説明

活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物、賦型層が表面に設けられた成形体、表面に微細凹凸形状が設けられた成形体および光学部品

【目的】微細な凹凸形状が設けられた耐薬品性、耐傷つき性に加え表面硬度にも優れた成形体を提供することおよび当該成形体を得るために用いられる賦型性、形状保持性が良好な賦型層が表面に設けられた成形体、さらにはナノインプリントに適した賦型層を形成し得る活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】エポキシ基を有するラジカル重合性ビニル単量体(a1)を含有するラジカル重合成分(a)の重合体(A)に、カルボキシル基を有するラジカル重合性ビニル単量体(b)を反応させて得られる反応物(B)を含有する活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物、賦型層が表面に設けられた成形体、表面に微細凹凸形状が設けられた成形体および光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光の屈折率を調節して、液晶ディスプレイの太陽光などの映り込みを低減し画像を見やすくするアンチグレアフィルムや画像が浮き出て見えるホログラムシート、輝度向上のためのプリズムシート、輝度均一性を向上させる拡散シートのような光学材料が広く用いられるようになってきている。
【0003】
これら光学材料は、フィルム等の支持体上にシリカ、アクリルビーズや金属の粒子等を分散させたコーティング剤を塗布することによっても得られるが、容易に調製できるという理由から、支持体上に室温で高粘度の硬化性樹脂を塗布して、硬化樹脂層(本発明においては賦型層という)を形成し、その上に微細な凹凸を形成しうる金型(スタンパー等)を圧接して押圧成形し、引き剥がした後に硬化させる方法が提案されていた(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、当該方法では、スタンパーのキャビティー内に硬化性樹脂が残存する場合があり、また、粘度が高いために正確な賦型ができないといった問題があった。
【0005】
そこで、このような問題を解決するために特定の無機超微粒子および光重合性官能基を有するバインダー樹脂を用いる方法が提案されていた(特許文献2参照)。当該方法によれば、賦型性、形状保持性が良好な組成物を用いるために微細な凹凸パターンを正確に複製することができるものの、当該方法による組成物を硬化させた硬化体の耐薬品性、耐傷つき性が、不十分であるうえ表面硬度が十分でないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平6−85103号公報
【特許文献2】特開2003−082043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、耐薬品性、耐傷つき性に加え表面硬度にも優れた微細な凹凸形状が設けられた成形体を提供することおよび当該成形体を得るために用いられる賦型性、形状保持性が良好な賦型層が表面に設けられた成形体、さらにはナノインプリントに適した賦型層を形成し得る活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、特定のラジカル重合性反応物を用いることにより、前記課題を解決することができることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、エポキシ基を有するラジカル重合性ビニル単量体(a1)を含有するラジカル重合成分(a)の重合体(A)に、カルボキシル基を有するラジカル重合性ビニル単量体(b)を反応させて得られる反応物(B)を含有する活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物;当該活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物が塗布して得られる賦型層が表面に設けられた成形体;当該成形体の表面に押圧成形後、硬化させて得られる表面に微細凹凸形状が設けられた成形体または光学部品に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、微細な凹凸形状が設けられた耐薬品性、耐傷つき性に加え表面硬度にも優れた成形体を提供することができる。また、本発明によれば、当該成形体を得るために用いられる賦型性、形状保持性が良好な賦型層が表面に設けられた成形体を提供することができる。本発明の微細な凹凸形状が設けられた成形体は、微細な凹凸パターンを正確に形成することができるため、アンチグレアフィルム、ホログラムシート、プリズムシート、拡散シートなどに利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物は、エポキシ基を有するラジカル重合性ビニル単量体(a1)(以下、(a1)成分という)を含有するラジカル重合成分(a)(以下、(a)成分という)の重合体(A)(以下、(A)成分という)に、カルボキシル基を有するラジカル重合性ビニル単量体(b)を反応させて得られる反応物(B)(以下、(B)成分という)を含有することを特徴とする。
【0012】
本発明に用いられる(a1)成分は、ラジカル重合性ビニル単量体であってエポキシ基およびビニル基をそれぞれ1つ有するものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。(a1)成分としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂のアクリレートの(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。(a1)成分としては、グリシジル(メタ)アクリレートが得られる硬化物の耐傷つき性の点から好ましい。
【0013】
なお、(a)成分には、(a1)成分と共重合することができる(a1)成分以外のラジカル重合性単量体(a2)(以下、(a2)成分という)を用いてもよい。 (a2)成分としては、(a1)成分と共重合することができる(a1)成分以外のラジカル重合性単量体であれば特に限定されず公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸イソボルニル、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリル酸エステル類、アクリロイルモルフォリンなどのヘテロ原子を含む(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族系ビニル化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、α−オレフィン類などが挙げられる。これらのなかでは、単独重合した際の重合体のガラス転移温度が100℃以上であるラジカル重合性モノマーの脂環式(メタ)アクリル酸エステル類を用いることが好ましく、形状保持性と表面硬度の点からアダマンチルメタクリレートを用いることがより好ましい。なお、(a2)成分を用いる場合には、(a)成分中5〜50重量%程度とすることが好ましく、形状保持性と表面硬度の点から30〜40重量部とすることがより好ましい。
【0014】
本発明に用いられる(A)成分は、前記(a)成分を、例えば、ラジカル重合させることにより得られる。ラジカル重合は、公知の方法で行なうことができる。例えば、(a)成分をラジカル重合開始剤、溶媒の存在下、加熱することにより得られる。ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機過酸化物、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、ラジカル重合開始剤の使用量は、(a)成分100重量部に対し、0.01〜8重量部程度とすることが好ましい。なお、必要に応じ、連鎖移動剤などを用いてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、ブロムトリクロルメタン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。連鎖移動剤の使用量は、(a)成分100重量部に対し、0.01〜5重量部程度とすることが好ましい。
【0015】
このようにして得られた(A)成分は、重量平均分子量(ゲルパーメーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値)を5,000〜100,000程度、エポキシ当量を100〜1000g/eq程度とすることが好ましい。
【0016】
本発明の(B)成分は、(A)成分に(b)成分を反応させることにより得られる。(b)成分としては、分子中にカルボキシル基を有するラジカル重合性ビニル単量体であれば特に限定されず公知のものを用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、クロトン酸、などが挙げられる。これらのなかでは、アクリル酸を用いることが反応物の光硬化性の点から好ましい。(b)成分の使用量は、特に限定されないが、通常、(A)成分に含まれるエポキシ基に対し、等モル程度であり、エポキシ基1モルに対して(b)成分中に含まれるカルボキシル基を0.9〜1.1モル程度とすることが好ましい。とすることが反応後にアクリル酸が残存しなくなるため得られる硬化物の耐溶剤性、耐傷つき性が向上するため好ましい。
【0017】
(A)成分と(b)成分の反応は、エポキシ開環反応であり、公知の反応条件を採用することができる。例えば、触媒の存在下、加熱することにより行うことができる。触媒としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等のホスフィン類;テトラメチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類;2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;ジブチル錫ラウレート等のラウリン酸エステル類などが挙げられる。触媒の使用量は、特に限定されないが、(A)成分と(b)成分の合計重量100重量部に対して、通常、0.01〜5重量部程度とすることが好ましい。なお、必要に応じ、有機溶媒や重合禁止剤を用いてもよい。有機溶媒としては、(A)成分、(b)成分と反応しないものであれば、特に限定されず公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、エチルアルコール、プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸ブチル、酢酸エチル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等が挙げられる、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。重合禁止剤としては、メトキノン、ハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等が挙げられる。なお、重合禁止剤の使用量は特に限定されないが、得られるコーティング剤の重合性が悪化する場合があるため、(A)成分と(b)成分の合計重量100重量部に対して、通常、1重量部程度以下とすることが好ましい。また、重合を防止するために、反応系中に空気を吹き込む等してもよい。
【0018】
このようにして得られた(B)成分は、重量平均分子量(ゲルパーメーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値)を7,000〜140,000程度、アクリル当量を200〜1200g/eq程度、酸価を5mgKOH/g程度以下とすることが、得られる硬化膜の耐溶剤性、耐傷つき性が向上するため好ましい。また、(B)成分は、乾燥塗膜とした時にガラス転移温度(DSC測定による)が、−10〜30℃程度となるようにすることが、賦形性と形状保持性の点から好ましい。なお、ここでいう乾燥塗膜とは、(B)成分のみを溶剤乾燥させることにより得られる膜のことをいう。
【0019】
本発明の活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物には、必要に応じて、ビニル基含有シリカ粒子(C)(以下、(C)成分という)を10〜50重量部含有させてもよい。(C)成分の含有量が10重量部以上とすることにより表面硬度の向上が著しくなり、含有量を50重量部以下とすることにより耐擦傷性が著しく向上するため、20〜40重量部とすることがより好ましい。(C)成分は、ビニル基(本発明では、(メタ)アクリル基もビニル基に含まれるものとする。)が導入されたシリカ粒子であれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。(C)成分としては、たとえば、シリカ粒子(c1)(以下、(c1)成分という)に対し、ビニル基を有するシランカップリング剤(c2)(以下、(c2)成分という)を反応させた表面被覆シリカ粒子を用いることができる。
【0020】
(c1)成分としては、特に限定されず公知のものを使用できる。具体的には、たとえば、ケイ酸ナトリウムを重縮合することにより合成したもの、またはアルコキシシラン類をアルコール水溶液中で加水分解して合成したもの等を用いることができる。なお、(c1)成分としては、市販のものを用いてもよい。市販品(商品名)としては、例えば、水溶性有機溶媒にシリカ粒子を分散した分散液として、メタノールシリカゾル、IPA−ST、IPA−ST−S、MEK−ST、MIBK−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL(以上、日産化学工業(株)製)、オルガノゾルPL−2L−MA、PL−2L−IPA、PL−2PGME(以上、扶桑化学工業(株)製)等を、シリカ粒子として、アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50(以上、日本アエロジル(株)製)、シルデックスH31、シルデックスH32、シルデックスH51、シルデックスH52、シルデックスH121、シルデックスH122(以上、旭硝子(株)製)、E220A、E220(以上、日本シリカ工業(株)製)、SYLYSIA470(富士シリシア(株)製)、SGフレーク(日本板硝子(株)製)等を、それぞれ挙げることができる。
【0021】
(c2)成分としては、たとえば、一般式(1):Z4−m−nSiX(式中、Zはビニル基を有する炭化水素基、Rは炭化水素基、Xは、加水分解性基、mは1、nは1〜3の整数を示す。)で表わされる化合物を用いることができる。
【0022】
Zで表わされるビニル基を有する炭化水素基としては、たとえば、一般式(2):CH=CHRCOOA−(式中、Rは水素原子またはメチル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表す。)で表わされる基、一般式(3):CH=CHA−で表わされる基(式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表す。)などが挙げられる。Rで示される炭化水素基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、へキシル基、フェニル基等を挙げることができる。また、Xで表わされる加水分解性基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン基、アセトキシ基等を挙げることができる。一般式(1)で表わされる(c2)成分としては、具体的には、たとえば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシランなどがあげられる。これらの中では、特に(メタ)アクリロイル基およびトリアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤を用いることが、活性エネルギー線硬化性の点で好ましい。
【0023】
(c1)成分と(c2)成分の使用量は特に限定されないが、(c1)成分100重量部に対し、(c2)成分を5〜15重量部程度とすることが好ましい。5重量部以上とすることにより、耐擦傷性の向上が著しくなるため好ましく、15重量部以下とすることにより硬度の向上が著しくなる。なお、(c1)成分と(c2)成分の反応は、特に限定されず、公知の方法を採用すれば良い。具体的には、たとえば、(c1)成分に、(c2)成分を水溶性有機溶媒または水溶性有機溶媒と水との混合物を反応溶媒として、必要に応じて加熱下に反応させる方法等を採用することができる。なお、反応温度は、特に限定されないが、通常10〜150℃程度、反応時間は、特に限定されないが、1〜15時間程度である。なお、反応の際に用いることができる水溶性有機溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、n−オクタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が好ましい。使用する当該(C)成分の粒子径は、特に限定されないが、通常、5〜50 nm程度、特に2〜10nmとすることが、耐傷つき性、表面硬度及び透明性の点で好ましい。なお粒子径はレーザー回折・散乱法により測定した50%粒子径によるものである。
【0024】
また、本発明の活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物には、1分子中に(メタ)アクリロイル基を少なくとも4つ有するラジカル重合性モノマー(D)(以下、(D)成分という)を含有させてもよい。(D)成分としては、具体的には、たとえば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートなどがあげられる。また、ポリイソシアネート類に多官能(メタ)アクリレートオリゴマーを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を少なくとも4つ以上有するウレタンアクリレート類を用いてもよい。ポリイソシアネート類としては、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび、これらイソシアネートの2量体、3量体が挙げられる。多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。これらの中では、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが耐傷つき性、表面硬度の点で好ましい。
【0025】
本発明の活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物は、前記(B)成分を必須使用するものである。必要に応じて使用する(C)成分、(D)成分の使用量は特に限定されないが、通常、(B)成分100重量部に対し、(C)成分を10〜90重量部程度、(D)成分を20〜90重量部程度とすることが好ましい。
【0026】
なお、当該活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の樹脂を用いてもよい。併用する樹脂としては、たとえば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート等を挙げることができる。また、当該活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物には、離型剤を配合してもよい。離型剤としては従来公知のもの、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス、フッ素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等が使用できる。
【0027】
また、当該活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物には、必要に応じて、光重合開始剤を配合してもよい。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン等のベンゾイン系化合物;アントラキノン、メチルアントラキノン等のアントラキノン系化合物;ベンジルジアセチルアセトフェノン、ベンゾフェノン等のフェニルケトン系化合物;ジフェニルジスルフィド、テトラメチルチウラムスルフィド等のスルフィド系化合物;α−クロルメチルナフタレン、;アントラセン;及びヘキサクロロブタジエン、ペンタクロロブタジエン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。光重合開始剤は、光硬化硬化型賦型用樹脂組成物の固形分全量に対して0.5〜10重量%の割合で配合するのが好ましい。光重合開始剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、必要に応じて公知の各種添加剤を用いてもよい。
【0028】
本発明に用いる活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物は、通常、溶剤を用いて塗布液の状態に調製し、微細凹凸形状の形成に用いる。前記各材料を、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、ジクロルメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等、またはそれらの混合溶剤に溶解、分散することにより、本発明に係る光硬化性樹脂組成物としての塗布液を調製することができる。塗布液は、通常、固形分濃度が10〜50重量%程度となるように調節する。
【0029】
本発明の成形体は、前記活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物を成形体表面に塗布し、賦型層を形成させることにより得られる。
【0030】
本発明に用いる活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物を成形体の表面に塗布し、必要に応じて乾燥させて微細凹凸形状を形成することができる賦型層を形成し、当該賦型層にスタンパーを圧接してエンボス加工を行い、微細凹凸形状形成層を活性エネルギー線照射して硬化させることにより、光学的機能を有する微細凹凸形状を形成することができ、光学物品やスタンパーとして利用できる。
【0031】
当該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が塗布される成形体は、特に限定されず、あらゆるものに適用できる。成形体の材質は、金属であってもよく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリノルボルネン、トリアセチルセルロース等のプラスチックであってもよい。なお、成形体は、フィルムまたはシートであることが、活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物の塗布が容易になるため好ましい。なお、成形体表面に活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物を塗布する前後に、または賦型層に微細凹凸形状を形成する前後に、必要に応じてアンカー層、剥離層、金属薄膜層、オーバーコート層、感圧又は感熱接着剤層等の他の層を形成してもよい。
【0032】
賦型層は、スタンパーを圧接した状態で硬化させてもよいが、スタンパーを取り外した後で露光、加熱することにより硬化させることも可能である。後者の方法は、賦型層を硬化工程に移す前にスタンパーを取り外し、取り外したスタンパーはエンボス工程で連続使用できるので連続生産性に優れている。
【0033】
また、本発明では、上記微細凹凸形状形成材料が成膜性及び耐ブロッキング性に優れていることを利用し、成形体上に賦型層を形成した中間積層体をロール状に巻き取って一時的に貯蔵し、別の場所へ運搬して巻き戻し、スタンピング及び硬化を行うことも可能である。
【0034】
さらにスタンピング及び硬化を行った中間積層体をロール状に巻き取って一時的に貯蔵し、別の場所へ運搬し巻き戻し、必要に応じて追加の光又は熱硬化工程を行って充分に硬化させたり、あるいは、必要に応じて微細凹凸形状の上に金属薄膜、オーバーコート層、感圧又は感熱接着剤層等を形成することが可能である。
【0035】
硬化に用いる光としては、高エネルギー電離放射線及び紫外線が挙げられる。高エネルギー電離放射線源としては、例えば、コッククロフト型加速器、ハンデグラーフ型加速器、リニヤーアクセレーター、ベータトロン、サイクロトロン等の加速器によって加速された電子線が工業的に最も便利且つ経済的に使用されるが、その他に放射性同位元素や原子炉等から放射されるγ線、X線、α線、中性子線、陽子線等の放射線も使用できる。紫外線源としては、例えば、紫外線螢光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯、太陽灯等が挙げられる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」、「%」は特記しない限り「重量部」、「重量%」を意味する。また、重量平均分子量、ガラス転移温度、50%粒子径は下記の方法で測定した値である。
重量平均分子量:ゲルパーメーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、商品名「HLC−8220」、カラム:TSKgelSuperHZM−M、TSKgelSuperHZ−L、TSKgelSuperHZ2000により測定。
50%粒子径:大塚電子株式会社製、レーザー散乱式粒度分布測定装置「FPAR−1000」測定温度25℃、MIBK(メチルイソブチルケトン:屈折率 1.379)もしくはIPA(イソプロパノール:屈折率 1.375)中で測定した体積表示による50%粒子径である。なお、50%粒子径とは、粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい個数又は質量が、全粉体のそれの50%を占めるときの粒子径をいう。
【0037】
ガラス転移温度(Tmg):示差走査熱量計(理学電機(株)製 商品名:DSC 8230B)によりJIS K 7121に準じて測定。
また、実施例および比較例における評価方法は下記のとおりである。
【0038】
(1)賦形性
表1に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物を、100μm膜厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に#48バーコーターで塗布し(計算値:膜厚約30μm)、100℃で2分乾燥させた乾燥塗膜を、30mm×30mm×20μmに切り出し、10mm×10mmのメッシュを用いて0.3MPa、100℃、30秒で熱プレスし、メッシュを離型。形状の転写性を超深度カラー3D形状測定顕微鏡((株)キーエンス製 商品名:VK−9500 GenerationII)にて形状観察し、以下の基準で評価した。
○:メッシュ型あり形状良好。△:メッシュ型あるも形状不良。×:賦形不可(樹脂癒着)
【0039】
(2)形状保持性
表1に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物を、100μm膜厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に#48バーコーターで塗布し(計算値:膜厚約30μm)、100℃で2分乾燥させた乾燥塗膜を、30mm×30mm×20μmに切り出し、10mm×10mmのメッシュを用いて0.3MPa、100℃、30秒で熱プレスし、メッシュを離型、形状の転写性を超深度カラー3D形状測定顕微鏡((株)キーエンス製 商品名:VK−9500 GenerationII)にて10分間経時変化を観察し、以下の基準で評価した。
◎:経時で形状変化が極めて少ない、○:経時で若干形状変化、△:経時で形状変化大、×:経時変化が速い。
【0040】
(3)鉛筆硬度
表1に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物を、100μm膜厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に#16バーコーターで塗布し(計算値:膜厚約10μm)、100℃で2分乾燥させ、空気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cmの照射量で通過させて硬化させた。この硬化膜をJIS K 5600に従い荷重500gの鉛筆引っかき試験によって評価した。結果を表1に示す。
【0041】
(4)耐傷つき性
表1に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物を、100μm膜厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に#16バーコーターで塗布し(計算値:膜厚約10μm)、100℃で2分乾燥させ、空気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の照射量で通過させて硬化させた。この硬化膜を300gのおもりの底に10mm×10mmの範囲に付けたスチールウールで30回擦り、外観を観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
◎:変化無し、○:数本傷あり、△:傷多数あり、×:塗膜剥離。
【0042】
(5)透過率・ヘイズ
表1に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物を、100μm膜厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に#40バーコーターで塗布し(計算値:膜厚約25μm)、100℃で2分乾燥させ、試験片の乾燥塗膜部を10mm×10mmのメッシュを用いて0.3MPa、100℃、30秒で熱プレスし、メッシュを離型。空気下で高圧水銀灯を用いて300mJ/cmの照射量で通過させて硬化させた。このサンプルをJIS K 7105に従い透過率・ヘイズを測定した。
【0043】
製造例1
撹拌装置、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応装置に、グリシジルメタクリレート(以下、GMAという)、320部、アダマンチルメタクリレート(以下、ADMAという)80部、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKという)1,600部及び2,2´−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという)6.4部を仕込んだ後、窒素気流下に約1時間かけて系内温度が約85℃になるまで昇温し、1時間保温した。次いで、あらかじめGMA 960部、ADMA 240部、及びAIBN 19.2部からなる混合液を仕込んだ滴下ロートより、窒素気流下に混合液を、約2時間を要して系内に滴下し、3時間同温度に保温後、AIBN 6.4部を仕込み、30分保温した。その後、120℃に昇温し、2.5時間保温した。室温まで冷却後、共重合体(A1)の溶液を得た。(A1)のGPCによるポリスチレン換算による重量平均分子量は、26,000、ガラス転移温度は、73℃(計算値)であった。
続いて、窒素導入管を空気導入管につけ替え、アクリル酸(以下、AAという)649.0部、メトキノン4.3部及びトリフェニルホスフィン6.4部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、115℃まで昇温した。同温度にて8時間保温後、メトキノン4.3部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるようMIBKを加え、反応物(B1)の溶液を得た。反応物(B1)の重量平均分子量は51,000(GPCによるポリスチレン換算による)、乾燥塗膜のDSC測定によるTmgは12.0℃であった。
【0044】
製造例2
撹拌装置、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応装置に、GMA 280部、ADMA 120部、MIBK 1,600部及びAIBN 6.4部を仕込んだ後、窒素気流下に約1時間かけて系内温度が約85℃になるまで昇温し、1時間保温した。次いで、あらかじめGMA840部、ADMA 360部、及びAIBN 19.2部からなる混合液を仕込んだ滴下ロートより、窒素気流下に混合液を、約2時間を要して系内に滴下し、3時間同温度に保温後、AIBN6.4部を仕込み、30分保温した。その後、120℃に昇温し、2.5時間保温した。室温まで冷却後、共重合体(A2)の溶液を得た。(A2)のGPCによるポリスチレン換算による重量平均分子量は、28,000、ガラス転移温度は、88℃(計算値)であった。
続いて、窒素導入管を空気導入管につけ替え、AA 567.9部、メトキノン4.3部及びトリフェニルホスフィン6.4部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、115℃まで昇温した。同温度にて8時間保温後、メトキノン4.3部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるようMIBKを加え、反応物(B2)の溶液を得た。反応物(B2)の重量平均分子量は51,000(GPCによるポリスチレン換算による)、乾燥塗膜のDSC測定によるTmgは17.8℃であった。
【0045】
製造例3
撹拌装置、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応装置に、GMA 240部、ADMA 160部、MIBK 1,600部及びAIBN 6.4部を仕込んだ後、窒素気流下に約1時間かけて系内温度が約85℃になるまで昇温し、1時間保温した。次いで、あらかじめGMA 720部、ADMA 480部、及びAIBN 19.2部からなる混合液を仕込んだ滴下ロートより、窒素気流下に混合液を、約2時間を要して系内に滴下し、3時間同温度に保温後、AIBN6.4部を仕込み、30分保温した。その後、120℃に昇温し、2.5時間保温した。室温まで冷却後、共重合体(A3)の溶液を得た。(A3)のGPCによるポリスチレン換算による重量平均分子量は、25,000、ガラス転移温度は、105℃(計算値)であった。
続いて、窒素導入管を空気導入管につけ替え、AA 486.8部、メトキノン4.3部及びトリフェニルホスフィン6.4部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、115℃まで昇温した。同温度にて8時間保温後、メトキノン4.3部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるようMIBKを加え、反応物(B3)の溶液を得た。反応物(B3)の重量平均分子量は48,000(GPCによるポリスチレン換算による)、乾燥塗膜のDSC測定によるTmgは19.4℃であった。
【0046】
製造例4
撹拌装置、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応装置に、GMA 230部、メチルメタクリレート(以下、MMAという)12.5部、エチルアクリレート(以下、EAという)7.5部、酢酸ブチル1000部及びAIBN 7.5部を仕込んだ後、窒素気流下に約1時間かけて系内温度が約90℃になるまで昇温し、1時間保温した。次いで、あらかじめGMA 690部、MMA 37.5部、EA 22.5部及びAIBN 22.5部からなる混合液を仕込んだ滴下ロートより、窒素気流下に混合液を、約2時間を要して系内に滴下し、3時間同温度に保温後、AIBN 10部を仕込み、1時間保温した。その後、120℃に昇温し、2時間保温した。60℃まで冷却、共重合体(A4)の溶液を得た。(A4)の重量平均分子量は、21,000(GPCによるポリスチレン換算による)。ガラス転移温度は、46℃(計算値)であった。
続いて、窒素導入管を空気導入管につけ替え、AA 466.5部、メトキノン2.3部及びトリフェニルホスフィン6.0部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、110℃まで昇温した。同温度にて8時間保温後、メトキノン1.6部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるよう酢酸エチルを加え、反応物(B4)の溶液を得た。反応物(B4)の重量平均分子量は43,000(GPCによるポリスチレン換算による)、乾燥塗膜のDSC測定によるTmgは4.3℃であった。
【0047】
製造例5
撹拌装置、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応装置に、GMA 175部、MMA 75部、酢酸ブチル1000部及びAIBN 7.5部を仕込んだ後、窒素気流下に約1時間かけて系内温度が約90℃になるまで昇温し、1時間保温した。次いで、あらかじめGMA 525部、MMA 225部、及びAIBN 22.5部からなる混合液を仕込んだ滴下ロートより、窒素気流下に混合液を、約2時間を要して系内に滴下し、3時間同温度に保温後、AIBN 10部を仕込み、1時間保温した。その後、120℃に昇温し、2時間保温した。60℃まで冷却、共重合体(A5)の溶液を得た。(A5)の重量平均分子量は、18,500(GPCによるポリスチレン換算による)。ガラス転移温度は、62℃(計算値)であった。
続いて、窒素導入管を空気導入管につけ替え、AA 354.9部、メトキノン2.3部及びトリフェニルホスフィン6.0部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、110℃まで昇温した。同温度にて8時間保温後、メトキノン1.6部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるよう酢酸エチルを加え、反応物(B5)の溶液を得た。反応物(B5)の重量平均分子量は36,500(ポリスチレン換算による)、乾燥塗膜のDSC測定によるTmgは8.3℃であった。
【0048】
製造例6
撹拌装置、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応装置に、GMA 150部、MMA 12.5部、EA 87.5部、酢酸ブチル1000部及びAIBN 7.5部を仕込んだ後、窒素気流下に約1時間かけて系内温度が約90℃になるまで昇温し、1時間保温した。次いで、あらかじめGMA 450部、MMA 37.5部、EA 262.5部及びAIBN22.5部からなる混合液を仕込んだ滴下ロートより、窒素気流下に混合液を、約2時間を要して系内に滴下し、3時間同温度に保温後、AIBN 10部を仕込み、1時間保温した。その後、120℃に昇温し、2時間保温した。60℃まで冷却、共重合体(A6)の溶液を得た。(A6)の重量平均分子量は、23,000(GPCによるポリスチレン換算による)。ガラス転移温度は、12℃(計算値)であった。
続いて、窒素導入管を空気導入管につけ替え、AA 304.2部、メトキノン2.3部及びトリフェニルホスフィン6.0部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、110℃まで昇温した。同温度にて8時間保温後、メトキノン1.6部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるよう酢酸エチルを加え、反応物(B6)の溶液を得た。反応物(B6)の重量平均分子量は41,000(GPCによるポリスチレン換算による)、乾燥塗膜のDSC測定によるTmgは−9.8℃であった。
【0049】
製造例7
撹拌装置、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応装置に、GMA 125部、IBXMA 125部、酢酸ブチル1000部及びAIBN7.5部を仕込んだ後、窒素気流下に約1時間かけて系内温度が約90℃になるまで昇温し、1時間保温した。次いで、あらかじめGMA 375部、IBXMA 375部及びAIBN22.5部からなる混合液を仕込んだ滴下ロートより、窒素気流下に混合液を、約2時間を要して系内に滴下し、3時間同温度に保温後、AIBN10部を仕込み、1時間保温した。その後、120℃に昇温し、2時間保温した。60℃まで冷却、共重合体(A7)の溶液を得た。(A7)の重量平均分子量は、22,000(GPCによるポリスチレン換算による)。ガラス転移温度は、101℃(計算値)であった。
続いて、窒素導入管を空気導入管につけ替え、AA 253.5部、メトキノン2.3部及びトリフェニルホスフィン6.0部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、110℃まで昇温した。同温度にて8時間保温後、メトキノン1.6部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるよう酢酸エチルを加え、反応物(B7)の溶液を得た。反応物(B7)の重量平均分子量は37,000(GPCによるポリスチレン換算による)、乾燥塗膜のDSC測定によるTmgは29.5℃であった。
【0050】
製造例8
撹拌装置、冷却器、滴下ロ−ト、温度計を備えた反応装置にMIBK-ST(日産化学(株)製)500部、KBM−5103(信越化学工業(株)製) 15部、MIBK 35部を仕込んだ後、系内温度が80℃になるまで昇温し、80℃で2時間半撹拌後、冷却して、不揮発分が30%となるようMIBKを加え、50%粒子径が2.6nmのビニル基含有シリカ粒子(C1)を得た。
【0051】
製造例9
撹拌装置、冷却器、滴下ロ−ト、温度計を備えた反応装置にMIBK-ST(日産化学(株)製)500部、KBM−5103 30部、MIBK 70部を仕込んだ後、系内温度が80℃になるまで昇温し、80℃で2時間半撹拌後、冷却して、不揮発分が30%となるようMIBKを加え、50%粒子径が3.0nmのビニル基含有シリカ粒子(C2)を得た。
【0052】
製造例10
撹拌装置、冷却器、滴下ロ−ト、温度計を備えた反応装置にIPA−ST(日産化学(株)製)500部、KBM−503(信越化学工業(株)製)10部、IPA 23.3部を仕込んだ後、系内温度が80℃になるまで昇温し、80℃で2時間半撹拌後、冷却して、不揮発分が30%となるようIPAを加え、50%粒子径が4.6nmのビニル基含有シリカ粒子(C3)を得た。
【0053】
製造例11
撹拌装置、冷却器、滴下ロ−ト、温度計を備えた反応装置にIPA−ST−L(日産化学(株)製)500部、KBM−503 10部、MIBK 23.3部を仕込んだ後、系内温度が80℃になるまで昇温し、80℃で2時間半撹拌後、冷却して、不揮発分が30%となるようIPAを加え、50%粒子径が5.4nmのビニル基含有シリカ粒子(C4)を得た。
【0054】
製造例12
撹拌装置、冷却器、滴下ロ−ト、温度計を備えた反応装置にビスコート300(大阪有機化学工業(株)製)404部、VESTANAT T 1890E 300部、MIBK 173部、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.61部を仕込んだ後、系内温度が40℃になるまで昇温し、2−エチルヘキサン酸スズ0.25部を加えた。80℃で5時間半撹拌後、IRスペクトルでイソシアネート基の吸収2270cm−1が消滅したことを確認し、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.61部を加え、冷却して、不揮発分が70%となるようMIBKを加え、ラジカル重合性単量体(D1)を得た。
【0055】
実施例1
ガラス瓶に製造例2で調整した反応物(B2)96部、製造例8で調整したビニル基含有シリカ粒子(C1)133.3部、製造例12で調製したラジカル重合性単量体(D1)8.5部、ラジカル重合性単量体ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:アロニックスM−405 東亜合成(株)製 以下、M−405という)(D2)6部、イルガキュア2959(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5部、TEGO RAD 2500(デグサ社製)0.5部を加え、不揮発分が40%となるようMIBKを加え、賦形用樹脂組成物溶液を得た。
【0056】
実施例2
ガラス瓶に製造例2で調整した反応物(B2)96部、製造例8で調整したビニル基含有シリカ粒子(C1)133.3部、製造例12で調製したラジカル重合性単量体(D1)17.1部、イルガキュア2959 5部、TEGO RAD 2200N(デグサ社製)0.5部を加え、不揮発分が40%となるようMIBKを加え、賦形用樹脂組成物溶液を得た。
【0057】
実施例3
ガラス瓶に製造例5で調整した反応物(B5)84部、製造例8で調整したビニル基含有シリカ粒子(C1)100部、M−405(D2)28部、イルガキュア2959 5部、TEGO RAD 2200N 0.5部を加え、不揮発分が40%となるようMIBKを加え、賦形用樹脂組成物溶液を得た。
【0058】
実施例4
ガラス瓶に製造例4で調整した反応物(B4)200部、イルガキュア2959 5部、TEGO RAD 2200N 0.5部を加え、不揮発分が40%となるようMIBKを加え、賦形用樹脂組成物溶液を得た。
【0059】
実施例5
ガラス瓶に製造例1で調整した反応物(B1)200部、イルガキュア2959 5部、TEGO RAD 2200N 0.5部を加え、不揮発分が40%となるようMIBKを加え、賦形用樹脂組成物溶液を得た。
【0060】
実施例6
ガラス瓶に製造例3で調整した反応物(B3)200部、イルガキュア2959 5部、TEGO RAD 2200N 0.5部を加え、不揮発分が40%となるようMIBKを加え、賦形用樹脂組成物溶液を得た。
【0061】
実施例7
ガラス瓶に製造例2で調整した反応物(B2)96部、製造例10で調整したビニル基含有シリカ粒子(C3)133.3部、製造例12で調製したラジカル重合性単量体(D1)17.1部、イルガキュア2959 5部、TEGO RAD 2200N(デグサ社製)0.5部を加え、不揮発分が40%となるようMIBKを加え、賦形用樹脂組成物溶液を得た。
【0062】
実施例8
ガラス瓶に製造例2で調整した反応物(B2)96部、製造例11で調整したビニル基含有シリカ粒子(C4)133.3部、製造例12で調製したラジカル重合性単量体(D1)17.1部、イルガキュア2959 5部、TEGO RAD 2200N(デグサ社製)0.5部を加え、不揮発分が40%となるようMIBKを加え、賦形用樹脂組成物溶液を得た。
【0063】
実施例9
ガラス瓶に製造例2で調整した反応物(B6)96部、製造例8で調整したビニル基含有シリカ粒子(C1)133.3部、製造例12で調製したラジカル重合性単量体(D1)17.1部、イルガキュア2959 5部、TEGO RAD 2200N(デグサ社製)0.5部を加え、不揮発分が40%となるようMIBKを加え、賦形用樹脂組成物溶液を得た。
【0064】
実施例10
ガラス瓶に製造例2で調整した反応物(B7)96部、製造例8で調整したビニル基含有シリカ粒子(C1)133.3部、製造例12で調製したラジカル重合性単量体(D1)17.1部、イルガキュア2959 5部、TEGO RAD 2200N(デグサ社製)0.5部を加え、不揮発分が40%となるようMIBKを加え、賦形用樹脂組成物溶液を得た。
【0065】
比較例1
M−405(D2)100部、イルガキュア2959 5部、TEGO RAD 2200N 0.5部を加え、不揮発分が40%となるようMIBKを加え、賦形用樹脂組成物溶液を得た。
【0066】
比較例2
製造例12で調製したラジカル重合性単量体(D1)142.9部、イルガキュア2959(チバ・ジャパン社製)5部、TEGO RAD 2200N 0.5部を加え、不揮発分が40%となるようMIBKを加え、賦形用樹脂組成物溶液を得た。
【0067】
比較例3
製造例8で調整したビニル基含有シリカ粒子(C1)166.7部、製造例12で調製したラジカル重合性単量体(D1)71.4部、イルガキュア2959 5部、TEGO RAD 2200N 0.5部を加え、不揮発分が40%となるようMIBKを加え、賦形用樹脂組成物溶液を得た。
【0068】
比較例4
M−405(D2)70部、MIBK−ST 100部、イルガキュア2959 5部、TEGO RAD 2200N 0.5部を加え、不揮発分が40%となるようMIBKを加え、賦形用樹脂組成物溶液を得た。
【0069】
比較例5
製造例9で調整したビニル基含有シリカ粒子(C2)166.7部、製造例12で調製したラジカル重合性単量体(D1)71.4部、イルガキュア2959 5部、TEGO RAD 2200N 0.5部を加え、不揮発分が40%となるようMIBKを加え、賦形用樹脂組成物溶液を得た。
【0070】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ基を有するラジカル重合性ビニル単量体(a1)を含有するラジカル重合成分(a)の重合体(A)に、カルボキシル基を有するラジカル重合性ビニル単量体(b)を反応させて得られる反応物(B)を含有する活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物。
【請求項2】
ビニル基含有シリカ粒子(C)を含有する請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物。
【請求項3】
反応物(B)を乾燥塗膜としたときのガラス転移温度が−10〜30℃である請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物。
【請求項4】
ラジカル重合成分(a)が、単独重合した際の重合体のガラス転移温度が100℃以上であるラジカル重合性モノマーを(a)成分中5〜50重量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物。
【請求項5】
ビニル基含有シリカ粒子(C)の50%粒子径が2〜10nmである請求項2〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物。
【請求項6】
ビニル基含有シリカ粒子(C)が、シリカ粒子(c1)100重量部に対し、ビニル基を有するシランカップリング剤(c2)を5〜15重量部反応させたものである請求項2〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物。
【請求項7】
賦型層中に1分子中に(メタ)アクリロイル基を少なくとも4つ有するラジカル重合性単量体(D)を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型賦型用樹脂組成物が塗布して得られる賦型層が表面に設けられた成形体。
【請求項9】
成形体がフィルムまたはシートである請求項8の成形体。
【請求項10】
請求項8に記載の成形体の表面に押圧成形後、硬化させて得られる表面に微細凹凸形状が設けられた成形体。
【請求項11】
請求項8に記載の成形体の表面に押圧成形後、硬化させて得られる表面に微細凹凸形状が設けられた光学部品。


【公開番号】特開2010−24447(P2010−24447A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146723(P2009−146723)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000168414)荒川化学工業株式会社 (301)
【Fターム(参考)】