説明

活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、凹凸形状物品及び光記録媒体

【課題】ポリカーボネート製鋳型からの離型性が良好で、硬化収縮による基板の反りが小さい硬化物を得ることが可能な活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリブタジエン骨格、ポリイソプレン骨格、水添ポリブタジエン骨格又は水添ポリイソプレン骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー5〜35質量部、(B)分子量が1000以下で下記試験に陰性の(メタ)アクリロイル基含有化合物65〜95質量部及び(C)下記試験に陽性の化合物0〜5質量部を含む活性エネルギー線硬化型樹脂組成物;及びこれを用いた物品又は光記録媒体。(ポリカーボネート樹脂溶解性試験)3mm厚のポリカーボネート板上に被試験液0.3ml滴下、20℃10分間静置、これをふき取り後のヘイズ値の増加が10.0を超える場合は「陽性」、10.0以下の場合は「陰性」と評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート製鋳型からの離型性が良好であり、硬化収縮が小さい硬化物を得ることが可能な活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射することにより短時間で硬化し、その硬化物に強靭性、柔軟性、耐擦傷性、耐候性、耐薬品性等の優れた特性を付与できる。このことから、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、木工被覆材、塩ビ床被覆材、プラスチック成型品、プラスチック成型品の被覆材、プラスチックフィルム、光ファイバー被覆材、光記録媒体被覆材、注型等の多くの産業用途に使用されている。
【0003】
特に光記録媒体分野では、例えば、記録面の保護コーティング材、読み取り面の傷付き防止ハードコート材、デジタルバーサタイルディスク(以下、「DVD」という)の接着剤、レーベル面の印刷インキ等の各種用途向けに活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が多く利用されている。
【0004】
近年、DVDを越える大容量の光記録媒体として、基材、記録膜、透明カバー層を設けて透明カバー層側から青色レーザーにより情報を読み取り又は書き込むタイプの光記録媒体が開発されている。更に、高密度の光記録媒体として、記録層を多層化したタイプの光記録媒体が開発されている。
【0005】
このような多層光記録媒体では、半透明記録層と他の記録層を一定厚みで隔てる透明な中間層が必要である。この中間層の製造方法としては、例えば、信号に対応した微小な溝又はピット等を有する透明鋳型と記録層付き基材の記録層側との間に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を所望の一定膜厚となるように注入して硬化させた後に透明鋳型から離型し、得られた硬化物(中間層)の表面に記録層を形成することにより得る方法が挙げられる(特許文献1及び特許文献2)。
【0006】
また、情報を記録すべき信号に対応する微小な凹凸を形成するために開発された、離型性に優れる硬化性組成物も知られている(特許文献3、特許文献4及び特許文献5)。
【0007】
しかし、特許文献3に記載の組成物は、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及び光重合開始剤のみから構成されるので硬化収縮が大きく、光記録媒体の反りが大きくなる。また、特許文献4に記載の組成物は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エポキシアクリレート等を多く含むので硬化収縮が大きく、光記録媒体の反りが大きくなる。さらに、特許文献5に記載の組成物は、樹脂の溶解性が高い原料を多く含んでいるのでポリカーボネート等の樹脂製鋳型から離型しにくい。
【0008】
一方、重合収縮率が小さく、光記録媒体の反りが小さい組成物として、ポリブタジエン骨格又はポリイソプレン骨格含有ウレタンアクリレートを含む組成物が知られている(特許文献6)。しかし、特許文献6に記載の組成物は、テトラヒドロフルフリルアクリレートを多く含むので、多層記録媒体の中間層として使用した場合、ポリカーボネートのような樹脂鋳型からの離型性が悪い。
【0009】
また、ポリブタジエン骨格含有ウレタンアクリレート及び脂環骨格含有アクリレートからなる注型光重合用組成物が知られており、フレネルレンズなどの光学部材への応用が提案されている(特許文献7)。特許文献7では、ガラス製鋳型からの離型を行っており、ポリブタジエン骨格含有ウレタンアクリレートの配合比率を増やすことにより、ガラス製鋳型から離型する際に硬化物が割れることを防いでいる。しかし、その結果、組成物の粘度が高くなる傾向がある。粘度が高くなると薄膜塗装が困難となるので、特許文献79記載の材料は多層光記録媒体における中間層用途には適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−334490号公報
【特許文献2】特開2003−203402号公報
【特許文献3】特開昭62−88156号公報
【特許文献4】特許4247696号公報
【特許文献5】特開平5−59139号公報
【特許文献6】特開2004−299263号公報
【特許文献7】特開2003−73429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、ポリカーボネート製鋳型からの離型性が良好であり、かつ硬化収縮による基板の反りが小さい硬化物を得ることが可能な活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ポリカーボネート樹脂製の鋳型内で硬化させるための活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であって、(A)ポリブタジエン骨格、ポリイソプレン骨格、水添ポリブタジエン骨格及び水添ポリイソプレン骨格からなる群より選ばれる1以上の骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー5〜35質量部、(B)(A)成分以外の分子量が1000以下であり且つ下記ポリカーボネート樹脂溶解性試験に陰性である(メタ)アクリロイル基を有する化合物65〜95質量部、及び、(C)下記ポリカーボネート樹脂溶解性試験に陽性である化合物0〜5質量部[組成物中の重合性化合物の合計量を100質量部とする]を含む活性エネルギー線硬化型樹脂組成物である。
(ポリカーボネート樹脂溶解性試験)
3mm厚のポリカーボネート樹脂板上に被試験液0.3mlを滴下し、20℃で10分間静置した後被試験液をふき取り、ポリカーボネート樹脂板の被試験液滴下ふき取り後の箇所のヘイズ値を測定し、試験前のヘイズ値と比較して試験後のヘイズ値の増加が10.0を超える場合は「陽性」、10.0以下の場合は「陰性」と評価する。
【0013】
また本発明は、上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物からなり、その表面がポリカーボネート樹脂製鋳型の凹凸形状が転写された凹凸形状である物品である。
【0014】
また本発明は、上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物を構成要素として含む光記録媒体である。
【0015】
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」は「アクリロイル基」又は「メタクリロイル基」を意味する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、ポリカーボネート製鋳型からの離型性が良好であり、かつ硬化収縮による基板の反りが小さい硬化物を得ることが可能な活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供できる。またこの樹脂組成物を用いることで、鋳型の凹凸形状が転写され、かつ基材の反りが小さい物品や光記録媒体を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例において離型性を評価する為に使用した装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<(A)成分>
本発明において(A)成分は、ポリブタジエン骨格、ポリイソプレン骨格、水添ポリブタジエン骨格及び水添ポリイソプレン骨格からなる群より選ばれる1以上の骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである。この(A)成分は、硬化物の低反り性、及びポリカーボネート製鋳型からの離型性を向上させる成分である。
【0019】
(A)成分は、例えば下記(a1)〜(a3)成分を反応させて得られる。
(a1)ポリブタジエングリコール、ポリイソプレングリコール、水添ポリブタジエングリコール及び水添ポリイソプレングリコールからなる群より選ばれる化合物。
(a2)有機ジイソシアネート化合物。
(a3)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル。
【0020】
(a1)成分は、硬化物の低反り性、及びポリカーボネート製鋳型からの離型性を向上させる成分である。(a1)成分の具体例としては、ブタジエンやイソプレンのホモポリマーから合成されるポリブタジエングリコール及びポリイソプレングリコール等のグリコール系化合物、及び、これらに水素を付加させた水添化合物が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。特に、重量平均分子量4000以下のポリブタジエン及び/又はポリイソプレンから合成されるグリコール系化合物が好ましい。その重量平均分子量が4000以下の場合は、得られる樹脂組成物の粘度が低く、作業性に優れる傾向にある。
【0021】
(a2)成分は、(a1)成分にウレタン結合を導入し、得られる硬化物層に表面硬度を付与するための成分であり、また(a3)成分を付加するための成分でもある。(a2)成分は、得られる硬化物層に優れた記録膜の保護性能を付与する点から、加水分解性塩素量が100ppm以下であることが好ましい。また耐光性の点から、脂環骨格含有ジイソシアネート化合物がより好ましい。(a2)成分の具体例としては、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。中でも、得られる硬化物層の表面硬度に優れることから、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンが好ましい。
【0022】
(a3)成分は、(A)成分にラジカル反応性を付与する成分である。(a3)成分としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基と少なくとも1個のヒドロキシ基を有する化合物であればよく、特に限定されない。(a3)成分の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンの付加物、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンの付加物、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。中でも、得られる樹脂組成物の低粘度化の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0023】
本発明に用いる(A)成分の合成方法は特に限定されず、公知の合成方法が使用可能である。例えば(a1)成分とジラウリン酸ジ−n−ブチル錫等の触媒との混合物中に、(a2)成分を50〜90℃の条件下で滴下して反応させてポリウレタン前駆体を得、それに(a3)成分を反応させることにより合成できる。また、先に(a2)成分と(a3)成分を反応させた後、(a1)成分を反応させてもよい。
【0024】
本発明の樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、重合性化合物の合計量100質量部中、5〜35質量部、好ましくは10〜25質量部である。これら範囲の下限値は、硬化物の反り特性及び鋳型からの離型性の点で意義が有る。また上限値は、樹脂組成物の粘度低減による塗装性向上、特に薄膜塗装が容易になる点で意義が有る。なお、重合性化合物の合計量とは通常は(A)成分、(B)成分、及び、(C)成分(但し非重合性化合物は除く)の合計量であり、この合計量を100重量部基準として各成分の量を表す。また、これら以外の任意の重合性化合物を樹脂組成物をさらに含む場合は、(A)〜(C)成分とその任意の重合性化合物の合計量を100重量部基準とする。
【0025】
<(B)成分>
本発明において(B)成分は、(A)成分以外の分子量が1000以下であり且つ前記ポリカーボネート樹脂溶解性試験に陰性である(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。この(B)成分は、硬化物の鋳型からの離型性を損なわずに、樹脂組成物の粘度を低下させる成分である。
【0026】
ポリカーボネート樹脂溶解性試験は、具体的には後述する実施例において次の様に行った。まず、ポリカーボネート樹脂(商品名パンライトL−1225−Z100、帝人化成(株)製)を樹脂温度340℃、金型温度90℃、射出速度120mm/秒にて射出成型して、ポリカーボネート樹脂板(5cm×5cm×3mm)を得た。このポリカーボネート樹脂板上に、被試験液であるモノマー0.3mlを滴下し、20℃環境下にて10分間静置した。その後、ウェス(商品名キムタオル、日本製紙クレシア(株)製)でモノマーをふき取った。そしてヘイズメーター(商品名HM−65W、(株)村上色彩研究所製)を用いて、被試験液を滴下してふき取った後の箇所のポリカーボネート樹脂板のヘイズ値を測定し、以下の判断基準に従いポリカーボネート樹脂溶解性を判断した。
【0027】
陽性:試験後の増加ヘイズ値>10.0
陰性:試験後の増加ヘイズ値≦10.0
なお、試験前のヘイズ値がHzb%であり、試験後ヘイズ値がHza%である場合、増加ヘイズ値ΔHzは、Hza−Hzbで表わされる値である。増加ヘイズ値が10.0以下であると、硬化物の鋳型からの離型性が良くなる。5.0以下であると、硬化物の鋳型からの離型性が更に良くなる。
【0028】
本発明の樹脂組成物中の(B)成分の含有量は、重合性化合物の合計量100質量部中、65〜95質量部、好ましくは75〜85質量部である。これら範囲の下限値は、樹脂組成物の粘度低減の点で意義が有る。また上限値は、鋳型からの離型性の点で意義が有る。
【0029】
(B)成分の具体例としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、δ−バレロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、α−メチル−γ−ブチロラクトン変性ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、β−プロピオラクトン変性ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールに対し1分子あたり平均3個のアルキノイル基又はアルカノイル基、及び平均3個のアクリロイル基で変性した重合性化合物[商品名カヤラッドD−330、日本化薬(株)製]、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。中でも、硬化物の離型性、低反り性及び粘度の観点から、1分子あたり1〜3個の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物が好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0030】
また硬化物の耐熱性の観点から、(B)成分として、ホモポリマーとした時のガラス転移温度(Tg)が120℃以上となる化合物を併用することが好ましい。この化合物の含有量は10〜50質量部が好ましく、20〜40質量部がより好ましい。これら範囲の下限値は、硬化物の耐熱性の点で意義が有る。また上限値は、硬化物の離型性及び低反り性の点で意義が有る。このような化合物としては、特に、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが好ましい。このような化合物と、先に挙げた硬化物の離型性、低反り性及び粘度の観点から好ましい化合物とを併用すること、すなわち(B)成分として2種以上の化合物を併用することは、硬化物の耐熱性と、離型性、低反り性及び粘度とを両立させる点から特に好ましい。
【0031】
<(C)成分>
本発明において(C)成分は、前記ポリカーボネート樹脂溶解性試験に陽性である化合物である。(C)成分の具体例としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アリレート等のポリカーボネート樹脂に対する溶解性が高い(メタ)アクリル酸エステル、その他、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン等のポリカーボネート樹脂に対する溶解性が高い有機溶媒が挙げられる。
【0032】
(C)成分は、ポリカーボネート樹脂に対する溶解性が高い。したがって、本発明の樹脂組成物を注型用の成形材料として使用する場合は、鋳型に対する離型性の観点から、(C)成分の含有量は少ない方が好ましく、(C)成分が樹脂組成物に含まれていないことがより好ましい。具体的には、本発明の樹脂組成物中の(C)成分の含有量は、重合性化合物の合計量100質量部中、0〜5質量部、好ましくは0〜1質量部、より好ましくは0質量部である。
【0033】
<活性エネルギー線硬化型樹脂組成物>
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、上述した(A)成分、(B)成分及び場合によって(C)成分を含む樹脂組成物である。
【0034】
さらに、その性能を損なわない範囲内で、必要に応じて、(A)〜(C)成分以外の重合性化合物、光重合開始剤、熱可塑性高分子、離型剤、レベリング剤、酸化防止剤、防錆剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機フィラー、有機フィラー、表面有機化処理した無機フィラー等の公知の材料を含有してもよい。
【0035】
特に、光重合開始剤は、樹脂組成物の重合を促進し、効率良く硬化物を得るための成分である。樹脂組成物の重合硬化性が良好な場合は、硬化物の鋳型からの離型性が良好になる。
【0036】
光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート、2−ヒドロキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル}−フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0037】
本発明の樹脂組成物を光学物品用組成物として用いる場合、特に、読み取り及び又は書き込みに使用するレーザーが青色レーザーである光記録媒体のカバー層や中間層に使用する場合は、硬化物の青色レーザー透過率が良好となる点から、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル}−フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましい。これらは一種単独で、又は二種以上を併用して用いることができる。
【0038】
本発明の樹脂組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性化合物の合計量100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは5〜15質量部である。これら範囲の下限値は、樹脂組成物の硬化性の点で意義が有る。また上限値は、硬化物の着色を少なくする点で意義が有る。
【0039】
本発明の樹脂組成物の粘度は用途や塗工方法等に応じて適宜選択できる。例えば本発明の樹脂組成物を光学物品、多層記録型光記録媒体中間層及び注型等の用途に用いる場合には、注型作業性や消泡性の観点から25℃において10〜3000mPa・sの範囲内の粘度であることが好ましく、50〜500mPa・sの範囲内の粘度であることが特に好ましい。(A)成分の含有量を増やすことによって粘度を高くして、所望の粘度に調製することができる。
【0040】
本発明の樹脂組成物は、活性エネルギー線の照射により硬化する樹脂組成物である。活性エネルギー線としては、例えば紫外線、電子線など公知の活性エネルギー線を用いることができる。活性エネルギー線を照射する雰囲気下は、空気中でも良いし、窒素、アルゴン等の不活性ガス中でも良い。また、必要に応じて、活性エネルギー線の照射による硬化反応に加え、熱による硬化反応も併用することができる。
【0041】
本発明の樹脂組成物の硬化物は、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上のものであることが好ましい。また、硬化物のTgが80℃以上となるように、各成分の種類や配合比を最適化して樹脂組成物を調製することが好ましい。
【0042】
本発明の樹脂組成物は硬化収縮が小さいので、特に寸法精度が要求される光学物品の成形用材料や光学物品被覆用材料として好適である。また、そのような特性に加えて、ポリカーボネート製鋳型からの良好な離型性も兼ね備えるので、特に転写性が要求されるフレネルレンズ、プリズムシート等の注型法等で得られる光学物品成形用材料や光記録媒体の被覆用又は中間層形成用材料等として極めて好適である。光記録媒体が読み取り専用ディスクの場合、中間層の上層と下層は、例えばアルミニウムや銀等の金属反射膜で構成される。また、書き込み可能なディスクの場合、中間層の上層と下層は、例えば反射膜、誘電体膜、記録膜、誘電体膜が順に積層された光学記録層で構成される。
【0043】
本発明の樹脂組成物を注型して硬化させる方法としては、例えば、上述した特許文献1及び2に記載の方法が挙げられる。
【0044】
本発明の樹脂組成物の硬化物は、その表面が凹凸形状である物品に好適である。その凹凸形状は特に限定されないが、例えば、光ディスク用中間層として使用する場合は、螺旋状のランド、グルーブ、プリピット等の凹凸パターン形状が挙げられる。
【0045】
その凹凸形状は、例えば、この凹凸形状の母型形状を有する透明なポリカーボネート樹脂製鋳型に樹脂組成物を注入し、紫外線などの活性エネルギー線を照射して硬化させ、鋳型を剥がすことによって凹凸形状を転写し形成することができる。
【0046】
本発明の樹脂組成物の硬化物は、上述したとおり光記録媒体の構成要素として好適であり、特に、多層記録媒体の中間層としてより好適である。
【実施例】
【0047】
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。なお、実施例中の各種評価は以下の方法に従って行った。
【0048】
(1)粘度(単位:mPa・s)
硬化性組成物の粘度は、25℃における粘度をE型粘度計(TVE−20、東機産業(株)製)を用いて測定した。
【0049】
(2)離型性(単位:N)
評価用の光記録媒体用基板の作製時における光ディスク用ポリカーボネート製鋳型からの硬化物層の離型性について、図1に示す装置を使用して下記基準に基づき評価した。
1.デジタルフォースゲージ1(FGP−5、日本電産シンポ(株)製)に吸引機能を備えたステンレス製吸盤ユニット2を取り付けた。
2.鋳型を上にした状態で試料ディスク基板を、シリコーンゴム製パッド4(内径22mm、外径32mm、厚み1mm)を備えたステンレス製試料台3に載せ、下側の吸引ノズル5で吸引し試料ディスクを固定した。
3.デジタルフォースゲージ1に取り付けた吸盤ユニット2を鋳型に吸着させた後、上側の吸引ノズル5で吸引し、吸盤を鋳型に吸着させた。
4.デジタルフォースゲージ1を垂直に引き上げ、鋳型を離型した。この時の離型に要した力(離型力)をデジタルフォースゲージ1にて測定した。
「◎」:離型力が5.0N未満。
「○」:離型力が5.0N以上10.0N未満。
「×」:離型力が10.0N以上、もしくは離型できなかった。
【0050】
(3)低反り性(単位:°)
上記の離型性試験にて鋳型から離型したディスク基板について、オフラインディスク検査システム(PRO meteus MT-200. blue、 Dr.Schenk GmbH Industrimesstechnik 製)を用い、23℃、相対湿度50%環境下にて反り角を測定した。この反り角とは、光記録媒体の中心から45mm位置における Radial Deviation の平均値(測定点:256点)を意味する。また、負(−)の値の場合は硬化物層側へ反ったことを意味し、正(+)の場合は硬化物層とは反対側に反ったことを意味する。
「◎」:±0.20°以内。
「○」:±0.20°を超え、±0.40°以内。
「×」:±0.40°を超える。
【0051】
(4)耐熱性
ガラス板上に、樹脂組成物をベーカーアプリケーター(Model: SC-8310、上島製作所(株)製)を用いて、硬化後膜厚が100μmとなるように製膜し、高圧水銀灯により紫外線を500mJ/cm2照射し、硬化物を得た。この硬化物をガラス板から剥がし、粘弾性アナライザー(RSA−II、ティー・エー・インスツルメント製)用いて、ガラス転移
温度(Tg)を測定した(周波数11rad/秒、昇温速度3℃/分)。
「◎」:Tgが80℃以上。
「○」:Tgが70℃以上、80℃未満。
「×」:Tgが70℃未満。
【0052】
<合成例1(UA1の合成)>
保温機能付き滴下ろうと、還流冷却器、攪拌羽及び温度センサーを装備したフラスコ中にイソホロンジイソシアネート222g(1mol)、ジラウリン酸ジn−ブチル錫0.437g(総仕込み量に対し300ppm)を仕込み、50℃に加温した。次いで、2−ヒドロキシエチルアクリレート116g(1mol)を2時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌した。保温機能付き滴下ろうとを40℃に加温した状態で、グリコール化合物としてポリブタジエングリコール(商品名NISSO PB G−2000、重量平均分子量2240、日本曹達(株)製)1120g(0.5mol)を2時間かけて滴下した。50℃にて2時間攪拌した後、1時間かけて70℃まで昇温させ、さらに4時間攪拌することにより、ウレタンアクリレート(UA1)を合成した。このウレタンアクリレート(UA1)の重量平均分子量(Mw)は6800[ポリスチレン換算値、高速GPC測定装置(商品名HLC−8320GPC EcoSEC、東ソー(株)製)にて測定]であった。
【0053】
<合成例2(UA2の合成)>
グリコール化合物として、ポリブタジエングリコール(商品名NISSO PB G−1000、重量平均分子量1350、日本曹達(株)製)675g(0.5mol)を使用し、ジラウリン酸ジn−ブチル錫の使用量を0.304g(総仕込み量に対し300ppm)に変更したこと以外は、合成例1と同様に合成を行い、ウレタンアクリレート(UA2)を得た。このウレタンアクリレート(UA2)のMwは5300であった。
【0054】
<合成例3(UA3の合成)>
グリコール化合物として、水添ポリブタジエングリコール(商品名NISSO PB GI−1000、重量平均分子量1700、日本曹達(株)製)850g(0.5mol)を使用し、ジラウリン酸ジn−ブチル錫の使用量を0.356g(総仕込み量に対し300ppm)に変更したこと以外は、合成例1と同様に合成を行い、ウレタンアクリレート(UA3)を得た。このウレタンアクリレート(UA3)のMwは4600であった。
【0055】
<合成例4(UA4の合成)>
グリコール化合物として、ポリテトラメチレングリコール(商品名PTG650SN、重量平均分子量650、保土ヶ谷化学工業(株)製)325g(0.5mol)を使用し、ジラウリン酸ジn−ブチル錫の使用量を0.199g(総仕込み量に対し300ppm)に変更したこと以外は、合成例1と同様に合成を行い、ウレタンアクリレート(UA4)を得た。このウレタンアクリレート(UA4)のMwは2400であった。
【0056】
<合成例5(UA5の合成)>
グリコール化合物として、ポリカプロラクトングリコール(商品名プラクセル205、重量平均分子量530、ダイセル化学工業(株)製)265g(0.5mol)を使用し、ジラウリン酸ジn−ブチル錫の使用量を0.181g(総仕込み量に対し300ppm)に変更したこと以外は、合成例1と同様に合成を行い、ウレタンアクリレート(UA5)このウレタンアクリレート(UA5)のMwは2300であった。
【0057】
<合成例6(UA6の合成)>
グリコール化合物として、ポリカーボネートグリコール(商品名デュラノールT5650J、重量平均分子量800、旭化成ケミカルズ(株)製)400g(0.5mol)を使用し、ジラウリン酸ジn−ブチル錫の使用量を0.221g(総仕込み量に対し300ppm)に変更したこと以外は、合成例1と同様に合成を行い、ウレタンアクリレート(UA6)を得た。このウレタンアクリレート(UA6)のMwは2700であった。
【0058】
[実施例1]
表1に示す配合割合(質量部)で各原料を配合し、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を調製した。
【0059】
またこれとは別に、合成例4で得たウレタンアクリレート(UA4)50g、テトラヒドロフルフリルアクリレート40g、トリメチロールプロパントリアクリレート10g、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン5g、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート0.1gを混合し、接着組成物Aを調製した。
【0060】
ポリカーボネート樹脂を射出成型して得た中心にスピンドル保持用の穴を有する光ディスク用ポリカーボネート製鋳型(直径12cm、板厚0.6mm、反り角0度、トラックピッチ0.7μm、グルーブ幅0.3μm、グルーブ深さ0.2μm)の信号面(グルーブを有する面)上に、上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化膜厚が10μmになるようにスピンコートし、高圧水銀灯により紫外線を500mJ/cm2(紫外線光量計:商品名UV−351SN型、オーク製作所(株)製での測定値)照射し、鋳型上の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化することによって離型層を形成し、離型層付き鋳型を得た。
【0061】
一方、ポリカーボネート樹脂を射出成型して得た中心にスピンドル保持用の穴を有する光ディスク用基板(直径12cm、板厚1.1mm、反り角0度)の信号面に、スパッタリング法を用いて膜厚0.05μmの銀薄膜を形成し、銀薄膜付き基板を得た。
【0062】
この銀薄膜付き基板の銀薄膜上に、上記接着組成物Aを載せ、上記離型層付き鋳型を離型層が接着組成物に接するように載せた後、接着組成物Aの硬化後の膜厚が15μmとなるように基板と鋳型を一体として回転させて余分な接着組成物Aを振りきり、基板と離型層の間全体に接着組成物Aを展延させた。次いで、離型層付き鋳型側から高圧水銀灯により紫外線を500mJ/cm2照射して、接着組成物Aの塗膜を硬化させた。その後、鋳型から離型することによって、基板上に銀薄膜、接着層及び離型層が順次積層されてなる積層物を得た。評価結果を表1に示す。
【0063】
[実施例2〜10、比較例1〜7]
表1及び表2に示す配合割合で各原料を配合して活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして積層物を得た。評価結果を表1及び表2に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
[実施例11]
表3に示す配合割合で各原料を配合し、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を調製した。
【0067】
また、実施例1と同様の方法で銀薄膜付き基板を作製した。この銀薄膜付き基板の銀薄膜上に、実施例1と同様の方法で得た接着組成物Aを硬化後の膜厚が15μmとなるようにスピンコートし、高圧水銀灯により紫外線を500mJ/cm2照射して、接着組成物Aの塗膜を硬化させた。この接着組成物Aの硬化膜(接着層)上に、上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を載せ、さらにその上に、実施例1と同じ光ディスク用ポリカーボネート製鋳型単体(離型層は無い)を、その信号面が接するように載せた後、上記活性エネルギー線硬化型樹脂の硬化後の膜厚が10μmになるように基板と鋳型を一体として回転させて余分な活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を振りきり、基板と鋳型の間全体に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を展延させた。次いで、鋳型側から高圧水銀灯により紫外線を500mJ/cm2照射して、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化することにより離型層を形成した。その後、鋳型から離型することによって、基板上に銀薄膜、接着層及び離型層が順次積層されてなる積層物を得た。評価結果を表3に示す。
【0068】
[実施例12〜20、比較例8〜14]
表3及び表4に示す配合割合で各原料を配合して活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を調製したこと以外は、実施例11と同様にして積層物を得た。評価結果を表3及び表4に示す。
【0069】
【表3】

【0070】
【表4】

【0071】
[実施例21]
表5に示す配合割合で各原料を配合し、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を調製した。
【0072】
また、実施例1と同様の方法で銀薄膜付き基板を作製した。この銀薄膜付き基板の銀薄膜上に、上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を載せ、さらにその上に、実施例1と同じ光ディスク用ポリカーボネート製鋳型単体(離型層は無い)を、その信号面が接するように載せた後、上記活性エネルギー線硬化型樹脂の硬化後の膜厚が25μmになるように基板と鋳型を一体として回転させて余分な活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を振りきり、基板と鋳型の間全体に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を展延させた。次いで、鋳型側から高圧水銀灯により紫外線を500mJ/cm2照射して、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化することにより離型層を形成した。その後、鋳型から離型することによって、基板上に銀薄膜及び離型層が順次積層されてなる積層物を得た。評価結果を表5に示す。
【0073】
[実施例22〜30、比較例15〜21]
表5及び表6に示す配合割合で各原料を配合して活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を調製したこと以外は、実施例21と同様にして積層物を得た。評価結果を表5及び表6に示す。
【0074】
【表5】

【0075】
【表6】

【0076】
各表中の略号は以下の通りである。
・「UA1」:合成例1で合成したウレタンアクリレート化合物
・「UA2」:合成例2で合成したウレタンアクリレート化合物
・「UA3」:合成例3で合成したウレタンアクリレート化合物
・「IBXA」:イソボルニルアクリレート(分子量208)
・「R604」:ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート(商品名カヤラッドR−604、(分子量326)、日本化薬(株)製)
・「TAIC」:トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(分子量387)
・「EHA」:2−エチルヘキシルアクリレート(分子量232)
・「APMA」:2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート(分子量198)
・「THFA」:テトラヒドロフルフリルアクリレート
・「M260」:トリデカエチレングリコールジアクリレート及びテトラデカエチレングリコールジアリレートの混合物(商品名アロニックスM−260、東亞合成(株)製)
・「UA4」:合成例4で合成したウレタンアクリレート化合物
・「UA5」:合成例5で合成したウレタンアクリレート化合物
・「UA6」:合成例6で合成したウレタンアクリレート化合物
・「BAC−15」:ポリブタジエングリコールジアクリレート(商品名BAC−15、大阪有機化学工業(株)製、重量平均分子量1200)
「HCPK」:1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン
【符号の説明】
【0077】
1 デジタルフォースゲージ
2 ステンレス製吸盤ユニット
3 ステンレス製試料台
4 シリコーンゴム製パッド
5 吸引ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂製の鋳型内で硬化させるための活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であって、
(A)ポリブタジエン骨格、ポリイソプレン骨格、水添ポリブタジエン骨格及び水添ポリイソプレン骨格からなる群より選ばれる1以上の骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー5〜35質量部、
(B)(A)成分以外の分子量が1000以下であり且つ下記ポリカーボネート樹脂溶解性試験に陰性である(メタ)アクリロイル基を有する化合物65〜95質量部、及び、
(C)下記ポリカーボネート樹脂溶解性試験に陽性である化合物0〜5質量部
[組成物中の重合性化合物の合計量を100質量部とする]
を含む活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
(ポリカーボネート樹脂溶解性試験)
3mm厚のポリカーボネート樹脂板上に被試験液0.3mlを滴下し、20℃で10分間静置した後被試験液をふき取り、ポリカーボネート樹脂板の被試験液滴下ふき取り後の箇所のヘイズ値を測定し、試験前のヘイズ値と比較して試験後のヘイズ値の増加が10.0を超える場合は「陽性」、10.0以下の場合は「陰性」と評価する。
【請求項2】
硬化物のガラス転移温度が80℃以上である請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
25℃における粘度が50〜500mPa・sの範囲内である請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物からなり、その表面がポリカーボネート樹脂製鋳型の凹凸形状が転写された凹凸形状である物品。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか一項記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物を構成要素として含む光記録媒体。
【請求項6】
請求項1〜3の何れか一項記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物を多層記録媒体の中間層として含む光記録媒体。

【図1】
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【公開番号】特開2011−246517(P2011−246517A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118170(P2010−118170)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】