説明

洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機

【課題】ブラシ片の風合いが柔軟で、手洗いの如く、被洗浄面である車体に均一に密着して当接し、洗い残しの無い高い洗浄性が発揮されると共に、ブラシ片が含水しても軽量化を図ることができ、ブラシ片が車体に当接する際の洗浄音の静音性を有する洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供する。
【解決手段】自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシ1において、前記洗車機用洗浄ブラシ1は、ブラシ片2及び軸体3を有し、前記ブラシ片2は前記軸体3の外周部に形成されてあると共に、少なくとも布帛を有し、前記布帛を構成する少なくとも1本の繊維は長手方向に中空部、あるいは空洞部を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシ、及びその洗浄ブラシを搭載した洗車機に関しては、使用目的に応じて、さまざまな改良がなされ、例えば、回転体にブラシを取り付けた洗車用ブラシにおいて、前記ブラシが、見掛け密度が0.2〜1g/cmで、熱圧着面積が4〜45%で部分熱圧着され、かつ撥水度が50以上である合成長繊維不織布からなることを特徴とする洗車用ブラシが、特許第3191534号に開示されてある。
【0003】
また、洗車機本体と被洗浄車両とを車長方向に相対的に移動させて、ブラシ郡により被洗浄車両の洗浄を行う洗車機であって、少なくとも一部のブラシは、布製ブラシ単体とスポンジ製ブラシ単体との両方を使用して構成されていることを特徴とする洗車機が、特許第3722026号に開示されてある。
【0004】
【特許文献1】特許第3191534号
【特許文献2】特許第3722026号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗浄ブラシを搭載した洗車機は、例えば、上記の如くの特徴を有する技術が開示されてあるが、特許第3191534号に開示されてある技術においては、洗車ブラシ用不織布は、部分熱圧着されているので、風合いが硬く、被洗浄面である車体にたいする密着性が劣り、車体に均一に当接することができず、洗い残しが発生する為、洗浄性が低いという課題を有していた。また、含水により、洗車ブラシ用不織布の重量が重くなると共に、洗車機の駆動源にたいする負荷が増し、洗車ブラシの回転が不安定となる為、洗車ブラシ用不織布が車体に連続的に当接することが難しくなり、洗浄音が増大するという課題も有していた。さらに、含水により、冬季に洗車ブラシ用不織布が凍結しやすくなるという課題も有していた。
【0006】
また、特許第3722026号に開示されてある技術においては、布製ブラシが洗車中に水を含んでも、スポンジ製ブラシは独立気泡を有する合成樹脂発泡体からなり、水を含み難く、軽いので、ブラシ郡の軽量化を図ることはできるものの、布製ブラシ単体とスポンジ製ブラシ単体とが、ブラシ軸心の方向で交互に配列され、いずれかの作用半径が長く設定されているので、洗車中に車体に当接するブラシ郡の間に隙間ができ、洗い残しが発生する為、洗浄性が劣るという課題を有していた。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、ブラシ片の風合いが柔軟で、手洗いの如く、被洗浄面である車体に均一に密着して当接し、洗い残しの無い高い洗浄性が発揮されると共に、ブラシ片が含水しても軽量化を図ることができ、ブラシ片が車体に当接する際の洗浄音の静音性を有する洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決する為に、本発明の洗車機用洗浄ブラシは、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片及び軸体を有し、前記ブラシ片は前記軸体の外周部に形成されてあると共に、少なくとも布帛を有し、前記布帛を構成する少なくとも1本の繊維は長手方向に中空部、あるいは空洞部を有するもので、布帛を構成する繊維は長手方向に中空部、あるいは空洞部を有する為、中実繊維のみで形成された布帛に比べ、布帛に圧力が加わった時に圧縮し、圧力が取り除かれた時に元の状態に復元する弾力性に優れている。その為、布帛は柔軟性に優れ、手洗いの如く、被洗浄面である車体に均一に密着して当接するので、洗車機用洗浄ブラシは、洗い残しの無い高い洗浄性が発揮される。
【0009】
また、布帛を構成する繊維は長手方向に中空部、あるいは空洞部を有するので、布帛が洗車中に水を含んでも、中実繊維のみで形成された布帛に比べて軽量化を図ることができると共に、繊維の有する中空部、あるいは空洞部が、ブラシ片が車体に当接する際の洗浄音を吸収する為、洗車機用洗浄ブラシは優れた静音性を有する。
【0010】
また、本発明の洗車機は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、請求項1から3のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載したもので、被洗浄面である車体に均一に密着して当接し、洗い残しの無い高い洗浄性を有する洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある為、洗車機は、駆動源により洗車機用洗浄ブラシの回転を低速に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、洗い残しの無い高い洗浄性を発揮することが可能である。
【0011】
さらに、ブラシ片は含水しても軽量化を図ることができるので、駆動源にたいする負荷が軽減され、洗車機用洗浄ブラシの回転が不安定になることが無く、ブラシ片は連続的に車体に当接することができる為、高い静音性を有する洗車機が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片が有する布帛を構成する繊維が、長手方向に中空部、あるいは空洞部を有する為、中実繊維のみで形成された布帛に比べ、布帛に圧力が加わった時に圧縮し、圧力が取り除かれた時に元の状態に復元する弾力性に優れている。その為、布帛は柔軟性に優れ、手洗いの如く、被洗浄面である車体に均一に密着して当接するので、洗車機用洗浄ブラシは、洗い残しの無い高い洗浄性を発揮することができる。
【0013】
また、布帛を構成する繊維は長手方向に中空部、あるいは空洞部を有するので、布帛が洗車中に水を含んでも、中実繊維のみで形成された布帛に比べて軽量化を図ることができると共に、繊維の有する中空部、あるいは空洞部が、ブラシ片が車体に当接する際の洗浄音を吸収する為、洗車機用洗浄ブラシは優れた静音性を有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第1の発明は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片及び軸体を有し、前記ブラシ片は前記軸体の外周部に形成されてあると共に、少なくとも布帛を有し、前記布帛を構成する少なくとも1本の繊維は長手方向に中空部、あるいは空洞部を有するもので、布帛を構成する繊維は長手方向に中空部、あるいは空洞部を有する為、中実繊維のみで形成された布帛に比べ、布帛に圧力が加わった時に圧縮し、圧力が取り除かれた時に元の状態に復元する弾力性に優れている。その為、布帛は柔軟性に優れ、手洗いの如く、被洗浄面である車体に均一に密着して当接するので、洗車機用洗浄ブラシは、洗い残しの無い高い洗浄性を発揮することができる。
【0015】
また、布帛を構成する繊維は長手方向に中空部、あるいは空洞部を有するので、布帛が洗車中に水を含んでも、中実繊維のみで形成された布帛に比べて軽量化を図ることができると共に、繊維の有する中空部、あるいは空洞部が、ブラシ片が車体に当接する際の洗浄音を吸収する為、洗車機用洗浄ブラシは優れた静音性を有することができる。
【0016】
第2の発明は、特に、第1の発明の洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記繊維は外周面に少なくとも一つの稜を有すると共に、長手方向に中空部、あるいは空洞部を有する異形中空断面にて形成されてあるもので、繊維の有する角部により、車体に付着している汚れが掻き出される為、洗浄性が向上する。
【0017】
第3の発明は、特に、第1から第2の発明の洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記繊維は複数の中空部を有する断面、あるいは長手方向に複数の空洞部を有するもので、布帛の柔軟性が向上し、ブラシ片は車体に一層、均一に密着して当接する為、洗浄性が大幅に向上する。
【0018】
また、中空部、あるいは空洞部を有する単一な繊維が、複数本、長手方向の外面に沿って接合された形態の繊維においては、繊維の毛腰が単一な繊維に比べて強くなる為、布帛の毛腰も強くなり、ブラシ片は毛腰を強く設定して車体に当接することができるので、洗浄性が飛躍的に向上する。さらに、長手方向に沿って形成された凹部が流通路となり、洗車中にブラシ片が含んだ水を毛細管現象により運び、水は広い面積に広げられ、迅速に蒸発する為、布帛は速乾性を発揮することができるので、冬季にブラシ片が凍結することを、防止することができる。
【0019】
第4の発明は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、第1の発明から第3の発明のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機としたもので、被洗浄面である車体に均一に密着して当接し、洗い残しの無い高い洗浄性を有する洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある為、洗車機は、駆動源により洗車機用洗浄ブラシの回転を低速に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、洗い残しの無い高い洗浄性を発揮することができる。
【0020】
また、ブラシ片は含水しても軽量化を図ることができるので、駆動源にたいする負荷が軽減され、洗車機用洗浄ブラシの回転が不安定になることが無く、ブラシ片は連続的に車体に当接することができる為、高い静音性を有する洗車機を提供することができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施例1)
図1(A)は、本発明の洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図、図1(B)は、図1(A)の断面図、図2(A)は、ブラシ片を展開して前面側から見た斜視図、図2(B)及び図2(C)は、繊維を前面側から見た斜視図、図3(A)から図3(E)は、他の実施の形態における繊維の断面図、図4(A)から図4(E)は、他の実施の形態における繊維の断面図、図4(F)は、他の実施の形態における繊維を前面側から見た斜視図、図5(A)は、他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図、図5(B)は、チャンネルブラシの断面図である。
【0023】
図1(A)、図1(B)、及び図2(A)において、洗車機用洗浄ブラシ1は、平板状の布帛7の略中央部にて折り合わされたブラシ片2が、アルミニウム等の金属材料からなる略円筒形状の軸体3の外周等分4箇所に設けられた突起状の溝部4に挿入され、リベット6がブラシ片2に設けられた取付孔9に挿入されると同時にリベッター等により打ち込まれ、ブラシ片2はリベット6により軸体3に固定され、形成されてある。なお、軸体3の外周面に設けられた溝部4は、等分4箇所以外にも、6箇所、8箇所、12箇所等、使用目的に応じて、適時、設定できる。
【0024】
次に、図2(A)を用いて、ブラシ片2について説明する。ブラシ片2は、繊維8を有する平板状の布帛7が使用されてある。布帛7は、繊維8を3次元に立体的に絡合させた不織布、繊維8を縦糸と横糸に組み合わせて平織り、斜文織り、繻子織り、絡み織り等により織りこんだ織布、1本の繊維8を編みこんだ編物を採用できる。なお、実施例1の布帛7は不織布にて形成されてあるが、織布、あるいは編物を単独、あるいは併用して用いてもよい。また、布帛7と他のブラシ部材、例えば、合成樹脂繊維、フィルム状樹脂組成物、合成樹脂発泡体等を接合、重ね合わせ等の方法を用いて併用し、ブラシ片2を形成しても構わない。
【0025】
不織布は、繊維8をウレタン系、ニトリル系、スチレン系、アクリル系等のバインダーを用いて接着して絡合させるケミカルボンド法、繊維8に高圧水流をあてて絡合させる水流絡合法、繊維8を加熱ロールにて熱圧着させて絡合させるスパンボンド法、繊維8に高温エアーを吹き付けて熱融着させて絡合させるメルトブロー法等により製造され、従来から不織布の製造に用いられている方法なら限定されることなく、得られた不織布をブラシ片2として用いることができる。また、繊維8は長繊維、短繊維のいずれが使用されても構わない。なお、長繊維とは一般的に糸長が50mmより大の繊維8のことであり、短繊維とは糸長が50mm以下の繊維8のことである。また、繊維8は原糸繊維、極細繊維のいずれであってもよい。なお、原糸繊維とは繊度が1デニール以上の繊維8のことであり、極細繊維とは繊度が1デニール未満の繊維8のことで、1デニールとは糸長9000mで1gとなる繊維8のことである。
【0026】
次に、図2(B)、及び図2(C)を用いて、繊維8について説明する。図2(B)において、繊維8は、長手方向に中空部10を有すると共に、中空部10は繊維8の一方の端部から他の端部に向かって空隙が貫通し、繊維8は概丸形中空断面を有する。また、図2(C)において、繊維8は、長手方向に空洞部11を有すると共に、空洞部11は繊維8の一方の端部から他の端部に向かって繊維8の途中で空隙が閉塞し、繊維8は概丸形中空断面、あるいは概丸形断面を有する。
【0027】
繊維8は、合成繊維であり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等のポリアミド系樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の合成樹脂を溶融紡糸して得られる。また、芯鞘構造の複合繊維を紡糸し、加熱、薬品処理等を施すことにより、芯部を溶出して中空部10、あるいは空洞部11を有する繊維8を形成することもできる。さらに、中空部10、あるいは空洞部11の壁面にスリット状の超微細孔を設けて繊維8を形成してもよい。前記の如くの超微細孔が設けられた繊維8は、一般的には中空糸膜と呼ばれている。得られた繊維8は、不織布、織布、あるいは編物として布帛7に形成され、ブラシ片2として用いられる。また、中空部10、あるいは空洞部11が形成されていない中実状の合成繊維、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、アセテート、プロミックス等の半合成繊維と、繊維8を併用して、布帛7を形成し、ブラシ片2として用いることもできる。
【0028】
繊維8に占める中空部10、あるいは空洞部11の中空率、あるいは空洞率は5〜95%にて設定される。中空率、あるいは空洞率が5%未満の場合は、布帛7の軽量化を図ることが難しくなり、中空率、あるいは空洞率が95%より大の場合は、繊維8の肉厚が薄くなり、衝撃等により繊維8が切れやすくなるので、布帛7の耐摩耗性が劣ることになる。布帛7が軽量性、及び耐摩耗性を兼ね備え、ブラシ片2として、より好適に使用されるには、繊維8の中空率、あるいは空洞率は20〜50%に設定されるのが好ましい。
【0029】
上記の如くの構成となっている洗車機用洗浄ブラシ1の動作、作用は下記の通りである。
【0030】
洗車機用洗浄ブラシ1は、ブラシ片2を構成する布帛7が、中空部10、あるいは空洞部11を有する繊維8にて形成されているので、ブラシ片2は布帛7に圧力が加わった時に圧縮し、圧力が取り除かれた時に元の状態に復元する弾力性に優れている。その為、ブラシ片2を構成する布帛7は柔軟性に優れ、手洗いの如く、被洗浄面である車体に面接触にて均一に密着して当接するので、洗車機用洗浄ブラシ1は、洗い残しの無い高い洗浄性が発揮される。
【0031】
また、布帛7を構成する繊維8は長手方向に中空部10、あるいは空洞部11を有するので、布帛7が洗車中に水を含んでも、中実繊維のみで形成された布帛に比べて軽量化を図ることができると共に、繊維8の有する中空部10、あるいは空洞部11が、ブラシ片2が車体に当接する際の洗浄音を吸収する為、洗車機用洗浄ブラシ1は優れた静音性を有する。
【0032】
次に、布帛7を構成する繊維8の他の実施の形態について、図3、及び図4を用いて説明する。
【0033】
繊維8は概丸形中空断面を有するよう形成されているが、図3(A)の如くの四角形中空断面を有する繊維18、図3(B)の如くの三角形中空断面を有する繊維28、図3(C)の如くの概星形中空断面を有する繊維38、図3(D)の如くの概雫状中空断面を有する繊維48等を用いて、布帛7を形成し、ブラシ片2として使用してもよい。中空部20、30、40、50の形状は、繊維18、28、38、48の外形と略同一であっても構わないし、図3(E)の如く、中空部60は概丸形で、繊維58の外形は四角形を有する等、中空部60の形状と、繊維58の外形が異なるように形成しても構わない。また、前記以外にも、十字形中空断面、卍形中空断面、M形中空断面、菱形中空断面、Y形中空断面等の異形中空断面を有する繊維を単独、あるいは併用して布帛7を形成し、ブラシ片2として用いることができる。
【0034】
異形中空断面を有する繊維18、28、38、48、58により布帛7を形成し、ブラシ片2として用いた場合、繊維18、28、38、48、58の有する角部19、29、39、49、59により、車体に付着している汚れが掻き出される為、洗車機用洗浄ブラシ1の洗浄性が向上する。
【0035】
また、図4(A)の如く、複数の中空部70を有する繊維68を使用して、布帛7を形成し、ブラシ片2として用いてもよい。前記の如くのブラシ片2を用いた場合においては、布帛7の柔軟性が向上し、ブラシ片2は車体に一層、均一に密着して当接する為、洗車機用洗浄ブラシ1の洗浄性が大幅に向上する。
【0036】
さらに、図4(B)、図4(C)、図4(D)、図4(E)、及び図4(F)に示すように、中空部80、90、100、110、120、あるいは空洞部121を有する単一な繊維が、複数本、長手方向の外面に沿って接合された形態の繊維78、88、98、108、118を使用して、布帛7を形成し、ブラシ片2として用いてもよい。図4(B)において、繊維78は概丸形の中空部80を複数有する形態である。図4(C)において、繊維88は四角形の中空部90を複数有する形態である。図4(D)において、繊維98は概丸形の中空部100と四角形の中空部110を有する形態である。図4(E)において、繊維108は複数の概丸形の中空部120を有する単一な繊維が、複数本、長手方向の外面に沿って接合された形態である。図4(F)において、繊維118は概丸形の空洞部121を複数有する形態である。
【0037】
繊維78、88、98、108、118は紡糸口から合成樹脂を溶融紡糸して、前記の如くの形態に形成してもよいし、中空部80、90、100、110、120、あるいは空洞部121を有する単一な繊維を複数本用意して、加熱、薬品処理等の方法を用いて、単一な繊維の外面を溶融して接合しても得ることができる。
【0038】
また、接合される単一な繊維の本数、断面形状、外径、中空部80、90、100、110、120、あるいは空洞部121の数、形状、外径、1本の繊維78、88、98、108、118における中空部80、90、100、110、120と空洞部121の併用等の各種条件は、特に限定されるものではなく、使用目的に応じて、自由に組み合わせて、設定することができる。
【0039】
前記の如くの中空部80、90、100、110、120、あるいは空洞部121を有する単一な繊維が、複数本、長手方向の外面に沿って接合された形態の繊維78、88、98、108、118を使用して布帛7を形成し、ブラシ片2として用いた場合においては、繊維78、88、98、108、118の毛腰が単一な繊維に比べて強くなる為、布帛7の毛腰も強くなり、ブラシ片2は毛腰を強く設定して車体に当接することができるので、洗車機用洗浄ブラシ1の洗浄性が飛躍的に向上する。
【0040】
また、繊維78、88、98、108、118の長手方向に沿って形成された凹部77、87、97、107、117が流通路となり、洗車中にブラシ片2が含んだ水を毛細管現象により運び、水は広い面積に広げられ、迅速に蒸発する為、布帛7は速乾性を発揮することができるので、冬季にブラシ片2が凍結することを、防止することができる。
【0041】
なお、繊維8、18、28、38、48、58、68、78、88、98、108、118は、単独で使用して布帛7を形成してもよいし、併用して布帛7を形成してもよい。また、繊維8、18、28、38、48、58、68、78、88、98、108、118と、中実状の合成繊維、天然繊維、半合成繊維とを併用して布帛7を形成し、ブラシ片2として用いても何ら支障は無い。
【0042】
次に、図5を用いて、他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシ21について説明する。
【0043】
図5(A)、及び図5(B)において、洗車機用洗浄ブラシ21は、アルミニウム等の金属材料からなる芯線26と帯状体27に、ブラシ片2が挟み付けられて形成されたチャンネルブラシ24が、アルミニウム等の金属材料、あるいは塩化ビニル等の合成樹脂からなる略円筒形状の軸体23の外周面に螺旋状に巻き付けられ、チャンネルブラシ24の両端部が止め金具25にて固定して形成されてある。
【0044】
洗車機用洗浄ブラシ21は、軸体23に螺旋状に巻き付けられたチャンネルブラシ24の巻き付け間隔を調整することにより、ブラシ片2が被洗浄面である車体にさまざまな当接をする。例えば、巻き付け間隔が狭い場合には、ブラシ片2は軸体23の軸心の垂線にたいする傾斜角度が小さくなると共に、ブラシ片2の使用枚数が多くなるので、ブラシ片2は連続的に車体に当接することができ、洗車機用洗浄ブラシ21は高い洗浄性と静音性を発揮することができる。好適な傾斜角度は45°未満であり、さらに好適には30°〜5°である。また、巻き付け間隔が広い場合には、ブラシ片2は軸体23の軸心の垂線にたいする傾斜角度が大きくなると共に、ブラシ片2の使用枚数が少なくなるので、一片のブラシ片2が車体に当接する際の接触面積を広く確保することができる。好適な傾斜角度は45°以上であり、さらに好適には45〜60°である。また、洗車機用洗浄ブラシ21のコスト低減を図ることもできる。
【0045】
なお、洗車機用洗浄ブラシ1、21の構造に関しては、特に限定されるものではなく、使用目的に応じて、適時、設定することができる。また、ブラシ片2は布帛7が使用されてあるが、繊維8を多数本、積層して配列の上、芯線26、及び帯状体27にて挟み込んでチャンネルブラシ24を形成してもよい。
【0046】
(実施例2)
図6は、本発明の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機の正面図である。
【0047】
図6において、洗車機31は、本発明の洗車機用洗浄ブラシ1が搭載されてあり、洗車機用洗浄ブラシ1は駆動源32により回転駆動される。ノズル33からは、被洗浄面である車体にたいして、洗浄剤、及び洗浄水等が散布され、洗車機用洗浄ブラシ1により、車体に付着している汚れが除去され、洗浄後は洗車機31の乾燥手段である乾燥機34により車体が乾燥される。
【0048】
洗車機31は、車体に均一に密着して当接し、洗い残しの無い高い洗浄性を有する洗車機用洗浄ブラシ1が搭載されてある為、駆動源32により洗車機用洗浄ブラシ1の回転を低速に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、洗い残しの無い高い洗浄性を発揮することができる。
【0049】
また、前記実施例1に示した図1(A)の如く、洗車機用洗浄ブラシ1に形成されたブラシ片2は含水しても軽量化を図ることができるので、駆動源32にたいする負荷が軽減され、洗車機用洗浄ブラシ1の回転が不安定になることが無く、ブラシ片2は連続的に車体に当接することができる為、高い静音性を有する洗車機31を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の洗車機用洗浄ブラシは、主に、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に搭載する洗車機用洗浄ブラシとして使用する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】(A)本発明の洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図、(B)図1(A)の断面図
【図2】(A)ブラシ片を展開して前面側から見た斜視図、(B)繊維を前面側から見た斜視図、(C)繊維を前面側から見た斜視図
【図3】(A)他の実施の形態における繊維の断面図、(B)他の実施の形態における繊維の断面図、(C)他の実施の形態における繊維の断面図、(D)他の実施の形態における繊維の断面図、(E)他の実施の形態における繊維の断面図
【図4】(A)他の実施の形態における繊維の断面図、(B)他の実施の形態における繊維の断面図、(C)他の実施の形態における繊維の断面図、(D)他の実施の形態における繊維の断面図、(E)他の実施の形態における繊維の断面図、(F)他の実施の形態における繊維を前面側から見た斜視図
【図5】(A)他の実施の形態における洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図、(B)チャンネルブラシの断面図
【図6】本発明の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機の正面図
【符号の説明】
【0052】
1、21 洗車機用洗浄ブラシ
2 ブラシ片
3、23 軸体
4 溝部
6 リベット
7 布帛
8、18、28、38、48、58、68、78、88、98、108、118 繊維
9 取付孔
10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120 中空部
11、121 空洞部
19、29、39、49、59 角部
24 チャンネルブラシ
25 止め金具
26 芯線
27 帯状体
31 洗車機
32 駆動源
33 ノズル
34 乾燥機
77、87、97、107、117 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片及び軸体を有し、前記ブラシ片は前記軸体の外周部に形成されてあると共に、少なくとも布帛を有し、前記布帛を構成する少なくとも1本の繊維は長手方向に中空部、あるいは空洞部を有することを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項2】
請求項1記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記繊維は外周面に少なくとも一つの稜を有すると共に、長手方向に中空部、あるいは空洞部を有する異形中空断面にて形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項3】
請求項1から2記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記繊維は複数の中空部を有する断面、あるいは長手方向に複数の空洞部を有することを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項4】
駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、請求項1から3のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−49762(P2008−49762A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226345(P2006−226345)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】