説明

洗車ブラシ用不織布及び洗車用ブラシ

【課題】濡れ雑巾で拭くような不織布、つまり、親水性を向上させ、立毛処理で柔らかな表面で自動車表面と接触することができる洗車用ブラシを提供する。
【解決手段】平均繊維径が7〜25μm、目付が50〜300g/m2の疎水性繊維からなる長繊維不織布に、該長繊維不織布の吸水性(滴下法)が60秒以下、保水率が100〜300重量%になるように親水剤を塗布(添加)する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車ブラシ用不織布及び洗車用ブラシに関し、さらに詳しくは、洗浄液の含水率を高くし、洗浄液を多く含む不織布で自動車表面を洗浄することができる、洗浄性に優れた洗車ブラシ用不織布、および洗車用ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車の汚れを取り除く洗車設備が多くのガソリンスタンドなどに設置され、広く利用されている。この場合の洗車用ブラシとしては、ナイロン樹脂製モノフイラメントを密植した、ロール形状の回転体が多く用いられている。しかし、このような洗車ブラシは、自動車の表面を叩く衝撃が強く、自動車表面を傷つけるなどの問題がある。そこで、布のように、自動車の表面を面的に洗浄する不織布、発泡体などが利用されている。
【0003】
特許文献1には、みかけ密度が0.2〜1.0g/cm3、部分熱圧着した合成長繊維不織布で撥水度50以上である洗車ブラシ用不織布が提案されている。しかし、この場合の不織布は、撥水度が高く、水に濡れ難い構成であり、洗浄液の含水性が不足し、洗浄性が不十分となるなどの問題がある。
特許文献2には、撥水性不織布と、非撥水性の超極細繊維布とを交互に配置した布製ブラシが提案されている。しかし、撥水性不織布は含水性が不足するが、逆に非撥水性超極細繊維布の含水性が高過ぎ、濡れた状態の重量が大きくなり過ぎるなどの問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開平7−125613号公報
【特許文献2】特開平11−59342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、濡れ雑巾で拭くような不織布、つまり、充分な親水性を有するとともに、自動車の表面を傷つけないように、柔らかな表面を有する不織布からなる洗車ブラシ用不織布、および洗車用ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、疎水性長繊維不織布に対し、特定の平均繊維径と目付を選定し、特定の吸水性と保水性を持たせるように、親水剤を塗布することにより、自動車等の洗車ブラシ、洗浄性が大幅に向上することを見出し、本発明に到達した。すなわち、本願で特許請求される発明は以下の通りである。
(1)平均繊維径が7〜25μm、および目付が50〜300g/m2の疎水性長繊維不織布に、該疎水性長繊維不織布の吸水性(JIS-L-1907滴下法)が60秒以下で、かつ保水率が100〜300重量%になるように親水剤を塗布してなることを特徴とする洗車ブラシ用不織布。
(2)前記疎水性長繊維不織布が、ポリエステル系長繊維、またはポリオレフイン系長繊維からなることを特徴とする(1)記載の洗車ブラシ用不織布。
(3)前記疎水性長繊維不織布が、5〜30%の部分熱圧着部を有することを特徴とする(1)または(2)記載の洗車ブラシ用不織布。
(4)前記疎水性長繊維不織布の非熱圧着部分が立毛処理され、かつ熱圧着部分の繊維が融着固定されていることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の洗車ブラシ用不織布。
(5)(1)ないし(4)のいずれかに記載の洗車ブラシ用不織布を円盤状のユニットに加工し、洗車用回転体に取り付けてなることを特徴とする洗車用ブラシ。
【発明の効果】
【0007】
本発明の洗車ブラシ用不織布は、ソフトな布のような風合いと柔軟性を有し、洗浄液の保水性が良好で、洗浄性に優れ、かつ摩擦毛羽強度、不織布強度などの耐久性にすぐれている、従って、車両などの洗浄する洗車用ブラシに好適に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に用いる洗車ブラシ用不織布は、公知のスパンボンド法の溶融紡糸法で得られる。例えば、ポリエステル系重合体を公知の溶融押出し紡糸機より加熱溶融紡糸し、口金から吐出し、エアーサッカーなどの吸引装置で牽引細化、延伸し、開繊され、コンベアネット上に連続フイラメントウエブを捕集する。その後、形成されたウエブを一対の凹凸ロールと平滑ロール間で熱圧着され部分的に接合され長繊維不織布を得る。
【0009】
本発明に用いる疎水性繊維からなる長繊維不織布を構成する繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、共重合ポリエステル、脂肪族ポリエステルなどのポリエステル系繊維、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートなどの生分解性繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレンなどのポリオレフイン系繊維、鞘がポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエステル、脂肪族ポリエステルからなり、芯がポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどからなる芯鞘構造等の複合繊維等の疎水性繊維が好ましく用いられる。強度及び耐久性の点から、ポリエステル系繊維、ポリオレフイン系繊維が好ましく用いられる。
該疎水性繊維の断面形状は、丸断面、異形断面などが選択できる。また、該疎水性樹脂に顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤などを0.01〜5重量%含有させることができる。
【0010】
前記疎水性長繊維不織布を構成する繊維の平均繊維径は7〜25μm、好ましくは10〜20μmである。平均繊維径が7μm未満では、洗車用として十分な強度が得られなく、フイラメントが切れやすくなる等の紡糸生産性や、洗車時のフイラメント切れが懸念される。一方、25μmを超えると、不織布の部分熱圧着性が悪くなり、不織布表面に毛羽が立ち易くなり、洗車時の耐摩耗性が問題となる。
【0011】
本発明に用いる疎水性長繊維不織布の目付は50〜300g/m2、好ましくは70〜250g/m2である。目付が50g/m2未満では、柔軟性は良くなるが強度が低下し、特に強度の繰り返し耐久性が低下する。
一方、300g/m2を超えると、強度の繰り返し耐久性が高くなるが、柔軟性、耐摩擦性が低下する。
【0012】
前記疎水性長繊維不織布はエンボス加工などにより部分熱圧着で表裏を一体化接合し、不織布の強度、耐摩耗性を向上させることができる。この場合、部分熱圧着部は、部分的に繊維同志の融着で接合され、また非熱圧着部は、繊維同士の接合がなく、繊維の自由度を有し、繊維間隙を有しているため柔軟性を有する。
部分熱圧着部は、不織布全体に均等に分散された融着部分で形成され、部分熱圧着率、すなわち不織布全体に対する圧着部分の面積率は5〜30%、好ましくは、7〜25%である。部分熱圧着率が5%未満では、繊維同士の接合が少なく、強度、摩擦毛羽強さが低下する。一方、30%を超えると、繊維同士の接合が多くなり、強度、摩擦毛羽強さが高くなるが、ペーパーライクとなり、柔軟性が低下する。
【0013】
本発明に用いる疎水性長繊維不織布は、本発明の目的である洗浄性を向上させるため、構成繊維が洗浄液に適度に濡れ易いこと、つまり、吸水性に優れ、かつ保水性に優れることが必要である。本発明における不織布の吸水性(JIS-L-1907滴下法)の数値である秒数は、60秒以下、好ましくは40秒以下、特に好ましくは10秒以下である。この数値は、不織布の水に対する濡れ性を表し、短時間ほど瞬時に濡れることを意味する。
本発明の不織布を洗車用回転体に取り付けて洗車を行なうと、不織布が容易に脱水されず、濡れた状態を維持しながら、自動車車体表面に曲面追随性を保ちながら良好に接触させることができる。また本発明の不織布は、柔軟性に優れ、車体表面との密着性が良く、濡れた布帛であたかも自動車表面を拭き取るように、洗車することができ、洗浄性を大幅に改善することができる。
さらに、本発明に用いる洗車用不織布は保水性に優れることが必要であり、不織布を回転体形状に加工して、洗車用回転体に取り付けた場合、容易に脱水されないで、不織布中に十分に洗浄液が保水されていることが好ましい。このような条件を満足する不織布の保水率は100〜300重量%、好ましくは150〜250重量%である。保水率はこの範囲であると、適度の保水性を有し、十分な洗浄効果を有する。保水率が大きくなりすぎると、洗車用回転体のエネルギーコストが大きくなる。
【0014】
本発明の不織布を洗車用回転に取付けて、洗車用ブラシとすることができる。その具体的な製法について説明する。洗車ブラシ用不織布を、幅50〜150cm、長さ20〜50cmに裁断し、幅方向に高さ2〜10cmで折りたたみ、5〜70山のプリーツ形状にする。次にプリーツ形状の一端を束ねて縫製し、取付け穴を数箇所あけて扇子形状とする。扇子形状同士を接合して、円盤状の1ユニットとする。次いで円盤状のユニットを、塩ビパイプの回転軸方向に均等間隔で数ユニット取付け、回転体形状の洗車ブラシとする。
【0015】
本発明に用いる疎水性長繊維不織布の親水剤は、特殊ポリエステル系高分子樹脂、(親水防汚加工剤、通称SR加工剤)、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シルコーン系樹脂、柔軟剤などであり、加工方法としては、柔軟加工時に処理液中に添加して同時に行うか、または柔軟加工後に、親水剤、又は親水剤と、接着性樹脂を併用した処理液を用い、公知の含浸加工、グラビアロール加工、キスロール加工などで塗布、乾燥して該不織布に付着させればよい。
さらに、親水剤の耐久性を向上させるために、接着性樹脂や、または触媒として、アクリル系水溶性樹脂、ゴム系ラテックス、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニール系樹脂などを併用することができる。
親水剤の長繊維不織布に対する添加量は、結果として得られる不織布の吸水性(滴下法)が60秒以下、保水率が100〜300重量%になるような範囲の量であり、親水性の耐久性が得られれば特に制限がないが、好ましい添加率(塗布率)は、不織布重量に対して0.01〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
【0016】
親水剤を添加するために行なう疎水性長繊維不織布の柔軟化方法には、例えば、物理的な押し込み加工、クレープ加工、及び液流染色機の湯浴中で行うモミ加工、ニードル針などで長繊維の接合を切断させて行うニードルパンチ加工等がある。
具体的な加工例としては、液流染色機の湯浴中で行う湯揉み加工、ニードル針によるニードルパンチ加工などが挙げられる。油揉み加工においては、構成繊維のガラス転移温度以上の温度雰囲気で、例えば60〜100℃で、10〜60分間機械的に揉み加工を行う。こうすることで、熱圧着部は、接合を維持した状態であり、非熱圧着部は、自由度のある繊維が十分に揉み解され、非熱圧着部の繊維間隙が物理的にほぐされ、柔軟化する。
得られた不織布の柔軟度は、41度のカンチレバー法による測定で、30mm〜120mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは30mm〜80mmである。柔軟度がこの範囲にあると、不織布全体として、ハリコシが無くなり、十分な柔軟性を有し、車体の曲面に対して、密着して追従する性能を有し、洗車ブラシ用不織布として好適なものとなる。
例えば、疎水性長繊維不織布を、温度70〜120℃の熱水を入れた液流染色機で、シリコーン樹脂などの柔軟剤を0.5〜5g/l添加し、同時に親水化剤も添加して10〜60分揉み加工してから脱水、乾燥する。
【0017】
本発明の疎水性長繊維不織布の非熱圧着部分は、洗浄性を高め、自動車車体表面との接触時の密着性を上げ、衝撃力を緩和させるために、表面を立毛させることが好ましい。本発明での立毛処理は、サンドペーパーなどで行なうエメリー起毛加工、起毛針で行なう針布加工、ニードル針、フォーク針等のニードルパンチ加工などがある。立毛処理の前に、樹脂加工で不織布の構成繊維を固定化、及び平滑化させることもできる。
具体的な加工条件として、例えば、エメリー起毛加工は100〜400番手のサンドペーパーを用い、回転数100〜1000RPMの範囲で、間隙は、不織布の最低厚み〜最高厚みの範囲で調節して行うことができる。ニードルパンチ加工は、32〜40番手のニードル針で、30〜300回/cm2のパンチ回数、針深度6〜15mmに調節して行うことができる。
本発明の不織布の耐磨耗性は、100回の学振型摩擦試験で、毛羽立ちが見立たないレベルが好ましく、より好ましくは、毛羽立ちが殆ど見られないレベルである。
【実施例】
【0018】
以下、本発明について、実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。また本発明の特性は下記の方法で測定した。
(1)目付け(g/m2):JIS-L-1906に準ずる。
(2)平均繊維径(μm):電子顕微鏡で500倍の拡大写真をとり、10本の平均値で求める。
(3)平均みかけ密度(g/cm3):目付と、荷重10kPaの厚みから単位容積あたりの重量を3 箇所の平均値で求める。
(4)引張強度(N/5cm):JIS-L-1906に準じる、引張試験機で、幅5cm、長さ30cm試料を切 り取り、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/minで縦,横それぞれ3箇所測定し 3点の平均値で求める。但し、引張り強力の値は縦と横の合計で示す。
同様に引張試験機で5%伸長時の応力を縦,横それぞれ3箇所測定しその 平均値を求め、縦と横の合計を目付け当たりに換算して求める。
(5)耐摩擦性:学振型摩擦試験機を用い摩擦子に金巾織物を取り着け、100回摩擦し て判定。
◎ 4〜5級:毛羽立ちがほとんどみられない
○ 3級 :毛羽たちが少し生じ目立たない
× 1〜2級:毛羽たちがはなはだしい
(6)柔軟性:41度カンチレバ法の剛軟度の縦/横の平均値で示す。(JIS-L-1906)
◎:30〜80mm、 ○:81〜120mm、 ×:121mm以上
(7)吸水性:JIS-L-1907 滴下法に準ずる。吸水に要した時間を秒数で表わす。
(8)保水性:(JIS-L-1906)10cm×10cm角の試料を切り取り、試料を15分以上浸漬し、
試料を取り出し、10分間吊り下げ脱水してから、試料の重量を測定する。
保水率(%)=(W2−W1)/W1 ×100
W1:初期試料重量 W2:吊り下げ脱水後の試料重量
(9)洗浄性:試料幅10cm×長さ30cmを取り、水道水に30分浸漬させて、10分吊り下げ脱 水後、白板に水性インキで2cm間隔の格子柄を書き、濡れた試料の先端に 荷重2g/cm2(10cm×10cmの接触面に荷重200g)を載せて、試料で白板上を 動かして白板に書いたインキが消える状態を観察して下記の判定をする。
◎ :白板のインキが消えている
○ :ほとんどインキが消えている
△ :インキが一部きえているがかなり残っている
× :インキが殆んど残っている
【0019】
[実施例1〜5、比較例1〜2]
公知のスパンボンド法で、ポリエチレンテレフタレート樹脂(融点256℃,固有粘度0.71)を押出し機温度300℃で紡糸口金を用いフイラメントを紡出し、高速気流牽引装置のエアーサッカーで延伸(紡糸速度5000m/min)、冷却、開繊、コンベアベルト上にウエブを形成させる。得られたウエブを一対の熱エンボスロールと平滑ロール間で部分熱圧着(温度230〜240℃、圧力100〜500N/cm)して、表1のように条件を変えて、実施例1〜5の長繊維不織布を得た。
上記ポリエステル長繊維不織布を、液流染色機で液温度60℃〜100℃、時間10〜60分、柔軟剤(テキスホ゜ートPS、日華化学社製)1g/Lを添加して、柔軟加工、脱水、乾燥を行なった。次いで、柔軟加工した不織布を、親水剤である特殊ポリエステル系高分子樹脂(SR1800、高松油脂社製)2%、接着性樹脂のゴム系ラテックス(DM-801、大日本インキ工業社製)5%との混合液で含浸、脱水、ピンテンター乾燥して、実施例1〜5の洗車ブラシ用不織布を得た(親水剤の付着率:2.5重量%)。
表1に記載した実施例1〜5の洗車ブラシ用不織布は、吸水性が1〜3秒と優れた吸水速度、濡れ性を示し、かつ保水性も、180〜250%の高い水準であった。洗車ブラシ用不織布としての柔軟性、洗浄性においては、実施例1〜4が優れた効果を有し、また実施例5はやや劣る性能であったが、実用上問題となるレベルではなかった。また、100回の繰返し耐磨耗性は、毛羽立ちが見られ無い、良好な結果であった。
一方、比較例1は、実施例3において柔軟加工、親水加工を実施しない条件であり、比較例2は、実施例5において柔軟加工、親水加工を実施しない条件である。表1に示したように、両者の比較例において、吸水性は180秒以上と吸水性が悪く、保水率は30%付近の低い性能であり、柔軟性、洗浄性共に劣るものであった。
【0020】
【表1】

【0021】
[実施例6]
実施例1の親水加工された不織布を用い、針布起毛加工機を用いて、40番レギラーニードル針、つき深さ8mm、突き回数80回/cm2で不織布表面を立毛させて洗車用不織布を得た。
その不織布の特性は、吸水性は1秒、保水性は220%、柔軟性は◎、洗浄性は◎となり、実施例1より、回転洗浄時における不織布の自動車車体表面への回転衝撃性が小さくなり、更に、洗浄液の保水性が実施例1よりも約40%程向上しており、より洗浄性が改善し、柔軟性に優れた洗車用不織布であった。
【0022】
[実施例7]
実施例4の親水加工された不織布を、エメリペーパー180番、回転数300回転/分、間隙0.5mmで両面を立毛加工して洗車用不織布を得た。その不織布の特性は、吸水性は1秒、保水性は250%、柔軟性は◎、洗浄性は◎となり、実施例4より、回転洗浄時における不織布の自動車車体表面の衝撃性が小さくなり、洗浄液の保水性が実施例4よりも、約20%程向上しており、より洗浄性が改善し、柔軟性に優れた洗車用不織布であった。
【0023】
[実施例8]
公知のスパンボンド方法で目付け150g/m2、部分熱圧着率7%のポリプロピレン不織布を製造し、その不織布にニードルパンチ加工して立毛加工した。(ニードルパンチ加工条件:ニードル針36番、針深度11mm、パンチ回数40回/cm2)。次いで、親水剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン界面活性剤)、エマルゲン120、花王社製)2.0%、と、自己架橋型アクリル酸エステル水溶性樹脂(ボンコートR3380、大日本インキ工業社製)5.0%と、イソプロピルアルコール10%の混合液で、含浸、脱水、乾燥して洗車用不織布を得た(親水化剤付着率:5重量%)。
得られた不織布の特性は、吸水性は3秒、保水性は180%、柔軟性は◎、洗浄性は◎となり、自動車車体表面の衝撃性が小さくなり、洗浄液の保水性が向上してより洗浄性が改善し、柔軟性に優れた洗車用不織布であった。
【0024】
[実施例9]
実施例7の洗車ブラシ用不織布を、幅100cm、長さ30cmに裁断し、幅方向に高さ5cmで折り畳み、20山プリーツ形状を得る。次いでプリーツ形状の一端を束ねてミシン縫製し、ボルト取り付け穴を2箇所あけ、取り付け部を形成した扇子形状を作成する。扇子形状同士の接合は、端面同士の先端から内側に約10cmまでミシン縫製で束ね、4個を結び合わせて、円盤状とした1ユニットを作成した。次いで、円盤状のユニットを、直径10cmの塩ビパイプの回転軸方向に4箇所均等間隔になるように取り付け、長さ方向に、約5cm間隔に取り付け、回転体形状の洗車ブラシを作成した。
得られた回転体形状の洗車ブラシを用い、洗浄液を用いて自動車の車体を洗浄した。その結果、自動車車体表面への洗浄ブラシの回転洗浄に伴なう衝撃音が、極端に小さくなり、車体への不織布の密着性に優れ、洗浄液の吸水性、保水性が十分であり、洗浄性が改善した。繰返し使用後の耐磨耗性も問題なく、洗浄性、柔軟性、耐磨耗性に優れた洗車用ブラシであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均繊維径が7〜25μm、および目付が50〜300g/m2の疎水性長繊維不織布に、該疎水性長繊維不織布の吸水性(JIS-L-1907滴下法)が60秒以下で、かつ保水率が100〜300重量%になるように親水剤を塗布してなることを特徴とする洗車ブラシ用不織布。
【請求項2】
前記疎水性長繊維不織布が、ポリエステル系長繊維、またはポリオレフイン系長繊維からなることを特徴とする請求項1記載の洗車ブラシ用不織布。
【請求項3】
前記疎水性長繊維不織布が、5〜30%の部分熱圧着部を有することを特徴とする請求項1または2記載の洗車ブラシ用不織布。
【請求項4】
前記疎水性長繊維不織布の非熱圧着部分が立毛処理され、かつ熱圧着部分の繊維が融着固定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の洗車ブラシ用不織布。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の洗車ブラシ用不織布を円盤状のユニットに加工し、洗車用回転体に取り付けてなることを特徴とする洗車用ブラシ。

【公開番号】特開2006−297967(P2006−297967A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117993(P2005−117993)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】