説明

洗面化粧台

【課題】使用者の顔及び洗面ボウルを低コストで照らすことができる洗面化粧台を提供する。
【解決手段】洗面ボウル2と、この洗面ボウル2の後方に横並びに立設配置された複数の鏡10と、これらの鏡10間で鏡10の上端側から下端側にかけて延出する形で配設されて前面方向を照射する照明装置20と、を備えた洗面化粧台1である。照明装置20は、鏡10の上端側に配設される光源21と、鏡10の上端側から下端側にかけて延出し光源21からの光を導出して前面方向へ照射する導光部30と、この導光部30の下端側に配設されて洗面ボウル2の中心側に集光させる端部カバー40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面ボウルと、この洗面ボウルの後方に横並びに立設配置された複数の鏡と、これらの鏡間で鏡の上端側から下端側にかけて延出する形で配設されて前面方向を照射する照明装置とを備えた洗面化粧台が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この洗面化粧台は照明装置が縦型に設置されており、鏡の上側にのみ照明装置が配設された洗面化粧台と比べて、照明装置の照明による使用者の鼻等の影が顔にできにくく、使用者の顔を明るく照らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−66122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように照明装置が縦型に設置されている洗面化粧台において、洗面ボウルを照明することができれば、洗面ボウル内での手洗いや衣類の洗い物作業等の作業を行い易くすることができる。
【0006】
洗面ボウルを照明するために、鏡間に配設された照明装置とは別の照明装置を洗面ボウル周辺に配設することが考えられる。しかしながら、照明装置の光源その他の電気部品や電気配線への水掛りを防ぐための防水処理が必要になる等のコスト増の問題がある。
【0007】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、使用者の顔及び洗面ボウルを低コストで照らすことができる洗面化粧台を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の洗面化粧台は、洗面ボウルと、この洗面ボウルの後方に横並びに立設配置された複数の鏡と、これらの鏡間で前記鏡の上端側から下端側にかけて延出する形で配設されて前面方向を照射する照明装置と、を備えた洗面化粧台において、前記照明装置は、前記鏡の上端側に配設される光源と、前記鏡の上端側から下端側にかけて延出し前記光源からの光を導出して前面方向へ照射する導光部と、この導光部の下端側に配設されて洗面ボウルの中心側に集光させる端部カバーと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この洗面化粧台においては、前記端部カバーは、傾斜面を有していることが好ましい。
【0010】
この洗面化粧台においては、前記端部カバーは、反射部を有していることが好ましい。
【0011】
この洗面化粧台においては、前記照明装置は、前記導光部の側面及び後面を覆う導光部ケースを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の洗面化粧台によれば、使用者の顔及び洗面ボウルを低コストで照らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の洗面化粧台の一実施形態を示す斜視図及びX部拡大図である。
【図2】図1の洗面化粧台の照明装置の分解斜視図である。
【図3】照明装置の導光部の断面図である。
【図4】導光部からの光の出射を説明するための模式図である。
【図5】本発明の洗面化粧台の別の実施形態を示す照明装置の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明に係る洗面化粧台の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態の洗面化粧台では、洗面化粧台に対面した使用者から見て手前側を前、奥側を後、左右方向を側方向として説明する。
【0015】
図1は、本発明の洗面化粧台の一実施形態を示す斜視図及びX部拡大図である。
図1の洗面化粧台1は、洗面ボウル2と、この洗面ボウル2の後方に横並びに立設配置された複数の鏡10と、これらの鏡10間に配設される照明装置20とを備えている。
【0016】
洗面ボウル2は、洗面台3の上部のカウンター4に形成されている。カウンター4は、洗面ボウル2とともに合成樹脂等で一体に成形されており、洗面台3の上部に設置固定されている。洗面台3は箱状であり、内部が収納空間や配管設置空間とされ、扉や引き出し等を備える。カウンター4の後端上にはバックガード部5が一体に立設されており、このバックガード部5の前面の側方向中央部分には、吐水カラン6が突設されている。また、バックガード部5の前面において、吐水カラン6よりもやや外側寄りの位置に、吐水カラン6から吐出される湯水の量や温度を調節する操作レバー7が突設されている。吐水カラン6から吐出される湯水によって洗面ボウル2内で洗面、手洗い、衣類の洗い物作業等の作業が行われる。
【0017】
バックガード部5上には、箱状のキャビネット8が立設されており、このキャビネット8の前面には、複数の鏡10が横並びに設けられて洗面ボウル2の後方に立設配置されている。複数の鏡10はそれぞれ、矩形形状を有して上下方向に延びており、一対のサイドミラー11,11とその間の中央ミラー12を構成し、これら3枚の鏡によって三面鏡を形成する。三面鏡の中央ミラー12は、キャビネット8前面の側方向中央部分に配置されており、洗面化粧台1に対面した使用者は、中央ミラー12と相対する。図示しないが、キャビネット8には、一対のサイドミラー11,11と中央ミラー12に対応する収納部がそれぞれ形成されている。各収納部は前面が開口しており、各鏡10は、各収納部の開口全面を開閉自在に閉塞する。
【0018】
照明装置20は2つ配設されており、サイドミラー11と中央ミラー12との間にそれぞれ配設されている。照明装置20は、長尺形状を有しており、鏡10の上端側から下端側にかけて延出する形で配設され、中央ミラー12の両側に縦型に設置されている。
【0019】
照明装置20は、光源21と導光部30と端部カバー40とを有する。
光源21は、鏡10の上端側に配設される。導光部30は、長尺形状を有しており、上下方向を長手方向として鏡10の上端側から下端側にかけて延出する形で光源21の下方に配設される。この導光部30は、光源21からの光を導出して矢印Pが示す前面方向へ照射可能とされている。また、導光部30の下端側に配設される端部カバー40を介して矢印Qが示す方向にも照射可能であり、洗面ボウル2の中心側に集光可能とされている。
【0020】
図2は、図1の洗面化粧台の照明装置の分解斜視図である。
【0021】
光源21は、LED(発光ダイオード)22と、このLED22を搭載する基板23と、この基板23を収納する基板ケース24とを有して構成される。基板ケース24は、箱状であり、放熱性の良好な金属等の剛性部材で形成される。
光源21は、導光部30の長手方向の一方の端面31に対向して配置され、LED22は、その光の出射方向が導光部30の端面31から長手方向の他方の端面32に向かう方向になるように配置される。
【0022】
導光部30は、透光性を有し屈折率の高いアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の合成樹脂で形成される。ガラス等の部材で形成することもできる。合成樹脂で形成する場合には、押出工法等によって形成することができる。
【0023】
導光部30の長手方向の一方の端面31(光源21側の端面)には、入光面33が形成され、光源21からの光がこの入光面33から導光部30の内部に導入される。
導光部30の前面35は、平面状に形成されている。図1に示されるように、導光部30の前面35とこの導光部30を有する照明装置20に隣接する鏡10の前面とが略面一となるように照明装置20が鏡10間に配置される。
導光部30の前面35は、発光面として構成されており、入光面33から内部に導入された光源21からの光が前面35から出射する。導光部30の前面35全体から光を出射させることもできる。導光部30の前面35からの光の出射が、前面方向への照射となる。
【0024】
洗面化粧台に対面した使用者は、図1に示されるように、導光部30の前面35からの光の出射によって使用者の正面側から照射されることになる。本実施形態では、使用者が相対する中央ミラー12の両側に照明装置20が配設されているので、使用者は正面のやや側方から照射される。このような正面側からの照明によって、使用者の顔を明るく照らすことができる。また、鏡10の上側にのみ配設された従来の照明装置の照明と比べて、使用者の鼻等の影が顔にできにくくなる。
【0025】
導光部30の後面36には光拡散面が形成されていてもよい。光拡散面は、入光面33から内部に導入された光源21からの光を前面35側に向けて照射する面であり、反射性の物質を後面に印刷ないし蒸着したりすることによって構成することができる。また、断面視V字状の溝条を後面に複数列形成することによって構成することもできる。
【0026】
導光部30の後面36は、前面35に対して平行な面として形成することもできるが、非平行な面として形成することもできる。
例えば、図3は照明装置の導光部の断面図であるが、この図3に示されるように、後面36を平面とすると、後面36の面が洗面化粧台に対面した使用者と相対する方向に、前面35に対して所定の角度で後面36を傾斜させることができる。このように後面36の面を使用者と相対する方向に傾斜させることで、導光部30の前面35から出射される光を使用者に向けて(矢印P’で示す方向に)配光することができる。これによって照度が向上し、使用者をより明るく照らすことができる。図3では、傾斜角度αを5°に設定し、後面36を前面35に対して傾斜させている。この傾斜角度αは、導光部30の前面35に平行な仮想面Aと後面36とのなす角度であり、導光部30の配置位置に応じて適宜設定される。例えば、照明装置がキャビネットの前面の外側付近に設置されるなど導光部30が使用者から離れた位置に配置される場合には、傾斜角度αを大きくして後面36の傾きを大きくする。一方、照明装置がキャビネットの前面の側方向中央部分に設置されるなど導光部30が使用者に近い位置に配置される場合には、傾斜角度αを小さくして後面36の傾きを小さくする。
【0027】
また、導光部30の前面35の側方向の長さをL、後面36の側方向の長さをLとすると、L>Lに設定して、導光部30の前面35の面積を後面36の面積より大きくすることができる。かかる構成によって、導光部30の光源側前面35からの光の過度な出射が抑制され、導光部30の前面35から光を上下方向に亘ってより均一に出射させることができる。また、導光部30の前面35において部分的に輝度が上がりすぎることを抑え、眩しさを抑制することができる。
【0028】
導光部30の側面37の傾きを調整することによっても、導光部30の前面35から出射される光の方向を調整でき、使用者に向けて配光することができる。例えば、図3に示されるように、側面37を平面とし、中央ミラー側の側面37aと後面36とのなす角度をβ、サイドミラー側の側面37bと後面36との傾きのなす角度をγとすると、β>γの関係になるように各側面37a,37bの傾きを設定する。かかる構成によって、導光部30の前面35から光を全面に亘ってより均一に出射させることができ、眩しさを抑制することもできる。
【0029】
導光部の別の実施形態として、側面を円弧状に湾曲する曲面とした、断面形状が略半円状の構成とすることもできる。このような構成の導光部の場合でも、中央ミラー側の側面とサイドミラー側の側面の曲率を調整することで、導光部の前面から出射される光の方向を調整でき、使用者に向けて配光することができる。また、導光部の前面から光を全面に亘ってより均一に出射させることができ、眩しさを抑制することもできる。
【0030】
本実施形態では、図2及び図4に示されるように、導光部30の長手方向の他方の端面32に、出光面38が形成されている。入光面33から内部に導入された光は前面35以外にこの出光面38からも外部に出射される。
【0031】
端部カバー40は、導光部30の出光面38全面を覆う大きさを有しており、出光面38に対向して配置される。この端部カバー40は、導光部30の端部を保護するものであるが、導光部30の出光面38からの光を洗面ボウルの中心側に集光させる出光部として構成されてもいる。
この端部カバー40によって洗面ボウルを照明することが可能となり、洗面ボウル内での手洗いや衣類の洗い物作業等の作業を行い易くすることができる。
【0032】
端部カバー40は、透光性を有する透明性合成樹脂もしくは光拡散性を有する乳白色の合成樹脂で構成され、傾斜面41を有している。傾斜面41は端部カバー40の外面に平面として形成されており、出光面38と平行な平面を形成する内面42に対して所定の角度で傾斜している。このような傾斜面41を有した端部カバー40はプリズムを構成し、導光部30の出光面38からの光をより効果的に洗面ボウルの中心側に集光ないし配光させることができる。
【0033】
本実施形態では、図1に示されるように、端部カバー40の傾斜面41は、中央ミラー12側からサイドミラー11側に向かって斜め上方に傾斜しており、端部カバー40の上下方向の厚みが、中央ミラー12側において厚くサイドミラー11側において薄くなっている。導光部30の出光面38からの光は、この端部カバー40の傾斜面41によって、より効果的に洗面ボウル2の中心側に集光ないし配光される。
【0034】
端部カバーの別の実施形態として、図5に示されるように、反射部43を有した構成とすることもできる。なお、図1−図4に示した実施形態と同じ部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
反射部43は、鏡面仕上げ、白色仕上げ、銀蒸着等の処理によって光反射パターンが形成されており、導光部30の出光面38からの光をより効果的に洗面ボウルの中心側に集光ないし配光させることができる。
図5では、端部カバー40’において、導光部30の出光面38に対向する部分に反射部43が一体に設けられている。反射部43は、正面視で導光部30のサイドミラー側の側面37bの下端から下側に中央ミラー側に向かって円弧状に湾曲しており、曲面形状を有する。反射部43の先端部44と導光部30の中央ミラー側の側面37bの下端との間には隙間60が形成されており、反射部43で反射した導光部30の出光面38からの光は、この隙間60を介して洗面ボウルの中心側に集光ないし配向される。
【0036】
端部カバーのさらに別の実施形態として、曲面を有するレンズを備えた構成とすることもできる。曲面を有するレンズによって、導光部の出光面からの光をより効果的に洗面ボウルの中心側に集光ないし配光させることができる。
【0037】
上記の照明装置は、さらに導光部ケースを備えることもでき、導光部はこの導光部ケースに収納される。導光部ケースは、金属や合成樹脂等の剛性部材で形成される。図2に示されるように、導光部ケース25は、導光部30の側面37及び後面36の外形形状に対応した形状を内側形状とする凹部26を有している。導光部30は導光部ケース25の凹部26に収納され、凹部26に収納された導光部30は側面37及び後面36が覆われる。このような導光部ケース25は、導光部30の位置決めや鏡間への照明装置20の設置を容易にする。また、ねじ等の固着具50を用いて基板ケース24及び端部カバー40を導光部ケース25に取り付けることもでき、光源21及び端部カバー40の設置を容易にする。
【0038】
また、図2に示されるように、導光部30の後面36側に、反射板27を配設することができる。この反射板27は、導光部30の側面37及び後面36の外形形状に対応した形状を有しており、導光部30の側面37や後面36から漏れた光をこの反射板27で導光部30の側面37や後面36に向けて反射させることができる。このため、反射板27を配設することで、導光部30の前面35及び出光面38からの光の発光効率をより向上させることができる。反射板27は、反射率の高い合成樹脂等で形成される。上記した導光部ケース25に導光部30を収納する場合には、導光部30と導光部ケース25の凹部26との間に反射板27を配設することができる。また、反射板27を導光部ケース25の凹部26と一体に形成することもできる。
【0039】
以上の洗面化粧台の照明装置によれば、一つの光源からの光を導光部の前面及び下側の端部の出光面から出射させることができる。導光部の前面からの光の出射によって、使用者の顔を明るく照らすことができる。この場合、鏡の上側にのみ配設された従来の照明装置の照明と比べて、使用者の鼻等の影が顔にできにくくなる。また、導光部の下側の端部の出光面から出射された光は、端部カバーによって、洗面ボウルの中心側へ集光される。これによって、洗面ボウルを明るく照明することが可能となり、洗面ボウル内での手洗いや衣類の洗い物作業等の作業を行い易くすることができる。このように使用者の顔及び洗面ボウルを一つの光源で照らすことができるので、低コストである。
【0040】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。例えば、光源から導光部に向かう光を平行光化し、導光部の前面から出射される光の輝度分布をより均一化するために、シリンドリカル面等の曲面を有する入光レンズを光源と導光部との間に設けることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 洗面化粧台
2 洗面ボウル
10 鏡
20 照明装置
30 導光部
40,40’ 端部カバー
41 傾斜面
43 反射部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面ボウルと、この洗面ボウルの後方に横並びに立設配置された複数の鏡と、これらの鏡間で前記鏡の上端側から下端側にかけて延出する形で配設されて前面方向を照射する照明装置と、を備えた洗面化粧台において、
前記照明装置は、前記鏡の上端側に配設される光源と、前記鏡の上端側から下端側にかけて延出し前記光源からの光を導出して前面方向へ照射する導光部と、この導光部の下端側に配設されて洗面ボウルの中心側に集光させる端部カバーと、を備えたことを特徴とする洗面化粧台。
【請求項2】
前記端部カバーは、傾斜面を有していることを特徴とする請求項1に記載の洗面化粧台。
【請求項3】
前記端部カバーは、反射部を有していることを特徴とする請求項1に記載の洗面化粧台。
【請求項4】
前記照明装置は、前記導光部の側面及び後面を覆う導光部ケースを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の洗面化粧台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−106785(P2013−106785A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254001(P2011−254001)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】