説明

活性エネルギー線硬化性組成物、これを用いた硬化物、積層体、及び硬化物の製造方法

【課題】透明性、耐熱性、耐擦傷性及び柔軟性に優れた材料を提供可能な活性エネルギー線硬化性組成物や、これを用いた硬化物や積層体を提供し、硬化時に溶媒を必須としないことから、溶媒の揮発処理を不要とし、環境負荷を低減することができる硬化物の製造方法を提供する。
【解決手段】式(1)で表されるかご構造シルセスキオキサンを含有する化合物(A)
(R1SiO1.5m (1)
(式中、Rは不飽和結合を有する炭素数2〜8の有機基を示し、mは6〜16のいずれかの整数を示す。)及び、多価チオール(B)を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物、これを用いた硬化物、積層体、及び硬化物の製造方法に関する。より詳しくは、透明性、耐熱性、耐擦傷性及び柔軟性に優れ、エレクトロニクスデバイス用プラスチック基板材料や、プラスチック成形品の保護コーティング材料として利用可能な活性エネルギー線硬化性組成物、硬化物、積層体、及び硬化物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、太陽電池などエレクトロニクスデバイスの薄膜・フレキシブル化、軽量化のための技術開発が急速に進んでおり、従来のガラス基板に変わる新たなプラスチック基板として、透明性、耐熱性に優れ、表面硬度が高く耐擦傷性に優れ、更に適度なフレキシビリティを併せ持つ材料のニーズが高まっている。
【0003】
ところで、近年、有機材料との複合化が容易なシリコーン材料として、特異な多環構造を有するシルセスキオキサン(非特許文献1)等の有機無機ナノハイブリッド材料が、高い耐熱性、耐久性、機械強度、光学特性などを併せ持つ材料として注目されている。例えば、(メタ)アクリレート化合物と、これと重合可能な官能基として(メタ)アクリロイル基を有するかご型シルセスキオキサンとからなる組成物(特許文献1)が報告されているが、この組成物に活性エネルギー線を照射して重合を行うと、酸素による重合阻害を受けやすく、紫外線の照射量を大きくする、不活性ガスで重合を行う、或いは重合工程でフィルムを被せて酸素を遮断するなどの必要があり、活性エネルギー線を用いた製造には問題がある。
【0004】
また、アリル基、ビニル基、(メタ)アクリル基などの炭素−炭素2重結合と、チオール基との付加反応を利用したエン−チオール硬化物は、硬化時に酸素による反応阻害がなく、硬化収縮が小さく、開始剤を使用せずに硬化可能であるという優れた特徴を有することが知られ、2級チオールを用いることにより、チオール化合物由来の臭気の問題を解決した低臭気で保存安定性の高い化合物(非特許文献2)も報告されている。更に、チオール基を有するシルセスキオキサンと炭素−炭素2重結合を有する化合物や、炭素−炭素2重結合を有するシルセスキオキサンと2級チオール化合物からなる組成物(特許文献2、3)も報告されている。しかしながら、特許文献2、3に記載のエンーチオール硬化物は、エン−チオール反応を利用して硬化されるため、酸素による重合阻害を受けにくいものの、溶剤の揮発工程が必要であり、環境負荷が高いなどの課題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−89685号公報
【特許文献2】特開2007−291313号公報
【特許文献3】特開2008−184514号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】シルセスキオキサン材料の化学と応用展開(シーエムシー出版)
【非特許文献2】ファインケミカル2009,Vol.38,No.8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、透明性、耐熱性、耐擦傷性及び柔軟性に優れた材料を提供可能な活性エネルギー線硬化性組成物や、これを用いた硬化物や積層体を提供し、硬化時に溶媒を必須としないことから、溶媒の揮発処理を不要とし、環境負荷を低減することができる硬化物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ケイ素原子に結合される有機基に不飽和結合を有するかご構造のシルセスキオキシサンを含有する化合物と多価チオールとのエン−チオール反応は、活性エネルギー線により進行させることができ、溶剤を不要とし、得られる硬化物が高い透明性を有し、耐熱性、耐擦傷性に優れ、しかも適度な柔軟性を有することから、フィルムを作製したとき、高い透明性と、優れた耐擦傷性、耐屈曲性を有することを見出した。更に、多価チオールとして、特定の多価2級チオールを用いることにより、臭気の問題も解決できることの知見を得、かかる知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は、式(1)で表されるかご構造シルセスキオキサンを含有する化合物(A)
(R1SiO1.5m (1)
(式中、R1は不飽和結合を有する炭素数2〜8の有機基を示し、mは6〜16のいずれかの整数を示す。)及び、多価チオール(B)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
【0010】
また、本発明は、上記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物や、これを基材に塗布し、硬化した硬化物を有する積層体や、上記活性エネルギー線硬化性組成物を成形した後、活性エネルギー線を照射する硬化物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、透明性、耐熱性、耐擦傷性及び柔軟性に優れた材料を提供することができ、硬化時に溶媒を必須としないことから、溶媒の揮発処理を不要とし、環境負荷を低減することができる。本発明の硬化物や、この硬化物の塗布膜は透明性、耐熱性、耐擦傷性及び柔軟性に優れる。本発明の硬化物の製造方法は、溶剤を不要とし、環境負荷を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、式(1)で表されるかご構造シルセスキオキサンを含有する化合物(A)
(R1SiO1.5m (1)
(化合物(A)ともいう。)及び、多価チオール(B)を含有することを特徴とする。
【0013】
[化合物(A)]
式(1)で表されるかご構造シルセスキオキサンを含有する化合物(A)は硬化物に耐熱性及び高硬度を付与する成分であり、硬化物を透明フィルムや塗膜としたとき、優れた耐擦傷性を付与することができる。化合物(A)は不飽和結合を有する有機基を有する3官能アルコキシシランのm個のオリゴマーであり、かご型構造を含有するシルセスキオキサンである。シルセスキオキサンは、分子内に有機基を1つ有する3官能アルコキシシランが縮合して三次元構造を形成した縮合物の総称である。式(1)中、mは6〜16のいずれかの整数を示す。式(1)中、R1は、不飽和結合を有する炭素数2〜8の有機基であり、かかる有機基としては、アリル基、ビニル基、3−(メタ)アクリロキシプロピル基を挙げることができる。化合物(A)に含有されるかご構造としては、例えば、式(a1)、(a2)、(a3)等で示すものを挙げることができる。
【0014】
【化1】

【0015】
【化2】

【0016】
【化3】

【0017】
化合物(A)として、具体的には、上市されているものとして、R1が3−アクリロキシプロピル基であるアクリロポスケイジミクスチュア(Acrylo POSS cage mixture)(ハイブリッドプラスチックス社)、R1がアクリロイル基であるメタクリルポスケイジミクスチュア(Methacryl POSS cage mixture)(ハイブリッドプラスチックス社)等を挙げることができる。
【0018】
[多価チオール(B)]
上記活性エネルギー線硬化物組成物に含有される多価チオール(B)は、化合物(A)のケイ素原子に結合する有機基とのエン−チオール反応により、かご構造のシルセスオキシサンと結合し、高分子化合物の硬化物を形成しつつ、これに柔軟性を付与する成分である。多価チオール(B)としては、ジチオール、トリチオール、テトラチオール等いずれであってもよい。具体的には、ジチオールとしては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、ジチオエリスリトール、1,2−ベンゼンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、3,4−ジメルカプトトルエン、o−,m−あるいはp−キシレンジチオール、4−クロロ−1,3−ベンゼンジチオール、2,4,6−トリメチル−1,3−ベンゼンジメタンチオール、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタンチオール、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3−メルカプトプロポキシフェニルプロパン)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール等を挙げることができる。トリチオールとしては、例えば、1,2,6−ヘキサントリオールトリチオグリコレート、1,3,5−トリチオシアヌル酸、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリヒドロキシエチルトリイソシアヌール酸トリスチオプロピオネート、トリスー[(エチルー3−メルカプトプロピオニロキシ)−エチル]イソシアヌレート等を挙げることができる。テトラチオールとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキス−3−メルカプトプロピオネート等を挙げることができる。
【0019】
これらの多価チオールは1種又は2種以上を組み合わせ用いることもでき、これらのうち、2級チオールが好ましく、特に、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、式(b1)に示す1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、式(b2)に示すペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(b2)が好適である。これらの多価チオールは低臭気性であり、安全性が高く、取り扱いが容易であることから、好ましい。
【0020】
【化4】

【0021】
【化5】

【0022】
また、多価チオール(B)として、式(2)で示されるかご構造シルセスキオキサンを含有する化合物(bs)は、化合物(A)との硬化物に、柔軟性と共に、優れた耐熱性、耐擦傷性を付与することができることから、好ましいものとして用いることができる。
【0023】
(R2SiO1.5n (2)
式(2)中、R2はメルカプト基を有するものであればよいが、具体的には、炭素数3〜8のアルキルチオール基が好適であり、例えば、3−メルカプトプロピル基を挙げることができる。式(2)中、nは6〜16のいずれかの整数であることが好ましい。化合物(bs)としては、例えば、式(bs1)、(bs2)、(bs3)等で示すものを挙げることができる。
【0024】
【化6】

【0025】
【化7】

【0026】
【化8】

【0027】
このような化合物(bs)は、上記式(2)中のR2を置換基として有するアルコキシシラン化合物(br)(以下「化合物(br)」という。)の加水分解・縮合反応により得ることができる。具体的には、化合物(br)と水を触媒の存在下で、加熱還流する方法を挙げることができる。
【0028】
化合物(br)の加水分解・縮合反応に用いる触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸等の無機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級水酸化アンモニウム、アンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩が好適である。
【0029】
上記触媒の使用量としては、化合物(br)100質量部に対し、0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。触媒の使用量が0.1質量部以上であれば、反応効率を上げることができ、20質量部以下であれば、得られる化合物(b3)中に残留する触媒が化合物(A)との硬化物の物性に悪影響を及ぼすのを抑制することができる。
【0030】
化合物(br)の加水分解・縮合反応に使用する水は、化合物(br)の加水分解性アルコキシ基に対し、モル比で理論値の1〜2倍を用いることが好ましい。化合物(br)の加水分解・縮合反応の温度は、0〜200℃が好ましく、20〜150℃がより好ましい。化合物(br)の加水分解・縮合反応には、有機溶媒を使用することが好ましい。有機溶媒としては、化合物(br)を溶解できるものであればよく、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独でも、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0031】
多価チオール(B)の使用量としては、化合物(A)が有する有機基における不飽和結合と多価チオール(B)のメルカプト基がモル比で1:1で付加反応をすることから、化合物(A)の不飽和結合に対して、メルカプト基がモル比で0.8〜1.0となる量が好ましい。多価チオール(B)の使用量が上記範囲であれば、化合物(A)との硬化物中にこれらの多価チオール(B)や化合物(A)が残存するのを抑制することができ、臭気の発生を抑制することができる。
【0032】
化合物(b1)、(b2)、(bs)は、単独で使用することができ、また、2種以上を混合して使用してもよい。
【0033】
[活性エネルギー線硬化性組成物]
活性エネルギー線硬化性組成物には、上記化合物(A)及び多価チオール(B)の他、これらの物質の機能を阻害しない範囲で、活性エネルギー線により重合可能な単量体として、(メタ)アクリレートを含有していてもよい。(メタ)アクリレートは活性エネルギー線硬化性組成物の粘度を調整し、得られる硬化物に柔軟性や基材への密着性を向上させ、表面硬度を上昇させ耐擦傷性を向上させることができる。かかる(メタ)アクリレートとしては、単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フォスフォエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。更に、多官能(メタ)アクリレート化合物として、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]−プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]−プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル]−プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル]−プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル]−プロパン、ビス[4−(メタ)アクリロイルチオフェニル]スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル]スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル]スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル]スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル]スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル]スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル]スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル]スルフィド、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニルプロパン]、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの(メタ)アクリレートは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、活性エネルギー線硬化性組成物中の含有量は、5〜90質量%の範囲であることが好ましい。
【0034】
更に、上記活性エネルギー線硬化性組成物には、必要に応じてアルコキシシラン化合物(E1)や、これらのアルコキシシラン化合物の1種又は2種以上の加水分解・縮合物(E2)を含有していてもよい。アルコキシシラン化合物(E1)としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルシリケート(テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物)、エチルシリケート(テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物)、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。これらのアルコキシシラン化合物(E1)やこれらの加水分解・縮合物(E2)の活性エネルギー線硬化性組成物中の含有量は、5〜90質量%の範囲であることが好ましい。
【0035】
また、上記活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射により、化合物(A)に含まれる不飽和結合と多価チオール(B)のメルカプト基のエン−チオール付加反応を促進させるラジカルを発生する活性エネルギー線官能性ラジカル重合開始剤(重合開始剤(C)ともいう。)を含有することが好ましい。重合開始剤(C)としては、具体的には、例えば、3,3−ジメチル−4−メトキシ−ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1,2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどを挙げることができる。これらの重合開始剤(C)の使用量は、活性エネルギー線硬化性組成物100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましい。
【0036】
また、上記活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤(F)を含有していてもよい。活性エネルギー線硬化性組成物がアルコキシシラン化合物(E1)やこれらの加水分解・縮合物(E2)を含有する場合、カチオン重合開始剤(F)を含有することが重縮合反応を著しく促進させることができ、好ましい。カチオン重合開始剤(F)としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、セレニウム塩、ピリジニウム塩、フェロセニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩を用いることができる。これらのうち、ヨードニウム塩や、スルホニウム塩は、選択幅が広く好ましい。ヨードニウム塩としては、例えば、(トリクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム・テトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム・テトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。また、スルホニウム塩としては、例えば、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド・ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド・ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド・ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム・テトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド・ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド・ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド・ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウム四フッ化ホウ素、トリフェニルスルホニウム六フッ化アンチモン、トリフェニルスルホニウム六フッ化ヒ素、トリ(4−メトキシフェニル)スルホニウム六フッ化ヒ素、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム六フッ化ヒ素等を挙げることができる。これらのカチオン重合開始剤(F)は、活性エネルギー線硬化性組成物100質量部に対し、0.01〜10質量部の範囲で使用することが好ましい。
【0037】
上記活性エネルギー線硬化性組成物は、固形分濃度調整、塗布性向上、基材への密着性向上等を目的として、有機溶媒を含有していてもよい。有機溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類を用いることができる。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、2−メトキシエチルアルコール、2−エトキシエチルアルコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロピルアルコール、1−エトキシ−2−プロピルアルコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセテート、2−エチルブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンゼン、トルエン、キシレンが挙げられる。これらの有機溶媒は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。有機溶媒の使用量としては、活性エネルギー線硬化性組成物100質量部に対して5〜100質量部であることが好ましい。
【0038】
上記活性エネルギー線硬化性組成物は、その他、必要に応じて、ポリマー、ポリマー微粒子、無機微粒子、染料、顔料、顔料分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等を含有していてもよい。
【0039】
上記活性エネルギー線硬化性組成物は、化合物(A)及び多価チオール(B)と、必要に応じて、重合開始剤(C)を添加して、混合攪拌して、製造することができる。
【0040】
[硬化物その製造方法]
本発明の硬化物は、上記活性エネルギー線硬化性組成物を硬化したものである。かかる硬化物は上記活性エネルギー線硬化性組成物を所望の形状にした後、活性エネルギー線を照射することにより製造することができる。所望の形状にする方法としては、基材に塗布、型に塗布、型に注入等の方法を使用することができる。形状としては、フィルム状であってもよい。
【0041】
活性エネルギー線硬化性組成物に照射する活性エネルギー線としては、上記化合物(A)と多価チオールのエン−チオール反応進行させ得るものであれば、何れであってもよく、電子線、紫外線、可視光線、赤外線等を用いることができる。これらの活性エネルギー線の線源としては、電子銃、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、白熱電球、太陽光線、IRヒーター等を用いることができ、また、加熱炉などの輻射熱を利用することもできる。
【0042】
このようにして得られる硬化物は透明性に優れ、耐熱性を有し、耐擦傷性に優れると共に柔軟性を有する。硬化物がフィルムであれば、その性状は透明であり、柔軟性を有することから、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル、太陽電池、電子ペーパー等のエレクトロニクスデバイスのプラスチック基板等に好適である。
【0043】
[積層体]
本発明の積層体は、上記活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗布し、硬化した塗膜を有するものである。上記活性エネルギー線硬化性組成物を硬化して得られる塗膜は、上記のように透明性に優れ、耐熱性を有し、耐擦傷性の優れると共に柔軟性を有することから、積層体に耐擦傷性を付与することができる。上記塗膜を形成する基材としては、例えば、プラスチック、金属、缶、紙、木質材、無機質材等、いずれであってもよく、これらの基材にプライマー層を形成したものであってもよい。これらの中で、プラスチック基材が好適であり、中でも、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の透明プラスチック基材が特に好適である。
【0044】
基材への本発明の組成物の塗布は、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、スピンコート法、フローコート法、静電塗装法、いずれの方法を使用することができる。硬化方法は、上記活性エネルギー線の照射を適用することができる。このような積層体は、携帯電話、ノートパソコン等のディスプレイ前面板、ヘッドランプカバー等の自動車部品、車両用プラスチック窓材等の各種用途に好適である。
【実施例】
【0045】
以下に本発明の実施例を示し、具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
[活性エネルギー線組成物の調製]
化合物(A):かご構造シルセスキオキサン(商品名:AcryloPOSS cage mixture、Hybrid Plastics社製)47部(アクリロイル基モル数:0.28モル)、化合物(B):1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン:前述の(b1)(商品名:カレンズMT NR1、昭和電工(株)製)53部(チオール基モル数:0.28モル)、化合物(C)1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとベンゾフェノンの1:1共融混合物(商品名:IRGACURE500、チバスペシャリティケミカルズ(株))1部を均一になるまで撹拌混合し、活性エネルギー線硬化性組成物(S1)を調製した。化合物(A)は、3−アクリロオキシプロピル基を有し、主として、下式(a4)、(a5)、(a6)で示される化合物を含有するものである。
【0046】
【化9】

【0047】
【化10】

【0048】
【化11】

【0049】
[透明フィルムの作製]
組成物(S1)を、長さ10cm、幅5cm、厚み3mmのアクリル樹脂板(商品名:アクリライトEX、三菱レイヨン(株)製)上に、50μmの膜厚となるようにキャストし、コンベアを備えた120W/cmの高圧水銀ランプ(商品名:ハンディーUV−1200、QRU-2161型、(株)オーク製作所製)を用いて、積算光量1000mJ/cm2の紫外線を照射し、透明フィルム(FS1)を形成した。紫外線照射量は紫外線光量計(商品名:UV−351型、(株)オーク製作所製)を用いてピーク感度波長360nmで測定した。
【0050】
また、透明フィルム(FS1)をアクリル樹脂板から剥がし、デジマチックマイクロメータ(商品名:MDC−25MJ型、(株)ミツトヨ製)を用いて膜厚を測定したところ、50μmであった。得られた透明フィルム(FS1)について、以下のように、外観、硬度、耐擦傷性、耐屈曲性について評価した。尚、評価は、耐屈曲性試験以外は、アクリル板上で実施した。結果を表2に示す。
【0051】
[透明フィルムの評価]
(1)外観
目視にて硬化膜の透明性並びにクラック及び白化の有無を観察し、以下の基準で外観を評価した。
A:透明で、クラック及び白化の欠陥がない
C:不透明な部分があるもの又はクラック若しくは白化の欠陥がある
(2)鉛筆硬度
鉛筆引っかき試験(JIS−K−5600)に準じて鉛筆硬度により評価した。
(3)耐擦傷性
透明フィルム(FS1)を、ラビングテスター(商品名:A1566改、(株)井元製作所製)を使用し、#0000スチールウールで、1cm2当たり9.8×104Paの荷重を加えて10往復擦った。次いで、ヘイズメーター(商品名:NDH2000、日本電色工業(株)製)で、傷が発生した部分のヘイズ値を測定し、試験前のヘイズ値を差し引いた値(ΔHz(%))から、以下の基準により評価した。
A:ΔHzが5%未満
B:ΔHzが5%以上〜10%未満
C:ΔHzが10%以上
(4)耐屈曲性
長さ8cm、幅4cmの大きさの透明フィルム(FS1)をアクリル樹脂板から剥がし取り、直径10mmの円筒形のステンレス棒を用いて180°折り曲げ、以下の基準で評価した。
A:異常なし
B:僅かなひび割れ
C:顕著なひび割れ、破壊。
【0052】
[実施例2、比較例1、2]
表1に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性組成物(S2)〜(S4)を調製し、透明フィルム(FS2)〜(FS4)を作製して、評価を行った。結果を表2に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
Acrylo POSS:オクタ(3−アクリロキシプロピル)シルセスキオキサン(商品名AcryloPOSS cage mixture、Hybrid Plastics社)
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名アロニックスM309、東亞合成(株))
NR1:1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(商品名カレンズMT NR1、昭和電工(株))
PE1:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(商品名カレンズMT PE1、昭和電工(株)製)
IRG500:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとベンゾフェノンの1:1共融混合物(商品名IRGACURE500、チバスペシャリティケミカルズ(株))
【0055】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるかご構造シルセスキオキサンを含有する化合物(A)
(R1SiO1.5m (1)
(式中、R1は不飽和結合を有する炭素数2〜8の有機基を示し、mは6〜16のいずれかの整数を示す。)及び、多価チオール(B)を含有する活性エネルギ−線硬化性組成物。
【請求項2】
多価チオール(B)が、式(b1)及び式(b2)で表される多価2級チオール、
【化1】

【化2】

並びに、式(2)で表されるかご構造シルセスキオキサンを含有する化合物(b3)
(R2SiO1.5n (b3)
(式中、R2はチオール基を有する炭素数3〜8の有機基を示し、nは6〜16のいずれかの整数を示す。)の少なくとも1つから選ばれる請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化性組成物に、活性エネルギー線を照射する硬化物の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物。
【請求項5】
透明フィルムである請求項4記載の硬化物。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗布し、硬化した塗膜を有する積層体。

【公開番号】特開2011−219598(P2011−219598A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89480(P2010−89480)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】