説明

洗車機

【課題】トレーラーの荷台部の未洗浄領域を削減できる洗車機を提供する。
【解決手段】被洗浄車両CAに沿って前後に走行する本体部1と、本体部1に支持されて被洗浄車両CAの側面に摺動するサイドブラシ5と、サイドブラシ5を被洗浄車両CAに対して接離させるブラシ移動部23と、サイドブラシ5の駆動電流を検出する電流検出部26とを備えた洗車機WAにおいて、トレーラーの荷台部103を洗浄する際に、本体部1の走行によりサイドブラシ5を荷台部103に対向する開始位置S1に配置した後、回転するサイドブラシ5をブラシ移動部23により被洗浄車両CAに接近させて電流検出部26の検出によりサイドブラシ5を被洗浄車両CAに接触させる初期設定期間と、サイドブラシ5を被洗浄車両CAに接触した状態で本体部1の走行により開始位置S1に対して被洗浄車両CAの前方に向かって所定距離L2移動させる前方洗浄期間とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドブラシによりトレーラーの荷台部を洗浄する洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
トレーラーを含む大型車両から成る被洗浄車両を洗車する従来の洗車機は特許文献1に開示される。この洗車機は被洗浄車両を跨いで被洗浄車両に対して前後に走行する門型の本体部を備えている。本体部には被洗浄車両の上面に対向するトップブラシや側面に対向するサイドブラシが設けられる。トップブラシ及びサイドブラシはそれぞれモータにより回転駆動され、移動装置によって被洗浄車両に対して接近及び離隔するように移動する。
【0003】
キャビンに連結部を介して荷台部が連結されたトレーラーを洗車する場合には、洗車機の本体部が移動して予め設定される第1所定位置及び第2所定位置に配置される。第1所定位置では本体部の側部に設けたセンサが連結部に対向し、側方から検知するセンサが未検知状態となる。第2所定位置ではセンサが荷台部に対向し、センサが検知状態となる。これにより、被洗浄車両の車種がトレーラーであることを検知する。
【0004】
次に、本体部が第2所定位置から被洗浄車両の後方に向かって走行し、トップブラシが被洗浄車両に対向した開始位置に配されると移動装置によりトップブラシが被洗浄車両に接触する。また、サイドブラシが被洗浄車両に対向した開始位置に配されると移動装置によりサイドブラシが被洗浄車両に接触する。そして、サイドブラシ及びトップブラシを被洗浄車両に接触させながら本体部が被洗浄車両の後方に走行して洗浄が行われる。
【0005】
通常、トレーラーの洗車は荷台部の洗浄が行われ、トップブラシ及びサイドブラシによるキャビンの傷が問題となるためキャビンの洗浄は特に指示がない限り行われない。
【0006】
上記の洗車機によると、サイドブラシが連結部に対向した時に被洗浄車両に近づけられると、荷台部の側面よりも内側にサイドブラシが進入して配管等に接触する危険がある。また、サイドブラシがキャビンに対向した時に被洗浄車両に近づけられると、キャビンの傷が発生する。
【0007】
このため、開始位置でサイドブラシが確実に荷台部に対向して被洗浄車両に近づけられることが必要となる。この時、本体部を第1所定値から第2所定位置に移動させる際にセンサにより荷台部の前端を検知することでサイドブラシを荷台部に対向して開始位置に配置することができる。
【0008】
しかしながら、被洗浄車両の車種は使用者により設定できるため、コスト削減のためにセンサを省くと荷台部の前端を検知することができない。尚、一般に本体部の天井部には被洗浄車両の後端を上方から検知する車両センサが設けられるが、連結部と荷台部との境界を上方から検知することが困難である。このため、一般に使用されるトレーラーにおいて荷台部が確実に配置される開始位置を予め記憶し、該開始位置にサイドブラシが配置される。
【0009】
図7はこの洗車機のサイドブラシの動作を示す上面図である。トレーラーから成る被洗浄車両CAはキャビン101、連結部102、荷台部103を有し、所定の停止位置に配される。これにより、洗車機は被洗浄車両CAの前端位置を把握することができる。
【0010】
洗車前の洗車機の本体部は被洗浄車両CAの前方で待機し、その位置においてサイドブラシ5は被洗浄車両CAの前方の退避位置S0に位置している。洗車が開始されると、洗車機の本体部の走行によってサイドブラシ5は矢印A1に示すように被洗浄車両CAの後方に向かって移動する。これにより、サイドブラシ5が被洗浄車両CAの前端から所定の距離L1だけ離れた開始位置S1に配される。距離L1は予め記憶され、開始位置S1は一般のトレーラーにおいてサイドブラシ5が確実に荷台部103に対向する位置になっている。
【0011】
次に、回転するサイドブラシ5が矢印A2に示すように左右方向に移動して被洗浄車両CAに近づけられる。サイドブラシ5の駆動電流の増加によってサイドブラシ5が被洗浄車両CAに接触したことを検知すると、サイドブラシ5の左右方向の移動が停止される。これにより、サイドブラシ5が被洗浄車両CAの車幅方向において開始位置S1よりも被洗浄車両CAに近づいた位置である接触位置S2に配される。
【0012】
次に、サイドブラシ5が接触位置S2における被洗浄車両CAの車幅方向の位置を保ちつつ回転しながら本体部の走行によって矢印A3に示すように被洗浄車両CAの後方に向かって移動する。これにより、荷台部103の洗浄が行われる。そして、サイドブラシ5が被洗浄車両CAの後端から抜け出ると(S10)、被洗浄車両CAの洗浄が終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平10−6936号公報(第2頁−第5頁、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記の後者の洗車機によると、開始位置S1のサイドブラシ5を種々のトレーラーの荷台部103に確実に対向させるため、距離L1は被洗浄車両CAの前端から十分離れるように設定される。このため、トレーラーの形状によって開始位置S1の前方に未洗浄領域T(図7参照)が形成される問題があった。
【0015】
本発明は、トレーラーの荷台部の未洗浄領域を削減できる洗車機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明は、キャビンに荷台部を連結したトレーラーを含む大型車両から成る被洗浄車両に沿って前後に走行する本体部と、前記本体部に鉛直な回転軸を支持されて被洗浄車両の側面に摺動するサイドブラシと、前記サイドブラシを被洗浄車両に対して接離させるブラシ移動部と、前記サイドブラシの駆動電流を検出する電流検出部とを備えた洗車機において、トレーラーの荷台部を洗浄する際に、
前記本体部の走行により前記サイドブラシを荷台部に対向する開始位置に配置した後、回転する前記サイドブラシを前記ブラシ移動部により被洗浄車両に接近させて前記電流検出部の検出により前記サイドブラシを被洗浄車両に接触させる初期設定期間を設けるとともに、
前記サイドブラシを被洗浄車両に接触した状態で前記本体部の走行により前記開始位置に対して被洗浄車両の前方に向かって所定距離移動させる前方洗浄期間を設けたことを特徴としている。
【0017】
この構成によると、トレーラーの荷台部の洗浄が指示されると、初期設定期間が開始される。初期設定期間では本体部の前後方向の走行によりサイドブラシが開始位置に配置され、荷台部に対向する。荷台部に対向したサイドブラシはブラシ移動部によって荷台部に近づけられる。電流検出部によりサイドブラシの駆動電流が所定値を超えると、ブラシ移動部が停止される。これにより、サイドブラシが荷台部に接触して初期設定期間が終了し、本体部の走行により洗浄が行われる。この時、前方洗浄期間が設けられ、サイドブラシが本体部の走行により開始位置に対して被洗浄車両の前方に向かって所定距離移動する。これにより、開始位置よりも前方の荷台部が洗浄される。
【0018】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記初期設定期間の終了後に前記前方洗浄期間に移行し、前記前方洗浄期間の終了後に前記本体部を反転して前記サイドブラシを被洗浄車両に接触した状態で被洗浄車両の後方に向かって移動させて洗浄を行うことを特徴としている。
【0019】
この構成によると、初期設定期間で荷台部に接触したサイドブラシは前方洗浄期間で被洗浄車両の前方に移動し、開始位置よりも前方の荷台部が洗浄される。前方洗浄期間が終了すると、本体部が反転して被洗浄車両の後方に向けて走行し、開始位置よりも後方の荷台部が洗浄される。
【0020】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記初期設定期間の終了後に前記本体部を被洗浄車両の後方に向かって移動させつつ前記サイドブラシによる洗浄を行うとともに、前記本体部を反転して前記開始位置よりも後方の洗浄を行った後、前記前方洗浄期間に移行することを特徴としている。
【0021】
この構成によると、初期設定期間で荷台部に接触したサイドブラシは本体部の走行により被洗浄車両の後方に向けて移動し、開始位置よりも後方の荷台部が洗浄される。被洗浄車両の後端まで洗浄が行われると本体部が反転して被洗浄車両の前方に向けて走行し、開始位置よりも後方の荷台部が再度洗浄される。その後、前方洗浄期間に移行して本体部が引き続いて被洗浄車両の前方に移動し、開始位置よりも前方の荷台部が洗浄される。
【0022】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記前方洗浄期間を開始してから前記本体部が予め記憶した移動量に到達した際に前記前方洗浄期間を終了することを特徴としている。この構成によると、前方洗浄期間を開始して本体部が予め記憶された移動量だけ移動すると前方洗浄期間が終了する。該移動量はサイドブラシがキャビンに到達しない距離に設定される。
【0023】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記電流検出部により前記サイドブラシの駆動電流が所定値よりも低下した際に前記前方洗浄期間を終了することを特徴としている。この構成によると、荷台部に接触するサイドブラシが前方洗浄期間で被洗浄車両の前方に移動する。サイドブラシの駆動電流が所定値よりも低下するとサイドブラシが荷台部から離れたと判断して前方洗浄期間を終了する。
【0024】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記開始位置を被洗浄車両の前端から4.8m以上にしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、トレーラーの荷台部を洗浄する際に、サイドブラシが荷台部に対向する開始位置から被洗浄車両に接近して接触し、サイドブラシを開始位置に対して被洗浄車両の前方に向かって所定距離移動させる前方洗浄期間を設けたので、開始位置よりも前方の未洗浄領域を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態の洗車機を示す側面図
【図2】本発明の第1実施形態の洗車機を示す正面図
【図3】本発明の第1実施形態の洗車機の構成を示すブロック図
【図4】本発明の第1実施形態の洗車機のトレーラー洗車時のサイドブラシの軌跡を示す上面図
【図5】本発明の第2実施形態の洗車機のトレーラー洗車時のサイドブラシの往路の軌跡を示す上面図
【図6】本発明の第2実施形態の洗車機のトレーラー洗車時のサイドブラシの復路の軌跡を示す上面図
【図7】従来の洗車機のトレーラー洗車時のサイドブラシの軌跡を示す上面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1、図2は本発明の第1実施形態の洗車機の全体の概略構成を示す側面図及び正面図である。洗車機WAはトレーラー、バス、トラック等の大型車両の洗車を行うように構成される。洗車機WAは本体部1、レール2及びリモートパネル60(図3参照)を備えている。本体部1は左右の対向する2つのスタンド部90と、スタンド部90の上端を連結する天井部91とを有して門型に形成され、被洗浄車両CAを跨ぐように配置される。
【0028】
左右一対のレール2は地面に敷設され、本体部1の底面に設けた車輪3がレール2上に配される。これにより、本体部1は走行モータ25(図3参照)の駆動によりレール2上を走行して被洗浄車両CAに対して前後に相対移動する。
【0029】
リモートパネル60(図3参照)は本体部1の進入経路上に配される。被洗浄車両CAはリモートパネル60の面前で停車し、リモートパネル60の操作によって洗車の受け付け、大型車両の車種の選択、洗車条件等の設定操作を行う。
【0030】
本体部1には被洗浄車両CA上に摺動してブラッシングする複数の回転ブラシが設けられる。回転ブラシはトップブラシ4及びサイドブラシ5から成っている。トップブラシ4はトップブラシ駆動モータ4a(図3参照)により回転駆動される。サイドブラシ5はサイドブラシ駆動モータ5a(図3参照)により回転駆動される。
【0031】
トップブラシ4は本体部1に支持される水平な回転軸(不図示)に布(織布、編布、不織布等)や樹脂繊維から成るブラシ毛(不図示)を放射状に固着して形成される。トップブラシ4の回転軸はワイヤー(不図示)を介してトップブラシ昇降モータ24(図3参照)に連結される。トップブラシ昇降モータ24の駆動によってトップブラシ4が昇降し、被洗浄車両CAに対して接離する。これにより、トップブラシ4が被洗浄車両CAに沿って移動し、トップブラシ4の摺動により被洗浄車両CAの上面が洗浄される。
【0032】
サイドブラシ5は左右一対設けられ、本体部1に支持される鉛直な回転軸(不図示)にトップブラシ4と同様のブラシ毛が形成される。サイドブラシ5の摺動により被洗浄車両CAの両側面が洗浄される。サイドブラシ5の回転軸はアーム(不図示)を介してサイドブラシ移動モータ23(図3参照)に連結される。サイドブラシ移動モータ23の駆動によってサイドブラシ5が本体部1の走行方向に対して垂直な方向に移動し、被洗浄車両CAに対して接離する。従って、サイドブラシ移動モータ23はサイドブラシ5を被洗浄車両CAに対して接離させるブラシ移動部を構成する。尚、被洗浄車両CAのタイヤを含む側面下部を洗浄するロッカーブラシを設けてもよい。
【0033】
本体部1の前面上部には車両センサ8が設けられている。車両センサ8は光電センサや超音波センサ等から成り、本体部1に進入する被洗浄車両CAの外面形状を検知する。これにより、被洗浄車両CAの車両長さを検知して本体部1の走行範囲が決められる。
【0034】
本体部1の一方のスタンド部90の前面には操作パネル7が配される。操作パネル7はリモートパネル60と同様の操作ボタンを備え、被洗浄車両CAから降車したユーザ等の操作により洗車の受け付け、大型車両の車種の選択、洗車条件等の設定操作を行う。
【0035】
図3は洗車機WAの構成を示すブロック図である。洗車機WAは各部を制御する制御部10を備えている。制御部10には操作パネル7、リモートパネル60、車両センサ8、電流検出部26、記憶部9、走行モータ25、トップブラシ駆動モータ4a、サイドブラシ駆動モータ5a、トップブラシ昇降モータ24、サイドブラシ移動モータ23が接続される。また、制御部10には計時を行うタイマーが内蔵される。
【0036】
電流検出部26はトップブラシ駆動モータ4aの駆動電流(以下、単に「トップブラシ4の駆動電流」という)及びサイドブラシ駆動モータ5aの駆動電流(以下、単に「サイドブラシ5の駆動電流」という)を検出する。これにより、トップブラシ4及びサイドブラシ5の回転時の負荷が検知される。
【0037】
記憶部9はRAM及びROMから成り、制御部10により実行される動作プログラム及び制御データが記憶されるとともに制御部10の演算結果を一時記憶する。
【0038】
また、図示しないが、本体部1には被洗浄車両CAに市水、シャンプー、ワックス等を噴射する噴射ノズルや、洗浄後の被洗浄車両CAを乾燥させる送風装置が設けられる。
【0039】
上記構成の洗車機WAにおいて、本体部1が設定された洗車条件に基づいて被洗浄車両CAに対して前後方向に走行する。そして、被洗浄車両CAには各種ノズルから市水や液剤が噴射され、本体部1に設けた各回転ブラシが被洗浄車両CAに摺動して被洗浄車両CAの洗浄が行われる。洗浄後の被洗浄車両CAは送風装置からの送風によって乾燥する。これにより、被洗浄車両CAの洗車が終了する。
【0040】
図4はトレーラーの荷台部を洗浄する際のサイドブラシ5の軌跡を示す側面図である。トレーラーから成る被洗浄車両CAはキャビン101、連結部102、荷台部103を有し、所定の停止位置に配される。これにより、洗車機WAは被洗浄車両CAの前端位置を把握することができる。被洗浄車両CAの前端位置を本体部1の走行時に車両センサ8によって検出してもよい。
【0041】
洗車前の本体部1は被洗浄車両CAの前方で待機しており、その位置においてサイドブラシ5は被洗浄車両CAの前方の退避位置S0に位置している。荷台部103の洗浄が指示されると、初期設定期間が開始される。初期設定期間では本体部1の走行によってサイドブラシ5が矢印A1に示すように被洗浄車両CAの後方に向かって移動する。これにより、サイドブラシ5が被洗浄車両CAの前端から所定の距離L1だけ離れた開始位置S1に配される。
【0042】
距離L1は記憶部9に予め記憶され、開始位置S1は一般のトレーラーにおいてサイドブラシ5が確実に荷台部103に対向する位置になっている。例えば、一般に用いられる全長が40フィート(約12.2m)のコンテナを牽引するトレーラーの日本国内で走行可能な最大長が17mであるため、距離L1が4.8m以上に設定される。
【0043】
開始位置S1のサイドブラシ5は回転駆動され、サイドブラシ移動モータ23により矢印A2に示すように左右方向に移動して被洗浄車両CAに近づけられる。サイドブラシ5の駆動電流の増加を電流検出部26により検出してサイドブラシ5が被洗浄車両CAに接触したことを検知すると、サイドブラシ移動モータ23が停止される。これにより、サイドブラシ5が荷台部103に接触した接触位置S2に配され、初期設定期間が終了する。
【0044】
初期設定期間が終了すると前方洗浄期間に移行する。前方洗浄期間では本体部1の走行によってサイドブラシ5が接触位置S2における被洗浄車両CAの車幅方向の位置を保ちつつ回転しながら矢印A5に示すように被洗浄車両CAの前方に向かって移動する。これにより、開始位置S1よりも前方の荷台部103の洗浄が行われる。前方洗浄期間を開始してから本体部1が予め記憶部9に記憶された移動量L2に到達すると(S3)、前方洗浄期間が終了する。
【0045】
移動量L2はサイドブラシ5がキャビン101に接触しない範囲で決められる。また、電流検出部26の検出によってサイドブラシ5の駆動電流が所定値よりも低くなった際にサイドブラシ5が荷台部103から離れたと判断して前方洗浄期間を終了してもよい。この時、電流検出部26の誤検出を考慮し、本体部1の最大の移動量を設定して該移動量に到達したときに電流検出部26の検知結果に拘わらず前方洗浄期間を終了してもよい。
【0046】
前方洗浄期間が終了すると本体部1が反転し、サイドブラシ5が矢印A3に示すように被洗浄車両CAの後方に向かって移動する。これにより、開始位置S1よりも後方の荷台部103の洗浄が行われる。そして、車両検知部8の検知によってサイドブラシ5が被洗浄車両CAの後端から抜け出ると(S10)、被洗浄車両CAの洗浄が終了する。その後、被洗浄車両CAは送風装置により乾燥され、本体部1が被洗浄車両CAから退避してサイドブラシ5が退避位置S0に戻される。
【0047】
本実施形態によると、トレーラーの荷台部103を洗浄する際に、サイドブラシ5が荷台部103に対向する開始位置S1から被洗浄車両CAに接近して接触し、サイドブラシ5を開始位置S1に対して被洗浄車両CAの前方に向かって所定の距離L2だけ移動させる前方洗浄期間を設けたので、開始位置S1よりも前方の未洗浄領域T(図7参照)を削減することができる。
【0048】
また、初期設定期間の終了後に前方洗浄期間に移行し、前方洗浄期間の終了後に本体部を反転して洗浄を行うので、開始位置S1の前方及び後方の荷台部103を容易に洗浄することができる。
【0049】
また、前方洗浄期間を開始してから本体部1が予め記憶した移動量L2に到達した際に前方洗浄期間を終了するので、サイドブラシ5とキャビン101との接触を容易に防止することができる。
【0050】
また、電流検出部26によりサイドブラシ5の駆動電流が所定値よりも低下した際に前方洗浄期間を終了するので、サイドブラシ5とキャビン101との接触を容易に防止することができる。また、荷台部103の前端まで確実に洗浄することができる。
【0051】
また、開始位置S1を被洗浄車両CAの前端から4.8m以上にしたので、開始位置S1でサイドブラシ5を確実に荷台部103に対向させることができる。
【0052】
次に、第2実施形態の洗車機WAについて説明する。図5、図6は本実施形態の洗車機WAによりトレーラーの荷台部103を洗浄した時のサイドブラシ5の軌跡を示す上面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図4に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態と同様に構成され、トレーラー洗車時に本体部1を往復して荷台部103の洗浄が行われる。図5は本体部1の往路の状態を示し、図6は本体部1の復路の状態を示している。
【0053】
図5に示すように、荷台部103の洗浄が指示されると上記と同様に初期設定期間が開始される。即ち、サイドブラシ5は矢印A1に示すように移動して開始位置S1に配され、矢印A2に示すように移動して接触位置S2に配される。これにより、初期設定期間が終了する。
【0054】
初期設定期間が終了すると本体部1の走行によりサイドブラシ5が矢印A3に示すように被洗浄車両CAの後方に向かって移動する。これにより、開始位置S1よりも後方の荷台部103の洗浄が行われる。車両検知部8の検知によってサイドブラシ5が被洗浄車両CAの後端位置S4に配されると、往路の洗浄が終了して本体部1が反転する。
【0055】
本体部1の反転によって図6に示すようにサイドブラシ5が矢印A4に示すように被洗浄車両CAの前方に向かって移動して復路の工程が行わる。これにより、開始位置S1よりも後方の荷台部103の洗浄が再度行われる。サイドブラシ5が接触位置S2に到達すると、前方洗浄期間に移行して本体部1は引き続き被洗浄車両CAの前方に向かって走行する。
【0056】
これにより、サイドブラシ5が回転しながら矢印A5に示すように被洗浄車両CAの前方に向かって移動し、開始位置S1よりも前方の荷台部103の洗浄が行われる。前方洗浄期間を開始してから本体部1が予め記憶部9に記憶された移動量L2に到達すると(S3)、前方洗浄期間が終了して復路の洗浄が終了する。尚、復路では洗浄しながらサイドブラシ5よりも本体部1の進行方向後方に配した送風装置によって被洗浄車両CAが乾燥される。
【0057】
次に、サイドブラシ5はサイドブラシ移動モータ23により矢印A6に示すように左右方向に移動して被洗浄車両CAから離れる。そして、本体部1の走行によって矢印A7に示すようにサイドブラシ5が退避位置S0に戻り、被洗浄車両CAの洗浄が終了する。
【0058】
本実施形態によると、第1実施形態と同様にサイドブラシ5を開始位置S1に対して被洗浄車両CAの前方に向かって所定の距離L2だけ移動させる前方洗浄期間を設けたので、開始位置S1よりも前方の未洗浄領域T(図7参照)を削減することができる。
【0059】
また、初期設定期間の終了後に本体部1を被洗浄車両CAの後方に向かって移動させて洗浄を行うとともに、本体部1を反転して開始位置S1よりも後方の洗浄を行った後、前方洗浄期間に移行するので、開始位置S1の前方及び後方の荷台部103を容易に洗浄することができる。
【0060】
第1実施形態において、第2実施形態と同様の復路の洗浄を行ってもよい。また、第2実施形態において、第1実施形態と同様に初期設定期間の終了後に前方洗浄期間を設け、開始位置S1よりも前方の洗浄を2回行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によると、サイドブラシによりトレーラーの荷台部を洗浄する洗車機に利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 本体部
2 レール
3 車輪
4 トップブラシ
5 サイドブラシ
7 操作パネル
8 車両センサ
9 記憶部
10 制御部
23 サイドブラシ移動モータ
24 トップブラシ昇降モータ
25 走行モータ
60 リモートパネル
90 スタンド部
91 天井部
WA 洗車機
CA 被洗浄車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビンに荷台部を連結したトレーラーを含む大型車両から成る被洗浄車両に沿って前後に走行する本体部と、前記本体部に鉛直な回転軸を支持されて被洗浄車両の側面に摺動するサイドブラシと、前記サイドブラシを被洗浄車両に対して接離させるブラシ移動部と、前記サイドブラシの駆動電流を検出する電流検出部とを備えた洗車機において、トレーラーの荷台部を洗浄する際に、
前記本体部の走行により前記サイドブラシを荷台部に対向する開始位置に配置した後、回転する前記サイドブラシを前記ブラシ移動部により被洗浄車両に接近させて前記電流検出部の検出により前記サイドブラシを被洗浄車両に接触させる初期設定期間を設けるとともに、
前記サイドブラシを被洗浄車両に接触した状態で前記本体部の走行により前記開始位置に対して被洗浄車両の前方に向かって所定距離移動させる前方洗浄期間を設けたことを特徴とする洗車機。
【請求項2】
前記初期設定期間の終了後に前記前方洗浄期間に移行し、前記前方洗浄期間の終了後に前記本体部を反転して前記サイドブラシを被洗浄車両に接触した状態で被洗浄車両の後方に向かって移動させて洗浄を行うことを特徴とする請求項1に記載の洗車機。
【請求項3】
前記初期設定期間の終了後に前記本体部を被洗浄車両の後方に向かって移動させつつ前記サイドブラシによる洗浄を行うとともに、前記本体部を反転して前記開始位置よりも後方の洗浄を行った後、前記前方洗浄期間に移行することを特徴とする請求項1に記載の洗車機。
【請求項4】
前記前方洗浄期間を開始してから前記本体部が予め記憶した移動量に到達した際に前記前方洗浄期間を終了することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の洗車機。
【請求項5】
前記電流検出部により前記サイドブラシの駆動電流が所定値よりも低下した際に前記前方洗浄期間を終了することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の洗車機。
【請求項6】
前記開始位置を被洗浄車両の前端から4.8m以上にしたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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