説明

活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット及び画像形成方法

【課題】長期経時後のカラーバランスと耐候性、感度を両立し、良好な画質を維持できる活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【解決手段】ブラックインクとカラーインクからなる活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセットにおいて、カラーインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度が、ブラックインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度に対し80〜110%であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット及びそれを用いた画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録方式は簡便・安価に画像を作製できるため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷等、様々な印刷分野に応用されてきている。
【0003】
その中でも紫外線や電子線等の活性エネルギー線または熱により硬化する活性エネルギー線硬化型インクを用いたインクジェット方式は、ソルベント系インクジェット方式に比べ比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い記録媒体への記録ができる点で、近年注目されつつあり、この方式に用いられる活性エネルギー線硬化型インクジェットインクは広く開示されており、特に、微細なドットを出射、制御する記録装置や、複数の色による色再現域、出射適性等の向上したインクを用い、高精細なカラー画像を得ることが可能となっている。併せて、作成された画像の長期の保存性も要求されるようになっている。
【0004】
特に画像を屋外で使用する場合、あらゆる自然条件に対応できる優れた耐候性が必要である。耐候性とは太陽光線や熱、空気中の酸素や水分に曝された場合であっても、印刷された画像等が一定期間、変色や退色、画像のひび割れや流出等の変質が起こらない性質であり、屋外で使用する印刷物に求められる性能である。インクジェットによる画像でも同様であるが、特にインクジェット画像は、微細なドットの集合体で画像を形成するため、一般の印刷方法で作成される均一な画像表面に比べ、画像表面積が大きく、上記のような屋外の看板等に用いられた場合は、太陽光線や空気中の酸素や水分に触れる面積が大きくなるため、時間の経過と共に受ける劣化への影響がより顕著になる。
【0005】
インクの耐候性改良手段としては、着色剤に耐候性の優れた構造の染料や有機顔料を用いることにより、画像の耐候性を向上させてきた。しかしながら、屋外用途においては長期間太陽光に曝されることになるため、有機顔料を使用した場合でも画像の劣化を免れることは困難である。また、色調の異なる複数の着色剤を用いた場合、それぞれの着色剤の耐候性が異なるため、屋外曝露後にカラーバランスが崩れてしまい不自然な画像になってしまう。
【0006】
また、紫外線吸収剤や光安定化剤を含有したクリア層を、画像上に設ける手段も知られているが(例えば、特許文献1参照)、クリア層を設ける工程や乾燥させる工程が必要になり、そのためコストアップやエネルギー消費が増えてしまう。
【0007】
活性エネルギー線硬化型インクジェットインクの耐候性改良に、紫外線吸収剤や酸化防止剤等を添加あるいは併用すると効果があることが知られている(例えば、特許文献2参照)が、紫外線吸収剤や酸化防止剤等の添加量が多く、感度保持のため開始剤の添加量を増量しており、インク保存性やインク吐出性の観点から問題がある。また、感度の観点から塩基性の高いヒンダードアミン系酸化防止剤を少量と、耐候性の良好な金属錯体系のイエロー顔料を用いる文献があるが(例えば、特許文献3参照)、屋外曝露後の溶剤による拭き取り耐性や、このイエロー顔料以外の顔料では耐候性が不十分であることが分かった。また、いずれの文献の実施例も単色インクのみの記載で、複数色のインクを用いた画像での耐候性についての記載は見られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2002/100652号パンフレット
【特許文献2】特開2005−179416号公報
【特許文献3】特開2009−275080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、長期経時後のカラーバランスと耐候性、感度を両立し、良好な画質を維持できる活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
【0011】
1.ブラックインクとカラーインクからなる活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセットにおいて、カラーインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度が、ブラックインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度に対し80〜110%であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット。
【0012】
2.前記カラーインクが2種以上からなり、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする前記1に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット。
【0013】
3.光安定化剤を含有することを特徴とする前記1または2に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット。
【0014】
4.酸発生剤及びカチオン重合性モノマーを含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット。
【0015】
5.前記光安定化剤の含有量が前記酸発生剤の含有量の2〜15質量%であることを特徴とする前記4に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット。
【0016】
6.増感剤を含有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット。
【0017】
7.基材上に、前記1〜6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセットを用いてインクジェット方式にて画像を吐出した後、低圧水銀灯を照射して画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【0018】
8.基材上に、前記1〜6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセットを用いてインクジェット方式にて画像を吐出した後、LEDを照射して画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、長期経時後のカラーバランスと耐候性、感度を両立し、良好な画質を維持できる活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット及びそれを用いた画像形成方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の画像形成方法に用いられるインクジェット記録装置の要部の構成の一例を示す正面図である。
【図2】本発明の画像形成方法に用いられるインクジェット記録装置の要部の構成の他の一例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、ブラックインクとカラーインクからなる、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセットにおいてカラーインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度が、ブラックインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度に対し80〜110%であることを特徴とし、これによって屋外等で長期間使用された後でも、カラーバランスが保たれた良好なカラー画像を維持できることを見出した。
【0022】
屋外に置かれた画像は、紫外線、水分、空気中の酸素や大機汚染物質により劣化を受ける。なかでも紫外線による劣化は、地表まで届く290〜400nmの紫外線の吸収により光子の持つエネルギーが授与され、着色剤の分解やポリマー鎖の切断が起こることによって生じ、劣化への影響が大きい。
【0023】
ブラックインクの吸収スペクトルは通常全波長域においてブロードで、上記290〜400nmの波長域においても満遍なく吸収を有しており、紫外線が硬化層内部まで到達しにくく、劣化を受けにくい。これに対し、カラーインクは特定の範囲に吸収を有しており、紫外線領域の吸収が低いまたは有していないため、硬化層内部まで紫外線の影響を受けやすく、ブラックインクに比べ劣化しやすい傾向にある。
【0024】
吸光度の測定は、実際に外気に曝露される状態を測定することが好ましく、すなわち活性エネルギー線硬化型インクを硬化した状態で測定する。そうした場合、硬化する際にのみ必要とされ、硬化のための光照射により吸収が減少してしまう光開始剤等の吸収を考慮せず、曝露される本来の状態で比較できる。また、硬化前のインクの状態で吸光度を測定する場合は、光開始剤等の硬化のための光照射により吸収が減少してしまう物質の吸光度を差し引いて比較することで、硬化膜に近い吸光度を測定できる。
【0025】
吸光度の測定は、一般的な紫外〜赤外域まで測定可能な分光光度計を用いて測定する。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等300nm以上に吸収を有しない透明フィルムにワイヤーバーを用いてインクを塗布し光を照射し3μm厚さのインク硬化膜を作製し、例えばU−3300形自記分光光度計(日立製作所製)等を用い硬化膜の吸光度を測定する。このときブラックインクとカラーインクは同じワイヤーバーを用い塗布することが好ましい。また、吸光度が1〜2のとき正確な吸光度が得られる。
【0026】
〔紫外線吸収剤〕
本発明は活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセットにおいて、少なくとも2種以上のカラーインクに紫外線吸収剤を含有し、カラーインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度が、ブラックインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度に対し80〜110%とすることが好ましい。
【0027】
本発明で用いられる紫外線吸収剤は、220〜400nmに吸収波長を有する紫外線吸収剤が好適に使用できる。紫外線吸収剤を含有することで、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクに340nm付近の吸収を付与し、硬化膜の耐候性が改善される。
【0028】
従来より公知の化合物を用いることができ、例えば特開平9−157560号、同9−279075号、特開2001−181528号に記載の酸化セリウム等の紫外線吸収性無機化合物、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤等が挙げられる。本発明で用いられる紫外線吸収剤は、得られるインクジェット画像の画質から有機系の化合物であることが好ましく、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤やベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
【0029】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(sumisorb130)、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(SEESORB100)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(SEESORB101、CYASORB(R)UV−9)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸3水和物(SEESORB101S)、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン(SEESORB102)、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン(SEESORB103)、4−ベンジロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン(SEESORB105)、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン(SEESORB106)、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン(SEESORB107)、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)ブタン(SEESORB151)、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(CYASORB(R)UV−24)等が挙げられる。
【0030】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(sumisorb200)、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(sumisorb250)、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(sumisorb300)、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(sumisorb340)、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール(sumisorb350)、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(SEESORB701)、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(SEESORB703)、2−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(SEESORB704)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール(SEESORB706)、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(SEESORB707)、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(SEESORB709)、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(TINUVIN PS)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(TINUVIN900)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(TINUVIN928)、2,5−ビス(5′−tert−ブチル−2′−ベンゾキサゾリル)チオフェン(UVITEX OB)、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(TINUVIN327、SEESORB702)、2−[2′−ヒドロキシ−3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(TINUVIN234)、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(TINUVIN320、Eversorb77)、2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](TINUVIN360、Eversorb78)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−sec−ブチル−5′−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(Eversorb79)等が挙げられる。
【0031】
ベンゾエート系紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(sumisorb400)、サリチル酸フェニル等が挙げられる。
【0032】
トリアジン系紫外線吸収剤の具体例としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール(CYASORB(R)UV−1164)、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシロキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(TINUVIN400)、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシロキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(TINUVIN400)、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2′−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(TINUVIN405)、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチロキシフェニル)−6−(2,4−ビス−ブチロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(TINUVIN460)、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチロキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン(TINUVIN479)等が挙げられる。最も好ましくは、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物であり、特に2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチロキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン(TINUVIN479)は紫外線吸収係数が大きく、少量添加で大きな効果を得ることができる。
【0033】
なお、上記のsumisorbは住友化学社製、SEESORBはシプロ化成社製、CYASORB(R)はCytecIndustries社製、TINUVIN及びUVITEXはBASFジャパン社製(旧チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Eversorbは台湾永光化学工業社製である。
【0034】
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】
これらの紫外線吸収剤の添加量は、カラーインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度が、ブラックインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度に対し80〜110%となるように添加することが好ましく、インクの色により異なる。
【0036】
例えばイエローインクでは活性エネルギー線硬化性組成物の全固形分に対して0.5〜2.0質量%、より好ましくは0.8〜1.5質量%、マゼンタインクでは0.2〜1.5質量%、より好ましくは0.4〜1.0質量%、シアンインクでは0.05〜0.8質量%、より好ましくは0.1〜0.5質量%である。これ以外の色に関しても、ブラックインク硬化膜の吸光度に対して80〜110%となるように適宜添加される。
【0037】
いずれの色でも、添加量が少ないと良好な耐候性が得られず、添加量が多いと感度が低下したり、インク中で析出したりしてしまう。
【0038】
〔光安定化剤〕
本発明に用いられる紫外線吸収剤は、硬化膜のポリマー鎖より先に有害な紫外線を吸収し、硬化膜に無害な熱エネルギーに変換するが、表面近くではどうしてもラジカルの生成が生じてしまうため、ラジカルを捕捉する光安定化剤を併用することで、さらに耐候性を向上することができる。
【0039】
そのような光安定化剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒンダードアミド系酸化防止剤から選ばれる一種以上であるのが好ましい。特に、ラジカルを捕捉する機能を有するHALSを使用するとよい。HALSは、ラジカルを捕捉した後、再び捕捉前の元の形態に戻るというラジカル捕捉機構をもつため、繰り返しラジカルを捕捉することが可能となる。HALSと同様のラジカル捕捉機構をもつヒンダードフェノール系ラジカル捕捉剤、ヒンダードアミド系ラジカル捕捉剤等も、安定剤として好適である。
【0040】
以下に、ラジカル捕捉機構をもつ光安定化剤の具体例を挙げる。HALSとしては、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(TINUVIN123)、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン(TINUVIN152)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(TINUVIN622)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(TINUVIN770)、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物(CHIMASSORB119)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]ヘキサメチル(CHIMASSORB944)、等が挙げられる。ヒンダードアミン系+ヒンダードフェノール系ラジカル捕捉剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート(TINUVIN144)等が挙げられる。また、ヒンダードフェノール系ラジカル捕捉剤としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX245)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX259)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(IRGANOX565)、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1010)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1035)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX1076)、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(IRGANOX1098)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル(IRGANOX1222)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(IRGANOX1330)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−O−クレゾール(IRGANOX1520)、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX1135)、等が挙げられる。なお、上記のTINUVIN(R)、CHIMASSORB(R)及びIRGANOX(R)は、BASFジャパン社製(旧チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)である。
【0041】
本発明においては、特に塩基性が弱く、中性に近い三級アミンのHALSやアミノエーテルタイプ(NOR)のHALSが、貯蔵性や感度の観点から好ましい。そのようなHALSとしては、以下の構造で示され、市販品としては、BASFジャパン社製の「TINUVIN 111 FDL」、「TINUVIN 123」、「TINUVIN 144」、「TINUVIN 152」、「TINUVIN 152」、「TINUVIN 292」、「TINUVIN 5100」等を挙げることができる。
【0042】
【化1】

【0043】
これらの光安定化剤の添加量は、活性エネルギー線硬化性組成物の全固形分に対して0.01〜1.5質量%が好ましく、さらには0.1〜0.5質量%である。添加量が0.05質量%より少ないと、充分な耐候性が得られず、1.0質量%より多いと、開始剤の重合開始能が阻害され感度が低下してしまう。また、活性エネルギー線硬化型インク中における光安定化剤の添加量が酸発生剤の添加量に対して、2〜15質量%であることが好ましい。
【0044】
〔重合性化合物〕
本発明における活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクは、重合性化合物と重合開始剤を含有することが好ましい。重合性化合物としては、カチオン重合性化合物とラジカル重合性化合物がある。
【0045】
(カチオン重合性化合物)
本発明に用いられカチオン重合性化合物としては、例えば、カチオン重合により高分子化することができるオキセタン化合物、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物等を挙げることができる。
【0046】
オキセタン化合物としては、特開2001−220526号、同2001−310937号各公報に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
【0047】
エポキシ化合物としては、以下の芳香族エポキシド、脂環式エポキシド及び脂肪族エポキシド等が挙げられる。
【0048】
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0049】
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロヘキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
【0050】
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0051】
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0052】
また、本発明においてはAMES及び感作性等の安全性の観点から、オキシラン基を有するエポキシ化合物として、エポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化脂肪酸グリセライドの少なくとも一方を用いてもよい。
【0053】
エポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化脂肪酸グリセライドは、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセライドにエポキシ基を導入したものであれば、特に制限はなく用いられる。
【0054】
エポキシ化脂肪酸エステルとしては、オレイン酸エステルをエポキシ化して製造されたもので、エポキシステアリン酸メチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル等が用いられる。また、エポキシ化脂肪酸グリセライドは、同様に、大豆油、アマニ油、ヒマシ油等をエポキシ化して製造されたもので、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマシ油等が用いられる。
【0055】
本発明で用いることのできるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジまたはトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0056】
(カチオン重合開始剤(酸発生剤))
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクでは、光開始剤として酸発生剤を用いる。酸発生剤としては、公知のあらゆるものを用いることができ、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。
【0057】
酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
【0058】
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C、PF、AsF、SbF、CFSO塩を挙げることができる。
【0059】
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例を、以下に示す。
【0060】
【化2】

【0061】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができ、その具体的な化合物を、以下に例示する。
【0062】
【化3】

【0063】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、以下にその具体的な化合物を例示する。
【0064】
【化4】

【0065】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
【0066】
【化5】

【0067】
(ラジカル重合性化合物)
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどの様なものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態をもつものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
【0068】
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
【0069】
具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性ないし架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
【0070】
(ラジカル重合開始剤)
ラジカル重合開始剤としては、特公昭59−1281号、同61−9621号、及び特開昭60−60104号等の各公報記載のトリアジン誘導体、特開昭59−1504号及び同61−243807号等の各公報に記載の有機過酸化物、特公昭43−23684号、同44−6413号、同44−6413号及び同47−1604号等の各公報並びに米国特許第3,567,453号明細書に記載のジアゾニウム化合物、米国特許第2,848,328号、同2,852,379号及び同2,940,853号の各明細書に記載の有機アジド化合物、特公昭36−22062号、同37−13109号、同38−18015号、同45−9610号等の各公報に記載のオルト−キノンジアジド類、特公昭55−39162号、特開昭59−14023号の各公報及び「マクロモレキュルス(Macromolecules)」、第10巻、第1307頁(1977年)に記載の各種オニウム化合物、特開昭59−142205号公報に記載のアゾ化合物、特開平1−54440号公報、ヨーロッパ特許第109,851号、同126,712号等の各明細書、「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.Imag.Sci.)」、第30巻、第174頁(1986年)に記載の金属アレン錯体、特開平5−213861号公報及び特開5−255347号公報に記載の(オキソ)スルホニウム有機ホウ素錯体、特開昭61−151197号公報に記載のチタノセン類、「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(Coordination Chemistry Review)」、第84巻、第85〜第277頁(1988年)及び特開平2−182701号公報に記載のルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体、特開平3−209477号公報に記載の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、四臭化炭素や特開昭59−107344号公報記載の有機ハロゲン化合物等が挙げられる。
【0071】
上記重合性化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0072】
上記重合開始剤の添加量は、活性エネルギー線硬化性組成物の全固形分に対して0.5〜10質量%が好ましい。
【0073】
(増感剤)
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクは、300nmよりも長波長に紫外線スペクトル吸収を有する増感剤を用いることができ、より好ましくはLED光源の波長領域に高い吸収を持ち、紫外線吸収剤とは異なる領域にピークをもつ化合物が挙げられる。
【0074】
このような増感剤としても用いることができる、置換基として水酸基や置換されていてもよいアラルキルオキシ基またはアルコキシ基を少なくとも1つ有する多環芳香族化合物、カルバゾール誘導体及びチオキサントン誘導体等の具体例としては、以下のような化合物が挙げられる。多環芳香族化合物としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体が好ましい。置換基であるアルコキシ基としては、炭素数1〜18のものが好ましく、特に炭素数1〜8のものが好ましい。アラルキルオキシ基としては、炭素数7〜10のものが好ましく、特に炭素数7〜8のベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基が好ましい。
【0075】
これらの増感剤としては、例えば、1−ナフトール、2−ナフトール、1−メトキシナフタレン、1−ステアリルオキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、2−ドデシルオキシナフタレン、4−メトキシ−1−ナフトール、グリシジル−1−ナフチルエーテル、2−(2−ナフトキシ)エチルビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジメトキシナフタレン、1,1′−チオビス(2−ナフトール)、1,1′−ビ−2−ナフトール、1,5−ナフチルジグリシジルエーテル、2,7−ジ(2−ビニルオキシエチル)ナフチルエーテル、4−メトキシ−1−ナフトール、ESN−175(新日鉄化学社製のエポキシ樹脂)またはそのシリーズ、ナフトール誘導体とホルマリンとの縮合体等のナフタレン誘導体、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9−メトキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9−エトキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、9−イソプロポキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、9−ベンジルオキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、9−(α−メチルベンジルオキシ)−10−メチルアントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(2−カルボキシエトキシ)アントラセン等のアントラセン誘導体、1,4−ジメトキシクリセン、1,4−ジエトキシクリセン、1,4−ジプロポキシクリセン、1,4−ジベンジルオキシクリセン、1,4−ジ−α−メチルベンジルオキシクリセン等のクリセン誘導体、9−ヒドロキシフェナントレン、9,10−ジメトキシフェナントレン、9,10−ジエトキシフェナントレン等のフェナントレン誘導体等を挙げることができる。これら誘導体の中でも、特に、炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していてもよい9,10−ジアルコキシアントラセン誘導体が好ましく、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基が好ましい。カルバゾール誘導体としては、カルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−ビニルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール等が挙げられる。また、チオキサントン誘導体としては、例えば、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン2−クロロチオキサントン等を挙げることができる。
【0076】
またカチオン重合性化合物を用いたインクの増感剤とし、スルホニウム塩を光開始剤とした場合には、アントラセン、アントラセン誘導体(ADEKA社製のアデカオプトマーSP−100、ジエトキシアントラセン、ジブトキシアントラセン等)が挙げられる。ヨードニウム塩光開始剤とした場合には、チオキサントン類等が使用できる。
【0077】
これらの増感剤は1種または複数を組み合わせて使用することができる。その添加量は活性エネルギー線硬化性組成物の全固形分に対して0.2〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜4質量%で含有させるのが好ましい。0.2質量%より少なければ増感効果が乏しく、5質量%を超えると、増感剤自体の着色や増感剤分解物による着色が問題となる。
【0078】
(着色剤)
本発明に用いられる活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクは、上述の重合性化合物と共に、各種公知の染料及び/または顔料を含有しているが、好ましくは顔料を含有する。
【0079】
本発明で好ましく用いることのできる顔料を、以下に列挙する。
【0080】
C.I.Pigment Yellow
1,2,3,12,13,14,16,17,73,74,75,81,83,87,93,95,97,98,109,114,120,128,129,138,151,154
C.I.Pigment Red
5,7,12,22,38,48:1,48:2,48:4,49:1,53:1,57:1,63:1,101,112,122,123,144,146,168,184,185,202
C.I.Pigment Violet
19,23
C.I.Pigment Blue
1,2,3,15:1,15:2,15:3,15:4,18,22,27,29,60
C.I.Pigment Green
7,36
C.I.Pigment White
6,18,21
C.I.Pigment Black

また、本発明において、プラスチックフィルムのような透明基材での色の隠蔽性を上げるために、白インクを用いることが好ましい。特に、軟包装印刷、ラベル印刷においては、白インクを用いることが好ましいが、吐出量が多くなるため、前述した吐出安定性、記録材料のカール・しわの発生の観点から、自ずと使用量に関しては制限がある。
【0081】
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、顔料の分散を行う際に、分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としてはAvecia社のSolsperseシリーズや、味の素ファインテクノ社のPBシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤及び分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、溶剤または重合性化合物を用いて行うが、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクでは、インク着弾直後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶剤ではなく重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
【0082】
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができる。
【0083】
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクにおいては、色材濃度としては、インク全体の1〜10質量%であることが好ましい。
【0084】
本発明におけるインクセットはブラックインクと1種以上のカラーインクから構成される。
【0085】
本発明のインクセットは各色毎の複数有するものであってもよい。例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの基本4色に加えて、それぞれの色毎に同系列の濃色や淡色を加える場合、マゼンタに加えて淡色のライトマゼンタ、濃色のレッド、シアンに加えて淡色のライトシアン、濃色のブルー、ブラックに加えて淡色であるグレイ、ライトブラック、濃色であるマットブラックが挙げられる。
【0086】
(その他の添加剤)
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクでは、上記説明した以外に、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインク包装容器適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、界面活性剤、滑剤、充填剤、消泡剤、ゲル化剤、増粘剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができる。
【0087】
〔画像形成方法〕
次に、本発明の画像形成方法について説明する。
【0088】
本発明の画像形成方法においては、インクをインクジェット記録方式により記録材料上に吐出、描画し、次いで紫外線などの活性光線を照射することで、インクを硬化して画像形成する。
【0089】
本発明は、インクを記録材料上に噴射して、該記録材料に着弾した該インクを加熱した状態で、活性光線を照射する。この画像形成方法により、紫外線吸収剤を含有するインク自体の安定性、環境(温度・湿度)に左右されない吐出時の安定性・硬化時の安定性が非常にバランスよく保たれ、高精細な画像の安定な形成が可能となる。
【0090】
本発明は、記録ヘッド及びインクを35〜80℃に加熱して吐出し、かつ、該インクが記録材料上に着弾後も35〜80℃に保った状態で、活性光線を照射する。活性エネルギー線硬化型インクは、温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴吐出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが重要である。インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。また、インク容器から記録ヘッドまでのインク供給系を密閉系とすることが本発明の効果をより奏する点で好ましい。
【0091】
(インク着弾後の総インク膜厚)
本発明では、記録材料上にインクが着弾し、活性光線を照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmであることが好ましい。スクリーン印刷分野の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が20μmを越えているのが現状であるが、記録材料が薄いプラスチック材料であることが多い軟包装印刷分野では、記録材料のカール・皺の問題でだけでなく、印刷物全体のこし・質感が変わってしまうという問題が有るため、過剰な膜厚のインク吐出は好ましくない。なお、ここで「総インク膜厚」とは記録材料に描画されたインクの膜厚の最大値を意味し、単色でも、それ以外の2色重ね(2次色)、3色重ね、4色重ね(白インクベース)のインクジェット記録方式で記録を行った場合でも総インク膜厚の意味するところは同様である。
【0092】
(インクの吐出条件)
本発明では、各ノズルより吐出する液滴量が2〜15plであることが好ましい。
【0093】
本来、高精細画像を形成するためには、液滴量がこの範囲であることが必要であるが、この液滴量で吐出する場合、前述した吐出安定性が特に厳しくなる。本発明によれば、インクの液滴量が2〜15plのような小液滴量で吐出を行っても吐出安定性は向上し、高精細画像が安定して形成出来る。
【0094】
(インク着弾後の光照射条件)
本発明の画像形成方法においては、活性光線の照射条件として、インク着弾後0.001秒〜1.0秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001秒〜0.5秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングが出来るだけ早いことが特に重要となる。
【0095】
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらの何れの照射方法も用いることが出来る。
【0096】
本発明においては、更に活性光線を照射する光源の総消費電力が1kW・hr未満であることが好ましい。総消費電力が1kW・hr未満の光源の例としては、低圧水銀灯、蛍光管、冷陰極管、熱陰極管、LED等があるが、これらに限定されない。
【0097】
次いで、本発明の画像形成方法に用いられるインクジェット記録装置(以下、単に記録装置ともいう)について説明する。
【0098】
以下、本発明の画像形成方法に用いられる記録装置について、図面を適宜参照しながら説明する。なお、図面の記録装置はあくまでも本発明に用いられる記録装置の一態様であり、本発明に用いられる記録装置はこの図面に限定されない。
【0099】
図1は本発明の画像形成方法に用いられるインクジェット記録装置の要部の構成の一例を示す正面図である。記録装置1は、ヘッドキャリッジ2、記録ヘッド3、照射手段4、プラテン部5等を備えて構成される。この記録装置1は、記録材料Pの下にプラテン部5が設置されている。プラテン部5は、紫外線を吸収する機能を有しており、記録材料Pを通過してきた余分な紫外線を吸収する。その結果、高精細な画像を非常に安定に再現できる。
【0100】
また、本発明においては、プラテン部がヒータープレートになっていることが好ましい。記録材料に着弾した活性エネルギー線硬化型のインクが所定の温度以上で活性光線を受けるため、環境(温度、湿度)に関係なく硬化性が一定に保たれ、その結果、高精細な画像を非常に安定に再現できる。吐出安定な前述の保存方法により保存された本発明のインクを用いる場合には、特に効果的である。
【0101】
記録材料Pは、ガイド部材6に案内され、搬送手段(図示せず)の作動により、図1における手前から奥の方向に移動する。ヘッド走査手段(図示せず)は、ヘッドキャリッジ2を図1におけるY方向に往復移動させることにより、ヘッドキャリッジ2に保持された記録ヘッド3の走査を行なう。
【0102】
ヘッドキャリッジ2は記録材料Pの上側に設置され、記録材料P上の画像印刷に用いる色の数に応じて後述する記録ヘッド3を複数個、吐出口を下側に配置して収納する。ヘッドキャリッジ2は、図1におけるY方向に往復自在な形態で記録装置1本体に対して設置されており、ヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に往復移動する。
【0103】
なお、図1ではヘッドキャリッジ2がホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、ライトイエロー(Ly)、ライトマゼンタ(Lm)、ライトシアン(Lc)、ライトブラック(Lk)、ホワイト(W)の記録ヘッド3を収納するものとして描図を行なっているが、実施の際にはヘッドキャリッジ2に収納される記録ヘッド3の色数は適宜決められるものである。
【0104】
記録ヘッド3は、インク供給手段(図示せず)により供給された活性エネルギー線硬化型インク(例えばUV硬化インク)を、内部に複数個備えられた吐出手段(図示せず)の作動により、吐出口から記録材料Pに向けて吐出する。記録ヘッド3により吐出されるUVインクは色材、重合性モノマー、開始剤等を含んで組成されており、紫外線の照射を受けることで開始剤が触媒として作用することに伴うモノマーの架橋、重合反応によって硬化する性質を有する。
【0105】
記録ヘッド3は記録材料Pの一端からヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に記録材料Pの他端まで移動するという走査の間に、記録材料Pにおける一定の領域(着弾可能領域)に対してUVインクをインク滴として吐出し、該着弾可能領域にインク滴を着弾させる。上記走査を適宜回数行ない、1領域の着弾可能領域に向けてUVインクの吐出を行なった後、搬送手段で記録材料Pを図1における手前から奥方向に適宜移動させ、再びヘッド走査手段による走査を行ないながら、記録ヘッド3により上記着弾可能領域に対し、図1における奥方向に隣接した次の着弾可能領域に対してUVインクの吐出を行なう。
【0106】
上述の操作を繰り返し、ヘッド走査手段及び搬送手段と連動して記録ヘッド3からUVインクを吐出することにより、記録材料P上にUVインク滴の集合体からなる画像が形成される。
【0107】
本発明における照射手段4は特定の波長領域の紫外線を安定にした露光エネルギーで発光する紫外線ランプ及び特定の波長の紫外線を透過するフィルターを備えて構成される。ここで、紫外線ランプとしては、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、エキシマーレーザー、紫外線レーザー、冷陰極管、熱陰極管、ブラックライト、LED(light emitting diode)等が適用可能であり、帯状のメタルハライドランプ、冷陰極管、熱陰極管、水銀ランプもしくはブラックライトが好ましい。
【0108】
特に波長254nmの紫外線を発光する低圧水銀ランプ、熱陰極管、冷陰極管及び殺菌灯が滲み防止、ドット径制御を効率よく行なえ、好ましい。ブラックライトを照射手段4の放射線源に用いることで、UVインクを硬化するための照射手段4を安価に作製することができる。
【0109】
また、LEDは、瞬時に点灯が可能、寿命が長い、輻射熱が少なく光量制御が容易、発光波長幅(半値幅)が極めて狭い、消費電力量が少ない等利点が多く、光源として好ましい。
【0110】
照射手段4は、記録ヘッド3がヘッド走査手段の駆動による1回の走査によってUVインクを吐出する着弾可能領域のうち、記録装置(UVインクジェットプリンタ)1で設定できる最大のものとほぼ同じ形状か、着弾可能領域よりも大きな形状を有する。
【0111】
照射手段4はヘッドキャリッジ2の両脇に、記録材料Pに対してほぼ平行に、固定して設置される。
【0112】
インク吐出部の照度を調整する手段としては、記録ヘッド3全体を遮光することはもちろんであるが、加えて照射手段4と記録材料Pの距離h1より、記録ヘッド3のインク吐出部31と記録材料Pとの距離h2を大きくしたり(h1<h2)、記録ヘッド3と照射手段4との距離dを離したり(dを大きく)することが有効である。また、記録ヘッド3と照射手段4の間を蛇腹構造7にすると更に好ましい。
【0113】
ここで、照射手段4で照射される紫外線の波長は、照射手段4に備えられた紫外線ランプまたはフィルターを交換することで適宜変更することができる。
【0114】
本発明のインクは、非常に吐出安定性が優れており、ラインヘッドタイプの記録装置を用いて画像形成する場合に、特に有効である。
【0115】
図2は、本発明の画像形成方法に用いられるインクジェット記録装置の要部の構成の他の一例を示す上面図である。
【0116】
図2で示したインクジェット記録装置は、ラインヘッド方式と呼ばれており、ヘッドキャリッジ2に、各色のインクジェット記録ヘッド3を、記録材料Pの全幅をカバーするようにして、複数個、固定配置されている。
【0117】
一方、ヘッドキャリッジ2の下流側には、同じく記録材料Pの全幅をカバーするようにして、インク印字面全域をカバーするように配置されている照射手段4が設けられている。照明手段4に用いられる照射光源にはメタルハライドランプ線光源8を用いた。
【0118】
このラインヘッド方式では、ヘッドキャリッジ2及び照射手段4は固定され、記録材料Pのみが、搬送されて、インク出射及び硬化を行って画像形成を行う。
【0119】
本発明で用いることのできる記録材料としては、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルムを挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。これらの記録材料の中でも、特に熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムへ画像を形成する場合に本発明の構成は、有効となる。これらの基材は、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなく、インク膜が基材の収縮に追従し難い。
【0120】
これら、各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは大きく異なり、記録材料によってインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明の構成では、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含む、表面エネルギーが35〜60mN/mの広範囲の記録材料に良好な高精細な画像を形成できる。
【0121】
本発明において、包装の費用や生産コスト等の記録材料のコスト、プリントの作製効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)の記録材料を使用する方が有利である。
【実施例】
【0122】
以下実施例により本発明を具体的に例示するが、これにより限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
【0123】
以下、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク、活性エネルギー線硬化型インクジェットインクセットを、単にそれぞれインク、インクセットともいう)
実施例1
〔インクの調製〕
下記のインク組成に示される各成分と、Y、M、Cインクにおいては下記表1に示す紫外線吸収剤と光安定化剤をそれぞれ用い、これらにOXT221(東亞合成社製、オキセタン化合物)を加え全体量を100部としたものを混合し、インクを調製した。
【0124】
顔料は顔料分散剤と一緒にオキセタン(OXT221)にて高濃度分散体として作製し、添加した。この際に、インクとなった場合の重合性組成物の組成比率が変わらないよう、過剰に添加されるOXT221は予め減らしておいた。
【0125】
〈インクY1〜Y6〉
セロキサイド2021P(ダイセル化学社製、脂環式エポキシ樹脂) 10質量部
セロキサイド3000(ダイセル化学社製、脂環式エポキシ樹脂) 20質量部
OXT212(東亞合成社製、オキセタン化合物) 15質量部
ピグメントエロー150(イエロー顔料) 3.4質量部
アジスパーPB824(味の素ファインテクノ社製、顔料分散剤) 1.2質量部
KF351(信越化学工業社製、界面活性剤) 0.04質量部
IRGANOX1076(BASFジャパン社製、増感助剤) 1質量部
CPI−100P(トリアリルスルホニウム塩のプロピレンカーボネート50%溶液、サンアプロ社製、酸発生剤) 8質量部
DEA(川崎化成社製、9.10−ジエトキシアントラセン、増感剤) 2質量部
紫外線吸収剤 表1記載
光安定化剤 表1記載
〈インクM1〜M5〉
セロキサイド2021P(ダイセル化学社製、脂環式エポキシ樹脂) 10質量部
セロキサイド3000(ダイセル化学社製、脂環式エポキシ樹脂) 20質量部
OXT212(東亞合成社製、オキセタン化合物) 15質量部
ピグメントレッド122(マゼンタ顔料) 4.1質量部
アジスパーPB822(味の素ファインテクノ社製、顔料分散剤) 1.6質量部
KF351(信越化学工業社製、界面活性剤) 0.04質量部
IRGANOX1076(BASFジャパン社製、増感助剤) 1質量部
CPI−100P(トリアリルスルホニウム塩のプロピレンカーボネート50%溶液、サンアプロ社製、酸発生剤) 8質量部
DEA(川崎化成社製、9.10−ジエトキシアントラセン、増感剤) 2質量部
紫外線吸収剤 表1記載
光安定化剤 表1記載
〈インクC1〜C2〉
セロキサイド2021P(ダイセル化学社製、脂環式エポキシ樹脂) 10質量部
セロキサイド3000(ダイセル化学社製、脂環式エポキシ樹脂) 20質量部
OXT212(東亞合成社製、オキセタン化合物) 15質量部
ピグメントブルー15:4(シアン顔料) 2.5質量部
アジスパーPB824(味の素ファインテクノ社製、顔料分散剤) 1.0質量部
KF351(信越化学工業社製、界面活性剤) 0.04質量部
IRGANOX1076(BASFジャパン社製、増感助剤) 1質量部
CPI−100P(トリアリルスルホニウム塩のプロピレンカーボネート50%溶液、サンアプロ社製、酸発生剤) 8質量部
DEA(川崎化成社製、9.10−ジエトキシアントラセン、増感剤) 2質量部
紫外線吸収剤 表1記載
〈インクK1〉
セロキサイド2021P(ダイセル化学社製、脂環式エポキシ樹脂) 10質量部
セロキサイド3000(ダイセル化学社製、脂環式エポキシ樹脂) 20質量部
OXT221(東亞合成社製、オキセタン化合物) 40.5質量部
OXT212(東亞合成社製、オキセタン化合物) 15質量部
ピグメントブラック7(ブラック顔料) 2.5質量部
アジスパーPB824(味の素ファインテクノ社製、顔料分散剤) 0.9質量部
KF351(信越化学工業社製、界面活性剤) 0.04質量部
IRGANOX1076(BASFジャパン社製、増感助剤) 1質量部
CPI−100P(トリアリルスルホニウム塩のプロピレンカーボネート50%溶液、サンアプロ社製、酸発生剤) 8質量部
DEA(ジエトキシアントラセン、増感剤) 2質量部
N−エチルジエタノールアミン(重合禁止剤) 0.04質量部
〔インクの評価〕
得られたインクについて下記測定及び評価を行った。
【0126】
(インク硬化層の吸光度測定)
厚さ50μmのPETフィルム上に、上記インクを硬化膜の厚さが3μmとなるようにワイヤーバーにて塗布を行った。次いで、塗布したフィルムを25℃、50%RHの環境下で、LEDランプ(385nm、2W/cm)の下を400mm/sで通過させ硬化させた。その後、U−3300形自記分光光度計(日立製作所社製)を用いて、200〜600nmの波長領域での硬化膜の吸光度を測定し、以下の式からブラックインク(インクK1)に対するカラーインクの吸光度の割合、吸光度比(%)を算出した。
【0127】
吸光度比(%)=(340nmにおけるカラーインク吸光度)÷(340nmにおけるブラックインク吸光度)×100(%)
(耐候性)
ピエゾ型インクジェットノズルを備えた図1に記載の構成からなる記録装置に、上記調製した各インクを装填し、硬質塩化ビニルシートに下記の画像記録を連続して行った。
【0128】
インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなり、前室タンクからヘッド部分まで断熱して50℃の加温を行った。ピエゾヘッドは、4plサイズのドットを1440×1440dpi(dpiは2.54cm当たりのドット数を表す)の解像度で吐出できるよう駆動して、各インクを連続吐出した。着弾した後、キャリッジ両脇のランプユニットにより瞬時(着弾後0.5秒未満)に硬化される。光源にはLEDランプ(385nm、2W/cm)を用いた。なお、インクジェット画像の形成は、上記方法に従って、25℃、50%RHの環境下で行った。
【0129】
印字画像は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各ウエッジ画像、ならびにB、R、G(ブルー、レッド、グリーン)、3C(YMCによる3次色)、4C(YMCKによる4次色)のベタ画像からなるテストチャートを用いた。
【0130】
QUV Accelerated Weathering Tester(Q−LAB社製)にて、UVA−340ランプ(照度:0.68W/m)、8時間UV照射(60℃)とUV非照射/温度50℃/湿度100%4時間を繰り返し2000時間経時させ、耐候性評価を行った。耐候性は、X−rite社製濃度計938spectrodensitometerを用いて、初期濃度に対する濃度変化率で評価した。
【0131】
濃度残存率=(光照射後の濃度)÷(光照射前の濃度)×100(%)
この濃度残存率から、下記基準で評価した。
【0132】
◎:濃度残存率が90%以上
○:濃度残存率が80%以上、90%未満
△:濃度残存率が70%以上、80%未満
×:濃度残存率が70%未満
(カラーバランス)
上記調製したインクを表2に示す組み合わせでインクセットとし、上記記録装置に充填し、写真画像のサンプルを各2枚ずつ作成した。そのうちの1枚を耐候性の評価で用いたQUVに2000時間投入し、未投入の画像サンプルと並べ、目視でカラーバランスを下記基準で評価した。
【0133】
◎:濃度低下がほとんどなく、カラーバランスが保たれており自然の画像である
○:やや濃度低下は見られるが、カラーバランスが保たれており自然の画像である
△:カラーバランスが保たれているが、濃度低下が大きくブラックインク使用領域との差が大きい
×:シアン成分、マゼンタ成分、イエロー成分のいずれか一方に色相が大きくずれており、カラーバランスが崩れ、不自然な画像である
評価の結果を表1、2に示す。
【0134】
【表1】

【0135】
【表2】

【0136】
表より、カラーインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度が、ブラックインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度に対し80〜110%である本発明のインクは、比較例に較べ耐候性及び長期経時後のカラーバランスに優れていることが分かる。
【0137】
実施例2
〔インクの調製〕
実施例1と同様にして、下記処方に従いインクを調製した。
【0138】
〈インクY7〉
セロキサイド2021P(ダイセル化学社製、脂環式エポキシ樹脂、分子量252)
20質量部
セロキサイド3000(ダイセル化学社製、脂環式エポキシ樹脂、分子量168)
10質量部
OXT221(東亞合成社製、オキセタン化合物) 44質量部
OXT212(東亞合成社製、オキセタン化合物) 5質量部
E4030(新日本理化社製、エポキシ化植物油) 10質量部
ピグメントエロー150(イエロー顔料) 3.4質量部
アジスパーPB824(味の素ファインテクノ社製、顔料分散剤) 1.4質量部
KF351(信越化学工業社製、界面活性剤) 0.04質量部
IRGANOX1076(BASFジャパン社製、増感助剤) 1質量部
トリイソプロパノールアミン(重合禁止剤) 0.005質量部
SPG(プロピレンカーボネート67%溶液、酸発生剤) 3.8質量部
【0139】
【化6】

【0140】
Tinuvin479(BASFジャパン社製、紫外線吸収剤) 1.0質量部
Tinuvin123(BASFジャパン社製、光安定化剤) 0.2質量部
〈インクM6〉
EPR(脂環式エポキシ樹脂) 10質量部
【0141】
【化7】

【0142】
セロキサイド2021P(ダイセル化学社製、脂環式エポキシ樹脂) 10質量部
OXT221(東亞合成社製、オキセタン化合物) 58質量部
OXT212(東亞合成社製、オキセタン化合物) 10質量部
ピグメントレッド122(マゼンタ顔料) 4.1質量部
アジスパーPB822(味の素ファインテクノ社製、顔料分散剤) 1.6質量部
KF351(信越化学工業社製、界面活性剤) 0.04質量部
IRGANOX1076(BASFジャパン社製、増感助剤) 1質量部
SPG(プロピレンカーボネート67%溶液、酸発生剤) 4.5質量部
Tinuvin479(BASFジャパン社製、紫外線吸収剤) 0.4質量部
Tinuvin123(BASFジャパン社製、光安定化剤) 0.2質量部
〈インクC3〉
EPR(脂環式エポキシ樹脂) 5質量部
セロキサイド2021P(ダイセル化学社製、脂環式エポキシ樹脂) 5質量部
セロキサイド3000(ダイセル化学社製、脂環式エポキシ樹脂) 10質量部
OXT221(東亞合成社製、オキセタン化合物) 42質量部
EX−211(ナガセケムテックス社製、エポキシ化合物) 10質量部
E4030(新日本理化製、エポキシ化植物油) 10質量部
ピグメントブルー15:4(シアン顔料) 2.5質量部
アジスパーPB824(味の素ファインテクノ社製、顔料分散剤) 1.0質量部
KF351(信越化学工業社製、界面活性剤) 0.04質量部
IRGANOX1076(BASFジャパン社製、増感助剤) 1質量部
トリイソプロパノールアミン(重合禁止剤) 0.025質量部
SPG(プロピレンカーボネート67%溶液、酸発生剤) 3.8質量部
Tinuvin123(BASFジャパン社製、光安定化剤) 0.2質量部
〈インクK2〉
EPR(脂環式エポキシ樹脂) 20質量部
OXT221(東亞合成社製、オキセタン化合物) 62質量部
E4030(新日本理化製、エポキシ化植物油) 10質量部
ピグメントブラック7(ブラック顔料) 2.5質量部
アジスパーPB824(味の素ファインテクノ社製、顔料分散剤) 0.9質量部
KF351(信越化学工業社製、界面活性剤) 0.04質量部
IRGANOX1076(BASFジャパン社製、増感助剤) 1質量部
SPG(プロピレンカーボネート67%溶液、酸発生剤) 3.8質量部
2−メチルアミノエタノール(重合禁止剤) 0.04質量部
Tinuvin123(BASFジャパン社製、光安定化剤) 0.1質量部
〔インクの評価〕
得られたインクについて、実施例1と同様に評価した。ただし、インク硬化層の吸光度測定では、LEDランプを低圧水銀灯(254nm、基材面の照度が10mW/cm)に変更して、低圧水銀灯の直下に30秒置いて硬化させ、耐候性の評価では、LEDランプを254nmに主ピークを持つ低圧水銀灯(基材面の照度が10mW/cm)に変更して画像形成を行った。
【0143】
カラーバランスの評価は、上記調製したインクを表4に示す組み合わせでインクセットとして評価した。
【0144】
評価の結果を表3、4に示す。
【0145】
【表3】

【0146】
【表4】

【0147】
表より、カラーインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度が、ブラックインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度に対し80〜110%である本発明のインクは、耐候性及び長期経時後のカラーバランスに優れていることが分かる。
【0148】
実施例3
〔インクの調製〕
実施例1のY1、M1、C1インクの調製において、紫外線吸収剤と光安定化剤の種類と量を表5に示すように変更し、これらにOXT221(東亞合成社製、オキセタン化合物)を加え全体量を100部としたものを混合し、それぞれY8〜Y16、M7〜M8、C4インクを調製した。
【0149】
〔インクの評価〕
得られたインクについて、実施例1と同様に評価した。
【0150】
カラーバランスの評価は、上記調製したインクを表6に示す組み合わせでインクセットとして評価した。
【0151】
評価の結果を表5、6に示す。
【0152】
【表5】

【0153】
【表6】

【0154】
表より、カラーインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度が、ブラックインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度に対し80〜110%である本発明のインクは、耐候性及び長期経時後のカラーバランスに優れていることが分かる。
【0155】
実施例4
〔インクの調製〕
実施例2のY7、M6の調製において、酸発生剤(重合開始剤)と光安定化剤の量を表7に示すように変更し、これらにOXT221(東亞合成社製、オキセタン化合物)を加え全体量を100部としたものを混合し、それぞれY7−1〜Y7−4、M6−1〜M6−2インクを調製した。
【0156】
〔インクの評価〕
得られたインクについて、実施例1と同様に評価した。さらに、下記方法で感度(硬化感度)を評価した。
【0157】
(感度)
厚さ50μmのPETフィルム上に、上記インク組成物を厚さ3μmとなるようにワイヤーバーにて塗布した後、低圧水銀灯(254nm、基材面の照度が10mW/cm)の直下に置き、タックがなくなる(触指により指紋跡が残らない状態)時間を感度の指標とし、下記基準で評価した。
【0158】
◎:硬化時間が10秒未満
○:硬化時間が10以上、20秒未満
△:硬化時間が20以上、30秒未満
×:硬化時間が30秒以上
評価の結果を表7に示す。
【0159】
【表7】

【0160】
表より、インクK1と組み合わせて用いられるインクセットのカラーインクである、光安定化剤の含有量が酸発生剤の含有量の2〜15質量%である本発明のインクは、比較例に較べ耐候性と感度を両立できることが分かる。
【0161】
実施例5:VEカチオンインク
〔インクの調製〕
下記のインク組成に示される各成分と、Y、M、Cインクにおいては下記表5に示される紫外線吸収剤と光安定化剤をそれぞれ用い、これらにトリエチレングリコールジビニルエーテル(VE−1)を加え全体量を100部としたものを混合し、インクを調製した。
【0162】
顔料は顔料分散剤と一緒にトリVE−1にて高濃度分散体として調製し、添加した。この際に、インクとなった場合の重合性組成物の組成比率が変わらないよう、過剰に添加されるVE−1は予め減らしておいた。
【0163】
〈インクY17〉
トリエチレングリコールジビニルエーテル 59.1質量部
ジエチレングリコールジビニルエーテル 10質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートトリビニルエーテル
15質量部
ピグメントエロー150(イエロー顔料) 3.4質量部
アジスパーPB824(味の素ファインテクノ社製、顔料分散剤) 1.2質量部
KF351(信越化学工業社製、界面活性剤) 0.04質量部
CPI−100P(トリアリルスルホニウム塩のプロピレンカーボネート50%溶液、サンアプロ社製、酸発生剤) 8質量部
DEA(川崎化成社製、9.10−ジエトキシアントラセン、増感剤) 2質量部
2−メチルアミノエタノール(重合禁止剤) 0.02質量部
Tinuvin479(BASFジャパン社製、紫外線吸収剤) 1.0質量部
Tinuvin123(BASFジャパン社製、光安定化剤) 0.2質量部
〈インクM9〉
トリエチレングリコールジビニルエーテル 58.6質量部
ジエチレングリコールジビニルエーテル 10質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートトリビニルエーテル
15質量部
ピグメントレッド122(マゼンタ顔料) 4.1質量部
アジスパーPB822(味の素ファインテクノ社製、顔料分散剤) 1.6質量部
KF351(信越化学工業社製、界面活性剤) 0.04質量部
CPI−100P(トリアリルスルホニウム塩のプロピレンカーボネート50%溶液、サンアプロ社製、酸発生剤) 8質量部
DEA(川崎化成社製、9.10−ジエトキシアントラセン、増感剤) 2質量部
2−メチルアミノエタノール(重合禁止剤) 0.02質量部
Tinuvin479(BASFジャパン社製、紫外線吸収剤) 0.4質量部
Tinuvin123(BASFジャパン社製、光安定化剤) 0.2質量部
〈インクC5〉
トリエチレングリコールジビニルエーテル 61.1質量部
ジエチレングリコールジビニルエーテル 10質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートトリビニルエーテル
15質量部
ピグメントブルー15:4(シアン顔料) 2.5質量部
アジスパーPB824(味の素ファインテクノ社製、顔料分散剤) 1.0質量部
KF351(信越化学工業社製、界面活性剤) 0.04質量部
CPI−100P(トリアリルスルホニウム塩のプロピレンカーボネート50%溶液、サンアプロ社製、酸発生剤) 8質量部
DEA(川崎化成社製、9.10−ジエトキシアントラセン、増感剤) 2質量部
2−メチルアミノエタノール(重合禁止剤) 0.02質量部
Tinuvin479(BASFジャパン社製、紫外線吸収剤) 0.3質量部
〈インクK3〉
トリエチレングリコールジビニルエーテル 61.5質量部
ジエチレングリコールジビニルエーテル 10質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートトリビニルエーテル
15質量部
ピグメントブラック7(ブラック顔料) 2.5質量部
アジスパーPB824(味の素ファインテクノ社製、顔料分散剤) 0.9質量部
KF351(信越化学工業社製、界面活性剤) 0.04質量部
CPI−100P(トリアリルスルホニウム塩のプロピレンカーボネート50%溶液、サンアプロ社製、酸発生剤) 8質量部
DEA(ジエトキシアントラセン、増感剤) 2質量部
2−メチルアミノエタノール(重合禁止剤) 0.04質量部
〔インクの評価〕
得られたインクについて、実施例1と同様に評価した。
【0164】
カラーバランスの評価は、上記調製したインクを表9に示す組み合わせでインクセットとして評価した。
【0165】
評価の結果を表8、9に示す。
【0166】
【表8】

【0167】
【表9】

【0168】
表より、カラーインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度が、ブラックインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度に対し80〜110%である本発明のインクは、耐候性及び長期経時後のカラーバランスに優れていることが分かる。
【符号の説明】
【0169】
1 記録装置
2 ヘッドキャリッジ
3 記録ヘッド
4 照射手段
5 プラテン部
6 ガイド部材
7 蛇腹構造
8 メタルハライドランプ線光源
P 記録材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラックインクとカラーインクからなる活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセットにおいて、カラーインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度が、ブラックインク硬化膜を3μm厚さで測定したときの340nmにおける吸光度に対し80〜110%であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット。
【請求項2】
前記カラーインクが2種以上からなり、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット。
【請求項3】
光安定化剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット。
【請求項4】
酸発生剤及びカチオン重合性モノマーを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット。
【請求項5】
前記光安定化剤の含有量が前記酸発生剤の含有量の2〜15質量%であることを特徴とする請求項4に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット。
【請求項6】
増感剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセット。
【請求項7】
基材上に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセットを用いてインクジェット方式にて画像を吐出した後、低圧水銀灯を照射して画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
基材上に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクセットを用いてインクジェット方式にて画像を吐出した後、LEDを照射して画像を形成することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−188478(P2012−188478A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51140(P2011−51140)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(305002394)コニカミノルタIJ株式会社 (317)
【Fターム(参考)】