説明

活動量計

【課題】必要とされるメモリ容量を少なくしながら、活動量の履歴を精度よく提示する。
【解決手段】活動量計は、被測定者の身体の活動量を定期的に取得する活動量取得部112と、単位期間に対応した活動量を記憶可能な容量を有するFIFOに従う第1メモリと、活動量取得部112によって定期的に取得される活動量を逐次入力し、入力する活動量を第1メモリに格納する第1格納部113と、第1メモリから、単位期間における定期毎の活動量のうちから最大活動量を抽出する最大抽出部114と、抽出された最大活動量を、その後の表示のために、当該最大活動量が取得された時間と関連付けて第2メモリに格納する第2格納部115と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、身体活動量を測定し測定値を記憶する活動量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、健康維持のために日々の活動量または歩数を計測する活動量計または歩数計が広く普及している。
【0003】
従来の活動量計および歩数計は、加速度センサを利用して計測し、計測データを表示する機能を提供する。これにより、使用者は、日々の行動を振り返ることができ生活改善の動機付けがされる。たとえば、特開2006−204446号公報(特許文献1)の活動量計は、1時間毎の計測値を表示する。また、特開2004−121562号公報(特許文献2)の装置は、活動データを1分間隔で記憶部に格納し、この1分よりも長い間隔(たとえば、10分)でカレンダデータを格納し、カレンダデータを手掛かりに活動データを集計し、表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−204446号公報
【特許文献2】特開2004−121562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2006−204446号公報(特許文献1)のように、1時間毎の計測値を表示する場合には、それよりも細かい区切り時間で計測値を表示することはできず、使用者は、日々の行動を細かく振り返ることができない。
【0006】
また、特開2004−121562号公報(特許文献2)の装置は、1分単位で活動データを格納することから、大きなサイズの記憶容量が必要となり、装置自体のコストアップとなる。
【0007】
それゆえに本発明の目的は、必要とされるメモリ容量を少なくしながら、活動量の履歴を精度よく提示する活動量計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面に従う活動量計は、被測定者の身体の活動量を定期的に取得する活動量取得手段と、単位期間に対応した活動量を記憶可能な容量を有するFIFOに従う第1メモリと、活動量取得手段によって定期的に取得される活動量を逐次入力し、入力する活動量を第1メモリに格納する第1格納手段と、第1メモリから、単位期間における定期毎の活動量のうちから最大活動量を抽出する最大抽出手段と、抽出された最大活動量を、その後の表示のために、当該最大活動量が取得された時間と関連付けて第2メモリに格納する第2格納手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、FIFOに従う第1メモリを用いることで必要とされるメモリ容量を少なくしながら、単位期間毎の最大活動量を用いることで活動量の履歴を精度よく表示する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る活動量計の外観図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る活動量計の使用状態の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る活動量計の活動量計のブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る活動量計の機能構成図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るバッファの記憶内容の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るメモリの記憶内容の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る処理フローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る処理フローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置のブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るデータ処理装置の機能構成図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るグラフの表示例を説明するための図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るグラフの表示例を説明するための図である。
【図13】本発明の実施の形態に係るグラフの表示例を説明するための図である。
【図14】本発明の実施の形態に係るグラフの表示例を説明するための図である。
【図15】本発明の実施の形態に係るグラフの表示例を説明するための図である。
【図16】本発明の実施の形態に係るグラフの表示例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る活動量計について、図面を参照しつつ説明する。図中、同一の部品および構成要素には同一の符号を付す。
【0012】
本実施の形態では、被測定者の活動量として身体の活動強度を指す指標であるMETs(METs:Medical Evangelism Training & Strategies)を用いる。METsとは、身体活動の強さを、安静時の何倍に相当するかで表す単位であり座って安静にしている状態が1METs、普通歩行が3METsに相当する。
【0013】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る活動量計1は、本体部191と、クリップ部192とを備える。クリップ部192は、活動量計1を被測定者の着衣などに固定するために設けられている。本体部191には、後述する操作部18の一部を構成するスイッチ111〜113および表示部20に相当するディスプレイが設けられている。
【0014】
本実施の形態では、表示部20は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成されることとするが、これに限定されず、EL(Electro Luminescence)など他の種類のディスプレイであってもよい。
【0015】
図2には、活動量計1の使用状態の一例が示される。図2を参照して、活動量計1は、たとえば、被測定者の腰部のベルトに、クリップ部192を用いて装着される。なお、図2に示された態様に限定されず、活動量計1は、被測定者の体の他の部分に装着されて用いられてもよいし、被測定者が持ち歩く鞄等に入れて所持して用いられるように設計されてもよい。
【0016】
図3を参照して、活動量計1は、制御部10と、比較的にメモリ容量の大きいメモリ15と、加速度センサ16と、活動量計1の各部に電力を供給するための電池などからなる電源部17と、操作部18と、音声を出力するための音声出力部19と、表示部20と、データ処理装置30を含む各種の外部装置と通信するための通信部21と、計時して時間データを出力するタイマ22と、を備える。
【0017】
活動量計1では、加速度センサ16は、歩行や走行などの身体運動による加速度を検出するために設けられている。加速度センサ16は、互いに直交する3方向(X、Y、Z)の加速度を検出可能な3軸加速度センサである。活動量計1が所定の装着態様で被測定者に装着されると、加速度センサ16が、第1の方向(図2に示された装着状態であれば、垂直方向(上下方向))と第2および第3の方向(図2に示された装着状態であれば、水平2方向(前後方向および左右方向))の3方向の加速度を検出可能な姿勢をとる。加速度センサ16としては、静電容量型センサ、圧電型センサなど、どのような原理のセンサであっても、利用可能である。
【0018】
制御部10は、マイコン(マイクロコンピュータ)などで構成されるもので、予め記憶されたプログラムに従って、歩数の計測、判定基準の設定、歩行ピッチ(周期)や歩幅の算出、歩行や走行などの身体運動についての活動量に係る各種演算処理、および、表示部20および音声出力部19を含む各部の制御などを実行する機能を担っている。
【0019】
具体的には、制御部10は、CPU(Central Processing Unit)11と、バッファ(図中は、BFと略す)13を有するメモリ12と、外部と入出力するためのインターフェイス14と、を備える。バッファ13はメモリ15に比較しメモリ容量が小さい記憶部であり、たとえば揮発性の記憶部からなる。メモリ12では、バッファ13に活動量の計測結果が格納され、他の領域には活動量計1を制御するためのプログラム・データが格納される。
【0020】
操作部18、歩数のリセット、各種設定値の入力、表示の切り替えなど各種指示を入力するために被測定者により操作されるスイッチ111〜113を含む。
【0021】
通信部21は、携帯電話を含む携帯端末、家庭内または医家のコンピュータなどのデータ処理装置30、健康機器(血圧計、体脂肪計など)を含む外部装置と無線通信または有線通信でデータを送受信するための外部インターフェイスである。たとえば、歩数・活動量の計測結果などを外部機器へ送信する。
【0022】
メモリ15は、各種設定値、歩数、目標活動量、被測定者に関する情報(性別、年齢、体重、身長などを含む身体情報)などのデータを記憶する記憶媒体である。
【0023】
図4を参照して、CPU11は機能として、操作部18を介して入力した被測定者の操作を受付けるための操作受付部111と、加速度センサ16からの出力に基づき活動量である活動強度を取得するための活動量取得部112と、活動量取得部112によって取得された活動強度をバッファ13に格納するための第1格納部113とを備える。さらに、バッファ13から読出したデータに基づき活動強度の最大値を抽出するための最大抽出部114と、最大抽出部114によって抽出された最大の活動強度をメモリ15に格納するための第2格納部115とを備える。さらに、最大抽出部114から、抽出された活動強度の最大値を入力し、通信部21を介してデータ処理装置30に転送(送信)するための転送部116と、操作受付部111が受付けた操作に基づきメモリ15またはバッファ13からデータを読出し、表示データに加工(生成)し、加工した表示データを表示部20に表示するための表示処理部117を含む。ここでは、活動強度の特徴を最もよく表すとして最大値を抽出している。
【0024】
図4に示す各機能はプログラムにより、またはプログラムと回路との組合せにより構成される。プログラムは、予めメモリ12に格納されて、CPU11がプログラムをメモリ12から読出し、プログラムの命令を実行することにより各部の機能が実現される。
【0025】
図5には、本実施の形態に係るバッファ13の記憶内容の一例が示される。バッファ13には、活動量取得部112により取得される活動強度のデータがレコードR1の単位で格納される。レコードR1は、活動強度と、当該活動強度が取得(算出)された時間であって、タイマ22により計時された時間とが対応付けされて格納される。本実施の形態では、バッファ13に必要とされるメモリ容量は、単位期間(たとえば10分間)において取得された活動強度のレコードR1を格納することができる容量であればよい。
【0026】
本実施の形態では、バッファ13は、FIFO(First-In/First-out)メモリの構造を有し、FIFOに従ってレコードR1の書込み・読出しが行われる。つまり、レコードR1は、その時間のデータに基づき古い順(格納された順)に読出される。読出されると、バッファ13には読出された分だけ空領域(新たな、レコードR1を上書きにより格納可能な領域)が増加する。したがって、バッファ13は、比較的に小さいメモリ容量であってもに格納できるレコードR1の個数は制限されることはない。なお、本実施の形態では、バッファ13からのレコードR1の読出速度は、レコードR1の書込み速度よりも十分に速いと想定する。
【0027】
図6には、本実施の形態に係るメモリ15の記憶内容の一例が示される。メモリ15には、バッファ13に格納された単位期間(たとえば10分間)のレコードR1の活動強度のうちの最大活動強度と、当該活動強度に対応の時間とのデータを格納したレコードR2が格納される。メモリ15のレコードR2が記憶される領域は、不揮発性の領域である。
【0028】
図7と図8には、本実施の形態に係る処理フローチャートが示される。フローチャートを参照して活動強度の取得と出力について説明する。これらフローチャートは、予めプログラムとしてメモリ12に格納されて、CPU11により実行される。
【0029】
操作受付部111が、計測開始の操作を受付けると、活動量取得部112により活動量が取得されて、取得された活動量は第1格納部113によってレコードR1としてバッファ13に逐次格納(書込み)される(ステップS3)。ステップS3の詳細は後述する。
【0030】
次に、最大抽出部114は、バッファ13から直前の10分間のレコードR1を読出す(ステップS5、S7)。10分間のレコードR1を読出したと判定すると(ステップS7でYES)、最大抽出部114は、読出された10分間のレコードR1のうち活動強度が最大であるレコードR1を抽出し(ステップS11)、第2格納部115に与えられる。
【0031】
第2格納部115は、与えられたレコードR1を、レコードR2としてメモリ15に格納する(ステップS13)。
【0032】
続いてCPU11は、操作受付部111が受付けた操作に基づき、終了操作がされたか否かを判定する(ステップS15)。被測定者によって終了操作がされていないと判定すると(ステップS15でNO)、処理はステップS5に戻り、以降の処理が同様に繰返される。
【0033】
一方、終了操作がされたと判定されると(ステップS15でYES)、CPU11は操作受付部111の出力に基づき、被測定者によって表示操作がされたか否かを判定する(ステップS17)。表示操作がされていないと判定すると(ステップS17でNO)、後述のステップS21の処理に移行する。
【0034】
一方、表示操作がされたと判定すると(ステップS17でYES)、表示部20は、バッファ13またはメモリ15に記憶された内容に基づき画像データを生成し、生成した画像データに基づき表示部20を制御する。これにより、表示部20に活動強度に関するデータが表示される(ステップS19)。表示例については後述する。
【0035】
その後、CPU11は、操作受付部111の出力に基づき、ユーザにより終了操作がされたか否かを判定する(ステップS21)。終了操作がされていないと判定すると(ステップS21でNO)、処理はステップS5に戻る。一方、終了操作がされたと判定されると(ステップS21でYES)、一連の処理は終了する。
【0036】
図8を参照して活動量取得処理(ステップS3)について説明する。
活動量取得部112は、加速度センサ16からの加速度信号(電圧信号)を処理することで加速度を算出する。具体的には、定期的な(1分間毎の)加速度信号から約2000点のサンプリングが行われる。そしてサンプリング値を所定の手順で統計処理することにより、定期的に(すなわち、1分(60秒)毎に)加速度の代表値を算出する。各方向(X、Y、Z)の加速度の代表値を合成することにより、合成加速度Sを算出する(ステップS31)。
【0037】
活動強度は合成加速度Sから算出する。具体的には、実験により予め求めた算出式(換算式)を用いて、合成加速度Sを活動強度(単位:METs)に換算する(ステップS32)。なお、活動強度の算出方法は、これに限定されるものではない。
【0038】
第1格納部113は、活動強度と、タイマ22からの時間データとを関連付けた活動強度のレコードR1を生成し、バッファ13に格納する(書込む)(ステップS33)。活動強度に関連付けされた時間データは、活動強度が測定された運動の実施日時を指す。
【0039】
レコードR1が格納されると、次の期間(1分間)の活動強度を取得するために、処理はステップS31に戻る。図8の処理は、操作部18を介して電源OFFなど終了操作がされるまで繰返される。
【0040】
これにより、バッファ13には、終了操作がされるまで、1分単位の活動強度が10分間分(10個のレコードR1)格納される。そして、FIFOに従って、1分毎にレコードR1が書込まれながら、並行して、直前の10分間分のレコードR1の読出しが行われる。そして、10分間のレコードR1が読出される毎に、最大の活動強度のレコードR1が抽出されて、レコードR2として、その後の出力(表示、転送など)のためにメモリ15に格納されることになる。
【0041】
本実施の形態では、上述のようにして抽出された最大活動強度のレコードは、データ処理装置30などの外部装置に送信されて、外部装置において表示処理などデータ処理することもできる。
【0042】
図9には、本実施の形態に係るデータ処理装置30の構成が示される。図9を参照して、データ処理装置30は、コンピュータに相当する構成を有し、具体的には、CPU(Central Processing Unit)31、プログラムおよびデータを格納するためのメモリ32、タイマ33、活動量計1と通信するための通信機能を司るインターフェイス36、表示部35、操作部34、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの記録媒体38が着脱自在に装着されて、装着された記録媒体38のデータをアクセスするための媒体アクセス部37を備える。
【0043】
図10には、データ処理装置30の機能構成が示される。図10を参照して、CPU11が有する機能として、インターフェイス36または媒体アクセス部37を介して与えられるデータを受理するためのデータ受理部311、受理されたデータをメモリ32に格納するためのデータ格納部312、操作部34を介したユーザの操作を受付けるための操作受付部313、および表示部35に画像を表示するための表示処理部314を備える。
【0044】
動作において、活動量計1とデータ処理装置30が通信する場合において、最大抽出部114による最大活動強度のレコードR1が抽出される毎に、転送部116は、最大抽出部114から最大活動強度のレコードR1を入力し、通信部21を介してデータ処理装置30に送信する。これにより、10分毎に最大活動強度のレコードR1がデータ処理装置30に送信される動作が繰返されることになる。
【0045】
上述のように10分毎にレコードを転送する場合には、通信回線を保持する期間が長くなり、また、無線通信であれば活動量計1はデータ処理装置30と無線通信可能な距離で使用する必要があるなど、制限がある。
【0046】
そこで、転送部116は、メモリ15に蓄積して格納された複数のレコードR2を、読出し、一括してデータ処理装置30に送信するようにしてもよい。または、通信ではなく、記録媒体38に一旦記憶させて、記録媒体38を介してデータ処理装置30に転送するようにしてもよい。
【0047】
データ処理装置30のデータ受理部311は、インターフェイス36を介して受信する、または記録媒体38を介して受理する最大活動強度のレコードR1(またはR2)を、データ格納部312に出力する。データ格納部312は、データ受理部311から入力するレコードを、メモリ32に蓄積して格納する。
【0048】
ユーザが操作部34を介して表示操作をすると、操作受付部313は、当該操作を受理し、受理した表示操作に基づいた指示を表示処理部314に出力する。表示処理部314は、指示に応じて、メモリ32または記録媒体38からレコードを読出し、読出したレコードに基づく画像データを生成して、生成した画像データに基づき表示部35を制御する。これにより、表示部35には、最大活動強度のレコードのデータによる画像が表示される。
【0049】
このように、活動量計1の表示に代替して、データ処理装置30に表示を行わせることもできる。したがって、ユーザは、比較的に小さい表示領域である表示部20に代わって、比較的に大きな表示領域である表示部35で活動量を確認することができる。
【0050】
図11〜図16を参照して、本実施の形態に係る表示処理部117(または表示処理部314)による表示画像を説明する。図11〜図16には、被測定者の1日分の活動強度(単位:METs)が、時系列の棒グラフ状で示される。各グラフは、発明者らの実験により取得されたものであり、縦軸に活動強度がとられ、横軸に経過時間がとられている。グラフ中の破線は、推奨される活動強度(3METs)を指す。
【0051】
本実施の形態によれば、10分間における最大の活動強度を抽出し、それを棒グラフで表示することから、図13に示されるように、10分単位で活動強度の最大値をトレンドで表わすことができ、被測定者はグラフを確認することで、日々の行動を10分単位で細かく振り返ることができる。
【0052】
一方、10分より長い時間間隔で、たとえば15分間毎に、または20分間毎に、または60分間毎に最大活動強度を抽出した場合でも、図14〜図16に示されるように、活動強度の最大値をトレンドで確認することができる。しかしながら、図16に示されるような60分毎に最大活動強度を抽出する場合には、バッファ13として60個のレコードR1を格納するだけの容量が必要とされるので、必要なメモリ容量が大きくなる。また、図16によれば、最大活動量を抽出するための時間間隔が大き過ぎることから、最大活動強度のトレンドが概略的になり過ぎ、被測定者は活動量の変化を正確に把握することができなくなる。
【0053】
これに対して、10分未満の時間間隔で最大活動強度を抽出する場合は、たとえば図11のように1分毎に最大強度を抽出する場合には、棒グラフが密集し過ぎて、視認性に優れない。また、図12のように5分毎に最大強度を抽出する場合でも、図12の10分間に比べ、グラフが密となるが、活動量の変化を正確に把握するのには問題がない。
【0054】
このような表示結果から、発明者らは、バッファ13に必要とされるメモリ容量も考慮し、最大活動強度を抽出する時間間隔としては、5分〜20分の時間間隔が好ましく、より好ましくは10分であるとの知見を得た。
【0055】
なお、グラフの表示態様は、棒グラフに限定されず、時系列の変化を示すものであれば、たとえば折れ線グラフであってもよい。
【0056】
(変形例)
また、被測定者がスイッチ111〜113を操作することにより最大活動強度を抽出するべき時間間隔の切替え指示を入力するとしてもよい。つまり、スイッチ操作に従って、時間間隔を5分、10分、15分、20分のいずれかに切替えるようにして、それとともに表示態様を図12〜図15のいずれか切替えるようにしてもよい。
【0057】
活動量取得部112による活動強度の取得方法は、上述した加速度信号に従い検出される体動に基づき算出する方法に代替して、被測定者から検出する心拍数と所定の演算式とを用いて算出する方法であってもよい。
【0058】
また、活動量として活動強度を用いたが、これに代替して被測定者の消費カロリーを用いることもできる。活動量取得部112による消費カロリーの算出を説明する。消費カロリーは、被測定者の運動による消費カロリーを指す。
【0059】
ここで1日の消費カロリーは次の式に従って算出される。消費カロリー(kcal/日)=活動強度(METs)×体重(kg)×1日の活動継続時間(Hour)×1.05(厚生労働省 健康づくりのための運動指針「エクササイズガイド2006」より)。したがって、この式を用いることで10分間の消費カロリーを算出することができる。ここで、活動強度と活動継続時間はレコードR2から取得でき、体重はメモリ15の身体情報から取得することができる。
【0060】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
1 活動量計、10 制御部、12,15,32 メモリ、13 バッファ、16 加速度センサ、18,34 操作部、19 音声出力部、20,35 表示部、22,33 タイマ、30 データ処理装置、111,313 操作受付部、112 活動量取得部、113 第1格納部、114 最大抽出部、115 第2格納部、116 転送部、117,314 表示処理部、311 データ受理部、312 データ格納部、R1,R2 レコード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の身体の活動量を定期的に取得する活動量取得手段と、
単位期間に対応した活動量を記憶可能な容量を有するFIFOに従う第1メモリと、
前記活動量取得手段によって定期的に取得される活動量を逐次入力し、入力する活動量を前記第1メモリに格納する第1格納手段と、
前記第1メモリから、前記単位期間における定期毎の活動量のうちから最大活動量を抽出する最大抽出手段と、
抽出された前記最大活動量を、その後の表示のために、当該最大活動量が取得された時間と関連付けて第2メモリに格納する第2格納手段と、を備える、活動量計。
【請求項2】
前記活動量取得手段は、前記活動量を1分毎に取得し、
前記単位期間は、5分〜20分間の長さを指す、請求項1に記載の活動量計。
【請求項3】
前記第2メモリに格納された前記最大活動量を、取得された時間に従って時系列に表示する表示処理手段を、さらに備える、請求項1または2に記載の活動量計。
【請求項4】
抽出された前記最大活動量を、その後の表示のために、当該最大活動量が取得された時間と関連付けて、外部装置に転送する手段を、さらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の活動量計。
【請求項5】
前記活動量は、活動強度を指す、請求項1から4のいずれかに記載の活動量計。
【請求項6】
前記活動量は、消費カロリーを指す、請求項1から4のいずれかに記載の活動量計。
【請求項7】
定期的に取得される被測定者の活動量を、単位期間に対応した活動量を記憶可能な容量を有するFIFOに従う第1メモリに、逐次格納するステップと、
前記第1メモリから、前記単位期間における定期毎の活動量のうちから最大活動量を抽出するステップと、
抽出された前記最大活動量を、その後の表示のために、当該最大活動量が取得された時間と関連付けて第2メモリに格納するステップと、を備える、活動量処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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