説明

活動量計及び当該活動量計を用いた健康管理システム

【課題】歩行・走行による消費カロリと、歩行・走行以外の運動や日常作業等での消費カロリとを、正確に判別して測定することにより、活動量の測定精度を高めることができる活動量計及び当該活動量計を用いた健康管理システムを提供する。
【解決手段】体動信号Tsと個人データKdとから活動消費カロリデータを算出する活動量計において、歩行・走行消費カロリデータを算出する歩行・走行消費カロリ算出手段4と、非歩行・走行消費カロリデータを算出する非歩行・走行消費カロリ演算手段5と、歩行・走行消費カロリデータと非歩行・走行消費カロリデータとから活動消費カロリデータを算出する活動消費カロリ算出手段6とを備えた。活動量計1に近距離通信手段8を設けて活動消費カロリデータ等をパーソナルコンピュータ50等に送信できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歩行・走行による消費カロリと歩行・走行以外の運動や日常作業等での消費カロリとを、正確に判別して測定することにより活動量の測定精度を高めるようにした活動量計及び当該活動量計を用いた健康管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイエットや生活習慣病予防のため、1日の総消費カロリを測定する製品が上市されており、このための技術が例えば、後述の特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に示された従来技術は、人に装着された加速度検出手段の、重力方向の加速度と、水平方向の加速度と、各加速度のノルムとから行動シーンを判定するようにしたものである。
【0004】
次に、図4を使用して特許文献1に示された従来技術の概略を説明する。
【0005】
図4は特許文献1に開示された歩数計のブロック図であり、人体に装着され重力方向および水平方向の加速度を検出する加速度検出手段100と、加速度検出手段100により得られた加速度に基づき人の行動シーンを判定する行動シーン判定手段200と、行動シーン判定手段200による判定結果に基づいて加速度検出手段100により得られた加速度から活動量を算出する活動量算出手段300とを備え、行動シーン判定手段200は、加速度検出手段100により得られた重力方向の加速度と水平方向の加速度との比率と、加速度検出手段100により得られた各加速度をベクトル成分とするノルムとに基づき人の行動シーンを判定するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−246181公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に示された従来技術においては、装着者の行動シーンの違いを活動量にある程度反映させることができるとしても、例えば、なわ跳びや、いわゆるランニングマシンなど、上下動が中心の運動等では重力方向に比べ水平方向の加速度が小さくなるので、活動シーンの判定が不正確になり、正確な活動量を測定することは困難であった。
【0008】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、歩行・走行による消費カロリと、歩行・走行以外の運動や日常作業等での消費カロリとを、正確に判別して測定することにより、活動量の測定精度を高めることができる活動量計及び当該活動量計を用いた健康管理システムを提供することにある。
【0009】
なお以下の説明において、活動消費カロリとは、体の全ての動きによる消費カロリ(単位はkcal)と定義する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の構成を詳述すれば、請求項1に係る発明は、体動検出手段と、個人データ入力手段と、前記体動検出手段が出力する体動信号と前記個人データ入力手段が出力する個人データとから歩行・走行諸データと歩行・走行消費カロリデータを算出する歩行・走行消費カロリ算出手段と、前記体動信号と前記個人データとから非歩行・走行消費カロリデータを算出する非歩行・走行消費カロリ演算手段と、前記歩行・走行消費カロリデータと前記非歩行・走行消費カロリデータとから活動消費カロリデータを算出する活動消費カロリ算出手段と、前記個人データから基礎代謝量データを算出する基礎代謝量算出手段と、前記基礎代謝量データと前記活動消費カロリデータとから総消費カロリデータを算出する総消費カロリ算出手段と、を備えたことを特徴とする活動量計である。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記歩行・走行消費カロリ算出手段は、前記体動信号と前記個人データとから前記歩行・走行諸データと前記歩行・走行消費カロリデータを算出する歩行・走行消費カロリ算出部と、前記歩行・走行諸データに基づき前記非歩行・走行消費カロリ演算手段の動作を制御する非歩行・走行演算制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の活動量計である。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、前記非歩行・走行消費カロリ演算手段は、前記体動信号を入力して前記非歩行・走行消費カロリデータを算出する非歩行・走行消費カロリ演算部と、前記個人データに基づき前記非歩行・走行消費カロリデータを補正する非歩行・走行消費カロリ補正手段と、を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の活動量計である。
【0013】
さらに、請求項4に係る発明は、ISO/1EC18092に定められた技術基準に基づく近距離通信手段を備えた請求項1ないし3のいずれかに記載の活動量計と、パーソナルコンピュータまたは通信端末とから構成した健康管理システムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の活動量計によれば、歩行・走行による消費カロリと歩行・走行以外の運動や、日常作業等での消費カロリとを正確に判別して測定し、さらに基礎代謝量を含めた総消費カロリを算出することが可能であって、パーソナルコンピュータや各種データ端末によって健康管理が可能な活動量計が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る活動量計の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る活動量計とパーソナルコンピュータで構成した健康管理システムの構成を示す外観図である。
【図3】本発明に係る活動量計の回路構成図である。
【図4】従来の活動量計の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る活動量計は、体動信号の中の重力方向の成分の信号から歩行・走行の運動の消費カロリを算出し、体動信号の中の水平方向の成分の信号から歩行・走行以外の運動の消費カロリを演算し、これら2つの消費カロリから活動消費カロリを算出し、さらに個人データに基づき基礎代謝量を加えて総消費カロリを算出し、これを表示するようにしたものである。
【実施例】
【0017】
以下、図1から図3を用いて本発明の活動量計の実施例を説明する。
[ブロック図構成説明]
図1を用いて活動量計1の構成を説明する。
【0018】
図1において、本発明の活動量計1は、体動検出手段2と、個人データ入力手段3と、歩行・走行消費カロリ算出手段4と、非歩行・走行消費カロリ演算手段5と、活動消費カロリ算出手段6と、総消費カロリ算出手段61と、基礎代謝量算出手段62と、表示手段7と、近距離通信手段8と、電源9とから構成される。
【0019】
さらに歩行・走行消費カロリ算出手段4は、歩行・走行消費カロリ算出部41と、非歩行・走行演算制御手段42とから構成され、非歩行・走行消費カロリ演算手段5は非歩行・走行消費カロリ演算部51と非歩行・走行消費カロリ補正手段52とから構成される。
【0020】
なお、説明のため、図1には後述するパーソナルコンピュータのリーダライタ90と通信用媒体である交流磁界Mとを破線で示してある。
【0021】
体動検出手段2は、互いに直交するxyz3方向の加速度を検出する3D加速度センサであり、使用者の重力方向や水平方向の動きを検出し、体動信号Tsとして出力する。なお体動信号Tsは、xyz毎の成分信号Tsx、Tsy、Tszで構成される。
【0022】
個人データ入力手段3は個人データKdを入力するためのものである。なお、個人データKdとは、年令Yと、性別Gと、身長Hと、体重Wであるが、日付・時間などの、カレンダ情報を含めることが可能である。
【0023】
歩行・走行消費カロリ算出手段4は、使用者の体動信号Tsの中の、重力方向の成分である例えばy成分信号Tsyを所定の手順で解析し、歩行・走行消費カロリデータScと歩数や歩行距離やメッツ(METs)で構成する歩行・走行諸データHdとを算出する歩行・走行消費カロリ算出部41と、歩行・走行諸データHdに基づき非歩行・走行消費カロリ演算手段5に、非歩行・走行消費カロリ演算手段5の動作を制御するための非歩行・走行演算制御信号Hsを出力する非歩行・走行演算制御手段42とから構成される。
【0024】
歩行・走行消費カロリ算出部41は、体動信号Tsの重力方向の、例えばy成分信号Tsyの変化が予め定められた大きさを上回ったらその回数を使用者の歩数または走行数として累積加算し、同時に身長から換算した歩幅を用いて歩行・走行距離や、歩行・走行消費カロリ算出部41に備えられた計時手段(図示せず)によって歩行速度を算出し、歩行・走行消費カロリ算出部41に備えられたメモリ(図示せず)に記憶するとともに、表示手段7と近距離通信手段8とに出力する。
【0025】
また、歩行・走行消費カロリ算出部41は、個人データKdと体動信号Tsとから使用者の歩数と歩行・走行消費カロリ算出部41に内蔵された計時手段(図示せず)とから、歩行・走行に係る消費カロリを歩行・走行消費カロリデータScとして出力する。
【0026】
非歩行・走行演算制御手段42は、歩行・走行消費カロリ算出部41が算出する歩行・走行諸データHdを入力し、歩行・走行諸データHdが「既定の条件」を満たすと、非歩行・走行演算制御信号Hsを非歩行・走行消費カロリ演算手段5に入力して非歩行・走行消費カロリ演算手段5に「所定の動作」を行わせる。
【0027】
本実施例では「既定の条件」として、使用者が1分間の歩数が100〜160の歩行・走行を10分以上継続し、かつ歩行・走行の際に生じる重力方向の例えばy成分信号Tsyが0.1重力加速度以上のとき、「所定の動作」として非歩行・走行演算停止信号Hssを非歩行・走行消費カロリ演算手段5に入力して、非歩行・走行消費カロリ演算手段5の停止を行い、上記以外の場合は非歩行・走行消費カロリ演算手段5を動作させるようにした。
【0028】
なお、「既定の条件」として、使用者が1分間の歩数が60〜200の歩行・走行を5分以上継続し、かつ歩行の際に生じる重力方向例えばy成分信号Tsyが0.15重力加速度以上のとき、「所定の動作」として非歩行・走行消費カロリ演算手段5の停止を行うようにする事も可能である。
【0029】
以上の「既定の条件」として記載した数値と、「所定の動作」とは、これらに限るものではなく、使用者の特性や活動量計1の使用目的に応じて任意に設定することができるのは云うまでもない。
【0030】
非歩行・走行消費カロリ算出手段5は、使用者の体動信号Tsの中の水平成分である例えばx,z成分信号Tsx,Tszを入力し、後述する手順で解析し、非歩行・走行消費カロリデータHcを演算する非歩行・走行消費カロリ演算部51と、個人データKdに基づき非歩行・走行消費カロリ演算手段51に非歩行・走行データ補正信号Asを出力する非歩行・走行消費カロリ補正手段52とから構成される。
【0031】
非歩行・走行消費カロリ演算部51は、使用者の体動信号Tsの中の水平成分である例えばx成分信号Tsxおよび、z成分信号Tszの各々の振幅を評価し、どちらか一方が所定の閾値を超えると1有効カウントとし、両方が所定の閾値を超えると2有効カウントとし、1有効カウントを0.03kcalに換算し、非歩行・走行消費カロリデータHcとして出力する。
【0032】
さらに詳細には、非歩行・走行消費カロリ演算部51は、水平成分である例えばx成分信号Tsxおよびz成分信号Tszの振幅の評価に当たって、例えばx成分信号Tsxが所定の閾値を超えたことが評価されると、それ以降の「決められた所定区間」(実施例では0.4秒)は、x成分信号Tsxの再評価を禁止する。
【0033】
また、「決められた所定区間」の後であっても、例えばx成分信号Tsxが、決められた基準値(実施例では相対値で0)を通過しなければ、たとえ所定の閾値を超えたとしても1有効カウントとはしない。
【0034】
また、非歩行・走行消費カロリ演算部51は、使用者の歩行が「既定の条件」に当てはまらない場合、例えば1分間の歩数が100〜200であっても定められた歩数以上継続して歩行または走行しなかった場合は、この定められた歩数以下の歩数を、体動信号Tsの水平成分である例えばx成分信号Tsxまたはz成分信号Tsと同等の有効カウントとして非歩行・走行消費カロリデータに加算する。
【0035】
非歩行・走行消費カロリ補正手段52は、個人データKdに基づき非歩行・走行データ補正信号Asを出力し、非歩行・走行消費カロリ演算部51に入力して、非歩行・走行消費カロリデータHcを補正する。
【0036】
実施例においては、非歩行・走行データ補正信号Asとは、個人データKdの体重W(Kg)と身長H(cm)に応じて、Hc=Hco×(α+β)/2、の様に非歩行・走行消費カロリデータHcを、補正係数αおよびβで補正するための補正式である。
【0037】
ただし、Hcoは補正する前の非歩行・走行消費カロリデータHcであり、α=W/Wo、βH/Hoであり、Wo、Hoはともに予め定められた定数で、実施例ではWo=60(kg)、Ho=170(cm)である。なお補正式は、これに限らず他の数式でもよいのは勿論である。
【0038】
活動消費カロリ算出手段6は、歩行・走行消費カロリデータScと非歩行・走行消費カロリデータHcとから、〔式1〕に基づき活動消費カロリデータWtを出力する。
【0039】
〔式1〕
Wt=Sc+Hc
【0040】
基礎代謝量算出手段62は個人データKdに基づき基礎代謝量データKtを算出する。さらに詳細には、個人データKdの年齢Yと性別Gとから基礎代謝量基準値テーブルで基礎代謝量基準値を参照し、身長Hと体重Wとから体表面積テーブルで体表面積を参照し、基礎代謝基準値と体表面積を乗算して基礎代謝量を求める方法が一般に知られており、本発明においてもこの方法を利用することが出来る。
【0041】
総消費カロリ算出手段61は、活動消費カロリデータWtと基礎代謝量データKtとから〔式2〕に基づき、食餌排泄に係わる消費カロリとして知られている食事誘発性熱産生St(図示せず)を算出したのち、〔式3〕に基づき総活消費カロリデータSdを算出し、表示手段7と近距離通信手段8に入力する。
【0042】
〔式2〕
St=0.11(Wt+St)
【0043】
〔式3〕
Sd=Wt+Kt+St
【0044】
表示手段7は、総消費カロリデータSdと歩行・走行諸データHdと日付などの時刻情報とを表示する。
近距離通信手段8は、ISO/1EC18092に定められた技術基準に基づく通信手段であって、後述するパーソナルコンピュータ50のリーダライタ90が発する通信用磁界Wを、活動量計1の近距離通信手段8に内蔵された磁気変調手段(図示せず)によってデータを送受信する機能を有している。
【0045】
この方式は外部に能動的な電磁波を発生することがないため、使用者に与える影響が少なく、消費電力も少ない。
電源9は、活動量計1を駆動するボタン電池である。
【0046】
[動作説明]
次に、図1および図2を用いて活動量計1の動作を説明する。
図2は、活動量計1とパーソナルコンピュータ50およびリーダライタ90とから構成される健康管理システムの構成を示す外観図である。
【0047】
図1において、使用者は個人データ入力手段3を用いて、年令Y、性別G、身長Hおよび体重Wからなる個人データKdを入力する。
【0048】
図示していないが、使用者は予め個人データを入力したのち、活動量計1を例えば胸や腰のポケットなどに収納し、歩行やジョギングなどの運動や、家事など活動を行う。
【0049】
使用者が活動を始めると、図1に示す様に、体動検出手段2は体動信号Tsを出力し、歩行・走行消費カロリ算出手段4の歩行・走行消費カロリ算出部41は体動信号Tsの重力方向の、例えばy成分信号Tsyと個人データKdとから、歩数などの歩行諸データHdおよび歩行消費カロリデータを算出する。
【0050】
また、非歩行・走行消費カロリ演算手段5の非歩行・走行消費カロリ演算部51は、体動信号Tsの水平方向のx成分信号Tsxとz成分信号Tszによる有効カウント数と非歩行・走行消費カロリ補正手段52からの非歩行・走行データ補正信号Asとから、非歩行・走行消費カロリデータHcを演算し活動消費カロリ算出手段6に入力する。
【0051】
使用者が歩き始め、歩行・走行消費カロリ算出部41が出力する歩行諸データHdが、前述した「既定の条件」に当てはまると、歩行・走行消費カロリ算出手段4の非歩行・走行演算制御手段42は、「所定の動作」として、例えば非歩行・走行消費カロリ演算手段5の動作を停止する非歩行・走行演算停止信号Hssを出力する。それ以外では、非歩行・走行演算制御手段42は、歩行・走行演算停止信号Hssを出力しない。
【0052】
活動消費カロリ算出手段6は、歩行・走行消費カロリデータScと非歩行・走行消費カロリデータHcとを合算して、使用者の活動に基づく活動消費カロリデータWtを出力し、図示していないがメモリに記憶するとともに総消費カロリ算出手段61に入力する。また基礎代謝量算出手段62は、個人データKdが設定されると基礎代謝量データKtを算出し、図示していないがメモリに予め記憶する。
【0053】
総消費カロリ算出手段61は、入力された活動消費カロリデータWtとメモリに記憶された基礎代謝量データKtと、さらに活動消費カロリデータWtと基礎代謝量データKtとから食事誘発性熱産生データStを算出し、さらにこれらを合算して総消費カロリデータSdを算出し、図示していないがメモリに記憶するとともに表示手段7と近距離通信手段8に入力する。
【0054】
使用者の活動が終了すると、図2に示す様に使用者は活動量計1をパーソナルコンピュータ50のリーダライタ90に近づける。すると図1に示す近距離通信手段8によって、リーダライタ90を経由しパーソナルコンピュータ50に、総消費カロリデータSdと歩行・走行諸データHdが送信され、パーソナルコンピュータ50が備えたアプリケーションプログラムで送られたデータ類の解析や管理が行われる。
【0055】
図3を用い、図1を併用して本発明の活動量計1の回路構成を説明する。
図3において、活動量計1は体動検出手段2である3D加速度センサ21と、マイクロプロセッサ10と、個人データ入力手段3としての設定スイッチ31と、メモリ11と、表示手段7としての液晶表示器71と、近距離通信手段8とから構成される。
【0056】
3D加速度センサ21は複数の圧電素子や接点式振動センサ、あるいはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)型加速度センサなどで構成し、体動信号Tsを検出してマイクロプロセッサ10に入力する。設定スイッチ31は、個人データKdを設定するためのスイッチで構成されている。
【0057】
マイクロプロセッサ10は、活動量計1の全体の動作を制御すると共に、体動信号Tsと個人データKdとから総消費カロリデータSdと歩行・走行諸データHdとを出力する。
【0058】
なお、マイクロプロセッサ10は、図1に示す歩行・走行消費カロリ算出手段4と、非歩行・走行消費カロリ演算手段5と、活動消費カロリ算出手段6と、総消費カロリ算出手段61と、基礎代謝量算出手段62とを、ソフトウエアモジュールの形態で有している。
【0059】
メモリ11は、EEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性記憶素子により構成され、総消費カロリデータSd、歩行・走行諸データHd、日付などカレンダ情報の他、使用者の個体識別番号を記憶する。
【0060】
近距離通信手段8は、実施例では約13メガヘルツの交流磁界Mを媒体にして総消費カロリデータSdと歩行・走行諸データHdや日付などカレンダ情報および使用者の個体識別番号を、リーダライタ90を通じてパーソナルコンピュータ50に送信する。
【0061】
近距離通信手段8は、実施例の近距離通信方式以外に、例えば情報機器の端末機器として知られているブルートゥース送受信器や、微弱電力型無線通信装置などを用いることも可能である。
【0062】
以上のように、本発明に係る活動量計によれば、体動信号の中の重力方向の成分の信号から歩行・走行の運動の消費カロリを算出し、体動信号の中の水平方向の成分の信号から歩行・走行以外の活動の消費カロリを演算し、これら2つの消費カロリから活動消費カロリを算出し、さらに個人データに基づき基礎代謝量を加えて総消費カロリを算出・表示することができる。さらに、この活動量計は、電磁波を発生しない方式の近距離通信方式を採用しているので、ペースメーカを装着した使用者にも安全な活動量計を提供することができる。
【符号の説明】
【0063】
1:活動量計
2:体動検出手段
21:3D加速度センサ
3:個人データ入力手段
31:設定スイッチ
4:歩行・走行消費カロリ算出手段
41:歩行・走行消費カロリ算出部
42:非歩行・走行演算制御手段
5:非歩行・走行消費カロリ演算手段
51:非歩行・走行消費カロリ演算部
52:非歩行・走行消費カロリ補正手段
6:活動消費カロリ算出手段
61:総消費カロリ算出手段
62:基礎代謝量算出手段
7:表示手段
71:液晶表示器
8:近距離通信手段
9:電源
10:マイクロプロセッサ
11:メモリ
50:パーソナルコンピュータ
90:リーダライタ
100:加速度検出手段
200:行動シーン判定手段
300:活動量算出手段
400:表示手段
500:記憶手段
Kd:個人データ
M:交流磁界
Ts:体動信号
Sd:総消費カロリデータ
Sc:歩行・走行消費カロリデータ
Hc:非歩行・走行消費カロリデータ
Hd:歩行・走行諸データ
Wt:活動消費カロリデータ
As:非歩行・走行データ補正信号
Hs:非歩行・走行演算制御信号
Hss:非歩行・走行演算停止信号
Tsx:x成分信号
Tsy:y成分信号
Tsz:z成分信号
Kt:基礎代謝量データ
St:食事誘発性熱産生データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体動検出手段と、個人データ入力手段と、前記体動検出手段が出力する体動信号と前記個人データ入力手段が出力する個人データとから歩行・走行諸データと歩行・走行消費カロリデータを算出する歩行・走行消費カロリ算出手段と、前記体動信号と前記個人データとから非歩行・走行消費カロリデータを算出する非歩行・走行消費カロリ演算手段と、前記歩行・走行消費カロリデータと前記非歩行・走行消費カロリデータとから活動消費カロリデータを算出する活動消費カロリ算出手段と、前記個人データから基礎代謝量データを算出する基礎代謝量算出手段と、前記基礎代謝量データと前記活動消費カロリデータとから総消費カロリデータを算出する総消費カロリ算出手段と、を備えたことを特徴とする活動量計。
【請求項2】
前記歩行・走行消費カロリ算出手段は、前記体動信号と前記個人データとから前記歩行・走行諸データと前記歩行・走行消費カロリデータを算出する歩行・走行消費カロリ算出部と、前記歩行・走行諸データに基づき前記非歩行・走行消費カロリ演算手段の動作を制御する非歩行・走行演算制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の活動量計。
【請求項3】
前記非歩行・走行消費カロリ演算手段は、前記体動信号を入力して前記非歩行・走行消費カロリデータを算出する非歩行・走行消費カロリ演算部と、前記個人データに基づき前記非歩行・走行消費カロリデータを補正する非歩行・走行消費カロリ補正手段と、を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の活動量計。
【請求項4】
ISO/1EC18092に定められた技術基準に基づく近距離通信手段を備えた請求項1ないし3のいずれかに記載の活動量計と、パーソナルコンピュータまたは通信端末と、から構成した健康管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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