好ましくは、かかる慣用の洗濯洗剤は、少なくとも1つの界面活性剤を含む。かかる洗濯洗剤組成物は、粉末、液体、又は錠剤として処方され得る。好適な洗濯洗剤組成物は、例えば、DASH future(登録商標)、DASH liquid(登録商標)、ARIEL tablets(登録商標)及び商品名ARIEL(登録商標)又はTIDE(登録商標)で販売されるその他の製品である。
【実施例】
【0153】
(実施例1)
1片のプラスチックを成形型内に置き、二重底部として機能させる。成形型は、円筒形で構成され、直径45mm及び深さ25mmである。1mm厚のゴム層が、成形型の縁部周囲に存在する。成形型は、成形型材料中にいくつかの孔を有しており、真空を適用できるようにする。二重底部を置き、成形型の深さを12mmとする。1片のChris−Craft M−8630フィルムをこの成形型の上部に置き、その場所に固定する。真空を適用して、フィルムを成形型の中に引き込んで、成形型及び二重底部の内側表面にフィルムをぴったり重ねる。洗剤組成物の液体成分5mLを成形型内に注ぐ。次に、第2のChris−Craft M−8630フィルム片を液体成分を含む成形型の上部に置き、成形型縁部のゴム環上に内径46mmの平面金属の環状片を適用し、中程度の圧力下で金属を加熱して、2片のフィルムを共にヒートシールすることにより第1のフィルム片を封止し、液体成分を含む区画を形成する。金属の環を、典型的には135℃〜150℃の温度に加熱し、最大5秒間適用する。
【0154】
液体区画を含む区画を成形型から取り外し、二重底部として機能しているプラスチック片も成形型から取り外す。第3のChris−Craft M−8630フィルム片を成形型の上部に置き、その場所に固定する。真空を適用して、フィルムを成形型の中に引き込んで、成形型の内側表面にフィルムをぴったり重ねる。洗剤組成物の固体成分40gを成形型内に注ぐ。次に、液体成分を含む区画を固体成分を含む成形型の上部に置き、成形型縁部のゴム環上に内径46mmの平面金属の環状片を適用し、中程度の圧力下で金属を加熱して、フィルム片を共にヒートシールすることによりフィルムの第3の層を封止し、2つの区画を含むパウチを形成し、ここで第1の区画が洗剤組成物の液体成分を含み、第2の区画が洗剤組成物の固体成分を含む。金属の環を、典型的には135℃〜150℃の温度に加熱し、最大5秒間適用する。
【0155】
(実施例2)
以下のパウチを実施例1に記載するプロセスにより作製した。各パウチは、以下の液体成分及び固体成分を含む。組成物を表に記載する特性(重量%は各成分(固体/液体)内の重量、及び全製品の重量で表す)を有する表に記載する成分を混合することにより作製した。
【表1】

【0156】
実施例で使用する略語
実施例では、略された成分の識別表示は、次の意味を有する。
【表2】

【0157】
パウチをBosch Siemens 6032食洗機のドラム区画に投入し、ディスペンサーを閉じて、食洗機を標準の55℃プログラムで運転した。
【0158】
(実施例3:吸湿性及び流動性測定)
a.吸湿性測定
保存条件:実施例2のパウチを、製品に周囲から水を吸収させるよう調節された温度及び湿度下の気候室に保存する。温度及び湿度の組み合わせは、製品に十分に水分を吸収させるよう便宜的に選択でき、この組み合わせは、25℃/50%rH、32℃/80%rH、35℃/50%rH、40℃/80%rHなどとすることができる。
【0159】
製品の調製:パウチをペトリ皿に入れ、上述のように設定された気候室に置く。製品を少なくとも1時間その中に置く。水吸収工程の後、サンプルを室から取り出し、吸湿性を測定する前に室内条件で30分間置く。吸湿性の測定を、当業者とって確立されている重量喪失(重量測定)法により行う。重量測定による重量喪失では、温度(すなわち80℃)及び時間(すなわち10分)は、化学分解を避けるのに都合がよいとして設定する。
【0160】
b.流動性測定
顆粒状洗濯用組成物内で流動する量の評価は、外観判定により評価した。
【0161】
尺度は、0〜10の範囲であり、尺度0はまったく流動しない、尺度10は組成物が水のように流動するとする。
【0162】
吸湿性及び流動性測定の結果を表1及び図1に示す。
【表3】

【0163】
ポリマーAは、Rohm & Haasから入手できるポリアクリレートである。
【0164】
ポリマーBは、BASFから入手できるアクリル酸/マレイン酸コポリマーである。
【0165】
Rotronic Hygrolabを用いて測定した。
【0166】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性フィルムから製造され、かつ少なくとも2つの区画を有する洗濯用多区画パウチであって、
前記多区画パウチが、固体成分及び液体成分を含む組成物を含み、
前記固体成分が、
(i)60〜95%の過酸化物源と、
(ii)1〜30%の、ポリアクリレート又はポリカルボキシレートを含むアクリル酸コポリマーであるポリマーAと、
(iii)1〜30%の以下の式IのポリマーBと、を含有し、
【化1】

式中、Yは、第1のモノマーとして、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、メサコン酸、及びこれらの塩、及びこれらの混合物、並びに、第2のモノマーとして、アクリル酸又はアルファ−C1〜4アルキルアクリル酸などの不飽和モノカルボン酸からなる群から選択されるコモノマー又はコモノマー混合物であり、R及びRは、漂白剤及びアルカリ安定性ポリマー末端基であり、RはH、OH、又はC1〜4アルキルであり、MはH、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は置換アンモニウムであり、pは0でなく2までであり、nは少なくとも10であり、又はこれらの混合物であり、
ポリマーAに対するポリマーBの重量比は0.033〜30に含まれ、全ポリマー濃度は前記固体成分の1〜30重量%である、多区画パウチ。
【請求項2】
前記ポリマーAがアクリル酸/スルホン酸コポリマーであり、好ましくはケイ酸塩でコーティングされる、請求項1に記載の多区画パウチ。
【請求項3】
前記ポリマーAが、5000〜20000からなり、好ましくは10000〜15000からなる分子量を有する、請求項1又は2に記載の多区画パウチ。
【請求項4】
前記ポリマーBが前記式Iを有し、式中R及びMがHである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多区画パウチ。
【請求項5】
前記ポリマーBが、1000〜400000原子質量単位、好ましくは10000〜200000原子質量単位、より好ましくは30000〜70000原子質量単位の分子量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多区画パウチ。
【請求項6】
前記固体成分組成物が、過酸化物源を、前記組成物の前記固体成分の65〜85重量%、より好ましくは70〜80重量%の量で含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多区画パウチ。
【請求項7】
前記固体成分が、過酸化物源として過炭酸ナトリウム、好ましくは過炭酸のアルカリ金属塩を含み、より好ましくは前記過酸化物源が過炭酸ナトリウムである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の多区画パウチ。
【請求項8】
前記パウチの前記液体成分が界面活性剤を含み、前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせ、好ましくは非イオン性界面活性剤である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の多区画パウチ。
【請求項9】
前記パウチの前記固体成分がキレート剤、好ましくはHEDPを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の多区画パウチ。
【請求項10】
前記パウチの前記水溶性フィルム材料が、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、並びにこれらの混合物から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の多区画パウチ。
【請求項11】
前記パウチの前記水溶性フィルムがポリビニルアルコールポリマーを含む、請求項10に記載の多区画パウチ。
【請求項12】
前記パウチが2区画パウチである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の多区画パウチ。
【請求項13】
前記組成物が、界面活性剤、染料、ポリマー、光沢剤、酵素、泡促進剤、泡抑制剤、香料、有機溶媒、及びこれらの混合物を含む群から選択される成分を更に含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の多区画パウチ。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のパウチを、洗濯機のドラム内に置くことによる布地の処理方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−516379(P2012−516379A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548063(P2011−548063)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/021473
【国際公開番号】WO2010/088112
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】