説明

洗車装置

【目的】 選択した洗車コースと選択したガンの種類とが一致した場合のみ洗車同社を許可する洗車装置を提供する。
【構成】 車体表面洗浄コースと車体下部洗浄コースを備えると共に、車体表面洗浄ガン17と車体下部洗浄ガン16とを備えた洗車装置であって、車体表面洗浄コースを選択した場合には前記車体表面洗浄ガン17を、車体下部洗浄コースを選択した場合には前記車体下部洗浄ガン16を選択しなければ、洗車が開始されないようにした洗車装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも水又は水を含む2種類以上の洗浄液を圧送ポンプで圧送しスプレーガンにより噴射させ、車体を洗浄する方式の洗車装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、少なくとも水又は水を含む2種類以上の洗浄液を切り換えて圧送ポンプで圧送し、スプレーガンより噴射させる方式の洗車装置が下記特許文献1に記載されている。そして、この洗車装置では、車体表面を洗浄するための洗浄工程が設けられており、さらに洗浄液を噴射して車体表面を洗浄する車体表面洗浄ガンが設けられている。これにより、使用者は希望する洗浄工程を選択し、車体表面を洗浄できるようになっている。
また、特許文献2には車体下部洗浄ガンが開示されており、これにより、車体下部に洗浄液を噴射し、車体下部をまんべんなく洗浄できるようになっている。
【特許文献1】特開平01−153365号公報
【特許文献2】特開2000−159067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の洗浄装置のみでは、車体下部を洗浄するのに、車体表面洗浄ガンにて洗浄しなくてはならず、この場合、車体表面洗浄ガン先端に付設されているノズルの向きはほぼ一直線であること及びガンパイプが短く、奥まった洗浄個所に届かないことなどから、車体下部を隅々まで洗浄することは不可能であった。
【0004】
そこで、特許文献2に記載された車体下部洗浄ガンを用いることにより、車体下部の洗浄が行えるようになるのだが、この車体下部洗浄ガンから洗浄液を噴射させるには別途用意した専用の洗浄液圧送装置が必要であり、車体表面及び下部の両方を洗浄するためには、表面及び下部の両洗車装置を揃えておく必要があった。そして例えば、これら両洗車装置をコイン洗車場等に設置する場合には、コストも高く、設置面積もかなりのスペースが必要となり、容易に設置できるものではなかった。さらに、有料で使用してもらうには両洗車装置にコイン受付装置もそれぞれに設ける必要があり、この面でもコスト高となるばかりか、コイン回収時も両洗浄装置から回収しなくてはならず非常に面倒作業となる。
【0005】
また、前記表面洗車装置を改造して、一つの圧送装置から両ガンを用い洗浄液をそれぞれ噴射できるようにしたとしても、そのままでは、表面洗浄工程を選択したにもかかわらず、間違えて車体下部洗浄ガンを持って作業しようとした場合には、車体表面洗浄ガンから洗浄液が噴射され、周囲に洗浄液が飛散するばかりか、その圧力により車体表面洗浄ガンが飛ばされ、最悪車体を傷つけたり人身事故を起こしたりしかねない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために本発明は、各種洗浄液貯留タンクと、洗浄液を吐出するポンプと、車体表面を洗浄するための車体表面洗浄ガンと、車体下部を洗浄するための車体下部洗浄ガンと、管路切換手段と、前記車体表面洗浄ガンを用い車体表面を洗浄する車体表面洗浄工程と前記車体下部洗浄ガンを用い車体下部を洗浄する車体下部洗浄工程とを選択する操作部と、該操作部の入力により前記ポンプ及び管路切換手段を制御する制御手段とを備えた洗車装置を提供することを要旨とするものである。
【0007】
また、前記洗車装置において、前記何れかのガンが使用状態となったことを検出する検出手段を備え、前記操作部にて選択された工程と前記検出手段により検出されたガンとが一致した場合のみ工程を開始させるようにするとより好ましい態様となる。
【0008】
また、前記各ガンを保持するためのハンガーを各々備え、前記検出手段は、前記いずれかのガンが前記ハンガーより外されたことを検出する手段、あるいは前記各ガンに設けたスイッチ手段とするとより好ましい態様となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の装置は以上のように構成されるので、1台の装置で車体表面から下部まで全体を洗浄できるようになり、装置コストも極力抑えることができ、また、その設置スペースも最小限にすることができる。
また、確実に各洗浄工程に合ったガンを使用して洗浄が行えるので、間違ったガンを持ってしまい、正規のガンから突然洗浄水を噴射させたり、正規のガンを飛ばしてしまうことを防止できる。
【実施例】
【0010】
以下、図面を基に、本発明の実施例について説明する。図1は本発明の実施例の全体構成図である。図において、1は洗車装置本体で、本体内正面上部には操作部2が設けてあり、底部には、給水源3からボールバルブ4により常時一定水位に保持されている水タンク5と、洗剤タンク6と、ワックスタンク7とが設けてある。それぞれのタンク5,6,7内には洗浄液を切り換えるための電磁弁8,9,10を介して吸込管路11が挿入されており、吸込管路11の他方は圧送ポンプ12の吸込側に接続されている。圧送ポンプ12の吐出側には吐出管路13が接続されており、洗浄液を噴射させるガンを切り換えるための電磁弁14,15を介してそれぞれ車体下部洗浄ガン16と車体表面洗浄ガン17とが接続されている。そして、それぞれのガンが不使用時には掛け下げておくためのハンガー18,19が本体1の側部に各ガン16,17に対応して設けてあり、ハンガー18,19はガン16,17が掛けられていない時にはバネ等の付勢手段により、上方へ押し上げられており、ガン16,17が掛けられるとその重量で下がり、検出手段たるマイクロスイッチ20,21をオンするようになっている。圧送ポンプ12の吐出側と吸込側とにはそれぞれを連通する帰還管路22が設けてあり、途中に流量調整可能なアンローダーバルブ23を介して、余水を流して圧送ポンプ12にかかる負荷を軽減させるようになっている。
【0011】
図2は操作部の詳細図で、プリペイドカードを挿入するカード挿入口24、硬貨を投入する硬貨投入口25、投入された金額を表示する金額表示器26、各洗車コースと料金が記載されたコース表27〜30、それらのコースのうちから1つを選択するための各コースキー選択キー31〜34、投入金額に応じ選択可能であるコースを表示したり実行しているコースを表示したりする各コースランプ35〜38、選択したコースを開始させるスタートキー39、スタートキーを押下することを促すためのスタートランプ40、現在噴射中の洗浄液の種類と残り時間を大まかに知らせるための各洗浄液ランプ41〜43、選択されたコースの全残り時間を表示する残時間表示器44等が配置されている。
【0012】
45はリレーやマイコンからなる制御手段であり、操作部2やマイクロスイッチ20,21からの信号を受け、圧送ポンプ12や電磁弁8〜10,14,15、操作部2の表示器等を制御できるようになっている。
【0013】
次に洗浄動作を説明する。ここでは、水洗車後、下部洗浄を行う場合について説明する。
【0014】
まず、作業者は操作部2のカード挿入口24にカードを、または、硬貨投入口25に400円を投入する。すると、制御手段45は、金額表示器26に「400」と表示し、水洗車コースランプ35と下部洗浄ランプ38を点滅させる。そこで、作業者は、いずれかのコースが選択可能であることがわかるので、水洗車コース選択キー31、スタートキー39を順次押下する。制御手段45は、この信号を受け、電磁弁8を開放すると共に、圧送ポンプ12を駆動させ、待機状態とする。
【0015】
ここで作業者は使用するガンをハンガーから取り外すのであるが、車体表面洗浄ガン17が取り外されると、マイクロスイッチ21はオンとなり、制御手段45ではその信号を受け、正規のガンが取り外されたと判断し、「洗浄ガンを車体に向けてください。」とアナウンスし、数秒後、電磁弁15を開き、水タンク5内の水を噴射させる。しかし、車体下部洗浄ガン16がハンガー18より取り外された場合には、マイクロスイッチ20のオン信号を受け、間違ったガンが取り外されたと判断し、「ガンが違います。ガンを取り替えて下さい。」とアナウンスし、作業者に間違っていることを知らせ、ガンを取り替えさせるようにしてある。
【0016】
水洗車が終了したら、次に下部洗浄をするため、作業者はあらたにカード挿入口24にカードを、または、硬貨投入口25に400円を投入し、続けて下部洗浄コース選択キー34、スタートキー39を順次押下する。制御手段45は、この信号を受け、電磁弁8を開放すると共に、圧送ポンプ12を駆動させ、待機状態とする。
【0017】
ここでも、先程の場合と同様に、正規のガン、つまり、車体下部洗浄ガン16がハンガー20より取り外されると、下部洗浄が行えるようになるのであるが、車体表面洗浄ガン17が取り外されると、水が噴射されず、洗浄できないようになっている。
【0018】
以上のように、選択されたコースとハンガーから取り外されたガンとが一致している場合には、洗浄が開始され、異なったガンが取り外された場合には、洗浄が開始されないようになっているのである。そして、ここではハンガーの動きを検出するマイクロスイッチのオン信号を制御手段で受けてコースとガンが一致していると判断しているが、別の態様として、それぞれのガンに有線式又は無線式の手元スイッチを設け、その信号を受けて判断するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例である装置の全体構成図である。
【図2】同装置の操作部詳細図である。
【符号の説明】
【0020】
1 洗車装置
2 操作部
5 水タンク
6 洗剤タンク
7 ワックスタンク
8〜10 電磁弁
12 ポンプ
14〜15 電磁弁
16 車体下部洗浄ガン
17 車体表面洗浄ガン
18、19 ハンガー
20、21 マイクロスイッチ
31〜34 コース選択スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種洗浄液貯留タンクと、洗浄液を吐出するポンプと、車体表面を洗浄するための車体表面洗浄ガンと、車体下部を洗浄するための車体下部洗浄ガンと、管路切換手段と、前記車体表面洗浄ガンを用い車体表面を洗浄する車体表面洗浄工程と前記車体下部洗浄ガンを用い車体下部を洗浄する車体下部洗浄工程とを選択する操作部と、該操作部の入力により前記ポンプ及び管路切換手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする洗車装置。
【請求項2】
請求項1記載の洗車装置において、前記何れかのガンが使用状態となったことを検出する検出手段を備え、前記操作部にて選択された工程と前記検出手段により検出されたガンとが一致した場合のみ工程を開始させるようにしたことを特徴とする洗車装置。
【請求項3】
前記各ガンを保持するためのハンガーを各々備え、前記検出手段は、前記いずれかのガンが前記ハンガーより外されたことを検出する手段であることを特徴とする請求項2記載の洗車装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記各ガンに設けたスイッチ手段であることを特徴とする請求項2記載の洗車装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−44605(P2006−44605A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232074(P2004−232074)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)
【Fターム(参考)】