説明

洗髪機

【課題】首元を含めて自動で洗髪できる洗髪機を提供する。
【解決手段】被洗髪者の頭部及び髪を収めるシンク2の内側に、頭頂に向けて洗浄水を噴射する頭頂用ノズルリンク11、及び襟足に向けて洗浄水を噴射する襟足用ノズルリンク12を備えた洗髪機において、仰向け姿勢の被洗髪者の首元をシンク2の内側に臨ませた状態で、被洗髪者の後頭部を支える頭部支え部70を、各ノズルリンク11,12の移動軌跡を避けるように配置し、頭部支え部70で後頭部を支えた状態の被洗髪者の首元に向けて洗浄水を噴射する首元用ノズルリンク80を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は洗髪機に関し、特に、自動的に洗髪が行われる、主として理美容院等で使用される洗髪機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、被洗髪者の頭部及び髪を収めるシンクの内側に、頭頂に向けて洗浄水を噴射する頭頂用ノズルリンク、及び襟足に向けて洗浄水を噴射する襟足用ノズルリンクを備えた洗髪機が知られている(例えば、特許文献1参照)。この洗髪機は、髪や頭部に洗浄水を噴射して人手を介さずに洗髪を自動で行うことが可能である。
また、従来、シンクの内側に、仰向け姿勢の被洗髪者の後頭部を支える頭部支え部を備えたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平7−236511号公報
【特許文献2】特開2003−180440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の技術は、頭頂用及び襟足用の各ノズルリンクを備えているが、首元で頭部を支えていたため、特に首元の洗髪が困難であり、自動洗髪の阻害要因となっていた。また、特許文献2の技術では、シンクの内側の頭部支え部に頭部を位置させると、被洗髪者の頸部がシンクの壁部の首受け部に位置する。首元で頭部の荷重を受けると、身体に負担がかかり、疲労感のでる恐れがあった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、首元を含めて自動で洗髪できる洗髪機を提供することにある。
また、シンク内の頭部支え部に頭部を位置させたときに、被洗髪者の頸部の位置を安定できる洗髪機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、被洗髪者の頭部及び髪を収めるシンクの内側に、頭頂に向けて洗浄水を噴射する頭頂用ノズルリンク、及び襟足に向けて洗浄水を噴射する襟足用ノズルリンクを備えた洗髪機において、仰向け姿勢の被洗髪者の首元をシンクの内側に臨ませた状態で、被洗髪者の後頭部を支える頭部支え部を、各ノズルリンクの移動軌跡を避けるように配置し、頭部支え部で後頭部を支えた状態の被洗髪者の首元に向けて洗浄水を噴射する首元用ノズルリンクを設けたことを特徴とする。
本発明では、シンク内の頭部支え部に被洗髪者の頭部を位置させたときに、その首元がシンクの内側に臨み、この被洗髪者の首元に向けて首元用ノズルリンクから洗浄水が噴射されるため、首元を含めた自動洗髪が可能になる。また、頭部支え部は、各ノズルリンクの移動軌跡を避けるように配置したため、頭部支え部がノズルリンク動作の支障にならず、干渉が回避できる。
【0006】
この場合において、前記頭部支え部はネットで形成されており、該頭部支えネットの両端は前記首元用ノズルリンクに連結され、該首元用ノズルリンクは両端がシンクにより支持されていてもよい。
本構成では、頭部支え部がネットで形成されることで、各ノズルリンクからの温水が被洗髪者の後頭部に行き渡りやすい。
また、頭部支えネットの両端は首元用ノズルリンクに連結されるため、頭部支えネットを取り付けるためのシンクへの追加加工が不要になる。さらに、首元用ノズルリンクは両端がシンクにより支持されるため、首元用ノズルリンクの周囲にはスペースが確保でき、この洗髪機に例えば手で被洗髪者の髪を洗うハンドシャワーを備えた場合でも、該リンクが邪魔にならず洗髪時の手の動きが阻害されない。
あるいは、前記頭部支えネットと前記首元用ノズルリンクは被洗髪者の首元下方で連結されていてもよい。
首元下方で連結したことで、左右の洗髪空間を確保できる。
【0007】
また、前記頭部支えネットは後頭部頂点に対応する中央部の網目が大きく、両端に近づくほど網目が小さく形成されていてもよい。
本発明では、中央部の網目が大きいため、各ノズルリンクからの洗浄水が後頭部頂点の近傍に行き渡りやすい。また、両端(ネットの支持部側)に近づくほど網目が小さく形成されているため、支持の強度が向上する。
【0008】
本発明は、前記シンクの壁部には被洗髪者の首後ろ部を受ける頸部支持部を備え、前記頸部支持部は、ばね支持機構により上下方向に変位自在に前記シンクの壁部に支持されていることを特徴とする。
被洗髪者が仰向けになった場合、人体の構造上、後頭部と頸部の高さは人によって異なる。本発明では、頭部支え部で後頭部を支えた場合、被洗髪者の首後ろ部は、頸部支持部で支持される。このとき、頸部支持部は、ばね支持機構により上下方向に変位自在に支持されているため、頸部支持部は、頸部の高さに応じて上下に変位し、したがって、被洗髪者の疲労感が解消できる。また、頸部支持部を、ばね力を使用したばね支持機構で支持したため、例えばクッション材を使用した場合などに比べ、大きな弾性力が得られ、後頭部の高さの差を大きく吸収できる。
前記頸部支持部は、シンクとの間における水封機能を備えていてもよい。
被洗髪者の着衣をぬらすことなく、洗髪できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、シンク内の頭部支え部に被洗髪者の頭部を位置させたときに、その首元がシンクの内側に臨み、この被洗髪者の首元に向けて首元用ノズルリンクから洗浄水が噴射されるため、首元を含めた自動洗髪が可能になる。また、頭部支え部は、各ノズルリンクの移動軌跡を避けるように配置したため、頭部支え部がノズルリンク動作の支障にならず、干渉が回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1において、1は自動洗髪機を示している。
この自動洗髪機1は、被洗髪者の頭部を収容するためのシンク2と、シンク2を保持するシンク保持台3と、シンク保持台3の前方に配置され、被洗髪者が座るための椅子4と、椅子4を保持する椅子保持台5とを備えている。
【0011】
シンク2は、図2に示すように、その上面に開口を有する碗状の部材である。シンク2の前側には、仰向け姿勢の被洗髪者の首元を、シンク2の内側に臨ませた状態にして、被洗髪者の後頭部を支える頭部支えネット(頭部支え部)70が配置されている。また、シンク2の前側の壁部2Aには、椅子4に座った状態で被洗髪者が仰向けで、頭部支えネット70に後頭部を載せた状態で、首を載せることができるネック台(頸部支持部)7が配置されている。シンク2の上面の開口は、カバー8により覆うことができる。カバー8は、その後端が連結部9を介してシンク2の後端に連結されていて、連結部9を中心にして鉛直面内で回動可能となっている。洗髪時などには、カバー8を開いた状態で、椅子4に座っている被洗髪者の首をネック台7に載せた後、カバー8を閉じることにより、被洗髪者に頭部をシンク2内に収容することができる。
【0012】
シンク2内には、被洗髪者の頭部および髪に向けて洗浄水(温水、シャンプー液が混入された温水、トリートメント液が混入された温水など)を噴射するための上ノズルリンク(頭頂用ノズルリンク)11および下ノズルリンク(襟足用ノズルリンク)12が配置されている。上ノズルリンク11は、被洗髪者の頭部に沿うように、図示位置で上に凸の略円弧状に湾曲した管状の部材であって、その左端部が回動可能に片持ち支持されており、被洗髪者の頭部に向かって洗浄水を噴射する。下ノズルリンク12は、後方に向かって洗浄水を噴射することにより、後方側に垂れ下がった被洗髪者の髪(想像線で示す。)を洗浄する。この下ノズルリンク12は、被洗髪者の髪を囲うように、図示位置で左方に凸の略弓形状に湾曲した管状の部材であって、その左端部が上ノズルリンク11よりも下方で回転可能に片持ち支持されている。また、シンク2内には、仰向け姿勢の被洗髪者の首元に向けて洗浄水を噴射する首元用ノズルリンク80が配置されている。
【0013】
上下ノズルリンク11,12、および首元用ノズルリンク80には、それぞれ複数のノズルが備えられていて、洗髪時には、上下ノズルリンク11,12、および首元用ノズルリンク80内に送られてきた洗浄水が各ノズルから噴射される。上下ノズルリンク11,12は回動し、首元用ノズルリンク80は固定である。各ノズルから洗浄水を噴射することで、被洗髪者の頭部および髪の全体を洗浄できる。シンク2内の後側上部には、ハンドシャワー13が配置されている。オペレータ(美容院の従業員など)は、ハンドシャワー13の右方に配置されたコック14を回すことにより、ハンドシャワー13から放水する水量を調節して、手動で洗髪できる。
【0014】
自動洗髪機1で使用する水は、図3に示すように、機外の水道設備および給湯設備(図示せず)からミキシングバルブ15および給水管16を介して機内に供給される。ミキシングバルブ15には、水道設備から水供給部17を介して水が与えられるとともに、給湯設備から湯供給部18を介して湯が与えられる。ミキシングバルブ15は、水供給部17および湯供給部18から与えられる水および湯を混合し、温水にして給水管16に送り出すためのものである。給水管16内の途中部には、ミキシングバルブ15から送り出される温水の温度を検知するためのサーミスタ19が配置されている。サーミスタ19の検知結果に基づいてモータ20が駆動されることにより、ミキシングバルブ15が開閉されて水と湯との混合割合が調整され、設定温度の温水が生成される。ミキシングバルブ15は、モータ20で調整される電動タイプである。モータ20は、DCモータまたは直流電動機であり、ブラシなどを備えている。
【0015】
また、シンク2の側方には、操作パネル60(図2)が設けられており、設定温度は、オペレータ(ユーザ)が操作パネル60を操作することにより決定される。給水管16は、途中部(サーミスタ19よりも下流側)からハンドシャワー用給水管21と貯湯用給水管22とに分岐している。ハンドシャワー用給水管21は、コック14によって開閉可能なハンドシャワー用バルブ23を介してハンドシャワー13に連通している。一方、貯湯用給水管22は、給湯バルブとしての貯湯バルブ24を介して貯湯タンク25内に温水を供給することができる。
【0016】
貯湯タンク25の内部には、当該貯湯タンク25に貯められている温水の水位を検知するための第1水位センサ26および第2水位センサ27が、上下方向に一定間隔を空けて配置されている。貯湯タンク25内の温水が使用されて、所定の最低水位に達したことが第2水位センサ27により検知された場合には、貯湯バルブ24が開かれて、貯湯タンク25内に温水が供給される。その後、貯湯タンク25内の温水が所定の最高水位に達したことが第1水位センサ26により検知されると、貯湯バルブ24が閉じられて、温水の供給が停止する。このようにして、貯湯タンク25内には、最低水位と最高水位との間で、常に温水が貯められた状態となっている。
【0017】
貯湯タンク25の上部(第1水位センサ26よりも上方)には、第1水位センサ26の故障などに起因して貯湯タンク25内に最高水位以上の温水が供給された場合に、その余分な温水を貯湯タンクの外部に溢れ出させるための溢水口28が形成されている。溢水口28から溢れ出した温水は、オーバフロータンク29によって受けられ、このオーバフロータンク29に連通する排水管30を通って機外に排出される。オーバフロータンク29内にはオーバフローセンサ31が配置され、たとえば排水管30が詰まってオーバフロータンク29内の水位が最高水位に到達したことがオーバフローセンサ31によって検知された場合には、自動洗髪機1の運転が停止される。
【0018】
貯湯タンク25の最下部には、一端がメインポンプ32に接続された吸込管33の他端が接続されている。メインポンプ32は、インバータ(図示せず)から交流電流が供給されることにより駆動され、吸込管33を介して貯湯タンク25内の温水を吸い込むものである。吸込管33の途中には、シャンプー液が収容されたシャンプー容器34に至るシャンプー供給管35と、トリートメント液が収容されたトリートメント容器36に至るトリートメント供給管37とが接続されている。シャンプー供給管35およびトリートメント供給管37の途中部には、それぞれシャンプー用ポンプ38およびトリートメント用ポンプ39が備えられていて、シャンプー用ポンプ38およびトリートメント用ポンプ39の働きにより、吸込管33内を通る温水に、シャンプー液およびトリートメント液の混入量を適度に調整することにより、メインポンプ32には、そのとき使用すべき洗浄水が汲み込まれることとなる。
【0019】
吸込管33からメインポンプ32内に吸い込まれた洗浄水は、複数(たとえば、4つ)の分路を有する送水管40に送り出される。送水管40内には、フィルタ41が設けられていて、その下流側の5つの分路には、上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、首元用ノズルバルブ74、排水バルブ44および予備バルブ45の5つのバルブが設けられている。上ノズルバルブ42、下ノズルバルブ43、首元用ノズルバルブ74、排水バルブ44および予備バルブ45が設けられた5つの分路には、それぞれ、分岐路46,47,75,48,49が延設されている。上ノズルバルブ42から延設された分岐路46の終端は上ノズルリンク11に接続され、下ノズルバルブ43から延設された分岐路47の終端は下ノズルリンク12に接続され、首元用ノズルバルブ74から延設された分岐路75の終端は首元用ノズルリンク80に接続されている。
【0020】
シンク2の底面には、当該シンク2内に水を排出するための排出口50が形成されていて、この排出口50は、逆流を防止するための排水トラップ51を介して排水管30に連通している。これにより、シンク2の排水口50から排出された水は、排水管30を通って、機外に排水されるようになっている。排水バルブ44から延設された分岐路48の終端は、排水トラップ51に接続されている。
【0021】
図4は、頭部支えネット70および首元用ノズルリンク80の関係を示す図である。首元用ノズルリンク80は、図4Aに示すように、略M字状に曲げられた管状の部材であって、2つの隅部にブラケット81,81が溶接で固定され、このブラケット81,81を介してシンク2の前側の内壁に固定されている。首元用ノズルリンク80の水平部82は、被洗髪者の首元の形状に倣って下に凸に湾曲しており、上部の中央寄りには、適宜の間隔をあけて、3つのノズル83,83,83が取り付けられている。また、水平部82には、図4Bに示すように、該水平部82に直交して、シンク2の内側に向けてほぼ水平に延びる2つの支持棒84が溶接により固定されており、2つの支持棒84には、頭部支えネット70の両端の支持部71が支持されている。
【0022】
頭部支えネット70は樹脂成形部材であり、図5A,Bに示すように、その両端に、支持棒84が嵌る支持部71を有している。この頭部支えネット70は、被洗髪者の後頭部頂点に対応する中央部72寄りの網目72Aが大きく、両端の支持部71に近づくほど網目71Aが小さく形成されている。この頭部支えネット70は、図2を参照し、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の動作に影響を与えない位置、すなわち各リンク11,12の軌跡を避けた位置に固定されている。
【0023】
上ノズルリンク11および下ノズルリンク12は、共に片持ち支持した状態で、同期して往復回転自在である。上ノズルリンク11は、回転軸Aを中心に上方から矢印C方向に回転を開始し、ほぼ130°回転した後に鉛直姿勢となって、そこから逆回転して図示の位置に戻る。また、下ノズルリンク12は、回転軸Bを中心に下方から矢印D方向に回転を開始し、ほぼ80°回転した後、そこから逆回転して図示の位置に戻る。このような各リンク11,12の動作中、ノズルから常に洗浄水が噴射され、被洗髪者の頭部および髪が自動洗髪される。なお、各リンクの回転角は適宜に定められる。
【0024】
本実施の形態では、上記構成により、シンク2内の頭部支えネット70に被洗髪者の頭部を位置させたときに、その首元がシンク2の内側に臨む。そして、この被洗髪者の首元に向けて、首元用ノズルリンク80から洗浄水が噴射されるため、上ノズルリンク11および下ノズルリンク12の動作と相まって、首元を含めたほぼ完全な自動洗髪が可能になる。また、頭部支えネット70は、各ノズルリンク11,12の移動軌跡を避けるように配置したため、頭部支えネット70がノズルリンク11,12の動作の支障にならず、干渉が回避できる。また、頭部の支え部がネット70で形成されることで、各ノズルリンク11,12からの洗浄水が被洗髪者の後頭部に行き渡りやすくなる。また、頭部支えネット70の両端の支持部71が、首元用ノズルリンク80の支持棒84に連結されているため、頭部支えネット70を取り付けるために、わざわざシンク2に追加加工などをする必要がなく、簡易な取り付けが実現できる。
【0025】
さらに、首元用ノズルリンク80は両端がシンク2により支持されるため、首元用ノズルリンク80の周囲にはスペースが確保でき、ハンドシャワー13による洗髪を行う際に、該リンク80が邪魔にならず洗髪時の手の動きが阻害されない。また、頭部支えネット70と首元用ノズルリンク80は被洗髪者の首元下方で連結されているため、これによっても、左右の洗髪空間が確保できる。
また、頭部支えネット70は後頭部頂点に対応する中央部72の網目が大きいため、各ノズルリンク11,12からの洗浄水が後頭部頂点の近傍に行き渡りやすく、両端の支持部71に近づくほど網目が小さく形成されているため、支持部71寄りの強度が高まり、支持の強度が向上する。
【0026】
図6は、ネック台(頸部支持部)7の構造を示す。
本構成では、上述したように被洗髪者の後頭部を頭部支えネット70で支持するため、首元は支えが不要になり、首部の部品(ネック台7)を、水封するための小さい部品とすることができ、襟足をシンク2の内側に入れることができる。
図6Aに示すように、シンク2の前側の壁部2Aには、ほぼ矩形状の上端開放の切り欠き部2Bが形成され、切り欠き部2Bには水封状態でネック台7が配置されている。切り欠き部2Bの底部2Cには、一対のスリーブ90が立設されており、それぞれのスリーブ90内にはコイルスプリング92(ばね支持機構)が配置されている。
一方、ネック台7は樹脂製であり、図6B,C,Dに示すように、上部に被洗髪者の首を受ける首受け部7Aがあり、この首受け部7Aにはクッション性を有する素材が使用されている。ネック台7の両側面には上下に延びた溝部7Bがあり、この溝部7Bには、切り欠き部2Bの側部2Dが水封状態で嵌っている。また、ネック台7には一対の袋穴7Cが形成されており、この袋穴7Cにはスリーブ90が嵌り、このスリーブ90で支持したコイルスプリング92の先端が、袋穴7Cの穴底7Dに当接している。また、ネック台7の下部には、横に延びた溝部7Eがあり、この溝部7Eには、切り欠き部2Bの底部2Cが水封状態で嵌っている。
【0027】
図1に示すように、被洗髪者が仰向けになった場合、人体の構造上、首の太さなどに起因して、後頭部と頸部の高さは人によって異なる。
本実施の形態では、頭部支えネット70で後頭部を支えた場合に、被洗髪者の首後ろ部は、ネック台7で支持される。このとき、ネック台7は、コイルスプリング92で上下方向に変位自在に支持されているため、頸部の高さに応じて上下に変位し、したがって、被洗髪者の疲労感などが解消できる。また、ネック台7を、ばね力を使用したばね支持機構で支持したため、例えばクッション材を使用した場合などに比べ、大きな弾性力が得られ、後頭部の高さの差を大きく吸収できる。
また、ネック台7は、シンク2との間における水封機能を備えているため、被洗髪者の着衣をぬらすことなく、洗髪できる。
【0028】
上記ネック台(頸部支持部)7の特徴事項に関しては、上記形態による自動洗髪機1への適用に限定されるものではない。
図7は、ノズルリンク及び頭部支えネット70などの設備を持たない、一般的なシャンプーボールを示し、図8は、該シャンプーボールに適用したネック台を示している。
このシャンプーボール100は、被洗髪者の頸部及び髪を受け入れる洗髪用の窪み部101を備え、その周囲を周囲壁102により囲って形成されている。シャンプーボール100における被洗髪者の首後ろ部を載せる部位にはネック台107が配置され、周囲壁102の反対側の縁には平坦部103が形成され、この平坦部103には、ホースが引き出し自在に取り付けられたシャワーヘッド104と、止水摘み105とが配置されている。
【0029】
この実施の形態では、図8に示すように、ネック台107が配置される周囲壁102に、ほぼ矩形状の上端開放の切り欠き部102Bが形成され、切り欠き部102Bには水封状態でネック台7が配置されている。切り欠き部102Bの底部102Cには、一対のスリーブ190が立設されており、それぞれのスリーブ190内にはコイルスプリング192(ばね支持機構)が配置されている。
一方、ネック台7は樹脂製であり、図8B,C,Dに示すように、上部に被洗髪者の首を受ける首受け部107Aがあり、この首受け部107Aにはクッション性を有する素材が使用されている。ネック台107の両側面には上下に延びた溝部107Bがあり、この溝部107Bには、切り欠き部102Bの側部102Dが水封状態で嵌っている。また、ネック台107には一対の袋穴107Cが形成されており、この袋穴107Cにはスリーブ190が嵌り、このスリーブ190で支持したコイルスプリング192の先端が、袋穴107Cの穴底107Dに当接している。
また、ネック台107の下部には、横に延びた溝部107Eがあり、この溝部107Eには、切り欠き部102Bの底部102Cが水封状態で嵌っている。
【0030】
本実施の形態では、例えば椅子の背凭れを倒して被洗髪者の頸部をネック台107に位置させると、被洗髪者の頭部の重みに応じて各コイルスプリング192が伸縮し、これによってネック台107が上下する。この上下によって、ネック台107は首後ろ部にフィットした状態となるので、被洗髪者が不快感や苦痛を感じることなく快適な洗髪姿勢で洗髪を受けることが可能となる。
各コイルスプリング192のばね力は、被洗髪者の頸部を載せた状態で該頸部を安定的に支持するばね力に設定され、少なくとも各コイルスプリング192が、縮みきってしまうことがないように設定することが望ましい。
例えばハンドシャワーなどで洗髪する場合、被洗髪者の頭部を手で支持して行うが、各コイルスプリング192のばね力は、頭部から手を離しても、頸部を十分支持できる程度の大きさのばね力が必要なことは云うまでもない。また、左右一対のコイルスプリング192のばね力は、左右均等に設定することが望ましい。
【0031】
また、図示は省略したが、このシャンプーボール内に、仰向け姿勢の被洗髪者の後頭部を支持する枕体を配置した装置にも適用が可能である。この場合の枕体は、上記実施形態の頭部支えネット70などであってもよいが、単にシャンプーボール内に位置づけたクッションなどであってもよい。
この場合であっても、周囲壁102の前壁に図8と同様の構成によるネック台107を配置することで、枕体(頭部支え部)で後頭部を支えた場合に、被洗髪者の首後ろ部は、ネック台107で支持される。このとき、ネック台107は、コイルスプリング192で上下方向に変位自在に支持されているため、頸部の高さに応じて上下に変位し、したがって、被洗髪者の疲労感などが解消できる。また、ネック台107を、ばね力を使用したばね支持機構で支持したため、例えばクッション材を使用した場合などに比べ、大きな弾性力が得られ、後頭部の高さの差を大きく吸収できる。
また、ネック台107は、周囲壁102との間における水封機能を備えるため、被洗髪者の着衣をぬらすことなく、洗髪できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の一実施形態にかかるミキシングバルブが備えられた自動洗髪機の内部構成を示す概略断面図である。
【図2】図1のシンク部分の拡大図である。
【図3】自動洗髪機に使用する水の流れを示す水路図である。
【図4】頭部支えネットおよび首元用ノズルリンクの関係を示す図であり、Aは正面図、Bは平面図である。
【図5】頭部支えネットを示す図であり、Aは平面図、Bは端面図である。
【図6】ネック台の支持状態を示す図であり、Aはシンクの切り欠き部を示す正面図、Bはネック台の正面図、Cは図6BのC−C断面図、Dは側面図である。
【図7】シャンプーボールを示す斜視図である。
【図8】シャンプーボールに適用したネック台の一実施の形態を示す図であり、Aは周囲壁の切り欠き部を示す正面図、Bはネック台の正面図、Cは図8BのC−C断面図、Dは側面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 自動洗髪機
2 シンク
2B 切り欠き部
7 ネック台
11 上ノズルリンク(頭頂用ノズルリンク)
12 下ノズルリンク(襟足用ノズルリンク)
70 頭部支えネット(頭部支え部)
80 首元用ノズルリンク
82 水平部
84 支持棒
90 スリーブ
92 コイルスプリング(ばね支持機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗髪者の頭部及び髪を収めるシンクの内側に、頭頂に向けて洗浄水を噴射する頭頂用ノズルリンク、及び襟足に向けて洗浄水を噴射する襟足用ノズルリンクを備えた洗髪機において、仰向け姿勢の被洗髪者の首元をシンクの内側に臨ませた状態で、被洗髪者の後頭部を支える頭部支え部を、各ノズルリンクの移動軌跡を避けるように配置し、頭部支え部で後頭部を支えた状態の被洗髪者の首元に向けて洗浄水を噴射する首元用ノズルリンクを設けたことを特徴とする洗髪機。
【請求項2】
前記頭部支え部はネットで形成されており、該頭部支えネットの両端は前記首元用ノズルリンクに連結され、該首元用ノズルリンクは両端がシンクにより支持されていることを特徴とする請求項1に記載の洗髪機。
【請求項3】
前記頭部支えネットと前記首元用ノズルリンクは被洗髪者の首元下方で連結されていることを特徴とする請求項2に記載の洗髪機。
【請求項4】
前記頭部支えネットは後頭部頂点に対応する中央部の網目が大きく、両端に近づくほど網目が小さく形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の洗髪機。
【請求項5】
前記シンクの壁部には被洗髪者の首後ろ部を受ける頸部支持部を備え、前記頸部支持部は、ばね支持機構により上下方向に変位自在に前記シンクの壁部に支持されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の洗髪機。
【請求項6】
前記頸部支持部は、シンクとの間における水封機能を備えたことを特徴とする請求項5に記載の洗髪機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−178977(P2010−178977A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26226(P2009−26226)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(308012668)三洋アクア株式会社 (37)
【出願人】(000108672)タカラベルモント株式会社 (113)
【Fターム(参考)】