説明

活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及びハードコートフィルム

【課題】 平均一次粒子径が80〜500nmの有機微粒子を用いることにより塗工面に微細な凹凸を形成し巻き取り可能にする。
【解決手段】 多官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレート化合物を1〜30重量部、2官能以上の(メタ)アクリレートを主成分とし平均粒子径が80〜500nmの有機微粒子を固形分で0.5〜50重量部配合する。更に、アミド基含有(メタ)アクリレート化合物を5〜20重量部を配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及びハードコートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチック等の基材に意匠性を付与するために加飾用インキをコーティングすることがある。特に、光学用ハードコートフィルムの裏面に加飾用インキをコーティングするケースでは、フィルムの反り防止や傷つき防止のためインキと基材の間にハードコート層を設けることがある。このハードコート層は、基材との密着性とインキの密着性が求められ、多官能アクリレートモノマーにリン酸基含有(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が用いられている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−238732号公報
【特許文献2】特開2008−222848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多官能アクリレートモノマーにリン酸基含有(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を塗工したフィルムは、表面が平滑であるため、Roll to Rollの生産では、巻き取ることができず保護フィルムを貼り合わせる方法が採られており、保護フィルムは粘着剤のブリードの問題や、コストアップに繋がり保護フィルムレスで巻き取り可能な樹脂組成物が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる状況に鑑み検討されたもので、多官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレート化合物を1〜30重量部、2官能以上の(メタ)アクリレートを主成分とし平均粒子径が80〜500nmの有機微粒子を固形分で0.5〜50重量部含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いることにより前記の課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の組成物を用いることにより塗工面に有機微粒子による微細な凹凸が形成され、塗工両面を貼り合わせする際に塗膜接触面積が減少し、圧力により密着しづらくなり、その結果滑り性が向上することで、保護フィルムを用いることなくRoll to Rollの生産が可能となり、巻き取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に用いる多官能(メタ)アクリレートとしては、主として多官能(概ね2官能以上)のアクリレート及びメタクリレート(以下(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレートと記載する場合、アクリル酸及び/又はメタクリル酸、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。)
【0008】
アクリレートとしては、例えば1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジアクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、イソシアヌレートジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、また市販されているウレタンアクリレートやメラミンアクリレートなどが挙げられ、官能基数の多いアクリレートほど表面硬度が高くなり、好ましい。これらは単独あるいは2種以上を混合して使用してもよい。アクリレートは、モノマーでもプレポリマーであってもよい。
【0009】
メタクリレートとしては、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1.4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1.6−ヘキサンジオールジメタクレート、1.9−ノナンジオールジメタクリレート、1.10−デカンジオールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートやエトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレートが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上を混合して使用しても良い。
【0010】
リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリロキシエチルフォスフェート、(メタ)アクリロキシプロピルフォスフェート、ビス(メタ)アクリロキシエチルフォスフェート、(メタ)アクリロキシエチルビスフェニルフォスフェート、(メタ)アクリロキシプロピルビスフェニルフォスフェート、ビス(アクリロキシエチル)フェニルフォスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ブチルフォスフェート、トリス(アクリロキシエチル)フォスフェート、トリス(メタクリロキシエチル)フォスフェート等が挙げられる。リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートは前記多官能(メタ)アクリレート100重量部に対し、1〜30重量部、特に3〜20重量部配合されるのが好ましい。1重量部未満では密着性向上効果に寄与せず、30重量部を超えるとエステル基が加水分解しやすくなり、耐水性が低下する。
【0011】
前記多官能(メタ)アクリレート100重量部に対して、アミド基含有(メタ)アクリレートを5〜20重量部配合することにより、易滑性が向上する。下限に満たないと、易滑性が劣りやすく、上限を超えるとハードコートフィルムの表面硬度が劣りやすくなる。アミド基含有(メタ)アクリレートの例としてはN,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリル酸エチル、N,N−ジエチルアミノ(メタ)アクリル酸エチル、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
【0012】
本発明に係る有機微粒子としては、乳化重合法により合成されたスチレン系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、アクリル系樹脂などの有機微粒子が挙げられる。乳化重合法以外の懸濁重合法では平均一次粒子径が80〜500nmの有機微粒子を合成することが難しく、また分散重合法では架橋剤の添加量を増やすことができないために多官能重合性モノマー内に溶解してしまい、プラスチックフィルム上に硬化した場合に表面に凹凸を形成することができないため、架橋剤を容易に添加することができる乳化重合法が好ましい。
【0013】
有機微粒子は前記の如く乳化重合法で合成され、イオン交換樹脂を用いて水から酢酸エチルに置換する工程を経た平均一次粒子径は80〜500nmのものが好適である。80nm未満では表面に凹凸を形成するのに必要な添加量が多くなるためにハードコート性能が得られないのに対し、500nmを越えるとヘイズが上昇し、視認性が低下する問題が発生する。有機微粒子の形状は、球状、数珠状が好ましく用いられるが、特にこれらに限定されない。尚、平均一次粒子径とは凝集を起こしていない単一の粒子の径であり、球状のものについてはその直径を、球状以外のものについては長軸径、短軸径の算術平均値を示し、電子顕微鏡により測定される値である。
【0014】
有機微粒子の添加量は、多官能重合性モノマーの樹脂固形分100重量部に対し、0.5〜50重量部が好適であり、0.5重量部未満では表面の凹凸を形成することができず、また50重量部を越えると十分なハードコート性能を発揮することができない。ハードコートフィルム用に用いる場合は0.5〜50重量部が好ましい。さらに好ましくは1〜20重量部である。
【0015】
本発明では、前記の有機微粒子の凝集を防ぎ、優れた分散性及び分散安定性を確保するため分散剤を微粒子100重量部に対して、0.1〜5重量部が配合されてもよい。分散剤としては種々の界面活性剤が挙げられる。例えば、硫酸エステル系、カルボン酸系、ポリカルボン酸系等のアニオン型界面活性剤、高級脂肪族アミンの4級塩等のカチオン型界面活性剤、高級脂肪酸ポリエチレングリコールエステル系等のノニオン型界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッソ系界面活性剤、アマイドエステル結合を有する高分子活性剤等が挙げられる。
【0016】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物にはラジカル型重合開始剤を添加するが、ラジカル型重合開始剤としては特に制限はなく各種公知のものを使用することができる。ラジカル型重合開始剤としては、ベンゾフェノン及び他のアセトフェノン、ベンジル、ベンズアルデヒド及びo−クロロベンズアルデヒド、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、9,10−フェナントレンキノン、9,10−アントラキノン、メチルベンゾインエーテル、エチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、α,α−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシアセトフェノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオール−2−o−ベンゾイルオキシム及びα,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン等が挙げられる。
【0017】
市販品としては、イルガキュア−184、イルガキュア−651(BASFジャパン株式会社製、商品名)、ダロキュア−1173(メルク社製、商品名)などの光開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル、ジアセチルパーオキサイド、ジプロピルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ジカプリルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、p,p’−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、p,p’−ジメトキシベンゾイルパーオキサイド、p,p’−ジメチルベンゾイルパーオキサイドなどの熱開始剤が挙げられる。添加量は重合性多官能モノマーの樹脂固形分100重量部に対して1〜10重量部である。
【0018】
この他に有機溶剤を添加することもできる。有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素系、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、イソホロンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤などが挙げられる。
【0019】
その他、各種添加剤、例えば、帯電防止剤、屈折率調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、光増感剤、レベリング剤、消泡剤、無機充填剤、カップリング剤、防腐剤、可塑剤、流動調整剤、増粘剤、pH調整剤等、表面調整剤などを配合材料としてもよい。中でもシリコン型の表面調整剤を0.001以上0.1未満配合すると易滑性が向上し特に好ましい。
【0020】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物が塗布される基材としてのプラスチックフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッソ樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリル樹脂フィルム等、いずれも公知のものを用いることができる。
【0021】
また、本発明のハードコート剤との密着性を向上させる目的で、サンドブラスト法や溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理、電子線照射処理などの表面の酸化処理などの表面処理を施してもよい。
【0022】
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物のフィルムへの塗布方法、塗布厚については特に制限はなく、公知の方法、例えばグラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法などを用いることができ乾燥後塗膜の厚みを10μm以下となるように塗布する。10μmを越えると作製したフィルムが反るなど取扱上の問題がある。より好ましくは、2〜5μmである。
【0023】
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を塗布した後には、紫外線、電子線が照射される。紫外線を照射する場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等を用い、100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域で、100〜800mJ/cmのエネルギーを有する紫外線を照射する。また、必要に応じて窒素雰囲気下にて硬化してもよい。電子線を照射する場合は、走査型あるいはカーテン型の電子線加速器を用い、加速電圧1000keV以下、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を照射する。また、必要に応じて窒素雰囲気下にて硬化してもよい。
【0024】
以下、本発明について実施例、比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって特にこれらに限定するものではない。
【実施例1】
【0025】
有機微粒子スラリーA
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水120重量部、分散剤としてジアルキルスルホコハク酸エステルナトリウム0.3重量部、及びpH緩衝剤として重炭酸ナトリウム0.1重量部を仕込み攪拌しながら60℃に加熱した後、窒素置換した。この中にメチルメタクリレート2重量部を添加し、10分後に0.98重量部の脱イオン水に溶解した過硫酸ナトリウム0.1部を添加し種重合を行った。発熱開始から60分後、4.9部の脱イオン水に溶解した過硫酸ナトリウム0.1重量部を添加し、さらに10分後、メチルメタクリレート43.7重量部、スチレン29.1重量部、エチレングリコールジメタクリレート24.2重量部、脱イオン水60重量部、ジアルキルスルホコハク酸エステルナトリウム0.8重量部、重炭酸ナトリウム0.3部重量からなる乳化モノマー液を攪拌下、温度を80℃に保ちながら3時間かけて滴下し、滴下終了後2時間85℃を維持し重合を終了させ水系ラテックス(A−1)を得た。生成物(A−1)は固形分33.9%、平均粒子径489nmであった。
【0026】
上記で合成された水系ラテックス(A−1)に、有機溶剤への転相の妨げとなるイオン性不純物の除去を目的に、イオン交換樹脂15重量部を添加し攪拌した。24時間攪拌した後、濾過によりイオン交換樹脂を除去し、イオン性不純物の限りなく少ない水系ラテックス(A−2)を得た。
この精製された水系ラテックス(A−2)に、酢酸エチル570重量部を加え攪拌、水系ラテックス中に存在する有機微粒子の有機層への転相を行った。その後静置し、透明な水相と白濁した有機相とを分離し、非水系微粒子分散体(A−3)を得た。有機微粒子スラリーA(A−3)は固形分15.0%であった。
【0027】
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物
多官能(メタ)アクリレート化合物として4官能ウレタンアクリレートオリゴマー(H−14、商品名、分子量19000、根上工業株式会社製)100重量部に対して、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレート化合物としてジ−2−メタクリロキシエチルフォスフェート(PM−2、商品名、日本化薬株式会社製)5重量部、有機微粒子スラリーAを固形分で10重量部、光重合開始剤としてイルガキュア184(BASFジャパン株式会社製、商品名)を5重量部、シリコン型表面調整剤としてBYK−333(ビッグケミージャパン株式会社製、商品名)0.005重量部を配合して活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得た。
【0028】
ハードコートフィルム
次いで、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィルムとする)に硬化膜厚が2μmとなるようにバーコート法で塗工して熱風乾燥機で100℃、2分の条件で乾燥した。しかる後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製、フュージョンランプ)を用いて紫外線を積算光量約200mJ/cm照射してハードコートフィルムを得た。
【実施例2】
【0029】
実施例1において、ジ−2−メタクリロキシエチルフォスフェートを3重量部とした以外は同様に実施した。
【実施例3】
【0030】
実施例1において、ジ−2−メタクリロキシエチルフォスフェートを20重量部とした以外は同様に実施した。
【実施例4】
【0031】
実施例1において、有機微粒子スラリーAを固形分で3重量部とした以外は同様に実施した。
【実施例5】
【0032】
実施例1において、有機微粒子スラリーAを固形分で20重量部とした以外は同様に実施した。
【実施例6】
【0033】
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物
多官能(メタ)アクリレート化合物として4官能ウレタンアクリレートオリゴマー(H−14、商品名、分子量19000、根上工業株式会社製)100重量部に対して、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレート化合物としてジ−2−メタクリロキシエチルフォスフェート(PM−2、商品名、日本化薬株式会社製)5重量部、有機微粒子スラリーAを10重量部、光重合開始剤としてIRGACURE184(BASFジャパン株式会社製、商品名)を5重量部、シリコン型表面調整剤としてBYK−333(ビッグケミージャパン株式会社製、商品名)0.005重量部、アミド基含有(メタ)アクリレート化合物としてジエチルアクリルアミドを10重量部配合して活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得た。
実施例1において、上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いた以外は同様に実施した。
【実施例7】
【0034】
実施例1において、シリコン型表面調整剤を配合しなかった以外は同様に実施した。
【実施例8】
【0035】
実施例1において、多官能(メタ)アクリレート化合物として4官能ウレタンアクリレートオリゴマー(H−14、商品名、分子量19000、根上工業株式会社製)の代わりに2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(UX−8101、商品名、分子量3400、日本化薬株式会社製)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例9】
【0036】
実施例1において、多官能(メタ)アクリレート化合物として4官能ウレタンアクリレートオリゴマー(H−14、商品名、分子量19000、根上工業株式会社製)の代わりに6官能ウレタンアクリレートモノマー(DPCA−120、商品名、分子量1947、日本化薬株式会社製)を用いた以外は同様に実施した。
【0037】
比較例1
実施例1において、ジ−2−メタクリロキシエチルフォスフェート、有機微粒子スラリーAを配合しなかった以外は同様に実施した。
【0038】
比較例2
実施例1において、ジ−2−メタクリロキシエチルフォスフェートを配合しなかった以外は同様に実施した。
【0039】
比較例3
実施例1において、有機微粒子スラリーAを配合しなかった以外は同様に実施した。
【0040】
比較例4
実施例6において、シリコン型表面調整剤(BYK−333)の配合割合を0.1重量部とした以外は同様に実施した。
【0041】
評価結果を表1、表2に示す。

【表1】

【表2】

【0042】
評価方法は以下の通りとした。
易滑性:作製した硬化物を10cm×10cm×2枚に切り出し、硬化面同士を重ね合わせ、上から1kg/cmの荷重で押しながら滑らせ、滑るものを○、滑らないものを×とした。更に2kg/cmの荷重で押しながら滑らせ、滑るものを◎とした。
【0043】
インキ密着性: JIS K 5600−5−6(1999年版)の規定に基づき、塗膜面に10×10にマス目を作成し、セロハンテープ(ニチバン製CT−24)を貼り、上方に引っ張り剥離状況を確認する。剥がれなかったマス目を記録した。
【0044】
表面張力:作成した硬化物の表面に和光純薬工業株式会社製ぬれ性試薬(25〜50mN/m)を1ml滴下し、30秒静置後、ぬれ広がっている最大のぬれ性試薬の表面張力を硬化物表面の表面張力とした。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多官能(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレート化合物を1〜30重量部、2官能以上の(メタ)アクリレートを主成分とし平均粒子径が80〜500nmの有機微粒子を固形分で0.5〜50重量部含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
前記有機微粒子は乳化重合法で合成され、イオン交換樹脂を用いて水から酢酸エチルに置換する工程を経たものであることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
更に、アミド基含有(メタ)アクリレート化合物を5〜20重量部含有することを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
プラスチックフィルム上で形成された塗膜の表面張力が30mN/m以上であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物をプラスチックフィルム上で硬化させてなることを特徴とするハードコートフィルム。


【公開番号】特開2012−72214(P2012−72214A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216263(P2010−216263)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】