説明

洗濯用除菌具

【課題】洗濯槽内に入れ、その洗濯槽内を浮遊してゴミを収集するゴミ取り具のように、簡便に除菌・消臭を行う。
【解決手段】通水性のポリエステル地1aからなる扁平な袋1内に、スポンジ2を介して銀を含有するパック詰めの水溶性除菌材3を入れた洗濯用除菌具Aである。洗濯時、この洗濯用除菌具Aを入れれば、洗濯水及び洗濯物とともに流動し、その流動に伴って、銀イオンが溶出して除菌作用を行う。その除菌作用によって、洗濯物及び洗濯槽の除菌が行われる。このようにすれば、安価かつ容易にして、洗濯槽や洗濯物の嫌な臭いの発生を防ぐことができる。このとき、スポンジ2によって、除菌具Aと洗濯物との衝撃が緩和され、洗濯物を痛めることとがなくなるともに、除菌材3の損傷も防ぐ。洗濯が終われば、この洗濯用除菌具Aを絞って水切りした後、洗濯物と一緒に干す。これにより、この洗濯用除菌具Aにも汚水が残らす、雑菌が繁殖することはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯時、その洗濯槽に入れてその中の除菌・消臭を行う洗濯用除菌具に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の洗濯は、洗濯機に洗濯物(衣類など)を入れて行うのが一般的であり、その洗濯後、洗濯槽内が乾いていないと、雑菌が繁殖して嫌な臭いを発する場合がある。また、洗濯物が生乾きであると、その洗濯物から嫌な臭いが発する場合がある。これは、洗濯槽や洗濯物に雑菌が繁殖したことによる。
一方、生活環境の向上及び日本人の清潔好きに伴って、あらゆる環境において、除菌による清潔さが要求されており、洗濯においても例外でない。このため、上記洗濯物等への雑菌の繁殖による嫌な臭いの除去も要求されている。
【0003】
この要求に応える技術として、洗濯水に銀イオンを混入させ、その銀イオンの殺菌(除菌・消臭)作用により、雑菌の発生、殺菌を行って、洗濯槽、洗濯物の雑菌の繁殖を抑止したものがある(特許文献1〜3参照)。
また、洗濯物そのものに抗菌性を持たせて、洗濯時のみならず、発汗時の異臭の発生を防止した技術もある(特許文献4参照)。
さらに、銀イオンを含有させた殺菌材(除菌材)も種々の組成のものが提案されている(特許文献5,6参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−247367号公報
【特許文献2】特開2006−346490号公報
【特許文献3】特開2007−61175号公報
【特許文献4】特開平11−293559号公報
【特許文献5】特開平01−293559号公報
【特許文献6】特開2004−161632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記洗濯機に付設された除菌装置は大がかりであり、洗濯機のコストアップに繋がっていると共に、既存の洗濯機には採用し得ない。
この発明は、洗濯槽内に入れ、洗濯物と一緒にその洗濯槽内を浮遊して除菌作用を行う簡便な除菌具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を達成するために、この発明は、袋詰めの除菌材を洗濯槽内に入れることとしたのである。
このようにすれば、洗濯時、洗濯水及び洗濯物とともに、その除菌材も流動し、その流動に伴って銀イオンが溶出して除菌作用を行う。その除菌作用によって、洗濯物及び洗濯槽の除菌が行われる。
【0007】
この発明の構成としては、通水性の布地からなる袋内に、銀を含有する水溶性除菌材を入れたものであって、その除菌材入り袋を洗濯槽内に入れてその除菌をするものを採用する。
袋が通水性であれば、袋内に水が入り込み、その水に水溶性の除菌材が溶け、袋外に溶け出る。
袋の形状としては、扁平状が一般的であるが、円球状、楕円球状の塊状などと任意である。
【0008】
このとき、上記袋はその全周囲が閉じられたものとして、除菌材の流出を防いだものとすることが好ましいが、その閉じ手段は、縫製、溶着等の布地を破らなければ、開放し得ないものとすることもできる。また、単に、開口を結んで、容易に除菌材を入れ替えるようにすることもできる。
また、その袋内に、除菌材を通水性の弾性材で包んで収納すれば、弾性材によって、除菌材と洗濯物との衝撃が緩和され、洗濯物を痛めることとがなくなるともに、除菌材の損傷も防ぐことができる。
上記除菌材は通水性袋に収納されたパックものとして、そのパックを上記布地性袋内に入れたものとすれば、除菌材の取り扱いが容易であると共に、除菌材の袋内での散乱を防ぐことができる。また、除菌材を取替え得る物にあっては、その取替えが容易である。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、以上のように構成して、ゴミ取り具と同様に、袋詰めの除菌材を洗濯槽内に入れて、洗濯槽や洗濯物の除菌を行うようにしたので、安価かつ容易にして、洗濯槽や洗濯物の嫌な臭いの発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図3にこの発明の一実施例を示し、この実施例の洗濯用除菌具Aは、約幅10cm四方の扁平な袋1内に、弾性材となるスポンジ2を介在して銀を含有する水溶性除菌材3を入れたものである。
袋1は、2枚のポリエステル生地1aの間に、同じく2枚の板状スポンジ2を重ね、その周縁に木綿生地製縁布4をあてがって、縫製したものである。
袋1の生地、縁布4の生地は支障がない限りにおいて任意である。例えば、袋生地には、通水性があれば、どのような布生地でも良い。また、弾性体もスポンジ2に限らす、通水性があれば、例えば、ゴムなどの弾性体を適宜に選択することができる。
【0011】
除菌材3は、上記特許文献1〜6等に記載の、水に溶けて銀イオンを溶融するものを適宜に使用すればよい。例えば、抗菌化研株式会社製の水溶性銀系抗菌剤(商品名:BIOSURE SGH)を使用する。
この除菌材3は、通水性の紙袋5内に収納されている。紙袋5は、種々の脱臭剤、防虫剤を収納する素材や、お茶のパック用紙、例えば、特許文献7に記載の物などを使用する。また、袋5は布でも良い。
【特許文献7】特開2002−369748号公報
【0012】
この洗濯用除菌具Aは、図4に示すように、洗濯時、洗濯槽6に入れ、洗濯水及び洗濯物とともに流動させる。この流動に伴って、除菌材3から銀イオンが溶出して除菌作用を行い、この除菌作用によって、洗濯物及び洗濯槽の除菌・消臭が行われる。
洗濯が終われば、この洗濯用除菌具Aを絞って水切りした後、洗濯物と一緒に干す。これにより、この洗濯用除菌具Aにも汚水が残らす、雑菌が繁殖することはない。
【0013】
この20gの除菌材3入りの洗濯用除菌具Aは、大腸菌、黄色ブドウ状球菌、緑膿菌、MRSA、白癬菌等に対して有効な抗菌力を発揮し、アンモニア、酢酸、メチルメルカプタン、イソ吉草酸、硫化水素等に対して有効な消臭力を発揮した。また、40リットルの洗濯水に対し、十分な除菌・消臭作用を行い、一日一回の洗濯の場合において、約六ヶ月の間、その効果を発揮し得た。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施例の斜視図
【図2】同実施例の部分切り欠き斜視図
【図3】同実施例の断面図
【図4】同実施例の使用説明図
【符号の説明】
【0015】
A 洗濯用除菌具
1 通気性袋
1a 袋用生地
2 スポンジ(弾性体)
3 除菌材
4 縁布
5 除菌材の包装紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通水性の布地(1a)からなる袋(1)内に、銀を含有する水溶性除菌材(3)を入れたものであって、その除菌材入り袋(1)を洗濯槽(6)内に入れて除菌をする洗濯用除菌具。
【請求項2】
上記袋(1)はその全周囲が閉じられたものであって、その袋(1)内に、上記除菌材(3)を通水性の弾性材(2)で包んで収納したことを特徴とする請求項1に記載の洗濯用除菌具。
【請求項3】
上記除菌材(3)は通水性袋(5)に収納されたパックものであり、そのパックが上記布地性袋(1)内に入れられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗濯用除菌具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−264281(P2008−264281A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112592(P2007−112592)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(307012872)
【Fターム(参考)】