津波等災害対策用躯体支柱の支持構造
【課題】 基礎工事が簡略であることから工期を短くしかも安価なもとに行えるようにした津波等災害対策用躯体支柱の支持構造を提供することを目的とする。
【解決手段】 地盤に建て込まれた管杭の杭頭部と管状躯体支柱の基部とをそれらの内部に通した内芯部材および充填材とを介して接合してなる。
【解決手段】 地盤に建て込まれた管杭の杭頭部と管状躯体支柱の基部とをそれらの内部に通した内芯部材および充填材とを介して接合してなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、津波等災害対策用躯体支柱の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
津波や洪水などに対して近場の住民が即刻避難できるようにした鉄骨構造型津波避難施設は周知の技術である。この施設として、例えば、基盤に3個所以上をもって打設された鉄筋コンクリート製主基礎ブロックと、これら主基礎ブロック間をつなぐ主地中梁と、前記主基礎ブロック上に立設固定された複数本の支柱と、これら複数本の支柱上に固定された避難ステージと、基盤側と避難ステージとの間を連絡する登降手段とを備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2011−214389
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の津波避難施設に限らずこれまでの津波避難施設は、基盤に鉄筋コンクリート製の基礎ブロックやベタ基礎を埋設固定しその上を介して躯体支柱の基部を固定するようにしていた。こうした方式によると、基礎工事に手間が掛かり過ぎて工期が長くならざるを得ず、しかも工事の煩雑さが避けられないことに伴い工費を下げるにも一定の限界があった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決しようとするものであり、基礎工事が簡略であることから工期を短くしかも安価なもとに行えるようにした津波等災害対策用躯体支柱の支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、地盤に建て込まれた管杭の杭頭部と管状躯体支柱の基部とをそれらの内部に通した内芯部材および充填材とを介して接合してなる。
【発明の効果】
【0007】
上述したように本発明は、地盤に建て込まれた管杭の杭頭部と管状躯体支柱の基部とをそれらの内部に通した内芯部材および充填材とを介して接合してなるので、基礎工事が簡略であることから工期を短くしかも安価なもとに行えるようにした津波等災害対策用躯体支柱の支持構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 本発明の一実施形態を示す津波避難施設の正面図。
【図2】 図1の躯体支柱の支持構造例を示す拡大縦断面図。
【図3】 図2のA−A線横断面図。
【図4】 図2の支持構造の施工第1段階を示す断面図。
【図5】 図2の支持構造の施工第2段階を示す断面図。
【図6】 図2の支持構造の施工第3段階を示す断面図。
【図7】 図2の支持構造の施工第4段階を示す断面図。
【図8】 他の支持構造例を示す縦断面図。
【図9】 他の支持構造例を示す縦断面図。
【図10】 他の実施形態を示す図11のB−B線断面図。
【図11】 図10の縦断面図。
【図12】 他の実施形態を示す津波避難施設の横断面図。
【図13】 他の実施形態を示す縦断面側面図。
【図14】 他の実施形態を示す図15の平面図。
【図15】 図14の施設側面図。
【図16】 他の提案例示す図17の平面図。
【図17】 図16の縦断面図。
【図18】 他の提案例を示す図19の平面図。
【図19】 図18の縦断面図。
【図20】 他の実施形態を示す平面図。
【図21】 他の実施形態を示す縦断面図。
【図22】 他の実施形態を示す縦断面図。
【図23】 図22のC−C線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を説明する。各実施形態で説明する各案は関係する他の実施形態においても適用することができる。
図1は津波の襲来を想定しその際近場の住民が即刻避難し助かるように構築される津波避難施設の一例である。同図において、1は設置基盤で地盤であり、同基盤1における上からみて正方形など多角形の頂点位置には丸形鋼製パイプ(アルミ合金製パイプを含む)でなる支柱(躯体支柱)2が垂直に立設されている。これら支柱2には、互いに直角をなすように突出するH鋼製の端材(そでばり)3が上下数段にわたって溶接固着されており、これら端材3の相対向する間には、接合板4を介してH鋼製の地上梁5が止着固定されている。支柱2の高さ方向中途はフランジを介して接合するように構成することがある。
【0010】
支柱2の上端にはフランジ6がそれぞれ設けられており、このフランジ6を介してステージ枠7が脱着可能に固定されている。ステージ枠7の上面には床板が敷設されて避難ステージ8になっている。9は防護手摺で、避難ステージ8の周りに立設されて仮に津波が襲来しても抵抗するような強度をもって設けられている。そのため支柱2は避難ステージ8を突き抜けて剛強な支持柱部とし同柱部を介して防護手摺9のコーナー支柱を連結支持することがある。10は階段である登降手段である。避難ステージ8の高さは施設設置地域によって区々であるが12〜15mに設定される。
【0011】
尚、支柱2の隣合う2面にガイドレール12を突設し、このガイドレール12に添ってローラー13により昇降可能なフロート船14を地上待機させて設けてもよい。15は乗り込み架台で、地上待機する上面開放型フロート船14に乗り込むためのスロープ付きの台で固定式である。津波が襲来してきて水位が上昇するとこのフロート船14は避難者を乗せたまま浮上し、ステージ枠7に達したところで停止する。フロート船14は高さが2m程度の内高さになっているので、避難者が頭をぶつけることはない。フロート船14の内壁に登降ステップを設けておけばさらに避難ステージ8までも避難することができる。このフロート船14は他の支柱2に対して配備することがある。フロート船14の外側に乗り込み用の登降手段(階段やスロープ)を取付装備しておくこともでき、また、フロート船14の周壁に乗降用開閉扉を水密可能に設けておいて地盤からステップなどの登降手段なしに乗り込むことができるようにしてもよい。フロート船14の底には発泡スチロールなどの樹脂浮上ブロック16を装備したり底部を浮上用に中空状にすることもできる。ガイドレール12は、地上梁5のない2面(角支柱の場合)に設ける。
【0012】
18は丸鋼管製(アルミ合金製も含む)の管杭で、図示しない範囲まで深さ10〜15m前後に建て込まれ、その建て込み方式は、打撃工法・振動工法・埋め込み杭工法・中掘杭工法・回転貫入工法・鋼管杭先端拡大根固め工法など種々の工法を採用することができる。これら複数本の管杭18は、前記支柱2の建て付け位置に対応する位置に例えば、限定されない4本をもってコンピュータ制御により精度よく垂直に打込まれる。
【0013】
同実施形態では、地中端材19と地中梁20とを設ける場合について説明する。管杭18が所定位置に建て込まれたあと、図4に示すように、地中梁20を埋設することもあって管杭18の杭頭部18a周りを含み地中梁20が通される個所も含めて全体に仮掘り21を掘削しておく。地中梁20を埋設しない場合は、杭頭部18a周りのみを掘り下げれば済む。杭頭部18aは地表よりも1〜3m前後深い位置にくるように調節される。管杭18の外周には受フランジ22が予め溶接固着されている。一方、管杭18内には、土砂や砕石あるいはコンクリートや無収縮モルタルなどの底充填材23が充填されている。
【0014】
次に、図4に示すように、地中端材19を直角向きに一対備えた丸鋼管製の接合スリーブ24を降ろしてきて、図5に示すように管杭18周りに嵌め合わされる。接合スリーブ24は受フランジ22に当ったところで受け止められる。この時点で、接合スリーブ24を回して地中端材19が隣合う管杭18のある方向に向けられるように調整しておく。この接合スリーブ24の方向調整は、例えば、限定されない4本のスリーブ24についてそれぞれ実施される。接合スリーブ24は、管杭18側(受フランジ22を含む)に仮あるいは本溶接しておいてもよい。尚、接合スリーブ24は、図2に仮想線で示すように、地表より高く伸びた状態に長くして津波を二重管で受け止めるようにしてもよい。
【0015】
次に、図5に示すように、支柱2を、その下端が杭頭部18aに当るまで各接合スリーブ24内に差し込む。そのあと支柱2は、図1の端材3同士が所定の対向状態になるように向きが調整される。ここで、地上梁5…を一部あるいは全て架設しておいてもよい。また、向きを調整後の支柱2と接合スリーブ24とは仮止め点26を介して仮溶接したり本溶接しておく。支柱2は、図1のように長い1本もので上端が開放したものである場合と高さ中途においてフランジで上下接合するように短く上端開放したものである場合とがある。そのあと、支柱2内を通じて内芯部材27を落とし込む。内芯部材27は、底充填材23上に当って留まるとともに支柱2と管杭18の中に図3のように略接した状態とされる。
【0016】
内芯部材27は、図6に示すように、支柱2に対し仮止め点26を通じて仮止め溶接しておいて支柱2とともに差し込むようにしてもよい。また、図7に示す矢印Yのように、接合スリーブ24と支柱2、並びに接合スリーブ24と受フランジ22とを本溶接する。
【0017】
次に、図7に示すように、支柱2内には、コンクリートやモルタルなどの上充填材28を充填し支柱2と管杭18および内芯部材27が一体化するようにする。この上充填材28は内芯部材27を越える一定高さまで充填されるが、支柱2の上端近くまで充填してもよい。
【0018】
その後、図7のように、地中端材19と地中接合板29を介して地中梁20を接合し、次に図7の仮掘り21を埋め戻すことにより図2のような埋設状態となる。尚、内芯部材27は、図2に示すように、鉄筋籠式のものでもよい。また、図3に示すように、角筒状のものや十字形のものにしてもよい。さらに、支柱2が図3の右下欄のように角筒形とされる場合もある。また、図3に示すように、内芯部材27の向きは、例えば、H鋼の場合には、津波の襲来想定方向Xに対し最も強度を発揮するようにフランジが前後に対応するように設定するのが好ましい。さらに、前記実施形態では、管杭18の杭頭部18aが地中に没するまで建て込まれるようになっていたが、杭頭部18aは地上にくるようにしてもよく、この場合、図7に示すレベルGLが地表に相当する状態となる。
【0019】
図8は他の実施形態を示し、管杭18と支柱2とが異なる径で差し込み可能な関係にあるもので、特に、同実施形態の場合は、管杭18が大径側で支柱2が小径側とされたものである。管杭18が接合スリーブの役目を果たし、左欄のように差し込まれて支柱2内には上充填材が充填される。その他は前記と同様の構成であるので同じ符号を付して説明に代える。内芯部材27はH鋼であるが、右欄のように角パイプでもよいし、管杭18が角パイプで支柱2が丸パイプあるいは管杭18が丸パイプで支柱2が角パイプであってもよい。
【0020】
図9は他の実施形態を示し、管杭18が大径側とされているので、地中梁20を設けることができるが、同地中梁20は省略することもある。内芯部材27はH鋼であるが、右欄のように角パイプでもよいし、管杭18が丸パイプで支柱2が角パイプあるいは管杭18が角パイプで支柱2が丸パイプであってもよい。
【0021】
図10および図11は他の実施形態を示し、同実施形態は、管杭18と支柱2とが異なる径で差し込み可能な関係にあり、管杭18が小径側で支柱2が大径側とされたものであって、特に、支柱2の基部外周には、四方など放射状をなして浮上防止梁33…が突設されて埋設されている。この梁33と支柱2間には斜め補強材34を設けてもよい。
尚、図10の右欄に示すように、浮上防止梁33は津波襲来想定方向Xに対し斜め向きになるように放射配置すれば津波に有効に対向する施設となる。また、右下欄に示すように、浮上防止梁33は六方へ伸ばしてもよい。
【0022】
図12は支柱2を三点配置するとともに同支柱2から地中梁20および浮上防止梁33を張り出した例を示す。支柱2は4本あるいはそれ以上の配置数でもよい。尚、地中梁20にも1本あるいは複数本の浮上防止梁33を張り出すことができる。この場合、浮上防止梁33の基部は支柱2の外周に取付けてもよい。これら浮上防止梁20は、その隣合う先端間を補助梁35にて連結して更なる浮上防止効果が期待できるようにすることがある。また、図12の右欄のように、地中梁20から山形をなすように浮上防止梁20を張り出してもよい。
尚、図13のように、支柱2側を管杭18よりも大径の側とする場合、同図下欄のように、両者間の隙間を大きくとりその間にコンクリートやモルタルなどの上充填材28が入るようにすることができる。
【0023】
図13は他の実施形態を示し、同実施形態は、図12の3本あるいは4本支柱2を配備し、その支柱2を管杭18よりも大径側として差し入れて上充填材で充填固定したものにおいて、各支柱2から浮上防止梁33を張り出すとともに、同浮上防止梁33の津波X側へ延びた部分に緩衝杭36を立設したものである。緩衝杭36にも斜め補強材37を備えてもよい。38は拡大球根部である。
尚、図1に示すように、左方向から津波Xが襲来すると想定した場合、支柱2の少し前方に緩衝杭となる管杭18を建て込み、同管杭18内とステージ枠8との間に牽きワイヤ(ロット・リンクチエーンも可能)11を牽設することで避難施設に掛かるであろう前浮き現象をワイヤ11と管杭18によって阻止するようにしてもよい。この場合、ワイヤ11の下端は管杭18上端に固定したアンカーブラケットに固定してもよいが、この図のように1個あるいは複数個のアンカー体a、aをワイヤ11下部まわりに備えておいてそれらをコンクリートやモルタルなどの充填材28によって固着して止めるようにしてもよい。管杭18は支柱2の前方に接近させて配置すれば津波Xが管杭18で分流化するのでその後方の支柱2には津波流が負担しない形になり大きな負荷が解消される。管杭18はステージ枠7近くまで達する程度に高くしてもよい。また、管杭18と支柱2との前後間には図の左側に示すように側板bを付すと支柱2に掛かる負荷はなくなる。この場合、側板bは、管杭18に取付けるが支柱2には取付関係なしとすると管杭18から支柱2への伝達力は非常に少なくなる。
【0024】
図1ないし図13までに示した実施形態は、耐津波高床式集合住宅設備にも適用できる。同住宅設備は、支柱を互いに離間して縦横複数配置し、その1階部分は津波の通過空間とし、2階床部分を駐車床ステージとするとともに、3階床部分を複数戸の住宅用の設置ステージとしたもので、その躯体の外周りや躯体内空間を利用して駐車床ステージや設置ステージまで昇り降りできるスロープを設けたものとする。その躯体支柱のそれぞれに管杭との接合による方式とすることができる。
【0025】
図14および図15は他の実施形態を示す。この実施形態は、高い津波が襲来しても損壊しないようにした主に一戸建て向けの津波対策設備の一例を示す。41は設置基盤で、同基盤41には、中央となるように丸鋼管である管杭42が建て込まれるとともに、同管杭42の杭頭部の外周を覆うようにして丸鋼管である中央支柱43が立設されている。中央支柱43と管杭42の内部には、コンクリートやモルタルなどの充填材が充填されている。この充填材の内部には前記したH鋼や鉄筋籠などの内芯部材が装入されて補強されることもある。
【0026】
中央支柱43の上端には、底枠44が連結固定されている。この底枠44上を介して2階建て構造で強度のある住宅45が脱着可能に載置固定されている。この住宅45は移転可能なもので、店舗や事務所、簡易工場など使用目的は限定されない。前記中央支柱43の地盤内の外周には、上からみて放射状をなすような浮上防止梁46が張り出している。その防止梁46上と底枠44との間には、4点配置などとして囲い支柱47が固定されている。これら囲い支柱47と中央支柱43および補助支柱48を利用してラセン状の階段である登降手段49が設けられ、地上と住宅45との間を登降できるようになっている。この登降手段は折り返し式の階段でもよい。50は牽きワイヤである。住宅45との間で物を昇降させる手段を同住宅45に備えてもよい。特に、同昇降手段や住宅用の電気・ガス・給排水などの必要設備は中央支柱43内を利用して通すことができる。中央支柱43内には簡易エレベータを構成してもよい。その電力は、図示しない屋上ソーラーや蓄電池などを使用できる。
【0027】
図16および図17は他の実施形態を示す。地震が発生すると液状化現象や水圧作用などによりマンホールが地面より飛び出す現象が発生しそれに接続された上下水配管などの損壊によりインフラ混乱が起こる。マンホールMは、図16および17に示すように、地盤54内に埋設され、基礎砕石55上の底版ブロック56と躯体ブロック57および直壁ブロック58さらに斜壁ブロック59とを有する。60は調整リング、61は調整金具、62は受枠63付きの蓋である。そして、同マンホールMには、入側配管64と出側配管65とが設けられるとともに、内部にはインバートコンクリート66が打設されている。
【0028】
こうしたマンホールMの飛び出しを防止するため、図16、図17に示すように、配管64,65の中心線を基準としてマンホールMの外側対向位置に鋼管杭である管杭69の一対を前記各種工法のいずれかにより垂直状(斜状でもよい)に建て込み、その上部間に浮上抑制盤70を渡して押付具71により固定したものである。浮上抑制盤70の中央には押さえ口72が明けられており、その押さえ口72に弾性質の緩衝リング73を介して斜壁ブロック59の外周壁面に弾接状に押さえ込む状態にしてある。マンホールMが既設の場合は、管杭69の打込みと浮上抑制盤70の掘削によるセットが必要であるが、マンホールMが新設の場合は管杭69と浮上抑制盤70はマンホールMとは同時掘削・埋設が可能である。マンホールMを新設する場合は、管杭69は斜めに向けて埋設すると抜け止め効果が高くなる。
【0029】
図18および図19は他の実施形態を示す。同実施形態は、管杭69の一対が、配管64,65の側脇に位置するようにマンホールMの外側対向位置に建て込まれ、その上部間に浮上抑制盤70を渡して押付具71により固定したものである。浮上抑制盤70の中央には押さえ口72が明けられており、その押さえ口72に弾性質の緩衝リング73を介して斜壁ブロック59の外周壁面に弾接状に押さえ込む状態にしてある。マンホールMを新設する場合は、管杭69は斜めに向けて埋設すると抜け止め効果が高くなる。管杭69には通孔74…が多数開設されているので、液状化の際、周りに含水分を抜き去ることができる。図19の右上欄には通水可能な蓋75が示す。
尚、図19の右欄中段に示すように、マンホールMに一体に浮上抑制受部77を突設しておいてその穴を通じて管杭69を通すようにしてもよい。また、右欄下段に示すように、管杭69は、ボルトナットである止着具78により管杭69を取り付けてもよい。さらに、図20に示すように、浮上抑制盤70を楕円形としその長軸上に管杭69の通穴を配置してもよい。
【0030】
図21は他の実施形態を示す。同実施形態は、新設タイプのマンホールMについての液状化対策案を示す。この場合の管杭69は、底版ブロック56の通穴80を通じて土中に建て込むとともに、その管上端口をマンホールM内に臨ませて含水分を噴出させるようにしたものである。管杭69の底版ブロック56上にくる高さの外周には十字など放射状をなす浮上抑制バー81を突設してあることで地震時のマンホールMの飛び出しを防ぐようになっている。このバー81をパイプ製として管杭69に連通させるとともにバー81の先端から右欄のような噴出しパイプ82を連通状に立設しておくこともできる。この噴出しパイプ82は、あとで施工されるインバートコンクリート66に形成される流水凹路83を避けて立設されるので、同凹路83内での流れに支障が出るおそれがない。
【0031】
図22および図23は他の実施形態を示す。洪水や地震などの災害時にマンホールM内が水で一杯になって蓋62が飛び外れたような場合、マンホールMの上端開口は大きな穴87となって濁水88の下に隠れそこを通りかかる人には見えない状態となり落ち込むなど非常に危険である。そこで、足掛金物89を利用してそれにガイド90を付けておき、その孔を通して浮上竿91を挿入するとともに、浮上竿91にフロート92を付しておくことにより濁水88上に竿91の上端が浮き上がって通りかかった人がそこにマンホールMがあることを確認できるようにしたものである。
【符号の説明】
【0032】
1…設置基盤 2…支柱 18…管杭 27…内芯部材 28…上充填材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、津波等災害対策用躯体支柱の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
津波や洪水などに対して近場の住民が即刻避難できるようにした鉄骨構造型津波避難施設は周知の技術である。この施設として、例えば、基盤に3個所以上をもって打設された鉄筋コンクリート製主基礎ブロックと、これら主基礎ブロック間をつなぐ主地中梁と、前記主基礎ブロック上に立設固定された複数本の支柱と、これら複数本の支柱上に固定された避難ステージと、基盤側と避難ステージとの間を連絡する登降手段とを備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2011−214389
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の津波避難施設に限らずこれまでの津波避難施設は、基盤に鉄筋コンクリート製の基礎ブロックやベタ基礎を埋設固定しその上を介して躯体支柱の基部を固定するようにしていた。こうした方式によると、基礎工事に手間が掛かり過ぎて工期が長くならざるを得ず、しかも工事の煩雑さが避けられないことに伴い工費を下げるにも一定の限界があった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決しようとするものであり、基礎工事が簡略であることから工期を短くしかも安価なもとに行えるようにした津波等災害対策用躯体支柱の支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、地盤に建て込まれた管杭の杭頭部と管状躯体支柱の基部とをそれらの内部に通した内芯部材および充填材とを介して接合してなる。
【発明の効果】
【0007】
上述したように本発明は、地盤に建て込まれた管杭の杭頭部と管状躯体支柱の基部とをそれらの内部に通した内芯部材および充填材とを介して接合してなるので、基礎工事が簡略であることから工期を短くしかも安価なもとに行えるようにした津波等災害対策用躯体支柱の支持構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 本発明の一実施形態を示す津波避難施設の正面図。
【図2】 図1の躯体支柱の支持構造例を示す拡大縦断面図。
【図3】 図2のA−A線横断面図。
【図4】 図2の支持構造の施工第1段階を示す断面図。
【図5】 図2の支持構造の施工第2段階を示す断面図。
【図6】 図2の支持構造の施工第3段階を示す断面図。
【図7】 図2の支持構造の施工第4段階を示す断面図。
【図8】 他の支持構造例を示す縦断面図。
【図9】 他の支持構造例を示す縦断面図。
【図10】 他の実施形態を示す図11のB−B線断面図。
【図11】 図10の縦断面図。
【図12】 他の実施形態を示す津波避難施設の横断面図。
【図13】 他の実施形態を示す縦断面側面図。
【図14】 他の実施形態を示す図15の平面図。
【図15】 図14の施設側面図。
【図16】 他の提案例示す図17の平面図。
【図17】 図16の縦断面図。
【図18】 他の提案例を示す図19の平面図。
【図19】 図18の縦断面図。
【図20】 他の実施形態を示す平面図。
【図21】 他の実施形態を示す縦断面図。
【図22】 他の実施形態を示す縦断面図。
【図23】 図22のC−C線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を説明する。各実施形態で説明する各案は関係する他の実施形態においても適用することができる。
図1は津波の襲来を想定しその際近場の住民が即刻避難し助かるように構築される津波避難施設の一例である。同図において、1は設置基盤で地盤であり、同基盤1における上からみて正方形など多角形の頂点位置には丸形鋼製パイプ(アルミ合金製パイプを含む)でなる支柱(躯体支柱)2が垂直に立設されている。これら支柱2には、互いに直角をなすように突出するH鋼製の端材(そでばり)3が上下数段にわたって溶接固着されており、これら端材3の相対向する間には、接合板4を介してH鋼製の地上梁5が止着固定されている。支柱2の高さ方向中途はフランジを介して接合するように構成することがある。
【0010】
支柱2の上端にはフランジ6がそれぞれ設けられており、このフランジ6を介してステージ枠7が脱着可能に固定されている。ステージ枠7の上面には床板が敷設されて避難ステージ8になっている。9は防護手摺で、避難ステージ8の周りに立設されて仮に津波が襲来しても抵抗するような強度をもって設けられている。そのため支柱2は避難ステージ8を突き抜けて剛強な支持柱部とし同柱部を介して防護手摺9のコーナー支柱を連結支持することがある。10は階段である登降手段である。避難ステージ8の高さは施設設置地域によって区々であるが12〜15mに設定される。
【0011】
尚、支柱2の隣合う2面にガイドレール12を突設し、このガイドレール12に添ってローラー13により昇降可能なフロート船14を地上待機させて設けてもよい。15は乗り込み架台で、地上待機する上面開放型フロート船14に乗り込むためのスロープ付きの台で固定式である。津波が襲来してきて水位が上昇するとこのフロート船14は避難者を乗せたまま浮上し、ステージ枠7に達したところで停止する。フロート船14は高さが2m程度の内高さになっているので、避難者が頭をぶつけることはない。フロート船14の内壁に登降ステップを設けておけばさらに避難ステージ8までも避難することができる。このフロート船14は他の支柱2に対して配備することがある。フロート船14の外側に乗り込み用の登降手段(階段やスロープ)を取付装備しておくこともでき、また、フロート船14の周壁に乗降用開閉扉を水密可能に設けておいて地盤からステップなどの登降手段なしに乗り込むことができるようにしてもよい。フロート船14の底には発泡スチロールなどの樹脂浮上ブロック16を装備したり底部を浮上用に中空状にすることもできる。ガイドレール12は、地上梁5のない2面(角支柱の場合)に設ける。
【0012】
18は丸鋼管製(アルミ合金製も含む)の管杭で、図示しない範囲まで深さ10〜15m前後に建て込まれ、その建て込み方式は、打撃工法・振動工法・埋め込み杭工法・中掘杭工法・回転貫入工法・鋼管杭先端拡大根固め工法など種々の工法を採用することができる。これら複数本の管杭18は、前記支柱2の建て付け位置に対応する位置に例えば、限定されない4本をもってコンピュータ制御により精度よく垂直に打込まれる。
【0013】
同実施形態では、地中端材19と地中梁20とを設ける場合について説明する。管杭18が所定位置に建て込まれたあと、図4に示すように、地中梁20を埋設することもあって管杭18の杭頭部18a周りを含み地中梁20が通される個所も含めて全体に仮掘り21を掘削しておく。地中梁20を埋設しない場合は、杭頭部18a周りのみを掘り下げれば済む。杭頭部18aは地表よりも1〜3m前後深い位置にくるように調節される。管杭18の外周には受フランジ22が予め溶接固着されている。一方、管杭18内には、土砂や砕石あるいはコンクリートや無収縮モルタルなどの底充填材23が充填されている。
【0014】
次に、図4に示すように、地中端材19を直角向きに一対備えた丸鋼管製の接合スリーブ24を降ろしてきて、図5に示すように管杭18周りに嵌め合わされる。接合スリーブ24は受フランジ22に当ったところで受け止められる。この時点で、接合スリーブ24を回して地中端材19が隣合う管杭18のある方向に向けられるように調整しておく。この接合スリーブ24の方向調整は、例えば、限定されない4本のスリーブ24についてそれぞれ実施される。接合スリーブ24は、管杭18側(受フランジ22を含む)に仮あるいは本溶接しておいてもよい。尚、接合スリーブ24は、図2に仮想線で示すように、地表より高く伸びた状態に長くして津波を二重管で受け止めるようにしてもよい。
【0015】
次に、図5に示すように、支柱2を、その下端が杭頭部18aに当るまで各接合スリーブ24内に差し込む。そのあと支柱2は、図1の端材3同士が所定の対向状態になるように向きが調整される。ここで、地上梁5…を一部あるいは全て架設しておいてもよい。また、向きを調整後の支柱2と接合スリーブ24とは仮止め点26を介して仮溶接したり本溶接しておく。支柱2は、図1のように長い1本もので上端が開放したものである場合と高さ中途においてフランジで上下接合するように短く上端開放したものである場合とがある。そのあと、支柱2内を通じて内芯部材27を落とし込む。内芯部材27は、底充填材23上に当って留まるとともに支柱2と管杭18の中に図3のように略接した状態とされる。
【0016】
内芯部材27は、図6に示すように、支柱2に対し仮止め点26を通じて仮止め溶接しておいて支柱2とともに差し込むようにしてもよい。また、図7に示す矢印Yのように、接合スリーブ24と支柱2、並びに接合スリーブ24と受フランジ22とを本溶接する。
【0017】
次に、図7に示すように、支柱2内には、コンクリートやモルタルなどの上充填材28を充填し支柱2と管杭18および内芯部材27が一体化するようにする。この上充填材28は内芯部材27を越える一定高さまで充填されるが、支柱2の上端近くまで充填してもよい。
【0018】
その後、図7のように、地中端材19と地中接合板29を介して地中梁20を接合し、次に図7の仮掘り21を埋め戻すことにより図2のような埋設状態となる。尚、内芯部材27は、図2に示すように、鉄筋籠式のものでもよい。また、図3に示すように、角筒状のものや十字形のものにしてもよい。さらに、支柱2が図3の右下欄のように角筒形とされる場合もある。また、図3に示すように、内芯部材27の向きは、例えば、H鋼の場合には、津波の襲来想定方向Xに対し最も強度を発揮するようにフランジが前後に対応するように設定するのが好ましい。さらに、前記実施形態では、管杭18の杭頭部18aが地中に没するまで建て込まれるようになっていたが、杭頭部18aは地上にくるようにしてもよく、この場合、図7に示すレベルGLが地表に相当する状態となる。
【0019】
図8は他の実施形態を示し、管杭18と支柱2とが異なる径で差し込み可能な関係にあるもので、特に、同実施形態の場合は、管杭18が大径側で支柱2が小径側とされたものである。管杭18が接合スリーブの役目を果たし、左欄のように差し込まれて支柱2内には上充填材が充填される。その他は前記と同様の構成であるので同じ符号を付して説明に代える。内芯部材27はH鋼であるが、右欄のように角パイプでもよいし、管杭18が角パイプで支柱2が丸パイプあるいは管杭18が丸パイプで支柱2が角パイプであってもよい。
【0020】
図9は他の実施形態を示し、管杭18が大径側とされているので、地中梁20を設けることができるが、同地中梁20は省略することもある。内芯部材27はH鋼であるが、右欄のように角パイプでもよいし、管杭18が丸パイプで支柱2が角パイプあるいは管杭18が角パイプで支柱2が丸パイプであってもよい。
【0021】
図10および図11は他の実施形態を示し、同実施形態は、管杭18と支柱2とが異なる径で差し込み可能な関係にあり、管杭18が小径側で支柱2が大径側とされたものであって、特に、支柱2の基部外周には、四方など放射状をなして浮上防止梁33…が突設されて埋設されている。この梁33と支柱2間には斜め補強材34を設けてもよい。
尚、図10の右欄に示すように、浮上防止梁33は津波襲来想定方向Xに対し斜め向きになるように放射配置すれば津波に有効に対向する施設となる。また、右下欄に示すように、浮上防止梁33は六方へ伸ばしてもよい。
【0022】
図12は支柱2を三点配置するとともに同支柱2から地中梁20および浮上防止梁33を張り出した例を示す。支柱2は4本あるいはそれ以上の配置数でもよい。尚、地中梁20にも1本あるいは複数本の浮上防止梁33を張り出すことができる。この場合、浮上防止梁33の基部は支柱2の外周に取付けてもよい。これら浮上防止梁20は、その隣合う先端間を補助梁35にて連結して更なる浮上防止効果が期待できるようにすることがある。また、図12の右欄のように、地中梁20から山形をなすように浮上防止梁20を張り出してもよい。
尚、図13のように、支柱2側を管杭18よりも大径の側とする場合、同図下欄のように、両者間の隙間を大きくとりその間にコンクリートやモルタルなどの上充填材28が入るようにすることができる。
【0023】
図13は他の実施形態を示し、同実施形態は、図12の3本あるいは4本支柱2を配備し、その支柱2を管杭18よりも大径側として差し入れて上充填材で充填固定したものにおいて、各支柱2から浮上防止梁33を張り出すとともに、同浮上防止梁33の津波X側へ延びた部分に緩衝杭36を立設したものである。緩衝杭36にも斜め補強材37を備えてもよい。38は拡大球根部である。
尚、図1に示すように、左方向から津波Xが襲来すると想定した場合、支柱2の少し前方に緩衝杭となる管杭18を建て込み、同管杭18内とステージ枠8との間に牽きワイヤ(ロット・リンクチエーンも可能)11を牽設することで避難施設に掛かるであろう前浮き現象をワイヤ11と管杭18によって阻止するようにしてもよい。この場合、ワイヤ11の下端は管杭18上端に固定したアンカーブラケットに固定してもよいが、この図のように1個あるいは複数個のアンカー体a、aをワイヤ11下部まわりに備えておいてそれらをコンクリートやモルタルなどの充填材28によって固着して止めるようにしてもよい。管杭18は支柱2の前方に接近させて配置すれば津波Xが管杭18で分流化するのでその後方の支柱2には津波流が負担しない形になり大きな負荷が解消される。管杭18はステージ枠7近くまで達する程度に高くしてもよい。また、管杭18と支柱2との前後間には図の左側に示すように側板bを付すと支柱2に掛かる負荷はなくなる。この場合、側板bは、管杭18に取付けるが支柱2には取付関係なしとすると管杭18から支柱2への伝達力は非常に少なくなる。
【0024】
図1ないし図13までに示した実施形態は、耐津波高床式集合住宅設備にも適用できる。同住宅設備は、支柱を互いに離間して縦横複数配置し、その1階部分は津波の通過空間とし、2階床部分を駐車床ステージとするとともに、3階床部分を複数戸の住宅用の設置ステージとしたもので、その躯体の外周りや躯体内空間を利用して駐車床ステージや設置ステージまで昇り降りできるスロープを設けたものとする。その躯体支柱のそれぞれに管杭との接合による方式とすることができる。
【0025】
図14および図15は他の実施形態を示す。この実施形態は、高い津波が襲来しても損壊しないようにした主に一戸建て向けの津波対策設備の一例を示す。41は設置基盤で、同基盤41には、中央となるように丸鋼管である管杭42が建て込まれるとともに、同管杭42の杭頭部の外周を覆うようにして丸鋼管である中央支柱43が立設されている。中央支柱43と管杭42の内部には、コンクリートやモルタルなどの充填材が充填されている。この充填材の内部には前記したH鋼や鉄筋籠などの内芯部材が装入されて補強されることもある。
【0026】
中央支柱43の上端には、底枠44が連結固定されている。この底枠44上を介して2階建て構造で強度のある住宅45が脱着可能に載置固定されている。この住宅45は移転可能なもので、店舗や事務所、簡易工場など使用目的は限定されない。前記中央支柱43の地盤内の外周には、上からみて放射状をなすような浮上防止梁46が張り出している。その防止梁46上と底枠44との間には、4点配置などとして囲い支柱47が固定されている。これら囲い支柱47と中央支柱43および補助支柱48を利用してラセン状の階段である登降手段49が設けられ、地上と住宅45との間を登降できるようになっている。この登降手段は折り返し式の階段でもよい。50は牽きワイヤである。住宅45との間で物を昇降させる手段を同住宅45に備えてもよい。特に、同昇降手段や住宅用の電気・ガス・給排水などの必要設備は中央支柱43内を利用して通すことができる。中央支柱43内には簡易エレベータを構成してもよい。その電力は、図示しない屋上ソーラーや蓄電池などを使用できる。
【0027】
図16および図17は他の実施形態を示す。地震が発生すると液状化現象や水圧作用などによりマンホールが地面より飛び出す現象が発生しそれに接続された上下水配管などの損壊によりインフラ混乱が起こる。マンホールMは、図16および17に示すように、地盤54内に埋設され、基礎砕石55上の底版ブロック56と躯体ブロック57および直壁ブロック58さらに斜壁ブロック59とを有する。60は調整リング、61は調整金具、62は受枠63付きの蓋である。そして、同マンホールMには、入側配管64と出側配管65とが設けられるとともに、内部にはインバートコンクリート66が打設されている。
【0028】
こうしたマンホールMの飛び出しを防止するため、図16、図17に示すように、配管64,65の中心線を基準としてマンホールMの外側対向位置に鋼管杭である管杭69の一対を前記各種工法のいずれかにより垂直状(斜状でもよい)に建て込み、その上部間に浮上抑制盤70を渡して押付具71により固定したものである。浮上抑制盤70の中央には押さえ口72が明けられており、その押さえ口72に弾性質の緩衝リング73を介して斜壁ブロック59の外周壁面に弾接状に押さえ込む状態にしてある。マンホールMが既設の場合は、管杭69の打込みと浮上抑制盤70の掘削によるセットが必要であるが、マンホールMが新設の場合は管杭69と浮上抑制盤70はマンホールMとは同時掘削・埋設が可能である。マンホールMを新設する場合は、管杭69は斜めに向けて埋設すると抜け止め効果が高くなる。
【0029】
図18および図19は他の実施形態を示す。同実施形態は、管杭69の一対が、配管64,65の側脇に位置するようにマンホールMの外側対向位置に建て込まれ、その上部間に浮上抑制盤70を渡して押付具71により固定したものである。浮上抑制盤70の中央には押さえ口72が明けられており、その押さえ口72に弾性質の緩衝リング73を介して斜壁ブロック59の外周壁面に弾接状に押さえ込む状態にしてある。マンホールMを新設する場合は、管杭69は斜めに向けて埋設すると抜け止め効果が高くなる。管杭69には通孔74…が多数開設されているので、液状化の際、周りに含水分を抜き去ることができる。図19の右上欄には通水可能な蓋75が示す。
尚、図19の右欄中段に示すように、マンホールMに一体に浮上抑制受部77を突設しておいてその穴を通じて管杭69を通すようにしてもよい。また、右欄下段に示すように、管杭69は、ボルトナットである止着具78により管杭69を取り付けてもよい。さらに、図20に示すように、浮上抑制盤70を楕円形としその長軸上に管杭69の通穴を配置してもよい。
【0030】
図21は他の実施形態を示す。同実施形態は、新設タイプのマンホールMについての液状化対策案を示す。この場合の管杭69は、底版ブロック56の通穴80を通じて土中に建て込むとともに、その管上端口をマンホールM内に臨ませて含水分を噴出させるようにしたものである。管杭69の底版ブロック56上にくる高さの外周には十字など放射状をなす浮上抑制バー81を突設してあることで地震時のマンホールMの飛び出しを防ぐようになっている。このバー81をパイプ製として管杭69に連通させるとともにバー81の先端から右欄のような噴出しパイプ82を連通状に立設しておくこともできる。この噴出しパイプ82は、あとで施工されるインバートコンクリート66に形成される流水凹路83を避けて立設されるので、同凹路83内での流れに支障が出るおそれがない。
【0031】
図22および図23は他の実施形態を示す。洪水や地震などの災害時にマンホールM内が水で一杯になって蓋62が飛び外れたような場合、マンホールMの上端開口は大きな穴87となって濁水88の下に隠れそこを通りかかる人には見えない状態となり落ち込むなど非常に危険である。そこで、足掛金物89を利用してそれにガイド90を付けておき、その孔を通して浮上竿91を挿入するとともに、浮上竿91にフロート92を付しておくことにより濁水88上に竿91の上端が浮き上がって通りかかった人がそこにマンホールMがあることを確認できるようにしたものである。
【符号の説明】
【0032】
1…設置基盤 2…支柱 18…管杭 27…内芯部材 28…上充填材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に建て込まれた管杭の杭頭部と管状躯体支柱の基部とをそれらの内部に通した内芯部材および充填材とを介して接合してなる津波等災害対策用躯体支柱の支持構造。
【請求項1】
地盤に建て込まれた管杭の杭頭部と管状躯体支柱の基部とをそれらの内部に通した内芯部材および充填材とを介して接合してなる津波等災害対策用躯体支柱の支持構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−100706(P2013−100706A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258248(P2011−258248)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(594100838)フジワラ産業株式会社 (51)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(594100838)フジワラ産業株式会社 (51)
【Fターム(参考)】
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