説明

活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、その硬化物及びフィルム

【課題】タッチパネル等の表面を保護するハードコート層を形成するための活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供する。
【解決手段】重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000の範囲であるポリアルキレングリコール(C)と、ポリイソシアネート(D)と、分子構造中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(E)とを必須の原料成分として反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)と、多官能(メタ)アクリレート(B)とを、(A)と(B)との質量比[(A)/(B)]が0.1/99.9〜15/85の範囲となるように含有し、かつ、前記多官能(メタ)アクリレート(B)として、モノマー型の4官能以上の(メタ)アクリレート(b1)と、重量平均分子量(Mw)が600〜3,000の範囲であるオリゴマー型の多官能(メタ)アクリレート(b2)とを併用することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチパネル表面を保護するハードコート層を形成するための活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、ゲーム機、カーナビゲーション等、タッチパネルディスプレイを搭載した機器が増えている。タッチパネルの表面を保護するコードコート層には耐擦傷性と共に指紋跡が付着しにくい、付着した指紋跡が目立ちにくい、付着した指紋跡を拭き取りやすい等のいわゆる耐指紋性が求められる。耐指紋性の中でも最も重視されるのは付着した指紋跡の目立ちにくさである。
【0003】
ハードコート層には、その表面に凹凸を付与することで付着した指紋跡を目立たなくしたハードコート層がある(アンチグレアタイプのハードコート層)。アンチグレアタイプのハードコート層は、例えば、アルミニウムアルコキシド、有機溶剤及びキレート化剤からなる混合溶液に水を加えてアルミナゾル液をプラスチックフィルム上に塗布し、乾燥してアモルファスアルミナ層を形成した後、該アルミナ層を電気伝導率が200μS/cm以下の温水に浸漬し、アルミナ層の表面を凹凸化することにより得られる。
【0004】
アンチグレアタイプのハードコート層を形成するには、前記のような煩雑な工程を要する。しかも、アンチグレアタイプのハードコート層を通して得られる画像は精細性に欠ける欠点がある。
【0005】
別の種類のハードコート層として、表面に凹凸のないハードコート層がある(クリアタイプのハードコート層)。クリアタイプのハードコート層は、表面に凹凸がないため高精彩である。加えて、プラスチックフィルム上にハードコート剤と塗布し乾燥させれば良く、ハードコート層を形成しやすい利点がある。しかしながら、クリアタイプのハードコート層では表面に凹凸がないため、ハードコート層に付着した指紋跡が目立ちやすい。その為、指紋跡の目立ちにくさと共に付着した指紋跡の拭き取りやすさも要求されている。
【0006】
指紋跡が目立ちにくく、且つ、付着した指紋跡が拭き取りやすいハードコート層を得るための組成物として、例えば、重量平均分子量(Mw)が1000〜3000程度のポリエーテルポリオール由来のポリエーテル骨格を分子構造内に有し、片末端が(メタ)アクリロイル基であるウレタン(メタ)アクリレートを含む光硬化性樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に開示されている光硬化性組成物では、未だ付着した指紋跡の拭き取りやすさが十分ではなく、耐指紋性と耐擦傷性とを高いレベルで兼備するハードコート剤の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−255301(第2頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、クリアタイプのハードコート層用の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であって、硬化塗膜が耐指紋性と耐擦傷性度とを高いレベルで兼備する、即ち、指紋跡が目立ちにくく、付着した指紋跡が拭き取りやすく、しかも高硬度な塗膜となる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、該組成物を効果してなる硬化物及び該組成物の硬化層を有するフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000の範囲であるポリアルキレングリコール(C)を必須の原料成分として反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)含有する組成物を用いることにより、指紋跡が目立ちにくく、しかも付着した指紋が拭き取りやすいハードコート層が得られること、該組成物を硬化させてなる硬化層は耐擦傷性にも優れること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000の範囲であるポリアルキレングリコール(C)と、ポリイソシアネート(D)と、分子構造中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(E)とを必須の原料成分として反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)と、多官能(メタ)アクリレート(B)とを、(A)と(B)との質量比[(A)/(B)]が[0.1/99.9]〜[15/85]の範囲となるように含有し、前記多官能(メタ)アクリレート(B)として、モノマー型の4官能以上の(メタ)アクリレート(b1)と、量平均分子量(Mw)が600〜3,000の範囲であるオリゴマー型の多官能(メタ)アクリレート(b2)とを併用することを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、前記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化物を提供するものである。
【0012】
更に、本発明は、前記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させてなる硬化層をフィルム状基材上に有することを特徴とするフィルムを提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いることで、耐擦傷性に優れ、かつ、付着した指紋跡が目立ちにくく、付着した指紋を拭き取りやすいハードコート層を形成することが出来る。その為、タッチパネルディスプレイ等の指紋跡が付着しやすい物品のハードコート層を形成するための組成物として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を以下に詳細に説明する。本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)は、重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000の範囲であるポリアルキレングリコール(C)と、ポリイソシアネート(D)と、分子構造中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(E)とを必須の原料成分として反応させて得られるものである。指紋跡を目立ちにくくするには、指紋跡の表面での光の乱反射を抑えるために指紋跡をなるべく平たくぬれ広がらせることが必要である。一方、拭取りやすくするためにはハードコート層と指紋跡との接触面積をなるべく小さくすることが必要である。このように、指紋跡の目立ちにくさと指紋跡の拭取りやすさは相反する性質であるところ、本発明では、ウレタン(メタ)アクリレート(A)の必須の原料成分として、重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000の範囲であるポリアルキレングリコール(C)を用いる事によって、上記相反する性質を共に満足する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を完成するに至った。
【0015】
尚、本発明において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は下記条件のゲルパーミアーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC−8220GPC
カラム ;東ソー株式会社製 TSK−GUARDCOLUMN SuperHZ−L
+東ソー株式会社製 TSK−GEL SuperHZM−M×4
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC−8020modelII
測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 0.35ml/分
標準 ;単分散ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0016】
本発明で用いるポリアルキレングリコール(C)は重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000の範囲であるが、中でも、指紋成分のなじみやすさと耐擦傷性、相溶性とのバランスが良好な組成物が得られることから重量平均分子量(Mw)が7,000〜20,000の範囲であるポリアルキレングリコールが好ましく、重量平均分子量(Mw)が10,000〜15,000の範囲であるポリアルキレングリコールがより好ましい。
【0017】
ウレタン(メタ)アクリレート(A)中に含まれるポリアルキレングリコール由来のポリアルキレンオキシ鎖の数は、用いるポリアルキレングリコールの分子量により異なるが、指紋成分のなじみやすさと耐擦傷性、相溶性とのバランスが良好な組成物が得られることから通常平均1〜20個が好ましく、平均1〜10個がより好ましい。ポリアルキレングリコールの重量平均分子量(Mw)が10.000〜15,000の範囲である場合には、1〜3個が好ましい。
【0018】
ウレタン(メタ)アクリレート(A)において、含有するポリアルキレンオキシ鎖の数を少なくし、一つあたりのポリアルキレンオキシ鎖の重量平均分子量(Mw)を大きくしたウレタン(メタ)アクリレート(A)を用いた場合、ウレタン(メタ)アクリレート(A)の配合量を少なくしても指紋の目立ちにくい硬化塗膜が得られる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が得られる。反対に、ウレタン(メタ)アクリレート(A)中のポリアルキレンオキシ鎖の数を多くし、一つあたりのポリアルキレンオキシ鎖の重量平均分子量(Mw)を小さくしたウレタン(メタ)アクリレート(A)を用いた場合、透明性に優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が得られる。
【0019】
前記ポリアルキレングリコール(C)としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。上記ポリアルキレングリコールの中でも、指紋跡が目立ちにくいハードコート層が得られる事からポリプロピレングリコールが好ましい。
【0020】
本発明で用いるポリイソシアネート(D)は、例えば、ジイソシアネート、3つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート等が挙げられる。前記ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。前記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
【0021】
前記脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート及びリジンジイソシアネートが挙げられる。
【0022】
前記脂環式ジイソシアネートとしては、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4´−ジイソシアネート、及び1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、水添TDI、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0023】
前記3つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートとしては、例えば、1種または2種以上の脂肪族ジイソシアネート化合物を、第4級アンモニウム塩等のイソシアヌレート化触媒の存在下あるいは非存在下において、イソシアヌレート化することにより得られるものであって、3量体、5量体、7量体等のイソシアヌレートの混合物からなるもの等が挙げられる。具体例としては、例えば、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート型ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型ポリイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートのイソシアヌレート型ポリイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートのイソシアヌレート型ポリイソシアネート等が挙げられる。これらのポリイソシアネート(D)はそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0024】
これらの中でも芳香族ジイソシアネート又は脂環式ジイソシアネートが好ましく、中でもトリレンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
【0025】
本発明で用いる分子構造中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(E)は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を一つ有するヒドロキシ(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を二つ以上有するヒドロキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0026】
これらの中でも、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリロイル基を一つ有するヒドロキシ(メタ)アクリレートが付着した指紋跡が目立ちにくく、付着した指紋を拭き取りやすいハードコート層が得られることから好ましい。
【0027】
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)は、重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000の範囲であるポリアルキレングリコール(C)と、ポリイソシアネート(D)と、分子構造中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(E)とを必須の原料成分として反応させて得られるものである。
【0028】
ウレタンアクリレート(A)は、例えば、ポリアルキレングリコール(C)とポリイソシアネート(D)とを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、分子構造中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートと(E)を反応させる方法(以下、「方法1」と略記する)により得る事ができる。また、別の方法としては、過剰量のポリイソシアネート(D)と分子構造中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(E)とを反応させた後、イソシアネート(D)の残ったイソシアネート基に対してポリアルキレングリコール(C)を反応させる方法(以下、「 方法2」と略記する)によっても得られる。ポリイソシアネート(D)がジイソシアネートの場合は、方法1による反応が好ましく、ポリイソシアネート(D)が3つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートの場合は、方法2による反応が好ましい。
【0029】
前記方法1において、ポリアルキレングリコール(C)とポリイソシアネート(D)とを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、種々の方法で得る事ができる。例えば、ポリアルキレングリコールとジイソシアネートとをオクタン酸スズ(II)500ppmを触媒とし、重合禁止剤メトキノン300ppm存在下、80℃で2時間反応させることで得られる。
【0030】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを得る際のポリアルキレングリコール(C)のヒドロキシル基のモル数Fと、ポリイソシアネート(D)のイソシアネート基のモル数Fとの比[F/F]は1/1.05〜1/3が好ましく、1/1.2〜1/3がより好ましい
【0031】
前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと分子構造中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(E)とは、例えば、オクタン酸スズ(II)500ppmを触媒とし、重合禁止剤メトキノン300ppm存在下、80℃で2時間反応させる。
【0032】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと分子構造中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(E)とは、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基のモル数FNCOと、分子構造中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート中のヒドロキシル基のモル数Fとの比[FNCO/F]が1/1〜1/1.2の範囲となるように反応させることが好ましく、1/1.01〜1/1.05の範囲となるように反応させることがより好ましい。
【0033】
このようにして得られる本発明のウレタン(メタ)アクリレート(A)は、指紋成分のなじみやすさと耐擦傷性、相溶性とのバランスが良好な組成物が得られることから、重量平均分子量(Mw)が15,000〜70,000の範囲が好ましく、20,000〜55,000の範囲がより好ましい。
【0034】
本発明で用いる多官能(メタ)アクリレート(B)は、モノマー型の多官能(メタ)アクリレート(b1)と、重量平均分子量(Mw)が600〜3,000の範囲であるオリゴマー型の多官能(メタ)アクリレート(b2)とを併用するものである
【0035】
モノマー型の4官能以上の(メタ)アクリレート(b1)としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレート、および、上記した4官能以上の(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
前記重量平均分子量(Mw)が600〜3,000の範囲であるオリゴマー型の多官能(メタ)アクリレート(b2)としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレート(b2)はそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。該多官能(メタ)アクリレートは、重量平均分子量(Mw)が600〜3,000の範囲であることで、得られる塗膜が耐擦傷性に優れる点で好ましい。
【0037】
本発明で用いる多官能(メタ)アクリレート(b2)の中でも、耐擦傷性に優れる硬化塗膜が得られる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから、重量平均分子量(Mw)が600〜3,000の範囲であるオリゴマー型の多官能(メタ)アクリレート(b2)が好ましく、多官能ウレタン(メタ)アクリレートが特に好ましい。また、該多官能ウレタン(メタ)アクリレートはペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応物が好ましい。
【0038】
さらに、硬化性が高く耐摩耗性、透明性に優れるハードコート層が得られることから、前記ウレタン(メタ)アクリレートと、モノマー型の4官能以上の(メタ)アクリレート(b1)を併用する。モノマー型の4官能以上の(メタ)アクリレート(b1)としてはジペンタエリスリトールペンタアクリレートやジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いることが好ましく、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物を用いることがより好ましい。このとき、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(b5)とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(b6)との質量比〔(b5)/(b6)]は3/7〜7/3の範囲であることが好ましく、4/6〜5/5の範囲であることがより好ましい。さらに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(b5)とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(b6)との混合物(b56)と、ウレタン(メタ)アクリレート(b4)との質量比[(b56)/(b4)]は[1/2]〜[2/1]の範囲であることが好ましい。
【0039】
本発明では、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)と多官能(メタ)アクリレート(B)とを、質量比[(A)/(B)]が[0.1/99.9]〜[15/85]の範囲となるように含有することを特徴とする。前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)を上記範囲で用いることによりハードコート層の硬度を下げることなく付着した指紋跡が目立ちにくく、且つ、付着した指紋を容易に拭き取ることができるハードコート層が得られる。ウレタン(メタ)アクリレート(A)と多官能(メタ)アクリレート(B)は、質量比〔(A)/(B)〕で0.1/99.9〜10/90の範囲で含有することが好ましく、質量比〔(A)/(B)〕で0.1/99〜5/95の範囲で含有することがより好ましい。
【0040】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲で有機溶剤を混合させても良い。有機溶剤としては、通常、沸点が50〜200℃のものが、塗工時の作業性、硬化前後の乾燥性に優れる活性エネルギー線硬化型塗料用樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料が得られる点から好ましく、例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、またはこれらの混合物類等が挙げられる。
【0041】
本発明で得られる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に有機溶剤を含ませた場合は、例えば、活性エネルギー線硬化型塗料用樹脂組成物を支持体に塗布し支持体上に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の層を形成した後、該層に活性エネルギー線を照射する前に有機溶剤を除去するのが好ましい。有機溶剤を除去する手段としては、例えば、熱風乾燥機等を用いることができる。また、有機溶剤の使用量は、特に限定されないが、通常は塗料の固形分濃度が10〜70質量%となる範囲である。
【0042】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物には、目的に応じて、光重合開始剤を添加することが出来る。光重合開始剤としては、各種のものが使用できる。光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン等の水素引き抜きによってラジカルを発生するタイプの化合物等が挙げられる。これらの化合物は、メチルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミン等の第三アミンと併用するのが一般的である。
【0043】
更に、光重合開始剤として、例えば、分子内開裂によってラジカルを発生するタイプの化合物も挙げられる。具体的には、例えば、ベンゾイン、ジアルコキシアセトフェノン、アシルオキシムエステル、ベンジルケタール、ヒドロキシアルキルフェノン、ハロゲノケトン等が挙げられる。
【0044】
また、必要により、光重合開始剤と併用して、ハイドロキノン、ベンゾキノン、トルハイドノキノン、パラターシャリーブチルカテコールの如き重合禁止剤類などを添加することもできる。
【0045】
また、塗膜表面の平滑性を向上させる目的で、フッ素系、シリコーン系、炭化水素系等の各種レベリング剤を、耐指紋性を損なわない範囲の添加量で(0.005〜1質量%程度)添加することができる。更に、塗膜硬度を向上させる目的で、シリカゲル等の無機微粒子(粒径5〜100nm)を透明性を損なわない範囲の添加量で(0.1〜50質量%程度)添加することができる。
【0046】
本発明の硬化物は前記エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させてなる。活性エネルギー線としては、例えば、電子線、紫外線、ガンマ線などを挙げることができる。照射条件は、保護層を得るのに用いた活性エネルギー線硬化型塗料の組成に応じて定められるが、紫外線照射の場合、通常積算光量が10〜5000mj/cmとなるように照射するのが好ましく、積算光量が50〜1000mj/cmとなるように照射するのがより好ましい。また、電子線を照射する場合には1〜5Mradの照射量であることが好ましい。
【0047】
本発明のフィルムは前記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させてなる硬化層をフィルム状基材上に有する。
【0048】
前記フィルム状基材としては、例えば、また、プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、ポリカーボネートなどから製造されたフィルム等が挙げられる。
【0049】
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の層をフィルム基材上に形成する為の塗装手段としては、例えば、グラビアコート法、ロールコート法、スプレーコート法、リップコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法等が挙げられる。塗装する際には、硬化させた保護層の厚さが0.1〜400μmとなる様に塗装するのが好ましく、なかでも1〜50μmとなる様に塗装するのがより好ましい。
【0050】
有機溶剤を含有している活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いるときは、基材フィルム上に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の層を形成した後、通常有機溶剤を除去する。有機溶剤を除去する方法としては、そのまま放置して揮発するのを待っても良いし、乾燥機等を用いて乾燥させても良いが、有機溶剤を除去する際の温度は通常70〜130℃で10秒〜10分間程度が好ましい。
【0051】
前記方法等で活性エネルギー線硬化型塗料の層を形成した後、該塗料の層に活性エネルギー線を照射し、本発明のフィルムを得る。
【実施例】
【0052】
以下に実施例および比較例を示して、本発明をさらに詳しく説明する。以下において、部および%は特に断りのない限り、すべて質量基準である。
【0053】
尚、本発明の実施例において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は下記条件のゲルパーミアーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC−8220GPC
カラム ;東ソー株式会社製 TSK−GUARDCOLUMN SuperHZ−L
+東ソー株式会社製 TSK−GEL SuperHZM−M×4
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC−8020modelII
測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 0.35ml/分
標準 ;単分散ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0054】
合成例1〔ウレタンアクリレート(A1)の合成〕
ポリアルキレングリコール1〔重量平均分子量(Mw):8000〕4000g(0.5モル)、トルエンジイソシアネート174g(1モル)をフラスコに仕込んだ。触媒としてオクタン酸スズ(II)とオクタン酸亜鉛(II)をそれぞれ200ppm、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン3000ppm、重合禁止剤としてメトキノン300ppmとなるようにフラスコに加え、更に、酢酸ノルマルブチルを固形分が80%となるように加え混合し、系内の温度を80℃に調整した。
【0055】
系内に空気を吹き込みながら80℃で1時間反応させイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーを得た。その後、系内にヒドロキシエチルアクリレート116g(1モル)を投入した。系内の温度を80℃に維持し系内のイソシアネート基が完全に消失するまで反応させ重量平均分子量(Mw)19,889、数平均分子量(Mn)14,232のウレタンアクリレート(A1)を得た。
【0056】
合成例2〜3〔ウレタンアクリレート(A2)、(A3)の合成〕
第1表に示す原料及び配合量で合成を行う以外は合成例1と同様にしてウレタンアクリレート(A2)及びウレタンアクリレート(A3)を得た。ウレタンアクリレート(A2)及び(A3)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の値を第1表に示す。
【0057】
合成例4〔ウレタンアクリレート(A4)の合成〕
IPDI(イソホロンジイソシアネート)ヌレート266g(0.4モル)、HPA104g(0.8モル)をフラスコに仕込んだ。触媒としてオクタン酸スズ(II)とオクタン酸亜鉛(II)をそれぞれ200ppm、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン3000ppm、重合禁止剤としてメトキノン300ppmとなるようにフラスコに加え、更に、酢酸ノルマルブチルを固形分が80%となるように加え混合し、系内の温度を80℃に調整した。系内に空気を吹き込みながら80℃で1時間反応させイソシアネート基を含有するウレタンアクリレートを得た。その後、系内にポリアルキレングリコール2〔重量平均分子量(Mw):15000〕3000g(0.2モル)を投入した。系内の温度を80℃に維持し系内のイソシアネート基が完全に消失するまで反応させウレタンアクリレート(A4)を得た。ウレタンアクリレート(A4)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の値を第1表に示す。
【0058】
合成例5〔比較対照用ウレタン(メタ)アクリレート(a1)の合成〕
第1表に示す原料及び配合量で合成を行う以外は合成例1と同様にして比較対照用ウレタンアクリレート(a1)を得た。ウレタンアクリレート(a1)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の値を第1表に示す。
【0059】
合成例6〔比較対照用ウレタン(メタ)アクリレート(a2)の合成〕
ポリアルキレングリコール3〔重量平均分子量(Mw):2000〕4000g(2モル)、イソホロンジイソシアネート222g(1モル)をフラスコに仕込んだ。触媒としてオクタン酸スズ(II)とオクタン酸亜鉛(II)をそれぞれ200ppm、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン3000ppm、重合禁止剤としてメトキノン300ppmとなるようにフラスコに加え、更に、酢酸ノルマルブチルを固形分が80%となるように加え混合し、系内の温度を80℃に調整した。
【0060】
系内に空気を吹き込みながら80℃で1時間反応させ、系内のイソシアネート基が完全に消失するまで反応させウレタン樹脂(a2)を得た。ウレタンアクリレート(a2)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の値を第1表に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
第1表の脚注
※表中の値はモル数
ポリアルキレングリコール1:重量平均分子量(Mw)が8000のポリプロピレンオキシ鎖を有するグリコール。
ポリアルキレングリコール2:重量平均分子量(Mw)が15000のポリプロピレンオキシ鎖を有するグリコール。
ポリアルキレングリコール3:重量平均分子量(Mw)が2000のポリプロピレンオキシ鎖を有するグリコール。
TDI:トルエンジイソシアネート
H12MDI:4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)
IPDI:イソホロンジイソシアネート
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
HPA:ヒドロキシプロピルアクリレート
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート
【0063】
合成例7〔多官能(メタ)アクリレート(B)の合成〕
ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(質量比60/40)535.5質量部をフラスコに仕込んだ。触媒としてオクタン酸スズ(II)とオクタン酸亜鉛(II)をそれぞれ200ppm、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン3000ppm、重合禁止剤としてメトキノン300ppmとなるようにフラスコに加え、更に酢酸ノルマルブチルを固形分が80%となるように混合し、系内の温度を50℃に調整した。
【0064】
系内に空気を吹き込みながらヘキサメチレンジイソシアネート84質量部を3分割して加えた。系内の温度を80℃に上げ、80℃にて系内のイソシアネート基が完全に消失するまで反応させウレタンアクリレート(B1)を得た。GPC分析によるとウレタンアクリレート(B1)の量平均分子量(Mw)は1,400であった。また、アクリロイル当量は109g/molであった。
【0065】
実施例1
ウレタンアクリレート(A1)3部、ウレタンアクリレート(B1)48.5部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(質量比40/60)48.5部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン4質量部、酢酸ノルマルブチル104部を混合し、固形分量が50%の活性エネルギー線硬化型組成物(1)を得た。組成物(1)を用いて下記条件にてフィルム上にハードコート層を形成し、ハードコート層の硬度、付着した指紋跡の目立ちにくさ及び付着した指紋跡の拭き取りやすさを下記基準に従って評価した。付着した指紋跡の目立ちにくさ及び付着した指紋跡の拭き取りやすさは、ハードコート層を形成した初期段階と指紋跡の付着と除去を20回繰り返した後の段階のそれぞれについて評価した。付着した指紋跡の除去は、後述する指紋跡の拭き取りやすさの評価方法で行った。尚、ウレタンアクリレート(B1)48.5部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(質量比40/60)48.5部の混合物のアクリロイル当量は104g/molであった。
【0066】
<ハードコート層の形成方法>
組成物(1)PETフィルムに乾燥膜厚が5μmになるようにバーコーターを用いて塗工した。70℃で5分間溶剤を乾燥させた後、高圧水銀灯(80W/cm)で照射量が500mJ/cmとなるように紫外線を照射し、ハードコート層を得た。尚、紫外線の照射は窒素雰囲気下で行った。
【0067】
<硬度の評価方法>
JIS K5600−5−4にしたがって鉛筆硬度測定を行った。1つの硬度につき5回測定を行い、4回以上傷がつかない硬度を硬化塗膜の有する硬度とした。
【0068】
<指紋跡の目立ちにくさの評価(定量評価)>
指紋跡の目立ちにくさは視認角度で定量評価した。視認角度とは、ハードコート層に付着させた指紋跡に対する目視角度を90度から徐々に下げていき、指紋跡が確認され始める角度をいう。視認角度が小さいほど、指紋跡の目立ちにくさが良好である。
【0069】
<指紋跡の拭き取り易さの評価(定量評価)>
指紋跡の拭き取り易さは、指紋跡をハードコート層から除去する際のふき取り回数で評価した。具体的には、ハードコート層に付着させた指紋跡の上にティッシュペーパーを1Kg(5.7平方センチメートルあたり)で往復させ、付着した指紋跡が完全に見えなくなるまでの往復回数で定量評価した。この往復回数が少ないほど、指紋跡の拭取りやすさが良好である。
【0070】
実施例2〜4及び比較例1〜3
第2表に示す配合で行う以外は実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化型樹脂組成物2〜4及び比較対照用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1’〜3’を調製した。実施例1と同様の評価を行った結果を第3表に示す。
【0071】
【表2】

【0072】
第2表の脚注
多官能アクリレート(B2):ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(質量比40/60)
多官能アクリレート(B1)と多官能アクリレート(B2)とを質量比1:1で混合した混合物のアクリロイル基当量は104g/mol
光開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
希釈溶剤:酢酸ノルマルブチル
【0073】
【表3】

【0074】
更に、組成物(1)〜(4)及び組成物(1´)〜(3)のハードコート層の初期の指紋跡の目立ちにくさと初期の指紋跡のふき取り易さについてのブラインドテストを行った。具体的には、無作為に選んだ15人の評価者が、組成物名を伏せた状態で指紋跡の目立ちにくさと指紋跡の拭取りやすさが共に最も優れていると感じる組成物をそれぞれ選択した。第3表に示す評価は各組成物を選択した評価者の人数を示す。
【0075】
上記実施例の結果から、本願発明の範疇である実施例1〜4は、比較例よりも初期の指紋跡の目立ちにくさ及びふき取り易さが優れていた。また、比較例では20回ふき取り後の指紋跡の目立ちにくさ及びふき取り易さが初期よりも低下するのに対し、実施例では初期と20回ふき取り後の差がないことから、耐久性にも優れていることが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000の範囲であるポリアルキレングリコール(C)と、ポリイソシアネート(D)と、分子構造中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(E)とを必須の原料成分として反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)と、多官能(メタ)アクリレート(B)とを、(A)と(B)との質量比[(A)/(B)]が0.1/99.9〜15/85の範囲となるように含有し、かつ、前記多官能(メタ)アクリレート(B)として、モノマー型の4官能以上の(メタ)アクリレート(b1)と、重量平均分子量(Mw)が600〜3,000の範囲であるオリゴマー型の多官能(メタ)アクリレート(b2)とを併用することを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリアルキレングリコール(C)としてポリプロピレングリコールを用いることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリイソシアネート(D)として脂環式ジイソシアネートを用いることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(E)として(メタ)アクリロイル基を一つ有するヒドロキシ(メタ)アクリレートを用いることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)が、ポリアルキレングリコール(C)とポリイソシアネート(D)とを、ポリアルキレングリコール(C)のヒドロキシル基のモル数Fと、ポリイソシアネート(D)のイソシアネート基のモル数Fとの比[F/F]が1/1.05〜1/3となる範囲で反応させてイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを得、該イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと分子構造中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(E)とを、イソシアネート基含有プレポリマーのイソシアネート基のモル数FNCOと分子構造中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(E)のヒドロキシル基のモル数Fとの比[FNCO/F]が1/1〜1/1.2となる範囲で反応させて得られるものである請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項6】
前記重量平均分子量(Mw)が600〜3,000の範囲であるオリゴマー型多官能(メタ)アクリレート(b2)が多官能ウレタン(メタ)アクリレートである請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項7】
前記モノマー型の4官能以上の(メタ)アクリレート(b1)と分子量が600〜3,000の範囲であるオリゴマー型多官能(メタ)アクリレート(b2)との質量比[(b1)/(b2)]が1/2〜2/1の範囲である請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化物。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させてなる硬化層をフィルム状基材上に有することを特徴とするフィルム。

【公開番号】特開2012−21162(P2012−21162A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198218(P2011−198218)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【分割の表示】特願2011−503279(P2011−503279)の分割
【原出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】