説明

洪水発生警報装置及びこれを用いた洪水発生警報システム

【課題】電力の消費を極力抑えて長期にわたって洪水の発生を検知して警報を発することができる洪水発生警報装置を提供すること。
【解決手段】水を検知する水検知スイッチ手段2を備えた主回路部40と、警報を発する警報手段4A,4Bを備えた副回路部42とを具備する洪水発生警報装置。主回路部には、水検知スイッチ手段に電気的に直列に作動リレー48が配設されているとともに、水検知スイッチ手段に電気的に並列に第1セットリレー52が配設されている。また副回路部には、警報手段4A,4Bに電気的に直列に第2セットリレー54,56,58が配設されている。水検知スイッチ手段が水を検知してオン状態になると、作動リレー48が付勢されて第1及び第2セットリレーが付勢され、作動リレーが付勢状態に保持されるとともに、警報手段が作動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洪水の発生を検知して警報を発する洪水発生警報装置及びこれを用いた洪水発生警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、河川などの水位を検知して警報を発する水位警報ユニットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この水位警報ユニットは、河川などの水位を検知する水位計測センサと、この水位計測センサからの計測信号を処理するデータ処理部と、計測した水位と予め設定された設置水位とを比較して水位を判定する水位判定手段と、警報を発する警報手段とを備えている。設定水位としては、例えば、平常水位、注意水位、避難水位、洪水水位などが設定され、例えば、水位計測センサによる計測水位が注意水位(又は避難水位、洪水水位)に達すると、水位判定手段は注意水位(又は避難水位、洪水水位)と判定して注意信号(又は避難信号、洪水信号)を生成し、この注意信号(又は避難信号、洪水信号)に基づいて警報手段は注意警報(又は避難警報、洪水警報)を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−170190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この従来の水位警報ユニットでは、次の通りの解決すべき問題がある。第1に、水位計測センサは、常時、河川の水位を計測しているので、この計測のために電力を消費し、この電力を蓄電池などから得ようとする場合には、長期にわたって継続して使用することが難しく、所定期間経過する毎に蓄電池を交換する(又は充電する)必要がある。一方、この電力を商用電力から得ようとする場合には、電力供給のための電気工事などが必要となり、設置工事が大がかりとなって設置コストが高くなるという問題がある。
【0005】
第2に、この水位警報ユニットは、河川の水位を計測するためのものであって、河川の水位によって洪水が発生するおそれがあるか否かの予測をして警報を発生することができるが、洪水が発生した後にどの地域まで拡がるおそれがあるかなどの予測をして警報を発することが難しいという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、電力の消費を極力抑えて長期にわたって洪水の発生を検知して警報を発することができる洪水発生警報装置を提供することである。
【0007】
また、本発明の他の目的は、洪水がどの地域まで拡がっているかを容易に知ることができ、その知った情報に基づいて洪水警報を発することができる洪水発生警報システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の洪水発生警報装置は、水を検知する水検知スイッチ手段を備えた主回路部と、警報を発する警報手段を備えた副回路部とを具備しており、前記主回路部には、前記水検知スイッチ手段に電気的に直列に作動リレーが配設されているとともに、前記水検知スイッチ手段に電気的に並列に第1セットリレーが配設されており、また前記副回路部には、前記警報手段に電気的に直列に第2セットリレーが配設されており、
前記水検知スイッチ手段が水を検知してオン状態になると、前記作動リレーが付勢されて前記第1及び第2セットリレーが付勢され、前記第1セットリレーの付勢によって、前記作動リレーが付勢状態に保持され、前記第2セットリレーが付勢されることによって、前記警報手段が作動されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の洪水発生警報装置では、前記主回路部には、前記作動リレーに電気的に直列にリセットスイッチ及びリセットリレーが配設されており、前記リセットスイッチをオフ状態にすると、前記リセットリレーが除勢状態となって前記作動リレーが除勢され、これによって、前記第1及び第2セットリレーが除勢されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載の洪水発生警報装置では、前記水検知スイッチ手段は、水面の上昇によって上方に移動するフロートを備えたフロートスイッチ手段から構成され、前記フロートが所定レベルまで上昇すると、前記フロートスイッチ手段がオン状態となることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載の洪水発生警報装置では、前記副回路部に関連して、携帯用照明装置が設けられ、前記携帯用照明装置の照明回路部にリレースイッチ手段及び警報手段が電気的に直列に設けられ、また前記副回路部に第3セットリレーが設けられており、前記水検知スイッチ手段が水を検知してオン状態になると、前記作動リレーが付勢されて前記第1及び第2セットリレー並びに前記第3セットリレーが付勢され、前記第3セットリレーにより前記リレースイッチ手段がオン状態になって、前記携帯用照明装置の前記警報手段が作動されることを特徴とする。
【0012】
更に、本発明の請求項5に記載の洪水発生警報システムは、請求項1〜4のいずれかに記載の洪水発生警報装置と、前記洪水発生警報装置からの洪水発生信号を受信するシステム制御手段と、警報情報を出力する警報情報出力手段とを備え、前記洪水発生警報装置は、土地の高さレベルに対応して複数設置され、前記システム制御手段は、前記洪水発生警報装置からの洪水発生信号に基づいてその洪水発生警報装置の設置された設置高さレベルに基づいた設置レベル洪水発生信号を生成し、生成した前記設置レベル洪水発生信号に対応した設置レベル洪水情報を選択し、選択された前記設置レベル洪水情報が前記警報情報出力手段から出力されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載の洪水発生警報装置によれば、主回路部に水検知スイッチ手段に電気的に直列に作動リレーが配設されているとともに、水検知スイッチ手段に電気的に並列に第1セットリレーが配設され、また副回路部に警報手段に電気的に直列に第2セットリレーが配設されているので、水検知スイッチ手段が水を検知してオン状態になると、作動リレーが付勢されて第1及び第2セットリレーが付勢される。そして、水検知スイッチ手段がオン状態になって初めて電源からの電力が供給されて作動リレーが作動されるので、水検知スイッチ手段による検知状態においては電力を消費せず、水検知のための消費電力を極力抑えて長期にわたって水検知、即ち洪水発生検知を行うことができる。
【0014】
また、作動リレーがオン状態となって第1セットリレーが付勢されると、この第1セットリレーを介して作動リレーが付勢状態に保持されるので、水検知(即ち、洪水検知)した後は、この検知状態が保持される。加えて、作動リレーがオン状態となると、第2セットリレーが付勢されて警報手段が作動されるので、水検知(即ち、洪水検知)した後は、警報手段が作動し続け、周囲に洪水が発生したことを知らせることができる。
【0015】
尚、警報手段は、光によって警報を発する警報ランプ、音によって警報を発する警報ブザー、音声によって警報を発する音声出力装置(例えば、スピーカ)などであり、これらを単体で、或いは複数組み合わせて用いることができる。
【0016】
また、本発明の請求項2に記載の洪水発生警報装置によれば、主回路部に作動リレーに電気的に直列にリセットスイッチ及びリセットリレーが配設されているので、リセットスイッチをオフ状態にすると、リセットリレーが除勢状態となって作動リレーが除勢される。従って、作動リレーの除勢によって、第1及び第2セットリレーが除勢され、警報手段への電力の供給が停止して警報手段の作動を停止させることができる。
【0017】
また、本発明の請求項3に記載の洪水発生警報装置によれば、水検知スイッチ手段がフロートを備えたフロートスイッチ手段から構成されているので、フロートの上昇によってフロートスイッチ手段がオン状態になると、電源からの電力が初めて供給されて作動リレーが作動されるようになり、従って、簡単な構成でもって洪水を検知することができるとともに、電力の消費を極力抑えることができる。
【0018】
また、本発明の請求項4に記載の洪水発生警報装置によれば、副回路部に関連して、携帯用照明装置が設けられ、この携帯用照明装置の照明回路部にリレースイッチ手段及び警報手段が電気的に直列に設けられ、また副回路部に第3セットリレーが設けられているので、水検知スイッチ手段が水を検知してオン状態になると、作動リレーが付勢されて第3セットリレーが付勢され、これによって、リレースイッチ手段がオン状態となって携帯用照明装置の警報手段が作動され、携帯用照明装置によっても洪水の発生を知らせることができるとともに、この発せられた警報によって携帯用照明装置の置き場所も容易に知ることができる。
【0019】
更に、本発明の請求項5に記載の洪水発生警報システムによれば、請求項1〜4のいずれかに記載の洪水発生警報装置を備えているので、電力の消費を極力抑えながら洪水の発生を長期にわたって検知することができる。また、この洪水発生警報装置は、土地の高さレベルに対応して複数設置されているので、どの高さレベルまで洪水が発生している(即ち、水が到達している)かを容易に知ることができる。更に、システム制御手段は、洪水発生警報装置からの洪水発生信号に基づいてその洪水発生警報装置の設置された設置高さレベルに基づいた設置レベル洪水発生信号を生成し、生成した設置レベル洪水発生信号に対応した設置レベル洪水情報を選択して警報情報出力手段に出力するので、洪水の発生状況に応じた警報情報(例えば、避難情報など)を発して周囲住民の安全を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に従う洪水発生警報装置の設置例を示す斜視図。
【図2】図1の洪水発生警報装置における水検知スイッチ手段を示す斜視図。
【図3】図1の洪水発生警報装置の電気回路を簡略的に示す回路図。
【図4】本発明に従う洪水発生警報システムの設置例を簡略的に示す図。
【図5】図4の洪水発生警報システムの制御系を簡略的に示すブロック図。
【図6】洪水発生装置の変形形態における電気回路を簡略的に示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う洪水発生警報装置及びこれを用いた洪水発生警報システムについて説明する。
【0022】
〔洪水発生警報装置〕
まず、図1〜図3を参照して、洪水発生警報装置の一実施形態について説明する。図1〜図3において、この洪水発生警報装置は、水を検知する水検知スイッチ手段2と、警報を発する警報手段4(4A,4B)とを備えている。この形態では、水検知スイッチ手段2は、家屋6の基礎8に関連して設置され、洪水の水がこの基礎8まで到達したときにこれを検知する。この形態では、家屋6の基礎8に関連して洪水を検知しているが、家屋6に到達する少し前の段階において検知するように、家屋6の門、石垣、ブロック塀などに関連して設けるようにしてもよく、或いは庭などに設けた支持柱などに設けるようにしてもよい。
【0023】
この形態では、水検知スイッチ手段2は、水面に浮かぶフロート(図示せず)を備えたフロートスイッチ手段10から構成され、このフロートスイッチ手段10としては、それ自体周知のものを用いることができる。フロートスイッチ手段10のフロート(図示せず)は、水面の上昇によって上方に移動し、洪水によって水面が所定レベルまで上昇すると、このフロートがスイッチ(図示せず)を閉状態にし、これによって、フロートスイッチ手段10がオン状態となる。
【0024】
水検知スイッチ手段2は、更に、矩形状の細長いスイッチハウジング12を備え、フロートスイッチ手段10は、このスイッチハウジング12に内蔵されている(図2参照)。スイッチハウジング12の下部14には多数の開口16が設けられており、水はこれら開口16を通して内部に侵入してフロート(図せず)に作用し、このような構成にすることによって、水に流された木片、ゴミなどがスイッチハウジング12内に流入するのを防止することができる。
【0025】
スイッチハウジング12の上部には、L字状の取付金具16が固定され、この取付金具16の取付部18に一対の細長い取付孔20が設けられている。このスイッチハウジング12は、各取付孔18を通して固定用ねじ22を螺着することによって、家屋6の外壁24(又は基礎8)に取り付けられる。尚、取付孔20は上下方向に細長く形成されているので、この取付孔20の範囲内において、スイッチハウジング12の取付位置を上下方向に調整することができる。
【0026】
警報手段4(4A,4B)は、家屋6の内部の適宜の場所に設置することができ、この実施形態では、1階の居間、2階の寝室及び階段に設置されている(図1参照)。この形態では、居間及び寝室に設置された警報手段4Aは、点灯によって警報を知らせる警報ランプ26と、音によって警報を知らせる警報ブザー28とを備え、これら警報ランプ26及び警報ブザー28が装置ハウジング30内に内蔵されている。また階段に設置された警報手段4Bは、音声によって警報を知らせる音声警報手段32から構成され、この音声警報手段32は、音声情報が登録されたボイスレコーダ34及び音声情報を出力する音声出力手段36(例えば、スピーカ)から構成されている。
【0027】
警報手段4としては、警報ランプ26、警報ブザー28及び音声警報装置32並びにこれらの組合せを適宜に用いることができ、その形態、設置個数などは家屋6に応じて適宜選定することができる。
【0028】
この洪水発生警報装置は、例えば、図3に示す制御回路38によって制御される(図3においては、警報手段4Aについては一つのみ示す)。図示の制御回路38は、水検知スイッチ手段2(フロートスイッチ手段10)を含む主回路部40と、警報手段4(4A,4B)が配設された副回路部42とを含んでいる。主回路部40は、電池の如き電源44、主スイッチ手段46及び水検知スイッチ手段2を備え、これらが電気的に直列に接続されている。この形態では、更に、この主回路部40に作動リレー48及びリセットリレー50が電気的に接続されている。また、水検知スイッチ手段2に電気的に並列に第1セットリレー52が接続されている。このように構成されているので、主スイッチ手段46をオン状態にすると、洪水発生警報装置は検知状態となるが、水検知スイッチ手段2が水を検知する(換言すると、フロートが所定レベルまで上昇して水を検知する)までは電源44からの電力は消費されず、消費電力を極力抑えた制御となる。
【0029】
また、副回路部42は、主回路部40の水検知スイッチ手段2、リセットリレー50及び作動リレー48に電気的に並列に接続され、この副回路部42においては、警報手段4A及び警報手段4Bが電気的に並列に接続されている。この形態では、警報手段4Aの警報ランプ26が第2セットリレー54を介して主回路部40に電気的に接続され、その警報ブザー28が第2セットリレー56を介して主回路部40に電気的に接続され、また警報手段4Bのボイスレコーダ34が第2セットリレー58を介して主回路部40に電気的に接続されている。尚、警報ランプ26及び警報ブザー28を一つのユニットとして構成する場合、警報ランプ26及び警報ブザー28を共通の第2セットリレーを介して主回路部に電気的に接続することもできる。
【0030】
副回路部42をこのように構成することにより、例えば警報手段4A,4Bに加えて例えば出力手段54(例えば、洪水発生したときに生成される洪水発生信号(後述する)を外部に出力する手段)などを設ける場合、この出力手段54などを警報手段4A,4Bと電気的に並列に接続すればよく、他の機能などを容易に追加接続することができる。尚、この場合、出力手段54も第2セットリレー62を介して主回路部40に電気的に接続される。
【0031】
この洪水発生警報装置による警報は、次のようにして行われる。洪水発生を検知する場合、主スイッチ手段46をオン状態にして洪水発生警報装置を検知状態にする。この検知状態においては、水検知スイッチ手段2がオフ状態(開状態)に保持され、また第1セットリレー52及び第2セットリレー54,56,58,62もオフ状態に保持され、このような検知状態においては、電源44の電力が消費されることはない。
【0032】
そして、この検知状態において、洪水が発生して水が水検知スイッチ手段2まで流れてきてフロート(図示せず)が所定レベルまで上昇すると、水検知スイッチ手段2(フロートスイッチ手段10)がオン状態となる。かくすると、電源44からの電力が、主スイッチ手段46、水検知スイッチ手段2及びリセットリレー50を介して作動リレー48に供給され、作動リレー48が付勢されてオン状態となる。
【0033】
このように作動リレー48がオン状態になると、第1セットリレー52及び第2セットリレー54,56,58,62が付勢されてオン状態となる。第1セットリレー52がオン状態になると、電源44からの電力が、この第1セットリレー52、リセットリレー50を介して作動リレー48に供給され、これによって、水検知スイッチ手段2の検知状態にかかわらず作動リレー48の作動状態が保持される(これにより、第1セットリレー52及び第2セットリレー54,56,58,62がオン状態に保持される)。
【0034】
第2セットリレー54がオン状態になると、電源44からの電力が第2セットリレー54を介して警報手段4Aの警報ブザー28に供給され、この警報ブザー28が作動して洪水が発生して水が家屋6まで流れてきたことをブザー音でもって警報する。また、第2セットリレー56がオン状態になると、電源44からの電力が第2セットリレー56を介して警報手段4Aの警報ランプ26に供給され、この警報ランプ26が作動して点灯光でもって警報する。更に、第2セットリレー58がオン状態になると、電源44からの電力が第2セットリレー58を介して警報手段4Bのボイスレコーダ34に供給され、このボイスレコーダ34が作動して音声でもって警報する。更にまた、第2セットリレー62がオン状態になると、電源44からの電力が第2セットリレー62を介して出力手段60に供給され、この出力手段60が作動して洪水発生信号を出力し、出力された洪水発生信号は、例えば、後述するように利用される。このように水検知スイッチ手段2が洪水の水を検知することにより、警報手段4A,4Bが作動して警報を発するので、家屋6の住民の安全を確保することができる。
【0035】
このような警報状態を解除するには、主スイッチ手段46をオフ状態にすればよい。かくすると、リセットリレー50が開状態(オフ状態)となり、電源44から作動リレー48への電力の供給が遮断され、作動リレー48が除勢されてオフ状態となり、これによって、第1セットリレー52及び第2セットリレー54,56,58,62が除勢されてオフ状態となる。従って、警報ランプ26、警報ブザー28、ボイスレコーダ34及び出力手段60への電力供給が遮断され、これらの作動が停止し、警報状態が解除される。
【0036】
この実施形態では、主スイッチ手段46をオフ状態にして警報の解除を行い、主スイッチ手段46をリセットスイッチとしても機能させているが、主スイッチ手段46に加えて専用のリセットスイッチを設けるようにしてもよく、この場合、リセットスイッチを操作して警報の解除を行うようになる。
【0037】
〔洪水発生警報システム〕
図1〜図3に示す洪水発生警報装置は、図4〜図5に示す洪水発生警報システムに好都合に用いることができる。図4及び図5において、この警報システムにおいては、河川102からの土地の高さレベル(換言すると、堤防104の住居側の最も低い土地からの高さレベル)に対応して上述の洪水発生警報装置106が設置される。例えば、高さレベルが最も低い第1土地108に対応して、この土地108に建てられた家屋110に関連して第1洪水発生警報装置106Aが設置され、第1土地108よりも高さレベルが高い第2土地112に対応して、この土地112に建てられた家屋114に関連して第2洪水発生警報装置106Bが設置され、また第2土地112よりも高さレベルが更に高い第3土地116に対応して、この土地116に建てられた家屋118に関連して第3洪水発生警報装置106Cが設置されている。尚、この説明では、洪水発生警報装置(106A〜106C)を設置する土地については、3段階の高さレベルについて適用して説明しているが、実際の警報システムにおいては、例えば1〜3mの高さレベル毎に洪水発生警報装置(106A〜106C)が設置される。
【0038】
この洪水発生警報装置106A〜106Cは、上述の洪水発生警報装置2とほぼ同一の構成であり、水を検知するフロートスイッチ手段120、警報ブザー122及び警報ランプ124を備え、上述の洪水発生警報装置2の出力手段60に信号を送信するための送信手段126が接続され、洪水発生警報装置106A〜106Cにて生成された洪水発生信号が送信手段126を介して警報管理センター128のシステム制御手段130に送給される。
【0039】
この形態では、河川102の堤防104に関連して洪水警報装置132が設置され、この洪水警報装置132は、第1〜第3洪水発生警報装置106A〜106Cと実質上同一の構成であり、水検知スイッチ手段(図示せず)が水を検知すると洪水注意信号を生成する。このような洪水警報装置132については、堤防104に高さレベルに対応して複数設置するようにしてもよい。
【0040】
警報管理センター128は、高台134などに設置され、この警報管理センター128に、システムコンピュータなどから構成されるシステム制御手段130が設置される。システム制御手段130は、各種信号を処理する信号処理手段134と、信号処理手段134にて処理された信号に基づいて洪水レベルを判定するレベル判定手段136と、レベル判定手段136による判定レベルに基づいて設置レベル注意信号を生成する注意信号生成手段138と、この判定レベルに基づいて設置レベル洪水発生信号を生成する洪水発生信号生成手段140と、音声情報を選択する音声情報選択手段141と、各種情報が登録された記憶手段142とを備えている。記憶手段142には、例えば、洪水発生のレベルに関するレベル情報が登録されているとともに、洪水発生の注意についての洪水注意情報及び洪水発生の警告についての洪水警報情報に関する音声情報などが登録され、音声情報選択手段141は、記憶手段142に登録された音声情報から設置レベル注意信号及び設置レベル洪水発生信号に対応するものを選択する。
【0041】
このシステム制御手段130に関連して、入力手段144、警報手段146及び受信手段148が設けられている。入力手段144は、音声マイクなどから構成される音声入力手段152を備えている。例えば、注意信号、警報信号が生成されたときに、管理者はこの音声入力手段152を用いて注意情報、避難情報などを知らせることができる。警報手段146は、管理者に警報を発するためのもので、警報ランプ、警報ブザーなどから構成される。受信手段148は、第1〜第3洪水発生警報装置106A〜106Cからの洪水発生信号及び洪水警報装置132からの洪水注意信号を受信し、この受信手段148を介して受信された洪水発生信号及び洪水注意信号がシステム制御手段130にて後述する如く処理される。第1〜第3洪水発生警報装置106A〜106Cからの洪水発生信号及び洪水警報装置132からの洪水注意信号は、図示のように電波などで送るようにしてもよく、或いは有線で送るようにしてもよい。
【0042】
また、このシステム制御手段130に関連して、警報情報出力手段として音声情報出力手段152A,152B,152Cが設けられる。音声情報出力手段152A〜152Cは、例えば、拡声器などから構成され、土地108,112,116などに適宜設置され、システム制御手段130からの洪水注意情報及び洪水警報情報などが送給され、これら洪水注意情報及び洪水警報情報が音声情報出力手段152A〜152Cから出力されて周囲に知らされる。
【0043】
この洪水警報システムでは、河川102の水嵩が増えて水面が上昇して洪水警報装置132の水検知スイッチ手段(図示せず)が水を検知すると、洪水警報装置132が洪水注意信号を生成し、生成された洪水注意信号がシステム制御手段130に送給される。かくすると、信号処理手段134は、この洪水注意信号を所要の通りに処理し、レベル判定手段136は、洪水注意レベルにあると判定し、洪水注意信号生成手段138は設置レベル洪水注意信号(例えば、第1段階の洪水注意信号)を生成する。この洪水注意信号が生成されると、音声情報選択手段141は、生成された洪水注意信号に基づいて、記憶手段142に登録された音声情報から対応する洪水注意の音声情報を選択し、選択された音声情報が音声情報出力手段152A〜152Cから出力され、洪水発生のおそれがある旨の洪水注意情報が周囲に知らされる。
【0044】
また、河川から水が溢れて土地110(又は土地112,116)に洪水が発生すると、第1洪水発生警報装置106A(又はこれに加えて第2洪水発生警報装置106B、第3洪水発生警報装置106C)のフロートスイッチ120が水を検知し、第1洪水発生警報装置106A(又はこれに加えて第2洪水発生警報装置106B、第3洪水発生警報装置106C)が洪水発生信号を生成し、生成された洪水発生信号がシステム制御手段130に送給される。かくすると、信号処理手段134は、この洪水発生信号を所要の通りに処理し、レベル判定手段136は、発生した洪水のレベルを判定する。このとき、レベル判定手段136は、第1洪水発生警報装置106Aからの洪水発生信号を受信したときには洪水が第1洪水レベル(即ち、土地108が浸水状態である)と判定し、第1洪水発生警報装置106A及び第2洪水発生警報装置106Bからの洪水発生信号を受信したときには洪水が第2洪水レベル(即ち、土地112まで浸水状態である)と判定し、また第1洪水発生警報装置106A、第2洪水発生警報装置106B及び第3洪水発生警報装置106Cからの洪水発生信号を受信したときには洪水が第3洪水レベル(即ち、土地116まで浸水状態である)と判定する。
【0045】
そして、第1洪水レベル(又は第2洪水レベル、第3洪水レベル)と判定されると、洪水発生信号生成手段138は、第1〜第3洪水発生警報装置106A〜106Cを設置した土地108,112,116の高さレベルに基づく設置レベル洪水発生信号、この形態では、第1洪水レベル(又は第2洪水レベル、第3洪水レベル)に対応した第1洪水発生信号(又は第2洪水発生信号、第3洪水発生信号)を生成する。
【0046】
この第1洪水発生信号(又は第2洪水発生信号、第3洪水発生信号)が生成されると、音声情報選択手段141は、生成された第1洪水発生信号(又は第2洪水発生信号、第3洪水発生信号)に基づいて、記憶手段142に登録された音声情報から対応する第1洪水レベル(又は第2洪水レベル、第3洪水レベル)の音声情報を選択し、選択された音声情報が音声情報出力手段152A〜152Cから出力され、第1レベル(又は第2レベル、第3レベル)の洪水が発生した旨の洪水発生情報が周囲に知らされる。
【0047】
尚、上述した実施形態では、洪水発生警報装置106A〜106Cに加えて洪水警報装置132が設けられているが、このような構成に限定されず、洪水警報装置132については省略することもできる。
【0048】
〔洪水発生警報装置の変形形態〕
次に、図6を参照して、洪水発生警報装置の変形形態について説明する。この変形形態においては、副回路部に関連して、携帯用照明装置が設けられている。尚、この変形形態において、図1〜図3に示す実施形態と実質上同一の構成要素には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0049】
図6において、この変形形態の洪水発生警報装置では、副回路部42Aに、第2セットリレー54及び警報ブザー28(及び第2セットリレー56及び警報ランプ26)に電気的に並列に第3セットリレー202が設けられている。作動リレー48がオン状態になると、第2セットリレー54,56とともに第3セットリレー202もオン状態となる。
【0050】
この第3セットリレー202に関連して携帯用照明装置204が設けられ、図示の携帯用照明装置204は、警報ブザー206及び照明用LED208を備えている。この形態では、携帯用照明装置204の照明回路部210は、電池の如き電源212を備え、この電源212に照明用LED208及び照明用スイッチ212が電気的に直列に接続されている。従って、照明用スイッチ212をオン状態及びオフ状態にすることによって、照明用LED208が点灯及び消灯する。
【0051】
また、この照明回路部210には、警報ブザー206、補助スイッチ手段214及びリレースイッチ手段216が、照明用LED208及び照明用スイッチ212に対して電気的に並列に設けられている。リレースイッチ手段216は、電気コード218などを介して洪水発生警報装置の副回路部42Aに電気的に接続可能に構成され、副回路部42Aに電気コード218を介して電気的に接続された状態においては、第3セットリレー202がオン状態になると、このリレースイッチ手段216がオン状態になり、またこの電気コード218を外すと、リレースイッチ手段216はオフ状態になる。
【0052】
この携帯用照明装置204を備えた洪水発生警報装置においては、水検知スイッチ手段2が洪水の水を検知してオン状態になると、上述したと同様にして第1セットリレー52が付勢されてオン状態となって作動リレー48の付勢状態が保持され、また第2セットリレー54,56が付勢されてオン状態となり、警報ブザー28及び警報ランプ26が作動され、更に第3セットリレー202が付勢されてオン状態となる。第3セットリレー202がオン状態となると、電気コード218を介してリレースイッチ手段218がオン状態となり、電源212からの電力がリレースイッチ手段216及び補助スイッチ手段214を介して警報ブザー206に送給され、この警報ブザー206が作動され、この携帯用照明装置204を警報手段としても機能させることができる。また、警報ブザー206が作動するので、携帯用照明装置204の置き場所を容易に知ることができる。尚、補助スイッチ手段214をオフ状態にする、或いは電源コード218を外してリレースイッチ手段216をオフ状態にすると、警報ブザー206への電力供給が遮断されてその作動が停止する。
【0053】
電源コード218を外すことによって、携帯用照明装置204を持って移動することが可能となる。そして、照明用スイッチ212をオン状態にすると、照明用LED208が点灯し、避難時の携帯用照明として好都合に用いることができる。
【0054】
上述した形態では、補助スイッチ手段214を設けているが、警報ブザー206の作動停止を電気コード218を外すことによってのみ行うようにする場合、この補助スイッチ手段214を省略することができる。
【0055】
また、上述した形態では、リレースイッチ手段216がオン状態になったときに警報ブザー206のみ作動させているが、このような構成に代えて、又はこのような構成に加えて、照明用LED208を点灯させて携帯用照明装置208の置き場所をよりわかりやすくするようにしてもよい。
【0056】
以上、本発明に従う洪水発生警報装置及びこれを備えた警報発生警報システムの実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【符号の説明】
【0057】
2 水検知スイッチ手段
4,4A,4B 警報手段
10,120 フロートスイッチ手段
26,124 警報ランプ
28,122,206 警報ブザー
32 音声警報装置
38 制御回路
40 主回路部
42,42A 副回路部
48 作動リレー
50 リセットリレー
52 第1セットリレー
54,56,58,62 第2セットリレー
106A,106B,106C 洪水発生警報装置
130 システム制御手段
136 レベル判定手段
138 注意信号生成手段
140 洪水発生信号生成手段
202 第3セットリレー
204 携帯用照明装置
208 照明用LED
216 リレースイッチ手段












【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を検知する水検知スイッチ手段を備えた主回路部と、警報を発する警報手段を備えた副回路部とを具備しており、前記主回路部には、前記水検知スイッチ手段に電気的に直列に作動リレーが配設されているとともに、前記水検知スイッチ手段に電気的に並列に第1セットリレーが配設されており、また前記副回路部には、前記警報手段に電気的に直列に第2セットリレーが配設されており、
前記水検知スイッチ手段が水を検知してオン状態になると、前記作動リレーが付勢されて前記第1及び第2セットリレーが付勢され、前記第1セットリレーの付勢によって、前記作動リレーが付勢状態に保持され、前記第2セットリレーが付勢されることによって、前記警報手段が作動されることを特徴とする洪水発生警報装置。
【請求項2】
前記主回路部には、前記作動リレーに電気的に直列にリセットスイッチ及びリセットリレーが配設されており、前記リセットスイッチをオフ状態にすると、前記リセットリレーが除勢状態となって前記作動リレーが除勢され、これによって、前記第1及び第2セットリレーが除勢されることを特徴とする請求項1に記載の洪水発生警報装置。
【請求項3】
前記水検知スイッチ手段は、水面の上昇によって上方に移動するフロートを備えたフロートスイッチ手段から構成され、前記フロートが所定レベルまで上昇すると、前記フロートスイッチ手段がオン状態となることを特徴とする請求項1又は2に記載の洪水発生警報装置。
【請求項4】
前記副回路部に関連して、携帯用照明装置が設けられ、前記携帯用照明装置の照明回路部にリレースイッチ手段及び警報手段が電気的に直列に設けられ、また前記副回路部に第3セットリレーが設けられており、前記水検知スイッチ手段が水を検知してオン状態になると、前記作動リレーが付勢されて前記第1及び第2セットリレー並びに前記第3セットリレーが付勢され、前記第3セットリレーにより前記リレースイッチ手段がオン状態となって、前記携帯用照明装置の前記警報手段が作動されることを特徴とする請求項1に記載の洪水発生警報装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の洪水発生警報装置と、前記洪水発生警報装置からの洪水発生信号を受信するシステム制御手段と、警報情報を出力する警報情報出力手段とを備え、前記洪水発生警報装置は、土地の高さレベルに対応して複数設置され、前記システム制御手段は、前記洪水発生警報装置からの洪水発生信号に基づいてその洪水発生警報装置の設置された設置高さレベルに基づいた設置レベル洪水発生信号を生成し、生成した前記設置レベル洪水発生信号に対応した設置レベル洪水情報を選択し、選択された前記設置レベル洪水情報が前記警報情報出力手段から出力されることを特徴とする洪水発生警報システム。













【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−109558(P2013−109558A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253701(P2011−253701)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(504350050)有限会社テックオカザキ (6)
【出願人】(511282623)株式会社リード・ガイロビカ (1)
【Fターム(参考)】