説明

洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機

【課題】被洗浄面に傷やシミを付着させて車体の美観を損なうことなく、被洗浄面に強固に付着した水垢汚れ等を確実に除去することができる洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供する。
【解決手段】自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシ1において、前記洗車機用洗浄ブラシ1は、ブラシ部2及び軸体3を有し、前記ブラシ部2は前記軸体3の外周部に形成されてあると共に、前記被洗浄面に当接する洗浄部材5、及び前記洗浄部材5に重ね合わされた補強部材6及び/又は保護部材7を有し、前記洗浄部材5を前記補強部材6及び/又は保護部材7の外方に位置するようループ状に形成したブラシ片4、及び前記ブラシ片4を前記軸体3に固定する固定手段8を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシ、及びその洗浄ブラシを搭載した洗車機に関しては、使用目的に応じて、さまざまな改良がなされ、例えば、ブラシ片が、回転体に固定される取付基部から先端部まで延在する不織布片と、不織布片の取付基部から中間部に渡る裏面に重ねられる発泡合成樹脂片とを有してなることを特徴とする洗車用ブラシ(特許文献1)がある。
【0003】
上記の洗車用ブラシは、不織布片の取付基部から中間部に渡る裏面に重ねられる発泡合成樹脂片により、ブラシ片の腰を強く設定して、回転体の回転に伴い、被洗浄面にブラシ片を面接触にて当接することができる。そして、ブラシ片を構成する自由端部の不織布片にて、被洗浄面の汚れが拭き取られる。
【0004】
しかしながら、ブラシ片は被洗浄面にたいして面接触するものの、ブラシ片は回転体の回転に伴い、不織布片が被洗浄面に瞬間的に叩き付けられて、汚れ面に当接するのみであり、ブラシ片の被洗浄面に当接する際の面圧は極めて弱く、被洗浄面の表面に乗っている塵埃、砂塵等の汚れは除去されるが、被洗浄面に強固に付着している水垢汚れ等を除去するのは非常に難しいという課題を有していた。
【0005】
ところで、自動車等の車体の外面の被洗浄面に付着している汚れは、塵埃、砂塵、煤煙、ピッチ、タール、鉄粉、水垢等の成分の混合物であり、前記汚れの成分は、例えば、塵埃、砂塵等の如く被洗浄面の表面に乗っているだけの成分もあれば、水垢汚れの如く被洗浄面に強固に付着している成分まで様々である。特に、水垢汚れは、車体の表面に塗布され、車体にたいして三次元網目構造をなして強固に付着しているワックスやコート剤等の疎水性成分の網目部分に、空気中の埃や排気ガス、雨水等の不純物が取り込まれ、車体の熱により前記不純物を取り込んだワックスやコート剤成分が溶解し、経時的に黒ずんだ膜層状の汚れである。従って、水垢汚れは、洗車用ブラシのブラシ片を、回転体の回転に伴い、叩き付けるように当接させても、除去するのは非常に困難な汚れの成分である。
【0006】
上記の如くの水垢汚れを除去する為、水垢除去剤散布装置により水垢除去剤を車両表面に散布して回転ブラシ装置によりブラッシングする水垢除去剤散布およびブラッシング工程、リンス水噴射装置によりリンス水を噴射するリンス工程、乾燥装置により空気を噴射する乾燥工程、ワックス塗布装置によりワックスを噴射するワックス工程の各工程を上記順序で走行フレームを走行させながら行うことを特徴とする洗車機による車両の水垢除去方法(特許文献2)が考案されている。
【0007】
【特許文献1】特開2006−62483号公報
【特許文献2】特許第2547682号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2の洗車機による車両の水垢除去方法は、水垢除去剤として、原液でPH14を示す強アルカリ性のものをPH12〜14程度に調整したものが用いられ、車両表面から水垢汚れを浮き上がらせて剥離する。前記の如くの仕組みは、疎水性成分である水垢汚れと、強アルカリ性の水垢除去剤が接触し、化学的に反応することにより、疎水性の水垢汚れを、親水性の脂肪酸石鹸に化学変化させて車両表面から水垢汚れを除去する化学的除去方法である。
【0009】
上記の如くの化学的除去方法においては、親水性である強アルカリ性の水垢除去剤の浸透力を高めておかなければ、水垢除去剤は疎水性の水垢汚れには浸透しないことから、水垢除去剤には浸透力の高い界面活性剤等を配合しておく必要がある。浸透力が高められた水垢除去剤は、水垢汚れに浸透して、上記の如くの化学反応を通して、水垢汚れを剥離するものの、回転ブラシ装置によるブラッシングにより、車両の塗装にも浸透する。塗装面に浸透した水垢除去剤は、車両の乾燥に伴い、塗装面にシミとなって残り、車両の美観を損ねるという課題を有していた。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、被洗浄面に傷やシミを付着させて車体の美観を損なうことなく、被洗浄面に強固に付着した水垢汚れ等を確実に除去することができる洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の課題を解決する為に、請求項1の発明の洗車機用洗浄ブラシは、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ部及び軸体を有し、前記ブラシ部は前記軸体の外周部に形成されてあると共に、前記被洗浄面に当接する洗浄部材、及び前記洗浄部材に重ね合わされた補強部材及び/又は保護部材を有し、前記洗浄部材を前記補強部材及び/又は保護部材の外方に位置するようループ状に形成したブラシ片、及び前記ブラシ片を前記軸体に固定する固定手段を有するもので、ループ状に形成されたブラシ片は、軸体の長手方向に平行して、ループ状内部に穴部が形成されている為、ブラシ片は軸体の回転に伴い、面接触にて被洗浄面に当接する。また、ブラシ片を構成する洗浄部材は、補強部材及び/又は保護部材により押圧されながら被洗浄面に密着して当接する。その為、ブラシ片は被洗浄面にたいして、面接触にて面圧を付加すると共に、洗浄部材が密着しながら当接するので、洗車機用洗浄ブラシは、軸体の回転に伴い、ブラシ片が被洗浄面に強固に付着した水垢汚れ等を擦り取るように確実に除去する。
【0012】
請求項2の発明の洗車機用洗浄ブラシは、特に、請求項1の発明の洗車機用洗浄ブラシにおいて、洗浄部材は不織布と、織編物が絡合され、前記不織布を構成する極細繊維、及び前記織編物を構成する単繊維の表面に、極微細な気泡を有する高分子弾性体を付着させたもので、洗浄部材は、発泡化した高分子弾性体が不織布を構成する極細繊維、及び織編物を構成する単繊維の表面に付着していることから、柔軟性に優れ、面圧が付加されながら被洗浄面に当接しても、被洗浄面に傷を付着させることがない。また、不織布を構成する極細繊維は、複数本が集合した集束体であり、隣り合う極細繊維の間に形成された凹部、及び凸部により、被洗浄面に強固に付着した水垢汚れ等が掻き出される。さらに、洗浄部材は、不織布と織編物が絡合され、一体化しているので、被洗浄面に繰り返し当接しても、不織布の伸びを、織編物が抑制することから、切れ、破れ等の破損が極力抑えられ、高い耐久性を有する。
【0013】
請求項3の発明の洗車機用洗浄ブラシは、特に、請求項1から2の発明の洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ部は補助洗浄部材を有し、前記補助洗浄部材は長尺形状及び/又はスリットによる細分割部を有する平板状にて形成されてあると共に、ブラシ片に重ね合わされ、前記ブラシ片の外方に位置するよう形成されてあるもので、ループ状に形成されたブラシ片を構成する洗浄部材が被洗浄面の広い面積を洗浄すると同時に、長尺形状の補助洗浄部材及び/又はスリットによる細分割部を有する平板状の補助洗浄部材が被洗浄面の細かな凹凸部分、隙間等を洗浄する。その為、洗い残しの発生が抑えられ、洗浄性能が大幅に向上する。
【0014】
請求項4の発明の洗車機用洗浄ブラシは、特に、請求項1から3の発明の洗車機用洗浄ブラシにおいて、洗浄部材は補強部材、あるいは保護部材と着脱可能に形成されてあるもので、洗浄部材に、被洗浄面から擦り落とされた水垢汚れ等が付着し、被洗浄面に水垢汚れ等を再付着させるようになった場合においても、汚れの付着していない洗浄部材に交換することができる為、常に優れた洗浄性能が発揮される。また、万一、洗浄部材が破損した場合においても、新品の洗浄部材に交換することができるので、洗車機用洗浄ブラシ全体を交換する必要がないことから、コストを抑えたメンテナンスが可能である。
【0015】
請求項5の発明の洗車機用洗浄ブラシは、特に、請求項1から4の発明の洗車機用洗浄ブラシにおいて、ループ状に形成されたブラシ片の側面部に被覆部材が形成されてあるもので、ブラシ片の有する穴部が被覆されてある為、前記穴部が被洗浄面である車体に装着されたアンテナ、ワイパー、ナンバープレート、エンブレム等の装備品に引っ掛かることがなく、前記装備品の破損が防止されることから安全性が向上する。
【0016】
請求項6の発明の洗車機は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、請求項1から5のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載したもので、ブラシ片が被洗浄面に面接触にて面圧を付加しながら密着して当接し、車体に強固に付着している水垢汚れ等を確実に除去する非常に優れた洗浄性能を有する洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある為、洗車機は、駆動源により洗車機用洗浄ブラシの回転を低速に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、高い洗浄性能が発揮される。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明の洗車機用洗浄ブラシは、軸体の回転に伴い、ブラシ片が被洗浄面にたいして面接触にて面圧を付加しながら、密着して当接するので、被洗浄面に強固に付着した水垢汚れ等を擦り取るように確実に除去することができる。
【0018】
請求項2の発明の洗車機用洗浄ブラシは、柔軟性に優れた洗浄部材が被洗浄面に当接するので、面圧が付加されながら被洗浄面に当接しても、被洗浄面に傷を付着させることがない。また、不織布を構成する極細繊維は、複数本が集合した集束体であり、隣り合う極細繊維の間に形成された凹部、及び凸部により、被洗浄面に強固に付着した水垢汚れ等を掻き出すことができる。さらに、不織布の伸びを、織編物が抑制することから、切れ、破れ等の破損を極力抑えることができる。
【0019】
請求項3の発明の洗車機用洗浄ブラシは、洗浄部材が被洗浄面の広い面積を洗浄すると同時に、補助洗浄部材が被洗浄面の細かな凹凸部分、隙間等を洗浄するので、洗い残しの発生を抑え、洗浄性能の向上を図ることができる。
【0020】
請求項4の発明の洗車機用洗浄ブラシは、洗浄部材が汚れたり、破損した場合においても、洗浄部材のみを交換すればよいので、洗車機用洗浄ブラシ全体を交換する必要がなく、コストを抑えたメンテナンスが可能である。
【0021】
請求項5の発明の洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片の有する穴部が被覆されてあるので、前記穴部が被洗浄面である車体に装着されたアンテナ、ワイパー、ナンバープレート、エンブレム等の装備品に引っ掛かることがなく、前記装備品の破損を防止することができる。
【0022】
請求項6の発明の洗車機は、駆動源により洗車機用洗浄ブラシの回転を低速に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、高い洗浄性能を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施例1)
図1(a)は、本発明の第1の実施例における洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図、図1(b)は、図1(a)の側面図、図2(a)は、洗浄部材を前面側から見た斜視図、図2(b)は、集束体の部分拡大斜視図、図2(c)は、高分子弾性体が表面に付着した単繊維の部分拡大斜視図、図2(d)は、図2(a)のA−A断面図、図3(a)は、保護部材を前面側から見た斜視図、図3(b)は、補強部材を前面側から見た斜視図、図3(c)、及び図3(d)は、ブラシ片の側面図、図4(a)は、本発明の第1の実施例における洗車機用洗浄ブラシを取り付けた洗車機で車体を洗浄する際の様子を示す断面図、図4(b)は、本発明の第1の実施例における洗車機用洗浄ブラシの洗車時の使用状態を示す部分断面図である。
【0025】
図1(a)、及び図1(b)において、洗車機用洗浄ブラシ1は、ループ状に形成されたブラシ片4にリベット8が挿入されたブラシ部2を、アルミニウム、鉄等の金属材料からなる略円筒形状の軸体3の外周等分4箇所に設けられた溝部9に挿入し、リベット8にて軸体3に固定して形成されてある。ブラシ片4は、平板状の洗浄部材5、保護部材7、及び補強部材6が重ね合わされ、ループ状に形成されてあると共に、洗浄部材5の一方の面が被洗浄面に当接するよう外方に位置し、洗浄部材5の他方の面は保護部材7の一方の面と重ね合わされ、保護部材7の他方の面は補強部材6の一方の面と重ね合わされている。ループ状に形成されたブラシ片4の有する穴部10は、軸体3の長手方向に平行して形成されている。なお、軸体3の外周面に設けられた溝部9は、等分4箇所以外にも、6箇所、8箇所、12箇所等、使用目的に応じて、適時、設定できる。
【0026】
次に、ブラシ片4を構成する洗浄部材5、保護部材7、補強部材6について詳説する。
【0027】
図2(a)、及び図2(d)において、洗浄部材5は、平板状の編物12の両面に、平板状の不織布11の一方の面が重ね合わされ、不織布11を構成する極細繊維14と、編物12を構成する単繊維19が絡み合うことにより、不織布11と編物12が絡合されると共に、極細繊維14、及び単繊維19の表面に高分子弾性体15を付着させ、極細繊維14と単繊維19を、高分子弾性体15を介して接着することにより、不織布11と編物12が一体化して構成された皮革様基材29からなる。なお、高分子弾性体15の材質としては、ポリウレタンが用いられる。また、洗浄部材5には、リベット8が挿入される複数の取付孔20が、トムソン型、カッター等により形成されている。
【0028】
洗浄部材5の厚みは0.5mm以上4.0mm以下が好ましく、厚みが0.5mm未満の場合は、被洗浄面に繰り返し当接すると摩耗しやすく耐久性に劣り、厚みが4.0mmを超える場合は、洗車中に洗浄水等の液体を含んで重くなり、洗車機の駆動源への負荷が増し、洗車機用洗浄ブラシ1の回転が不安定となる。なお、洗浄部材5は、平板状の編物12の片面に、平板状の不織布11の一方の面が重ね合わされた形態も採用できる。
【0029】
図2(b)において、不織布11を構成する概丸形断面を有する極細繊維14は、複数本が集まり、それぞれの極細繊維14の表面に極微細な気泡16を有する高分子弾性体15が付着することにより、集束体13として形成される。集束体13には、隣り合う極細繊維14の間に形成された凹部17、及び凸部18が形成されている。なお、極細繊維14の材質としては、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維が用いられ、繊度は1デシテックス未満である。繊度1デシテックスとは、糸長10000mで1gとなる繊維のことである。また、極細繊維14の断面形状は、概丸形以外にも、三角形、四角形等の異形断面であっても構わない。さらに、極細繊維14は糸長が50mm以下の短繊維、糸長が50mmを超える長繊維のいずれであってもよい。
【0030】
図2(c)において、編物12を構成する概丸形断面を有する単繊維19は、表面に極微細な気泡16を有する高分子弾性体15が付着している。単繊維19の材質としては、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維が用いられ、繊度は1デシテックス以上である。また、単繊維19の断面形状は、概丸形以外にも、三角形、四角形等の異形断面であっても構わない。
【0031】
洗浄部材5に用いられる皮革様基材29は、次の手順にて製造される。最初に、単繊維19を平編み、ゴム編み、パール編み、デンビー編み、アトラス編み、コード編み等により形成した平板状の編物12を用意する。次に、編物12の両面に、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体と、前記水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体より融点の高い結晶性熱可塑性ポリマーを有する複合繊維からなる平板状の不織布11を重ね合わせて積層し、一般的にニードルパンチングと呼ばれる特殊な針を突き刺すことにより、前記複合繊維と単繊維19を絡み合わせ、不織布11と編物12を絡合させ、布状体を形成する。なお、前記ニードルパンチング以外にも高圧水流により、前記複合繊維と単繊維19を絡み合わせ、不織布11と編物12を絡合させ、布状体を形成することもできる。また、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体より融点の高い結晶性熱可塑性ポリマーとは、ポリエステル、ナイロン等の樹脂のことである。次いで、前記布状体を熱水に浸漬させ、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体を抽出除去し、不織布11層を極細繊維14にて形成し、高分子弾性体15であるポリウレタン溶液中に浸漬させ、極細繊維14、及び単繊維19の表面にポリウレタンを付着させる。その際、極細繊維14は、複数本が集合し、集束体13に形成される。次に、ポリウレタンを含浸した布状体を、水中に浸漬し、二酸化炭素を注入することにより、ポリウレタンを発泡化させ、極微細な気泡16を形成し、加熱して水分を揮発させることにより、平板状の皮革様基材29が製造される。なお、編物12の替わりに、単繊維19を、平織、綾織、朱子織等により形成した平板状の織物を用いることもできる。
【0032】
図3(a)において、保護部材7は、複数の独立気泡22を有する平板状の合成樹脂発泡体21からなる。保護部材7には、リベット8が挿入される複数の取付孔23が、トムソン型、カッター等により形成されている。保護部材7の厚みは、0.5mm以上5.0mm以下が好ましく、厚みが0.5mm未満の場合は、洗浄部材5にたいする押圧が低くブラシ片4の洗浄性能が低く、厚みが5.0mmを超える場合は、ブラシ片4をループ状に形成するのが難しくなる。
【0033】
保護部材7に用いられる合成樹脂発泡体21は、次の手順にて製造される。最初に、直方体の型に、ペレット状、あるいは粉末状のポリエチレン、エチレンビニルアセテート、エチレンメチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレンブチルアクリレート等のポリオレフィン系の合成樹脂と、発泡剤、架橋剤等の添加剤を混入し、加熱することにより、合成樹脂を発泡させると共に、合成樹脂の分子間に共有架橋構造を形成する。合成樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された発泡体は、一般的には架橋発泡体と呼ばれ、分子間に橋架け構造が形成されているので、優れた弾力性を有している。次に、得られた立方形状の発泡体を所望の厚みにスライスして、平板状の合成樹脂発泡体21が形成される。
【0034】
合成樹脂発泡体21の発泡倍率は、5倍以上30倍以下が好ましく、発泡倍率が5倍未満の場合は、硬くてブラシ片4をループ状に形成するのが難しく、発泡倍率が30倍を超える場合は、柔らかくて洗浄部材5にたいする押圧が低くブラシ片4の洗浄性能が劣ることになる。
【0035】
図3(b)において、補強部材6は、平板状の合成樹脂板24からなる。補強部材6には、リベット8が挿入される複数の取付孔26が、トムソン型、カッター等により形成されてあると共に、四隅には曲線部25が形成されている。補強部材6は、四隅に曲線部25が形成されているので、保護部材7に重ね合わされ、ループ状のブラシ片4を構成した場合、ブラシ片4が被洗浄面に当接を続け、被洗浄面から衝撃を受けても、角部を有していない為、保護部材の破れ、裂け等を防ぐことができる。補強部材6の厚みは、0.1mm以上1.0mm以下が好ましく、厚みが0.1mm未満の場合は、柔らかくて洗浄部材5にたいする押圧が低くブラシ片4の洗浄性能が低く、厚みが1.0mmを超える場合は、硬くてブラシ片4をループ状に形成するのが難しくなる。
【0036】
合成樹脂板24の材質としては、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂が採用される。また、合成樹脂の分子間に共有架橋構造が形成された合成樹脂板24は、分子間に橋架け構造が形成されているので、優れた弾力性を有し、ループ状のブラシ片4の構成部品として形成された場合、ブラシ片4が被洗浄面に当接を続け、被洗浄面から衝撃を受けても、折れや割れが発生し難く、ブラシ片4の耐久性の向上につながる。なお、補強部材6は、合成樹脂板24以外にも、平板状の熱可塑性エラストマーシート、フィルム状樹脂組成物等を用いても構わない。
【0037】
次に、洗車機用洗浄ブラシ1の製作方法について説明する。
【0038】
最初に、図2(a)、図3(a)、及び図3(b)の如く所望の長さ、及び幅に切断されると共に、取付孔20、23、26が形成された平板状の洗浄部材5、保護部材7、補強部材6を用意する。次に、図3(c)に示すように、洗浄部材5、複数の独立気泡22を有する保護部材7、補強部材6を重ね合わせ、矢印の方向にブラシ片4を折り曲げ、図4(d)の如く、穴部10を有し、洗浄部材5の一方の面が外方に位置し、洗浄部材5の他方の面は保護部材7の一方の面と重ね合わされ、保護部材7の他方の面は補強部材6の一方の面と重ね合わされたループ状のブラシ片4を形成する。なお、ブラシ片4をループ状に形成する際、洗浄部材5の有する取付孔20、保護部材7の有する取付孔23、及び補強部材6の有する取付孔26が、それぞれ略一致するように重ね合わせる。
【0039】
そして、ブラシ片4の有する取付孔20、23、26にリベット8を挿入してブラシ部2を構成し、ブラシ部2を軸体3の外周等分4箇所に設けられた溝部9に挿入してリベッター等によりリベット8を軸体3に固定することにより、図1(a)、及び図1(b)の如くの洗車機用洗浄ブラシ1が製作される。
【0040】
次に、図4(a)、及び図4(b)を用いて、洗車機用洗浄ブラシ1の動作、作用について説明する。
【0041】
図4(a)において、洗車機用洗浄ブラシ1は、洗車機に取り付けられ、図示しない駆動源により回転し、被洗浄面である車体27の表面にブラシ片4を押し付けながら、前部から後部、あるいは後部から前部にかけて移動する。ブラシ片4は、図4(a)に示すように、車体27の表面の形状、凹凸に沿って容易に変形しながら移動する。勿論、この間、洗車機から洗浄水や洗浄剤等の液体が車体27及び/又は洗車機用洗浄ブラシ1に噴射されるのは言うまでも無い。なお、図4(a)に示した洗車機用洗浄ブラシ1は、車体27のボンネット、フロントウィンド、ルーフ、リアウィンド、トランク等を洗浄するトップブラシである。
【0042】
そして、図4(b)の如く、洗車機用洗浄ブラシ1は、矢印Bの方向に回転しながら、ブラシ片4を車体27に押し付ける際、ループ状のブラシ片4の有する穴部10は、軸体3の長手方向に平行して形成されている為、軸体3の回転に伴い、面接触にてブラシ片4が車体27に当接する。また、ブラシ片4を構成する洗浄部材5は、補強部材6、及び保護部材7により押圧されながら車体27に密着し、ニップ幅Wだけ当接する。その為、ブラシ片4は車体27にたいして、面接触にて面圧を付加すると共に、洗浄部材5が密着しながら当接するので、洗車機用洗浄ブラシ1は、軸体3の回転に伴い、ブラシ片4が車体27に膜層化して強固に付着した水垢汚れ28等を擦り取りながら、確実に除去し、車体27を洗浄する。
【0043】
洗浄部材5は、発泡化した極微細な気泡16を有する高分子弾性体15が不織布11を構成する極細繊維14、及び編物12を構成する単繊維19の表面に付着していることから、柔軟性に優れ、面圧が付加されながら車体27に当接しても、車体27に傷を付着させることがない。また、不織布11を構成する極細繊維14は、複数本が集合した集束体13であり、隣り合う極細繊維14の間に形成された凹部17、及び凸部18により、車体27に強固に付着した水垢汚れ28等が掻き出される。さらに、洗浄部材5は、不織布11と編物12が絡合され、一体化しているので、車体27に繰り返し当接しても、不織布11の伸びを、編物12が抑制することから、切れ、破れ等の破損が極力抑えられ、高い耐久性を有する。なお、万一、洗浄部材5が破損しても、柔軟性に優れた合成樹脂発泡体21からなる保護部材7が車体27に当接し、硬い合成樹脂板24からなる補強部材6は車体27に当接しないので、車体27に傷を付着させることはない。
【0044】
次に、本発明の洗車機用洗浄ブラシ1の洗浄性能について試験した。下記に示した要領で測定し、その結果を表1に示した。
【0045】
実施例として、厚みが1.2mm、長さが300mm、幅が50mmの皮革用基材29からなる洗浄部材5、厚みが2.5mm、長さが300mm、幅が50mmの合成樹脂発泡体21からなる保護部材7、厚みが0.5mm、長さが300mm、幅が50mmの合成樹脂板24からなる補強部材6を、それぞれ16枚ずつ用意した。次に、洗浄部材5、保護部材7、補強部材6を重ね合わせると共に、折り曲げ、穴部10を有し、洗浄部材5の一方の面が外方に位置し、洗浄部材5の他方の面は保護部材7の一方の面と重ね合わされ、保護部材7の他方の面は補強部材6の一方の面と重ね合わされたループ状のブラシ片4を形成し、ブラシ片4の有する取付孔20、23、26にリベット8を挿入してブラシ部2を形成した。次に、直径が114mmで且つ長さが360mmの鉄製の略円筒形状の軸体3の外周等分4箇所に設けられた溝部9に、ブラシ部2を挿入すると共に、リベット8を軸体3に固定した。1箇所の溝部9に、ブラシ部2を4箇所ずつ形成することにより、実施例の試験用の洗車機用洗浄ブラシ1を1本製作した。
【0046】
比較例として、厚みが1.2mm、長さが300mm、幅が50mmの皮革様基材29からなる洗浄部材5、厚みが2.5mm、長さが220mm、幅が50mmの合成樹脂発泡体21からなる保護部材7、厚みが0.5mm、長さが220mm、幅が50mmの合成樹脂板24からなる補強部材6を、それぞれ16枚ずつ用意した。なお、洗浄部材5、保護部材7、及び補強部材6の長手方向の略中央部には、それぞれ2箇所の取付孔を設けた。次に、洗浄部材5、保護部材7、及び補強部材6の取付孔が略一致するように重ね合わせると共に、長手方向の略中央部にて二つ折りしてブラシ片を形成し、取付孔にリベットを挿入してブラシ部を構成した。次に、直径が114mmで且つ長さが360mmの鉄製の略円筒形状の軸体の外周等分4箇所に設けられた溝部に、ブラシ部を挿入すると共に、リベットを軸体に固定した。1箇所の溝部に、ブラシ部を4箇所ずつ形成することにより、比較例の試験用の洗車機用洗浄ブラシを1本製作した。
【0047】
次に、上記の如く構成された実施例の洗車機用洗浄ブラシ1、及び比較例の洗車機用洗浄ブラシを、それぞれ回転試験機に取り付け、240rpmの一定の回転速度で回転させる一方、一面に膜層化した水垢汚れ28が形成された白色ソリッド塗装鋼板を用意し、前記回転速度で回転している軸体3の外周部に取り付けられたブラシ片4の先端が描く仮想円上から30mmだけ軸体3の方向に近接した位置に前記白色ソリッド塗装鋼板を、その水垢汚れ28面が軸体3に対向した状態に配設すると共に、6L毎分の散布量にて洗浄水を吹き付けながら1分間に亘って鋼板の水垢汚れ28面にブラシ片4を当接させることによって鋼板の水垢汚れ28を除去した。なお、水垢汚れ28は、白色ソリッド塗装鋼板に、ソフト99コーポレーション製のコート剤である激防水ホワイト車用を塗布し、50日間、屋外放置して形成した。
【0048】
そして、鋼板の水垢汚れ28面におけるブラシ片4によって水垢汚れ28を除去した部分の明度を、日本電色工業株式会社製の色差計NR−1で測定して、下記基準により、洗浄性能を判断した。
○・・・明度の向上が+5以上
×・・・明度の向上が+5未満
【0049】
【表1】

【0050】
上記試験結果より、実施例の洗車機用洗浄ブラシ1は、軸体3の回転に伴い、ブラシ片4が鋼板にたいして面接触にて面圧を付加しながら、密着して当接するので、鋼板に強固に付着した水垢汚れ28を擦り取るように確実に除去し、洗浄性能の優れたものであった。
【0051】
一方、比較例の洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片を構成する自由端部の皮革様基材が鋼板に面接触するものの、ブラシ片は軸体の回転に伴い、皮革様基材29が鋼板に瞬間的に叩き付けられて、水垢汚れ28面に当接するのみであり、ブラシ片の鋼板に当接する際の面圧は極めて弱く、鋼板に強固に付着している水垢汚れ28を除去することはできず、洗浄性能の劣るものであった。
【0052】
(実施例2)
図5(a)は、本発明の第2の実施例における洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図、図5(b)は、図5(a)の側面図、図5(c)は、補助洗浄部材の平面図である。なお、上記第1の実施例と同一部材については、詳しい説明を省略する。
【0053】
図5(a)、及び図5(b)において、洗車機用洗浄ブラシ31は、ループ状に形成されたブラシ片34に重ね合わされ、ブラシ片34の外方に位置するよう形成されたスリット42による細分割部43を有する平板状の補助洗浄部材41、及びブラシ片34にリベット38が挿入されたブラシ部32を、略円筒形状の軸体33の外周等分4箇所に設けられた溝部39に挿入し、リベット38にて軸体33に固定して形成されてある。ブラシ片34は、平板状の洗浄部材35、保護部材37、及び補強部材36が重ね合わされ、ループ状に形成されてあると共に、洗浄部材35の一方の面が被洗浄面に当接するよう外方に位置し、洗浄部材35の他方の面は保護部材37の一方の面と重ね合わされ、保護部材37の他方の面は補強部材36の一方の面と重ね合わされている。ループ状に形成されたブラシ片34の有する穴部40は、軸体33の長手方向に平行して形成されている。
【0054】
図5(c)において、補助洗浄部材41は、スリット42により複数の細分割部43が形成された平板状の合成樹脂発泡体であり、長手方向の略中央部には、リベット38が挿入される取付孔44が形成されている。細分割部43の幅は1.0mm以上10.0mm以下が好ましく、幅が1.0mm未満の場合は、細分割部43は切れやすく耐久性に劣り、10.0mmを超える場合は、被洗浄面の細かな凹凸部分、隙間等を洗浄することが難しくなる。なお、補助洗浄部材41は、前記合成樹脂発泡体のほか、平板状の織物、編物、不織布等の布帛、人工皮革、合成皮革、人造皮革等の擬革、エラストマーシート、長尺形状のフィルム状樹脂組成物、合成樹脂繊維等を単独、あるいは併用して採用することができる。
【0055】
洗車機用洗浄ブラシ31は、下記の手順にて製作される。
【0056】
最初に、洗浄部材35、保護部材37、補強部材36を重ね合わせると共に、折り曲げ、穴部40を有し、洗浄部材35の一方の面が外方に位置し、洗浄部材35の他方の面は保護部材37の一方の面と重ね合わされ、保護部材37の他方の面は補強部材36の一方の面と重ね合わされたループ状のブラシ片34を形成する。次に、ブラシ片34の有する取付孔(図示せず)と、補助洗浄部材41の取付孔44が略一致するように、ブラシ片34の外方に補助洗浄部材41が位置するよう、補助洗浄部材41を長手方向の略中央部にて二つ折りしてブラシ片34に重ね合わせ、ブラシ片34の取付孔と補助洗浄部材の取付孔44にリベット38を挿入してブラシ部32を形成する。ブラシ部32は、軸体33の外周等分4箇所に設けられた溝部39に挿入されると共に、リベッターによりリベット38が軸体33に固定され、図5(a)、及び図5(b)の如くの洗車機用洗浄ブラシ31が製作される。
【0057】
上記の如く構成された洗車機洗浄ブラシ31の動作、作用は下記の通りである。
【0058】
洗車機用洗浄ブラシ31は、ループ状に形成されたブラシ片34を構成する洗浄部材35が補強部材36、及び保護部材37により面圧を付加されながら被洗浄面の広い面積を洗浄すると同時に、スリット42による細分割部43を有する平板状の補助洗浄部材41が被洗浄面の細かな凹凸部分、隙間等を洗浄するので、洗浄性能が大幅に向上する。なお、被洗浄面の細かな凹凸部分、隙間とは、例えば、モールの隙間、サイドミラーの下部、タイヤハウス等のことである。
【0059】
(実施例3)
図6(a)は、洗浄部材の平面図、図6(b)は、保護部材の平面図、図6(c)は、補強部材の平面図、図6(d)は、ブラシ片の側面図、図6(e)は、本発明の第3の実施例における洗車機用洗浄ブラシの部分側面図である。なお、上記第1、及び第2の実施例と同一部材については、詳しい説明を省略する。
【0060】
図6(a)において、洗浄部材55は、平板状の皮革様基材からなり、長手方向の両端部の近傍には、面ファスナー61aが縫製による接合部62aを介して接合されてある。
【0061】
図6(b)において、保護部材57は、平板状の合成樹脂発泡体からなり、長手方向の両端部の近傍には、複数の取付孔63、及び面ファスナー61bが縫製による接合部62bを介して接合されてある。取付孔63は、面ファスナー61bより保護部材57の端部側に形成されている。
【0062】
図6(c)において、補強部材56は、平板状の合成樹脂板からなり、長手方向の両端部の近傍には、複数の取付孔66が形成されてあると共に、四隅には曲線部65が形成されている。
【0063】
図6(d)において、ブラシ片54は、面ファスナー61aが装着されている面の洗浄部材55と、面ファスナー61bが装着されている面の保護部材57が重ね合わされると共に、面ファスナー61aと面ファスナー61bは貼り合わされ、面ファスナー61bが装着されていない面の保護部材57と、補強部材56の一方の面が重ね合わされ、ブラシ片54を折り曲げる。その際、保護部材57の有する取付孔63と、補強部材56の有する取付孔66が略一致するように折り曲げ、図6(e)の如く、ループ状にブラシ片54を形成する。
【0064】
そして、ループ状に形成されたブラシ片54の有する取付孔63、66にリベット58を挿入し、ブラシ部52を形成する。次に、ブラシ部52を、図6(e)の如く、略円筒形状の軸体53の外周部に形成された溝部59に挿入すると共に、リベッターによりリベット58を軸体53に固定することにより、洗車機用洗浄ブラシ51が形成される。
【0065】
上記の如く構成された洗車機洗浄ブラシ51の動作、作用は下記の通りである。
【0066】
洗車機用洗浄ブラシ51は、ブラシ片54を構成する洗浄部材55が、保護部材57と面ファスナー61a、61bを介して着脱自在に形成されている。その為、洗浄部材55に、被洗浄面から擦り落とされた水垢汚れ等が付着し、被洗浄面に水垢汚れ等を再付着させるようになった場合においても、汚れの付着していない洗浄部材55に交換することができるので、洗車機用洗浄ブラシ51は、常に優れた洗浄性能が発揮される。また、万一、洗浄部材55が破損した場合においても、新品の洗浄部材55に交換することができるので、洗車機用洗浄ブラシ51全体を交換する必要がないことから、コストを抑えたメンテナンスが可能である。
【0067】
(実施例4)
図7(a)は、本発明の第4の実施例における洗車機用洗浄ブラシの部分斜視図、図7(b)は、図7(a)の側面図である。なお、上記第1、第2、及び第3の実施例と同一部材については、詳しい説明を省略する。
【0068】
図7(a)、及び図7(b)において、洗車機用洗浄ブラシ71は、ブラシ部72が略円筒形状の軸体73の外周部に設けられた溝部79に挿入され、リベット78にて軸体73に固定して形成されている。ブラシ部72は、洗浄部材75、保護部材77、及び補強部材76が重ね合わされ、穴部80を有するようループ状に形成されたブラシ片74にリベット78を装着すると共に、穴部80を被覆するようにブラシ片74の側面部を被覆部材81にて被覆し、被覆部材81の端部を縫製による接合部82を介してブラシ片74と一体化して形成されている。なお、接合部82は、前記縫製以外にも接着、溶着等により形成することもできる。
【0069】
被覆部材81は、ブラシ片74が洗車時に、被洗浄面である車体の表面の形状、凹凸に沿って容易に変形する必要があることから、柔軟性に優れ、ブラシ片74の変形に追従できる平板状の不織布、織物、編物等の布帛、人工皮革、合成皮革、人造皮革等の擬革、フィルム状樹脂組成物等が好適に用いられる。なお、被覆部材81は、全てのループ状に形成されたブラシ片74の側面部を被覆する必要はなく、少なくとも軸体73の両端部に位置するブラシ片74の側面部を被覆すればよい。また、被覆部材81は、ブラシ片74の側面部の全面を必ずしも被覆する必要はなく、側面部の一部のみを被覆する形態も採用可能である。
【0070】
上記の如く構成された洗車機用洗浄ブラシ71の動作、作用は下記の通りである。
【0071】
洗車機用洗浄ブラシ71は、ブラシ片74の有する穴部80が被覆部材81により被覆されてある為、前記穴部80が被洗浄面である車体に装着されたアンテナ、ワイパー、ナンバープレート、エンブレム等の装備品に引っ掛かることがなく、前記装備品の破損が防止されることから安全性が向上する。
【0072】
(実施例5)
図8は、本発明の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機の正面図である。
【0073】
図8において、洗車機90は、本発明の洗車機用洗浄ブラシ91が搭載されてあり、洗車機用洗浄ブラシ91は駆動源92により回転駆動される。複数のノズル93からは、被洗浄面である車体にたいして、洗浄剤、及び洗浄水等が散布され、洗車機用洗浄ブラシ91により、車体に強固に付着している水垢汚れ等が除去され、洗浄後は洗車機90の乾燥手段である乾燥機94により車体が乾燥される。なお、洗車機用洗浄ブラシ91は、上記実施例における洗車機用洗浄ブラシ1、31、51、71のいずれかと同一である。
【0074】
上記の如く構成された洗車機90の動作、作用は下記の通りである。
【0075】
洗車機90は、ブラシ片が車体に面接触にて面圧を付加しながら密着して当接し、車体に強固に付着している水垢汚れ等を確実に除去する非常に優れた洗浄性能を有する洗車機用洗浄ブラシ91が搭載されてある為、駆動源92により洗車機用洗浄ブラシ91の回転を低速に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、高い洗浄性能が発揮される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の洗車機用洗浄ブラシは、主に、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に搭載する洗車機用洗浄ブラシとして使用する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】(a)本発明の第1の実施例における洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図、(b)図1(a)の側面図
【図2】(a)洗浄部材を前面側から見た斜視図、(b)集束体の部分拡大斜視図、(c)高分子弾性体が表面に付着した単繊維の部分拡大斜視図、(d)図2(a)のA−A断面図
【図3】(a)保護部材を前面側から見た斜視図、(b)補強部材を前面側から見た斜視図、(c)ブラシ片の側面図、(d)ブラシ片の側面図
【図4】(a)本発明の第1の実施例における洗車機用洗浄ブラシを取り付けた洗車機で車体を洗浄する際の様子を示す断面図、(b)本発明の第1の実施例における洗車機用洗浄ブラシの洗車時の使用状態を示す部分断面図
【図5】(a)本発明の第2の実施例における洗車機用洗浄ブラシを前面側から見た斜視図、(b)図5(a)の側面図、(c)補助洗浄部材の平面図
【図6】(a)洗浄部材の平面図、(b)保護部材の平面図、(c)補強部材の平面図、(d)ブラシ片の側面図、(e)本発明の第3の実施例における洗車機用洗浄ブラシの部分側面図
【図7】(a)本発明の第4の実施例における洗車機用洗浄ブラシの部分斜視図、(b)図7(a)の側面図
【図8】本発明の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機の正面図
【符号の説明】
【0078】
1、31、51、71、91 洗車機用洗浄ブラシ
2、32、52、72 ブラシ部
3、33、53、73 軸体
4、34、54、74 ブラシ片
5、35、55、75 洗浄部材
6、36、56、76 補強部材
7、37、57、77 保護部材
8、38、58、78 リベット
9、39、59、79 溝部
10、40、60、80 穴部
11 不織布
12 編物
13 集束体
14 極細繊維
15 高分子弾性体
16 気泡
17 凹部
18 凸部
19 単繊維
20、23、26、44、63、66 取付孔
21 合成樹脂発泡体
22 独立気泡
24 合成樹脂板
25、65 曲線部
27 車体
28 水垢汚れ
29 皮革様基材
41 補助洗浄部材
42 スリット
43 細分割部
61a、61b 面ファスナー
62a、62b、82 接合部
81 被覆部材
90 洗車機
92 駆動源
93 ノズル
94 乾燥機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ部及び軸体を有し、前記ブラシ部は前記軸体の外周部に形成されてあると共に、前記被洗浄面に当接する洗浄部材、及び前記洗浄部材に重ね合わされた補強部材及び/又は保護部材を有し、前記洗浄部材を前記補強部材及び/又は保護部材の外方に位置するようループ状に形成したブラシ片、及び前記ブラシ片を前記軸体に固定する固定手段を有することを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項2】
請求項1記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、洗浄部材は不織布と、織編物が絡合され、前記不織布を構成する極細繊維、及び前記織編物を構成する単繊維の表面に、極微細な気泡を有する高分子弾性体を付着させたことを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項3】
請求項1から2記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、ブラシ部は補助洗浄部材を有し、前記補助洗浄部材は長尺形状及び/又はスリットによる細分割部を有する平板状にて形成されてあると共に、ブラシ片に重ね合わされ、前記ブラシ片の外方に位置するよう形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項4】
請求項1から3記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、洗浄部材は補強部材、あるいは保護部材と着脱可能に形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項5】
請求項1から4記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、ループ状に形成されたブラシ片の側面部に被覆部材が形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項6】
駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、請求項1から5のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−55960(P2009−55960A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223476(P2007−223476)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】