説明

洗面化粧台システム

【課題】使い勝手が良く化粧を行いやすい洗面化粧台システムを提供することを目的とする。
【解決手段】ボウル部と、前記ボウル部の上方に設けられ収納部を形成する収納部本体と、前記収納部本体の前側において開閉自在に軸支された鏡と、前記収納部本体の上方に設けられ光源として発光ダイオードが使用された照明装置と、を有する洗面化粧台と、非使用時に配置される上方位置と、使用時に配置される下方位置と、を昇降自在に移動可能であり、前記上方位置から前記下方位置へ手動で降ろすための把持部を有する昇降キャビネットと、側面視において、使用状態の前記把持部と、前記鏡の上端の水平方向であって前方へ向かう延長線と、が干渉する一方で、前記鏡が開いても、前記把持部と、前記鏡と、が干渉することを回避する回避手段と、を備えたことを特徴とする洗面化粧台システムが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、洗面化粧台システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、洗面化粧台の鏡を利用して化粧を行う女性が増えてきている。しかしながら、洗面化粧台の鏡を利用して化粧を行いやすくするためには、まだ改善の余地がある。例えば、キャビネット本体の内部には収納部が形成され、キャビネット本体の上端には照明が配設された化粧鏡ユニットがある(特許文献1)。特許文献1に記載されたような化粧鏡ユニットの照明には、一般的に、蛍光灯が利用されている。
【0003】
しかしながら、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)などと比較すると、蛍光灯の演色性は低い。そして、蛍光灯は、例えばヒトの肌を黄色っぽく映してしまう。そのため、蛍光灯の下で化粧を行った女性が自然光(太陽光)の下に出ると、化粧の見た目が変化するという課題がある。これに対して、LEDの演色性は、蛍光灯の演色性よりも高いため、洗面化粧台に設置する照明としてLEDを利用すると、蛍光灯の下と、自然光の下と、の間で化粧の見た目が変化するという課題を解決することができる。
【0004】
また、女性は、化粧を行うときには、多くの道具を使用する。そのため、多くの化粧道具を収納できるように、収納部の拡大が要望されている。また、化粧道具だけに限定されず、化粧道具以外のより多くの物を収納できるように、収納部の拡大が要望されている。これに対して、一般的に、LEDの大きさは、蛍光灯の大きさよりも小さいため、洗面化粧台に設置する照明としてLEDを利用すると、特許文献1に記載されたキャビネット本体の内部の収納部を拡大させることができる。
【0005】
さらに、ラック体が収納キャビネットに収まっている時、収納キャビネットの下端よりも低い位置に把手を備えた昇降式収納装置がある(特許文献2)。例えば、特許文献2に記載されたような昇降式収納装置を特許文献1に記載されたような化粧鏡ユニットの上に設けると、収納部の拡大の要望に応えることができ、また背丈が低い人も高所収納の出し入れ作業を楽におこなうことができる。
【0006】
これにより、洗面化粧台の鏡を利用したときの化粧の行いやすさを向上させることができる。しかしながら、本発明者の検討の結果、洗面化粧台に設置する照明としてLEDを利用することで収納部を拡大させ、さらに昇降式収納装置を設けるだけでは、新たな課題が生ずることが分かった。具体的には、洗面化粧台に設置する照明としてLEDを利用することで収納部を拡大させることができる一方で、収納部の開閉戸となる鏡を開けると、鏡が昇降式収納装置の把手と接触するという課題が生ずることが分かった。これにより、この課題を解決しないと、洗面化粧台の鏡を利用したときの化粧の行いやすさを向上させることができなくなることが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3649721号公報
【特許文献2】特開2000−106958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、使い勝手が良く化粧を行いやすい洗面化粧台システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、ボウル部と、前記ボウル部の上方に設けられ収納部を形成する収納部本体と、前記収納部本体の前側において開閉自在に軸支された鏡と、前記収納部本体の上方に設けられ光源として発光ダイオードが使用された照明装置と、を有する洗面化粧台と、非使用時に配置される上方位置と、使用時に配置される下方位置と、を昇降自在に移動可能であり、前記上方位置から前記下方位置へ手動で降ろすための把持部を有する昇降キャビネットと、側面視において、使用状態の前記把持部と、前記鏡の上端の水平方向であって前方へ向かう延長線と、が干渉する一方で、前記鏡が開いても、前記把持部と、前記鏡と、が干渉することを回避する回避手段と、を備えたことを特徴とする洗面化粧台システムである。
【0010】
この洗面化粧台システムによれば、照明装置の光源として発光ダイオードが使用されているため、蛍光灯の下と、自然光の下と、の間で化粧の見た目が変化するという課題を解決することができる。また、発光ダイオードの大きさは、蛍光灯の大きさよりも小さい。そのため、収納部を拡大することができ、収納スペースの拡大の要望に応えることができる。さらに、鏡が開いても、把持部と、鏡と、が干渉(接触)することを回避することができる。これにより、使い勝手が良く化粧を行いやすい洗面化粧台システムを実現することができる。また、昇降キャビネットの大きさを維持したままで収納部を拡大することができる。そのため、昇降キャビネットを下方位置へ降ろしても、使用者への圧迫感を抑えることができる。
【0011】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記回避手段は、前記鏡が開く軌道上に前記把持部が配置されないように、正面視において前記鏡と前記把持部とが左側方および右側方の少なくともいずれかに互いにずれて配置されてなることを特徴とする洗面化粧台システムである。
【0012】
この洗面化粧台システムによれば、把持部は、鏡が開く軌道上には配置されず、正面視において鏡と左側方および右側方の少なくともいずれかにずれて配置されるため、鏡に折りたたみ機構などを設ける必要はない。例えば、非使用状態の把持部と、開いた状態の鏡と、の接触を回避するために、鏡に折りたたみ機構を設けることが考えられる。この場合には、鏡は、非使用状態の把持部と接触しないように折りたたまれながら開く。そうすると、非使用状態の把持部と、開いた状態の鏡と、の接触を回避することができる。しかしながら、鏡に折りたたみ機構を設けると、使用者の正面の鏡に境界線が生ずる場合がある。そのため、洗面化粧台の鏡を利用したときの化粧の行いやすさを向上させることができないおそれがある。これに対して、この洗面化粧台システムによれば、鏡に折りたたみ機構などを設ける必要はない。そのため、使い勝手が良く化粧を行いやすい洗面化粧台システムを実現することができる。
【0013】
また、第3の発明は、第1の発明において、前記回避手段は、前記把持部に設けられたことを特徴とする洗面化粧台システムである。
【0014】
この洗面化粧台システムによれば、回避手段が把持部に設けられているため、鏡に折りたたみ機構などを設ける必要はない。そのため、使用者の正面の鏡に境界線が生ずることを回避することができる。また、回避手段が把持部に設けられているため、昇降キャビネットの昇降機構などに特別な機構などを付加する必要はない。
【0015】
また、第4の発明は、第3の発明において、前記回避手段は、非使用状態の前記把持部を前記使用状態の前記把持部からみて上方へ配置し、前記使用状態の前記把持部を前記非使用状態の前記把持部からみて下方へ配置することを特徴する洗面化粧台システムである。
【0016】
この洗面化粧台システムによれば、非使用状態の把持部は、使用状態の把持部からみて上方へ配置される。一方、使用状態の把持部は、非使用状態の把持部からみて下方へ配置される。そのため、把持部を鏡よりも前方に離して配置させるなどして、非使用状態の把持部と、開いた状態の鏡と、の接触を回避させる必要はない。つまり、使用状態と非使用状態とを切り替えるだけのより狭い空間を利用することで、非使用状態の把持部と、開いた状態の鏡と、の接触を回避することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の態様によれば、使い勝手が良く化粧を行いやすい洗面化粧台システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態および比較例にかかる洗面化粧台システムを表す断面模式図である。
【図2】本実施形態にかかる洗面化粧台システムの全体を表す断面模式図である。
【図3】本実施形態の昇降キャビネットが降りた状態の一例を例示する断面模式図である。
【図4】本実施形態の回避手段の具体例を説明するための断面模式図である。
【図5】本実施形態の回避手段の具体例を説明するための斜視模式図である。
【図6】本実施形態の洗面化粧台システムを前方からみたときの平面模式図である。
【図7】本実施形態の回避手段の他の具体例を説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態および比較例にかかる洗面化粧台システムを表す断面模式図である。
また、図2は、本実施形態にかかる洗面化粧台システムの全体を表す断面模式図である。
また、図3は、本実施形態の昇降キャビネットが降りた状態の一例を例示する断面模式図である。
なお、図1(a)は、本実施形態にかかる洗面化粧台システムを表す断面模式図であり、図1(b)は、比較例にかかる洗面化粧台システムを表す断面模式図である。
【0020】
図1(a)に表したように、本実施形態にかかる洗面化粧台システム100は、洗面化粧台200と、昇降キャビネット300と、を備える。図2に表したように、洗面化粧台200は、ボウル部210と、収納部本体220と、鏡230と、照明装置240と、を有する。
【0021】
収納部本体220および鏡230は、ボウル部210の上方に設けられている。鏡230は、収納部本体220の前側において開閉自在に軸支されている。収納部本体220と鏡230との間の空間には、収納部221が設けられている。つまり、鏡230は、収納部221の開閉扉としての機能を有する。例えば、女性などは、鏡230を開けることで収納部221に化粧道具などを収納することができる。
【0022】
収納部本体220および鏡230の上方には、照明装置240が設けられている。照明装置240は、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)241を有する。LED241において発光した光は、図示しない導光板などに導かれ、例えば図1(a)に表した矢印245、246のように洗面化粧台200の前方へ放出する。ここで、本願明細書において「前方」とは、鏡230からみて鏡230を利用する者へ向かう方向をいうものとする。
【0023】
昇降キャビネット300は、洗面化粧台200の上方に設けられ、昇降棚310と、把持部320と、を有する。図3に表したように、昇降棚310は、上方位置(収納位置あるいは非使用位置)と下方位置(使用位置)とを昇降自在に移動することができる。把持部320は、昇降棚310の下部に取り付けられ、使用者が昇降棚310を上方位置から下方位置へ手動で降ろすときに使用される。
【0024】
なお、本実施形態では、昇降棚310が上方位置と下方位置とを昇降自在に移動する場合を例に挙げて説明するが、昇降キャビネット300の構造や機構は、これだけに限定されるわけではない。例えば、昇降キャビネット300は、昇降棚310を有しておらず、昇降キャビネット300の外形箱などが上方位置と下方位置とを昇降自在に移動してもよい。また、昇降キャビネット300は、手動式に限定されず、電動式であってもよい。但し、昇降キャビネット300は、電動式の場合でも、昇降棚310や昇降キャビネット300の外形箱などを上方位置から下方位置へ手動で降ろすための把持部320を有する。
【0025】
図1(b)に表したように、本比較例にかかる洗面化粧台システム500は、本実施形態にかかる洗面化粧台システム100と同様に、洗面化粧台600と、昇降キャビネット300と、を備える。洗面化粧台600は、収納部本体620と、鏡630と、照明装置640と、を有する。昇降キャビネット300は、昇降棚310と、把持部350と、を有する。本比較例にかかる洗面化粧台システム500では、本実施形態の照明装置240がLED241を有するのに対し、本比較例の照明装置640は、蛍光灯641を有する。
【0026】
近年、洗面化粧台システム100の鏡230を利用して化粧を行う女性が増えてきている。ここで、蛍光灯641の演色性は、LED241などと比較すると低い。そして、蛍光灯641は、例えばヒトの肌を黄色っぽく映してしまう。そのため、蛍光灯641の下で化粧を行った女性が自然光(太陽光)の下に出ると、化粧の見た目が変化するという課題がある。
【0027】
これに対して、本実施形態の照明装置240は、LED241を有する。LED241の演色性は、蛍光灯641の演色性よりも高い。そのため、本実施形態にかかる洗面化粧台システム100は、蛍光灯の下と、自然光の下と、の間で化粧の見た目が変化するという課題を解決することができる。
【0028】
また、女性は、化粧を行うときには、多くの道具を使用する。そのため、多くの化粧道具を収納できるように、収納部221や昇降キャビネット300などの収納スペースの拡大が要望されている。また、化粧道具だけに限定されず、化粧道具以外のより多くの物を収納できるように、収納部221や昇降キャビネット300などの収納スペースの拡大が要望されている。
【0029】
これに対して、図1(a)および図1(b)に表したように、一般的に、LED241の大きさは、蛍光灯641の大きさよりも小さい。そのため、昇降キャビネット300の大きさを維持しつつ、本比較例の収納部621の大きさ(収納スペース)を本実施形態の収納部221のように上方へ拡大させることができる。さらに、本実施形態にかかる洗面化粧台システム100は、洗面化粧台200の上方に昇降キャビネット300を備えるため、より広い収納スペースを確保することができる。
【0030】
これにより、洗面化粧台200の鏡230を利用したときの化粧の行いやすさを向上させることができる。しかしながら、本発明者の検討の結果、照明装置240の光源としてLED241を使用することで本比較例の収納部621の大きさを本実施形態の収納部221のように上方へ拡大させ、さらに昇降キャビネット300を設けるだけでは、新たな課題が生ずることが分かった。
【0031】
具体的には、本比較例の収納部621の大きさを本実施形態の収納部221のように上方へ拡大させると、図1(b)に表したような側面視において、鏡630の上端の水平方向であって前方へ向かう延長線が把持部350と干渉するという課題が生ずることが分かった。すなわち、本比較例の収納部621の大きさを本実施形態の収納部221のように上方へ拡大させることができる一方で、鏡630を開けると、鏡630が把持部350と接触するという課題が生ずることが分かった。
【0032】
これに対して、本実施形態にかかる洗面化粧台システム100は、図1(a)に表したような側面視において、鏡230が開いても、把持部320と、鏡230と、が干渉(接触)することを回避する回避手段を備える。ここで、本願明細書において「鏡230が開く」とは、鏡230の端部であって収納部本体220に対する軸支部とは反対側の端部(先端)が閉止状態の鏡230からみて最も離れた位置へ移動する程度にまで鏡230が開くことを言うものとする。
【0033】
より具体的には、本実施形態にかかる洗面化粧台システム100は、図1(a)に表したような側面視において、非使用状態の把持部320aと、鏡230の上端の水平方向であって前方へ向かう延長線と、の干渉を回避する回避手段を備える。言い換えれば、本実施形態にかかる洗面化粧台システム100は、図1(a)に表したような側面視において、非使用状態の把持部320aと、開いた状態の鏡230と、の接触を回避する回避手段を備える。ここで、本願明細書において「開いた状態の鏡230」とは、閉止状態と、鏡230の端部であって収納部本体220に対する軸支部とは反対側の端部が閉止状態の鏡230からみて最も離れた位置へ移動する程度にまで開いた状態と、の間のいずれかの状態の鏡230をいうものとする。
【0034】
また、本願明細書において「非使用状態の把持部」とは、昇降棚310や昇降キャビネット300の外形箱などが上方位置にあるときの把持部320の状態であって、使用者が把持部320を握っていない状態の把持部320をいうものとする。
【0035】
一方で、図1(a)に表したような側面視において、鏡230の上端の水平方向であって前方へ向かう延長線が使用状態の把持部320bと干渉するほどに、本比較例の収納部621の大きさを本実施形態の収納部221のように上方へ拡大させることができる。言い換えれば、使用状態の把持部320bと、開いた状態の鏡230と、が接触するほどに、本比較例の収納部621の大きさを本実施形態の収納部221のように上方へ拡大させることができる。
【0036】
ここで、本願明細書において「使用状態の把持部」とは、使用者が昇降棚310や昇降キャビネット300の外形箱などを上方位置から下方位置へ手動で降ろすときに使用される状態をいうものとする。
【0037】
本実施形態にかかる洗面化粧台システム100によれば、非使用状態の把持部320aと、開いた状態の鏡230と、の接触を回避しつつ、収納部221や昇降キャビネット300などの収納スペースの拡大の要望に応えることができる。また、照明装置240の光源としてLED241が使用されるため、蛍光灯の下と、自然光の下と、の間で化粧の見た目が変化するという課題を解決することができる。これにより、使い勝手が良く化粧を行いやすい洗面化粧台システム100を実現することができる。さらに、昇降キャビネット300の大きさを維持することで、昇降棚310や昇降キャビネット300の外形箱などを上方位置から下方位置へ降ろしても、使用者への圧迫感を抑えることができる。
【0038】
次に、本実施形態の回避手段の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態の回避手段の具体例を説明するための断面模式図である。
また、図5は、本実施形態の回避手段の具体例を説明するための斜視模式図である。
また、図6は、本実施形態の洗面化粧台システムを前方からみたときの平面模式図である。
なお、図4(a)は、本実施形態の把持部320を表す断面模式図であり、図4(b)は、比較例の把持部350を表す断面模式図である。また、図5(b)は、図5(a)に表した範囲Aを拡大して眺めた拡大模式図である。
【0039】
図4(b)に表した比較例にかかる洗面化粧台システム700では、照明装置240は、LED241を有する。また、本比較例の昇降棚310の下部に取り付けられた把持部350は、図1(b)に表した把持部350と同様である。その他の構造は、本実施形態にかかる洗面化粧台システム100の構造と同様である。
【0040】
本比較例にかかる洗面化粧台システム700では、照明装置240の光源としてLED241が使用されているため、図4(b)に表した収納部221のように、収納部本体220に形成された収納部を上方へ拡大させることができる。しかしながら、本比較例にかかる洗面化粧台システム700は、把持部350と、開いた状態の鏡230と、の接触を回避する回避手段を備えていない。そのため、図4(b)に表したように、使用者が鏡630を開けると、鏡630が把持部350と接触するという問題が生ずる。
【0041】
これに対して、本実施形態にかかる洗面化粧台システム100は、側面視において、非使用状態の把持部320aと、開いた状態の鏡230と、の接触を回避する回避手段を備える。本具体例の回避手段は、把持部320に設けられている。図4(a)に表した矢印Bのように、把持部320は、昇降キャビネット300に対して回動自在に軸支されている。そして、例えばばねなどの付勢手段が軸支部などに設けられている。図示しないばねなどの付勢手段は、使用状態の把持部320bから非使用状態の把持部320aへ向かう方向へ把持部320を付勢している。これにより、把持部320に力が加わっていない場合には、把持部320は、非使用状態の把持部320aとなる。そのため、図4(a)および図5に表したように、非使用状態の把持部320aと、開いた状態の鏡230と、の接触を回避することができる。
【0042】
また、本具体例の回避手段は、把持部320に設けられているため、例えば鏡230などのような把持部320以外の部材に回避手段を設ける必要はない。そのため、鏡230に特別な機構などを設ける必要はなく、使用者は、通常通りに鏡230を使用することができる。例えば、非使用状態の把持部320aと、開いた状態の鏡230と、の接触を回避するために、鏡230に折りたたみ機構を設けることが考えられる。この場合には、鏡230は、非使用状態の把持部320aと接触しないように折りたたまれながら開く。そうすると、非使用状態の把持部320aと、開いた状態の鏡230と、の接触を回避することができる。しかしながら、鏡230に折りたたみ機構を設けると、使用者の正面の鏡230に境界線が生ずる場合がある。そのため、洗面化粧台200の鏡230を利用したときの化粧の行いやすさを向上させることができないおそれがある。これに対して、本具体例の回避手段は、把持部320に設けられているため、鏡230に特別な機構などを設ける必要はない。そのため、使用者は、通常通りに鏡230を使用することができる。
【0043】
また、本具体例の回避手段は、把持部320に設けられているため、把持部320の構造を工夫することで、非使用状態の把持部320aと、開いた状態の鏡230と、の接触を回避することができる。言い換えれば、昇降キャビネット300の昇降機構などに特別な機構などを付加する必要はない。また、図6に表したように、鏡230の左右方向における略中央部に把持部320を設けることができる。これによれば、使用者は、鏡230の左右方向における略中央部に立ったままで、把持部320を掴み、昇降棚310や昇降キャビネット300の外形箱などを上方位置から下方位置へ手動で降ろすことができる。そのため、使い勝手が良く化粧を行いやすい洗面化粧台システム100を実現することができる。
【0044】
また、本具体例の回避手段においては、図4(a)に表したように、非使用状態の把持部320aは、使用状態の把持部320bからみて昇降キャビネット300の側(上方)に配置される。一方、使用状態の把持部320bは、非使用状態の把持部320aからみて使用者側(下方)に配置される。これにより、把持部320を鏡230よりも前方に配置させるなどして、非使用状態の把持部320aと、開いた状態の鏡230と、の接触を回避させる必要はない。つまり、より狭い空間を利用することで、非使用状態の把持部320aと、開いた状態の鏡230と、の接触を回避することができる。
【0045】
なお、本具体例では、把持部320が図4(a)に表した矢印Bのように回動する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されるわけではない。把持部320は、非使用時には上方へスライドし、使用時には下方にスライドすることで、開いた状態の鏡230と接触することを回避してもよい。この場合でも、回避手段は、把持部320に設けられ、非使用状態の把持部320aと、開いた状態の鏡230と、の接触を回避することができる。
【0046】
図7は、本実施形態の回避手段の他の具体例を説明するための断面模式図である。
なお、図7は、本実施形態の洗面化粧台システムを前方からみたときの平面模式図である。
【0047】
図7に表した洗面化粧台システム100aでは、昇降キャビネット300aは、洗面化粧台200の左側面201および右側面203よりも左右側方にまで延在している。本実施形態にかかる洗面化粧台システム100aでは、把持部330は、図7に表したような正面視において、洗面化粧台200の右側面203よりも右側方にまで延在した昇降キャビネット300aの部分に取り付けられている。つまり、本具体例の回避手段は、鏡230が開く軌跡上に把持部330が配置されないように、正面視において鏡230の右側方にずれて配置されてなる。
【0048】
なお、把持部330は、正面視において、洗面化粧台200の左側面201よりも左側方にまで延在した昇降キャビネット300aの部分に取り付けられていてもよい。つまり、本具体例の回避手段は、鏡230が開く軌跡上に把持部330が配置されないように、正面視において鏡230と把持部330とが左側方および右側方の少なくともいずれかに互いにずれて配置されてなる。
【0049】
本具体例の回避手段によれば、図4〜図6に関して前述したように、鏡に折りたたみ機構などを設ける必要はない。そのため、使い勝手が良く化粧を行いやすい洗面化粧台システム100を実現することができる。また、図1〜図3に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、洗面化粧台200および昇降キャビネット300などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや把持部320、330の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0051】
100、100a 洗面化粧台システム、 200 洗面化粧台、 210 ボウル部、 220 収納部本体、 221 収納部、 230 鏡、 240 照明装置、 241 LED、 245、246 矢印、 300 昇降キャビネット、 300a 昇降キャビネット、 310 昇降棚、 320、320a、320b、330、350 把持部、 500 洗面化粧台システム、 600 洗面化粧台、 620 収納部本体、 621 収納部、 630 鏡、 640 照明装置、 641 蛍光灯、 700 洗面化粧台システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウル部と、前記ボウル部の上方に設けられ収納部を形成する収納部本体と、前記収納部本体の前側において開閉自在に軸支された鏡と、前記収納部本体の上方に設けられ光源として発光ダイオードが使用された照明装置と、を有する洗面化粧台と、
非使用時に配置される上方位置と、使用時に配置される下方位置と、を昇降自在に移動可能であり、前記上方位置から前記下方位置へ手動で降ろすための把持部を有する昇降キャビネットと、
側面視において、使用状態の前記把持部と、前記鏡の上端の水平方向であって前方へ向かう延長線と、が干渉する一方で、前記鏡が開いても、前記把持部と、前記鏡と、が干渉することを回避する回避手段と、
を備えたことを特徴とする洗面化粧台システム。
【請求項2】
前記回避手段は、前記鏡が開く軌道上に前記把持部が配置されないように、正面視において前記鏡と前記把持部とが左側方および右側方の少なくともいずれかに互いにずれて配置されてなることを特徴とする請求項1記載の洗面化粧台システム。
【請求項3】
前記回避手段は、前記把持部に設けられたことを特徴とする請求項1記載の洗面化粧台システム。
【請求項4】
前記回避手段は、非使用状態の前記把持部を前記使用状態の前記把持部からみて上方へ配置し、前記使用状態の前記把持部を前記非使用状態の前記把持部からみて下方へ配置することを特徴する請求項3記載の洗面化粧台システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−196412(P2012−196412A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64181(P2011−64181)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)