説明

洗髪に有用な手袋

【課題】 単に爪の保護だけでなく、伸ばしたり装飾を施した爪でも、洗髪を含む各種作業を支障なく行うことができるようにした手袋を提供すること。
【解決手段】 主に洗髪時に好適に使用される手袋であって、掌を入れる掌袋部と、少なくとも何れかの指が入れられる指袋とからなる手袋本体と、当該指袋の先端に収容されて爪の下面を保持するサポート部材とからなり、当該サポート部材が収容される指袋は、そこに入る指の指先よりも軸方向に長く形成されており、この指先よりも長く形成された指袋の空間内に前記サポート部材が収容さている手袋とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネイルチップやスカルプチュア等の付け爪、或いはマニキュアを含む各種の装飾を施した爪を保護する為の手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ファッションとして自分の爪(以下「自爪」とする)を長く伸ばしたり、自爪に対して長い付け爪(ネイルチップ)を接着したり、或いは自爪や付け爪にスカルプチュアなどの装飾を行う事が行われている。爪に対してこの様な装飾(ネイルチップの接着を含む)を行うことによりファッション性を高めることができるが、その一方で手を使う日常生活においては、伸びた爪が邪魔になり思うように作業できない等の支障を来たすこともあった。
【0003】
例えば、自爪や装着したネイルチップを長く伸ばしている場合には、キーボード操作などの事務作業や、炊事などの家事などにおいて、爪が引っ掛からないように気をつけて作業しなければならない。また爪を長く伸ばしている場合や爪の表面に凹凸のある装飾を施している場合には、入浴時、特に洗髪時において、髪の毛が長い爪や爪の表面の装飾に引っ掛かってしまい、付け爪が剥がれたり、爪の表面の装飾が剥がれることがあった。
【0004】
そこで、このような洗髪時における不都合を解消するべく、これまでに幾つかの技術が提案されている。
例えば、特許文献1(特開2005−200820号公報)では、手袋の指腹部に凸形状の突起を設け、密着部位で指腹部の密着固定により、軽い指の圧力を頭皮に効率的に伝える洗髪ができ、爪袋を設けたことで、爪を保護し爪に圧力をかけずに軽い力で頭皮全体を効率よく洗髪できるようにした洗髪用手袋が提案されている。
【0005】
また特許文献2(特開2003−19022号公報)では、爪を保護しながら、頭皮を傷つけずに、シャンプーする事が出来、なおかつマッサージ機能もある、爪保護用指さっくを提供するべく、先端部の切れた指さっくの指腹部に、凹凸部を設け、本体にあたる指さっくと親指用指さっくの甲の部分は、第2関節までとし、各指つけ根部分にフックを設けた爪保護用指さっくが提案されている。
【0006】
更に、洗髪用途以外にも使用できるネイル保護部材は、例えば特許文献3(実用新案登録第3131817号公報)で提案されている。すなわちこの特許文献3では、各指を覆う手袋と、この手袋に挿入される指の長爪を保護する保護部、及び保護部に一体形成されて、挿入される指の第一関節から先側を挟持する挟持部を備えた保護片とを有し、この保護片は、前記手袋の各指先側の内面に取着されているネイル保護部材が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−200820号公報
【特許文献2】特開2003−19022号公報
【特許文献3】実用新案登録第3131817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の通り、爪(自爪および付け爪を含む。以下同じ。)を保護する観点において、各種の爪保護部材が提案されている。特に、洗髪時において爪を保護するものとして、特許文献1および2に開示される技術が提案されている。
【0009】
しかしながら、何れの技術も爪の表面側をカバー乃至は保護するものであり、爪面の表側に凹凸のある装飾を施した場合においては、使用できなかったり、或いは十分な保護効果を期待できないのが実情である。
そこで本発明は、第一に爪の表面に凹凸のある装飾を施した場合でも、これを有効に保護することのできる手袋を提供することを第一の課題とする。
【0010】
また、従前においては洗髪時などにおいて爪面を保護する技術は提案されているが、洗髪や各種の作業のしやすさを向上させることについては、何ら検討されていないのが実情である。
そこで本発明では、単に爪の保護だけでなく、伸ばしたり装飾を施した爪でも、洗髪を含む各種作業を支障なく行うことができるようにした手袋を提供することを第二の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するべく、本発明者は鋭意開発を行った結果、爪先よりも伸びた爪の下面を支持・サポートすることで、爪を保護しながらも、日常生活や事務作業を含む各種の作業に支障を来たさないことを見出し、本発明の手袋を完成するに至った。
【0012】
即ち本発明にかかる手袋は、各種の用途に使用することができるが、主に洗髪時(即ち、シャンプーやリンスを行う時)に好適に使用される手袋であって、
掌を入れる掌袋部と、少なくとも何れかの指が入れられる指袋とからなる手袋本体と、
当該指袋の先端に収容されて爪の下面を保持するサポート部材とからなり、
当該サポート部材が収容される指袋は、そこに入る指の指先よりも軸方向に長く形成されており、この指先よりも長く形成された指袋の空間内に前記サポート部材が収容さている事を特徴とする。
【0013】
この手袋本体は、掌を入れる掌袋部と、少なくとも何れかの指を入れる指袋とからなり、少なくとも何れかの指袋は、親指、人差指、中指、薬指、小指の何れかの指が1本だけ入るように形成される。当然のことながら、この5本の指がそれぞれ1本づつ収容される5つの指袋(親指袋、人差指袋、中指袋、薬指袋、小指袋)を備えていても良く、また親指だけが入る親指袋と、その他の指が一緒に入る指袋とが設けられていても良く、或いは人差指袋、中指袋および薬指袋だけが設けられていても良い。
【0014】
そして、少なくとも何れかの指袋、即ち、親指袋、人差指袋、中指袋、薬指袋または小指袋は、そこに入る指の指先よりも先に空間が存在するように長く、望ましくは伸びた爪を収容できる長さに形成される。なお、この指先よりも長く形成されている部分、即ち延長部分の内側(内部空間)には、爪の下面を保持するべく、後述するサポート部材が収容されることになる。
【0015】
この手袋本体は、後述するサポート部材を爪の下面に保持する為に機能する他、当該サポート部材を、各指の爪面の下に簡易に配置できるようにするものとして機能する。即ち、単にサポート部材を爪面の下に保持するだけでも良ければ、それぞれの指ごとに、指サックのようなものを装着することとし、この指サックの先端にサポート部材を設けることも考えられるが、これでは各指ごと、即ち最大で10本の指に対して、いちいち装着作業を行わなければならず、使用時において極めて煩わしいものとなる。そこで本発明では、手袋本体における指袋(望ましくは全ての指袋)を長さ方向に延長させ、延長させた部分内に後述のサポート部材を設けることで、当該サポート部材の着脱を、手袋の着脱に伴い、一気に行い得るようにしたものである。
【0016】
また、上記の手袋本体(指袋部分を含む)は、その掌(手のひら)側若しくは甲側の少なくとも何れかの部分を通水性または通気性を有する生地、或いは通気性または通水性を有する複数の孔を形成した多孔シートにより構成することが望ましい。手袋本体内に雑菌などが繁殖するのを阻止する為であり、また手袋内に水が入り込むことによる使用時の不快感を解消するためである。このように形成すれば、特に洗髪する場合や炊事などで水を使う場合においても好適に使用することができる。但し、指袋における手の甲側(裏側)の内面は、ゴムやビニールなど、爪が引っ掛かりにくい材料で形成されていることが望ましい。着用における爪の引っ掛かりをなくして、スムーズに着用できるようにする為である。
【0017】
そして上記の手袋本体における、何れか又は全ての指袋内には、爪の下面を保持するサポート部材が設けられる。
【0018】
かかるサポート部材は、手袋本体における指袋の先端側に存在して、爪の下面を保持するものであり、その爪の下面を保持する領域(即ち、後述の「爪当部」)は、指先から伸びた爪と同じか、それ以上の長さに形成される。ここで、爪の長さは個人毎に或いは使用する付け爪によって様々であり、それぞれに応じて長さを調整するのが望ましい。但し、本発明にかかる手袋は、洗髪を含む日常生活において支障乃至は不便を感じる長さに伸びた爪で好適に使用されるものであるから、当該サポート部材における爪の下面を保持する領域(即ち、後述の「爪当部」)は、指先よりも5mm以上、更に10mm以上、特に15mm以上伸びている爪の下面を支持可能な長さに形成されることが望ましい。例えば、サポート部材における爪の下面を支持する領域の長さを10mmにすれば、指先から約10mm以下の長さに伸びた爪の下面をサポートすることができ、爪の下面を支持する領域の長さを30mmにすれば、指先から約30mm以下の長さに伸びた爪の下面をサポートすることができる。よって、このサポート部材における、爪の下面を支持する領域は、例えば10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mmなど、一定の長さに規格化したものを多数準備することが考えられる。
【0019】
また、このサポート部材は、指先よりも伸びている爪の下面を確実にサポートできるように、爪の下面に対して面接触するように構成された爪当部を備えることが望ましい。例えば、この爪当て部は、爪の下面の形状に沿うような形に湾曲させて形成する他、平坦な面、或いは平面に形成することができる。
【0020】
また上記サポート部材は、指先と指先よりも延在する爪の下面との間の空間を埋める形状に形成するのが望ましい。即ち、指の腹部分から爪先に至る空間を満たすような形状に形成するのが望ましい。通常であれば、指先か伸びた爪の下側には空間が存在することになるが、この空間を埋めることにより、指先よりも伸びた爪の部分を指と同じように作用させる事ができる為である。この点、仮に指先よりも伸びた爪の下面が空間になっている場合には、洗髪に際しては指の腹部分で洗わなければならなず、伸びた爪は、単に洗髪時における邪魔なものとなってしまうことから、洗髪などは行いにくいものとなる。しかし、本発明の手袋のように、爪の下面側の空間を充填するようにサポート部材を形成し、これを爪の下側に配置することにより、爪先に至るまで、指と同じように使用することができ、よって爪が長いことによる作業時の支障を解消することができる。
【0021】
また、このサポート部材は、指先よりも延在する爪の下面に、面で接する用に形成された爪当部と、当該爪当部に繋がって指の腹部分に接する基部とで構成することができる。指の腹部分に接する基部を設けることにより、伸びた爪、すなわちサポート部材に作用する力を指に分散させることができ、これにより爪先に至る範囲を指と同じような感覚で使用することができる。特に、指の腹部分に当接する基部は、指先と第一関節の間に存在する末節の略中間まで、或いは第一関節近傍まで接するように形成することが望ましい。よって、当該サポート部材は、全体として、指先と第一関節の間に存在する末節の略中間から爪先まで、或いは第一関節近傍から爪先までの長さに形成することが望ましい。
【0022】
また、このサポート部材は、前記爪当部および基部の少なくとも何れかの側面に、爪および指の少なくとも何れかの側面を挟持する側壁部を設けることが望ましい。当該側壁部で爪または指先の側面、或いは爪および指先の側面を挟んで保持することにより、当該サポート部材を確実に指先に固定することができ、これにより爪の下面に存在するサポート部材を指と同じ感覚で使うことができるためである。即ちこのサポート部材が存在する領域で物を掴んだり、押したりする等、指先と同じ事をすることができる。その結果、洗髪時などにおいては、例え爪が長くともこのサポート部材で頭皮をマッサージ・洗浄することができる。
【0023】
上記のサポート部材は、天然樹脂、合成樹脂など各種の材料で形成する事ができるが、望ましくは一定の弾力性を有する材料、例えば発泡性樹脂、ゴム成分含有樹脂、天然ゴム、合成ゴム、コルク等を用いて形成することが望ましい。そして、当該サポート部材は、指袋の先端に収容され、望ましくは指当面を除く少なくとも何れかの領域において、指袋の内周面に接着されている事が望ましい。このように設置したサポート部材では、指当面の上方で、当該指当面と指袋内面との間に爪を収容する為の空間(爪収容空間)を確保することができる。よって、この手袋の装着に際しては、伸びた爪をこの爪収容空間に差し入れることにより、当該爪をサポート部材で保護することができる。特に、この爪収容空間の上面は、指袋の内面であり、平袋部から連続して繋がっていることから、伸びた爪の爪先を手袋の内面を滑らせるようにして差し込んでいけば、特段の位置決めを要せずに、確実に爪収容空間内に案内することができる。なお、このサポート部材は、手袋の製造に際して指袋内に一体化して成型することもできる。
【0024】
そして上記手袋を、特に洗髪の用途に使用する場合には、手袋本体の指袋の指腹部分(即ち掌側、または表側)に、突起およびブラシの少なくとも何れかを設ける事が望ましい。突起を設けた場合には、洗髪時において頭皮をマッサージすることができ、またブラシを設けた場合には、頭皮や頭髪の洗浄をより効果的に行うことができる。特に、このような突起やブラシは、指袋における指の腹の部分だけでなく、サポート部材が設けられている領域、即ち指先から伸びている爪の裏側部分にも形成することができる。その結果、突起やブラシを広範囲に設けることができ、洗髪を効率的に行うことが可能になる。
【0025】
なお、本発明の手袋は、主に洗髪時において好適に使用されるものではあるが、必ずしも洗髪の用途に限るものではなく、例えば炊事や洗濯などの日常的な作業用途、或いはキーボード操作などの事務作業用途などにおいても使用することができる。即ち、例え洗髪以外の用途に使用される手袋であっても、上記した手袋本体とサポート部材とを具備する限り、本発明の技術的範囲に含まれる。
よって、用途を限定しない手袋として、掌を入れる掌袋部と、少なくとも何れかの指が入れられる指袋とからなる手袋本体と、当該指袋の先端に収容されて爪の下面を保持するサポート部材とからなり、当該サポート部材が収容される指袋は、そこに入る指の指先よりも軸方向に長く形成されており、この指先よりも長く形成された指袋の空間内に前記サポート部材が収容さている事を特徴とする手袋も本発明に含まれる。
【0026】
なお、本明細書中で単に「爪」と示した場合には、自爪および付け爪を含む意味であり、その表面に凹凸のある装飾が施されているか否かは問わないが、少なくとも指先よりも長く伸びている爪を意味する。
【発明の効果】
【0027】
本発明にかかる手袋によれば、単に爪を保護するだけでなく、指先から伸びた爪をも有効に利用する事ができ、あたかも指が伸びたかのようにして洗髪その他の作業を行うことができる。
【0028】
そして上記のようにサポート部材により爪の下面を保護することにより、作業時などにおいて当該爪が折れる等の損傷を未然に防止することができる。特に本発明にかかるサポート部材は、爪の下面をサポートするものであるから、たとえ爪の表面(上面)に立体的な装飾を行った場合でも、伸びた(又は伸ばした)爪を確実に保護することができる。
【0029】
そしてサポート部材は、手袋本体における指袋内に設けられていることから、使用時における着脱を容易に行うことができ、しかも爪の表面を指袋で覆うことにより、爪の表面に施した装飾を保護し、更に爪の表面に形成した凹凸のある装飾への頭髪の引っ掛かりなどを阻止することができる。
【0030】
更に、サポート部材において爪の下面を支持する爪当面は、その上方が開放されており、指袋の内面と対向している事から、装着時には伸びた爪先を指袋の内面に押し当てながら指袋に侵入させるだけで、簡易に爪の下面を指当面に案内することができる。
【0031】
よって本発明にかかる手袋を使用することにより、日常生活における様々な場面、特に洗髪時などにおいて、爪の保護と同時に爪を長く伸ばしている事に起因する不都合を解消し、伸びた爪も指と同じ感覚で機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施の形態にかかる手袋を手の甲側から見た内部透視斜視図
【図2】図1に示した手袋を掌側から見た内部透視斜視図
【図3】指袋内を示す、長さ方向に沿う要部断面略図
【図4】サポート部材を示す透視斜視図(A)、および同爪の差込方向から見た図(B)
【図5】他の実施の形態にかかる、サポート部材を示す透視斜視図
【図6】他の実施の形態にかかる手袋を手の甲側から見た内部透視斜視図
【図7】図6に示した手袋における指袋内を示す長さ方向に沿う要部断面略図
【図8】使用状態を示す略図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下図面に基づいて、本実施の形態にかかる手袋50を説明する。図1は本実施の形態にかかる手袋50を手の甲側から見た内部透視斜視図であり、図2は当該手袋50を掌(手のひら)側から見た内部透視斜視図であり、図3は指袋10の内を示す長さ方向に沿う要部断面略図であり、図4は指袋10の内に設けられるサポート部材30を示す透視斜視図(A)、および同爪Nの差込方向から見た図(B)であり、図5は他の実施の形態にかかる、サポート部材30を示す透視斜視図であり、図6は他の実施の形態にかかる手袋50を手の甲側から見た内部透視斜視図であり、図7は図6に示した手袋50における指袋10の内を示す長さ方向に沿う要部断面略図であり、図8は使用状態を示す略図である。
【0034】
先ず、図1〜4を参照しながら、1つめの実施の形態にかかる手袋50を説明する。この実施の形態にかかる手袋50は、図1および2に示すように、手袋本体40における5本の指袋10の全てを、指先Fよりも長く形成し、この長く延長させた指袋10の内の先端側に、図4に示すようなサポート部材30を配置している。この指袋10の内の先端にサポート部材30を設けた状態は、図2に示すとおりであり、指袋10の内に差し込んだ指は、その腹部分がサポート部材30の基部34に接すると共に、伸びた爪Nが爪当部3232に載せ置かれる。
【0035】
特にこの実施の形態にかかる手袋50は、伸びた指の手にも着用しやすいように、手袋本体40の平袋20の手の甲側を切り開いた切り欠き部21を形成している。即ち、この手袋50を着用する場合、例えば右手に着用する際には、この手袋50を左手で抑えながら右手を手袋50内に挿入することになるが、この手袋50を抑える左手も、通常であれば爪Nを長くするなどの装飾が施されている。従って、本実施の形態に示すように、手の甲側を切り開いて装着のしやすさを向上させなければ、爪Nが伸びた手で手袋50を装着するのは困難になってしまう。従って、本発明のように装着のしやすさを向上させることは、その使い勝手を向上させ、実用に耐え得るものとする上では重要である。
【0036】
また図1に示す実施の形態の手袋50において、手袋本体40の手の甲側(裏側とも言う)は、ゴムやビニールなどの樹脂材料を用いて形成しており、任意ではあるが、その内面には、伸ばした爪Nが引っ掛からない程度の布地を裏張りすることもできる。また、手袋本体40の掌側(表側)は、通気性又は通水性を有するように形成しており、例えばメッシュ材料や布帛を用いて形成することができる。また、裏側と同じくゴムやビニールで形成した後、通水性や通気性を確保する為の孔を設けて形成することもできる。また、この通気性および通水性を有する孔は、手袋本体40の掌側のみならず、指袋10の先端に形成することもできる。使用に際して手袋50の内に入った水を排出し、迅速に乾燥させるためである。
【0037】
このように形成された手袋50内に、爪Nが長い手を差し入れると、図1に示すように爪Nの先端が、延長させた指袋10の内に存在することになる。そして、この図1中の親指袋10の内に現れているように、長い爪Nは指袋10の内のサポート部材30に下面が支持されることになる。
【0038】
サポート部材30は、ウレタン樹脂やシリコン樹脂或いはゴムなどで形成されており、図3および4に示すように、伸ばした爪Nの下面が載せられる平坦な爪当部32と、その後端に連続して繋がり、指の表側(腹側)が載せられる基部34と、この基部34の両側から立ち上がり指先Fの側面を挟む側壁部36とで構成されている。かかるサポート部材30を指袋10の内に設置した状態は図3に示すとおりである。指袋10の内に挿入された指は、その腹部分(指先Fの表側)が基部34の上に載り、指先Fから伸びた爪Nが爪当部3232の上に載る。そしてこのサポート部材30と指との係合状態は、側壁部36で指の側面を挟んでいる事、および指とサポート部材が一体として指袋10で被覆されることにより、確実に維持されることになる。
【0039】
特に、サポート部材30における爪当部32の上方には、指袋10の内面との間に爪収容空間15が確保されている。指袋10の内に差し込まれた指の爪Nは、この爪収容空間15内に存在することになるが、この空間の存在により、例えば爪Nの表面に凹凸のある装飾を施した場合であっても、当該凹凸を含めて指袋10の内に収容することができる。更に、この爪収容空間15は、指袋10の内面によって区画されていることから、着用時には伸ばした爪Nを、指袋10の内面を滑らせるようにして挿入していけば、自ずと爪収容空間15内に案内されることになる。
【0040】
差し込んだ指がこのサポート部材30と係合した状態において、指袋10内の指先Fから伸びた爪Nの下側には、当該サポート部材30が存在し、これが指袋10内の先端側に生じる空間を満たす。そして、このサポート部材30は、基部34に差し込んだ指の腹で支持されていることから、仮に伸びた爪Nの下側の領域(爪当部32が存在する領域)であっても、物を押さえたり、掴んだりすることができ、恰も指が伸びたのと同じようにして作業することができる。
なお、図2において各指袋10の内の先端側に示されているのは、上記のサポート部材30である。
【0041】
図5は、上記図4に示したサポート部材30に変えて使用することのできる、他の実施の形態にかかるサポート部材30’であり、特に、側壁部36’を爪当部側まで形成した点が相違する。この図に示すように、指先を挟む側壁部36を爪当部の側方にも形成することにより、差し込んだ爪Nを保持することができる。その結果、サポート部材30と指との一体感を高めることができる、更に爪収容空間15を確実に確保可能になる。よって、表面に凹凸のある装飾を施した爪Nであっても、簡易に挿入し、その装飾を保護することができる。更に、伸ばした爪Nの側面を何かにぶつける等、何らかの負荷がかかってしまうと、通常であれば爪Nが剥がれたり折れたりすることも考えられるが、爪Nの側面にも側壁部36を存在させることにより、このような問題を解決することができる。
【0042】
次に図6および7を参照しながら、特に洗髪など、髪や身体、或いは食器などを洗浄するのに適した実施形態の手袋50’を説明する。特に、この形態の手袋50’は、手袋本体40における指袋10の表側(掌側)に、ブラシ状の突起35を形成したものである。この突起35はサポート部材30の存在する領域に形成されており、望ましくは挿入した指の第一関節よりも先に形成されている。かかる突起35は、手袋50の製造に際して一体成型する他、後から植生したり、ブラシ状の突起を設けたシートを、手袋50の指先に貼付することもできる。
【0043】
なお、このようなブラシ状の突起35は、2mm〜15mm程度、望ましくは3mm〜10mm程度の長さに形成することができる。このような突起35を設けることにより、例えば図8に示すように、両手に当該手袋50を着用して洗髪を行えば、この突起35の存在により、毛髪や頭皮を効果的に洗い、また頭皮をマッサージすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明により、新たな手袋が提供されることにより、手袋製造業界における活性化が期待される。更に本発明の手袋を使用することにより、爪を伸ばしても、何ら不便を感じることなく、洗髪その他の日常生活を送ることが可能になるのであるから、美容産業の活性かも期待することができる。
【符号の説明】
【0045】
10 指袋
15 爪収容空間
20 平袋
30 サポート部材
32 爪当部
34 基部
35 突起
36 側壁部
40 手袋本体
50 手袋
F 指先
N 爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主に洗髪時に好適に使用される手袋であって、
掌を入れる掌袋部と、少なくとも何れかの指が入れられる指袋とからなる手袋本体と、
当該指袋の先端に収容されて爪の下面を保持するサポート部材と
からなり、
当該サポート部材が収容される指袋は、そこに入る指の指先よりも軸方向に長く形成されており、この指先よりも長く形成された指袋の空間内に前記サポート部材が収容さている事を特徴とする、手袋。
【請求項2】
前記手袋本体は、掌側および甲側の少なくとも何れかが通水性及び通気性を有する生地または樹脂シートにより構成されている、請求項1に記載の手袋。
【請求項3】
前記指袋におけるサポート部材が設けられた領域の指腹部分には、突起およびブラシの少なくとも何れかが設けられていいる、請求項1または2に記載の手袋。
【請求項4】
前記サポート部材は、指先と指先よりも延在する爪の下面との間を埋める形状に形成されている、請求項1乃至3の何れか一項に記載の手袋。
【請求項5】
前記サポート部材は、指先よりも延在する爪の下面に面で接する爪当部と、当該爪当部に繋がって指の腹部分に接する基部とからなり、当該爪当部と指袋の内面との間には爪収容空間が確保されている、請求項1乃至4の何れか一項に記載の手袋。
【請求項6】
前記サポート部材は、前記爪当部および基部の少なくとも何れかの側面に、爪および指の少なくとも何れかの側面のみを挟持する側壁部が設けられている、請求項1乃至5の何れか一項に記載の手袋。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−162895(P2011−162895A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24667(P2010−24667)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(510034591)
【Fターム(参考)】